(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】固体撮像素子及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240207BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240207BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240207BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240207BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240207BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20240207BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20240207BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H04N23/55
H04N23/50
G03B30/00
G02B7/02 A
G02B7/02 D
G02B7/02 Z
G03B11/00
G02B7/04 E
G02B5/00 B
(21)【出願番号】P 2022076044
(22)【出願日】2022-05-02
【審査請求日】2022-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 淳史
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-097659(JP,A)
【文献】特開2011-049275(JP,A)
【文献】特開2009-145597(JP,A)
【文献】特開2011-049274(JP,A)
【文献】国際公開第2013/081156(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/039733(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/163192(WO,A1)
【文献】特開2017-032796(JP,A)
【文献】特開2019-067868(JP,A)
【文献】国際公開第2020/246293(WO,A1)
【文献】特開2018-200980(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0300316(US,A1)
【文献】特開2017-003703(JP,A)
【文献】特開2006-287640(JP,A)
【文献】特開2011-248319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 23/55
H04N 23/50
G03B 30/00
G02B 7/02
G03B 11/00
G02B 7/04
G02B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子であって、
イメージセンサと、レンズ群と、イメージセンサとレンズ群の間に設置される補正レンズユニットを含み、前記補正レンズユニットは、前記レンズ群から前記イメージセンサに入射した光線の主な光線の入射角を補正して、イメージセンサまでの光学全長を短縮させ
、
前記補正レンズユニットは、自由曲面形状な補正レンズを含み、
前記イメージセンサが、フレームを固定するPCBに設置され、
前記補正レンズユニットが前記フレームに設置され、かつ前記イメージセンサから所定距離離れ、
前記PCBに、PCBの外面から内に凹んだ凹陥部を含み、前記イメージセンサが前記凹陥部に固定的に配置され、ワイヤーボンディングを介してPCBとの接続回路を形成し、
前記フレームにおけるボンディンワイヤーに対応する位置に、接着剤が充填される接着剤溜まりが形成され、
前記フレームを前記PCBに取り付ける時、前記接着剤溜まりにおける接着剤が、前記イメージセンサと、前記PCBと、前記フレームとの隙間まで広がって、前記フレーム、ボンディンワイヤー、イメージセンサをPCBに固定接続させることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項2】
請求項
1に記載される固体撮像素子であって、
前記補正レンズ
ユニットは、イメージセンサ側に向く下の面と、レンズ群に向く上の面と、それぞれ前記上の面と下の面と接続する四つの側面とを含み、
ここで、前記下の面と前記側面とのなす角が、90度より大きくなることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項3】
請求項
2に記載される固体撮像素子であって、
前記フレームは、前記補正レンズユニットの四つ側面にそれぞれ対応し、且つお互いに貼り合う四つの接合面があることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項4】
請求項
