(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】基板搬送装置及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240207BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J13/08 A
(21)【出願番号】P 2022046026
(22)【出願日】2022-03-22
(62)【分割の表示】P 2020559964の分割
【原出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2018229711
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019097731
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 雅行
(72)【発明者】
【氏名】福島 崇行
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-278044(JP,A)
【文献】特開2002-270674(JP,A)
【文献】特開平11-139559(JP,A)
【文献】国際公開第2015/037032(WO,A1)
【文献】特開2012-059951(JP,A)
【文献】特開2003-060011(JP,A)
【文献】特開2016-072384(JP,A)
【文献】特開2005-142245(JP,A)
【文献】特開平05-343499(JP,A)
【文献】特開2014-143388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板が収納されている容器から前記基板を保持して搬送する、基板搬送装置であって、
前記基板搬送装置は、前記基板を保持するハンドと、マニピュレータと、制御装置と、を備え、
前記ハンドの先端部には、前記基板の主面に向けて、光を投光する第1投光部と、前記基板の主面で反射した光を受光する第1受光部と、を有する基板検出器が設けられていて、
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光したか否かにより、
前記基板検出器に前記基板の主面の傾斜を検知させ、前記基板の奥で前記基板の位置ずれが生じているか否かを判定するように構成されている、基板搬送装置。
【請求項2】
水平方向に光を投光する第2投光部と、前記第2投光部から投光された光を受光する第2受光部と、を有する、マッピング装置が前記ハンドの先端部に設けられていて、
前記制御装置は、前記第2受光部が前記第2投光部から投光された光を検知しなかった位置情報を前記基板の位置情報として、前記マッピング装置から取得し、前記マッピング装置から取得した前記基板の位置情報を基に、前記ハンドが、前記基板の下面から予め設定されている第1距離下方に位置するように、前記マニピュレータを動作させるように構成されている、
請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記基板検出器は、前記基板が正常に収納されている状態で、前記第1投光部が前記基板の主面に向けて光を投光すると、前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光するように構成されていて、
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、前記マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光しない場合には、前記基板の位置ずれが生じていると判定するように構成されている、
請求項1又は2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、前記マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光した場合には、前記基板の位置ずれが生じていないと判定するように構成されている、
請求項3に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記基板検出器は、前記基板が正常に収納されている状態で、前記第1投光部が前記基板の主面に向けて光を投光すると、前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光しないように構成されていて、
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、前記マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光した場合には、前記基板の位置ずれが生じていると判定するように構成されている、
請求項1から4のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、前記マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光しない場合には、前記基板の位置ずれが生じていないと判定するように構成されている、
請求項5に記載の基板搬送装置。
【請求項7】
前記基板検出器は、前記基板の主面が、前記第1距離よりも小さい距離である第2距離に位置するときに、前記第1受光部が前記基板の主面で反射した光を受光するように構成されていて、
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、前記マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光した場合には、前記基板の位置ずれが生じていると判定するように構成されている、
請求項2に記載の基板搬送装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、前記マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光しない場合には、前記基板の位置ずれが生じていないと判定するように構成されている、
請求項7に記載の基板搬送装置。
【請求項9】
前記基板検出器は、前記第1投光部が、上方に向けて光を投光するように構成されている、
請求項1から8のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項10】
前記基板検出器は、前記第1投光部が、下方に向けて光を投光するように構成されている、
請求項1から9のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記基板の位置ずれが生じていると判定した場合には、前記マニピュレータの動作を停止するように構成されている、
請求項1から10のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項12】
前記制御装置は、前記基板の位置ずれが生じていると判定した場合には、前記ハンドが前記容器から退避するように前記マニピュレータを動作させるように構成されている、
請求項1から11のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項13】
複数の基板が収納されている容器から前記基板を保持して搬送する、基板搬送装置の運転方法であって、
前記基板搬送装置は、前記基板を保持するハンドと、マニピュレータと、制御装置と、を備え、
前記ハンドの先端部には、前記基板の主面に向けて、光を投光する第1投光部と、前記基板の主面で反射した光を受光する第1受光部と、を有する基板検出器が設けられていて、
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光したか否かにより、
前記基板検出器に前記基板の主面の傾斜を検知させ、前記容器の奥で前記基板の位置ずれが生じているか否かを判定するように構成されている、基板搬送装置の運転方法。
【請求項14】
水平方向に光を投光する第2投光部と、前記第2投光部から投光された光を受光する第2受光部と、を有する、マッピング装置が前記ハンドの先端部に設けられていて、
前記制御装置は、前記第2受光部が前記第2投光部から投光された光を検知しなかった位置情報を前記基板の位置情報として、前記マッピング装置から取得し、前記マッピング装置から取得した前記基板の位置情報を基に、前記ハンドが、前記基板の下面から予め設定されている第1距離下方に位置するように、前記マニピュレータを動作させるように構成されている、
請求項13に記載の基板搬送装置の運転方法。
【請求項15】
前記基板検出器は、前記基板が正常に収納されている状態で、前記第1投光部が前記基板の主面に向けて光を投光すると、前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光するように構成されていて、
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、前記マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光しない場合には、前記基板の位置ずれが生じていると判定するように構成されている、
請求項13又は14に記載の基板搬送装置の運転方法。
【請求項16】
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、前記マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光した場合には、前記基板の位置ずれが生じていないと判定するように構成されている、
請求項15に記載の基板搬送装置の運転方法。
【請求項17】
