(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ポンプを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
F04B 49/06 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
F04B49/06 311
(21)【出願番号】P 2022535136
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2020085176
(87)【国際公開番号】W WO2021116141
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】102019219217.3
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ホーフアッカー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル エッケルト
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-185500(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01364825(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニット(14)により、流体搬送装置(4)
を動作させるための方法(2)であって、
前記流体搬送装置(4)は、非活性化された緊急モードにおいて少なくとも前記流体搬送装置(4)に初めて動作電力が印加されたときにスイッチオンされ、
前記非活性化された緊急モードにおいては、前記流体搬送装置(4)は、緊急モード運転に移行することが不可能であり、
目標回転数設定値又は目標制御値設定値が、中央制御装置(10)から
伝送されて前記流体搬送装置(4)側の制御ユニット(14)により受信され
、
前記目標回転数設定値
又は前記目標制御値設定値が
予め定められた活性化閾値を上回った場合に
、前記制御ユニット(14)により前記流体搬送装置(4)の緊急モードが活性化され
、活性化された緊急モードにおいては、前記流体搬送装置(4)は、緊急モード運転に移行することが可能である、方法。
【請求項2】
前記目標回転数設定値又は前記目標制御値設定値が前記制御ユニット(14)により受信された後、前記流体搬送装置(4)が前記目標回転数設定値又は前記目標制御値設定値に対応する回転数又は制御値で動作しているかどうかが前記制御ユニット(14)により検査され、
前記流体搬送装置(4)が前記目標回転数設定値又は前記目標制御値設定値に対応する回転数又は制御値で動作している場合、前記制御ユニット(14)により前記目標回転数設定値又は前記目標制御値設定値が前記予め定められた活性化閾値と比較される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流体搬送装置(4)の運転モード
としての前記活性化された緊急モード又は前記非活性化された緊急モードは、前記流体搬送装置(4)の動作中に内部メモリユニット(16)に記憶され、前記内部メモリユニット(16)は、前記流体搬送装置(4)の活性化の際に前記流体搬送装置(4)の最後に使用された運転モードを設定するために読み出される、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記流体搬送装置(4)の
前記活性化された緊急モードにおいては、前記流体搬送装置(4)
の緊急モード回転数が設定される、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記緊急モード回転数は、定格回転数又は最大回転数である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記流体搬送装置(4)は、ポンプ、ファン、圧縮機又はバルブを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ポンプアレイ(1)であって、ポンプ(4)として構成された少なくとも1つの流体搬送装置と、前記ポンプ(4)を制御及び/又は調整するために前記ポンプ(4)に接続された制御ユニット(14)とを備え、前記ポンプアレイ(1)は、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の方法(2)を実施するように構成されている、ポンプアレイ(1)。
【請求項8】
