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特許7431894休暇残割当管理装置、休暇残割当管理方法、及び休暇残割当管理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】休暇残割当管理装置、休暇残割当管理方法、及び休暇残割当管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240207BHJP
【FI】
G06Q10/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022102976
(22)【出願日】2022-06-27
(62)【分割の表示】P 2018125600の分割
【原出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2022118277
(43)【公開日】2022-08-12
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 雅之
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-071020(JP,A)
【文献】特開2008-276417(JP,A)
【文献】特開2010-140430(JP,A)
【文献】特開2017-120499(JP,A)
【文献】特開2011-065486(JP,A)
【文献】熊野 憲辰,未来に活きる! 現場で使える! データモデリング 第21回 企業の勤怠管理システム,シェルスクリプトマガジン,(有)USP研究所,2015年10月20日,2015 November vol.31,第49-52頁
【文献】MajorFlow Webワークフローソフトウェア,パナソニックネットソリューションズ株式会社,2016年07月14日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた休暇残割当管理装置であって、
前記制御部は、
休暇発生のイベント毎に、付与ID、従業員コード、休暇の付与日、有休又は代休を指定する残管理区分、休暇の有効期間開始日、休暇の有効期間終了日、及び休暇の付与日数のデータを含む休暇付与データを作成する休暇付与データ作成手段と、
休暇申請を受け取る毎に、取得ID、従業員コード、休暇取得日、半日又は全日の休暇を指定する休暇種別、有休又は代休を指定する残管理区分、及び取得日数のデータを含む休暇取得データを作成する休暇取得データ作成手段と、
割当ID、付与ID、取得ID、及び当該付与IDの休暇付与データの付与日数を当該取得IDの休暇取得データの取得日数に割り当てた際の余りの日数である割当後残日数を含み、前記休暇付与データと前記休暇取得データとを紐付け、消滅期限が早い休暇から優先的に取得するための休暇残割当データを作成する休暇残割当データ作成手段と、
を備え、
前記休暇残割当データでは、前記休暇取得データの取得日数に対して、前記休暇付与データの付与日数を半日及び全日の休暇種別に拘わらず時系列で割り当て、当該休暇付与データに割当後残日数が発生した場合は、当該割当後残日数を別の休暇取得データの取得日数に割り当てることを特徴とする休暇残割当管理装置。
【請求項2】
前記休暇残割当データでは、更に、前記別の休暇取得データの取得日数が満たない場合は、前記割当残日数を割り当てた休暇付与データ以降に発生した別の休暇付与データの付与日数を割り当てて充足させることを特徴とする請求項1に記載の休暇残割当管理装置。
【請求項3】
前記休暇残割当データは、未取得の休暇が有効期限終了日に消滅することを示す自然消滅データを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の休暇残割当管理装置。
【請求項4】
さらに、前記休暇残割当データを参照して、有効期限が近い休暇残、及び/又は、取得可能な日数を超過している休暇申請にアラートを通知するアラート通知手段を備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の休暇残割当管理装置。
【請求項5】
制御部を備えた情報処理装置が実行する休暇残割当管理方法であって、
前記制御部において実行される、
休暇発生のイベント毎に、付与ID、従業員コード、休暇の付与日、有休又は代休を指定する残管理区分、休暇の有効期間開始日、休暇の有効期間終了日、及び休暇の付与日数のデータを含む休暇付与データを作成する休暇付与データ作成ステップと、
休暇申請を受け取る毎に、取得ID、従業員コード、休暇取得日、半日又は全日の休暇を指定する休暇種別、有休又は代休を指定する残管理区分、及び取得日数のデータを含む休暇取得データを作成する休暇取得データステップと、
割当ID、付与ID、取得ID、及び当該付与IDの休暇付与データの付与日数を当該取得IDの休暇取得データの取得日数に割り当てた際の余りの日数である割当後残日数を含み、前記休暇付与データと前記休暇取得データとを紐付け、消滅期限が早い休暇から優先的に取得するための休暇残割当データを作成する休暇残割当データ作成ステップと、
を含み、
前記休暇残割当データでは、前記休暇取得データの取得日数に対して、前記休暇付与データの付与日数を半日及び全日の休暇種別に拘わらず時系列で割り当て、当該休暇付与データに割当後残日数が発生した場合は、当該割当後残日数を別の休暇取得データの取得日数に割り当てることを特徴とする休暇残割当管理方法。
【請求項6】
制御部を備えた情報処理装置に実行させるための休暇残割当プログラムであって、
前記制御部において、
休暇発生のイベント毎に、付与ID、従業員コード、休暇の付与日、有休又は代休を指定する残管理区分、休暇の有効期間開始日、休暇の有効期間終了日、及び休暇の付与日数のデータを含む休暇付与データを作成する休暇付与データ作成ステップと、
休暇申請を受け取る毎に、取得ID、従業員コード、休暇取得日、半日又は全日の休暇を指定する休暇種別、有休又は代休を指定する残管理区分、及び取得日数のデータを含む休暇取得データを作成する休暇取得データステップと、
割当ID、付与ID、取得ID、及び当該付与IDの休暇付与データの付与日数を当該取得IDの休暇取得データの所得日数に割り当てた際の余りの日数である割当後残日数を含み、前記休暇付与データと前記休暇取得データとを紐付け、消滅期限が早い休暇から優先的に取得するための休暇残割当データを作成する休暇残割当データ作成ステップと、
を実行させるための休暇残割当管理プログラムであり、
前記休暇残割当データでは、前記休暇取得データの取得日数に対して、前記休暇付与データの付与日数を半日及び全日の休暇種別に拘わらず時系列で割り当て、当該休暇付与データに割当後残日数が発生した場合は、当該割当後残日数を別の休暇取得データの取得日数に割り当てることを特徴とする休暇残割当管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、休暇残割当管理装置、休暇残割当管理方法、及び休暇残割当管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「働き方改革」というキーワードで、労働時間の適正管理が重要性を増し、それに伴って勤怠管理システムに対する期待とニーズも高まっている。従業員の正確な勤務状況を管理部門・所属上長がきちんと把握し、過重労働を防止したり、定期的な休暇取得を促したり、といった改善を行う必要があり、従業員の休暇の残日数、取得状況を従来よりも厳密に管理することが求められている。従来、勤務管理システムとして、例えば、特許文献1~3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-71020号公報
【文献】特開2017-120499号公報
