(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】実験室試料コンテナ操作システムによって実験室試料コンテナを操作する方法、実験室試料コンテナ操作システム、および実験室自動化システム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
G01N35/02 C
G01N35/02 B
(21)【出願番号】P 2022086788
(22)【出願日】2022-05-27
(62)【分割の表示】P 2020110189の分割
【原出願日】2020-06-26
【審査請求日】2022-05-27
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー・スミット
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ベーバー
(72)【発明者】
【氏名】バウケ・シュールト・ホランダー
(72)【発明者】
【氏名】リッカルド・トリウンフォ
(72)【発明者】
【氏名】チャイ・イン・プリシリア・タン
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00342730(EP,A1)
【文献】国際公開第2017/157784(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0058574(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験室試料コンテナ操作システム(100)によって実験室試料コンテナ(1)を操作する方法であって、
-
ID情報(2)を含む実験室試料コンテナ(1)を前記実験室試料コンテナ操作システム(100)に供給するステップ
であって、前記ID情報(2)は、前記実験室試料コンテナ(1)に張り付けられたラベル(4)上に印刷されたバーコード(3)として具体化される、ステップと、
-
前記実験室試料コンテナ(1)に張り付けられた前記ラベル(4)上に印刷された前記バーコード(3)から前記ID情報(2)を読み取るステップと、
-
前記実験室試料コンテナ(1)に張り付けられた前記ラベル(4)上に印刷された前記バーコード(3)から読み取られた前記ID情報(2)が、前記実験室試料コンテナ操作システム(100)において一意かまたは一意でないかチェックするステップと、
-
前記読み取られたID情報(2)が前記実験室試料コンテナ操作システム(100)内において一意でない場合、
前記実験室試料コンテナ操作システム(100)において一意の新たなID情報(2)を前記実験室試料コンテナ(1)に割り当て、その後、前記実験室試料コンテナ(1)を閉じているキャップ(5)を取り除くステッ
プと、
を含み
、
-前記新たなID情報(2)を前記実験室試料コンテナ(1)に割り当てるステップが、新たなラベル(4)を前記実験室試料コンテナ(1)に張り付けることによって行われ、前記新たなID情報(2)を表すバーコード(3)が前記新たなラベル(4)上に印刷される、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
-前記実験室試料コンテナ(1)が、前記新たなID情報(2)が前記実験室試料コンテナ(1)に割り当てられた後に、前記新たなID情報(2)に基づいて、更に処理される、
ことを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
-前記実験室試料コンテナ(1)が実験室試料(6)を含み、前記実験室試料(6)が前記ID情報(2)に基づいて分析される、
ことを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法において、
-前記新たなID情報(2)の前記実験室試料コンテナ(1)への割り当ては、前記実験室試料コンテナ(1)が前記実験室試料コンテナ操作システム(100)に一括供給されて個別化された後、具体的には直後に、行われる、
ことを特徴とする、方法。
【請求項5】
実験室試料コンテナ操作システム(100)であって、
-前記実験室試料コンテナ操作システム(100)に供給された実験室試料コンテナ(1)に割り当てられたID情報(2)を読み取る様に構成されたリーダ(7)
であって、前記ID情報(2)は、前記実験室試料コンテナ(1)に張り付けられたラベル(4)上に印刷されたバーコード(3)として具体化される、リーダ(7)と、
-新たなID情報(2)を前記実験室試料コンテナ(1)に割り当てるように構成されたID変更器(8)と、
-前記リーダ(7)および前記ID変更器(8)に結合された制御ユニット(9)であって、
-