3に記載される固体撮像素子であって、
前記フレームの接合面が、UV 硬化接着剤及び/または熱硬化接着剤で前記補正レンズユニットの側面に接着することを特徴とする固体撮像素子。
【請求項5】
請求項1に記載される固体撮像素子であって、
前記補正レンズユニットは、
さらに、
赤外線カット機能を有するガラス基板
を含み、
前記補正レンズは、前記ガラス基板に形成される
ことを特徴とする固体撮像素子。
【請求項6】
請求項
5に記載される固体撮像素子であって、
前記補正レンズユニットが、赤外線反射層と、赤外線吸収層と、反射防止層との少なくとも一つを含むことを特徴とする固体撮像素子。
【請求項7】
請求項
6に記載される固体撮像素子であって、
前記補正レンズユニットにおける隣接層の間に黒色遮光マスクが形成されることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項8】
請求項
5に記載される固体撮像素子であって、
前記ガラス基板と補正レンズの屈折率が同じであるか、もしくは、前記補正レンズが、前記ガラス基板に形成される超微小な突起であることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項9】
請求項
1に記載される固体撮像素子であって、
前記補正レンズユニットの厚みは、前記フレームより厚い、
前記フレームの、前記補正レンズユニットの側面に対応する接着面に遮光壁が形成されることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項10】
請求項
9に記載される固体撮像素子であって、
前記遮光壁の内壁は、補正レンズユニットを上部から落とし込むことにより位置が決まるセルフアライメント機能と側面による保持機能を有し、
前記遮光壁は、前記補正レンズユニットの側面に対して外側に形成された、遮光能力を持った接着剤を充填した斜面であることを特徴とする固体撮像素子。
【請求項11】
請求項1に記載される固体撮像素子であって、
前記イメージセンサと前記レンズ群との間に複数の前記補正レンズユニットを積み重ね設置することを特徴とする固体撮像素子。
【請求項12】
電子機器であって、
請求項1から請求項
11のいずれかの一つに記載される固体撮像素子を含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光学素子技術分野に係り、具体的に固体撮像素子及び電子機器に係る。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に使用されるカメラ、特にスマートフォンに搭載されるカメラモジュールの小型・化薄型化の要求が大きい。その要求に答えるためにイメージセンサパッケージ(Image Sensor Package)を小型化・薄型化しようと発明された先行技術には、例えば、パッケージを小型化するためにボンディングワイヤを接着剤で封止してイメージセンサパッケージに使用するフレームの接着しろを省く方法などがある。
【0003】
しかし、これらの技術はイメージセンサパッケージの小型化・薄型化には寄与するが光学全長まで含めたカメラモジュール全体の薄型化には寄与しない。また、近年、イメージセンサの大型化が進んでおり、イメージセンサの大きさに比例してレンズの大きさも光学原理から大きくなる。これらカメラモジュールが実装される、スマートフォンには厚みの制限がデザイン性から厳しく存在し、おおよそ10mmが限界である。
【0004】
例えば1インチ(25.4mm)のイメージセンサを使用してカメラモジュールを構成する場合、光学全長は10.5mmにもなり、1インチイメージセンサパッケージを採用したカメラモジュールをスマートフォンに採用することは現状難しい。この高さ制限を達成するために、イメージセンサパッケージ小型化、薄型化の先行技術では達成することが不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の少なく一つの実施例は、固体撮像素子及び電子機器を提供し、カメラモジュールの光学全長を短縮できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術課題を解決するために、本開示は、以下のように実現される。
第一の態様としては、固体撮像素子を提供する。この固体撮像素子は、イメージセンサと、レンズ群と、イメージセンサとレンズ群の間に設置される補正レンズユニットを含み、前記補正レンズユニットは、前記レンズ群から前記イメージセンサに入射した光線の主な光線の入射角を補正して、光線のイメージセンサまでの光学全長を短縮させる。
第二の態様としては、前記固体撮像素子を含む電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0007】
従来技術に比べ、本願実施例による固体撮像素子及び電子機器は、前記イメージセンサとレンズ群との間に、補正レンズが設置されることにより、前記レンズ群からイメージセンサに入射した光線の主光線入射角を補正して、光線のイメージセンサまでの光学全長を減少させて、カメラモジュールの光学全長を減少させ、カメラモジュールの厚さを低減し、電子機器の薄型化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本願実施例における固体撮像素子の構造概念図である。