【文献】特開2011-65486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1~3では、消滅期限が早い休暇から優先的に取得する仕組みに関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、消滅期限が早い休暇から優先的に取得することが可能な休暇残割当管理装置、休暇残割当管理方法、及び休暇残割当管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた休暇残割当管理装置であって、前記制御部は、休暇発生のイベント毎に、付与ID、従業員コード、休暇の付与日、有休又は代休を指定する残管理区分、休暇の有効期間開始日、休暇の有効期間終了日、及び休暇の付与日数のデータを含む休暇付与データを作成する休暇付与データ作成手段と、休暇申請を受け取る毎に、取得ID、従業員コード、休暇取得日、半日又は全日の休暇を指定する休暇種別、有休又は代休を指定する残管理区分、及び取得日数のデータを含む休暇取得データを作成する休暇取得データ作成手段と、割当IDを含み、前記休暇付与データと前記休暇取得データとを紐付け、消滅期限が早い休暇から優先的に取得するための休暇残割当データを作成する休暇残割当データ作成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記休暇残割当データは、前記休暇付与データの付与日数に前記休暇取得データの取得日数を割り当てた割当日数を、当該付与日数から減算した割当後残日数を含むことにしてもよい。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記休暇残割当データは、未取得の休暇が有効期限終了日に消滅することを示す自然消滅データを含むことにしてもよい。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、さらに、休暇申請段階で、前記休暇残割当データを参照して、複数の残管理区分からより期限の短い優先度の高い休暇を通知するメッセージ通知手段を備えることにしてもよい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、さらに、前記休暇残割当データを参照して、有効期限が近い休暇残、及び/又は、取得可能な日数を超過している休暇申請にアラートを通知するアラート通知手段を備えることにしてもよい。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置に実行させるための休暇残割当管理方法であって、前記制御部で実行させる、休暇発生のイベント毎に、付与ID、従業員コード、休暇の付与日、有休又は代休を指定する残管理区分、休暇の有効期間開始日、休暇の有効期間終了日、及び休暇の付与日数のデータを含む休暇付与データを作成する休暇付与データ作成ステップと、休暇申請を受け取る毎に、取得ID、従業員コード、休暇取得日、半日又は全日の休暇を指定する休暇種別、有休又は代休を指定する残管理区分、及び取得日数のデータを含む休暇取得データを作成する休暇取得データステップと、割当IDを含み、前記休暇付与データと前記休暇取得データとを紐付け、消滅期限が早い休暇から優先的に取得するための休暇残割当データを作成する休暇残割当データ作成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置に実行させるための休暇残割当プログラムであって、前記制御部において、休暇発生のイベント毎に、付与ID、従業員コード、休暇の付与日、有休又は代休を指定する残管理区分、休暇の有効期間開始日、休暇の有効期間終了日、及び休暇の付与日数のデータを含む休暇付与データを作成する休暇付与データ作成ステップと、休暇申請を受け取る毎に、取得ID、従業員コード、休暇取得日、半日又は全日の休暇を指定する休暇種別、有休又は代休を指定する残管理区分、及び取得日数のデータを含む休暇取得データを作成する休暇取得データステップと、割当IDを含み、前記休暇付与データと前記休暇取得データとを紐付け、消滅期限が早い休暇から優先的に取得するための休暇残割当データを作成する休暇残割当データ作成ステップと、を実行させるための休暇残割当管理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、消滅期限が早い休暇から優先的に取得することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、休暇の種類と年次有給休暇/代休の付与パターンと取得のイメージを示す図である。
図2図2は、本実施の形態に係る休暇残割当管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、本実施の形態における休暇残割当管理装置の全体の処理の流れを説明するための図である。
図4図4は、マスタ設定処理の具体例を説明するための図である。
図5図5は、年次有給休暇の付与処理を説明するための図である。
図6図6は、休日出勤に伴う代休の付与処理を説明するための図である。
図7図7は、休暇取得処理の具体例を説明するための図である。
図8図8は、休暇残割当データの一例を示す図である。
図9図9は、休暇付与データ及び休暇取得データと、休暇残割当データのイメージを示す図である。
図10図10は、基準日を説明するための図である。
図11図11は、休暇残割当データの再割当の計算が必要となる期間を一旦削除する例を説明するための図である。
図12図12は、再割当の計算が必要となる期間に該当する割当候補付与データの一覧を作成する例を説明するための図である。
図13図13は、休暇残割当データの割当後残日数を説明するための図である。
図14図14は、休暇取得データから割当計算対象データを抽出する例を説明するための図である。
図15図15は、割当計算対象データ及び割当候補付与データを使用した休暇残割当データの再割当の手順を示すフローチャートである。
図16図16は、割当計算対象データ及び割当候補付与データを使用した休暇残割当データの再割当の具体例を示す図である。
図17図17は、割当計算対象データ及び割当候補付与データを使用した休暇残割当データの再割当の具体例を示す図である。
図18図18は、割当計算対象データ及び割当候補付与データを使用した休暇残割当データの再割当の具体例を示す図である。
図19図19は、割当計算対象データ及び割当候補付与データを使用した休暇残割当データの再割当の具体例を示す図である。
図20図20は、割当計算対象データ及び割当候補付与データを使用した休暇残割当データの再割当の具体例を示す図である。
図21図21は、割当計算対象データ及び割当候補付与データを使用した休暇残割当データの再割当の具体例を示す図である。
図22図22は、割当計算対象データ及び割当候補付与データを使用した休暇残割当データの再割当の具体例を示す図である。
図23図23は、代休の残日数が足りない状態で代休を取得しようとした場合の例を説明するための図である。
図24図24は、休日出勤の追加により、代休の残日数が足りない状態が解消する場合の例を説明するための図である。
図25図25は、休暇取得時のチェックを説明するための図である。
図26図26は、申請日時点で取得可能な別の休暇残のうち、有効期間終了日が早く終了する場合を説明するための図である。
図27図27は、申請されている休暇種別と残管理区分が異なる休暇残割当データから、直近の有効期間終了日を取得する場合を説明するための図である。
図28図28は、割当エラーデータがあるかのチェックを説明するための図である。
図29図29は、本人、上長などへのアラート表示を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施の形態により限定されるものではない。
【0016】
[1.概要]
近年、「働き方改革」というキーワードで、労働時間の適正管理が重要性を増し、それに伴って勤怠管理システムに対する期待とニーズも高まっている。従業員の正確な勤務状況を管理部門・所属上長がきちんと把握し、過重労働を防止したり、定期的な休暇取得を促したり、といった改善を行う必要があり、従業員の休暇の残日数、取得状況を従来よりも厳密に管理することが求められている。
【0017】
しかしながら、休暇には「年次有給休暇」と「代休」のように性質が異なる休暇があり、それぞれ有効期限の設定が異なることから、間違った選択による休暇の期限消滅や、残業代の追加支払いなどのリスクが増し、管理負荷も増大してしまうという課題があった。
【0018】
図1は、休暇の種類と年次有給休暇/代休の付与パターンと取得のイメージを示す図である。図1(A)に示すように、休暇には、年次有給休暇(有休)と代休がある。年次有給休暇(有休)は、従業員の勤続年数や勤務日数に応じて、付与が法的に義務付けられている休暇である。継続勤務年数が、0.5年、1.5年、2.5年、3.5年、4.5年、5.5年、6.5年以上で、法定最低付与日数は、それぞれ、10日、11日、12日、14日、16日、18日、20日となる。また、年次有給休暇は、当年度に発生する分と、前年度から繰越分がある。
【0019】
代休は、休日労働が行われた場合に、その代償として他の労働日を休日として休ませる措置である。本来であれば休日出勤として割増賃金を支払う必要があるが、代休取得相当時間分は割増賃金の支払いが不要になる。法的な有効期限の規定はないものの、残業時間の賃金支払いを繰り延べていることになるため、就業規則の定めにより通常は休日出勤から数週間~数か月程度以内の有効期限が設けられる。従って、年次有給休暇よりも優先して代休を取得する必要があり、期限が切れた場合は再度残業代を支払う義務が発生する。
【0020】
