(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】肝線維症を治療する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/444 20060101AFI20240207BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240207BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240207BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20240207BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
A61K31/444
A61P1/16
A61P29/00
A61P29/02
A61P43/00 105
A61P43/00 111
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022191906
(22)【出願日】2022-11-30
(62)【分割の表示】P 2018563453の分割
【原出願日】2017-06-02
【審査請求日】2023-01-04
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502129656
【氏名又は名称】ケモセントリックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】ミヤオ,ジェンホワ
(72)【発明者】
【氏名】チャロ,イスラエル
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-533203(JP,A)
【文献】国際公開第2016/040860(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/444
A61P 1/16
A61P 29/00
A61P 29/02
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の肝線維症を治療するための医薬組成物であって、式I:
【化1】
(式中、
R
1が、ハロゲンまたはC
1~6アルキルであり、
R
2が、水素、ハロゲン、C
1~6アルキル、C
1~6アルコキシ、C
1~6ハロアルキル、C
1~6ハロアルコキシ、または-CNであり、
R
3が、水素、ハロゲン、またはC
1~6アルキルであり、
R
4が、水素、ハロゲン、またはC
1~6アルキルであり、
各R
5が、独立して、C
1~6アルキル、-OH、または-NH
2であり、
nが、0、1、2、または3であり、
A
1、A
2、およびA
3の各々が、-CH-または-N-であり、ここでA
1、A
2、またはA
3のうちの少なくとも1つは-N-である)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項2】
R
1が、ハロゲンまたはメチルであり、
R
2が、ハロゲンまたはC
1~6ハロアルキルであり、
R
3が、ハロゲンまたはC
1~6アルキルであり、
R
4が、水素であり、
nが、0であり、
A
2が、-CH-であり、
A
3が、-N-である、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
化合物が、下記:
【化2】
または、その薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
化合物が、下記:
【化3】
または、その薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
化合物が、下記:
【化4】
または、その薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
肝線維症が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に関連する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
肝線維症が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に関連する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
肝線維症が、新生硬変、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、胆道閉鎖症、胆汁うっ滞性肝疾患、慢性肝疾患、C型肝炎感染症、アルコール性肝疾患、高コレステロール血症、および高脂血症のうちの1つまたは複数に関連する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
肝線維症が非硬変性肝線維症である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
NASHが2型糖尿病(T2DM)に関連する、請求項
6に記載の医薬組成物。
【請求項11】
NASHが代謝症候群(MS)に関連する、請求項
6に記載の医薬組成物。
【請求項12】
該治療が患者に1つまたは複数の追加の治療用化合物を投与することを更に含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
1つまたは複数の追加の治療用化合物が、ナトリウム・グルコーストランスポーター2阻害剤、グルカゴン様ペプチド1アゴニスト、ガレクチン3阻害剤、トランスアミナーゼ刺激剤、IL-10アゴニスト、インスリン感受性改善薬、PPARガンマアゴニスト、甲状腺ホルモン受容体ベータアゴニスト、カスパーゼ阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、PPARアルファアゴニスト、PPARデルタアゴニスト、PPARアゴニスト、ファルネソイドX受容体アゴニスト、二重TGR5/FXRアゴニスト、リジルオキシダーゼ相同体2阻害剤、MEKK-5プロテインキナーゼ阻害剤、メチルCpG結合タンパク質2モジュレーター、トランスグルタミナーゼ阻害剤、ミエリン塩基性タンパク質刺激剤、クロライドチャネル刺激剤、CCR3ケモカインアンタゴニスト、CCR5ケモカインアンタゴニスト、アンジオテンシンII AT-1受容体アンタゴニスト、SREBP転写因子1阻害剤、PDGF受容体ベータモジュレーター、FGF-21リガンド、IL-17アンタゴニスト、rho関連プロテインキナーゼ2阻害剤、回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ1阻害剤、FGF1受容体アゴニスト、klothoベータ刺激剤、結合組織増殖因子リガンド阻害剤、リポタンパク質リパーゼ阻害剤、SREBP転写因子阻害剤、FGF-19リガンド、CD3アンタゴニスト、カベオリン1阻害剤、アミリン受容体アゴニスト、カルシトニンアゴニスト、NAD依存性デアセチラーゼサーチュイン刺激剤、PDE 5阻害剤、NADPHオキシダーゼ1阻害剤、NADPHオキシダーゼ4阻害剤、NADPHオキシダーゼ阻害剤、肝細胞増殖因子アゴニスト、インテグリンアルファV/ベータ6アンタゴニスト、TGFベータアンタゴニスト、NAD依存性デアセチラーゼサーチュイン刺激剤、ニコチン酸受容体1アゴニスト、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ刺激剤、膜銅アミンオキシダーゼ阻害剤、リボソームタンパク質S6キナーゼ1阻害剤、高移動度グループタンパク質B1阻害剤、TLR-4アンタゴニスト、カテプシンB阻害剤、肝細胞増殖因子リガンド、インターフェロンガンマリガンド、ACE阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、またはこれらの薬学的に許容される塩のうちの1つもしくは複数から選択される、請求項
12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
1つまたは複数の追加の治療用化合物が、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、二重TGR5/FXRアゴニスト、PPARアルファアゴニスト、PPARガンマアゴニスト、PPARデルタアゴニスト、またはこれらの薬学的に許容される塩のうちの1つもしくは複数から選択される、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
1つまたは複数の追加の治療用化合物が、ダパグリフロジン・プロパンジオール、ダパグリフロジン、リラグルチド、GR-MD-02、セマグルチド、セニクリビロック、F-351、peg-イロデカキン、イプラグリフロジン、ウルソデオキシコール酸、コレセベラム、ピオグリタゾン、VK-2809、エムリカサン、リナグリプチン、エラフィブラノール、DS-102、Px-102、Px-103、GS-4997、シムツズマブ、DUR-928、メルカプタミン、オレソキシム、コビプロストン、ベルチリムマブ、MDV-4463、イルベサルタン、GS-9674、BOT-191、MGL-3196、BMS-986171、PEG-FGF21、LJN-452、CF-102、KD-025、ボリキシバト、ボリキシバト・カリウムエタノレート水和物、アラムコール、チペルカスト、NGM-313、FG-3019、CAT-2003、NGM-282、TRX-318、IONIS-DGAT2Rx、IMM-124-E、RG-125、ノルウルソデオキシコール酸、KBP-042、ロイシン、メトホルミン、シルデナフィル、A-4250、GKT-831、BB-3、サログリタザル、BG-00011、アリポジーン・チパルボベック、MB-12066、ベタイン無水物、ARI-3037MO、HepaStem、PXS-4728A、CIGB-500、オルチプラズ、オメガ3カルボン酸、レモグリフロジンエタボネート、レモグリフロジン、LC-280126、JKB-121、DWP-10292、VBY-376、VBY-825、イコサペント酸エチルエステル、Fuzheng Huayuカプセル、インターフェロンガンマ、アセチルサリチル酸、ヒドロクロロチアジド、エナラプリル、アトルバスタチン、NC-101、TCM-606F、オベチコール酸、INT-767、GNF-5120、クリプトキノン-D、フェキサラミン、トリ(カプリル酸)グリセリル、エボグリプチン、GM-CT-01、高用量のビタミンE(>400iU/d)、またはこれらの薬学的に許容される塩のうちの1つもしくは複数から選択される、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
化合物がインスリン感受性を改善する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
化合物が耐糖性を改善する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項18】
化合物が肝臓のトリグリセリド蓄積を低下させる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
化合物がアラニンアミノトランスフェラーゼ(ATL)濃度を低下させる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
化合物がアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)濃度を低下させる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