【
図2】
図2は、本願実施例における固体撮像素子の別の構造概念図である。
【
図3】
図3は、本願実施例における補正レンズユニットの構図概念図である。
【
図4】
図4は、本願実施例におけるフレームの接着面と補正レンズユニットの側面の概念図である。
【
図5】
図5は、本願実施例における補正レンズユニットカットの実施例である。
【
図6】
図6は、本願実施例における固体撮像素子の断面図である。
【
図7】
図7は、本願実施例における固体撮像素子の組み立てプロセスフローである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施例の図面とともに、本開示の実施例の技術手段を明確且つ完全的に記載する。明らかに、記載する実施例は、本開示の実施例の一部であり、全てではない。本開示の実施例に基づき、当業者が創造性のある作業をしなくても為しえる全ての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属するものである。
【0010】
本開示の明細書及び特許請求の範囲における用語「第1」、「第2」などは、類似した対象を区別するためのものであり、必ずしも特定の順序又は優先順位を説明するためのものではない。ここで説明した本開示の実施例が、例えばここでの図示又は説明以外の順序でも実施できるように、このように使用されたデータは、適宜入れ替えてもよいと理解すべきである。尚且つ、用語「第1」、「第2」などにより区別される対象は、通常同種なものであり、対象な数を限定しない。例えば、第一対象は、一つでもよく、複数でもよい。なお、明細書及び特許請求の範囲における「及び/又は」は、接続対象の少なくとも1つを表す。文字「/」は、一般に、前後関連な対象が「或いは」の関係となることを示す。
【0011】
本願実施例において、固体撮像素子とは、イメージセンサパッケージ全体を含むことを指す。固体撮像素子の厚みを減少させて、電子機器の薄型化に寄与するために、本願実施例は、固体撮像素子を提供する。
図1~
図4に示すように、この固体撮像素子は、イメージセンサ11と、レンズ群13と、補正レンズユニット12を含む。前記補正レンズユニット12は、前記イメージセンサ11とレンズ群13との間に設置され、前記レンズ群13からイメージセンサ11に入射した光線14の主光線入射角(Chief Ray Angle,CRA)を補正することによって、光線のイメージセンサ11への光学全長を減少させることに用いられる。
【0012】
本願実施例では、イメージセンサパッケージの撮像領域を保護する光学ガラス部分に補正レンズ形状の構造を備える。当該補正レンズは、CRA(Chief Ray Angle:主光線入射角度)を補正する機能を有し、レンズからイメージセンサに入射する光線のCRAをイメージセンサの光学特性に合わせて補正することが可能となり、光学全長を短くすることが可能となる。たとえは、1インチイメージセンサでは約1.1mmの短縮ができる。
【0013】
一つの実施例として、
図2に示すように、イメージセンサ11が、フレーム17をPCB(プリンテッドサーキットボード)13に固定に設置され、前記補正レンズユニット12が前記フレーム17に設置され、かつ前記イメージセンサ11から所定距離離れる。例えば、具体的に、
図2における補正レンズユニット12の厚みが約0.5mmとなり、フレーム17の厚みは、約0.3mmとなる。
【0014】
オプションとして、補正レンズユニット12は、イメージセンサに対して位置精度±50um程度の高精度で位置決めする必要がある。具体的に、
図5に示すように、各補正レンズユニット12はダイシングブレード51で斜めにカットされることにより得る。補正レンズユニットの全体が立体的に四角錐となり、断面形状では台形となる(
図5、
図6を参照)。また、フレーム側も同様に補正レンズユニットを搭載する部分に角度を付けることにより、補正レンズユニットとフレームは搭載の時にセルフアライメントされるため高精度での位置決め搭載が可能となる。補正レンズユニットは、専用のダイシングブレードにより角度を付けてカットすることができるが、カット角度はガラスの平面部に対して95度以上であり、通常105度程度の角度を付与するのが好ましい。
【0015】
上記方式により取得した補正レンズユニットは、イメージセンサ側に向く下の面と、レンズ群に向く上の面と、それぞれ前記上の面と下の面と接続する四つの側面とを含み、ここで、前記下の面と前記側面とのなす角が、90度より大きくなる。前記フレームは、前記補正レンズユニットの四つ側面にそれぞれ対応し、且つお互いに貼り合う四つの接合面がある。
【0016】
本願実施例において、前記フレーム17は、熱可塑性プラスチックや熱硬化性プラスチックを原料として射出成型で形成されても良い。例えば、ナイロンやLCPなどの熱可塑性プラスチックやエポキシなどの熱硬化性プラスチックを原料として射出成型で前記フレームが形成される。前記フレームの接合面が、接着剤16を介して、前記補正レンズユニットの側面に接着する。具体的に、前記接着剤16が、UV 硬化接着剤及び/または熱硬化接着剤であっても良く、例えば、アクリル系・エポキシ系・ウレタン系などのUV硬化接着剤・熱硬化接着剤またはそれらのハイブリッド接着剤で、前記補正レンズユニットと前記フレーを」固定する。
