(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】新規テビペネムピボキシルの即放性および調節放出性経口剤形
(51)【国際特許分類】
A61K 31/427 20060101AFI20240207BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240207BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240207BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240207BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240207BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240207BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A61K31/427
A61K9/20
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/44
A61P1/00
A61P31/04
A61P43/00 123
(21)【出願番号】P 2022089414
(22)【出願日】2022-06-01
(62)【分割の表示】P 2019533101の分割
【原出願日】2017-12-15
【審査請求日】2022-06-01
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519213931
【氏名又は名称】スペロ セラピューティックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャイン アカシュ
(72)【発明者】
【氏名】ルー エンシャン
(72)【発明者】
【氏名】リュー シャオチォン
(72)【発明者】
【氏名】リー ショウフォン
(72)【発明者】
【氏名】ケッツァー ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】アトリー ルーク
(72)【発明者】
【氏名】フラツキエビチ グラジナ
(72)【発明者】
【氏名】マクワン ジョイス
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-035517(JP,A)
【文献】特開平08-053453(JP,A)
【文献】国際公開第2012/079504(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104013583(CN,A)
【文献】日本化学療法学会雑誌,2009年,Vol.57, No.S-1,pp.1-14
【文献】日本化学療法学会雑誌,2009年,Vol.57, No.S-1,pp.30-37
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剤形コアを含む、胃腸感染症の治療用の即放性固形経口剤形であって、
前記剤形コアが、
テビペネムピボキシルHBr、および賦形剤を含み、
前記剤形コア内のテビペネムピボキシル対賦形剤の重量比が1:2~2:1であり、前記テビペネムピボキシルの重量は、前記テビペネムピボキシルHBrの重量に基づいてテビペネムピボキシル遊離塩基として計算された重量であり、
前記賦形剤は、結合剤、潤滑剤、随意に希釈剤を含む、胃腸感染症の治療用の即放性固形経口剤形。
【請求項2】
前記剤形が、即放性剤形であり、900mLの50mM酢酸緩衝液内で、pH5.0、37℃、50rpmでUSPパドル方法によって測定された場合、15分間に85%を超えるテビペネムピボキシルHBrを放出する、請求項1に記載の胃腸感染症の治療用の即放性固形経口剤形。
【請求項3】
前記賦形剤が、追加的に崩壊剤を含む、請求項2に記載の胃腸感染症の治療用の即放性固形経口剤形。
【請求項4】
前記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み合わせである、請求項3に記載の胃腸感染症の治療用の即放性固形経口剤形。
【請求項5】
前記結合剤は、微結晶性セルロース、硅化微結晶性セルロース、エチルセルロース、ラクトース、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み合わせである、請求項1に記載の胃腸感染症の治療用の即放性固形経口剤形。
【請求項6】
前記結合剤が、微結晶性セルロースである、請求項5に記載の胃腸感染症の治療用の即放性固形経口剤形。
【請求項7】
前記剤形が、以下の
(a)デンプン、スクロース、一水和ラクトース、マンニトール、ソルビトール、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み合わせである希釈剤、
(b)脂肪酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、滑石、水素添加油、カルナウバろう、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み合わせである潤滑剤、
(c)コーティング、
のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の胃腸感染症の治療用の即放性固形経口剤形。
【請求項8】
前記剤形コアが、30%~60%(w/v)のテビペネムピボキシルHBr、1%~10%のクロスポビドン、15%~25%の一水和ラクトースまたはマンニトール、15%~25%の微結晶性セルロース、および0.1%~5%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項2に記載の胃腸感染症の治療用の即放性固形経口剤形。
【請求項9】
前記剤形コアが、100、300、500、600、900、または1000ミリグラムのテビペネムピボキシルを含む、請求項1に記載の胃腸感染症の治療用の即放性固形経口剤形。
【請求項10】
前記剤形が、錠剤である、請求項1に記載の胃腸感染症の治療用の即放性固形経口剤形。
【請求項11】
前記胃腸感染症が、カンピロバクター感染症、サルモネラ感染症、赤痢菌感染症、または
大腸菌属感染症である、請求項1~10のいずれか1項に記載の胃腸感染症の治療用の即放性固形経口剤形。
【請求項12】
前記胃腸感染症が、志賀赤痢菌感染症、カンピロバクター・ジェジュニ感染症、またはエシェリキア・コリ感染症である、請求項1~10のいずれか1項に記載の胃腸感染症の治療用の即放性固形経口剤形。
【請求項13】
テビペネムピボキシル遊離塩基に基づいて少なくとも60%(w/w)のテビペネムピボキシルを含む、胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシルHBr錠剤コア。
【請求項14】
結合剤および崩壊剤を含む、請求項13に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシルHBr錠剤コア。
【請求項15】
前記錠剤コアがさらに潤滑剤を含む、請求項14に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【請求項16】
前記錠剤コアが300mgのテビペネムピボキシルを含む、請求項13に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【請求項17】
前記結合剤は、微結晶性セルロース、硅化微結晶性セルロース、エチルセルロース、ラクトース、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み合わせである、請求項14に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【請求項18】
前記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み合わせである、請求項14に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【請求項19】
前記結合剤は、微結晶性セルロースであり、前記崩壊剤が、クロスポビドンである、請求項14に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【請求項20】
前記胃腸感染症が、カンピロバクター感染症、サルモネラ感染症、赤痢菌感染症、または
大腸菌属感染症である、請求項13~19のいずれか1項に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【請求項21】
前記胃腸感染症が、志賀赤痢菌感染症、カンピロバクター・ジェジュニ感染症、またはエシェリキア・コリ感染症である、請求項13~19のいずれか1項に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【請求項22】
テビペネムピボキシル遊離塩基に基づいて少なくとも65%(w/w)のテビペネムピボキシルを含む、胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシルHBr錠剤コア。
【請求項23】
結合剤および崩壊剤を含む、請求項22に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシルHBr錠剤コア。
【請求項24】
前記錠剤コアがさらに潤滑剤を含む、請求項22に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【請求項25】
前記錠剤コアが300mgのテビペネムピボキシルを含む、請求項23に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【請求項26】
前記結合剤は、微結晶性セルロース、硅化微結晶性セルロース、エチルセルロース、ラクトース、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み合わせである、請求項23に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【請求項27】
前記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み合わせである、請求項23に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【請求項28】
前記結合剤は、微結晶性セルロースであり、前記崩壊剤が、クロスポビドンである、請求項23に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【請求項29】
前記胃腸感染症が、カンピロバクター感染症、サルモネラ感染症、赤痢菌感染症、または
大腸菌属感染症である、請求項22~28のいずれか1項に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【請求項30】
前記胃腸感染症が、志賀赤痢菌感染症、カンピロバクター・ジェジュニ感染症、またはエシェリキア・コリ感染症である、請求項22~28のいずれか1項に記載の胃腸感染症の治療用のテビペネムピボキシ
ルHBr錠剤コア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年12月15日に出願された米国仮出願第62/434,643号
、および2016年12月22日に出願された米国仮出願第62/438,071号に対