バルブアレイであって、バルブとして構成された少なくとも1つの流体搬送装置と、前記バルブを制御及び/又は調整するために前記バルブに接続された制御ユニット(14)とを備え、前記バルブアレイは、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の方法(2)を実施するように構成されている、バルブアレイ。
【請求項9】
圧縮機アレイであって、圧縮機として構成された少なくとも1つの流体搬送装置と、前記圧縮機を制御及び/又は調整するために前記圧縮機に接続された制御ユニット(14)とを備え、前記圧縮機アレイは、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の方法(2)を実施するように構成されている、圧縮機アレイ。
【請求項10】
ファンアレイであって、ファンとして構成された少なくとも1つの流体搬送装置と、前記ファンを制御及び/又は調整するために前記ファンに接続された制御ユニット(14)とを備え、前記ファンアレイは、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の方法(2)を実施するように構成されている、ファンアレイ。
【請求項11】
請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の方法(2)を実施するように構成されている制御ユニット(14)。
【請求項12】
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがコンピュータ又は制御ユニット(14)によって実行されるときに、前記コンピュータ又は制御ユニット(14)に、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の方法(2)を実施させるための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項13】
機械可読記録媒体であって、当該機械可読記録媒体上に、請求項
12に記載のコンピュータプログラムが格納されている機械可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体搬送装置、特に、ポンプ、圧縮機、ファン又はバルブを動作させるための方法に関する。さらに、本発明は、ポンプアレイ、圧縮機アレイ、ファンアレイ、バルブアレイ、制御装置、コンピュータプログラム及び機械可読記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
例えば車両などの種々の技術分野において、冷却回路は、1つ又は複数のコンポーネントを熱的に制御するために使用される。この種の冷却回路は、多くの場合、メインウォータポンプに対して付加的に回転数制御された電動補助ウォータポンプによって支援されており、又は、メインウォータポンプが故障した場合に使用される。
【0003】
補助ウォータポンプは、中央制御装置によって制御され、電圧が供給される。補助ウォータポンプに電圧が供給されると、補助ウォータポンプは、中央制御装置から受信した目標回転数を設定する。中央制御装置と補助ウォータポンプとの間の通信が中断されると、補助ウォータポンプは緊急モードに切り替わる。補助ウォータポンプの緊急モードにおいては、冷却回路の冷却機能を維持し、場合によっては起こり得るメインウォータポンプの故障を補償するために最大回転数が設定される。
【0004】
冷却回路の製造及び取り付けの際、補助ウォータポンプには、まだ冷却回路に冷却水が充填されないうちに電圧を供給することができる。このプロセスは、中央制御装置との通信を伴わずに行われ、これにより、補助ウォータポンプは緊急モードに切り替わる。空の補助ウォータポンプを最大回転数で動作させることによって、補助ウォータポンプは、損傷する可能性があり、増大する騒音発生を伴う場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の開示
本発明が基礎とする課題は、当該流体搬送装置の取り付け中の緊急モードの活性化が防止される、流体搬送装置、特に、ポンプ、ファン、バルブ又は圧縮機を動作させるための方法を提案するものとみなすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立請求項の各対象を用いて解決される。本発明の好適な構成は、各従属請求項の対象である。
【0007】