化合物が肝臓のコラーゲン含有量を低下させる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項22】
化合物が肝臓のマクロファージ含有量を低下させる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項23】
化合物が脂肪組織のマクロファージ含有量を低下させる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
化合物が大網脂肪組織の含有量を低下させる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項25】
化合物が肝臓のコレステロールレベルを低下させる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項26】
化合物がビリルビンレベルを低下させる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項27】
化合物が肝線維症を低減する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項28】
患者の肝線維症を治療するための医薬の製造における化合物の使用であって、化合物が下記:
【化5】
または、その薬学的に許容される塩である、使用。
【請求項29】
患者の肝線維症を治療するための医薬の製造における化合物の使用であって、化合物が下記:
【化6】
または、その薬学的に許容される塩である、使用。
【請求項30】
患者の肝線維症を治療するための医薬の製造における化合物の使用であって、化合物が下記:
【化7】
または、その薬学的に許容される塩である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2016年6月3日に出願された米国仮特許出願第62/345,086号、表題「METHOD OF TREATING LIVER FIBROSIS」の特許法119条(e)下での利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、CCR2アンタゴニストによる肝線維症を治療する方法を記載する。肝線維症は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、新生硬変(emerging cirrhosis)、非硬変性肝線維症、2型糖尿病(T2DM)、または代謝症候群(MS)に関連し得る。
【背景技術】
【0003】
[0003]肝線維症は、大部分の種類の慢性肝疾患において発症する、コラーゲンを含む細胞外マトリックスタンパク質の過剰蓄積によって生じる。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓における脂肪の集積(脂肪浸潤と呼ばれる)によって特徴づけられる医学的状態である。NAFLD患者の85%までが、糖尿病または耐糖能障害を有する。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、肝臓炎症を伴う脂肪浸潤(脂肪性肝炎)がある、NAFLDの最も重症な形態である。NASHは、アメリカ人の2~5%が罹患している。
【0004】
[0004]NASHおよびNAFLDは、両方とも、おそらく肥満症の率が増加しているために、より一般的になりつつある。肥満症は、糖尿病および高血中コレステロールにも寄与しており、このことはNASHを有する人の健康を更に悪化させる可能性がある。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、新生硬変、非硬変性肝線維症、2型糖尿病(T2DM)、または代謝症候群(MS)に関連し得る肝線維症のより良い治療が、現在必要とされている。
【0005】
[0005]CCR2アンタゴニストは、米国特許第8,519,135号、同第7,622,583号、同第7,884,110号、および同第8,093,247号、ならびに米国特許公開第2006/0173019号に記載されている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示は、患者の肝線維症を治療する方法であって、式I:
【0007】
【0008】
(式中、
R1が、ハロゲンまたはC1~6アルキルであり、
R2が、水素、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、または-CNであり、
R3が、水素、ハロゲン、またはC1~6アルキルであり、
R4が、水素、ハロゲン、またはC1~6アルキルであり、
各R5が、独立して、C1~6アルキル、-OH、または-NH2であり、
nが、0、1、2、または3であり、
A1、A2、およびA3の各々が、-CH-または-N-であり、ここでA1、A2、またはA3のうちの少なくとも1つは-N-である)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0007]HFD/フルクトース誘発性NASHモデルにおける体重変化を説明する。
【
図2】[0008]HFD/フルクトース誘発性NASHモデルにおける血清ALTおよびASTレベルを示す。
【
図3】[0009]FHD/フルクトース誘発性NASHモデルにおいて、ビヒクルまたは化合物1で治療された動物のシリウスレッド染色肝臓切片の代表的な画像を示す。
【
図4】[0010]HFD/フルクトース誘発性NASHモデルにおいて、化合物1またはビヒクルで治療された動物のシリウスレッド染色の百分率を示す。
【
図5】[0011]MCD誘発性NASHモデルにおける血清ALTおよびASTレベルを示す。
【
図6】[0012]MCD誘発性NASHモデルにおいて、化合物1、CVC、またはビヒクルで治療された動物のシリウスレッド陽性域の百分率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
略語および定義
[0013]本開示の化合物、組成物、方法、および過程を記載するとき、以下の用語は、特に指示のない限り、以下の意味を有する。
【0011】
[0014]「アルキル」は、それ自体または別の置換基の一部として、指定された炭素原子の数を有する(すなわち、C1~8は、1~8個の炭素原子を意味する)、直鎖状、環状、もしくは分岐状、またはこれらの組合せであり得る炭化水素基を指す。アルキル基の例には、メチル、エチル、nープロピル、イソプロピル、nーブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどが含まれる。アルキル基は、特に指示のない限り、非置換である。置換アルキルの例には、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキルなどが含まれる。
【0012】
[0015]「アルコキシ」は、-O-アルキルを指す。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシなどが含まれる。
[0016]「アルケニル」は、直鎖状、環状、もしくは分岐状、またはこれらの組合せであり得る不飽和の炭化水素基を指す。2~8個の炭素原子を有するアルケニル基が好ましいが、アルケニルは、8個を超える炭素原子を有することができる。アルケニル基は、1、2、または3つの炭素-炭素二重結合を含有してもよい。アルケニル基の例には、エテニル、n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブタ-2-エニル、n-ヘキサ-3-エニル、シクロヘキセニル、シクロペンテニルなどが含まれる。アルケニル基は、特に指示のない限り、非置換である。
【0013】
[0017]「アルキニル」は、直鎖状、環状、もしくは分岐状、またはこれらの組合せであり得る不飽和の炭化水素基を指す。2~8個の炭素原子を有するアルキニル基が好ましい。アルキニル基は、1、2、または3つの炭素-炭素三重結合を含有してもよい。アルキニル基の例には、エチニル、n-プロピニル、n-ブタ-2-イニル、n-ヘキサ-3-イニルなどが含まれる。アルキニル基は、特に指示のない限り、非置換である。
【0014】
[0018]「アリール」は、単一環(単環式)または多重環(二環式)を有する多不飽和の芳香族炭化水素基を指し、一緒に融合し得る、または共有結合的に連結し得る。6~10個の炭素原子を有するアリール基が好ましく、この炭素原子数は、例えばC6~10と指定することができる。アリール基の例には、フェニル、およびナフタレン-1-イル、ナフタレン-2-イル、ビフェニルなどが含まれる。アリール基は、特に指示のない限り、非置換である。
【0015】
[0019]「ハロ」または「ハロゲン」は、それ自体または置換基の一部として、塩素、臭素、ヨウ素、またはフッ素原子を指す。
[0020]「ハロアルキル」は、置換アルキル基として、モノハロアルキルまたはポリハロアルキル基を指し、最も典型的には、1~3個のハロゲン原子で置換されている。例には、1-クロロエチル、3-ブロモプロピル、トリフルオロメチルなどが含まれる。
【0016】
[0021]「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、または硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(典型的には、1~5個のヘテロ原子)を含有する飽和または不飽和の非芳香族環を指す。ヘテロシクリル環は、単環式または二環式であり得る。好ましくは、これらの基は、0~5個の窒素原子、0~2個の硫黄原子、および0~2個の酸素原子を含有する。より好ましくは、これらの基は、0~3個の窒素原子、0~1個の硫黄原子、および0~1個の酸素原子を含有する。複素環基の例には、ピロリジン、ピペリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、1,4-ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-S,S-ジオキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3-ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、キヌクリジンなどが含まれる。好ましい複素環式の基は単環式であるが、アリールまたはヘテロアリール環系に融合または共有結合的に連結し得る。
【0017】
[0022]好ましい一実施形態において、複素環式基は、下記の式(AA)によって表すことができ、
【0018】
【0019】