前記基板検出器は、前記基板が正常に収納されている状態で、前記第1投光部が前記基板の主面に向けて光を投光すると、前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光しないように構成されていて、
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、前記マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光した場合には、前記基板の位置ずれが生じていると判定するように構成されている、
請求項13から16のいずれかに記載の基板搬送装置の運転方法。
【請求項18】
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、前記マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光しない場合には、前記基板の位置ずれが生じていないと判定するように構成されている、
請求項17に記載の基板搬送装置の運転方法。
【請求項19】
前記基板検出器は、前記基板の主面が、前記第1距離よりも小さい距離である第2距離に位置するときに、前記第1受光部が前記基板の主面で反射した光を受光するように構成されていて、
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、前記マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光した場合には、前記基板の位置ずれが生じていると判定するように構成されている、
請求項14に記載の基板搬送装置の運転方法。
【請求項20】
前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、前記マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光しない場合には、前記基板の位置ずれが生じていないと判定するように構成されている、
請求項19に記載の基板搬送装置の運転方法。
【請求項21】
前記基板検出器は、前記第1投光部が、上方に向けて光を投光するように構成されている、
請求項13から20のいずれかに記載の基板搬送装置の運転方法。
【請求項22】
前記基板検出器は、前記第1投光部が、下方に向けて光を投光するように構成されている、
請求項13から21のいずれかに記載の基板搬送装置の運転方法。
【請求項23】
前記制御装置は、前記基板の位置ずれが生じていると判定した場合には、前記マニピュレータの動作を停止するように構成されている、
請求項13から22のいずれかに記載の基板搬送装置の運転方法。
【請求項24】
前記制御装置は、前記基板の位置ずれが生じていると判定した場合には、前記ハンドが前記容器から退避するように前記マニピュレータを動作させるように構成されている、
請求項13から23のいずれかに記載の基板搬送装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送装置及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハは、クリーンルーム内で複数の処理がなされて、製造される。半導体ウエハの製造では、半導体ウエハは、キャリア(ポッド)内に収納されて、搬送される。
【0003】
そして、ポッド内のウエハの位置ずれを検出することを目的とした基板処理装置が知られている。例えば、特許文献1には、その様な基板処理装置が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されている基板処理装置は、マッピング装置及びウエハ位置ずれ検出装置を備えている。マッピング装置及びウエハ位置ずれ検出装置は、ポッドのドアを開閉するポッドオープナのウエハ出し入れ口に設けられている。
【0005】
マッピング装置は、互いに対向する一対の投光部と受光部とを複数組備えている。複数組の投光部と受光部は、櫛歯形状に垂直に整列された状態で配置されている。そして、投光部から投光された光が、受光部により検知された場合には、ウエハが配置されていないと判断される。
【0006】
ウエハ位置ずれ検出装置は、複数個の限定反射形センサを備えている。限定反射形センサは投光部と受光部を備えている。限定反射形センサは、投光部及び受光部から検出対象物であるウエハの外周面までの所定の距離及び幅だけを検出範囲とする。限定反射形センサは、この検出範囲において、投光部から投光されてウエハの外周面で反射した反射光を受光部によって受光するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されている基板処理装置では、マッピング装置及びウエハ位置ずれ装置のいずれも、ウエハ出し入れ口近傍に設けられている。このため、ポッドのウエハ出し入れ口から遠い側の保持溝(ポッドの奥側の保持溝)で、ウエハの位置ずれを検出することが困難となる場合があった。
【0009】
ウエハが大型化し且つ複数のウエハの間隔が小さい場合には、ポットの奥側の保持溝にウエハが位置しなくとも、ウエハの傾斜角度は僅かである。例えば、ウエハの直径が30cm以上であり、且つ複数のウエハの間隔が5~20mmである場合には、このウエハの傾斜角度は僅かである。このウエハ出し入れ口近傍に設けられているマッピング装置及びウエハ位置ずれ装置では、傾斜角度が僅かなウエハの位置ずれを検出することが困難となる場合がある。このマッピング装置及びウエハ位置ずれ装置は、未だ改善の余地がある。
【0010】
本発明は、基板の位置ずれをより正確に検出できる、基板搬送装置及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る基板搬送装置は、基板が載置された載置台から前記基板を保持して搬送する。この基板搬送装置は、前記基板を保持するハンドと、前記ハンドが取り付けられたマニピュレータと、前記ハンドに配置されており、前記載置台に載置された前記基板の主面までの距離を検知する第1基板検出器とを備える。
【0012】
好ましくは、前記第1基板検出器は、静電容量センサである。
【0013】
好ましくは、前記第1基板検出器は、前記ハンドの先端部に配置されている。
【0014】
好ましくは、この基板搬送装置は、前記ハンドに前後方向において前記第1基板検出器と異なる位置に配置されて前記基板の前記主面までの距離を検知する第2基板検出器を、更に備える。
【0015】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る他の基板搬送装置は、複数の基板が収納されている容器から前記基板を保持して搬送する、基板搬送装置であって、前記基板搬送装置は、前記基板を保持するハンドと、マニピュレータと、制御装置と、を備え、前記ハンドの先端部には、前記基板の主面に向けて、光を投光する第1投光部と、前記基板の主面で反射した光を受光する第1受光部と、を有する基板検出器が設けられていて、前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光したか否かにより、前記基板の位置ずれが生じているか否かを判定するように構成されている。
【0016】
これにより、基板を収納する容器の奥側で、基板の位置ずれが生じていても、その位置ずれを検出することができる。
【0017】
本発明に係る基盤搬送装置の運転方法では、この基盤搬送装置は、基板を保持するハンドと、前記ハンドが取り付けられたマニピュレータと、前記ハンドに配置されて前記基板の主面までの距離を検知する第1基板検出器とを備える。
この運転方法は、
(A)載置台に載置された前記基板を準備する工程、
(B)載置台に載置された前記基板の前記主面までの距離を検知する工程
及び
(C)前記基板を前記ハンドで保持する工程
を含む。
【0018】
好ましくは、この運転方法の前記工程(B)において、前記基板の前記主面までの距離を3箇所以上で検知する。この運転方法は、
(D)3箇所以上で検知した前記基板の前記主面までの距離に基づいて前記基板を前記ハンドで保持するか否かを判定する工程
を、更に含む。
【0019】
好ましくは、この運転方法の前記工程(B)において、前記基板の前記主面までの距離を3箇所以上で検知する。この運転方法は、
(E)3箇所以上で検知した前記基板の前記主面までの距離に基づいて前記基板を保持する位置を判定する工程
を、更に含む。
【0020】
好ましくは、この運転方法の前記工程(B)において、前記第1基板検出器から求められた距離が所定の下限値より小さいときに、前記基板の前記主面までの距離が所定の下限値以上離れる様に、前記ハンドの移動経路を変更させる。
【0021】
好ましくは、この運転方法では、前記第1基板検出器は静電容量センサである。この運転方法の前記工程(B)において、前記基板の静電容量が所定の範囲内か否かを判定する。
【0022】
また、本発明に係る他の基板搬送装置の運転方法は、複数の基板が収納されている容器から前記基板を保持して搬送する、基板搬送装置の運転方法であって、前記基板搬送装置は、前記基板を保持するハンドと、マニピュレータと、制御装置と、を備え、前記ハンドの先端部には、前記基板の主面に向けて、光を投光する第1投光部と、前記基板の主面で反射した光を受光する第1受光部と、を有する基板検出器が設けられていて、前記制御装置は、前記ハンドを前記容器内に進入させるように、マニピュレータを動作させているときに、前記基板検出器の前記第1投光部に前記基板の主面に向けて光を投光させ、前記基板検出器の前記第1受光部が、前記基板の主面で反射した光を受光したか否かにより、前記基板の位置ずれが生じているか否かを判定するように構成されている。
【0023】
これにより、基板を収納する容器の奥側で、基板の位置ずれが生じていても、その位置ずれを検出することができる。