前記実験室試料コンテナ(1)に張り付けられた前記ラベル(4)上に印刷された前記バーコード(3)から前記ID情報(2)を読み取るように、前記リーダ(7)を制御するステップと、
-
前記実験室試料コンテナ(1)に張り付けられた前記ラベル(4)上に印刷された前記バーコード(3)から読み取られた前記ID情報(2)が、前記実験室試料コンテナ操作システム(100)において一意かまたは一意でないかチェックするステップと、
-前記読み取られたID情報(2)が前記実験室試料コンテナ操作システム(100)内において一意でない場合、
前記実験室試料コンテナ操作システム(100)において一意の新たなID情報(2)を前記実験室試料コンテナ(1)に割り当てるように前記ID変更器(8)を制御し、その後、前記実験室試料コンテナ(1)を閉じているキャップ(5)の取り外しを行わせるステッ
プと、
を実施するように構成された制御ユニット(9)と、
を備え、
-前記リーダ(7)がバーコード・リーダであり
、
-前記新たなID情報(2)を前記実験室試料コンテナ(1)に割り当てるステップが、新たなラベル(4)を前記実験室試料コンテナ(1)に張り付けることによって行われ、前記新たなID情報(2)を表すバーコード(3)が前記新たなラベル(4)上に印刷される、
ことを特徴とする、実験室試料コンテナ操作システム(100)。
【請求項6】
請求項5に記載の実験室試料コンテナ操作システム(100)において、
-前記実験室試料コンテナ操作システム(100)が、ミドルウェア・ユニット(11)を備え、前記ミドルウェア・ユニット(11)が、前記読み取られたID情報(2)が前記実験室試料コンテナ操作システム(100)内において一意であるかまたは一意でないかチェックし、前記読み取られたID情報(2)が前記実験室試料コンテナ操作システム(100)内において一意でない場合、新たなID情報(2)を前記実験室試料コンテナ(1)に割り当てるように構成され、前記新たなID情報(2)が前記実験室試料コンテナ操作システム(100)において一意である、
ことを特徴とする、実験室試料コンテナ操作システム(100)。
【請求項7】
請求項5または6に記載の実験室試料コンテナ操作システム(100)において、
-前記ID変更器(8)がプリンタであることを特徴とする、実験室試料コンテナ操作システム(100)。
【請求項8】
実験室自動化システム(1000)であって、
-請求項5から7のいずれか1項に記載の実験室試料コンテナ操作システム(100)と、
-前記ID情報(2)に基づいて、前記実験室試料コンテナ(1)に収容されている実験室試料(6)を処理するように構成された複数の実験施設(12)と、
を備えることを特徴とする、実験室自動化システム(1000)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、実験室試料コンテナ操作システムによって実験室試料コンテナを操作する方法、実験室試料コンテナ操作システム、および実験室自動化システムに関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の目的は、実験室試料コンテナ操作システムによって実験室試料コンテナを操作する方法、実験室試料コンテナ操作システム、および非常に柔軟性があり性能が高い実験室自動化システムを提供することである。
【0003】
実験室試料コンテナ操作システムによって実験室試料コンテナを操作する方法は、以下のステップを含む。
指定ID情報を含む実験室試料コンテナを、実験室試料コンテナ操作システムに手作業でまたは自動的に供給するステップ。
【0004】
実験室試料コンテナは、例えば、従来からの実験室試料管として具体化されてもよい。
実験室試料コンテナを供給した後、指定ID情報を、例えば、バーコード・リーダ、RFIDリーダ、カメラ等によって読み取る。
【0005】
次いで、読み取ったID情報が、実験室試料コンテナ操作システム内において一意であるか、または一意でないかチェックする。
読み取ったID情報が一意である場合、このID情報を変化させずに残しておき、元のID情報に基づいて、実験室試料コンテナおよび/または実験室試料コンテナに収容されている実験室試料を更に処理することができる。
【0006】
読み取ったID情報が実験室試料コンテナ操作システム内において一意でない場合、新たなID情報を実験室試料コンテナに割り当てる。この新たなID情報は実験室試料コンテナ操作システム内において一意である。
【0007】
実施形態によれば、ID情報は、実験室試料コンテナに張り付けられたラベル上に印刷されたバーコードとして具体化される。新たなID情報を実験室試料コンテナに割り当てるステップは、新たなラベルを実験室試料コンテナに貼り付けることによって行われ、新たなID情報を表すバーコードが新たなラベル上に印刷されている。