本発明の一態様によれば、流体搬送装置を動作させるための方法が提供される。この方法は、流体搬送装置に統合された制御装置又は制御ユニットによって実施することができる。流体搬送装置側の制御ユニットは、通信インタフェースを介して中央制御装置と通信することができ、それによって、制御命令を受信して実行することができる。
【0008】
好適には、流体搬送装置は、非活性化された緊急モードにおいて少なくとも流体搬送装置に初めて動作電力が印加されたときにスイッチオンされる。これにより、流体搬送装置側の制御ユニットは、中央制御装置との確立された通信接続を伴わなくても、特に、流体搬送装置がポンプ、圧縮機若しくはファンとして設計されている場合は、流体搬送装置の過回転を阻止することができ、又は、特に、流体搬送装置がバルブとして設計されている場合は、流体搬送装置の位置ずれを阻止することができる。動作電力の初めての印加は、例えば、制御ユニットによるメモリユニットの読出しによって識別することができる。動作電圧が初めて印加されるとき、メモリユニットは、空であり、又は、初めての運転開始に関するメモを有する可能性がある。
【0009】
さらなるステップにおいては、目標回転数設定値又は目標制御値設定値が流体搬送装置に伝送される。目標回転数設定値又は目標制御値設定値は、この場合、流体搬送装置側の制御ユニットによって生成され、又は、中央制御装置から受信され、流体搬送装置側の制御ユニットによって流体搬送装置に転送され得る。
【0010】
その後、流体搬送装置の緊急モードは、目標回転数設定値又は目標制御値設定値がトリガ値を上回った場合又は流体搬送装置が無効な回転数、特に目標回転数設定値又は目標制御値設定値で活性化持続時間よりも長く動作した場合に活性化される。この手段により、流体搬送装置の緊急モードは、流体搬送装置が十分に高い目標回転数、特に目標回転数設定値又は目標制御値設定値で運転されている場合にのみ活性化させることができる。
【0011】
代替的又は付加的に、流体搬送装置の緊急モードは、流体搬送装置が、予め定められた活性化持続時間の間、無効な回転速度、特に目標回転数設定値又は無効な目標制御値設定値で動作した場合に活性化させることができる。
【0012】
緊急モードは、特に、流体搬送装置を最大回転数で動作させる。好適には、流体搬送装置は、最大出力で駆動制御される。最大回転数又は出力で駆動制御することにより、発生し得る詰まりやそれに伴う例えば汚染物質を除去し得ることが利点である。汚染物質が除去されたときには、緊急モードを終了するのが好適である。バルブの場合には、詰まりの解消のために緊急モードを使用することができる。特に、バルブは、少なくとも部分的に数回開閉することができる。
【0013】
流体搬送装置の回転数は、この場合、目標回転数設定値と比較することができ、ここでは、偏差が、許容誤差の考慮のもとで流体搬送装置の無効な回転数に結び付く。活性化持続時間は、流体搬送装置の回転数の目標回転数設定値からの短時間の偏差を補償し得る予め定められた持続時間であるものとしてもよい。
【0014】
緊急モードの活性化により、流体搬送装置を緊急モード運転に移行させることが可能にされ又は許容される。
【0015】
一実施例によれば、流体搬送装置は、ポンプとして構成されている。工場にポンプを設置する又は取り付ける場合、中央制御装置が既に有効な目標回転数設定値を設定していなくても、ポンプにはまだ冷却回路が充填されないうちに電圧を印加することができる。本方法及び本制御装置によれば、ポンプの緊急モードの活性化及びポンプの有害な空動作を阻止することができる。特に、ポンプの緊急モードは、上位又は中央の制御装置から有効な目標回転数設定値を受信した後にのみ活性化させることができる。
【0016】
さらなる実施例によれば、流体搬送装置は、ファンとして構成されている。工場にファンを設置する又は取り付ける場合、中央制御装置が既に有効な目標回転数設定値を設定していなくても、ファンには電圧を印加することができる。本方法及び本制御ユニットによれば、ポンプの緊急モードの活性化及びファンの有害な過回転又は始動を阻止することができる。特に、緊急モードは、上位又は中央の制御装置から有効な目標回転数設定値を受信した後にのみ活性化させることができる。
【0017】
一実施例によれば、流体搬送装置は、圧縮機として構成されている。工場に圧縮機を設置する又は取り付ける場合、中央制御装置が既に有効な目標回転数設定値を設定していなくても、圧縮機には、まだ流体回路、特に冷媒回路が充填されないうちに電圧を印加することができる。本方法及び本制御ユニットによれば、圧縮機の緊急モードの活性化及び圧縮機の有害な空動作を阻止することができる。特に、圧縮機の緊急モードは、上位又は中央制御装置の有効な目標回転数設定値を受信した後にのみ活性化することができる。
【0018】