して優先権を主張するものであり、どちらもその全体が参照により本明細書に組み込まれ
る。
【0002】
即放性および調節放出性テビペネムピボキシルの経口剤形コアおよび経口剤形は、本開
示により提供される。本開示の即放性または調節放出性経口剤形を有する患者の尿路感染
症を治療する方法も含まれる。
【背景技術】
【0003】
テビペネムピボキシルは、β-ラクタム抗生物質のカルバペネムサブグループからの抗
生物質である、テビペネムの経口投与ピバロイルオキシメチルプロドラッグである。
【化1】
テビペネムピボキシル
【0004】
テビペネムピボキシルは、一般的に使用される抗感染薬に対する抗生物質抵抗性を取得
した重度の細菌感染症を治療するために開発されてきた。経口投与後、プロドラッグのエ
ステル結合およびアセタール結合が切断され、活性テビペネムが放出される。
【0005】
プロドラッグは、胃腸(GI)模擬流体に高い溶解性を有するが、pH1およびpH9
で容易に分解し、酸化条件に敏感である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、一貫性のある望ましい物理的および化学的特性を持つ、安定したテビペネムピ
ボキシル剤形が必要である。本開示は、この必要性を満たし、本開示に記載される追加の
利点を有する剤形を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、テビペネムピボキシルの即放性および調節放出性経口剤形を提供する。本開
示は、剤形コアを含む即放性および調節放出性固形経口剤形を提供するが、ここで剤形コ
アは、テビペネムピボキシル、またはその薬学的に許容可能な塩、および結合剤、潤滑剤
、随意に希釈剤を含む賦形剤を含む。
【0008】
本開示は、即放性固形経口テビペネムビポキシル剤形を提供するが、これは、900m
Lの50mM酢酸緩衝液内で、pH5.0、37℃、50rpmでUSPパドル方法によ
って測定された場合、15分間に85%を超えるテビペネムピボキシルのインビトロ放出
を提供する。
【0009】
本開示はまた、調節放出性固形経口テビペネムビポキシル剤形を提供するが、これは、
900mLの50mM酢酸緩衝液内で、pH5.0、37℃、50rpmでUSPパドル
方法によって測定された場合、30分後に50%以下のテビペネムピボキシルのインビト
ロ放出を提供する。ある実施形態では、この調節放出性剤形は、900mLの50mM酢
酸緩衝液内で、pH5.0、37℃、50rpmでUSPパドル方法によって測定された
場合、4時間後に85%以上の総テビペネムピボキシルを放出する。
【0010】
本開示はまた、短期調節放出性固形経口テビペネムビポキシル剤形を提供するが、これ
は、900mLの50mM酢酸緩衝液内で、pH5.0、37℃、50rpmでUSPパ
ドル方法によって測定された場合、30分後に50%以下のテビペネムピボキシルのイン
ビトロ放出を提供する。ある実施形態では、この調節放出性剤形は、900mLの50m
M酢酸緩衝液内で、pH5.0、37℃、50rpmでUSPパドル方法によって測定さ
れた場合、2時間後に85%以上の総テビペネムピボキシルを放出する。
【0011】
本開示はまた、本開示の経口剤形を患者に投与することを含む患者の細菌感染症を治療
する方法を提供する。ある実施形態では、細菌感染症は、複雑な尿路感染を含む、尿路感
染症である。
【0012】
本開示の上記およびその他の態様および特徴は、添付図面を参照しながら、その例証さ
れる実施形態を詳細に説明することによって、より明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、pH5での500mgの即放性テビペネムピボキシルのコーティングされていない錠剤コアの溶解プロファイルを示す。錠剤コアの製剤を実施例1に提供する。
【
図2】
図2は、pH5での500mgのテビペネムピボキシル調節放出性のコーティングされていない錠剤コアの溶解プロファイルを示す。調節放出性剤形の製剤を実施例3に提供する。
【
図3】
図3は、pH6.8での500mgの腸溶性コーティング即放性錠剤の溶解プロファイルを示す。錠剤コアの組成物は実施例1に提供され、腸溶性コーティングの組成物は実施例2、実施例3に提供される。
【
図4】
図4は、濃度(ミリグラム/リットル、ug/Ml)および質量(ミリグラム、mg)対シミュレーション時間(時間、h)のグラフである。グラフは、500mgのテビペネムピボキシル錠剤のヒト経口投与(PO)用量の模擬薬物動態プロファイルである。
【
図5】
図5は、pH5.0での調節放出性テビペネムピボキシルのHBr塩(表12A)および調節放出性テビペネムピボキシルの遊離塩基(表7)の溶解プロファイルの比較である。
【
図6】
図6は、pH6.8での調節放出性テビペネムピボキシルのHBr塩(表12A)および調節放出性テビペネムピボキシルの遊離塩基(表7)の溶解プロファイルの比較である。
【
図7】
図7は、pH5での300mgのテビペネムピボキシル即放性のコーティングされていない錠剤コアの溶解プロファイルを示す。調節放出性剤形の製剤を表11Bに提供する。
【
図8】
図8は、pH5での300mgのテビペネムピボキシル調節放出性のコーティングされていない錠剤コアの溶解プロファイルを示す。調節放出性剤形の製剤を表12Bに提供する。
【
図9】
図9は、pH5での300mgのテビペネムピボキシルの短期調節放出性のコーティングされていない錠剤コアの溶解プロファイルを示す。調節放出性剤形の製剤を表13に提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、その範囲内に入るそれぞれ別個
の値を個別に参照する簡略方法としての役目を果たすことを単に意図しており、本明細書
において個別に列挙されたものとして、それぞれ別個の値が本明細書に組み込まれる。す
べての範囲の終点は、範囲内に含まれ、独立して組み合わせることができる。本明細書に
記載されるすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈に明らかに矛
盾しない限り、適切な順序で実施することができる。例(例えば、「など」)を示す任意
のおよび全ての例または用語の使用は、単に例示のために意図されており、特許請求の範
囲に別段の記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらさない。本明細書の用語は、本
発明の実施に必須とされる任意の非請求要素を示すと解釈されるべきではない。
【0015】
「a」および「an」という用語は、数量の制限を意味しないが、参照される項目の少
なくとも一つの存在を示す。
【0016】
用語「約」は、用語「およそ」と同義語で使用される。当業者であれば、「約」の正確
な境界は、組成物の構成要素に依存することを理解するであろう。実例として、「約」と
いう用語の使用は、引用した値のわずかに外側の値を示す。すなわち、プラスマイナス0
.1%~10%であり、これは有効かつ安全であり、その値に含まれる。従って、引用さ
れた範囲のわずかに外側の組成物も、本請求の範囲に包含される。
【0017】
「含む(comprising)」、「含む(including)」および「含有す
る(containing)」という用語は、非限定的である。その他の非列挙要素は、
これらの移行句によって特許請求される実施形態に存在してもよい。「含む(compr
ising)」、「含有する(containing)」または「含む(includi
ng)」が移行句として使用される場合、その他の要素が含まれ、さらに本請求の範囲内
の実施形態を形成してもよい。オープンエンドの移行句「含む(comprising)
」は、中間の移行句「から本質的に成る」およびクローズエンドの句「から成る」を包含
する。
【0018】
「即放性」という用語は、経口投与直後に活性成分、テビペネムピボキシルを放出する
固形剤形を指す。
【0019】
「調節放出性」という用語は、治療上有効な血漿レベルを維持するために、即放性製剤
が活性薬剤を放出する時間に対して長期間、活性成分テビペネムピボキシルの放出を可能
にする固形経口剤形を指す。調節放出性製剤は、実質的にゼロ次放出速度を示す制御放出
製剤であってもよい。また一次速度を示す徐放性製剤でもありうる。
【0020】
「薬学的に許容可能な塩」には、テビペネムピボキシルの誘導体が含まれ、ここでテビ
ペネムピボキシルは、酸またはその塩基付加塩を生成することによって調節され、水和物
を含む薬学的に許容可能な溶媒類、ならびにこのような化合物およびこのような塩の共結
晶をさらに指す。薬学的に許容可能な塩の例としては、アミンなどの基本残基のミネラル
または有機酸付加塩、酸性残基のアルカリまたは有機付加塩など、ならびに前述の塩の一
つまたは複数を含む組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。薬学的に許容可能
な塩には、非毒性塩および活性薬剤テビペネムピボキシルの四級アンモニウム塩類が含ま
れる。例えば、非毒性酸塩には、塩酸水素、臭化水素、硫酸、スルファミン酸、リン酸、
硝酸などの無機酸由来のものが含まれ、その他の許容可能な無機塩には、ナトリウム塩、
カリウム塩、セシウム塩などの金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土
類金属塩、および前述の塩のうちの一つまたは複数を含む組み合わせが含まれる。薬学的
に許容可能な有機塩には、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸
、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキ
シマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル
酸、ベシル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン
酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、nが0~4であ
るHOOC-(CH2)n-COOHなどの有機酸、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、
ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩
、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩、およびアルギニン酸塩
、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などのアミノ酸塩、前述の塩のうちの一つまたはそ
れ以上を含む組み合わせ、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールア
ミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'ジベンジルエチ
レンジアミン塩などの有機アミン塩、およびアルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタ
ミン酸塩などのアミノ酸塩、前述の塩のうちの一つまたはそれ以上を含む組み合わせから
調整される塩が挙げられる。全ての結晶型、非晶質、および多形形態を含む、テビペネム
ピボキシルの全ての形態が、本開示に含まれる。
【0021】
塩の形態であってもよいテビペネムピボキシルの重量が与えられるとき、値はテビペネ
ムピボキシル塩の重量よりもむしろテビペネムピボキシルの量を指す。例えば、テビペネ
ムピボキシルが臭化水素塩である場合、500mgのテビペネムピボキシルは、581.