【0024】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施形態の詳細な説明から明らかにされる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る基板搬送装置及びその運転方法によれば、従来の基板処理装置に比して、基板の位置ずれをより正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本実施の形態1に係る基板搬送装置及びそれを備えるロボットシステムの概略構成を模式的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すロボットシステムの概略構成を模式的に示す上面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すロボットシステムの要部を拡大した模式図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すロボットシステムの要部を拡大した模式図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態1に係る基板搬送装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施の形態1に係る基板搬送装置の動作の他の例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本実施の形態1における変形例1の基板搬送装置の要部の概略構成を示す模式図である。
【
図8】
図8は、本実施の形態1における変形例1の基板搬送装置の要部の概略構成を示す模式図である。
【
図9】
図9は、本実施の形態2に係る基板搬送装置、及びそれを備えるロボットシステムの概略構成を模式的に示す上面図である。
【
図10】
図10は、本実施の形態3に係る基板搬送装置及びそれを備えるロボットシステムの概略構成を模式的に示す側面図である。
【
図12】
図12(A)は
図12(B)の線分XIIA-XIIAに沿ったロボットシステムの容器の断面図であり、
図12(B)は
図12(A)の線分XIIB-XIIBに沿ったこの容器の断面図である。
【
図14】
図14(A)は
図10のロボットシステムの他の使用状態が示された説明図であり、
図14(B)は
図10のロボットシステムの更に他の使用状態が示された説明図であり、
図14(C)は
図10のロボットシステムの更に他の使用状態が示された説明図である。
【
図15】
図15(A)は
図10のロボットシステムの更に他の使用状態が示された説明図であり、
図15(B)は
図10のロボットシステムの更に他の使用状態が示された説明図であり、
図15(C)は
図10のロボットシステムの更に他の使用状態が示された説明図である。
【
図16】
図16(A)は
図10のロボットシステムの更に他の使用状態が示された説明図であり、
図16(B)は
図10のロボットシステムの更に他の使用状態が示された説明図であり、
図16(C)は
図10のロボットシステムの更に他の使用状態が示された説明図である。
【
図17】
図17(A)は本発明に係る他の実施形態の基板搬送装置のハンドの上面図であり、
図17(B)は
図17(A)の線分XVIIB-XVIIBに沿った断面図である。
【
図18】
図18は本実施の形態4に係る基板搬送装置のハンドが、基板と共に示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同様の構成には同じ符号を付して、その重複する説明を省略する。また、全ての図面において、本発明を説明するために必要となる構成を抜粋して図示しており、その他の構成については図示を省略している場合がある。更に、これらは、本発明の実施形態の一例であって、これらに限定されない。
【0028】
本実施の形態1に係る基板搬送装置は、複数の基板が収納されている容器から基板を保持して搬送する、基板搬送装置であって、基板搬送装置は、基板を保持するハンドと、マニピュレータと、制御装置と、を備え、ハンドの先端部には、基板の主面に向けて、光を投光する第1投光部と、基板の主面で反射した光を受光する第1受光部と、を有する基板検出器が設けられていて、制御装置は、ハンドを容器内に進入させるように、マニピュレータを動作させているときに、基板検出器の第1投光部に基板の主面に向けて光を投光させ、基板検出器の第1受光部が、基板の主面で反射した光を受光したか否かにより、基板の位置ずれが生じているか否かを判定するように構成されている。
【0029】
また、本実施の形態1に係る基板搬送装置では、基板検出器が、基板が正常に収納されている状態で、第1投光部が基板の主面に向けて光を投光すると、第1受光部が、基板の主面で反射した光を受光するように構成されていて、制御装置は、ハンドを容器内に進入させるように、マニピュレータを動作させているときに、基板検出器の第1投光部に基板の主面に向けて光を投光させ、基板検出器の第1受光部が、基板の主面で反射した光を受光しない場合には、基板の位置ずれが生じていると判定するように構成されていてもよい。
【0030】
また、本実施の形態1に係る基板搬送装置では、基板検出器が、基板が正常に収納されている状態で、第1投光部が基板の主面に向けて光を投光すると、第1受光部が、基板の主面で反射した光を受光するように構成されていて、制御装置は、ハンドを容器内に進入させるように、マニピュレータを動作させているときに、基板検出器の第1投光部に基板の主面に向けて光を投光させ、基板検出器の第1受光部が、基板の主面で反射した光を受光した場合には、基板の位置ずれが生じていないと判定するように構成されていてもよい。
【0031】
また、本実施の形態1に係る基板搬送装置では、基板検出器が、基板が正常に収納されている状態で、第1投光部が基板の主面に向けて光を投光すると、第1受光部が、基板の主面で反射した光を受光しないように構成されていて、制御装置は、ハンドを容器内に進入させるように、マニピュレータを動作させているときに、基板検出器の第1投光部に基板の主面に向けて光を投光させ、基板検出器の第1受光部が、基板の主面で反射した光を受光した場合には、基板の位置ずれが生じていると判定するように構成されていてもよい。
【0032】
また、本実施の形態1に係る基板搬送装置では、基板検出器が、基板が正常に収納されている状態で、第1投光部が基板の主面に向けて光を投光すると、第1受光部が、基板の主面で反射した光を受光するように構成されていて、制御装置は、ハンドを容器内に進入させるように、マニピュレータを動作させているときに、基板検出器の第1投光部に基板の主面に向けて光を投光させ、基板検出器の第1受光部が、基板の主面で反射した光を受光しない場合には、基板の位置ずれが生じていないと判定するように構成されていてもよい。
【0033】
また、本実施の形態1に係る基板搬送装置では、基板検出器は、基板の主面が、第1距離よりも小さい距離である第2距離に位置するときに、第1受光部が基板の主面で反射した光を受光するように構成されていて、制御装置は、ハンドを容器内に進入させるように、マニピュレータを動作させているときに、基板検出器の第1投光部に基板の主面に向けて光を投光させ、基板検出器の第1受光部が、基板の主面で反射した光を受光した場合には、基板の位置ずれが生じていると判定するように構成されていてもよい。
【0034】
また、本実施の形態1に係る基板搬送装置では、基板検出器は、基板の主面が、第1距離よりも小さい距離である第2距離に位置するときに、第1受光部が基板の主面で反射した光を受光するように構成されていて、制御装置は、ハンドを容器内に進入させるように、マニピュレータを動作させているときに、基板検出器の第1投光部に基板の主面に向けて光を投光させ、基板検出器の第1受光部が、基板の主面で反射した光を受光しない場合には、基板の位置ずれが生じていないと判定するように構成されていてもよい。
【0035】
また、本実施の形態1に係る基板搬送装置では、基板検出器が、第1投光部が上方に向けて光を投光するように構成されていてもよい。
【0036】
また、本実施の形態1に係る基板搬送装置では、制御装置が、基板の位置ずれが生じていると判定した場合には、マニピュレータの動作を停止するように構成されていてもよい。
【0037】
さらに、本実施の形態1に係る基板搬送装置では、制御装置が、基板の位置ずれが生じていると判定した場合には、ハンドが容器から退避するようにマニピュレータを動作させるように構成されていてもよい。
【0038】
以下、本実施の形態1に係る基板搬送装置の一例について、
図1~図?を参照しながら説明する。
【0039】
[基板搬送装置の構成]
図1は、本実施の形態1に係る基板搬送装置及びそれを備えるロボットシステムの概略構成を模式的に示す側面図である。
図2は、
図1に示すロボットシステムの概略構成を模式的に示す上面図である。
【0040】
なお、
図1においては、基板搬送装置における前後方向及び上下方向を図における前後方向及び上下方向として表している。また、
図2においては、基板搬送装置における前後方向を図における前後方向として表している。
【0041】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態1に係るロボットシステム100は、基板搬送装置101と、基板1が収納されている容器102を備えている。容器102としては、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)であってもよく、石英ボートであってもよい。
【0042】
また、基板1は、例えば、半導体基板及びガラス基板等の半導体デバイスの基板の材料となる円形の薄板であってもよい。半導体基板としては、例えば、シリコン基板、サファイヤ(単結晶アルミナ)基板、その他の各種の基板等であってもよい。ガラス基板としては、例えば、FPD(Flat Panel Display)用ガラス基板、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)用ガラス基板等であってもよい。