ここで、式(AA)は、M1またはM2のいずれかの自由原子価(free valence)を介して結合しており、M1は、O、NRe、またはS(O)lを表し、M2は、CRfRg、O、S(O)l、またはNReを表し、lは、0、1、または2であり、jは、1、2、または3であり、kは、1、2、または3であり、ただし、j+kは、3、4,または5であることが条件であり、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、およびRgは、水素、ハロゲン、非置換または置換C1~8アルキル、非置換または置換C2~8アルケニル、非置換または置換C2~8アルキニル、-CORh、-CO2Rh、-CONRhRi、-NRhCORi、-SO2Rh、-SO2NRhRi、-NSO2RhRi -NRhRi、-ORh、-Q1CORh、-Q1CO2Rh、-Q1CONRhRi、-Q1NRhCORi、-Q1SO2R28、-Q1SO2NRhRi、-Q1NSO2RhRi、-Q1NRhRi、-Q1ORhからなる群から独立して選択され、Q1は、C1~4アルキレン、C2~4アルケニレン、およびC2~4アルキニレンからなる群から選択されるメンバーであり、RhおよびRiは、水素およびC1~8アルキルからなる群から独立して選択され、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、およびRi置換基の各々の脂肪族部分は、ハロゲン、-OH、-ORn、-OC(O)NHRn、-OC(O)NRnRo、-SH、-SRn、-S(O)Rn、-S(O)2Rn、-SO2NH2、-S(O)2NHRn、-S(O)2NRnRo、-NHS(O)2Rn、-NRnS(O)2Ro、-C(O)NH2、-C(O)NHRn、-C(O)NRnRo、-C(O)Rn、-NHC(O)Ro、-NRnC(O)Ro、-NHC(O)NH2、-NRnC(O)NH2、-NRnC(O)NHRo、-NHC(O)NHRn、-NRnC(O)NRoRp、-NHC(O)NRnRo、-CO2H、-CO2Rn、-NHCO2Rn、-NRnCO2Ro、-CN、-NO2、-NH2、-NHRn、-NRnRo、-NRnS(O)NH2、および-NRnS(O)2NHRoからなる群から選択される1~3つのメンバーにより任意選択で置換され、Rn、Ro、およびRpは、独立して非置換C1~8アルキルである。加えて、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、およびRgのうちいずれか2つを組み合わせて、架橋された、またはスピロ環状の環系を形成することができる。
【0020】
[0023]好ましい一実施形態において、水素以外のRa+Rb+Rc+Rd基の数は、0、1、または2である。より好ましい実施形態において、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、およびRgは、水素、ハロゲン、非置換または置換C1~8アルキル、-CORh、-CO2Rh、-CONRhRh、-NRhCORh、-SO2Rh、-SO2NRhRi、-NSO2RhRi、-NRhRi、および-ORhからなる群から独立して選択され、ここで、RhおよびRiは、水素および非置換C1~8アルキルからなる群から独立して選択され、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、およびRg置換基の各々の脂肪族部分は、ハロゲン、-OH、-ORn、-OC(O)NHRn、-OC(O)NRnRo、-SH、-SRn、-S(O)Ro、-S(O)2Rn、-SO2NH2、-S(O)2NHRn、-S(O)2NRnRo、-NHS(O)2Rn、-NRnS(O)2Ro、-C(O)NH2、C(O)NHRn、-C(O)NRnRo、-C(O)Rn、-NHC(O)Rn、-NRnC(O)Ro、-NHC(O)NH2、-NRnC(O)
NH2、-NRnC(O)NHRo、-NHC(O)NHRn、-NRnC(O)NRoRp、-NHC(O)NRnRo、-CO2H、-CO2Rn、-NHCO2Rn、-NRnCO2Ro、-CN、-NO2、-NH2、-NHRn、NRnRo、-NRnS(O)NH2、および-NRnS(O)2NHRoからなる群から選択される1~3つのメンバーにより任意選択で置換されており、ここで、Rn、Ro、およびRpは、独立して非置換C1~8アルキルである。
【0021】
[0024]より好ましい実施形態において、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、およびRgは、独立して水素またはC1~4アルキルである。別の好ましい実施形態において、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、およびRgのうちの少なくとも3つは水素である。
【0022】
[0025]「ヘテロアリール」は、少なくとも1個のヘテロ原子を含有する芳香族基を指し、ヘテロアリール基は単環式または二環式であり得る。例には、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾトリアジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジン、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、アザインドリル、アザインダゾリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プテリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、またはチエニルが含まれる。好ましいヘテロアリール基は、キノリニル、キノキサリニル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、キノリル、イソキノリルなど、少なくとも1個のアリール環窒素原子を有するものである。好ましい6環ヘテロアリール系には、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニルなどが含まれる。好ましい5環ヘテロアリール系には、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、フリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリルなどが含まれる。
【0023】
[0026]ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、利用可能ないずれかの環炭素またはヘテロ原子に結合することができる。ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、それぞれ、1つまたは複数の環を有していてもよい。複数の環が存在する場合、これらは一緒に融合する、または共有結合的に連結することができる。ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、それぞれ、窒素、酸素、または硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子(典型的には、1~5個のヘテロ原子)を含有しなければならない。好ましくは、これらの基は、0~5個の窒素原子、0~2個の硫黄原子、および0~2個の酸素原子を含有する。より好ましくは、これらの基は、0~3個の窒素原子、0~1個の硫黄原子、および0~1個の酸素原子を含有する。ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基は、特に指示のない限り、非置換である。置換された基では、置換は炭素またはヘテロ原子上であり得る。例えば、置換がオキソ(=Oまたは-O-)である場合、得られた基は、カルボニル(-C(O)-)またはN-オキシド(-N+-O-)のいずれかを有し得る。
【0024】
[0027]置換アルキル、置換アルケニル、および置換アルキニルに適した置換基には、ハロゲン、-CN、-CO2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’R”、オキソ(=Oまたは-O-)、-OR’、-OC(O)R’、-OC(O)NR’R”、-NO2、-NR’C(O)R”、-NR’’’C(O)NR’R”、-NR’R”、-NR’CO2R”、-NR’S(O)R”、-NR’S(O)2R’’’、-NR’’’S(O)NR
’R”、-NR’’’S(O)2NR’R”、-SR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NR’-C(NHR”)=NR’’’、-SiR’R”R’’’、-N3、置換または非置換C6~10アリール、置換または非置換の5員~10員ヘテロアリール、および置換または非置換の3員~10員ヘテロシクリルが含まれる。可能な置換基の数は、0~(2m’+1)の範囲であり、m’は、そのようなラジカルにおける炭素原子の総数である。
【0025】
[0028]置換アリール、置換ヘテロアリール、および置換ヘテロシクリルに適した置換基には、ハロゲン、-CN、-CO2R’、-C(O)R’、-C(O)NR’R”、オキソ(=Oまたは-O-)、-OR’、-OC(O)R’、-OC(O)NR’R”、-NO2、-NR’C(O)R”、-NR’’’C(O)NR’R”、-NR’R”、-NR’CO2R”、-NR’S(O)R”、-NR’S(O)2R”、-NR’’’S(O)NR’R”、-NR’’’S(O)2NR’R”、-SR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NR’-C(NHR”)=NR’’’、-SiR’R”R’’’、-N3、置換または非置換C1~8アルキル、置換または非置換C2~8アルケニル、置換または非置換C2~8アルキニル、置換または非置換C6~10アリール、置換または非置換の5員~10員ヘテロアリール、および置換または非置換の3員~10員ヘテロシクリルが含まれる。可能な置換基の数は、0から芳香族環系の空原子価(open valence)の総数の範囲である。
【0026】
[0029]上記に使用されたように、R’、R”、およびR’’’は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換C1~8アルキル、置換または非置換C2~8アルケニル、置換または非置換C2~8アルキニル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換ヘテロシクリル、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換アリールオキシアルキルを含む様々な基を指す。R’およびR”が同じ窒素原子に結合する場合、これらは窒素原子と組み合わされて、3員、4員、5員、6員、または7員環を形成する(例えば、-NR’R”には、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルが含まれる)。更に、R’およびR”、R”およびR’’’、またはR’およびR’’’は、これらが結合している原子と一緒になって、置換もしくは非置換の5員、6員、または7員環を形成してもよい。
【0027】
[0030]アリールまたはヘテロアリール環上における隣接原子の置換基のうちの2つは、式-T-C(O)-(CH2)q-U-の置換基により任意選択で置き換えられていてもよく、ここで、TおよびUは、独立して-NR’’’’-、-O-、-CH2-、または単結合であり、qは、0~2の整数である。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環における隣接原子上の置換基のうちの2つは、式-A’-(CH2)r-B’-の置換基により任意選択で置き換えられていてもよく、ここで、A’およびB’は、独立して-CH2-、-O-、-NR’’’’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’’’’-、または単結合であり、rは、1~3の整数である。そのようにして形成された単結合のうちの1つは、二重結合により任意選択で置き換えられていてもよい。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環における隣接原子上の置換基のうちの2つは、式-(CH2)s-X-(CH2)t-の置換基により任意選択で置き換えられていてもよく、ここで、sおよびtは、独立して、0~3の整数であり、Xは、-O-、-NR’’’’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、または-S(O)2NR’-である。R’’’’は、水素または非置換C1~8アルキルから選択される。
【0028】
[0031]「ヘテロ原子」には、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、およびケイ素(Si)が含まれることが意図される。