さらに、過重労働のリスクの観点では、休日出勤後に速やかに代休を取得することが望ましく、休暇取得を強制するためにあえて数週間などの短い期限を設定する企業が増えていく傾向が予想される。このため、月単位で何日消滅するかではなく、何日後に消滅するか、といったより細かい把握ができる仕組みが望ましい。
【0021】
例えば、図1(B)に示すように、年次有給休暇は、前年度からの繰り越しが2018/3末に消滅し、本年度2017/4/1(日数=18日)に付与されたものが、2019年/3末に消滅する。代休は、6/10出勤分が2017/8末に消滅し、8/20出勤分が2017/10末に消滅する。この場合において、例えば、2017/8/22(火)に出勤をする場合は、どの休暇を消費すべきかが問題となる。
【0022】
従来のシステムでは、年次有給休暇のように、一度にまとまった日数(20日等)を長い有効期間(通常2年)で付与される休暇は、これまでは年度ごとの付与日数に対して何日消化したかを日数ベースで把握する方法が一般的であった。
【0023】
しかし、休暇には有給休暇以外に、代休のように性質が異なる休暇が労働基準法で定められており、付与単位が半日~1日程度、有効期限が数週間~数か月と短いため、有休よりも細かいスケジュール管理が必要であった。このため、月次単位の日数ベースの残管理では、追加された休暇がいつ消滅し、いつまでに取得すればよいかがわかりづらかった。
また、このような管理は複雑であるため、システムが複雑になり、計算に時間がかかるなどの課題があった。
【0024】
そこで、本実施の形態では、休暇残割当管理機能を導入し、任意の日時点の休暇残や取得日数、消滅日数のチェック・可視化をすることを可能とすることで、任意の日時点での取得率の算出や任意の日時点の消滅が早い休暇を確認することができ、より有効期間の短い代休の取得を視覚的に促すことがきるようにした。また、代休に対しての取得可能期間を、締期間や暦期間など個社ごとのルールに則った有効期間でシステム上管理できるようにした。
【0025】
より具体的には、本実施の形態では、以下の(1)~(4)の方法により、厳密な休暇残管理を可能にするとともに、勤怠管理者および従業員が、いつ時点でどの休暇を取得すべきかが即座にわかる仕組みを実現した。
(1)休暇の付与情報(日数、有効期間開始日、有効期間終了日)と休暇取得日の自動割当(紐付)管理を行い、消滅期限が早い休暇から優先的に取得する仕組み。
(2)休暇残の割当データ上に、未取得残日数データを保持することにより、特定日時点で有効な休暇残日数が即座にわかる仕組み。
(3)休暇残の割当データ上に、有効期間終了日の自然消滅データを保持することにより、特定期間に消滅する休暇残日数が即座にわかる仕組み。
(4)休暇申請段階で、複数の残管理区分からより期限の短い優先度の高い休暇を判別して取得を促す仕組み。
【0026】
[2.構成]
図2を参照して、本実施の形態に係る休暇残割当管理装置の構成の一例について説明する。図2は、本実施の形態に係る休暇残割当管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
図2において、休暇残割当管理装置100は、例えば、サーバ-クライアントシステムのサーバとして機能し、ネットワーク300を介して、クライアントとして機能する複数の端末装置200と通信可能に接続されている。端末装置200は、例えば、会社の従業員(社員、アルバイト、管理職、役員を含む)が使用するものである。
【0028】
休暇残割当管理装置100は、端末装置200からのリクエストに応じて、端末装置200にログイン画面、休暇申請画面、休暇確認画面等の各種画面を提供し、端末装置200の表示部に表示される各種画面上でのユーザのオペレータの操作に応じた情報の入力を受付け、各種処理を行う。また、休暇残割当管理装置100は、端末装置200にメッセージやアラートを通知する。
【0029】
休暇残割当管理装置100は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータでもよい。休暇残割当管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。休暇残割当管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0030】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、休暇残割当管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、休暇残割当管理装置100と端末装置200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0031】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、および、マイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114として記載する場合がある。
【0032】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、および、ファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等を用いることができる。
【0033】
記憶部106は、有休付与表マスタ106a、代休付与条件マスタ106b、休暇種別マスタ106c、及びデータファイル106d等を備えている。
【0034】
有休付与表マスタ106aは、年次有給休暇の付与条件、付与日数、及び保存期間年数を設定するためのマスタである。有休付与表マスタ106aは、年次有給休暇の付与条件(勤続年(以上)、勤続月(以上)、勤続年(以下)、勤続月(以下))、付与日数、及び有休保存期間年数のデータを関連づけて登録するテーブル等で構成することができる(図4(A)参照)。
【0035】
代休付与条件マスタ106bは、代休の期限設定等を管理するためのマスタである。代休付与条件マスタ106bは、代休前期間区分、代休以前月数、代休以前日数、代休後期間区分、代休以降月数、代休以降日数、代休付与条件(終日)、及び代休付与条件(半日)等のデータを関連づけて登録したテーブル等で構成することができる(図4(B)参照)。
【0036】
休暇種別マスタ106cは、各休暇種別の取得可能日数を設定するためのマスタである。休暇種別マスタ106cは、休暇種別、残管理区分、取得日数のデータを関連づけて登録したテーブル等で構成することができる(図7(C)参照)。
【0037】
データファイル106dは、各種データを格納するためのファイルである。データファイル106eは、例えば、休暇付与データ、休暇取得データ、及び休暇残割当データ等のデータを格納する。
【0038】
休暇付与データは、付与ID、従業員を識別するための従業員コード、休暇を付与した日である付与日、残管理区分(年次有給休暇、代休)、付与した休暇の有効期間開始日、付与した休暇の有効期間終了日、休暇の付与日数のデータを含んでいてもよい(図5(C)参照)。
【0039】
休暇取得データは、休暇申請が行われた場合に作成されるデータであり、取得ID、従業員を識別するための従業員コード、休暇取得日、休暇種別(AM有休、PM有休、終日有休、AM代休、PM代休、終日代休)、残管理区分(年次有給休暇、代休)、休暇の取得日数、及び休暇の申請理由のデータを含んでいてもよい(図7(C)参照)。
【0040】
休暇残割当データは、休暇付与データと休暇取得データを紐付けるためのデータである。休暇残割当データは、割当ID、従業員コード、残管理区分、付与ID、付与日、有効期間開始日、有効期間終了日、付与日数、取得ID、休暇取得日、取得日数、割当日数、割当連番、割当後残日数のデータを含んでいてもよい(図8参照)。
【0041】
制御部102は、休暇残割当管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、マスタ設定部102aと、休暇付与データ作成部102bと、休暇取得データ作成部102cと、休暇残割当データ作成部102dと、メッセージ通知部102eと、アラート通知部102fを備えている。
【0042】
マスタ設定部102aは、モニタ114に表示されるマスタメンテ画面上でのオペレータの操作に応じて、有休付与表マスタ106a、代休付与条件マスタ106b、及び休暇種別マスタ106cに対して、データの入力・追加・更新等の編集を行う。
【0043】
休暇付与データ作成部102bは、付与ID、従業員コード、付与日、残管理区分、有効期間開始日、有効期間終了日、及び付与日数のデータを含む休暇付与データを作成して、データファイル106dに格納する。
【0044】
休暇取得データ作成部102cは、休暇申請を受け取る毎に、取得ID、従業員コード、休暇取得日、休暇種別、残管理区分、取得日数、及び申請理由のデータを含む休暇取得データを作成して、データファイル106dに格納する。
【0045】