2gのテビペネムピボキシル臭化水素が存在することを示す。テビペネムピボキシル遊離
塩基が意図されること、またはテビペネムピボキシル遊離塩基が明示的に特定されている
ことが文脈から明らかでない限り、用語「テビペネムピボキシル」はテビペネムピボキシ
ル遊離塩基およびテビペネムピボキシルの薬学的に許容される塩、例えばテビペネムピボ
キシルHBrを含む。
剤形組成物
【0022】
新規テビペネムピボキシルの即放性および調節放出性固形剤形が開発された。剤形は、
カプセル、顆粒、錠剤コア、粉末であってもよいが、それに限定されない。剤形は、有効
成分としてのテビペネムピボキシルおよび一つまたは複数の賦形剤を含むコアを有する。
テビペネムピボキシル剤形は、例えば100~1,200ミリグラム(mg)または10
0~600mgの範囲でテビペネムピボキシルを含有し得るが、100mg、300mg
、および500mgのテビペネムピボキシルを含有する錠剤を例示する。
【0023】
本開示は、剤形コアを含む即放性または調節放出性固形経口剤形を提供するが、ここで
剤形コアは、テビペネムピボキシル、またはその薬学的に許容可能な塩、および結合剤、
潤滑剤、随意に希釈剤を含む賦形剤を含む。コア内のテビペネムピボキシル(遊離塩基)
対賦形剤の重量比は、30:60~60:30、または一部の実施形態では30:45~
45:30、または約50:50、または約30:40である。
【0024】
本開示には、錠剤型剤形などのテビペネムピボキシルの即放性および調節放出性経口剤
形が含まれる。
【0025】
本開示のテビペネムピボキシル剤形は、多くの望ましい特性を有する。例えば、新規の
調節放出性剤形の一部は、少なくとも6時間にわたり効果的であり、即放性の形態よりも
投与頻度が少ないことが許容され、一部の実施形態では一日二回の投与が許容される。調
節放出性テビペネムピボキシル用量は、従来の剤形よりも低い血漿Cmaxおよび高い血
漿Cminを示し、有効濃度の持続時間の増加、有効性の増加、即放性剤形と比較した効
果の持続時間の増加をもたらす。放出されると、調節放出性剤形は、消化管からのテビペ
ネムピボキシルの高吸収を提供する。本開示の調節放出性テビペネムピボキシル剤形は、
経口投与後1~4時間で血漿Cmaxに達し、ある実施形態では、本開示の調節放出性テ
ビペネムピボキシル剤形は、経口投与後2~4時間で血漿Cmaxに達し、およびその他
の実施形態では、本開示の調節放出性テビペネムピボキシル剤形は、経口投与後1~2.
5時間で血漿Cmaxに達する。
【0026】
新規の即放性テビペネムピボキシル剤形は、水または水溶液に非常に迅速に溶解するこ
とができ、また消化管からのテビペネムピボキシルの高吸収性も提供する。したがって、
即放性剤形は、薬物作用の急速な作用発現および急速な治療効果を提供する。本開示の即
放性テビペネムピボキシル剤形は、経口投与後0.5~2時間以内、または0.5~1.
5時間以内に血漿Cmaxに達する。HBr塩が使用される時、本開示の即放性剤形は、
1.5時間未満に血漿Cmaxに達する。
【0027】
即放性および調節放出性テビペネムピボキシル剤形は、室温で少なくとも12ヶ月、好
ましくは少なくとも24ヶ月の保存性を有する。
【0028】
即放性および調節放出性テビペネムピボキシル剤形は、100~1000mgのテビペ
ネムピボキシルの用量濃度とは無関係の溶解プロファイルを有する。
【0029】
ある実施形態では、調節放出性テビペネムピボキシル剤形は、投与後3~8、3~6、
または3~4時間でインビボ血漿Tmaxを提供する。ある実施形態では、短期調節放出
性テビペネムピボキシル剤形は、投与後、0.5~4、1~3、または1~2.5時間で
インビボ血漿Tmaxを提供する。
【0030】
本開示は、錠剤の少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量
%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、または少な
くとも65重量%がテビペネムピボキシルである、テビペネムピボキシル錠剤製剤を含む
。本開示は、錠剤コアの30重量%~70重量%または40重量%~60重量%がテビペ
ネムピボキシルであり、錠剤コアの70重量%~30重量%または60重量%~40重量
%が賦形剤である、テビペネムピボキシル剤形を含む。特定の実施形態では、テビペネム
ピボキシルは錠剤コアの45重量%~55重量%を含み、賦形剤は錠剤コアの55重量%
~45重量%を含む。一部のその他の実施形態では、テビペネムピボキシルは錠剤コアの
50%を含み、賦形剤は錠剤コアの50%を含む。いくつかの実施形態では、テビペネム
ピボキシルは、錠剤コアの40%を含む。
【0031】
賦形剤には、結合剤、放出制御剤、崩壊剤、希釈剤、または潤滑剤のうちの一つまたは
複数が含まれるが、これらに限定されない。賦形剤はさらに、滑剤、溶媒、粘性剤、乳化
剤、緩衝剤、充填剤、染色剤、味覚改善剤、フロー剤、吸収剤などを含むが、これらに限
定されない。
【0032】
本開示は、用量コアおよび結合剤を含有するコーティング錠剤を含む。例えば、結合剤
は、微結晶性セルロース、硅化微結晶性セルロース、エチルセルロース、ラクトース、デ
ンプン、ゼラチン、または前述のいずれか二つの任意の組み合わせであってもよい。結合
剤は、錠剤コアまたはコーティング錠剤内で、1%~50%、または5%~40%、また
は10%~20%、または15%の量(%w/w)で存在してもよい。ある実施形態では
、一種の微結晶性セルロースであるAvicel pH102は結合剤である。
【0033】
本開示は、用量コアおよび放出制御剤を含有するコーティング錠剤を含む、調節放出性
経口剤形を含む。放出制御剤は、望ましい期間にわたり活性成分の送達を支援する薬剤で
ある。放出制御剤は、錠剤コアまたはコーティング錠剤内で、1%~50%、または5%
~40%、または10%~20%、または15%の量(%w/w)で存在してもよい。あ
る実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は放出制御剤として
含まれる。KグレードのHPMC製品は、1.4のメトキシル置換度、約22%のメトキ
シル含有量、および約8.1%のヒドロキシプロピル含有量を有する。EグレードのHP
MC製品は、1.9のメトキシル置換度、約29%のメトキシル含有量、および約8.5
%のヒドロキシプロピル含量を有する。HPMC K4Mは、本開示のいくつかの調節放
出性テビペネムピボキシル剤形で、放出制御剤として使用される。ある実施形態では、H
PMC K4Mは、170~250マイクロメートルの粒径範囲および40℃で2700
~5050cpsの粘度範囲または20℃の水中2%で約4000mPa・sのヒドロキ
シプロピルメチルセルロースである。HPMC E50LVおよびHPMC E3もまた
、本開示の一部の実施形態では放出制御剤として使用される。HPMC E50 LVは
、40℃で35~65cpsの粘度、または20℃の水中2%で約50mPa・sを有し
、HPMC E3は20℃の水中2%で約3mPa・sの粘度を有する。2時間の調節放
出性剤形などのある実施形態では、適切な放出制御剤は、3500~6000の平均分子
量を有し、わずかに(5%)水溶性である、PVP K12などのポリビニルピロリドン
である。その他の適切な放出制御剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、ヒプロメロースアセテートサクシネート、ポリビニルピロリド
