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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】センシングシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240207BHJP
   G01V 8/12 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
G01V8/12 D
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022539258
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2020086493
(87)【国際公開番号】W WO2021130083
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】62/953,657
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521339201
【氏名又は名称】アー・エム・エス・インターナショナル・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ams International AG
【住所又は居所原語表記】Eichwiesstrasse 18b, 8645 Jona, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス コシーア
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-043433(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0289524(US,A1)
【文献】特表2016-533648(JP,A)
【文献】特表2019-518200(JP,A)
【文献】特開2008-298485(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0050746(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシングシステムであって、前記センシングシステムは、
電磁放射を放出するように構成されたエミッタと、
電磁放射を検出するように構成された検出器と、
前記センシングシステムの回路と相互作用するように構成された電子部品と、
を備え、
前記電子部品は、前記エミッタと前記検出器との間に少なくとも部分的に配置されており、前記電子部品は、前記エミッタから前記検出器へ伝播する電磁放射の量を低減させ
前記エミッタ、前記検出器および前記電子部品は、単一のダイまたは単一の基板に配置されており、
前記電子部品は、前記回路の電圧を少なくとも部分的に安定させるように、かつ/または、前記回路に作用するフィールドの影響を低減させるように構成されたコンデンサを備える、
センシングシステム。
【請求項2】
前記電子部品は、前記回路のフィルタとして機能するように構成されたインダクタを備える、
請求項1記載のセンシングシステム。
【請求項3】
前記電子部品は、前記回路のプルアップ抵抗器またはプルダウン抵抗器として機能するように構成された抵抗器を備える、
請求項1記載のセンシングシステム。
【請求項4】
前記電子部品は、前記回路のRCフィルタとして機能するように構成された抵抗器およびコンデンサを備える、
請求項1記載のセンシングシステム。
【請求項5】
前記電子部品は、前記回路に作用するフィールドの影響を低減させるように構成されたダイオードを備える、
請求項1記載のセンシングシステム。
【請求項6】
前記センシングシステムは、前記センシングシステムの前記回路を収容するように構成されたダイを備え、前記電子部品は、前記ダイに配置されている、
請求項1記載のセンシングシステム。
【請求項7】
前記エミッタおよび前記検出器は、前記ダイに配置されている、
請求項記載のセンシングシステム。
【請求項8】
前記センシングシステムは、前記ダイと前記センシングシステムのプリント回路基板との間に電気的接続をもたらすように構成された基板を備え、前記エミッタは、前記基板に配置されており、前記検出器は、前記ダイに配置されている、
請求項記載のセンシングシステム。
【請求項9】
前記センシングシステムは、前記電子部品と前記センシングシステムとの間に設けられた充填物を含む、
請求項1記載のセンシングシステム。
【請求項10】