休暇残割当データ作成部102dは、休暇付与データと休暇取得データとを紐付け、消滅期限が早い休暇から優先的に取得するための休暇残割当データを作成して、データファイル106dに格納する。
【0046】
この場合、休暇残割当データは、前記休暇付与データの付与日数に前記休暇取得データの取得日数を割り当てた割当日数を、当該付与日数から減算した割当後残日数を含むことにしてもよい。
【0047】
また、休暇残割当データは、未取得の休暇が有効期限終了日に消滅することを示す自然消滅データを含むことにしてもよい。
【0048】
メッセージ通知部102eは、休暇申請段階で、データファイル106dに格納される休暇残割当データを参照して、複数の残管理区分からより期限の短い優先度の高い休暇を通知する。
【0049】
アラート通知部102fは、データファイル106dに格納される休暇残割当データを参照して、有効期限が近い休暇残、及び/又は、取得可能な日数を超過している休暇申請にアラートを通知する。
【0050】
[3.全体の処理]
図2及び図3を参照して、本実施の形態における休暇残割当管理装置100の全体の処理の流れを説明する。図3は、本実施の形態における休暇残割当管理装置100の全体の処理の流れを説明するための図である。
【0051】
図3において、マスタ設定部102aは、マスタ設定処理(S1)を実行する。マスタ設定処理(S1)では、モニタ112に表示されるマスタメンテ画面上でのオペレータの操作に応じて、有休付与表マスタ106a、代休付与条件マスタ106b、及び休暇種別マスタ106cに対して、データの入力・追加・更新等の編集を行う。
【0052】
休暇付与データ作成部102bは、休暇付与処理(S2)を実行する。休暇付与処理(S2)では、年毎に、従業員コード、付与日、及び勤続年数に基づいて、有休付与表マスタ106aを参照し、有給休暇に関する休暇付与データを作成してデータファイル106dに格納する。また、休暇付与処理(S2)では、従業員の端末装置200から入力される、従業員コード、休日出勤日、予定労働時間を含む休日出勤の申請に基づいて、代休付与条件マスタ106bを参照し、代休に関する休暇付与データを作成して、データファイル106dに格納する。
【0053】
休暇取得データ作成部102cは、休暇取得処理(S3)を実行する。休暇取得処理(S3)では、従業員の端末装置200から入力される、従業員コード、休暇取得日、休暇種別、及び申請理由を含む休暇申請に基づいて、休暇種別マスタ106cを参照し、休暇取得データを作成して、データファイル106dに格納する。
【0054】
休暇残割当データ作成部102dは、休暇残割当処理(S4)を実行する。休暇残割当処理(S4)では、休暇付与データと休暇取得データとを紐付け、消滅期限が早い休暇から優先的に取得するための休暇残割当データを作成して、データファイル106dに格納する。
【0055】
メッセージ通知部102eは、メッセージ通知処理(S5)を実行する。メッセージ通知処理(S5)では、休暇申請段階で、休暇残割当データを参照して、複数の残管理区分からより期限の短い優先度の高い休暇を知らせるためのメッセージを通知する。
【0056】
アラート通知部102fは、アラート通知処理(S6)を実行する。アラート通知処理(S6)では、休暇残割当データを参照して、有効期限が近い休暇残、及び/又は、取得可能な日数を超過している休暇申請にアラートを通知する。
【0057】
[4.具体例]
図4図29を参照して、本実施の形態における休暇残割当管理装置100の処理の具体例について説明する。図4図29は、本実施の形態における休暇残割当管理装置100の処理の具体例を説明するための図である。
【0058】
(マスタ設定処理)
図4は、マスタ設定部102aにより実行されるマスタ設定処理の具体例を説明するための図である。図4を参照して、マスタ設定処理の具体例を説明する。
【0059】
1.マスタ設定
1-1.有休付与表マスタ106aの設定
図4(A)は、有休付与表マスタ106aの設定例を説明するための図である。有休付与表マスタ106aは、勤続年(以上)、勤続月(以上)、勤続年(以下)、勤続月(以下)、付与日数、有休保存期間年数のデータを関連づけて登録する。図4(A)に示す例では、勤続年月が6か月以内に対して有給休暇10日(2年有効)を付与、勤続年月が7か月~1年6か月に対して有給休暇11日(2年有効)を付与、勤続年月が1年7か月~2年6か月に対して有給休暇12日(2年有効)を付与、勤続年月が2年7か月~3年6か月に対して有給休暇14日(2年有効)を付与、勤続年月が3年7か月~4年6か月に対して有給休暇16日(2年有効)を付与、勤続年月が4年7か月~5年6か月に対して有給休暇18日(2年有効)を付与、勤続年月が5年7か月~6年6か月に対して有給休暇20日(2年有効)を付与、勤続年月が6年7か月以上に対して有給休暇20日(2年有効)を付与する。
【0060】
1-2.代休付与条件マスタの設定
図4(B)は、代休付与条件マスタ106bの設定例を説明するための図である。代休付与条件マスタ106bは、代休の期限設定等を管理するマスタである。代休付与条件マスタ106bは、代休前期間区分、代休以前月数、代休以前日数、代休後期間区分、代休以降月数、代休以降日数、代休付与条件(終日)、及び代休付与条件(半日)等のデータを関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。
【0061】
図4(C)は、代休前期間区分及び代休後期間区分を説明するための図である。代休前期間区分は、代休出勤日前の代休の取得を規定する。代休後期間区分は、代休出勤日以降の代休の取得を規定する。ここでは不可/暦期間の例で記載している。「不可」は、使用不可を示す。「日数」は、日数単位で指定する。「締期間」は、月を勤怠締期間の区切りで指定(例:20締の場合、21日~翌月20日)する。「暦期間」は、月を暦期間(年月)の区切りで指定(1日~月末日)する。
【0062】
代休付与条件マスタ106bに従う場合は、以下の判定で「付与日数」を決定する。
(1)休日出勤時間≧代休付与条件(終日)の場合は終日(1日)
(2)代休付与条件(終日)>休日出勤時間≧代休付与条件(半日)の場合は半日(0.5日)
(3)休日出勤時間<代休付与条件(半日)の場合は付与なし
【0063】
図4(D)は、代休付与条件マスタ106bによる代休付与のイメージを示す図である。代休前期間区分が「不可」に設定されている場合は、休日出勤日前の代休は取得することができない。代休後期間区分が「暦期間」に設定されているので、「暦」で期間を指定する。代休以降月数が「2」に指定されているので、2ヶ月後の月の末日まで代休を取得可能である。代休以降日数が「0」であるので、日数の加算・減算は行わない。代休以降日数≠「0」の場合は、さらに、日数を加算・減算して調整する。例えば、2ヶ月後の翌日の場合は、「+1」とする。
【0064】
(休暇付与処理)
図5及び図6は、休暇付与データ作成部102bにより実行される休暇付与処理の具体例を説明するための図である。図5及び図6を参照して、休暇付与処理の具体例を説明する。
【0065】
2.休暇付与の動作
2.1.年次有給休暇の付与処理
図5は、年次有給休暇の付与処理を説明するための図である。休暇付与データ作成部102bは、付与対象者の勤続年数を基準として有休付与表マスタ106aを参照し、付与日数と有休保存期間年数を元に休暇付与データを作成する。
【0066】
図5(A)は、入力データの例を示しており、入力データとして、従業員コード「A」、付与日「2017/4/1」、勤続年数「5年」が入力される。
【0067】
勤続年数「5年」であるので、図5(B)に示す有休付与表マスタ106aを参照して、4年7ヶ月≦5年≦5年6ヶ月であるので、対応する付与日数「18」、有休保存期間年数「2」を取得して、図5(C)に示すような休暇付与データを作成する。
【0068】
図5(C)に示す休暇付与データは、1行目が付与ID「XXX1」、従業員コード「A」、付与日「2016/4/1」、残管理区分「年次有給休暇」、有効期間開始日「2016/4/1」、有効期間終了日「2018/3/31」、付与日数「16.0」となっており、これは、前年付与済みのデータである。
【0069】
2行目は、今回追加(作成)されたデータであり、付与ID「XXX2」、従業員コード「A」、付与日「2017/4/1」、残管理区分「年次有給休暇」、有効期間開始日「2017/4/1」、有効期間終了日「2019/3/31」、付与日数「18.0」となっている。
【0070】
なお、年次有給休暇の場合、有効期間開始日=付与日、有効期間終了日=付与日の有休保存期間年数後を設定する。
【0071】