[0032]「天然同位体存在度を超える」は、天然に測定された化学元素の同位体の存在度を指す。
【0029】
[0033]「薬学的に許容される」担体、希釈剤、または賦形剤は、製剤中の他の成分と適合し、それらの受容者に有害ではない担体、希釈剤、または賦形剤である。
[0034]「薬学的に許容される塩」は、哺乳動物などの患者への投与に許容される塩(例えば、所定の投与量レジメンにおいて哺乳類に許容される安全性を有する塩)を指す。そのような塩は、本明細書に記載されている化合物に見出される特定に置換基に応じて、薬学的に許容される無機または有機塩基から、および薬学的に許容される無機または有機酸から誘導され得る。本開示の化合物が比較的酸性の官能基を含有する場合、塩基付加塩は、そのような化合物の中性形態を十分な量の所望の塩基と、未希釈(neat)または適切な不活性溶媒中において接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが含まれる。薬学的に許容される有機塩基から誘導される塩には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなど、置換アミン、環状アミン、天然に生じるアミンなどを含む第一級、第二級、第三級、および第四級アミンの塩が含まれる。本開示の化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合、酸付加塩は、そのような化合物の中性形態を十分な量の所望の酸と、未希釈または適切な不活性溶媒中において接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸から誘導される塩には、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンホスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルコロン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸の塩などが含まれる。
【0030】
[0035]アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、およびグルコン酸塩またはガラクツロン酸塩などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge,S.M.ら、「Pharmaceutical Salts」、J.Pharmaceutical Science、1977,66:1~19ページを参照すること)。本開示のある特定の化合物は、塩基性と酸性の両方の官能基を含有し、これにより、化合物が塩基または酸のいずれかの付加塩に変換されることが可能である。
【0031】
[0036]化合物の中性形態は、塩を塩基または酸と接触させ、親化合物を従来の様式で単離することによって再生され得る。化合物の親形態は、極性溶媒中の溶解度など、ある特定の物理的特性が様々な塩形態と異なるが、それ以外では、塩は化合物の親形態と本開示の目的において同等である。
【0032】
[0037]塩形態に加えて、本開示は、プロドラッグ形態の化合物を提供する。本明細書に記載されている化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて、本開示の化合物を提供する化合物である。加えて、プロドラッグは、ex vivo環境において化学的または生化学的な方法によって本開示の化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは、適切な酵素または化学試薬を有する経皮パッチレザーバーに配置されると、本開示の化合物にゆっくりと変換され得る。
【0033】
[0038]「治療有効量」は、治療を必要とする患者に投与されたとき、治療をもたらすの
に十分な量を指す。
[0039]「治療すること」または「治療」には、本明細書において使用されるとき、哺乳動物(特に、ヒトまたは愛玩動物)などの患者において、疾患もしくは医学的状態の治療を行うこと、または治療を指し、患者において疾患もしくは医学的状態を改善すること、すなわち、疾患もしくは医学的状態を排除すること、または退行させること、患者において疾患または医学的状態を抑制すること、例えば、疾患もしくは医学的状態の発症を緩徐または阻止すること、あるいは、患者において疾患もしくは医学的状態の症状を緩和すること、または疾患の発症を予防することが含まれる。
【0034】
[0040]本開示のある特定の化合物は、水和形態を含む溶媒和形態と同様に、非溶媒和形態として存在していてよい。一般に、溶媒和形態と非溶媒和形態は、両方とも、本開示の範囲内に包含されることが意図される。
【0035】
[0041]本開示のある特定の化合物は、互変異性形態で存在していてよく、化合物のそのような互変異性形態は全て本開示の範囲内であることが、当業者に理解される。本開示のある特定の化合物は、不斉炭素原子(光学的中心)または二重結合を有し、ラセミ化合物、ジアステレオマー、幾何異性体、および個別の異性体(例えば、別個の鏡像異性体)は、全て本開示の範囲内に包含されることが意図される。
【0036】
[0042]化合物は、任意の数の水素原子が重水素(2H)同位体に置き換えられているように調製され得る。また本開示の化合物は、そのような化合物を構成する1個または複数の原子に対して非天然の割合で原子同位体を含有してもよい。同位体の非天然の割合とは、天然に見出される量から、当該原子100%からなる量までの範囲と定義され得る。例えば化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素125(125I)、もしくは炭素14(14C)などの放射性同位体、または重水素(2H)もしくは炭素13(13C)などの非放射性同位体を組み込むことができる。そのような同位体の変異は、本出願内の他の箇所に記載されたものに追加的な有用性を提供することができる。本開示の化合物の全ての同位体の変異は、放射性であっても、なくても、本開示の範囲内に包含されることが意図される。例えば、本開示の化合物の同位体変異体には、診断用および/もしくは画像用試薬、または細胞傷害性/放射線傷害性治療剤が含まれるが、これらに限定されない追加の有用性を見出すことができる。加えて、本開示の化合物の同位体変異体は、薬物動態および薬力学特性を変更することができ、このことは、治療の際に安全性、耐容性、または有効性を増強させることに寄与することができる。
肝線維症を治療する方法
[0043]本開示は、患者の肝線維症を治療する方法であって、式Ia:
【0037】
【0038】
(式中、
[0044]Ar1は、置換または非置換C6~10アリール、および置換または非置換の5員~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、
[0045]R1aは、水素、置換または非置換C1~8アルキル、置換または非置換C2~6アルケニル、置換または非置換C2~6アルキニル、および置換または非置換の3員~
10員ヘテロシクリルからなる群から選択され、
[0046]Y1は、-CR2a-、-N-、および-N+(O)--からなる群から選択され、
[0047]Y2は、-CR2b-、-N-、および-N+(O)--からなる群から選択され、
[0048]Y3は、-CR2c-、-N-、および-N+(O)--からなる群から選択され、
[0049]R2a、R2b、およびR2cは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、-CN、-C(O)R3a、-CO2R3a、-C(O)NR3aR4a、-OR3a、-OC(O)R3a、-OC(O)NR3aR4a、-SR3a、-S(O)R3a、-S(O)2R3a、-S(O)2NR3aR4a、-NO2、-NR3aR4a、-NR3aC(O)R4a、-NR3aC(O)OR4a、-NR3aS(O)2R4a、-NR3aC(O)NR4aR5a、置換または非置換C1~8アルキル、置換または非置換C2~8アルケニル、置換または非置換C2~8アルキニル、置換または非置換の3員~10員ヘテロシクリル、置換または非置換C6~10アリール、および置換または非置換の5員~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、
[0050]R3a、R4a、およびR5aは、それぞれ独立して、水素、置換または非置換C1~8アルキル、置換または非置換C2~8アルケニル、置換または非置換C2~8アルキニル、置換または非置換C6~10アリール、置換または非置換の5員~10員ヘテロアリール、および置換または非置換の3員~10員ヘテロシクリルからなる群から選択され、
[0051]R3aおよびR4a、R4aおよびR5a、またはR3aおよびR5aは、これらが結合している原子と一緒になって、置換または非置換の5員、6員、または7員環を形成してもよく、
[0052]Lは、結合、-O-、-S-、-S(O)-、S(O)2-、-CR6R7-、-NR8-、-C(O)-および-NR8C(O)-からなる群から選択され、
[0053]R6およびR7は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換または非置換C1~8アルキル、置換または非置換の3員~10員ヘテロシクリル、置換または非置換C2~6アルケニル、置換または非置換C2~6アルキニル、-CN、-OR9、-NR10R11、-S(O)R9、および-S(O)2R9からなる群から選択され、
[0054]R6およびR7は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換C3~8シクロアルキル、または置換もしくは非置換の3員~10員複素環式の環を形成してもよく、
[0055]R9は、水素、置換または非置換C1~8アルキル、置換または非置換C2~8アルケニル、置換または非置換C2~8アルキニル、置換または非置換C6~10アリール、置換または非置換の5員~10員ヘテロアリール、および置換または非置換の3員~10員ヘテロシクリルからなる群から選択され、
[0056]R10およびR11は、それぞれ独立して、置換または非置換C1~8アルキル、置換または非置換の3員~10員ヘテロシクリル、置換または非置換C6~10アリール、置換または非置換の5員~10員ヘテロアリール、置換または非置換C2~8アルケニル、および置換または非置換C2~8アルキニルからなる群から選択され、
[0057]-NR10R11のR10およびR11は、窒素と一緒になって、置換もしくは非置換C3~8シクロアルキル、または置換もしくは非置換の3員~10員ヘテロシクリルを形成してもよく、
[0058]R8は、水素、C(O)R12、S(O)2R12、CO2R12、置換または非置換C1~8アルキル、置換または非置換の3員~10員ヘテロシクリル、置換または非置換C2~6アルケニル、および置換または非置換C2~6アルキニルからなる群から選択され、
[0059]R12は、置換または非置換C1~8アルキル、置換または非置換C2~6アルケニル、置換または非置換C2~6アルキニル、置換または非置換の3員~10員ヘテロ
シクリル、置換または非置換C6~10アリール、および置換または非置換の5員~10員ヘテロアリールからなる群から選択され、
[0060]Z1は、置換または非置換C6~10アリール、置換または非置換の5員~10員ヘテロアリール、置換または非置換の3員~10員ヘテロシクリル、および-NR13R14からなる群から選択され、