図4にさらにフレームの接着面171と補正レンズユニットの側面121がお互いに合わせることを示した。
【0017】
厚みをさらに低減させるために、
図2に示すように、本願実施例において、前記PCBに、PCBの外面から内に凹んだ凹陥部が含まれ、前記イメージセンサが前記凹陥部に固定的に配置され、ワイヤーボンディングを介してPCBとの接続回路を形成する。
【0018】
例えば、
図2において、PCB13が金属製基板10の上に張り合う。金属製基板10が、0.1~0.2mm程度の薄いステンレス製などの放熱性の高い金属により作成される。イメージセンサ11の厚みは、0.15mm程度である。イメージセンサ部分を薄型化するために、PCB13における厚み0.25mm程度の凹陷部をくりぬいた。イメージセンサはこの凹陷部内に位置する。イメージセンサとPCBは金線15などでワイヤーボンディングされ回路が接続される。このPCBの上にプラスチック成型部品であるフレームが接着剤で固定される。
【0019】
オプションとして、前記フレームにおけるボンディンワイヤーに対応する位置に、接着剤16が充填される接着剤溜まりが形成される。前記フレームを前記PCBに取り付ける時、前記接着剤溜まりにおける接着剤が前記イメージセンサまで、フレームとフレームとの隙間まで広がって、前記フレームと、ボンディンワイヤーと、イメージセンサをPCBに固定接続させる。
【0020】
例えば、前記フレームにはボンディングワイヤ部分に0.15mm以下の接着剤だまりがあり、ここに接着剤を充填してからPCB上に取り付けることによって接着剤が、イメージセンサ・ボンディングワイヤ・PCB・フレームと同時に広がって接着される。
【0021】
具体的に、使用される接着剤が、Cl-・NO3-・SO42-・CH3COO-といった、ボンディングワイヤとイメージセンサの接続部であるアルミパッド部分にできたボンディングワイヤとアルミパッドの合金層を腐食させるイオンを10ppm以下に抑えるよう高純度に精製されたエポキシ系熱硬化接着剤を用いる。
【0022】
本願実施例では、フレームの接着剤溜まり形状とフレームとイメージセンサのギャップと接着剤の粘度・チキソ性を最適化させることにより、接着剤を硬化させるときに接着剤の成分がイメージセンサの撮像部分に広がり画像不良を起こすことがなくなる。
【0023】
従来の補正レンズの関わる構成は、補正レンズの形状をレンズ群に追加するまたは、イメージセンサの上に形成する形状が提案されている。しかしながら、その構成では別途赤外線カットフィルターが必要であり、またイメージセンサの上に直接補正レンズを形成する、または貼り付ける方法はイメージセンサの歩留まりを大きく低下させてしまう。歩留まりが低下する理由は、イメージセンサと補正レンズが近すぎるため、イメージセンサの画素サイズの大きさの異物や気泡などがそのまま結像してしまい不良となる。リワークにより修理することも不可能である。
【0024】
本願実施例では、補正レンズを形成する際に、赤外線カット機能を備えたガラス基板上に熱または紫外線により硬化する樹脂を金型を用いて補正レンズの形状を形成する、もしくは金型に樹脂を流し込んで補正レンズの形状を形成する。また、ガラス基板または補正レンズの表面に赤外線カット機能や反射防止機能をもったコーティングを実施する。そのため、本願実施例によって形成した当該補正レンズをセンサー上にではなくフレームを介してイメージセンサとは一定の空間をあけて保持することにより、パッケージの形状となり同時に歩留まりを向上させることが可能となる。
【0025】
仮にイメージセンサの画素サイズが0.8umの時、イメージセンサの直上に補正レンズの形状を形成した場合は0.8umの異物や欠陥が問題となるが、パッケージのフレームを介することにより150um間隔をあけた場合は異物や欠陥サイズを30um以上に緩和することが可能となる。
【0026】
図3に示すように、本願実施例では、前記補正レンズユニットが、赤外線カット機能を有するガラス基板121と、前記ガラス基板121に形成される自由曲面レンズ形状な補正レンズ124を含む。
さらに、前記補正レンズユニットが、赤外線反射層と、赤外線吸収層と、反射防止層との少なくとも一つを含む。
【0027】
例えば、
図3において、前記ガラス基板121の上の面に順に第一の赤外線反射層122と、補正レンズ124と、第一の反射防止層126を設置する。前記ガラス基板121の下の面に順に第二の赤外線反射層123と、第一の赤外線吸収層125と、第二の反射防止層127を設置する。
【0028】
ここで、第一の赤外線反射層と、第二の赤外線反射層と第一の反射防止層が、蒸着プロセスにより形成されてもよい。第二の反射防止層が、湿式プロセスまたは蒸着プロセスにより形成されてもよい。第一の赤外線吸収層が、湿式プロセスにより形成されてもよい。補正レンズが、エポキシを用いてUVエッチングにより形成されてもよい。
【0029】
オプションとして、前記補正レンズユニットにおける隣接層の間に黒色遮光マスクが形成される。