図5(D)は、図5(C)に示す休暇付与データに基づいた年次有給休暇の付与イメージ(休暇有効期限の確認画面)を示す図である。図5(D)では、前年度からの年次有給休暇の繰り越し分の有効期間と、今回(新規に)付与された年次有給休暇の有効期間が表示されている。例えば、休暇付与データ作成部102bは、端末装置200からのリクエストに応じて、図5(D)に示すような休暇有効期限の確認画面を端末装置200に提供してもよい。
【0072】
2.2.休日出勤に伴う代休の付与処理
図6は、休日出勤に伴う代休の付与処理を説明するための図である。休暇付与データ作成部102bは、代休付与条件マスタ106bを参照し、休日出勤対象者の休日出勤日を基準として代休の前期間/後期間設定を元に代休付与データを作成する。代休の付与日数は、1日固定とするか、別途、代休付与条件マスタ106bの設定により休日出勤日の労働時間に応じて半日/1日の分岐をすることも可能となっている。
【0073】
図6(A)は入力データの一例を示す図である。例えば、従業員の端末装置200から入力データが入力される。図6(A)に示す例では、従業員コード「A」、休日出勤日「2017/8/20」、予定労働時間「6時間」が入力される。
【0074】
図6(B)に示すように、代休付与条件マスタ106bの代休期間区分が「不可」となっているので、休暇付与データの有効期間開始日=休日出勤日「2017/8/20」とし、有効期間終了日=休日出勤日(2017/8/20)の2月後の月(2017/10)の末日=2017/10/31とする。また、予定労働時間(6時間)であるので、代休付与条件マスタ106bを参照して、代休付与条件(終日)(7時間)>予定労働時間(6時間)>代休付与条件(半日)(3時間)であるので、代休付与条件マスタ106bを参照して、代休付与条件(半日)「3時間」を取得して、図6(C)に示すような休暇付与データを作成する。
【0075】
図6(C)に示す例において、3行目は付与ID「XXX3」、従業員コード「A」、付与日「2017/6/10」、残管理区分「代休」、有効期間開始日「2017/6/10」、有効期間終了日「2017/8/31」、付与日数「1.0」は、2017/6/10の休日出勤に伴って既に追加されたデータである。
【0076】
4行目は、2017/8/20の休日出勤に伴い今回追加(作成)されたデータであり、付与ID「XXX4」、従業員コード「A」、付与日「2017/8/20」、残管理区分「代休」、有効期間開始日「2017/8/20」、有効期間終了日「2017/10/31」、付与日数「0.5」となっている。なお、代休前期間区分≠不可の場合、有効期間開始日<付与日となる場合がある。
【0077】
図6(D)は、図6(C)に示す休暇付与データに基づいた休暇付与イメージ(休暇有効期限の確認画面)を示す図である。図6(D)では、6月10日出勤分の代休の有効期間と、8月20日出勤分の代休の有効期間とが表示されている。例えば、休暇付与データ作成部102bは、端末装置200からのリクエストに応じて、図6(D)に示すような休暇有効期限の確認画面を端末装置200に提供してもよい。
【0078】
2.3.休暇残割当処理の実行
2.1.の年次有給休暇の有効期限開始日、または、2.2.の代休の有効期限開始日以降に先に休暇取得予定がある場合、休暇の取得順番が変わる可能性があるため、後述の休暇残割当処理を、有効期限開始日を基準として実行する。
【0079】
(休暇取得処理)
図7は、休暇取得データ作成部102cにより実行される休暇取得処理の具体例を説明するための図である。図7を参照して、休暇取得処理の具体例を説明する。
【0080】
3.休暇取得時の動作
休暇の取得は、従業員の端末装置200からの申請等により行う。例えば、従業員の端末装置200の休暇申請画面から従業員コード、休暇取得日、休暇種別、申請理由等の休暇申請データを入力して、休暇残割当管理装置100に送信する。休暇取得データ作成部102cは、休暇申請データが入力されると、休暇種別マスタ106cを参照して、休暇取得データを作成する。具体的には、休暇種別をキーとして、休暇種別マスタ106cから残管理区分、取得日数を取得して、入力データ(従業員コード、休暇取得日、休暇種別、申請理由)と休暇種別マスタ106cから取得した残管理区分、取得日数に基づいて休暇取得データを作成する。
【0081】
例えば、図7(A)に示すように、今回、従業員コード「A」、休暇取得日「2017/8/22」、休暇種別「終日有休」、申請理由「通院のため」の休暇申請の入力データの場合、図7(B)に示すように、休暇種別「終日有休」をキーとして、休暇種別マスタ106cから残管理区分「年次有給休暇」、取得日数「1.0」を取得する。そして、図7(C)に示すように、休暇取得データとして、取得ID「YYY8」、従業員コード「A」、休暇取得日「2017/8/22」、休暇種別「終日有休」、残管理区分「年次有給休暇」、取得日数「1.0」、及び申請理由「通院のため」が作成される。
【0082】
なお、将来の休暇取得予定が休暇の取得順番で変わる可能性があるため、後述の休暇残割当処理の休暇取得日を基準として実行する。
【0083】
(休暇残割当処理)
図8図24は、休暇残割当データ作成部102dにより実行される休暇残割当処理の具体例を説明するための図である。図8図24を参照して、休暇残割当処理の具体例を説明する。
【0084】
4.休暇残割当処理
休暇残割当処理では、休暇付与データと休暇取得データの割当(紐付)を行い、休暇残割当データを作成する。休暇残割当データによって、休暇付与データから休暇取得分の残日数が減り、有効期限を考慮した残日数のチェックが可能となる。
【0085】
図8は、休暇残割当データの一例を示す図である。2017/8/22の終日有休を申請する前の割当済み状態を示している。
【0086】
休暇残割当データは、割当ID、従業員コード、残管理区分、付与ID、付与日、有効期間開始日、有効期間終了日、付与日数、取得ID、休暇取得日、取得日数、割当日数、割当連番、割当後残日数のデータを含んでいる。
【0087】
割当ID、従業員コード、残管理区分は、割当のキー情報となる。「付与ID、付与日、有効期間開始日、有効期間終了日、付与日数は、休暇付与データから取得する情報である。「取得ID」、「休暇取得日」、「取得日数」は、休暇取得データから取得する情報である。割当日数、割当連番、及び割当後残日数は、割当情報である。
【0088】
ここで、割当情報について説明する。「割当連番」は、同じ休暇付与データに割り当てた休暇取得データの割当順序を示し、取得日が早い順に連番を振る。例えば、同一日にAM有休とPM有休のように複数取得した場合は時系列が早い方を優先する。「割当日数」は、休暇データの付与日数から、休暇取得データに割り当てた日数である。「割当後残日数」は、同じ休暇付与データに割り当てられた休暇取得データのうち、割当連番が自分の番号以下の割当日数の合計を、付与日数から控除した残日数である。休暇を取得するにつれて減少し、「0」になるとその休暇付与データはそれ以上割当不可となる。
【0089】
取得ID、取得日数がNULLの行のデータを「自然消滅データ」と称する。この自然消滅データは、未取得の休暇が有効期限終了日に消滅することを意味する特別な割当データである。
【0090】
図9は、休暇付与データ及び休暇取得データと、休暇残割当データのイメージを示す図である。同一の従業員区分・休暇残管理区分の休暇付与データと休暇取得データを紐付けした結果、有効期限終了日が最も早い休暇付与データを優先して紐付ける。
【0091】
4.1.入力データ
休暇残割当処理は、休暇付与データの追加/削除や休暇取得データの追加/削除を起点とし、再割当が必要な期間で行う。入力データとして、従業員コード、休暇残管理区分、基準日を受け取る。より具体的には、休暇付与データ作成部102bは、休暇付与データを追加/削除した場合に、その従業員コード、休暇残管理区分、及び基準日を休暇残割当データ作成部102dに通知する。
【0092】
(1)休暇付与データが登録または削除された場合、該当データの有効期間開始日を基準日とする。
図10(A)に示すように、休暇付与データとして、今回、付与ID「XXX2」、従業員コード「A」、付与日「2017/4/1」、残管理区分「年次有給休暇」、有効期間開始日「2017/4/1」、有効期間終了日「2019/3/31」、付与日数「18.0」が作成された場合、有効期間開始日「2017/4/1」を基準日とする。
【0093】
(2)休暇取得データが登録または削除された場合、該当データの休暇取得日を基準日とする。
図10(B)に示すように、休暇取得データとして、今回、取得ID「YYY8」、従業員コード「A」、休暇取得日「2017/8/22」、休暇種別「終日有休」、残管理区分「年次有給休暇」、取得日数「1.0」、申請理由「通院のため」が作成された場合、休暇取得日「2017/8/22」を基準日とする。
【0094】
図10(C)に示すように、(2)の場合の入力データは、従業員コード「A」、残管理区分「年次有給休暇」、基準日「2017/8/22」となる。
【0095】