【0008】
実施形態によれば、加えてまたは代わりに、ID情報は、実験室試料コンテナに張り付けられたRFIDタグに格納された値として具体化される。新たなID情報を実験室試料コンテナに割り当てるステップは、古い値を新しいID情報で上書きすることによって行われる。
【0009】
実施形態によれば、実験室試料コンテナおよび/または実験室試料コンテナに収容されている実験室試料は、更に、新たなID情報が実験室試料コンテナに割り当てられた後、新たなID情報に基づいて処理される。
【0010】
実施形態によれば、実験室試料コンテナを閉じるキャップがある場合、新たなID情報が実験室試料コンテナに割り当てられた後、キャップを取り外す。
実施形態によれば、実験室試料コンテナは実験室試料を含む/収容する。実験室試料は、ID情報に基づいて分析される。例えば、実験室試料に対して行われる異なる種類の分析を、ID情報に基づいて決定することができる。
【0011】
実施形態によれば、実験室試料コンテナは、実験室試料コンテナ操作システムに、一括(bulk commodity)供給される。実験室試料コンテナは、更に処理される前に、個別化され(singularize)、実験室試料コンテナが個別化された後、具体的には、実験室試料コンテ
ナが個別化された後直ちに、新たなID情報が実験室試料コンテナに割り当てられる。
【0012】
実験室試料コンテナ操作システムは、実験室試料コンテナ操作システムに供給された実験室試料コンテナに割り当てられたID情報を読み取るように構成されたリーダと、新たなID情報を実験室試料コンテナに割り当てるように構成されたID変更器と、リーダおよびID変更器に結合され、以上で説明したような方法を実行するように、実験室試料コンテナ操作システムを制御するように構成された制御ユニットとを備える。
【0013】
実施形態によれば、実験室試料コンテナ操作システムは、ミドルウェア・ユニットを備える。このミドルウェア・ユニットは、読み取ったID情報が実験室試料コンテナ操作システムにおいて一意かまたは一意でないかチェックし、読み取ったID情報が実験室試料コンテナ操作システムにおいて一意でない場合、新たなID情報を実験室試料コンテナに割り当てるように構成され、新たなID情報は実験室試料コンテナ操作システム内で一意である。
【0014】
実施形態によれば、前述のリーダはバーコード・リーダである。
実施形態によれば、このリーダはRFIDリーダである。
実施形態によれば、ID変更器はプリンタ、具体的には、ラベル・プリンタである。
【0015】
実施形態によれば、ID変更器は、RFIDタグの電子ストレージを再プログラミングするように構成されたRFIDリーダである。
実験室自動化システムは、前述のような実験室試料コンテナ操作システムと、ID情報に基づいて、実験室試料コンテナに収容されている実験室試料を処理するように構成された、複数の、例えば、1個と100個との間の実験施設(laboratory station)とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
これより、図面に関して本発明について詳細に説明する。図面において、
【
図1】本発明の実験室試料コンテナ操作システムを備える実験室自動化システムを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実験室試料コンテナ操作システム100を備える実験室自動化システム1000を模式的に示す。
制御ユニット9は、実験室自動化システム1000の動作を制御する。
【0018】
実験室試料コンテナ操作システム100は、試料調製40の間に患者30から得られた実験室試料6を収容する実験室試料コンテナ1を操作するまたは処理するように構成されている。実験室試料6は、例えば、血液試料または任意の種類の体液等でもよい。実験室試料コンテナ1は、実験室試料6が実験室試料コンテナ1内に充填された後、キャップ5によって閉じられる。
【0019】
各実験室試料コンテナ1は、指定ID情報2を含む。ID情報2は、例えば、実験室試料コンテナ1に張り付けられたラベル4上に印刷されたバーコード3として具体化されてもよい。あるいはまたは代わりに、ID情報2は、例えば、実験室試料コンテナ1に張り
付けられたRFIDタグ10に格納された値として具体化されてもよい。
【0020】
試料調製の後、実験室試料コンテナ1をコンテナ50に集め、コンテナ50に集められた実験室資料コンテナ1をバルク装填デバイス20に送給する(feed)。
リーダ7は、バルク装填デバイス20に供給された実験室試料コンテナ1に割り当てられたID情報2を読み取るように構成されている。リーダ7は、例えば、バーコード・リーダまたはRFIDリーダとして具体化されてもよい。