一実施例によれば、流体搬送装置は、バルブとして構成されている。工場にバルブを設置する又は取り付ける場合、中央制御装置が既に有効な目標制御値設定値を設定していなくても、バルブには電圧を印加することができる。本方法及び本制御ユニットによれば、バルブの緊急モードの活性化を阻止することができる。特に、バルブの緊急モードは、上位又は中央の制御装置の有効な目標制御値設定値を受信した後にのみ活性化させることができる。
【0019】
目標回転数設定値は、好適には、事前に定められた閾値の上方に存在する。流体搬送装置が、電源から切り離されている場合、緊急モードは、流体搬送装置に再び電圧が印加された後で改めて非活性化される。従って、流体搬送装置側の制御ユニットによる緊急モードの非活性化は、ポンプ若しくは圧縮機としての構成の場合、意図しない空動作に対する流体搬送装置の保護機構として、又は、ファンとしての構成の場合、意図しない過回転に対する流体搬送装置の保護機構として、若しくは、より高い回転数におけるバルブの開閉に対する流体搬送装置の保護機構として、用いられる。
【0020】
流体搬送装置は、例えば、冷却水ポンプ又は補助ウォータポンプであるものとしてもよい。特に、流体搬送装置は、任意の流体を搬送又は調整するように構成されるものとしてもよいが、自動車用の利用分野に限定されるものではない。
【0021】
本発明のさらなる態様によれば、制御ユニットが提供され、当該制御ユニットは、本方法を実施するように構成されている。この制御ユニットは、例えば、流体搬送装置内に統合される流体搬送装置側の制御ユニットであるものとしてもよい。
【0022】
例えば、この制御ユニットは、流体搬送装置コントローラと組み合わせられてもよいし、又は、流体搬送装置コントローラに結合されるものとしてもよい。
【0023】
好適には、流体搬送装置側の制御ユニットは、目標回転数設定値を受信して実行することができるようにするために、通信接続を介して中央制御装置に結合可能であるものとしてもよい。
【0024】
その上さらに、本発明の一態様によれば、コンピュータプログラムが提供され、当該コンピュータプログラムは、当該コンピュータプログラムがコンピュータ又は制御装置によって実行されるときに、当該コンピュータ又は制御装置に、本発明に係る方法を実施させるための命令を含む。本発明のさらなる態様によれば、本発明に係るコンピュータプログラムが格納された機械可読記録媒体が提供される。
【0025】
一実施例によれば、流体搬送装置の運転モードは、流体搬送装置の動作中に内部メモリユニットに記憶される。好適には、内部メモリは、流体搬送装置の活性化の際に最後に使用された運転モードを設定するために読み出される。流体搬送装置の運転モードは、特に、活性化された緊急モード又は非活性化された緊急モードであるものとしてもよい。活性化された緊急モードにおいては、流体搬送装置は、緊急モード運転に移行することができる。非活性化された緊急モードにおいては、流体搬送装置を緊急モード運転に移行させることは不可能である。この運転モードは、その上さらに、流体搬送装置の最初の初期始動のためのエントリの形態で構成されるものとしてもよい。
【0026】
内部メモリは、例えば、流体搬送装置側の制御ユニットに統合されていてもよいし、又は、流体搬送装置側の制御ユニットに接続可能であるものとしてもよい。
【0027】
特に、内部メモリには、緊急モード、活性化された緊急モード、又は、非活性化された緊急モードのうちの最後に使用された状態が記憶されるものとしてもよく、それにより、例えば、ポンプ又は圧縮機の意図しない空動作を防止することができる。
【0028】
この手段により、例えば、流体搬送装置を有する車両が既に現場にあり、冷却水ポンプとして構成された流体搬送装置が、事前に充填された冷却回路で活性化された場合、流体搬送装置の緊急モード機能が保証される。
【0029】
さらなる実施形態によれば、流体搬送装置の緊急モードは、流体搬送装置の目標回転数、特に目標回転数設定値がトリガ値を上回った場合にスイッチオンされる。例えば、トリガ値は、中央制御装置のアクティブな駆動制御によってのみ達成可能な回転数レベルを有し得る。
【0030】
それにより、流体搬送装置への意図しない電圧の印加と、わずかな回転数の達成とが流体搬送装置の緊急モード機能の活性化に至ることはできない。
【0031】
さらなる好適な構成においては、流体搬送装置の緊急モードは、中央制御装置又は流体搬送装置側の制御ユニットによって開始される。特に、流体搬送装置の緊急モードは、中央制御装置若しくは流体搬送装置側の制御ユニットのみによって、又は、専ら中央制御装置若しくは流体搬送装置側の制御ユニットによって開始することができる。この手段によれば、緊急モードを中央制御装置又は流体搬送装置側の制御ユニットの制御命令によって所期のように活性化させることができる。