【0043】
基板搬送装置101は、ハンド20、マニピュレータ30、及び制御装置70を備えていて、容器102内に収納されている基板1をハンド20により保持して、搬送するように構成されている。
【0044】
なお、以下においては、マニピュレータ30として、水平多関節ロボットの構成について説明するが、マニピュレータ30は、水平多関節ロボットに限定されず、垂直多関節ロボットをベースにしたものであってもよい。
【0045】
マニピュレータ30は、筐体50、複数のアーム(ここでは、第1アーム32及び第2アーム34)、昇降部材40、第1接続部31、第2接続部33、及び第3接続部35を備えている。
【0046】
筐体50の上部には、昇降部材40が設けられている。また、筐体50の内部には、直動アクチュエータ41及び制御装置70が配置されている。なお、制御装置70は、筐体50の外部に設けられていてもよい。また、制御装置70については、後述する。
【0047】
直動アクチュエータ41は、昇降部材40を昇降可能(上下方向に移動可能)に構成されている。直動アクチュエータ41としては、例えば、電動モータ(サーボモータ)とボールネジ、リニアガイド、又はラックアンドピニオン等を用いてもよく、エアシリンダ等を用いてもよい。
【0048】
なお、筐体50の内部には、電動モータの回転位置を検出し、制御装置70に出力する回転センサ、及び駆動モータの回転を制御する電流を検出する電流センサ等が配置されていてもよい。
【0049】
昇降部材40には、第1接続部31を介して、昇降部材40の軸心を通る回転軸L1回りに回動可能に第1アーム32の基端部が接続されている。具体的には、昇降部材40には、例えば、第1アーム32を回転するための駆動モータ、及び駆動モータの回転位置を検出する回転センサ等が配置されている。なお、駆動モータ等は、第1アーム32に配置されていてもよい。
【0050】
第1アーム32の先端部には、第2接続部33を介して、回転軸L2回りに回転可能に第2アーム34の基端部が接続されている。具体的には、第1アーム32には、例えば、第2アーム34を回転するための駆動モータ、及び駆動モータの回転位置を検出する回転センサ等が配置されている。なお、駆動モータ等は、第2アーム34に配置されていてもよい。
【0051】
また、第2アーム34の先端部には、第3接続部35を介して、回転軸L3回りに回転可能にハンド20が接続されている。第2アーム34には、例えば、ハンド20を回転させるための駆動モータ、及び駆動モータの回転位置を検出する回転センサ等が配置されている。
【0052】
ハンド20は、本体部21及び爪部22を有している。本体部21は、上方から見て、略Y字状に形成されていて、一対の指部21A、21Bを有している。指部21A、21Bの先端部と基端部には、それぞれ、爪部22が設けられている。爪部22は、水平方向から見て、L字状に形成(鉛直方向の断面がL字状に形成)されていて、その底部に基板1が載置されるように構成されている。なお、ハンド20は、エッジグリップハンド又は吸着ハンドのように、ハンド20と基板1が相対変位しない構造としてもよい。
【0053】
また、本体部21における指部21A、21Bの先端部には、それぞれ、基板検出器60が配設されている。基板検出器60は、第1投光部61と第1受光部62を有していて、第1投光部61から投光された光が基板1の主面で反射し、反射した光を第1受光部62により受光し、受光の有無情報を制御装置70に出力するように構成されている。
【0054】
なお、本実施の形態1においては、第1投光部61は、上方に向けて(基板1の下面に向けて)光を投光するように構成されている。
【0055】
ここで、
図3及び
図4を参照しながら、基板検出器60による受光の有無について、より詳細に説明する。
【0056】
図3及び
図4は、
図1に示すロボットシステムの要部を拡大した模式図である。
図3においては、基板1が容器102に正常に収納されている場合に、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光するように構成されている基板検出器60を示している。
図4においては、基板1が容器102に正常に収納されている場合に、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光しないように構成されている基板検出器60を示している。
【0057】
なお、制御装置70は、作業者による教示、及び/又は制御装置70による自動教示により、基板1の下面から予め設定されている所定の第1距離h1下方に、本体部21の上面が位置するように、基板搬送装置101の動作が教示されているものとする。第1距離h1は、隣り合う基板1、1の間の距離よりも小さければよく、任意に設定することができる。
【0058】
図3に示すように、基板検出器60は、基板1が容器102内に正常に収納されている場合に、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光するように構成されている。換言すると、基板検出器60は、基板1の主面が第1距離h1に位置するときに、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光するように構成されている。
【0059】
そして、
図3の一点鎖線で示すように、基板1が容器102の奥側(基板搬送装置101の前方側)で位置ずれが生じていると、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光することができない。
【0060】
一方、
図4に示すように、基板検出器60は、基板1が容器102内に正常に収納されていない場合、すなわち、位置ずれが生じている場合に、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光するように構成されている。換言すると、基板検出器60は、基板1の主面が、第1距離h1よりも小さい第2距離h2に位置するときに、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光するように構成されている。
【0061】
そして、
図4の一点鎖線で示すように、基板検出器60は、基板1が容器102内に正常に収納されている場合に、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光することができない。
【0062】
このため、制御装置70は、基板検出器60の第1受光部62が、反射した光を受光したか否かにより、基板1の位置ずれが生じているか否かを判定することができる。
【0063】
なお、本実施の形態1においては、基板検出器60が、指部21A、21Bの両方に配設されている形態を採用したが、これに限定されず、指部21A、21Bのいずれか一方に配設されている形態を採用してもよい。
【0064】
また、指部21A、21Bのいずれか一方の指部に、基板1が正常に収納されている場合に、反射した光を受光することができる第1受光部62を有する基板検出器60が配設され、他方の指部に、基板1が正常に収納されている場合に、反射した光を受光することができない第1受光部62を有する基板検出器60が配設されている形態を採用してもよい。
【0065】
制御装置70は、マイクロプロセッサ、CPU等の演算器と、ROM、RAM等の記憶器と、を備えている(いずれも図示せず)。記憶器には、基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算器は、記憶器に記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、ロボットシステム100の各種動作を制御する。
【0066】
なお、制御装置70は、集中制御する単独の制御装置70によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置70によって構成されていてもよい。また、制御装置70は、マイクロコンピュータで構成されていてもよく、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等によって構成されていてもよい。
【0067】
[基板搬送装置の動作及びその作用効果]
次に、本実施の形態1に係る基板搬送装置101の動作及びその作用効果について、
図1~
図6を参照しながら説明する。
【0068】
図5は、本実施の形態1に係る基板搬送装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5においては、基板1が正常に収納されている場合に、反射した光を受光することができる第1受光部62を有する基板検出器60が配設されている場合のフローチャートを示す。
【0069】
まず、制御装置70に、オペレータから図示されない入力装置を介して、容器102内に配置されている基板1を把持して、搬送する作業を実行することを示す指示情報が入力されたとする。
【0070】
すると、
図5に示すように、制御装置70は、マニピュレータ30を動作させて、ハンド20が容器102の前方に位置するまで移動させる(ステップS101)。ついで、制御装置70は、ハンド20を容器102内に進入するように、マニピュレータ30を動作させる(ステップS102)。このとき、制御装置70は、基板検出器60から第1受光部62が基板1で反射した光を受光したことを示す情報である受光情報を取得したか否かを判定する(ステップS103)。
【0071】