4.2.休暇残割当データから、従業員コードおよび残管理区分が入力データと同一で、かつ休暇取得日≧基準日となるデータを削除する。休暇付与データ又は休暇取得データの変動により、再割当の計算が必要となる期間を一旦クリアする。
【0096】
図11は、休暇残割当データの再割当の計算が必要となる期間を一旦削除する例を説明するための図である。
【0097】
図11に示す休暇残割当データのうち、従業員コード「A」、残管理区分「年次有給休暇」、かつ、休暇取得日≧基準日「2017/8/22」となるのは、割当ID「ZZZ5」~「ZZZ8」であるので、これらのデータを一旦削除する。
【0098】
4.3.休暇付与データから、従業員コードおよび残管理区分が入力データと同一で、かつ基準日≦有効期間終了日となるデータを取得する。再割当の計算が必要となる期間に該当する割当候補付与データの一覧を作成する。
【0099】
図12は、再割当の計算が必要となる期間に該当する割当候補付与データの一覧を作成する例を説明するための図である。
【0100】
図12(A)に示す休暇付与データのうち、従業員コード「A」、残管理区分「年次有給休暇」、かつ、基準日「2017/8/22」≦有効期間終了日となるのは、付与ID「XXX1」、「XXX2」であるので、図12(B)に示すように、これらのデータを割当候補付与データとして抽出して、有効期間終了日が早い順に並び替える。
【0101】
4.4.休暇残割当データから、付与IDが割当候補付与データと同一で、「割当連番」が最大値となるデータを取得し、割当後残日数をセットする。
【0102】
基準日以降の休暇残割当データは削除されているため、「割当連番」が最大のデータの「割当後残日数」が、基準日以降に割り当て可能な残日数を意味する。割当後残日数を保持していることにより、再計算の効率化が可能になる。また、後述の残をチェックする照会画面等にも効果がある。
【0103】
図13(A)に示すように、休暇残割当データの割当ID「ZZZ4」のデータ(4行目)の付与ID「XXX1」が図12(B)の割当候補付与データと同一で、「割当連番」が最大値「4」となるので、このデータを取得して、図13(B)に示すように、割当候補付与データの付与ID「XXX1」に、割当連番「4」、割当後残日数「12.5」をセットする。なお、付与ID「XXX2」のように、休暇残割当データに存在しない場合、割当連番を「0」、割当後残日数=付与日数とする。
【0104】
4.5.休暇取得データから、従業員コードと休暇残管理区分が入力データと同一で、休暇取得日≧基準日となるデータを取得する。図14は、休暇取得データから割当計算対象データを抽出する例を説明するための図である。
【0105】
図14(A)に示す休暇取得データにおいて、取得ID「YYY8」のデータが今回追加されたデータであり、従業員コード「A」と休暇残管理区分「年次有給休暇」が入力データと同一で、休暇取得日≧基準日「2017/8/22」となるのは、取得ID「YYY8」、「YYY6」、「YYY7」のデータである。
【0106】
図14(B)に示すように、休暇取得データから取得ID「YYY8」、「YYY6」、「YYY7」のデータを割当計算対象データとして抽出して、休暇取得日が早い順に並び替える。なお、同一日にAM有休とPM有休のように複数取得した場合は時系列が早い方を優先する。
【0107】
つぎに、図15図22を参照し、上記図12図14で抽出した割当計算対象データ及び割当候補付与データを使用した休暇残割当データの再割当について説明する。図15は、割当計算対象データ及び割当候補付与データを使用した休暇残割当データの再割当を説明するためのフローチャートである。図16図22は、休暇残割当データの再割当の具体例を示す図である。
【0108】
図15において、まず、割当エラーデータを初期化する(ステップS11)。つぎに、割当計算対象データの1行目から順に読み込む(ステップS12)。割当候補付与データを1行目から順に読み込む(ステップS13)。現行の割当候補付与データが、有効期間開始日≦休暇取得日≦有効期間終了日、かつ、割当後残日数>0であるか否かを判断する(ステップS14)。現行の割当候補付与データが、有効期間開始日≦休暇取得日≦有効期間終了日、かつ、割当後残日数>0でない場合には(ステップS14の「No」)、ステップS18に移行して、割当候補付与データの次の行があるか否かを判断する。割当候補付与データの次の行がある場合には(ステップS18の「Yes」)、ステップS13に戻り、割当候補付与データの次の行を読み出して、同じ処理を繰り返し行う。現行の割当候補付与データが、有効期間開始日≦休暇取得日≦有効期間終了日、かつ、割当後残日数>0の場合(ステップS14の「Yes」)、現行の割当計算対象データの「取得日数」のうち、現行の割当候補付与データの割当後残日数の範囲内で休暇残割当データを作成する(ステップS15)。次に、休暇残割当データを追加した場合、割当計算対象データ・割当候補付与データを更新する(ステップS16)。
【0109】
つづいて、現行の割当計算対象データの取得日数>0であるか否かを判断する(ステップS17)。現行の割当計算対象データの取得日数>0でない場合(ステップS17の「No」)、すなわち、現行の割当計算対象データの取得日数の割当が完了した場合には、割当計算対象データに次の行があるか否を判断する(ステップS20)。割当計算対象データに次の行がある場合には(ステップS20の「Yes」)、ステップS12に戻り、割当計算対象データの次の行を読み出して、同じ処理を繰り返し行う。割当計算対象データに次の行がない場合には(ステップS20の「No」)、処理を終了する。
【0110】
現行の割当計算対象データの取得日数>0である場合は(ステップS17の「Yes」)、割当候補付与データに次の行があるか否を判断する(ステップS18)。割当候補付与データに次の行がある場合には(ステップS18の「Yes」)、ステップS13に戻り、割当候補付与データの次の行を読み出して、現行の割当計算対象データの取得日数=0となるまで、同じ処理を繰り返し行う。
【0111】
割当候補付与データに次の行がない場合には(ステップS18の「No」)、すなわち、全ての割当候補付与データを処理した後も、現行の割当計算対象データの取得日数>0の場合は、割当エラーデータを作成する(ステップS19)。
【0112】
4.6.割当計算対象データを順番に読み込み、以下の処理を行う(図16)。
STEP0:割当データの初期化を行う。図16(A)に示すように、割当エラーデータ(後述の、割当時の超過データ)に該当の取得IDが存在する場合は、削除する。
【0113】
STEP1:1行目
図16(B)に示すように、割当計算対象データの1行目(取得ID「YYY8」のデータ)を読み込む。割当計算対象データの各行の「取得日数」を割当候補付与データに割り当てるために、以下の処理を行う。
【0114】
4.6.1.割当候補付与データを読み込み、以下の処理を行う(図17)。
STEP1-1:1行目
図17において、割当候補付与データの1行目(付与ID「XXX1」のデータ)を読み込む。
【0115】
4.6.1.1.有効期間開始日≦休暇取得日≦有効期間終了日、かつ、割当残日数>0の場合、取得日数のうち、割当後残日数の範囲内で休暇残割当データを作成する。
例えば、1行目の割当候補付与データの付与「XXX1」は、有効期間開始日「2016/4/1」≦休暇取得日「2017/8/22」≦有効期間終了日「2018/3/31」、かつ、割当後残日数「12.5」>0となっているので、割当計算対象データの取得ID「YYY8」の取得日数「1.0」のうち、割当後残日数「12.5」の範囲内で休暇残割当データを作成する。
【0116】
ここで、休暇残割当データの「割当日数」は、取得日数のうち、割当後残日数以下の日数とする。ただし、取得日数>割当後残日数の場合、すべてを割り当て切れないため、残りはSTEP1-2以降で後続の付与データから割り当てる。また、「割当連番」は、割当候補付与データの現在の割当連番+1とする。また、「割当後残日数」は、割当候補付与データの現在の割当後残日数-今回追加行の割当日数とする。
【0117】
図17に示す例では、休暇残割当データの割当ID「ZZ11」を追加し、その割当日数「1.0」、割当連番「5(=4+1)」、及び割当後残日数「11.5(=12.5-1.0)」とする。
【0118】
4.6.1.2.休暇残割当データを追加した場合、割当計算対象データ・割当候補付与データを更新する。
【0119】
図18(A)に示すように、割当計算対象データの取得ID「YYY8」の取得日数を、1.0→0.0に減算する。また、図18(B)に示すように、割当候補付与データの付与ID「XXX1」の割当連番を4→5にインクリメントし、割当後残日数を12.5→11.5に減算する。
【0120】
STEP1-2:現在の割当計算対象データの取得日数>0の場合、2行目以降の割当候補付与データについての、STEP1-1の処理を繰り返し行う。