【0032】
さらなる実施例によれば、流体搬送装置の活性化された緊急モードにおいては、流体搬送装置の、例えば定格回転数又は最大回転数の形態の緊急モード回転数が設定される。流体搬送装置が緊急モード運転に移行される場合又は流体搬送装置が緊急モード運転に移行している場合、省エネルギを考慮することなく想定された搬送タスクの充足のために最大回転数又は定格回転数における無制限の搬送性能が発揮される。これによって、例示的な冷却水ポンプが、冷却回路に熱的に結合された構成部品を十分に冷却することが保証される。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、ポンプアレイが提供される。このポンプアレイは、ポンプとして構成された少なくとも1つの流体搬送装置と、ポンプを制御及び/又は調整するためにポンプに接続された制御ユニットとを有する。このポンプアレイは、本発明に係る方法を実施するように構成されている。
【0034】
本発明のさらなる態様によれば、バルブアレイが提供される。このバルブアレイは、バルブとして構成された少なくとも1つの流体搬送装置と、バルブを制御及び/又は調整するためにバルブに接続された制御ユニットとを有する。このバルブアレイは、本発明に係る方法を実施するように構成されている。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、圧縮機アレイが提供される。この圧縮機アレイは、圧縮機として構成された少なくとも1つの流体搬送装置と、圧縮機を制御及び/又は調整するために圧縮機に接続された制御ユニットとを有する。この圧縮機アレイは、本発明に係る方法を実施するように構成されている。
【0036】
本発明のさらなる態様によれば、ファンアレイが提供される。このファンアレイは、ファンとして構成された少なくとも1つの流体搬送装置と、ファンを制御及び/又は調整するためにファンに接続された制御ユニットとを有する。このファンアレイは、本発明に係る方法を実施するように構成されている。
【0037】
その上さらに、流体搬送装置側の制御ユニットは、制御命令又は目標回転数設定値を流体搬送装置に転送するために、通信接続を介して中央制御装置に結合されるものとしてもよい。
【0038】
ポンプアレイは、例えば、制御ユニットと任意選択的な中央制御装置とを備え、冷却回路に接続された冷却水ポンプとして設計されるものとしてもよい。
【0039】
ポンプ、バルブ、圧縮機は、特に、冷媒回路の一部であるものとしてもよく、ここでは、それらは、冷媒の循環を担っている。
【0040】
以下においては、大幅に簡略化された概略図に基づいて、本発明の好適な実施例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】一実施形態によるポンプアレイの概略図である。
【
図2】一実施形態による本方法の方法ステップに対する概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、一実施形態による流体搬送アレイ1の概略図を示している。この流体搬送アレイ1は、流体搬送装置4を動作させるための方法2を実行するために用いられる。
【0043】
この流体搬送装置4は、図示の実施例においては、冷却ウォータポンプとして又は補助ウォータポンプとして設計され、冷却回路6に配置されている。
【0044】
それにより、ポンプとして構成された流体搬送装置4は、流体回路6、特に冷媒回路又は冷却水回路内に存在する流体、特に冷却水又は冷媒を搬送し、流体の循環を可能にすることができる。この流体回路6は、簡略化されて示されており、そのため、例えば、冷却器、接続部、バルブ、熱交換器、及び、冷却すべき複数のコンポーネントは、示されていない。
【0045】
流体回路6には、例示的に、冷却又は加熱すべき構成部品8が熱的に結合されている。この構成部品8は、例えば、パワーエレクトロニクス又はオイルクーラであるものとしてもよい。
【0046】
流体搬送アレイ、特にポンプアレイ1、バルブアレイ、圧縮機アレイ、ファンアレイは、制御命令を、流体搬送装置、特にポンプ4に伝送するように構成されている中央制御装置10を有している。例えば、この中央制御装置10は、目標回転数設定値を、流体搬送装置、特にポンプ4に伝送することができる。この目的のために、中央制御装置10は、制御命令を、通信接続12を介して流体搬送装置側の制御ユニット14に伝送することができる。
【0047】