ン、およびコポビドンが含まれる。
【0034】
本開示は、用量コアおよび希釈剤を含有するコーティング錠剤を含む。例えば、希釈剤
は、デンプン、スクロース、一水和ラクトース、マンニトール、ソルビトール、または前
述のいずれか二つの任意の組み合わせであってもよい。希釈剤は、錠剤コアまたはコーテ
ィング錠剤中に、1%~50%または5%~40%、または10%~20%、または15
%の量(% w/w)で存在してもよい。いくつかの実施形態では、希釈剤は、一水和ラ
クトースおよびマンニトールである。
【0035】
本開示は、剤形コアおよび崩壊剤を含有するコーティング錠剤を含む、剤形を含む。例
えば、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(コポビドンとも呼ば
れる)、デンプングリコール酸ナトリウム、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み
合わせであってもよい。崩壊剤は、錠剤コアまたはコーティング錠剤内で、1%~50%
、または5%~40%、または10%~20%、または15%の量(%w/w)で存在し
てもよい。いくつかの実施形態では、一種のクロスポビドンであるPVPP XL-10
は、崩壊剤である。PVPP XL-10は、30μmの平均粒径を有する架橋ポリビニ
ルピロリドンである。その他の適切な崩壊剤には、クロスカルメロースナトリウム、プリ
ゼラチン化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、マンニトール、トウモロコシデ
ンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸、およびコムギデンプンが含まれる。
【0036】
本開示は、用量コアおよび潤滑剤を含有するコーティング錠剤を含む。潤滑剤の種類お
よび量は、医薬品使用に許容される範囲内で限定されない。例えば、潤滑剤は、脂肪酸エ
ステル、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸
カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マ
グネシウム、安息香酸ナトリウム、滑石、水素添加油、カルナウバろう、または前述のい
ずれか二つの組み合わせであってもよい。潤滑剤は、0.1%~5%、0.1%~2.0
%、または0.1%~1.0%、または0.25%~0.5%、または0.375%の量
(% w/w)で錠剤コアまたはコーティング錠剤中に存在してもよい。ある実施形態で
は、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0037】
一実施形態では、錠剤コアは、活性成分としてのテビペネムピボキシル、放出制御剤と
してのヒドロキシプロピルメチルセルロース、希釈剤としてのマンニトール、結合剤とし
ての微結晶性セルロース、および潤滑剤としてステアリン酸マグネシウムを含む、調節放
出性錠剤コアでありうる。例えば、錠剤コアは、40~60重量パーセントのテビペネム
ピボキシル、10~30重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース、10~
20重量パーセントのマンニトール、10~20重量パーセントの微結晶性セルロース、
および0.1~5重量パーセントのステアリン酸マグネシウムを含みうる。
【0038】
即放性テビペネムピボキシル錠剤コアは、30分間、15分間、または10分間に、毎
分50回転(rpm)のパドル速度で、37℃、pH5.0の緩衝液中で、テビペネムピ
ボキシルの総量の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少な
くとも95%を放出することができる。ある実施形態では、即放性テビペネムピボキシル
錠剤コアは、15分間に、毎分50回転(rpm)のパドル速度で、37℃、pH5.0
の緩衝液中で、テビペネムピボキシルの総量の少なくとも95%を放出することができる
。即放性テビペネムピボキシル錠剤コアは、テビペネムピボキシルがテビペネムピボキシ
ルHBrの形態であるときに、
図7の
図1の溶解プロファイルに示されるように、実質的
にテビペネムピボキシルを放出することができる。
【0039】
調節放出性テビペネムのピボキシル錠剤コアは、毎分50回転(rpm)のパドル速度
で、37℃、pH5.0の緩衝液中で、30分後に、テビペネムピボキシルの総量の30
%~50%、または35%~45%、または50%以下を放出することができる。調節放
出性テビペネムピボキシル錠剤コアは、毎分50回転(rpm)のパドル速度で、37℃
、pH5.0の緩衝液中で、60分後に、テビペネムピボキシルの総量の50%~70%
、または55%~65%を放出することができる。テビペネムピボキシル錠剤コアはまた
、毎分50回転のパドル速度で、37℃、pH5.0の緩衝液中で、4時間後に、テビペ
ネムピボキシルの総量の85%以上、または90%以上を放出することができる。調節放
出性錠剤コアは、
図8の
図2の溶解プロファイル(表12Bに開示されたHBr塩製剤用
)の溶解プロファイルに示されるように、実質的にテビペネムピボキシルを放出しうる。
コーティング
【0040】
剤形はコーティングをさらに含みうる。
【0041】
ある実施形態では、コーティングは腸溶性コーティングである。こうしたコーティング
は、例えば、pH3未満の胃液の酸性pHで不溶性であるが、例えばpH6.8~pH7
.4において、胃腸管の中性pHまたはほぼ中性pHでは容易に溶解している。
【0042】
テビペネムピボキシル剤形コアは、即放性または調節放出性腸溶性コーティングなどの
、腸溶性コーティングでコーティングされ、腸溶性コーティング剤形を形成しうる。腸溶
性コーティングは、胃酸に対して耐性があるように設計され、錠剤が小腸に達するまで溶
解しない。pH依存性コーティングは、酸感受性のテビペネムピボキシルを胃液の低pH
から保護することができる。腸溶性コーティングされたテビペネムピボキシル剤形が腸の
中性環境に達すると、その活性成分が溶解され、血流中に吸収できるようになる。一実施
形態では、腸溶性コーティングは、テビペネムピボキシルコア上に塗布されたポリマーで
あってもよい。ポリマーは、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、メチルア
クリレート-メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー
、シェラック、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルフタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチル酢酸コハク酸セルロー
ス(酢酸コハク酸ハイパーメロース(hypermellose acetate su
ccinate))、酢酸フタル酸ポリビニル(PVAP)、酢酸トリメリレートセルロ
ース(cellulose acetate trimellitate)、アルギン酸
ナトリウム、ゼイン、およびこれらの組み合わせから選択されてもよい。腸溶性コーティ
ングはさらに、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、