前記センシングシステムは、前記電子部品を受容するように構成された電極を備え、前記充填物は、前記電子部品を前記電極に取り付けるように構成された導電性接着剤を含む、
請求項記載のセンシングシステム。
【請求項11】
前記センシングシステムは、電気コンタクトと、前記電子部品を前記電気コンタクトに接続するように構成された導電コネクタと、を備え、前記充填物は、前記電子部品を前記センシングシステムに取り付けるように構成された非導電性接着剤を含む、
請求項記載のセンシングシステム。
【請求項12】
前記センシングシステムは、飛行時間センシングシステムである、
請求項1記載のセンシングシステム。
【請求項13】
前記センシングシステムは、近接センシングシステムである、
請求項1記載のセンシングシステム。
【請求項14】
請求項1記載のセンシングシステムを備える電子デバイス。
【請求項15】
前記電子デバイスは、携帯電話機である、
請求項14記載の電子デバイス。
【請求項16】
電磁放射を放出および検出する方法であって、請求項1記載のセンシングシステムを使用することを含む、方法。
【請求項17】
センシングシステムを製造する方法であって、前記方法は、
電磁放射を放出するように構成されたエミッタを設けるステップと、
電磁放射を検出するように構成された検出器を設けるステップと、
前記センシングシステムの回路と相互作用するように構成された電子部品を設けるステップと、
前記エミッタと前記検出器との間に少なくとも部分的に前記電子部品を配置するステップと、
を含み、
前記電子部品は、前記エミッタから前記検出器へ伝播する電磁放射の量を低減させ
前記エミッタ、前記検出器および前記電子部品は、単一のダイまたは単一の基板に配置されており、
前記電子部品は、前記回路の電圧を少なくとも部分的に安定させるように、かつ/または、前記回路に作用するフィールドの影響を低減させるように構成されたコンデンサを備える、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子デバイスでの使用に適したセンシングシステムに関し、限定するものではないが、特に携帯電話機での使用に適した飛行時間センシング(ToF sensing)システムまたは近接センシングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1Aおよび図1Bに既知のセンシングシステム100の例を示す。既知のセンシングシステム100は、電磁放射を放出するように構成されたエミッタ110と、電磁放射を検出するように構成された検出器120と、を備える。エミッタ110は第1のダイ130に配置されており、検出器120は第2のダイ140に配置されている。第1のダイ130および第2のダイ140は基板160に配置されている。基板160は、電子デバイス(図示せず)のプリント回路基板(図示せず)の一部を形成しうる。基板160は、基板160を他の回路(例えば、センシングシステム100および/または電子デバイスの1つ以上のプロセッサ)に電気的に接続する電気コンタクト170を備える。ダイ130,140は、ダイ130,140を基板160および他の回路(例えば、電子デバイスのプロセッサ)に電気的に接続する電気コンタクト150を備える。既知のセンシングシステム100は、エミッタ110と検出器120との間に配置されたシールド180を備える。シールド180は、専ら、少なくとも一部の電磁放射がエミッタ110から検出器120へ直接に伝播しないように遮って検出器信号中のノイズを低減させるように機能する。既知のセンシングシステム100は、エミッタ110および検出器120の動作波長(例えば、電磁放射の可視波長および/または赤外波長)に対して実質的に透明な第1のケーシング182および第2のケーシング184をさらに備える。第1のケーシング182は、検出器120を保護するように構成されており、入射する電磁放射を捉えて検出器120へ集束させるレンズ186を含む。第2のケーシング184は、エミッタ110を保護するように構成されている。既知のセンシングシステム100は、電磁放射を検出器120へと透過させるように構成された第1のアパーチャ192と、エミッタ110によって放出された電磁放射がセンシングシステム100から出ることができるように構成された第2のアパーチャ194と、を有するキャップ190をさらに備える。