流体搬送装置側の制御ユニット14は、受信した制御命令を、流体搬送装置、特にポンプ4の駆動制御に使用することができ、それによって、流体搬送装置、特にポンプ4を、所望の回転数に制御することができる。
【0048】
通信接続12は、制御命令の伝送の他に、流体搬送装置4及び流体搬送装置側の制御ユニット14に動作電力又は電気エネルギを供給するために用いることもできる。
【0049】
流体搬送装置側の制御ユニット14は、メモリユニット16を有している。このメモリユニット16には、流体搬送装置4の最後に使用された運転モードが記憶されるものとしてもよい。
【0050】
特に、制御ユニット14により、緊急モード運転における流体搬送装置4の初期活性化を阻止することができる。
【0051】
さらに、一般的に、始動は、緊急モードが非活性化されている場合、阻止され得る。緊急モードの活性化で初めて始動も可能になる。そのような一般的な始動の阻止は、特にファンの場合には有意である。なぜなら、それらは、特に取り付けにおいて意図せず始動したときに不所望な結果を招く虞があるからである。始動の阻止は、特に、スイッチオンされた流体搬送装置において可能である。
【0052】
図2は、一実施形態による方法2を示す概略的なフローチャートである。この方法2は、制御ユニット14により、流体搬送装置4、特にポンプ、好適には、電子的に回転数制御された補助ウォータポンプ、又は、特に、バルブ、ファン、圧縮機を動作させるために用いられる。
【0053】
ステップ20においては、流体搬送装置4は、非活性化された緊急モードにおいて流体搬送装置4に少なくとも初めて動作電力が印加されたときにスイッチオンされる。
【0054】
さらなるステップ22においては、制御ユニット14により、流体搬送装置4が、予め定められた目標回転数、特に目標回転数設定値に対応する有効な回転数で動作しているかどうかが検査され得る。
【0055】
流体搬送装置4が、目標回転数、特に目標回転数設定値に対応する回転数で動作している場合、設定された目標回転数、特に目標回転数設定値が、予め定められた活性化閾値と比較され得る(ステップ24)。流体搬送装置4の目標回転数、特に目標回転数設定値が、活性化閾値を上回ると、流体搬送装置4の緊急モードが、制御ユニット14によって活性化され得る(ステップ26)。バルブとしての構成における目標制御値設定値に関しても、同様のことが当てはまる。
【0056】
流体搬送装置4の活性化された緊急モードにおいては、流体搬送装置4は、通信接続12が中断されたときに自動的に緊急モード運転28に移行することが可能である。緊急モードの活性化により、流体搬送装置4は、緊急モード運転に移行する手段を付与される。
【0057】
問合せ22の際に目標回転数設定値からの回転数の偏差が検出された場合、流体搬送装置4が無効な回転数若しくは無効な制御値で動作する時間又は活性化持続時間が測定され得る(ステップ30)。
【0058】
無効な回転数とは、特に、回転数が目標回転数設定値に対応しないことを意味するものと理解されたい。これは、特に、十分な流体が流体搬送装置内に存在していないこと、又は、流体搬送装置が詰まっていることに起因し得る。また、流体搬送装置が正しく接続されず、誤った信号が受信されている可能性もある。実際の回転数は、特に、センサ、又は、回転位置を特定する方法を用いて検出することができる。
【0059】
無効な制御値とは、特に、制御値が、目標制御値設定値に対応しないことを意味するものと理解されたい。このことは、特に、汚染の結果として制御経路が塞がれた場合であるものとしてもよい。
【0060】
活性化持続時間を上回らない場合、流体搬送装置4の回転数又は制御値は、目標回転数設定値又は目標制御値設定値に設定することができる(ステップ32)。
【0061】
活性化持続時間を上回った場合、緊急モードが既に活性化(ステップ26)されているときには、流体搬送装置4は、緊急モード運転に移行する(ステップ28)。流体搬送装置4が活性化されていない緊急モードにおいては、流体搬送装置4は、特に、非活性化され(ステップ34)、又は、流体搬送装置は、緊急モードを伴わずに引き続き動作させられる。
【0062】
緊急モード、特に緊急モード運転は、好適には、緊急モードが活性化され、目標回転数設定値又は目標制御値設定値が存在しない場合、代替的及び/又は付加的にスイッチオンされる。
【0063】
活性化持続時間は、特に1乃至15秒、好適には3乃至10秒、例えば4秒である。
【0064】
代替的に、非活性化された緊急モードにおける流体搬送装置の始動は、不可能である。
【0065】
流体とは、液体、特に冷却水若しくは冷媒、又は、気体、特に空気を意味するものと理解されたい。