制御装置70は、基板検出器60から受光情報を取得したと判定した場合(ステップS103でYes)には、基板1は、正常に収納されていると判定する(ステップS104)。ついで、制御装置70は、ハンド20に基板1を保持するように、マニピュレータ30を動作させる(ステップS105)。
【0072】
次に、制御装置70は、マニピュレータ30を動作させて、基板1を予め設定されている所定の場所に搬送し、当該基板1を所定の場所に載置させ(ステップS106)、本プログラムを終了する。
【0073】
一方、ステップS103において、制御装置70は、基板検出器60から受光情報を取得していないと判定した場合(ステップS103でNo)には、基板1は、正常に収納されていないと判定する(ステップS107)。ついで、制御装置70は、ハンド20の容器102内の侵入を停止させる(ステップS108)。具体的には、制御装置70は、マニピュレータ30の動作を停止させる。
【0074】
次に、制御装置70は、ハンド20が容器102外に移動するように、マニピュレータ30を動作させ(ステップS109)、本プログラムを終了する。なお、制御装置70は、基板1が正常に収納されていないことを図示されない報知器により、作業者等に報知してもよい。報知器としては、例えば、ディスプレイ等の表示装置、スピーカ、サイレン等を用いてもよい。
【0075】
図6は、本実施の形態1に係る基板搬送装置の動作の他の例を示すフローチャートである。
図6においては、基板1が正常に収納されている場合に、反射した光を受光することができない第1受光部62を有する基板検出器60が配設されている場合のフローチャートを示す。
【0076】
まず、制御装置70に、オペレータから図示されない入力装置を介して、容器102内に配置されている基板1を把持して、搬送する作業を実行することを示す指示情報が入力されたとする。
【0077】
すると、
図6に示すように、制御装置70は、マニピュレータ30を動作させて、ハンド20が容器102の前方に位置するまで移動させる(ステップS201)。ついで、制御装置70は、ハンド20を容器102内に進入するように、マニピュレータ30を動作させる(ステップS202)。このとき、制御装置70は、基板検出器60から第1受光部62が基板1で反射した光を受光したことを示す情報である受光情報を取得したか否かを判定する(ステップS203)。
【0078】
制御装置70は、基板検出器60から受光情報を取得したと判定した場合(ステップS203でYes)には、基板1は、正常に収納されていないと判定する(ステップS204)。ついで、制御装置70は、ハンド20の容器102内の侵入を停止させる(ステップS205)。具体的には、制御装置70は、マニピュレータ30の動作を停止させる。
【0079】
次に、制御装置70は、ハンド20が容器102外に移動するように、マニピュレータ30を動作させ(ステップS206)、本プログラムを終了する。なお、制御装置70は、基板1が正常に収納されていないことを図示されない報知器により、作業者等に報知してもよい。報知器としては、例えば、ディスプレイ等の表示装置、スピーカ、サイレン等を用いてもよい。
【0080】
一方、ステップS203において、制御装置70は、基板検出器60から受光情報を取得していないと判定した場合(ステップS203でNo)には、基板1は、正常に収納されていると判定する(ステップS207)。ついで、制御装置70は、ハンド20に基板1を保持するように、マニピュレータ30を動作させる(ステップS208)。
【0081】
次に、制御装置70は、マニピュレータ30を動作させて、基板1を予め設定されている所定の場所に搬送し、当該基板1を所定の場所に載置させ(ステップS209)、本プログラムを終了する。
【0082】
このように構成された、本実施の形態1に係る基板搬送装置101では、制御装置70が、ハンド20を容器102内に進入させるように、マニピュレータ30を動作させているときに、基板検出器60の第1投光部61に基板1の主面に向けて光を投光させ、基板検出器60の第1受光部62が、基板1の主面で反射した光を受光したか否かにより、基板1の位置ずれが生じているか否かを判定するように構成されている。
【0083】
これにより、容器102の奥側で基板1の位置ずれが生じているような場合であっても、その位置ずれを検出することができる。
【0084】
特に、基板1が大型化(例えば、直径30cm)し、また、隣接する基板1、1間の距離が小さい場合(例えば、基板1、1間の距離が6~20mm)には、基板1の位置ずれによる傾斜角度はわずかなものとなる。このため、容器102の手前側(基板搬送装置101に近い側)において、基板1の外周面(側面)は、正常に収納されている状態のときと、その位置はほとんど変わらないものとなる(
図3及び
図4参照)。
【0085】
したがって、上記特許文献1に開示されている基板処理装置のように、容器102の手前側の部分で基板1の位置検出を実行しても、その位置ずれを検出することが困難なものとなる。
【0086】
一方、上述したように、本実施の形態1に係る基板搬送装置101においては、制御装置70が、ハンド20を容器102内に進入させているときに、基板検出器60の第1受光部62が、基板1の主面で反射した光を受光したか否かにより、基板1の位置ずれが生じているか否かを判定している。
【0087】
このため、上記特許文献1に開示されている基板処理装置に比して、容器102の奥側で基板1の位置ずれが生じているような場合であっても、その位置ずれを検出することができる。
【0088】
[変形例1]
次に、本実施の形態1に係る基板搬送装置101の変形例について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。
【0089】
本実施の形態1における変形例1の基板搬送装置では、基板検出器の第1投光部が、下方に向けて光を投光するように構成されている。
【0090】
図7及び
図8は、本実施の形態1における変形例1の基板搬送装置の要部の概略構成を示す模式図である。
図7においては、基板1が容器102に正常に収納されている場合に、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光するように構成されている基板検出器60を示している。
図8においては、基板1が容器102に正常に収納されている場合に、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光しないように構成されている基板検出器60を示している。
【0091】
なお、制御装置70は、実施の形態1と同様に、作業者による教示、及び/又は制御装置70による自動教示により、基板1の下面から予め設定されている所定の第1距離h1下方に、本体部21の上面が位置するように、基板搬送装置101の動作が教示されているものとする。また、本体部21の上面が、基板1の下面から第1距離h1下方に位置するときに、本体部21の下面と、当該本体部21の下方に位置する基板1の上面と、の間の距離を、第3距離h3と定義する。
【0092】
図7及び
図8に示すように、本変形例1の基板搬送装置101は、実施の形態1に係る基板搬送装置101と基本的構成は同じであるが、基板検出器60の第1投光部61が、下方に向けて(基板1の上面に向けて)光を投光するように構成されている点が異なる。
【0093】
図7においては、基板検出器60は、基板1が容器102内に正常に収納されている場合に、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光するように構成されている。基板検出器60は、基板1の主面が第3距離h3に位置するときに、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光するように構成されている。
【0094】
そして、
図7の一点鎖線で示すように、基板1が容器102の奥側(基板搬送装置101の前方側)で位置ずれが生じていると、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光することができない。
【0095】
一方、
図8に示すように、基板検出器60は、基板1が容器102内に正常に収納されていない場合、すなわち、位置ずれが生じている場合に、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光するように構成されている。換言すると、基板検出器60は、基板1の主面が、第3距離h3よりも小さい第4距離h4に位置するときに、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光するように構成されている。
【0096】
そして、
図8の一点鎖線で示すように、基板検出器60は、基板1が容器102内に正常に収納されている場合に、第1受光部62が基板1の主面で反射した光を受光することができない。
【0097】
このように構成された、本変形例1の基板搬送装置101であっても、実施の形態1に係る基板搬送装置101と同様の作用効果を奏する。
【0098】
(実施の形態2)
本実施の形態2に係る基板搬送装置は、実施の形態1に係る基板搬送装置において、水平方向に光を投光する第2投光部と、第2投光部から投光された光を受光する第2受光部と、を有する、マッピング装置がハンドの先端部に設けられていて、制御装置は、第2受光部が第2投光部から投光された光を検知しなかった位置情報を基板の位置情報として、マッピング装置から取得し、マッピング装置から取得した基板の位置情報を基に、ハンドが、基板の下面から予め設定されている第1距離下方に位置するように、マニピュレータを動作させるように構成されている。
【0099】
また、本実施の形態2に係る基板搬送装置では、基板検出器は、基板の主面が、第1距離よりも小さい距離である第2距離に位置するときに、第1受光部が基板の主面で反射した光を受光するように構成されていて、制御装置は、ハンドを容器内に進入させるように、マニピュレータを動作させているときに、基板検出器の第1投光部に基板の主面に向けて光を投光させ、基板検出器の第1受光部が、基板の主面で反射した光を受光した場合には、基板の位置ずれが生じていると判定するように構成されていてもよい。