それらの組み合わせなどの塩基を含みうるが、これらに限定されない。
【0043】
ある実施形態では、即放性腸溶性コーティングは、ポリ(メタクリレート)および塩基
を含む。一実施形態では、塩基は、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの
、金属水酸化物とすることができる。別の実施形態では、塩基は、例えば炭酸ナトリウム
または炭酸カリウムなどの金属炭酸塩、または、例えば炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水
素カリウムなどの金属炭酸水素塩でありうる。その他の適切なコーティングには、ポリビ
ニルアルコール、特定のグレードのヒドロキシルプロピルメチルセルロース、およびHP
MCおよびポリエチレングリコール(PEG)の混合物が含まれる。コーティングは追加
的に、可塑剤を含みうる。しかし、即放性コーティングはそれに限定されず、低pH(約
3未満のpH)では不溶性であるが、中性または塩基性pHで活性成分を即放性に放出す
る任意の従来のコーティングもまた使用されうる。即放性腸溶性コーティングは、約20
マイクロメートル~約100マイクロメートルの厚さを有しうる。コーティングの重量増
加は、錠剤コアの重量に基づいて約0.1~100%の重量増加、または約2~約75%
、約2~約50%、約2~約15%、約2%~約10%、または約4%~約8%であり得
る。
【0044】
コーティングは即放性コーティングとすることができ、または一部の実施形態では、コ
ーティングは調節放出性コーティングである。適切なコーティングには、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース(HPMC)としても知られる、ヒプロメロースまたはヒプロメロ
ースUSPが含まれる。HPMCは、フィルムコーティング剤を使用することができる水
溶性賦形剤であるが、一般的には、一定のグレードのHPMCが結合剤として使用されて
いる。PHARMACOAT(信越化学工業株式会社)。PHARMACOAT603は
、置換タイプ2910、およびフィルムコーティングとしての使用に適した3mPa・s
の標識粘度を有するハイパーメロース(hypermellose)グレードである。こ
のOPADRY商品名は、様々な医薬品コーティングに使用され、主にHPMC(ヒドロ
キシプロピルメチルセルロースまたはヒプロメロース)またはPVA(ポリビニルアルコ
ール)およびPEG(ポリエチレングリコール)からなる即放性コーティングを含む。P
EGは、OPADRYコーティングの可塑剤として使用されうる。EUDRAGIT L
100-55などのEUDRAGITは、別の適切なクラスのコーティングである。E
UDRAGITは、一部の場合に追加的な官能基を有する、アクリル酸エステルおよびメ
タクリル酸のエステル由来のコポリマーである。
【0045】
コーティングは、フィルム形成体、印刷インク、緩衝剤、pH調整剤、防腐剤、染料、
および風味剤などの追加的な賦形剤を含みうる。一部の実例では、単一の材料は、前述の
賦形剤のいずれか二つ以上を含む。
【0046】
コーティングされていない錠剤中のテビペネムピボキシルの量は100mgであっても
よく、コーティングされていない錠剤の重量は200mgであってもよい。別の例では、
コーティングされていない錠剤中のテビペネムピボキシルの量は500mgであってもよ
く、コーティングされていない錠剤の重量は1,000mgであってもよい。別の例では
、コーティングされていない錠剤中のテビペネムピボキシルHBrの重量は348.9m
gであってもよく、コーティングされていない錠剤中のテビペネムピボキシルの重量は3
00mgであってもよく、コーティングされていない錠剤の総重量は750mgであって
もよい。500mgの錠剤の厚さは、5.00~8.00ミリメートル(mm)、または
6.00~7.00mm、または6.50~7.00mm、または6.75~7.00m
mでありうる。錠剤のコーティング量は、錠剤の総重量の1~5重量%、例えば、錠剤の
総重量の2~3重量パーセントである。
【0047】
実施形態は、安定した固形製剤またはそのコア結果であれば組み合わせることができる
。「前述のいずれかの組み合わせ」は、安定した錠剤または錠剤コアを結果的にもたらす
組み合わせのみを含む。
治療方法
【0048】
本開示は、細菌感染症のリスクまたは細菌感染症に罹患している対象に、開示の剤形を
投与することにより、対象における細菌感染症を治療する方法を含む。
【0049】
ヒト患者の治療は特に意図されている。しかしながら、家畜またはコンパニオン動物な
どの非ヒト対象の治療は、本開示の範囲内である。
【0050】
いくつかの実施形態では、細菌感染症または抗生物質耐性または抗生物質耐性感染症は
、グラム陰性細菌によって引き起こされる。
【0051】
本開示の徐放性テビペネムピボキシル経口剤形は、テビペネムピボキシルは、対象に投
与される唯一の活性薬剤となるように単独で投与されてもよく、または剤形は一つまたは
複数の追加的な活性薬剤と組み合わせて投与されてもよい。併用投与は、活性薬剤の同時
投与または連続投与を含む。
【0052】
本開示の方法のいずれかの方法の一実施形態では、微生物感染症は病原性細菌感染症の
結果である。病原性細菌の例としては、限定されないが、好気菌、アエロモナス、アシネ
トバクター、アグロバクテリウム、バチルス、バクテロイデス、バルトネラ、ボルデテラ
、ブルセラ、バークホルデリア、カリマトバクテリウム、カンピロバクター、シトロバク
ター、クロストリジウム、コルネバクテリウム、エンテロバクター、エンテロコッカス、
大腸菌、フランシセラ、フソバクテリウム、ヘモフィルス、ハフニア、ヘリコバクター、
クレブシエラ、レジオネラ、リステリア、モルガネラ、モラクセラ、ポルフィロモナス、
プロテウス、プロビデンシア、シュードモナス、サルモネラ、セラチア、赤痢菌、ブドウ
球菌、連鎖状球菌、トレポネーマ、ザントモナス、ビブリオ、およびエルシニア属の細菌
が挙げられる。そのような細菌の特定の例には、ビブリオ・ハーベイ、コレラ菌、腸炎ビ
ブリオ菌、ビブリオ・アルギノリチカス、シュードモナス・ホスホレウム(Pseudo
monas phosphoreum)、緑膿菌、腸炎エルシニア、エシェリキア・コリ
、ネズミチフス菌、インフルエンザ菌、ヘリコバクターピロリ菌、枯草菌、ライム病菌、
髄膜炎菌、淋菌、ペスト菌、カンピロバクター・ジェジュニ、結核菌、フェカリス菌、肺
炎球菌、化膿性連鎖球菌、肺炎桿菌、セパシア菌、アシネトバクター・バウマンニ、表皮
ブドウ球菌、および黄色ブドウ球菌が挙げられる。
【0053】
いくつかの実施形態では、グラム陰性細菌は、例えば緑膿菌などのシュードモナス、バ
ークホルデリア、または例えばアシネトバクター・バウマンニなどのアシネトバクターで
ある。
【0054】
いくつかの実施形態では、グラム陰性細菌は、例えばクレブシエラ肺炎、例えばエシェ
リキア・コリ、例えばエンテロバクター・クロアカ、例えば霊菌、例えばネズミチフス菌
、例えば志賀赤痢菌、例えばプロテウス・ミラビリス、例えばシトロバクター・フロイン
デイ、例えばペスト菌などの腸内細菌科である。
【0055】
いくつかの実施形態では、感染症は、例えば、一つ以上の生物体を含む感染症などの複
数菌感染症である。いくつかの実施形態では、感染症は、上記の生物体、例えば緑膿菌な
どの一つまたは複数のシュードモナス、例えば肺炎桿菌などのクレブシエラ、および/ま