[0061]R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換C1~8アルキル、置換または非置換C2~8アルケニル、置換または非置換C2~8アルキニル、置換または非置換の3員~10員ヘテロシクリル、置換または非置換C6~10アリール、置換または非置換の5員~10員ヘテロアリール、置換または非置換の(C1~4アルキル)-(C6~10アリール)、および置換または非置換の(C1~4アルキル)-(5員~10員ヘテロアリール)からなる群から選択され、
[0062]R13およびR14は、窒素と一緒になって、置換または非置換の4員、5員、6員、もしくは7員ヘテロシクリルを形成してもよく、
[0063]Y4は、-N-および-N+(O)--からなる群から選択される)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。
【0039】
[0064]いくつかの実施形態では、式CCの化合物:
【0040】
【0041】
[0065](式中、X14は、-Cl、-NO2、-OCH3、-CH3、-NHC(O)CH3、および-CH2CH2-(フェニル)からなる群から選択され、
[0066]R65は、水素、置換または非置換C1~4アルキル、および置換または非置換-SO2(フェニル)からなる群から選択され、
[0067]R60は、-NR61CH2CH2OR62、-NR61CH2CH2NR63R64、-NR61CH2CH2SR62、
【0042】
【0043】
からなる群から選択され、
[0068]R61は、水素、および置換または非置換フェニルからなる群から選択され、
[0069]R62は、置換または非置換フェニル、および置換または非置換C1~4アルキルからなる群から選択され、
[0070]R63およびR64は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換C1~8ア
ルキル、置換または非置換フェニル、置換または非置換-SO2(フェニル)、-C(O)CH3、-C(O)C(O)OH、および-C(O)2C(CH3)3からなる群から選択される)が式(Ia)から除外される。
【0044】
[0071]いくつかの実施形態において、Z1は、置換または非置換の5員~10員ヘテロアリールである。
[0072]いくつかの実施形態において、Lは-C(O)-である。
【0045】
[0073]いくつかの実施形態において、Y1は-CR2a-であり、Y2は-CR2b-であり、Y3は-CR2c-であり、R2a、R2b、およびR2cは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換または非置換C1~8アルキルからなる群から選択される。
【0046】
[0074]いくつかの実施形態において、R1aは、水素、または置換もしくは非置換C1~8アルキルからなる群から選択される。
[0075]いくつかの実施形態において、Ar1は、置換または非置換C6~10アリールである。
【0047】
[0076]いくつかの実施形態において、Y4は-N-である。
[0077]いくつかの実施形態において、Z1は置換または非置換の5員~10員ヘテロアリールであり、Lは-C(O)-であり、Y1は-CR2a-であり、Y2は-CR2b-であり、Y3は-CR2c-であり、R2a、R2b、およびR2cは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換または非置換C1~8アルキルからなる群から選択され、R1aは、水素、または置換もしくは非置換C1~8アルキルからなる群から選択され、Ar1は、置換または非置換C6~10アリールであり、Y4は-N-である。
【0048】
[0078]本開示は、患者の肝線維症を治療する方法であって、式I:
【0049】
【0050】
(式中、
[0079]R1は、ハロゲンまたはC1~6アルキルであり、
[0080]R2は、水素、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、または-CNであり、
[0081]R3は、水素、ハロゲン、またはC1~6アルキルであり、
[0082]R4は、水素、ハロゲン、またはC1~6アルキルであり、
[0083]各R5は、独立して、C1~6アルキル、-OH、または-NH2であり、
[0084]nは、0、1、2、または3であり、
[0085]A1、A2、およびA3の各々は、-CH-または-N-であり、ここでA1、
A2、またはA3のうちの少なくとも1つは-N-である)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。
【0051】
[0086]いくつかの実施形態において、R1はハロゲンまたはメチルであり、R2はハロゲンまたはC1~6ハロアルキルであり、R3はハロゲンまたはC1~6アルキルであり、R4は水素であり、nは0であり、A2は-CH-であり、A3は-N-である。
【0052】
[0087]いくつかの実施態様において、化合物は、下記:
【0053】
【0054】
または、その薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
[0088]いくつかの実施態様において、化合物は、下記:
【0055】
【0056】
または、その薬学的に許容される塩である。
[0089]いくつかの実施形態において、肝線維症は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に関連する。
【0057】
[0090]いくつかの実施形態において、NASHは2型糖尿病(T2DM)に関連する。
[0091]いくつかの実施形態において、NASHは代謝症候群(MS)に関連する。
[0092]いくつかの実施形態において、肝線維症は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に関連する。
【0058】
[0093]いくつかの実施形態において、NAFLDは2型糖尿病(T2DM)に関連する。
[0094]いくつかの実施形態において、NAFLDは代謝症候群(MS)に関連する。
【0059】
[0095]いくつかの実施形態において、肝線維症は新生硬変に関連する。いくつかの実施形態において、硬変はアルコールによる損傷に関連する。
[0096]いくつかの実施形態において、肝線維症には非硬変性肝線維症が含まれる。
【0060】
[0097]いくつかの実施形態において、肝線維症は、B型肝炎、C型肝炎、およびD型肝炎を含むが、これらに限定されない肝炎感染症に関連する。
[0098]いくつかの実施形態において、肝線維症は、新生硬変、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、胆道閉鎖症、胆汁うっ滞性肝疾患、慢性肝疾患、アルコール性肝疾患、高コレステロール血症、および高脂血症のうちの1つまたは複数に関連する。
【0061】
[0099]いくつかの実施形態において、肝線維症は、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、胆道閉鎖症または原発性硬化性胆管炎に関連する。
[00100]いくつかの実施形態において、肝線維症は、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化
性胆管炎、または胆道閉鎖症に関連する。
【0062】
[00101]いくつかの実施形態において、治療を受ける患者は、ウイルスに感染している
。いくつかの実施形態において、ウイルスは、HCV(C型肝炎ウイルス)、HBVおよびHDVが含まれるが、これらに限定されない肝炎ウイルスである。いくつかの実施態様において、対象は糖尿病を有する。いくつかの実施態様において、対象は2型糖尿病を有する。いくつかの実施態様において、対象は1型糖尿病を有する。いくつかの実施形態において、対象は代謝症候群(MS)を有する。いくつかの実施形態において、対象は、これらの疾患または障害のうちの1つもしくは複数を有する。いくつかの実施形態において、対象には、これらの疾患の1つまたは複数を発症する危険性がある。いくつかの実施態様において、対象はインスリン抵抗性を有する。いくつかの実施形態において、対象は、血中グルコース濃度の増加、高血圧、コレステロールレベルの上昇、トリグリセリドレベルの上昇を有する、または肥満である。いくつかの実施態様において、対象は多嚢胞性卵巣症候群を有する。
【0063】
[00102]いくつかの実施態様において、治療を受ける患者には、肝線維症または硬変を
発症する危険性がある。
[00103]いくつかの実施形態において、肝線維症には非硬変性肝線維症が含まれる。
【0064】
[00104]いくつかの実施形態において、肝線維症は進行している。
[00105]いくつかの実施形態において、化合物またはその薬学的に許容される塩は、経
口投与される。
【0065】
[00106]いくつかの実施形態において、化合物またはその薬学的に許容される塩は、1
日1回、または1日2回投与される。
[00107]いくつかの実施形態において、化合物またはその薬学的に許容される塩は、1
日1回投与される。
【0066】
[00108]いくつかの実施形態において、本方法は、患者に1つまたはの追加の治療用化
合物を投与することを更に含む。
[00109]いくつかの実施形態において、1つまたはの追加の治療用化合物が、ナトリウ
ム・グルコーストランスポーター2阻害剤、グルカゴン様ペプチド1アゴニスト、ガレクチン3阻害剤、トランスアミナーゼ刺激剤、IL-10アゴニスト、インスリン感受性改善薬(an insulin sensitizer)、PPARガンマアゴニスト、甲状腺ホルモン受容体ベータアゴニスト、カスパーゼ阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、PPARアルファアゴニスト、PPARデルタアゴニスト、PPARアゴニスト、ファルネソイドX受容体アゴニスト、リジルオキシダーゼ相同体2阻害剤、MEKK-5プロテインキナーゼ阻害剤、メチルCpG結合タンパク質2モジュレーター、トランスグルタミナーゼ阻害剤、ミエリン塩基性タンパク質刺激剤、クロライドチャネル刺激剤、CCR3ケモカインアンタゴニスト、CCR5ケモカインアンタゴニスト、アンジオテンシンII AT-1受容体アンタゴニスト、SREBP転写因子1阻害剤、PDGF受容体ベータモジュレーター、FGF-21リガンド、IL-17アンタゴニスト、rho関連プロテインキナーゼ2阻害剤、回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ1阻害剤、FGF1受容体アゴニスト、klothoベータ刺激剤、結合組織増殖因子リガンド阻害剤、リポタンパク質リパーゼ阻害剤、SREBP転写因子阻害剤、FGF-19リガンド、CD3アンタゴニスト、カベオリン1阻害剤、アミリン受容体アゴニスト、カルシトニンアゴニスト、NAD依存性デアセチラーゼサーチュイン刺激剤、PDE 5阻害剤、NADPHオキシダーゼ1阻害剤、NADPHオキシダーゼ4阻害剤、NADPHオキシダーゼ阻害剤、肝細胞増殖因子アゴニスト、インテグリンアルファV/ベータ6アンタゴニスト、TGFベータアンタゴニスト、NAD依存性デアセチラーゼサーチュイン刺激剤、ニコチン酸受容体1アゴニスト、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ刺激剤、膜銅アミンオキシダーゼ阻害剤、リボソームタンパク質S6キナーゼ1阻害剤、高移動度グループタンパク質B1阻害剤、TLR-4アンタゴニスト、カテプシンB阻害剤、肝細胞増殖因子リガンド、インターフェロンガンマリガンド、ACE阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、またはこれらの薬学的に許容される塩のうちの1つもしくは複数から選択される。
【0067】
[00110]いくつかの実施形態において、1つまたは複数の追加の治療用化合物が、ファ
ルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、二重TGR5/FXRアゴニスト、PPARアルファアゴニスト、PPARガンマアゴニスト、PPARデルタアゴニスト、またはこれらの薬学的に許容される塩のうちの1つもしくは複数から選択される。
【0068】
[00111]いくつかの実施形態において、1つまたは複数の追加の治療用化合物が、ダパ
グリフロジン・プロパンジオール、ダパグリフロジン、リラグルチド、GR-MD-02
、セマグルチド、セニクリビロック(cenicriviroc)、F-351、peg
-イロデカキン(peg-ilodecakin)、イプラグリフロジン、ウルソデオキ
シコール酸、コレセベラム、ピオグリタゾン、VK-2809、エムリカサン(emri
casan)、リナグリプチン、エラフィブラノール(elafibranor)、DS
-102、Px-102、Px-103、GS-4997、シムツズマブ(simtuz
umab)、DUR-928、メルカプタミン、オレソキシム(olesoxime)、
コビプロストン(cobiprostone)、ベルチリムマブ(bertilimum
ab)、MDV-4463、イルベサルタン、GS-9674、BOT-191、MGL
-3196、BMS-986171、PEG-FGF21、LJN-452、CF-10
2、KD-025、ボリキシバト(volixibat)、ボリキシバト・カリウムエタ
ノレート水和物、アラムコール(aramchol)、チペルカスト(tipeluka
st)、NGM-313、FG-3019、CAT-2003、NGM-282、TRX
-318、IONIS-DGAT2Rx、IMM-124-E、RG-125、ノルウル
ソデオキシコール酸(norursodeoxycholic acid)、KBP-0
42、ロイシン、メトホルミン、シルデナフィル、A-4250、GKT-831、BB
-3、サログリタザル、BG-00011、アリポジーン・チパルボベック、MB-12
066、ベタイン無水物、ARI-3037MO、HepaStem、PXS-4728
A、CIGB-500、オルチプラズ、オメガ3カルボン酸、ダパグリフロジン、レモグ
リフロジンエタボネート(remogliflozin etabonate)、レモグ
リフロジン、LC-280126、JKB-121、DWP-10292、VBY-37
6、VBY-825、イコサペント酸エチルエステル、Fuzheng Huayuカプ
セル、インターフェロンガンマ、アセチルサリチル酸、ヒドロクロロチアジド、エナラプ
リル、アトルバスタチン、NC-101、TCM-606F、オベチコール酸、INT-
767、GNF-5120、クリプトキノン(cryptochinone)-D、フェ
キサラミン(fexaramine)、トリ(カプリル酸)グリセリル(capryli
c triglyceride)、エボグリプチン(evogliptin)、GM-C
T-01、高用量のビタミンE(>400iU/d)、またはこれらの薬学的に許容され
る塩のうちの1もしくは複数から選択される。
【0069】
[00112]いくつかの実施形態において、1つまたは複数の追加の治療用化合物は、式(
I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩と同時に投与されても、あるいは、異なる時間および異なる頻度を含めて、別々に投与されてもよい。1つまたは複数の追加の治療用化合物を、経口、静脈内、筋肉内、経鼻、皮下、膣内、直腸内などの公知の方法のいずれかによって投与することができ、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩を、任意の従来の経路によっても投与することができる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の追加の治療用化合物、および式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩は、経口投与される。
【0070】
[00113]2つ以上の薬を組み合わせて使用するとき、各薬の投与量は、個別に使用され
るときの薬の投与量と一般に同一であるが、1つの薬が他の薬の代謝に干渉する場合、各薬の投与量は適切に調整される。各薬を同時に、または例えば、12時間未満、24時間、36時間の時間間隔で別々に投与することができる。カプセル剤などの本明細書に記載される剤形を、適切な間隔で投与することができる。例えば、1日1回、1日2回、1日3回などである。特に、剤形は、例えば1日1回または2回投与される。さらにより特定的に、剤形は1日1回投与される。
【0071】
[00114]いくつかの実施形態において、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、
もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩は、インスリン感受性を改善する。
[00115]いくつかの実施形態において、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、
もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩は、耐糖性を改善する。
【0072】
[00116]いくつかの実施形態において、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、
もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩は、肝臓のトリグリセリド蓄積を低下させる。
【0073】
[00117]いくつかの実施形態において、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、
もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩は、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ATL)濃度を低下させる。
【0074】
[00118]いくつかの実施形態において、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2も
しくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)濃度を低下させる。
【0075】
[00119]いくつかの実施形態において、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、
もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩は、肝臓のコラーゲン含有量を低下さ
せる。
【0076】
[00120]いくつかの実施形態において、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、
もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩は、肝臓のマクロファージ含有量を低下させる。
【0077】
[00121]いくつかの実施形態において、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、
もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩は、脂肪組織のマクロファージ含有量を低下させる。
【0078】
[00122]いくつかの実施形態において、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、
もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩は、大網脂肪組織含有量を低下させる。
【0079】
[00123]いくつかの実施形態において、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、
もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩は、肝臓のコレステロールレベルを低下させる。
【0080】
[00124]いくつかの実施形態において、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、
もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩は、ビリルビンレベルを低下させる。
[00125]いくつかの実施形態において、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、
もしくは3、またはこれらの薬学的に許容される塩は、肝線維症を低減する。
CCR2活性を調節する化合物
[00126]本開示は、CCR2活性を調節する化合物を提供する。ケモカイン受容体は、
ケモカインなどの細胞外リガンドと相互作用する膜内在性タンパク質であり、リガンドに対する細胞応答、例えば、走化性、細胞内カルシウムイオン濃度の増加などを媒介する。したがって、ケモカイン受容体機能の調節、例えば、ケモカイン受容体リガンド相互作用の干渉は、ケモカイン受容体媒介応答を調節し、ケモカイン受容体媒介状態または疾患を治療または予防する。ケモカイン受容体機能の調節には、機能の誘導と阻害の両方が含まれる。達成される調節の種類は、化合物の特性、すなわち、アンタゴニスト、または完全、部分的、もしくは逆アゴニストに応じて決まる。
【0081】
[00127]いかなる特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、本明細書に
おいて提供される化合物は、ケモカイン受容体と1つまたは複数の対応するリガンドとの間の相互作用に干渉すると考えられる。特に、本化合物は、CCR2と、MCP-1などのCCR2リガンドとの間の相互作用に干渉すると考えられる。本開示において考慮される化合物には、本明細書において提供されている例示的な化合物およびそれらの塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
[00128]本開示の化合物は、ケモカイン受容体機能を特異的に調節または阻害すること
によって、不適切なT細胞輸送に干渉すると考えられる。本開示により考慮される化合物には、本明細書において提供されている例示的な化合物およびこれらの薬学的に許容される塩、ならびに、参照により本明細書に組み込まれる、US8,519,135、US2006/0173019、US7,622,583、US7,884,110、およびUS8,093,247において提供されている化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
[00129]いくつかの実施形態において、本開示の化合物はCCR5を阻害しない。
[00130]いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、CCR5よりもCCR2に
対する選択的阻害剤である。
【0084】
[00131]いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、CCR5の阻害と比べCC
R2の阻害に、10倍を超える選択性を有する。
[00132]いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、CCR5の阻害と比べCC
R2の阻害に、100倍を超える選択性を有する。
【0085】
[00133]いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、CCR2に対する選択的阻