【0100】
さらに、本実施の形態2に係る基板搬送装置では、基板検出器は、基板の主面が、第1距離よりも小さい距離である第2距離に位置するときに、第1受光部が基板の主面で反射した光を受光するように構成されていて、制御装置は、ハンドを容器内に進入させるように、マニピュレータを動作させているときに、基板検出器の第1投光部に基板の主面に向けて光を投光させ、基板検出器の第1受光部が、基板の主面で反射した光を受光しない場合には、基板の位置ずれが生じていないと判定するように構成されていてもよい。
【0101】
以下、本実施の形態2に係る基板搬送装置の一例について、
図9を参照しながら説明する。
【0102】
[基板搬送装置の構成]
図9は、本実施の形態2に係る基板搬送装置、及びそれを備えるロボットシステムの概略構成を模式的に示す上面図である。なお、
図9においては、基板搬送装置における前後方向を図における前後方向として表している。
【0103】
図9に示すように、本実施の形態2に係る基板搬送装置101は、実施の形態1に係る基板搬送装置101と基本的構成は同じであるが、本体部21の先端部に、マッピング装置80が設けられている点が異なる。
【0104】
マッピング装置80は、水平方向に光を投光する第2投光部81と、第2投光部81から投光された光を受光する第2受光部82と、を有する。第2投光部81は、本体部21の指部21Aに配置されていて、第2受光部82は、本体部21の指部21Bに配置されている。換言すると、第2投光部81と第2受光部82は、対向するように配置されている。
【0105】
また、マッピング装置80は、第2受光部82が第2投光部81から投光された光を検知しなかった位置情報を基板1の位置情報として、制御装置70に出力するように構成されている。これにより、制御装置70は、基板1の位置情報をより正確に取得することができる。
【0106】
制御装置70は、マッピング装置80から取得した基板1の位置情報を基に、ハンド20が、基板1の下面から第1距離h1下方に位置するように、マニピュレータ30を動作させるように構成されている。これにより、制御装置70は、実施の形態1に係る基板搬送装置101に比して、より正確に、ハンド20を基板1の下面から第1距離h1下方に位置させることができる。
【0107】
なお、本実施の形態2に係る基板搬送装置101の動作は、実施の形態1に係る基板搬送装置101の動作と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
【0108】
このように構成された、本実施の形態2に係る基板搬送装置101であっても、実施の形態1に係る基板搬送装置101と同様の作用効果を奏する。
【0109】
(実施の形態3)
図10及び
図11に示すように、ロボットシステム200は、基板搬送装置201と、載置台としての容器112とを備えている。このロボットシステム200では、この容器112に基板1が収納されることで、載置台に基板1が載置されている。容器112としては、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)であってもよく、石英ボートであってもよい。
【0110】
図10の左右方向及び上下方向が、基板搬送装置201の前後方向及び上下方向を表している。また、
図11の左右方向が、基板搬送装置201の前後方向を表している。
図11の上下方向下向きが、基板搬送装置201の左右方向左向きを表している。
【0111】
基板1は、例えば、半導体基板及びガラス基板等の半導体デバイスの基板である。この基板1は、例えば、円形の薄板である。この基板1は、一対の円形の主面1A、1Bと、主面1Aと主面1Bとの間の外周面1Cとを備えている。この基板1は、薄板状であればよく、例えば多角形の薄板であってもよい。半導体基板としては、シリコン基板、サファイヤ(単結晶アルミナ)基板、その他の各種の基板等が例示される。ガラス基板としては、FPD(Flat Panel Display)用ガラス基板、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)用ガラス基板等が例示される。
【0112】
基板搬送装置201は、ハンド120、マニピュレータ30及び制御装置70を備える。基板搬送装置201は、容器112内に収納されている基板1をハンド120で保持する。ハンド120は、マニピュレータ30に取り付けられている。このマニピュレータ30でハンド120を移動させることで、基板1が搬送される。
図10では、ハンド120に、基板1が保持されている。
【0113】
なお、以下においては、マニピュレータ30として、水平多関節ロボットの構成について説明する。しかしながら、本発明に係るマニピュレータ30は、水平多関節ロボットに限定されない。このマニピュレータ30は、垂直多関節ロボットをベースにしたものでもよい。
【0114】
マニピュレータ30は、複数のアーム(ここでは、第1アーム32及び第2アーム34)、第1接続部31、第2接続部33、第3接続部35、昇降部材40及び筐体50を備えている。
【0115】
筐体50の上部には、昇降部材40が設けられている。昇降部材40は筐体50に対して上下方向に移動可能である。また、筐体50の内部には、直動アクチュエータ41及び制御装置70が配置されている。なお、制御装置70は、筐体50の外部に設けられていてもよい。
【0116】
直動アクチュエータ41は、昇降部材40を昇降可能(上下方向に移動可能)である。直動アクチュエータ41としては、例えば、駆動モータ(サーボモータ)とボールネジ、リニアガイド、又はラックアンドピニオン等を用いてもよく、エアシリンダ等を用いてもよい。
【0117】
なお、筐体50の内部には、この駆動モータの回転位置を検出し、制御装置70に出力する回転センサ、及び駆動モータの回転を制御する電流を検出する電流センサ等が配置されていてもよい。
【0118】
昇降部材40には、第1接続部31を介して、第1アーム32の基端部が接続されている。第1アーム32は、回転軸L1回りに回動可能である。回転軸L1は、昇降部材40の軸心を通って上下方向に延びている。昇降部材40には、例えば、第1アーム32を回転するための駆動モータ、及び駆動モータの回転位置を検出する回転センサ等が配置されている。なお、駆動モータ等は、第1アーム32に配置されていてもよい。
【0119】
第1アーム32の先端部には、第2接続部33を介して、第2アーム34の基端部が接続されている。第2アーム34は、回転軸L2回りに回転可能である。回転軸L2は、上下方向に延びている。第1アーム32には、例えば、第2アーム34を回転するための駆動モータ、及び駆動モータの回転位置を検出する回転センサ等が配置されている。なお、駆動モータ等は、第2アーム34に配置されていてもよい。
【0120】
第2アーム34の先端部には、第3接続部35を介して、ハンド120が接続されている。ハンド120は、回転軸L3回りに回転可能である。回転軸L3は、上下方向に延びている。第2アーム34には、例えば、ハンド120を回転させるための駆動モータ、及び駆動モータの回転位置を検出する回転センサ等が配置されている。なお、駆動モータ等は、ハンド120に配置されていてもよい。
【0121】
図11に示され様に、ハンド120は、本体部121及び複数の爪部22を有している。本体部121は、
図11の様に上方から見て略Y字状に形成され、一対の指部121A、121Bを有している。本体部121の先端部(指部121A、121Bの先端部)と基端部とには、それぞれ、爪部22が設けられている。爪部22は、水平方向から見て、L字状に形成(鉛直方向の断面がL字状に形成)されている。爪部22は、その底部に基板1が載置されるように構成されている。この底部に基板1の主面1Aが載置される。なお、ハンド120は、エッジグリップハンド又は吸着ハンドのように、ハンド120と基板1が相対変位しない構造としてもよい。
【0122】
指部121A、121Bの先端部には、それぞれ、第1基板検出器としての基板検出器160Aが配置されている。それぞれの基板検出器160Aは、前後方向において、互いに同じ位置に配置されている。この基板検出器160Aは、対向する基板1の主面1Aまでの距離を検知する。この基板搬送装置201では、例えば、基板検出器160Aとして、静電容量センサが用いられる。この基板検出器160Aでは、ハンド120に対向する基板1の主面1Aとの間で発生する静電容量を検知する。この基板検出器160Aは、発生する静電容量の変化によって主面1Aまでの距離の変化を検知できる。なお、ここでは、基板検出器160Aは、本体部121の先端部に配置されているが、本体部121の中間部又は基端部に配置されてもよい。基板検出器160Aは、基板1の主面1Aに対向できる位置に配置されればよい。
【0123】
制御装置70は、図示されないが、マイクロプロセッサ、CPU等の演算器と、ROM、RAM等の記憶器と、を備えている。記憶器には、基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算器は、記憶器に記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、ロボットシステム200の各種動作を制御する。
【0124】
制御装置70は、集中制御する単独の制御装置70によって構成されてもよい。また、制御装置70は、互いに協働して分散制御する複数の制御部によって構成されてもよい。また、制御装置70は、マイクロコンピュータで構成されてもよく、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等によって構成されてもよい。