たは例えばアシネトバクター・バウマンニなどのアシネトバクターの少なくとも一つを含
む。
【0056】
いくつかの実施形態では、本方法は、これらには限定されないが、ペニシリンなどのベ
ータ-ラクタム、セファロスポリン、カルバペセフェム、セファマイシン、カルバペネム
、モノバクタム、フルオロキノリンおよび類似のDNA合成阻害剤を含むキノリン、テト
ラサイクリン、アミノグリコシド、マクロライド、グリコペプチド、クロラムフェニコー
ル、グリセルサイクリン(glycylcycline)、リンコサミド、リポペプチド
、ダプトマイシンなどのリポデプシペプチド、およびオキサゾリジノンからなる群から選
択される抗生剤など追加の活性薬剤を、本開示の調節放出性固形剤形と組み合わせて投与
することをさらに含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、細菌感染症は、上気道感染症、下気道感染症、肺炎、菌血症
、全身感染症、化膿症および敗血症性ショック、尿路感染症、胃腸感染症、心内膜炎、骨
感染症、髄膜炎などの中枢神経系感染症、または皮膚および軟組織の感染症である。本開
示は、このような治療を必要とする患者に、本開示の剤形を投与することによってクロス
トリジウム・ディフィシルを治療する方法を含む。本開示は特に、患者における複雑な尿
路感染症を治療する方法を含む。「複雑な尿路感染症」とは、発熱(すなわち、38℃を
超える口内または耳内温度)、悪寒、倦怠感、脇腹痛、腰痛、および/または肋脊椎角痛
または圧痛を含む、局所的および全身的な徴候および症状を伴う、尿血の培養における膿
尿および記述された微生物病原体を特徴とする臨床症候群であり、尿路の機能的または解
剖学的異常の存在下またはカテーテル治療の存在下で起こる。尿路に潜む異常に関わらず
、腎盂腎炎を有する患者は、cUTIを伴う患者のサブセットとみなされる。
【0058】
いくつかの実施形態では、対象は哺乳類、例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳類である。い
くつかの実施形態では、方法は、一つまたは複数の細胞、例えば、培養ディッシュ内の細
胞を治療することを含む。
【0059】
一態様では、本開示は、対象におけるグラム陰性感染症を治療する方法を特徴とし、方
法は、このような治療を必要とする前述の対象に、本明細書に記載の化合物の治療有効量
を投与することを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、グラム陰性感染症は、緑膿菌によって引き起こされる。
【0061】
その他の実施形態では、本開示は、表皮ブドウ球菌および黄色ブドウ球菌などのグラム
陽性細菌に起因する感染症を治療することを含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、対象は、火傷または皮膚創傷を患う外傷患者または火傷患者
である。
【0063】
さらなる態様では、本開示は、対象における細菌耐性を低下させる方法を特徴とし、方
法は前述の対象に本明細書に記載される化合物の治療有効量を投与することを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、方法は、抗菌療法に対し細菌耐性のある感染症に罹患してい
る前述の対象を特定することをさらに含む。
【実施例】
【0065】
[錠剤製造]
テビペネムピボキシル錠剤は、ローラー圧縮の後に粉砕するような乾燥顆粒化を介して
製造される共通混合物を使用する。従来のブレンド/ミリングおよび打錠装置およびプロ
セスが使用される。従来のフィルムコーティング装置およびプロセスを使用して、錠剤コ
アをコーティングできる。
【0066】
テビペネムピボキシル混合物は、噴霧乾燥、溶媒湿潤顆粒化、水性湿潤顆粒化およびロ
ーラー圧縮を使用した乾燥顆粒化を含む、様々な顆粒化プロセスによって調製されうるが
、ローラー圧縮を用いた乾燥顆粒化は、望ましい嵩密度および流れ特性で、テビペネムピ
ボキシル錠剤混合物を効率的に生成する。
【0067】
テビペネムピボキシル錠剤の製造プロセスは、嵩密度およびタップ密度測定、流動分析
、スクリーン分析、ならびに混合物の均一性;錠剤コアおよび錠剤の重量、厚さ、硬さ、
脆さ、効力、崩壊、溶解および含有量均一性試験を含む、混合物および錠剤の物理的特性
の評価を通じて最適化される。
【0068】
<実施例1.テビペネムピボキシル即放性錠剤コア>
テビペネムピボキシル、クロスポビドン(PVPP XL-10)、一水和ラクトース
、および微結晶性セルロース(Avicel pH102)を秤量し、容器に入れる。次
に、これらの成分はメッシュ30ふるいを通して篩過される。
【0069】
篩過した成分は、単一アーム固定ホッパー混合機を使用して、20rpmで10分間混
合される。
【0070】
混合された成分の結果として得られる混合物に対して、ステアリン酸マグネシウムが混
合機に加えられると、混合物は20rpmで5分間さらに混合される。
【0071】
この混合物は、シングルパンチ錠剤プレスを使用して、直径9mmの丸型パンチを用い
て錠剤に圧縮される。
【0072】
500mgおよび100mgの即放性錠剤コアの組成物を、それぞれ表1および表2に
記載する。500mgの即放性テビペネムピボキシル錠剤の溶解プロファイルは、pH5
.0で
図1に示されている。
【0073】
【0074】
【0075】
<実施例2.即放性コーティング製剤およびプロセス>
表1および2に開示されているものなど、即放性テビペネムピボキシル錠剤コアは、表
3および4に記載のコーティング製剤でコーティングされうる。500mgの腸溶性コー
ティングされた即放性テビペネムピボキシルの溶解プロファイルが、
図3に提供されてい
る。錠剤コアの製剤は実施例1に提供され、また腸溶性コーティングの製剤は表3に提供
されている。結果として得られる腸溶性コーティング剤形は、45分間、pH6.8で、
テビペネムピボキシルの100%を放出することができるが、45分間、pH1.2では
、テビペネムピボキシルの5%未満しか放出することができない。以下の略語が使用され
る:GMS(グリセロールモノステアラート)およびTEC(トリエチルシトレート)。
【0076】
【0077】
【0078】
Eudragit分散(a)は以下のように調製される。Eudragit L100
-55を秤量し、攪拌しながら水にゆっくりと加えて、渦を形成する。混合物を10分間
攪拌し、ポリマーウェットを完全に作製する。得られた分散液に4%水酸化ナトリウム水
溶液を5分間かけて滴加し、得られた混合物をさらに30分間撹拌した。
【0079】
Eudragit分散(b)は以下のように調製される。Tween 80、TEC、
およびGMSの混合物を、80℃に加熱した水に加え、得られた混合物を5,000rp
mの速度で10分間均質化した。追加の水(元の量の25%)が攪拌下で分散液に追加さ
れる。得られた混合物を周囲温度まで冷却する。次いで、調製された分散液を、攪拌しな
がら上述したように調製されたEudragit分散(a)に加える。10分間攪拌した
後、得られた混合物はメッシュ80ふるいを通過する。得られた分散液は、表5に列挙さ
れたパラメータに従って、テビペネムピボキシル即放性錠剤コア(重量増加7%)をコー
ティングするのに使用できる。コーティングされていないテビペムピボキシル即放性錠剤
コア(実施例1の製剤)および腸溶性コーティングされたテビペネムピボキシルの溶解プ
ロファイル。
【0080】
【0081】