シールド180は、典型的にはプラスチックで作られており、第1のケーシング182および第2のケーシング184ならびにキャップ190がシールド180の上に設置される前に、センシングシステム100に接着される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既知のセンシングシステムに関連する1つ以上の問題に対処するセンシングシステムを提供すること、または有用な代替物を少なくとも提供することが、本開示の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概して、本発明は、センシングシステムであって、エミッタと、検出器と、センシングシステムの回路と相互作用するように構成された電子部品と、を備えるセンシングシステムに関する。電子部品は、エミッタと検出器との間に少なくとも部分的に配置されている。電子部品は、センシングシステムを離れずにエミッタから検出器へ直接に伝播してしまうはずの電磁放射の量を遮る(例えば、吸収する、かつ/または方向転換させる)。電子部品は、有利なことに、センシングシステムの回路と相互作用するというその標準機能を果たすだけでなく、少なくとも一部の電磁放射がエミッタから検出器へ直接に伝播するのを遮る。これにより、既知のセンシングシステムのシールドが不要となり、よりコンパクトなセンシングシステムが有利に可能となる。本発明によるセンシングシステムは、既知のセンシングシステムよりも少なくとも1つ少ない部品を備え、これにより、センシングシステムが簡素化され、その製造コストが低減する。電子部品は、エミッタから検出器への見通し線を少なくとも部分的に遮るように、サイズ決定、形成および配置されうる。電子部品は、エミッタによって放出され、検出器によって検出される電磁放射の波長に対して実質的に不透明な(例えば、入射放射の約90%以上を遮る)材料を含んでよい。
【0005】
本開示の一態様によれば、電磁放射を放出するように構成されたエミッタと、電磁放射を検出するように構成された検出器と、を備えるセンシングシステムが提供される。センシングシステムは、センシングシステムの回路と相互作用するように構成された電子部品をさらに備える。電子部品は、エミッタと検出器との間に少なくとも部分的に配置されている。電子部品は、エミッタから検出器へ伝播する電磁放射の量を低減させる。
【0006】
既知のセンシングシステムは、エミッタと検出器との間に配置されたシールドを備える。シールドの専らの目的は、エミッタから検出器へ直接に伝播する電磁放射の検出を低減させることである。シールドは、このことを、電子部品に入射する放射の少なくとも一部を遮る(例えば、方向転換させるかつ/または吸収する)ことによって行う。既知のセンシングシステムは、その電子的な機能に専ら使用される電子部品も含む。エミッタと検出器との間に少なくとも部分的に電子部品を配置することにより、電子部品は、センシングシステムの回路と相互作用するというその標準機能を果たすだけでなく、センシングシステムを離れずにエミッタから検出器へ伝播する電磁放射の検出を低減させる。これによりシールドが不要となり、既知のセンシングシステムよりもコンパクトなセンシングシステムが有利に可能となる。センシングシステムは、既知のセンシングシステムよりも少なくとも1つ少ない部品を備え、これにより、センシングシステムが簡素化され、その製造コストが低減される。
【0007】
電子部品は、エミッタから検出器へ直接に伝播する電磁放射の量を低減させうる。電子部品は、エミッタと検出器との間の見通し線を少なくとも部分的に遮るように構成されてもよい。センシングシステムを離れずにエミッタから検出器へ直接に伝播する電磁放射の検出を低減させることで、センシングシステムを使用して行われる測定の精度が有利に向上する。これは、エミッタから検出器に直接に伝播する(すなわち、センシングシステムを離れず、またセンシングされるべき物体と相互作用しない)放射が、測定ノイズの一因となるためである。検出器は、エミッタを離れ、光学アパーチャを介してセンシングシステムから出て、1つ以上の外部物体と相互作用し(例えば、そこから反射し)、検出のために検出器へ戻る電磁放射を検出するのに適している。
【0008】
センシングシステムは、飛行時間センシングシステムおよび/または近接センシングシステムであってよい。
【0009】
エミッタは、例えば携帯電話機のような電子デバイスへの組み込みに適した任意の種類の電磁放射源であってよい。エミッタは、ダイオードまたは垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:vertical cavity surface-emitting laser)のようなレーザであってもよい。
【0010】
検出器は、例えば携帯電話機のような電子デバイスへの組み込みに適した任意の形態の光検出器であってよい。検出器は、単一光子アバランシェダイオード(SPAD:single photon avalanche diode)のようなフォトダイオードであってもよい。
【0011】