オプションとして、本願実施例では、ガラス基板と補正レンズの樹脂は屈折率を同程度に合わせるまたは、ガラス基板上に超微小な突起を先に形成して補正レンズとすることによりその層間での反射を防止または減少する。
【0030】
補正レンズの製作方式としては、ベース基材でありそれ自体が700nm以降の赤外線吸収機能を持つ0.1mmから0.3mmの厚みのブルーガラスの両面または片面に対して、蒸着プロセスにより複数層の赤外線反射膜を付与し、必要に応じて赤外線吸収液材をスピンコートし、その表面にエポキシ系またはアクリル系のプラスチック材料で補正レンズの自由曲面レンズ形状を単数または複数一括で金型を用いて形成する。この金型とは金属製またはガラスなどの透明材料で作られた型のことを指す。レンズ形状の表面とその裏面に対して、さらに蒸着プロセスにより多層膜の反射防止膜を付与する。反射防止膜にはモスアイ等のナノインプリント技術を用いて形成することも可能である。また、これらの層構造の途中に不要な光線をカットし、ゴーストやフレアを防止するための黒色遮光マスクを印刷や蒸着で付与することもできる。これらによって構成することで自由曲面レンズ部分においてCRAを補正し、ブルーガラスと多層膜で同時に赤外線をカットして、反射防止多層膜によりイメージセンサ表面で反射した光線を除去し、イメージセンサに理想の光線を届けることが可能となる。ブルーガラスの他に赤外線吸収機能を有する樹脂製フィルムを用いてもよい。
【0031】
一般的に、補正レンズユニットはそれを保持するイメージセンサパッケージの射出成型されたフレームよりも厚みが厚く補正レンズユニット部分が突出する。補正レンズユニット側面から入る光により、ゴーストフレアが撮像素子に映り込む可能性が大きい為、フレームにおいて遮光壁のような構造を補正レンズ側面に有する。つまり、補正レンズユニットの厚みが、前記フレームの厚みより大きくなる。この場合に、前記フレーム上に前記補正レンズユニットの側面に対応する接着面に遮光壁が形成される。遮光壁は補正レンズ側面に対して外側に斜面があり遮光能力を持った接着剤を充填し接着かつ遮光を可能にする構造を有する。
【0032】
また、
図5に示すように、ウエハレベルプロセスで作製した補正レンズユニットをダイシングブレードでカットする際に傾きを付けてカットする。そのカットはパッケージフレームの角度と一致しており、セルフアライメント機能と接着強度をさらに高めることが可能となる。
【0033】
具体的に、前記遮光壁の内壁は、補正レンズを上部から落とし込むことにより位置が決まるセルフアライメント機能と側面による保持機能を有する構造となる。前記遮光壁は、補正レンズユニットの側面に対して外側に、遮光能力を持った接着剤を充填する斜面を有する。
【0034】
オプションとして、補正レンズユニットは2段、3段と必要に応じて積み重ねる(Stack)することができる。このとき、前記イメージセンサとレンズ群の間に複数の前記補正レンズユニットを積み重ね設置することができる。
【0035】
図6に、本願実施例における固体撮像素子の断面の概念図を示す。
図7に、本願実施例における固体撮像素子の組み立てプロセスフローを示す。ここで、ステップS701に、700nm以降の赤外線吸収機能を持つ0.1mmから0.3mmの厚みのブルーガラスを有するガラス基板を用意する。ステップS702に、蒸着プロセスによりガラス基板の上下の面にそれぞれ、赤外線反射コーティング層が形成される。ステップS703に、ガラス基板の下の面における赤外線反射コーティング層に赤外線吸収層をスピンコートプロセスにより形成する。ステップS704に、ガラス基板の上の面における赤外線反射コーティング層にエポキシ系またはアクリル系のプラスチック材料で補正レンズの自由曲面レンズ形状を形成して補正レンズユニットとし、フレームと接着接合させLSPフレームアセンブリを取得する。ステップS706~ステップS707に、PCBと金属製基板を貼り付け、且、イメージセンサとPCBボードの間にワイヤーボンディングを介して接続回路を形成し、FR-PCBアセンブリを取得する。ステップS708に、LSPフレームアセンブリとFR-PCBアセンブリを接着接合して、レンズスタックパッケージ(Lens Stacked Package,LSP)を得る。ステップS709~ステップS711に、光学式手ぶれ補正機構(OIS:Optical Image Stabilizer)をAFドライバーユニットに設置して、AF-OISアセンブリを得る。トップカバーをAF-OISアセンブリに設置し、レンズをAFドライバーユニットに設置してレンズユニットアセンブリを得る。ステップS712に、レンズユニットアセンブリとLSPを接着して固体撮像素子を得る。
【0036】
また、本開示実施例は、例えば、スマートフォンなど、固体撮像素子を含む電子機器も提供する。
【0037】
以上、本開示の実施例を図面に基づいて記載したが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されるものではない。上記の具体的な実施形態は、例示的なものであり、限定的なものではない。本開示の示唆を受け、当業者が本開示の趣旨および特許請求の範囲から逸脱することなくなしえる多くの形態は、すべて本開示の保護範囲に含まれる。