<実施例3.テビペネムピボキシル調節放出性錠剤コア組成物>
表6および7の調節放出性テビペネムピボキシル錠剤コアを以下のように製造する。ま
ず、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC E50 LV)の半分が、V-ブ
レンダーまたはビンブレンダーなどのブレンダー内に充填され、次いでテビペネムピボキ
シルの添加が続き、次いでヒドロキシプロピルメチルセルロースの残りの半分が追加され
て、その後材料を混合する。
【0082】
ステアリン酸マグネシウムは、20メッシュスクリーンを通すなど、任意の凝集物を粉
砕するために、スクリーニングされてもよい。スクリーニングされたステアリン酸マグネ
シウムは、テビペネムピボキシル/放出制御剤混合物を含有するブレンダーに添加され、
数分間混合される。ブレンダーから混合された、テビペネムピボキシル/放出制御剤/ス
テアリン酸マグネシウム混合物は、排出される。
【0083】
ブレンダーから排出された材料は、ローラー圧縮されてローラー圧縮リボンまたは圧縮
物を形成する。ローラー圧縮された材料は次に、振動ミル、衝撃ミル、またはスクリーニ
ングミルなどのミルを通過する。例えば、20メッシュスクリーンを装備したQUADR
O COMIL(Quadro Engineering、Ontario、カナダ)を
使用してもよい。粉砕された材料は収集され、その後ブレンダーに充電される。微結晶性
セルロース(Avicel PH102)およびマンニトール(マンニトール200 S
D)を加え、材料を混合する。
【0084】
ステアリン酸マグネシウムは、20メッシュスクリーンを通すなど、任意の凝集物を粉
砕するために、スクリーニングし、ブレンダーに入れて数分間混合してもよい。
【0085】
次に、ブレンダーの内容物を適切にラベル付けされた容器に排出し、二層のバッグの間
に乾燥剤を用いたポリエチレンバッグで二重裏張りする。
【0086】
錠剤コアは次に、ロータリー錠剤プレスで形成される。錠剤コアはフィルムコーターで
コーティングされてもよい。
【0087】
調節放出性錠剤コアの500mg(総重量1000mg)および100mg(総重量2
00mg)の組成物を、表6および表7にそれぞれ記載している。
【0088】
【0089】
【0090】
錠剤は直接圧縮によって調製された。工具のサイズは18.9×11.0mmであった
。錠剤の厚さは6.83~6.90mmであった。
【0091】
<実施例4.溶解>
溶解方法パラメータを表8に示す。
【0092】
【0093】
<実施例5.即放性剤形のための模擬ヒトテビペネムピボキシル薬物動態パラメータ>
表9および10に示される薬物動態パラメータは、500mgの即放性テビペネムピボ
キシル錠剤のヒト経口投与(PO)用量の模擬試験から得た。この錠剤コアの製剤を実施
例1に提供する。模擬実験では、テビペネムピボキシル錠剤のインビトロ溶解が、インビ
ボ溶解での測定に類似していると仮定する。
【0094】
500mgのテビペネムピボキシル錠剤のヒト経口投与(PO)用量の模擬薬物動態プ
ロファイルを
図4に示す。模擬実験は、静脈還流におけるテビペネム(遊離型)の血漿濃
度、すなわち静脈区画または体循環でのテビペネムの血漿濃度を示す。
【0095】
【0096】
【0097】
<実施例6.即放性テビペネムピボキシルHBr錠剤>
即放性テビペネムピボキシルHBr錠剤は、実施例1に与えられる方法によって製造さ
れる。テビペネムピボキシルの遊離塩基は、HBr塩によって置換される。テビペネムピ
ボキシル塩のより大きな重量を占めるために、より少ないラクトースおよびAvicel
pH102が使用される。コーティングされていない即放性テビペネムピボキシルHB
r錠剤の組成物が、表11Aおよび11Bに示されている。表11Bに開示された750
mg(総重量)錠剤コアは、900mLの50mM酢酸緩衝液内で、pH5.0、37℃
、50rpmでUSPパドル方法によって測定された場合、5分間に95.0%のテビペ
ネムピボキシルを、15分間に約95.2%のテビペネムピボキシルを放出することが見
出された。溶解プロファイルは
図7に提供されている。表11Bの錠剤コアは、300m
gのテビペネムピボキシルを含有する。
【0098】
【0099】
【0100】
<実施例7.調節放出性テビペネムピボキシルHBr錠剤>
調節放出性テビペネムピボキシルHBr錠剤は、実施例2に与えられる方法によって製
造される。テビペネムピボキシルの遊離塩基は、HBr塩によって置換される。テビペネ
ムピボキシル塩のより大きな重量を占めるために、より少ないラクトースおよびAvic
el pH102が使用される。コーティングされていない調節放出性テビペネムピボキ
シルHBr錠剤の実施例の組成物が、表12Aおよび12Bに与えられている。表12A
のコーティングされていない調節放出性テビペネムピボキシル錠剤の溶解プロファイルが
、pH5.0およびpH6.8で
図5および
図6の遊離塩基のものと比較されている。H
Br塩は、pH5.0では遊離塩基よりわずかに遅い放出を示し、pH6.8では遊離塩
基よりもわずかに速い放出を示した。
【0101】
【0102】
【0103】
表12Bに開示された750mgの錠剤コアは、900mLの50mM酢酸緩衝液内で
、pH5.0、37℃、50rpmでUSPパドル方法によって測定された場合、30分
間に21.9%のテビペネムピボキシルを、1時間に40.9%のテビペネムピボキシル
を、2時間に70.7%のテビペネムピボキシルを、3時間に88.7%のテビペネムピ
ボキシルを、そして4時間に100%のテビペネムピボキシルを放出することが見出され
た。溶解プロファイルは
図8に提供されている。
【0104】
<実施例8.短期調節放出性テビペネムピボキシルHBr製剤>
短期調節放出性テビペネムピボキシルHBr錠剤は、実施例2に与えられる方法によっ
て製造される。この製剤は、900mLの50mM酢酸緩衝液内で、pH5.0、37℃
、50rpmでUSPパドル方法によって測定された場合、2時間に剤形コアから85%
以上のテビペネムピボキシルを放出する。テビペネムピボキシル遊離塩基は、HBr塩に
よって置換される。コーティングされていない調節放出性テビペネムピボキシルHBr錠
剤の実施例の組成物を表13に示す。表13に開示された750mgの錠剤コアは、90
0mLの50mM酢酸緩衝液内で、pH5.0、37℃、50rpmでUSPパドル方法
によって測定された場合、30分間に37.5%のテビペネムピボキシルを、1時間に6
9.8%のテビペネムピボキシルを、2時間に99.9%のテビペネムピボキシルを、そ
して3時間に100.0%のテビペネムピボキシルを放出することが見出された。短期調
節放出性テビペネムピボキシルHBr錠剤の溶解プロファイルは
図9に提供されている。
【0105】
【0106】
<実施例9.サルへの経口投与のためのPKパラメータ>
実施例1および6の100mgの即放性テビペネムピボキシル遊離塩基(遊離塩基 I
R)およびHBr(HBr IR)錠剤、ならびに実施例7の100mgの調節放出性テ
ビペネムピボキシルHBr錠剤(HBr MR)が、カニクイザル(N=4 動物/試験
剤形)に経口投与された。各動物は、次の投与の前に一週間洗い出しを受け、それぞれが
それ自身の対照として役割を果たした。血液サンプルは、血漿に加工する前に、K2ED
TAチューブに採集された。サンプルは、投与後15分、30分、1時間、2時間、4時