電子部品は、受動型(例えば、コンデンサ、インダクタ、抵抗器、変圧器、変換器など)、能動型(例えば、トランジスタ、ダイオード、電源、静電放電デバイスなど)および/または電気機械型(例えば、スイッチ、圧電素子、ヒューズ、コネクタなど)であってよい。
【0012】
電子部品は、回路の電圧を少なくとも部分的に安定させるように、かつ/または回路に作用するフィールドの影響を低減させるように構成されたコンデンサを備えることができる。
【0013】
既知のセンシングシステムでは、コンデンサのような電子部品は、一般に、センシングシステムの回路と同じダイまたは基板に見当たらない。本発明のセンシングシステムのコンデンサは、エミッタから検出器へ直接に伝播する電磁放射の量を低減させることと、回路の電圧を少なくとも部分的に安定させる、かつ/または回路に作用するフィールドの影響を低減させることとの少なくとも2つの機能を有利に提供する。フィールドは電場でありうる。フィールドは磁場でもありうる。フィールドは電磁場であることもある。フィールドは、外部フィールド、すなわちセンシングシステムの外側に発生するフィールドであることもある。フィールドは、内部フィールド、例えば回路を通過する電流によって発生する磁場であることもある。
【0014】
電子部品は、回路のフィルタとして機能するように構成されたインダクタを備えることができる。
【0015】
電子部品は、回路のプルアップ抵抗器またはプルダウン抵抗器として機能するように構成された抵抗器を備えることができる。
【0016】
電子部品は、回路のRCフィルタとして機能するように構成された、抵抗器およびコンデンサを備えることができる。
【0017】
電子部品は、回路に作用するフィールドの影響を低減させるように構成されたダイオードを備えることができる。
【0018】
センシングシステムは、センシングシステムの回路を収容するように構成されたダイを備えることができる。電子部品は、ダイに配置されうる。
【0019】
ダイは、集積回路として使用するためのCMOS(complementary metal-oxide semiconductor)部品を備えていてよい。ダイは、プリント回路基板の基板に配置されてもよい。コンデンサが、それが相互作用するように構成される回路の近くに配置されるほど、電子部品と回路との間の電気抵抗が小さくなり、電子部品の性能が高くなる。
【0020】
回路は、センシングシステムの集積回路を備えることができる。ダイが集積回路を収容してもよい。
【0021】
エミッタおよび検出器がダイに配置されていてもよい。
【0022】
センシングシステムは、ダイとセンシングシステムのプリント回路基板との間に電気的接続をもたらすように構成された基板を備えることができる。エミッタは、基板に配置されていてよい。検出器は、ダイに配置されていてよい。エミッタがダイに配置されてもよい。検出器が基板に配置されてもよい。
【0023】
電子部品が回路(例えば、エミッタおよび/または検出器を収容するダイおよび/または基板)の近くに配置されるほど、電子部品と回路との間の電気抵抗が小さくなりうる。電気抵抗を低減させることで、電子部品の性能が有利に向上する。例えば、電子部品がコンデンサを備える場合、回路の電圧を安定させる、かつ/または回路に作用するフィールドの影響を低減させるコンデンサの能力が、回路と同じダイおよび/または基板にコンデンサを配置することによって向上しうる。
【0024】
センシングシステムは、電子部品とセンシングシステムとの間に設けられた充填物を含むことができる。
【0025】
充填物は、インクを含みうる。充填物は、電子部品をセンシングシステムに固定するように構成された接着剤を含みうる。充填物は、エミッタによって放出され、検出器によって検出される放射の波長に対して実質的に不透明であってよい。充填物は、エミッタから検出器へ直接に伝播する電磁放射の量を有利にさらに低減させうる。
【0026】
センシングシステムは、電子部品を受容するように構成された電極を備えることができる。充填物は、電子部品を電極に取り付けるように構成された導電性接着剤を含んでいてよい。
【0027】
センシングシステムは、電子部品を受容するように構成された2つの電極を備えうる。電子部品は、センシングシステムの電極に接続するように構成された2つの電極を備えてもよい。
【0028】
センシングシステムは、電気コンタクトと、電子部品を電気コンタクトに接続するように構成された導電コネクタと、を備えることができる。充填物は、電子部品をセンシングシステムに取り付けるように構成された非導電性接着剤を含んでいてよい。このセンシングシステムは、有利なことに、他のセンシングシステムよりも安価に製造されうる。
【0029】