害剤である。
組成物
[00134]薬学的に許容される組成物は、ヒトおよび他の動物に経口的、直腸内、非経口
的、大槽内、膣内、腹腔内、局所的(散剤、軟膏剤、または点滴による)、口腔または鼻腔噴霧剤により頬側(bucally)等に投与され得る。
【0086】
[00135]経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマ
ルション剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれるが、これらに限定されない。活性化合物(単数又は複数種類)に加えて、液体剤形は、例えば水または他の溶媒などの当該技術において一般的に使用される不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステルなどの可溶化剤および乳化剤、ならびにこれらの混合物を含有することができる。不活性希釈剤の他に、経口組成物には、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味料、香味料、および芳香剤などの補助剤も含まれ得る。
【0087】
[00136]注射用調製物、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁剤は、適切な分散剤ま
たは湿潤剤、および懸濁化剤を使用する公知の技能に従って製剤化され得る。滅菌注射用調製物は、また、例えば1,3-ブタンジオール中の液剤など、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用液剤、懸濁剤、もしくはエマルジョンであってもよい。許容されるビヒクルおよび溶媒のうちで用いることができるものは、水、リンゲル液、U.S.P.および塩化ナトリウム等張液である。加えて、滅菌の不揮発油が溶媒または懸濁化媒体として慣用的に用いられる。このために、合成モノ-またはジグリセリドを含む任意の無刺激不揮発油を用いることができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸を注射用生成物に組み込むことができる。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターでの濾過によって、または使用前に滅菌水または他の滅菌注射用媒体中に溶解または分散され得る滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌され得る。
【0088】
[00137]本開示の化合物の効果を持続するため、皮下または筋肉内注射による化合物の
吸収を遅くすることが、多くの場合に望ましい。このことは、水溶性が不十分な結晶質または非晶質材料の液体懸濁剤の使用によって達成され得る。本化合物の吸収速度は、溶解速度によって決まり、次に結晶のサイズおよび結晶形態によって左右され得る。あるいは、非経口投与された化合物形態の遅延吸収は、化合物を油ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマーで化合物のマイクロエンカプセル(microencapsule)マトリックスを形成することによって作製される。ポリマーに対する化合物の比、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。デポー注射用製剤は、化合物を、身体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルションに閉じ込めることによっても調製される。
【0089】
[00138]直腸内または膣内投与用の組成物は、好ましくは坐剤であり、これは本開示に
化合物を、周囲温度で固体であるが、体温で液体となり、その結果、直腸内または膣腔内で融解して活性化合物を放出するカカオ脂、ポリエチレングリコール、または坐剤ワックスなどの適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製され得る。
【0090】
[00139]経口投与用の固形剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が
含まれる。そのような固形剤形では、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体、ならびに/または(a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、(b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、(c)グリセロールなどの保湿剤、(d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(e)パラフィンなどの溶解遅延剤(solution retarding agent)、(f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、(h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、ならびに(i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤、およびこれらの混合物の少なくとも1つと混合される。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合では、剤形は緩衝剤を含むこともできる。
【0091】
[00140]類似した種類の固体組成物を、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリ
エチレングリコールなどのような、そうした賦形剤を使用して、軟および硬充填ゼラチンカプセルに充填剤として用いることもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固形剤形は、腸溶性コーティングおよび医薬製剤技術において周知の他のコーティングなどのコーティング、ならびにシェルを用いて調製され得る。これらは、任意選択で乳白剤を含有してもよく、活性成分(単数又は複数種類)のみを、または、腸管のある特定の部分に優先的に、任意選択で遅延的様式に放出する組成物でもあり得る。使用することができる包埋組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。類似した種類の固体組成物を、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレン(polethylene)グリコールなどのような、そうした賦形剤を使用して、軟および硬充填ゼラチンカプセルに充填剤として用いることもできる。
【0092】
[00141]本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩は、ナノテクノロジーを使用
して製剤化され得る。ナノ粒子は、表面対質量比が他の粒子のものより大きいこと、量子的性質、ならびに他の化合物を吸着および搬送する能力などのそれらの独自の特徴に基づいて、医療目的において魅力的である。ナノ粒子は、0.1μmまたは100nmを下回る寸法を有してもよい。あるいは医薬組成物は、十分な量の薬物を粒子上に負荷するために、必要であれば比較的大きな(サイズが>100nmの)ナノ粒子を含んでもよい。加えて、薬物送達のために、加工粒子を担体として使用できるだけでなく、薬物それ自体をナノスケールで製剤化し、それ自体を担体として機能させることもできる。加工ナノ粒子の組成物は、様々であり得る。原材料は、リン脂質、脂質、乳酸、デキストラン、キトサンなどの生体由来のもの、または様々なポリマー、炭素、ケイ素、および金属などのより化学的な特徴を有するものであり得る。とりわけポリマー由来の加工ナノ粒子の分野では、化学組成物にとって非常に広範囲の可能性がある。例えば、Martins et al.、Nanoparticle Drug Delivery Systems:Recent Patents and Applications in Nanomedicine、Recent Patents on Nanomedicine、2013、3(2)、1~14ページを参照すること。
【0093】
[00142]本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩は、上記に示された1つまた
は複数の賦形剤によりマイクロカプセル化形態にされることもある。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固形剤形は、腸溶性コーティング剤、放出制御コーティング剤、および医薬製剤技術において周知の他のコーティング剤などのコーティング剤、ならびにシェルを用いて調製され得る。そのような固形剤形において、活性化合物は、スクロース、ラクトース、またはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合され得る。そのような剤形は、慣行的に、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、錠剤成形滑沢剤、ならびにステアリン酸マグネシウムおよび微晶質セルロースなどの他の錠剤成形助剤を含むこともできる。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合では、剤形は緩衝剤を含むこともできる。これらは、任意選択で乳白剤を含有してもよく、活性成分(単数又は複数種類)のみを、または、腸管のある特定の部分に優先的に、任意選択で遅延的に放出する様式の組成物のものでもあり得る。使用することができる包埋組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。
【0094】
[00143]本開示の化合物の局所または経皮投与用の剤形には、軟膏剤、ペースト剤、ク
リーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、噴霧剤、吸入剤、またはパッチ剤が含まれる。活性構成成分は、薬学的に許容される担体、および必要に応じて任意の必要とされる防腐剤または緩衝剤と滅菌条件下で混合される。眼科製剤、点耳薬、および点眼薬も、本開示の範囲内であると考慮される。加えて、本開示は、経皮パッチ剤の使用を考慮しており、これは、化合物の制御送達を身体にもたらす追加的な利点を有する。そのような剤形は、化合物を適切な媒体中に溶解または分散することによって調製される。吸収増強剤を使用して、皮膚にわたって化合物の流動を増加させることもできる。速度は、速度制御膜を提供することによって、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散することによって、制御され得る。
【0095】
[00144]本開示の化合物および組成物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静
脈内、ICV、大槽内注射もしくは注入、皮下注射、または埋込)、吸入、経鼻、膣内、直腸内、舌下、または局所投与の経路により投与されてもよく、単独で、またはそれぞれの投与経路に適した従来の非毒性で薬学的に許容される担体、補助剤、およびビヒクルを含有する適切な投与単位製剤において一緒に製剤化されてもよい。本開示は、デポー製剤における本開示の化合物および組成物の投与も考慮する。
【0096】
[00145]ケモカイン受容体の調節を必要とする状態の治療また予防では、式(I)、(