【0021】
バルク装填デバイス20は、実験室試料コンテナ1を個別化し、個別化した実験室試料コンテナ1を輸送デバイス60に供給するように構成されている。
実験室試料コンテナ1が個別化された後、リーダ7は、実験室試料コンテナ1に割り当てられたID情報2を読み取り、読み取ったID情報2を制御ユニット9に供給する。
【0022】
次いで、制御ユニット9は、読み取ったID情報2が実験室自動化システム1000内において(結果的に、実験室試料コンテナ操作システム100において)一意かまたは一意でないかチェックする。
【0023】
読み取ったID情報2が実験室自動化システム1000内において一意でない場合、制御ユニット9は、新たなID情報2を実験室試料コンテナ1に割り当てることを開始し(initiate)、この新たなID情報2は実験室自動化システム1000において一意である。
【0024】
実験室試料コンテナ1は、新たなID情報2が実験室試料コンテナ1に割り当てられた後、新たなID情報2に基づいて、更に処理される。
読み取ったID情報2が実験室自動化システム1000内において一意である場合、ID情報2は不変のまま残る。
【0025】
ID情報2を変更するステップは、実験室試料コンテナ1に新たなID情報2を割り当てるように構成されたID変更器8によって行われる。ID変更器8は、例えば、ラベル・プリンタとしてまたはRFIDリーダとして具体化されてもよい。
【0026】
ID変更器8がラベル・プリンタとして具体化される場合、新たなID情報2は、新たなラベル4を実験室試料コンテナ1に張り付けることによって、実験室試料コンテナ1に割り当てられ、新たなID情報2を表すバーコード3が、ラベル・プリンタによって、新たなラベル4上に印刷される。
【0027】
ID変更器8がRFIDリーダとして具体化される場合、格納されている値を新たなID情報2で上書きすることによって、新たなID情報2を実験室試料コンテナ1に割り当てる。
【0028】
ID情報2をチェックし置き換えた後、必要であれば、実験室試料コンテナ1を閉じているキャップ5を取り外し、開いた実験室試料コンテナ1を輸送デバイス60に供給する。
【0029】
実験室自動化システム1000は、実験室試料コンテナ1に収容されている実験室試料6を、ID情報2に基づいて処理するように構成された複数の実験施設12を備える。
実験室試料コンテナ操作システム100は、ミドルウェア・ユニット11を備えてもよい。ミドルウェア・ユニット11は、制御ユニット9の一部であってもよく、または制御ユニット9とのデータ通信で具体化されてもよい。
【0030】
ミドルウェア・ユニット11は、読み取ったID情報2が実験室自動化システム100
0内において一意かまたは一意でないかチェックし、読み取ったID情報2が実験室自動化システム1000内において一意でない場合、新たなID情報2を実験室試料コンテナ1に割り当てるように構成することができる。新たなID情報2は実験室自動化システム1000内において一意である。
【0031】
本発明によれば、実験室試料コンテナには、ミドルウェア・ユニット11によって提供される情報に基づいて、一意の試料IDまたはID情報を、再付与(relabel)ことができ
る。提供される情報は、再付与を行わなければならないか否かの情報、随意に新たな一意のラベル-IDまたはID情報を含むことができる。
【0032】
前述のプロセスは、以下のように実行することができる。
1.キャップ5によって閉じられた試料管1をバルク装填デバイス20内に投入する。
2.試料管1を検出し、例えば、バーコード3および/またはキャップ・カラーによって識別する。
3.バルク装填デバイス20は、再付与要求をミドルウェア・ユニット11に送る。
4.ミドルウェア・ユニット11は、a)再付与が要求されるか否か、b)随意に、新たな一意のID情報2を含むか否か、回答する。
5.バルク装填デバイス20は、実験室試料コンテナ1をID変更器8または再付与施設に移送し、一意のID情報2を有する新たなラベル4を、例えば、既存のラベル4の上に貼って、古いラベル4を完全に覆い隠す。
6.実験室試料コンテナ1を実験施設12に向けて転送する。
【0033】
本発明は、自動実験室システム上において、複製(duplicate)ID情報およびアリコー
トを処理することを可能にする。本発明は、一意のラベルまたはID情報を提供することによって、自動化を解除して(leave)後の時点において再度自動化に入っても(reinsert)
、バーコードとキャップ・カラーとの間にある現在の関係を克服し(overcome)、キャップの取り外しが可能であり、それでもなお試料を自動実験室システム上にある他の全ての試料から区別できることを確保する。