【0121】
図18に示す例では、割当計算対象データの1行目の取得ID「YYY8」の取得日数は「0.0」となるので、1行目の処理は終了となる。
【0122】
STEP1-3:全ての候補付与データを処理した後も、現在の割当計算対象データの取得日>0の場合、割当エラーデータを作成する(図19)。
通常、休暇取得時点で残日数が足りない場合は取得前のチェックにてエラーとなるが、次のようなケースでは事後的にエラーが発生するため、検知が必要となる。
【0123】
例1:休日出勤の申請後に、代休取得申請をしていたが、休日出勤をキャンセルした場合(休暇取得が残り、休暇付与が消えた状態になる)。
【0124】
この場合、想定する対応としては、別の休日出勤予定がある場合は、登録により解消したり、当初代休日を、有給休暇に振り替えることにしてもよい。
【0125】
例2:当初の代休予定日より前に別の代休取得を割り込みで申請した結果、当初の代休に割り当て可能な付与がなくなった場合。
この場合、想定する対応としては、別の休日出勤予定がある場合は、登録により解消したり、当初代休日を、有給休暇に振り替えることにしてもよい。
【0126】
上記のようなオペレーションを事前チェックして禁止してしまうと、休暇取得の操作が難しくなり迅速な取得を阻害してしまうため望ましくない。そこで、本実施の形態では、事前に入力エラーにはせず、計算過程でエラーデータを生成しておき、後述のアラート検知で担当者および上長・勤怠管理者が把握できるようにし、想定する対応に記載したような事後的な解消手段を提供する。
【0127】
図20(A)に示すように、割当計算対象データの「取得日数」の未割当の残日数がエラーとなる。また、図20(B)に示すように、割当エラーデータについては、STEP1-1~1-2の記載例では、すべて割当可能なためエラーとならない。
【0128】
STEP2:割当計算対象データの2行目以降について、STEP1の処理を繰り返し行う。割当計算対象データの1~3までの処理結果を図21に示す。図21において、割当計算対象データの1行目の「YYY8」については上述した通りである。次に、割当計算対象データの2行目の「YYY6」の取得日数「1.0」のうち、割当候補付与データの1行目の付与「XXX1」の割当後残日数「11.5」の範囲内で休暇残割当データを作成し、休暇残割当データの割当ID「ZZ12」を追加し、その割当日数「1.0」、割当連番「6(=5+1)」、及び割当後残日数「10.5(=11.5-1.0)」とする。
【0129】
割当計算対象データの取得ID「YYY6」の取得日数を、1.0→0.0に減算する。また、割当候補付与データの付与ID「XXX1」の割当連番を5→6にインクリメントし、割当後残日数を11.5→10.5に減算する。
【0130】
さらに、割当計算対象データの3行目の「YYY7」の取得日数「1.0」のうち、割当候補付与データの1行目の付与「XXX1」の割当後残日数「10.5」の範囲内で休暇残割当データを作成する。具体的には、休暇残割当データの割当ID「ZZ13」を追加し、その割当日数「1.0」、割当連番「7(=6+1)」、及び割当後残日数「9.5(=10.5-1.0)」とする。
【0131】
割当計算対象データの取得ID「YYY7」の取得日数を、1.0→0.0に減算する。また、割当候補付与データの付与ID「XXX1」の割当連番を6→7にインクリメントし、割当後残日数を10.5→9.5に減算する。
【0132】
4.7.割当候補付与データから自然消滅レコードを抽出し、休暇残割当データに自然消滅分の割り当てを追加する(図22)。有効期限時点で割当データに明示的に消滅を記録することで、休暇残割当データをチェックすればすべての休暇の取得可能残日数が把握可能となる(後述)。
【0133】
自然消滅データの取得ID・取得日数は「NULL」とし、割当日数は割当候補付与データの割当後残日数、割当後残日数は「0」とする。自然消滅データにより、有効期間終了日時点で必ず残が「0」となる。
【0134】
つぎに、上記のように構成されたシステムによる具体例を説明する。
【0135】
図23は、代休の残日数が足りない状態で代休を取得しようとした場合の例を説明するための図である。
【0136】
図23(A)に示すように、休暇付与データの付与ID「XXX3」では、付与日「2017/6/10」の代休が「1.0」日付与されている。
【0137】
図23(B)に示すように、休暇取得データの取得ID「YYY5」で休暇取得日「2017/7/18」に半日代休「0.5」を取得し、さらに、取得ID「YYY9」で休暇取得日「2017/8/27」に終日代休「1.0」を取得しているため、0.5日超過している。この場合は、図20(C)に示すように、休暇残割当データの割当ID「ZZ16」において、割当日数「0.5」、割当後残日数「0.0」とする。
【0138】
そして、割当エラーデータで、取得ID「YYY9」について、超過分の日数を「超過日数」として、「0.5」とする。
【0139】
図24は、休日出勤の追加により、代休の残日数が足りない状態が解消する場合の例を説明するための図である。
【0140】
図24(A)に示すように、休暇付与データの付与ID「XXX4」では、2017/8/20の休日出勤分の代休が「0.5日」付与される。
【0141】
図24(B)に示すように、休暇取得データの取得ID「YYY9」では、2017/8/27に、終日代休「1.0日」を取得しており、0.5日超過している。
【0142】
この場合は、図24(C)に示すように、休暇残割当データの割当ID「ZZ17」において、付与ID「XXX4」で超過していた割当日数「0.5」を割り当て、超過を解消する。このように、1つの休暇取得を複数の休暇付与データに分割することができる。
【0143】
図24(D)に示すように、超過していた割当日数「0.5」が付与され、付与ID「XXX4」に割当られ、超過が解消するため、割当エラーデータは追加されず、STEP0にて削除されたままとなる。
【0144】
5.休暇取得時のチェック(図25
休暇取得の申請時点で、休暇残日数の不足チェックや、ほかの優先的に取得すべき休暇の警告、登録後の割当エラーの表示を行う。
【0145】
5.1.申請日時点で取得可能な休暇残があるかのチェック
休暇残割当データから、付与ID単位で「有効期間開始日≦休暇取得日≦有効期間終了日」かつ、「休暇取得日≧申請日」となる「割当連番が最小」の行を取得する。休暇取得データあり、かつ、(割当日数+割当後残日数)の合計≧取得日数の場合はOKとし、以外はNGとする。ここで、申請日は休暇取得日の意味であり、休暇申請の入力データの休暇取得日(申請日)である。図25は、休暇取得時のチェックを説明するための図である。
【0146】
例えば、図25において、入力データが従業員コード「A」、休暇取得日「2017/8/22」、休暇種別「終日代休」の場合について説明する。以下、休暇取得日(申請日)が「2017/7/10」、「2017/8/25」、「2017/11/6」のそれぞれの場合について説明する。
【0147】
CASE1:申請日が7/10の場合は、割当ID「ZZZ9」の取得ID「YYY5」は、割当連番「1」、割当日数「0.5日」、割当後残「0.5日」であり、可能残合計=1.0となるので、取得可能である。
【0148】
CASE2:申請日が8/25の場合は、割当ID「ZZ10」の取得ID「NULL(自然消滅)」は、割当連番「2」、割当日数「0.5日」、割当後残「0.5日」であり、可能残=0.5となる。また、割当ID「ZZ17」の取得ID「NULL(自然消滅)」は、割当連番「1」、割当日数「0.5日」、割当後残「0.5日」であり、可能残=0.5となる。申請している日の直後の割当データの割当後残日数を加算すると割当前残=今回取得可能残となる。このように、可能残合計=1.0となるので、取得可能である。
【0149】
CASE3:申請日が11/6の場合は、付与ID「XXX3」、「XXX4」の有効期限後であり、可能残合計=0となるので、取得することができない。
【0150】
ポイントは、休暇未取得の残がある場合、必ず有効期限終了日に自然消滅データが存在する。従って、申請日以降の直近割当データから現時点の残を必ず計算することができる。
【0151】
なお、休暇の割り込み取得により、将来の休暇取得が残不足になる場合のエラーはここではチェックしない。後述の割当エラー表示、アラート通知にて行う。
【0152】
5.2.申請日時点で取得可能な別の休暇残のうち、有効期間終了日が早く終了するものがあるかのチェック(図26)。
【0153】
5.2.1.申請されている休暇種別と残管理区分が同一の休暇残割当データから、直近の有効期間終了日を取得する。休暇残割当データから、付与ID単位で「有効期間開始日≦休暇取得日≦有効期間終了日」かつ、「休暇取得日≧申請日」となる「割当連番が最小」の行を取得する。取得データあり、かつ、(割当日数+割当後残日数)の合計≧取得日数の場合はOKとし、そのうち有効期間終了日が小さい方を取得する。