【0125】
図12(A)及び
図12(B)には、容器112が、基板1と共に示されている。容器112は、箱状のシェル113を備えている。シェル113には、開口114と、上下方向に並ぶ複数の溝115とが形成されている。それぞれの溝115は、水平方向に延びている。溝115は、シェル113の内壁に沿って延びている。溝115は、基板1の主面1Aの縁を支持可能である。
【0126】
図12(A)及び
図12(B)では、溝115は、基板1の主面1Aを支持している。この溝115によって、複数の基板1は、主面1Aを水平方向に平行にして、保持されている。
図12(B)に示される様に、複数の基板1は、上下方向に並べられる。
図12(B)に示される両矢印Dpは、溝115の間隔を表している。この容器112では、複数の基板1が上下方向に一定の間隔Dpで並べられている。この間隔Dpは、特に限定されないが、例えば5mm以上20mm以下である。
【0127】
図13には、基板1とハンド120とが示されている。図示されないが、この基板1は、容器112の溝115に保持されている。この基板1は、主面1Aを水平方向に平行にして保持されている。基板検出器160Aは、上下方向上向きに検出する。基板検出器160Aは、主面1Aに対向している。基板検出器160Aは、図示されない静電容量測定部に、電気的に接続されている。この静電容量測定部は、制御装置70に電気的に接続されている。この基板検出器160Aは、静電容量測定部に、電気伝導体161で接続されている。この電気伝導体161は、ハンド120の本体部121の下面121Cに沿って延びている。
【0128】
図13の両矢印haは、上下方向における基板検出器160Aと主面1Aとの距離を表している。基板検出器160Aが検知する静電容量は、この距離haが変化することによって変化する。基板検出器160Aは、検知した静電容量を静電容量測定部に出力する様に構成されている。静電容量測定部は、入力された静電容量の大きさによって変化する電圧信号を、制御装置70に出力する様に構成されている。
【0129】
図14(A)から
図14(C)には、容器112に収容された基板1が示されている。この基板1の主面1Aは、水平方向に平行に延びている。この基板1は、ハンド21の上方に位置して、ハンド21に最も近いものである。
図14(A)には、容器112に、開口114からハンド21の先端部が挿入された状態が示されている。
図14(A)では、基板検出器160Aが基板1の主面1Aに対向している。
図14(B)では、ハンド21が容器112の奥に挿入された状態が示されている。
図14(C)では、ハンド21が容器112の更に奥に挿入された状態が示されている。
【0130】
図14(A)から
図14(C)では、基板検出器160Aが基板1の主面1Aに対向している。
図14(A)の両矢印ha1は、上下方向において、基板検出器160Aと基板1の主面1Aとの距離を表している。
図14(A)から
図14(C)まで、ハンド120は、水平方向に移動している。
図14(B)及び
図14(C)でも、基板検出器160Aと基板1の主面1Aとの距離は、
図14(A)の距離ha1と同じである。
【0131】
図15(A)から
図15(C)には、容器112に収容された、他の基板1が示されている。この基板1の主面1Aは、開口114から奥に向かって下向きに傾斜して延びている。
図15(A)から
図15(C)では、その他の構成は、
図14(A)から
図14(B)のそれと同様である。
図15(A)の両矢印ha2は、上下方向において、基板検出器160Aと基板1の主面1Aとの距離を表している。
図15(B)の両矢印ha3は、上下方向において、基板検出器160Aと基板1の主面1Aとの距離を表している。
図15(C)の両矢印ha4は、上下方向において、基板検出器160Aと基板1の主面1Aとの距離を表している。この距離ha2は距離ha3より大きく、距離ha3は距離ha4より大きい。
【0132】
図16(A)から
図16(C)には、容器112に収容された、更に他の基板1が示されている。この基板1は、反っている。この基板1の主面1Aは、下向きに凸な円弧状に湾曲している。
図16(A)から
図16(C)では、その他の構成は、
図14(A)から
図14(C)のそれと同様である。
図16(A)の両矢印ha5は、上下方向において、基板検出器160Aと基板1の主面1Aとの距離を表している。
図16(B)の両矢印ha6は、上下方向において、基板検出器160Aと基板1の主面1Aとの距離を表している。
図16(C)の両矢印ha7は、上下方向において、基板検出器160Aと基板1の主面1Aとの距離を表している。この距離ha5は距離ha6より大きく、距離ha7は距離ha5より小さく距離ha6より大きい。
【0133】
ここで、本発明に係る基板搬送装置201の運転方法が説明される。
【0134】
図12(A)及び
図12(B)に示される様に、基板1が収容された容器112が準備される(STEP1)。
【0135】
基板検出器160Aによって、基板1の主面1Aまでの距離haが検知される(STEP2)。このSTEP2では、ハンド120が容器112の開口114からシェル113の内部に挿入される。
図14(A)に示される様に、基板検出器160Aが基板1の主面1Aに対向する。基板検出器160Aは、主面1Aまでの距離ha1を静電容量として検知する。
【0136】
STEP2では、
図14(A)の状態から
図14(B)の状態を経て
図14(C)の状態まで、ハンド120が移動する。
図14(A)から
図14(C)の状態まで、このハンド120が移動する間、基板検出器160Aは距離ha1を静電容量として検知する。検知された静電容量は電圧信号に変換されて制御装置70に出力される。制御装置70は、この電圧信号から距離ha1を求める。
【0137】
制御装置70は、この基板1をハンド120で保持するか否かを判定する(STEP3)。このSTEP3では、距離ha1は、予め定められた所定の距離の範囲以内である。制御装置70は、この基板1をハンド120で保持することを決定する。
【0138】
制御装置70は、ハンド120で基板1を保持させる(STEP4)。ハンド120の爪部22で基板1が保持される。このとき、爪部22に主面1Aの縁部が当接する。
【0139】
ハンド120で保持された基板1は、マニピュレータ30によって、次工程に搬送される(STEP5)。
【0140】
次に、
図15(A)から
図15(C)の状態の基板1を用いて、この運転方法が説明される。この運転方法のSTEP2では、
図15(A)の状態から
図15(C)の状態まで、このハンド120が移動する間、基板検出器160Aは距離haを静電容量として検知する。距離ha2から距離ha4に向かって、発生する静電容量が増大する。検知された静電容量は電圧信号に変換されて制御装置70に出力される。制御装置70は、この電圧信号から距離ha2、距離ha3及び距離ha4を求める。
【0141】
STEP3では、この距離ha4は小さいく、所定の距離の範囲を満たさない。制御装置70は、この基板1をハンド120で保持しないことを決定する。ハンド120は、所定の待機位置に戻される。制御装置70は、図示されない報知器により、作業者等に報知する。報知器としては、例えば、ディスプレイ等の表示装置、スピーカ、サイレン等を用いてもよい。
【0142】
更に、
図16(A)から
図16(C)の状態の基板1を用いて、この運転方法が説明される。この運転方法のSTEP2では、
図16(A)の状態から
図16(C)の状態まで、このハンド120が移動する間、基板検出器160Aは距離haを静電容量として検知する。距離ha5から距離ha6に向かって発生する静電容量が増大する。距離ha6から距離ha7に向かう途中で静電容量が最大値に達する。その後距離ha7に向かって静電容量は減少する。検知された静電容量は電圧信号に変換されて制御装置70に出力される。制御装置70は、この電圧信号から距離ha5、距離ha6及び距離ha7を求める。
【0143】
STEP3では、この距離ha6は小さいく、所定の距離の範囲を満たさない。制御装置70は、この基板1をハンド120で保持しないことを決定する。ハンド120は、所定の待機位置に戻される。制御装置70は、図示されない報知器により、作業者等に報知する。報知器としては、例えば、ディスプレイ等の表示装置、スピーカ、サイレン等を用いてもよい。
【0144】
この基板搬送装置201は、基板1の主面1Aまでの距離haを検知する基板検出器160Aを備える。主面1Aまでの距離haが所定の範囲に有るか否かを検出する検出器に比べて、基板検出器160Aは主面1Aまでの距離haを正確に検出できる。
【0145】
基板搬送装置201の運転方法のSTEP2では、基板搬送装置201は、ハンド120を移動させつつ、距離haの変化を求めることができる。基板搬送装置201は、距離haが所定の下限値未満になったときに、ハンド12の移動を停止させることができる。この基板搬送装置201は、ハンド120と基板1との干渉を未然に回避できる。また、この距離haが所定の下限値以下になったときに、図示されない報知器で作業者等に報知することができる。この基板搬送装置201は、ハンド120に干渉した基板1を容易に確認できる。
【0146】
この基板検出器160Aは、ハンド120に配置される。ハンド120は、基板1の間の小さな間隔Dpに挿入される。従って、この基板検出器160Aは、小型で軽量であることが好ましい。この基板検出器160は、薄いことが好ましい。また、この基板検出器160は、ハンド120の表面形状に合わせた所望の形状に成形可能であることが好ましい。これらの観点からも、静電容量センサは、基板検出器160Aとして、適している。
【0147】
この運転方法のSTEP2では、基板検出器160Aから求められた距離haが所定の下限値より小さいときに、距離haが所定の下限値以上離れる様に、このハンド120の移動経路が変更されてもよい。これにより、ハンド120と基板1との干渉を未然に防止できる。