Ia)の化合物、化合物1、2、もしくは3、またはその薬学的に許容される塩の適切な投与量レベルは、一般に、1日につき患者の体重1kgあたり約0.001~100mgであり、単回または多回用量で投与され得る。好ましくは、投与量レベルは、1日につき約0.01~約25mg/kg、より好ましくは1日につき約0.05~約10mg/kgである。適切な投与量レベルは、1日につき約0.01~25mg/kg、1日につき約0.05~10mg/kg、または1日につき約0.1~5mg/kgであり得る。この範囲内で、投与量は、1日につき0.005~0.05、0.05~0.5、0.5~5.0、または5.0~50mg/kgであり得る。経口投与では、組成物は、好ましくは1.0~1000ミリグラムの活性成分、特に、治療される患者への投与量を症候的に調整して1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、80.0、90.0、100.0、110.0、120.0、130.0、140.0、150.0、160.0、170.0、180.0、190.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、および1000.0ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供される。化合物を1日につき1~4回、好ましくは1日につき1または2回のレジメンで投与することができる
[00146]しかし、任意の特定の患者への投与量の特定の用量レベルおよび頻度は変わり
得ること、ならびに用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用時間、年齢、体重、遺伝的特徴、身体全体の健康、性別、食事、投与様式および時間、排出速度、薬物の組合せ、特定の状態の重症度、および宿主が受けている療法を含む様々な要因によって左右されることが理解される。
【0097】
[00147]本開示の化合物および組成物を、肝線維症、NASH、NAFLD、新生硬変
、ならびに/または非硬変性肝線維症の予防と治療に関連する有用性を有する他の化合物および組成物と組み合わせることができる。併用療法への使用に適した作用物質の選択は、当業者によって行うことができる。治療剤の組合せは、相乗的に作用して、様々な障害の治療または予防をもたらすことができる。この手法を使用して、それぞれの作用物質がより低い投与量で治療有効性を達成することができ、したがって有害な副作用の潜在性が低減される。
【0098】
[00148]本開示の化合物の別の活性成分に対する重量比は、変動してもよく、各成分の
有効用量に応じて決まる。一般に、それぞれの有効用量が使用される。したがって、例えば本開示の化合物が第2の治療化合物と組み合わされるとき、本開示の化合物の第2の治療化合物に対する重量比は、一般に約1000:1~約1:1000、好ましくは約200:1~約1:200の範囲である。
【0099】
[00149]なお別の態様において、本開示は、肝線維症、NASH、NAFLD、新生硬
変、および/または非硬変性肝線維症を、そのような状態または疾患を有する対象に本開示のいずれかの化合物の治療有効量を投与することによって治療または予防する方法を提供する。本方法で使用される化合物には、式(I)、(Ia)の化合物、化合物1、2、もしくは3、またはその薬学的に許容される塩、実施形態として提供されたもの、本明細書において特定の構造を備えたもの、ならびに参照により本明細書に組み込まれる、US8,519,135、US2006/0173019、US7,622,583、US7,884,110、およびUS8,093,247に提供された化合物が含まれる。化合物は、治療の必要な対象を治療するために有用であり得る。「対象」には、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどが含まれるが、これらに限定されない哺乳動物などの動物が含まれることが、本明細書において定義される。好ましい実施形態において、対象はヒトである。
【0100】
[00150]本明細書において使用されるとき、語句「治療有効量」は、研究者、獣医師、
医師、または治療提供者によって求められる細胞、組織、系、もしくはヒトなどの動物の生物学的または医学的応答を誘発する、主題化合物の量を意味する。
【0101】
[00151]一実施形態において、本開示は、本開示の化合物または組成物の有効量を対象
に投与することを伴う、肝線維症、NASH、NAFLD、新生硬変、および/または非硬変性肝線維症の治療もしくは予防方法を提供し、ここで投与は、経口的、非経口的、直腸内、経皮的、舌下、経鼻的、または局所的である。
CCR2モジュレーター
[00152]以下の実施例は、本発明を制限するためではなく説明するために提供される。
【0102】
[00153]本特許に開示されているある特定の分子は、異なる鏡像異性体およびジアステ
レオ異性体形態で存在していてよく、これらの化合物のそのような変異体は、全て本開示の範囲内である。
【0103】
[00154]観察された特定の薬理学的反応は、選択された特定の活性化合物、または医薬
担体の有無、ならびに用いられる製剤の種類および投与様式によって、また応じて変わることがあり、結果におけるそのような予測される変動または差異は、本開示の実施に従っ
て考慮される。
【0104】
[00155]本開示の特定の実施態様が本明細書において説明され、詳細に記載されている
が、本開示はそれらに限定されない。上記の詳細な記載は、本開示を例示するために提供されており、本開示のあらゆる限定を構成すると考慮されるべきではない。変更が当業者には明らかであり、本開示の精神を逸脱しない全ての変更が、添付の特許請求の範囲の範囲に含まれることが意図される。
【実施例】
【0105】
[00156]化合物1は、下記:
【0106】
【0107】
である。
[00157]CVCはセニクリビロックである。
実施例1
高脂肪食餌(HFD)誘発性NASHモデル
[00158]雄野生型(WT)マウスC57Bl/6をJackson Laborato
ryから得て、高脂肪食餌(D12492、60 Cal%脂肪、Research Diets、New Brunswick、NJ)と飲料水中30%フルクトース、または除脂肪対照食餌(D12450B、10 Cal%脂肪、Research Diets)のいずれかを、6~8週齢で与え、それぞれの食餌を研究の間(16~32週間)にわたって維持した。化合物1は、1%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Sigma-Aldrich、St.Louis、USA)中の溶液として製剤化した。マウスに、30mg/kgの化合物1またはビヒクルを1日1回、8週間にわたって皮下投与した。
図1に説明されているように、化合物1による治療は、ビヒクルと比較して体重を変化させなかった。
図2に示されているように、化合物1は、血清ALTおよびASTレベルを低減した。シリウスレッド染色を使用して、肝線維症の重症度を評価した。
図3は、化合物1またはビヒクルで治療された動物のシリウスレッド染色肝臓切片の代表的な画像を示す。
図4は、化合物1の治療が、ビヒクルと比較してシリウス染色、したがって肝線維症の百分率を低減したことを示す。
【0108】
実施例2
メチオニン-コリン欠乏(MCD)誘発性NASHモデル
[00159]雄野生型(WT)マウスC57Bl/6をJackson Laborato
ryから得て、MCD食餌(MP Biomedicals、#960439)または除脂肪対照食餌のいずれかを8週齢で8週間にわたって与えた。化合物1は、1%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Sigma-Aldrich、St.Louis、USA)中の溶液として製剤化した。マウスに、30mg/kgの化合物1またはビヒクルを1日1回、8週間にわたって皮下投与した。化合物1を皮下投与して、高い全身レベルを維持した。CVC化合物(セニクリビロック)を、1%ヒドロキシプロピルメチルセルロース中の溶液として製剤化し、30mg/kgで経口によって試験した。化合物1およびC
VCは、両方とも、薬物トラフレベルはIC
50を超えていた。
図5は、化合物1が血清ALTレベルを有意に低減するが、CVCは血清ALTレベルを有意に低減しないことを示す。
図6は、化合物1がシリウスレッド陽性染色、したがって肝線維症を低減するが、CVCは肝線維症を低減しないことを示す。
【0109】
実施例3
組織病理学分析
[00160]ホルマリン固定、パラフィン包埋肝臓切片を、ヘマトキシリンおよびエオシン
(H&E)とシリウスレッド・ピクロシリウスレッド(#365548、Sigma)で別々に染色し、肝線維症の重症度について評価した。全ての組織病理学評価は、病理学者により無作為盲検的に行った。コラーゲン表面密度を、Image J(NIH)の使用によって定量化した。動物1匹あたり2枚のシリウスレッド染色スライドを異なる深さで取り、スライド1枚あたり18個の画像で動物1匹あたり合計36個の画像を、コラーゲン定量化のために無作為に撮った。
【0110】
実施例4
血清および組織分析
[00161]肝臓酵素をAntech GLP(Morrisville、NC.)により
アッセイした。インスリンをUltrasensitive.Mouse Insulin ELISAキット(Crystal Chem Inc:#90080)で測定し、血中グルコースおよびインスリンレベルを一晩(14~16時間)絶食させた後に決定した。インスリン感受性を、インスリン抵抗性のホメオスタシスモデルアセスメント(HOMA-IR)により決定した。脂質を、Triglyceride Colorimetric Assayキット(Cayman Chemical Company:#10010303)、Free Fatty Acid Quantificationキット(Abcam、ab65341)、およびCholesterol Quantificationキット(Abcam、ab65359)により血清および肝臓において測定した。
【0111】
実施例5
CCR5遊走アッセイ
[00162]従来の遊走アッセイを使用して、MIP1bにより媒介される遊走を遮断する
潜在的な受容体アンタゴニストの有効性を決定した。このアッセイは、5-mum孔径ポリカーボネート膜を有するChemoTX(登録商標)(Neuroprobe)マイクロチャンバーシステムを使用してルーチン的に実施した。CCR5発現細胞(IL-2リンパ球またはL1.2CCR5細胞)を、GS-6R Beckman遠心分離機により1000RPMで細胞懸濁液を遠心分離することによって採取した。細胞ペレットを走化性緩衝液(0.1パーセントBSAを有するHBSS)に5×106細胞/mLで再懸濁した。所望の濃度の試験化合物を、走化性緩衝液による段階希釈で10mM貯蔵溶液から調製した。等量の細胞および化合物を混合し、室温で15分間インキュベートした。その後、20μlの混合物を遊走マイクロチャンバーの多孔質膜に移し、29μlのMIP1bリガンド(0.1nMのMIP1bタンパク質)を下側チャンバーに入れた。摂氏37度でインキュベートした(90分)後、フィルターの頂上から細胞滴を取り除いて、アッセイを終了した。膜を横断する遊走細胞を定量化するため、5muLの7X CyQUANT(登録商標)(ThermoFisher)溶液を下側チャンバーの各ウエルに加え、蛍光シグナルをSpectrafluor Plus蛍光プレート読み取り機(TECAN、Durham、NC)で測定した。阻害の程度は、化合物処理細胞と未処理細胞との間の遊走シグナルを比較することによって決定した。IC50の計算は、Graphpad Prism(Graphpad Software、San Diego、CA)を使用する非線形二乗回帰分析によって更に実施した。
【0112】
[00163]表1に説明されているように、化合物1、2、および3はCCR5を阻害しな
いが、CVCは潜在的なCCR5阻害剤である。
表1.CCR5のIC50
【0113】