【0154】
例えば、図26において、入力データが従業員コード「A」、休暇取得日「2017/10/20」、休暇種別「AM有休」の場合について説明する。付与ID「XXX1」は、有効期間終了日「2018/3/31」である。割当ID「ZZ14」の取得ID「NULL(自然消滅)」は、割当連番「8」、割当日数「9.5日」、割当後残「0日」であり、可能残=9.5となる。他方、付与ID「XXX2」は、有効期間終了日「2019/3/31」である。割当ID「ZZ15」の取得ID「NULL(自然消滅)」は、割当連番「1」、割当日数「18日」、割当後残「0.0日」であり、可能残=18となる。
【0155】
この場合は、有効期限終了日が小さい方の、付与ID「XXX1」の休暇を取得する。
【0156】
5.2.2.申請されている休暇種別と残管理区分が異なる休暇残割当データから、直近の有効期間終了日を取得(図27
休暇残割当データから、付与ID単位で「有効期間開始日≦休暇取得日≦有効期間終了日」かつ、「休暇取得日≧申請日」となる「割当連番が最小」の行を取得する。取得データありの場合、そのうち有効期間終了日<5.1.1.で取得した有効期間終了日を取得する。有効な休暇データが見つかった場合は、確認メッセージを表示し、別の休暇の取得を促す。
【0157】
図27において、申請が10/20の場合は、付与ID「XXX3」の場合は、有効期限終了日「2017/8/31」であり、有効期限後であるので、該当しない。他方、付与ID「XXX4」の場合は、有効期限終了日「2017/10/31」であり、割当ID「ZZ17」の取得ID「NULL(自然消滅)」は、割当連番「1」、割当日数「0.5日」、割当後残「0日」であり、可能残=0.5となり取得可能である。
【0158】
このように、有効な休暇が見つかった場合は、確認メッセージを通知(表示)して、切り替えを促してもよい。同図に示す確認メッセージの例では、「有効期限終了が近い別の休暇がありますがよろしいですか?」との表示と、その残管理区分、有効期限終了日、及び残日数とが表示されている。
【0159】
5.3.割当エラーデータがあるかのチェック(図28
例えば、図28において、入力データが従業員コード「A」、休暇取得日「2017/8/22」、休暇種別「終日代休」の場合について説明する。休暇申請及び休暇残割当処理後、休暇種別と残管理区分が同一の割当エラーデータを取得する。
【0160】
割当エラーデータが存在する場合は、警告メッセージを通知(表示)する。同図に示す警告メッセージでは、「取得可能な日数を超過している休暇があります。別の休暇に振替を行って下さい」との表示と、その休暇種別、休暇取得日、及び超過日数とが表示されている。
【0161】
6.本人、上長などへのアラート表示(図29
有効期限が近い休暇残、取得可能な日数を超過している休暇をアラート表示し、対応を促す。
【0162】
休暇未取得の残がある場合、必ず有効期限終了日に自然消滅の休暇残割当データが存在する。これを利用して、何時の休暇が消滅するかを、従業員本人、上長、管理者が即座に確認できる。
【0163】
6.1.有効期限が近い休暇のアラート
例えば、以下の取得条件に該当する場合に、有効期限が近い休暇のアラートを通知(表示)し、対応を促してもよい。
【0164】
取得条件:今日の日付の月初日≦有効期間終了日≦今日の日付の月末日、かつ、割当連番が最大の行、かつ、取得ID=NULL(自然消滅)で割当日数>0のデータ(消滅日数があるもの)
【0165】
有効期限が近い休暇のアラートの例では、ログインメニューにおいて、通知エリアに、「今月中が取得期限の休暇残があります。(2017/8/31期限 代休 残0.5日)」が表示されている。
【0166】
6.2.取得可能な日数の超過アラート
例えば、以下の取得条件に該当する場合に、取得可能な休暇の日数を超過している旨のアラートを通知(表示)し、対応を促してもよい。
【0167】
取得条件:休暇取得日≧今日の日付の月の一日
【0168】
取得可能な日数の超過アラートの例では、ログインメニューにおいて、通知エリアに、「取得可能な日数を超過している休暇があります。(2017/8/27 代休 超過0.5)」が表示されている。
【0169】
以上説明したように、本実施の形態によれば、休暇発生のイベント毎に、付与ID、従業員コード、休暇の付与日、有休又は代休を指定する残管理区分、休暇の有効期間開始日、休暇の有効期間終了日、及び休暇の付与日数のデータを含む休暇付与データを作成する休暇付与データ作成部102bと、休暇申請を受け取る毎に、取得ID、従業員コード、休暇取得日、半日又は全日の休暇を指定する休暇種別、有休又は代休を指定する残管理区分、及び取得日数のデータを含む休暇取得データを作成する休暇取得データ作成部102cと、割当IDを含み、前記休暇付与データと前記休暇取得データとを紐付け、消滅期限が早い休暇から優先的に取得するための休暇残割当データを作成する休暇残割当データ作成部102dとを備えているので、消滅期限が早い休暇から優先的に取得することが可能となる。
【0170】
また、本実施の形態によれば、休暇残割当データは、前記休暇付与データの付与日数に休暇取得データの取得日数を割り当てた割当日数を、当該付与日数から減算した割当後残日数を含むこととしたので、特定日時点で有効な休暇残日数を即時に把握することが可能となる。
【0171】
また、本実施の形態によれば、休暇残割当データは、未取得の休暇が有効期限終了日に消滅することを示す自然消滅データを含むこととしたので、特定期間に消滅する休暇残日数を即時に把握することが可能となる。
【0172】
また、本実施の形態によれば、休暇申請段階で、休暇残割当データを参照して、複数の残管理区分からより期限の短い優先度の高い休暇を通知するメッセージ通知部102eを備えているので、複数の残管理区分からより期限の短い優先度の高い休暇を判別して取得を促すことが可能となる。
【0173】
また、本実施の形態によれば、休暇残割当データを参照して、有効期限が近い休暇残、及び/又は、取得可能な日数超過している休暇申請にアラートを通知するアラート通知部102fを備えているので、有効期限が近い休暇残等を警告することが可能となる。
【0174】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0175】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0176】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0177】
また、休暇残割当管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0178】
例えば、休暇残割当管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて休暇残割当管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0179】
また、このコンピュータプログラムは、休暇残割当管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0180】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0181】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0182】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0183】
また、休暇残割当管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、休暇残割当管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0184】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0185】
1 休暇残割当管理装置
102 制御部
102a マスタ設定部
102b 休暇付与データ作成部
102c 休暇取得データ作成部
102d 休暇残割当データ作成部
102e メッセージ通知部
102f アラート通知部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 有休付与表マスタ
106b 代休付与条件マスタ
106c 休暇種別マスタ
106d データファイル
112 入力装置
114 出力装置
200 端末装置
300 ネットワーク
図1
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