【0148】
この運転方法のSTEP2では、基板検出器160Aはハンド120の先端部に配置されている。容器112にハンド120の全体が挿入されるのに先立って、基板検出器160Aは距離haを検知できる。これにより、ハンド120と基板1との干渉を抑制しうる。この観点から、好ましくは、基板検出器160Aはハンド120の先端部に配置される。ここでいう先端部とは、前後方向において最もハンド120の本体部121の前端から本体部121の後端までの範囲を三等分したときに、最も前方の範囲部分を表している。
【0149】
この運転方法のSTEP2では、基板検出器160Aが検出する静電容量が、予め定められた所定の範囲内か否かを判定することが好ましい。これにより、基板1の帯電異常を検知することができる。この基板搬送装置201は、基板1の帯電異常による、基板検出器160Aの誤検出を抑制できる。
【0150】
この基板搬送装置201では、
図15(A)から
図15(C)に示される様に、前後方向において、距離haを測定している。これにより、基板1の主面1Aの前後方向の傾斜を測定できる。この傾斜を測定する観点から、基板検出器160Aは、前後方向において、距離haを2点以上の複数の箇所で測定することが好ましく、更に3点以上の複数の箇所で測定することが好ましい。特に、基板検出器160Aは、前後方向に連続する線状に、距離haを測定することが好ましい。
【0151】
この基板搬送装置201の運転方法のSTEP2では、主面1Aの前後方向の傾斜が、所定の範囲以内か否か判定されてもよい。これにより、基板1の姿勢の異常を検出できる。
【0152】
この基板搬送装置201では、
図16(A)から
図16(C)に示される様に、前後方向において、距離haを測定している。これにより、基板1の前後方向の反りを測定できる。この反りを測定する観点から、基板検出器160Aは、前後方向において、距離haを3点以上の複数の箇所で測定することが好ましく、更に4点以上の複数の箇所で測定することが好ましい。特に、基板検出器160Aは、前後方向に連続する線状に、距離haを測定することが好ましい。
【0153】
この基板搬送装置201の運転方法のSTEP2では、主面1Aの前後方向の反りが、所定の範囲以内か否か判定されてもよい。これにより、基板1の姿勢の異常や基板1の形状の異常を検出できる。
【0154】
この運転方法のSTEP2において、基板1の傾斜や反りを測定することで、基板1とハンド120との干渉を抑制しうる。基板1をハンド120で安定した姿勢で保持しうる。これらの観点から、この運転方法のSTEP2において、制御装置70は、基板1の傾斜や反りを判定することが好ましい。
【0155】
この基板検出器160Aは、距離haの変化を検知できればよい。この基板検出器160Aは、静電容量センサに限定されない。この基板検出器160Aは、ハンド120に下向きに検出する様に配置されてもよい。この基板検出器160Aで、基板1の主面1Aに代えて上向きの主面1Bまでの距離を検出してもよい。この基板検出器160Aを用いて、基板1の有無が検知されてもよい。また、この基板検出器160Aは、ハンド120が保持した基板1の主面1Aまでの距離haを検出してもよい。これにより、基板1の搬送の安定性の向上に寄与できる。
【0156】
この基板検出器160Aを備えることで、基板搬送装置201は、ハンド120で基板1を保持する前に、基板1の姿勢の異常や基板1の形状の異常を、従来より正確に検出できる。この基板検出器160Aを備えることで、基板搬送装置201は、基板1に向かって移動するハンド120と基板1との干渉を未然に回避できる。これにより、基板搬送装置201は、基板1のマッピング動作を省略でき、又は簡略化できる。
【0157】
この基板検出器160Aは本体部121に配置されたが、本体部121の全部又はその一部が基板検出器160を構成してもよい。例えば、アルミニウム合金からなる本体部121の一部又は全部が基板検出器160にされてもよい。
【0158】
図17(A)及び
図17(B)には、本発明に係る他の基板搬送装置211のハンド212が示されている。この基板搬送装置211は、ハンド120に代えてハンド212を備える他は、基板搬送装置201と同様の構成を備えている。ここでは、基板搬送装置201と異なる構成について、主に説明がされる。基板搬送装置201と同様の構成について、その説明が省略される。また、基板搬送装置201と同様の構成について、同様の符号を付して説明がされる。
【0159】
ハンド212は、本体部213及び複数の爪部22を有している。
図17に示され様に、本体部213は、上方から見て、略Y字状に形成され、一対の指部213A、213Bを有している。本体部213の先端部(指部213A、213Bの先端部)と基端部とには、それぞれ、爪部22が設けられている。
【0160】
基板搬送装置211は、基板検出器160Aの他に、第2基板検出器としての基板検出器160Fを備えている。この基板搬送装置211は、更に、複数の基板検出器160Bから160Eを備えている。これらの複数の基板検出器160Aから160Fが、本体部213に配置されている。基板検出器160Aから基板検出器160Fは、それぞれ前後方向に異なる位置に配置されている。指部213A、213Bには、それぞれ、前後方向に基板検出器160Aから基板検出器160Eが並べられている。指部213A、213Bには、前後方向において同じ位置に、基板検出器160Aから基板検出器160Eが配置されている。更に、左右方向においても、一対の基板検出器160Aの間に、基板検出器160Fが配置されている。ここでは、基板検出器160Fを第2基板検出器としている。しかしながら、この基板検出器160Fに代えて、基板検出器160Bから基板検出器160Eのいずれかが第2基板検出器とされてもよい。
【0161】
基板搬送装置211では、基板検出器160Aから基板検出器160Fで距離haを同時に検出できる。これにより、基板1の主面1Aの形状をより正確に把握できる。基板搬送装置211では、面としての傾斜や反りを容易に把握できる。この観点から、基板検出器160は、3箇所以上で検知することが好ましい。基板検出器160は、前後方向に異なる2以上の複数箇所に配置されることが好ましい。同様に、基板検出器160は、左右方向に異なる3以上の複数箇所に配置されることが好ましい。
【0162】
(実施の形態4)
図18には、本発明に係る更に他の基板搬送装置221のハンド222が示されている。この基板搬送装置221は、ハンド120に代えてハンド222を備える他は、基板搬送装置201と同様の構成を備えている。ここでは、基板搬送装置201と異なる構成について、主に説明がされる。基板搬送装置201と同様の構成について、その説明が省略される。また、基板搬送装置201と同様の構成について、同様の符号を付して説明がされる。
【0163】
ハンド222は、本体部223及び吸着パッド224を有している。ハンド222は、吸着ハンドの一種である。図示されないが、本体部223は、本体部121と同様に、上方から見て、略Y字状に形成され、一対の指部223A、223Bを有している。このハンド222には、ハンド120の爪部22に対応する様に、4つの吸着パッド224が設けられている。この吸着パッド224としては、真空式吸着パッドやベルヌーイ式吸着パッドが例示される。
【0164】
この吸着パッド224では、その吸着面の全域と基板1の主面1Aとの距離が均一化されることで、高い吸着力が発揮される。高い吸着力は、基板1の位置決め精度及び搬送の安定性の向上に寄与する。
【0165】
この基板搬送装置221は、基板検出器160Aが基板1の主面1Aまでの距離haを検知する。複数箇所の距離haを検知することで、主面1Aの傾斜や反りを求めることができる。この傾斜や反りから、吸着パッド224が高い吸着力を発揮できる位置にハンド222を位置させて、基板1を吸着パッド224で吸着できる。また、吸着パッド224で基板1を吸着した状態で基板1の主面1Aまでの距離haを検出することで、基板1を所定の位置及び姿勢で吸着していることを確認できる。これにより、基板1を安定的に搬送できる。
【0166】
基板搬送装置211でも、複数の基板検出器160で基板1を検出することで、主面1Aの傾斜や反りをより正確に把握できる。また、ハンド222が保持した基板1の位置を正確に把握できる。これらの観点から、このハンド222では、ハンド212と同様に、複数の基板検出器160が配置されることが好ましい。
【0167】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良又は他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の形態を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明の基板搬送装置及びその運転方法は、従来の基板処理装置に比して、基板の位置ずれをより正確に検出することができるため、有用である。
【符号の説明】
【0169】
1・・・基板
1A・・・主面
20、120、212、222・・・ハンド
21・・・本体部
21A・・・指部
21B・・・指部
22・・・爪部
30・・・マニピュレータ
31・・・第1接続部
32・・・第1アーム
33・・・第2接続部
34・・・第2アーム
35・・・第3接続部
40・・・昇降部材
41・・・直動アクチュエータ
50・・・筐体
60、160(160Aから160F)・・・基板検出器
61・・・第1投光部
62・・・第1受光部
70・・・制御装置
80・・・マッピング装置
81・・・第2投光部
82・・・第2受光部
100、200・・・ロボットシステム
101、201、211、221・・・・・・基板搬送装置
102、112・・・容器