間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、および24時間に得た。血漿サン
プルを、タンデムLC-MS法を介して、プロドラッグ、テビペネムピボキシル、および
テビペネムについて分析した。複合時間の薬物動態パラメータを濃縮プロファイルと比較
して導き出すために使用される非区画分析が、Phoenix Winnonlin v
.6.4を使用して各用量レベルに対して実施された。各時点に対するテビペネムの血漿
濃度は、HPLCによって決定された。即放性剤形および徐放性剤形のPKパラメータを
表14に列挙する。
【0107】
テビペネムの最大濃度は、遊離塩基およびHBr即放性群でおよそ1.5~2時間で観
察された。Cmaxは、即放性(遊離塩基およびHBr)製剤と比較して調節放出性製剤
とともに減少したが、AUCallは、製剤間で比較的一定であった。AUCinfは、
終端処理プロファイルの変動性によって計算できなかった。以前に生成されたIVデータ
(10mg/kg用量の場合13.06ug*時間/mL)を用いて、テビペネムの生物
学的利用率は、39~50%の範囲と推定された。平均滞留時間は徐放性製剤で増加した
。
【0108】
【0109】
本発明の概念は、例示的な原則および実施形態の観点から説明されてきたが、当業者は、以下の特許請求の範囲により定義される本開示の範囲および精神から逸脱することなく、記載されたものに対して変形がなされ、等価物が置換され得ることを認識するであろう。
(1)剤形コアを含む即放性または調節放出性固形経口剤形であって、
前記剤形コアが、
テビペネムピボキシルまたはその薬学的に許容可能な塩、および結合剤、潤滑剤、随意に希釈剤を含む賦形剤を含む、剤形。
(2)前記コア内のテビペネムピボキシル対賦形剤の重量比が、30:60~60:30である、(1)に記載の剤形コア。
(3)前記コア内のテビペネムピボキシル対賦形剤の重量比が、30:45~45:30である、(1)に記載の剤形コア。
(4)前記剤形が、即放性剤形であり、900mLの50mM酢酸緩衝液内で、pH5.0、37℃、50rpmでUSPパドル方法によって測定された場合、15分間に85%を超えるテビペネムピボキシルまたはテビペネムピボキシル塩を放出する、(1)に記載の剤形。
(5)前記賦形剤が、追加的に崩壊剤を含む、(4)に記載の即放性剤形。
(6)前記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み合わせである、(5)に記載の即放性剤形。
(7)前記剤形が、調節放出性剤形であり、900mLの50mM酢酸緩衝液内で、pH5.0、37℃、50rpmでUSPパドル方法によって測定された場合、30分後にインビトロで、50%以下のテビペネムピボキシルまたはテビペネムピボキシル塩放出を提供する、(1)に記載の剤形。
(8)900mLの50mM酢酸緩衝液内で、pH5.0、37℃、50rpmでUSPパドル方法によって測定された場合、4時間後にテビペネムピボキシルまたはテビペネムピボキシル塩の総量の85%以上が放出される、(7)に記載の調節放出性剤形。
(9)900mLの50mM酢酸緩衝液内で、pH5.0、37℃、50rpmでUSPパドル方法によって測定された場合、2時間後にテビペネムピボキシルまたはテビペネムピボキシル塩の総量の85%以上が放出される、(7)に記載の調節放出性剤形。
(10)前記賦形剤が、放出制御剤を追加的に含む、(7),(8),または(9)に記載の調節放出性剤形。
(11)前記放出制御剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロースアセテートサクシネート、ポリビニルピロリドン、コポビドン、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み合わせである、(10)に記載の調節放出性剤形。
(12)前記結合剤は、微結晶性セルロース、硅化微結晶性セルロース、エチルセルロース、ラクトース、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み合わせである、(1)~(11)のいずれか一つに記載の剤形。
(13)前記結合剤が、微結晶性セルロースである、(12)に記載の剤形。
(14)前記剤形が、希釈剤を含み、前記希釈剤が、デンプン、スクロース、一水和ラクトース、マンニトール、ソルビトール、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み合わせである、(1)~(13)のいずれか一つに記載の剤形。
(15)前記剤形が、潤滑剤を含み、前記潤滑剤が、脂肪酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、滑石、水素添加油、カルナウバろう、または前述のいずれか二つ以上の任意の組み合わせである、(1)~(14)のいずれか一つに記載の剤形。
(16)前記剤形コアが、30%~60%(w%/v)のテビペネムピボキシル、10%~40%のヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン、5%~20%のマンニトール、5%~20%の微結晶性セルロース、および0.1%~5%のステアリン酸マグネシウムを含む、(7),(8),または(9)に記載の調節放出性剤形。
(17)前記剤形コアが、30%~60%(w%/v)のテビペネムピボキシル、1%~10%のクロスポビドン、15%~25%の一水和ラクトースまたはマンニトール、15%~25%の微結晶性セルロース、および0.1%~5%のステアリン酸マグネシウムを含む、(4)に記載の即放性剤形。
(18)テビペネムピボキシル対クロスポビドンの重量比が、20:1~5:1である、(6)または(17)に記載の即放性剤形。
(19)前記剤形コアが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含まない、(4)~(6)または(17)のいずれか一つに記載の即放性剤形。
(20)前記テビペネムピボキシルが、テビペネムピボキシル遊離塩基の形態である、(1)~(19)のいずれか一つに記載の剤形。
(21)前記テビプネムピボキシルが、テビペネムピボキシルHBrの形態である、(1)~(19)のいずれか一つに記載の剤形。
(22)前記剤形コアが、100、300、500、600、900、または1000ミリグラムのテビペネムピボキシルを含む、(1)~(21)のいずれか一つに記載の剤形。
(23)前記剤形コアが、錠剤コアである、(1)~(22)のいずれか一つに記載の剤形コア。
(24)前記剤形コアが、顆粒である、(1)~(22)のいずれか一つに記載の剤形コア。
(25)前記顆粒が、カプセル内にある、(24)に記載の剤形。
(26)前記コアが、コーティングをさらに含む、(1)~(23)のいずれか一つに記載の剤形コア。
(27)前記錠剤コアが、コーティングされた錠剤を形成するようにコーティングされ、前記コーティングされた錠剤が、6.00~7.00ミリメートルの厚さを有する、(23)に記載の錠剤コア。
(28)前記錠剤コアが、前記コーティングされた錠剤の総重量の2%~5%(w%/w)を含むコーティングでコーティングされる、(27)に記載の剤形。
(29)前記用量が、一日二回、または一日三回投与用に製剤化される、(1)~(28)のいずれか一つに記載の剤形。
(30)(1)~(29)のいずれか一つに記載の前記剤形を患者に投与することを含む、前記患者における尿路感染症を治療する方法。