センシングシステムは飛行時間センシングシステムであってよい。センシングシステムは近接センシングシステムであってもよい。
【0030】
電子デバイスはセンシングシステムを備えることができる。電子デバイスは、携帯電話機やタブレットコンピュータのようなモバイル電子デバイスであってよい。電子デバイスは、自動車製造業で使用されるような、自動製造システムまたはロボットシステムなどの産業用電子デバイスであってもよい。電子デバイスは、住宅またはビルを自動化するための自動化システムの一部を形成しうる。
【0031】
電磁放射を放出および検出する方法は、センシングシステムを使用することを含みうる。
【0032】
本開示の第2の態様によれば、センシングシステムを製造する方法であって、電磁放射を放出するように構成されたエミッタを設けることと、電磁放射を検出するように構成された検出器を設けることと、センシングシステムの回路と相互作用するように構成された電子部品を設けることと、エミッタと検出器との間に少なくとも部分的に電子部品を配置することと、を含む方法が提供される。電子部品は、エミッタから検出器へ伝播する電磁放射の量を低減させる。
【0033】
最後に、ここに開示する本センシングシステムは、少なくとも、センシングシステムの回路と相互作用するように構成された電子部品がエミッタと検出器との間に少なくとも部分的に配置されるという新規の手法を利用している。電子部品は、エミッタから検出器へ伝播する電磁放射の量を低減させる。
【0034】
好ましい実施形態の簡単な説明
本開示のいくつかの実施形態について、ここで添付図面を参照して、例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1A】既知のセンシングシステムを概略的に示す側断面図である。
図1B】既知のセンシングシステムを概略的に示す分解図である。
図2】電子部品を備える既知のプリント回路基板の一部分を上方から見て概略的に示す図である。
図3A】本発明の一実施形態によるセンシングシステムを上方から見て概略的に示す図である。
図3B】本発明の一実施形態によるセンシングシステムを側方から見た断面図を概略的に示す図である。
図4A】本発明の一実施形態による代替的なセンシングシステムを上方から見て概略的に示す図である。
図4B】本発明の一実施形態による代替的なセンシングシステムを側方から見た断面図を概略的に示す図である。
図5】本発明の一実施形態によるセンシングシステムを製造する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
一般に、本開示は、電子デバイスでの使用に適したセンシングシステムを提供する。センシングシステムは、電磁放射を放出するように構成されたエミッタと、電磁放射を検出するように構成された検出器と、を備える。センシングシステムは、センシングシステムの回路と相互作用するように構成された電子部品も備える。電子部品は、エミッタと検出器との間に少なくとも部分的に配置されている。電子部品は、少なくとも一部の放射が、センシングシステムを離れずにエミッタから検出器へ直接に伝播することを妨げる。電子部品は、エミッタと検出器との間の見通し線を少なくとも部分的に遮ることができる。電子部品は、エミッタと検出器との間の見通し線を完全に遮ってもよい。
【0037】
解決策のいくつかの例を添付の図に示す。
【0038】
図3Aは、本発明の一実施形態によるセンシングシステム300を上方から見た図を概略的に示す。図3Bは、図3Aのセンシングシステム300を側方から見た断面図を概略的に示す。センシングシステム300は、エミッタ310および検出器320を備える。エミッタ310は、電磁放射を放出するように構成されている。エミッタ310は、電子デバイスへの組み込みに適した任意の種類の電磁放射源、例えば、ダイオードまたは垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のようなレーザであってよい。検出器320は、電磁放射を検出するように構成されている。検出器320は、エミッタ310によって放出された電磁放射を、電磁放射がセンシングシステム300から出て、外部物体と相互作用し(例えばそこから反射し)、伝播して検出器320に戻った後に検出するように構成されていてよい。検出器320は、任意の形態の光検出器、例えば、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)のようなフォトダイオードとすることができる。センシングシステム300は、飛行時間センシングシステムまたは近接センシングシステムであってよい。センシングシステム300は、例えば携帯電話機やタブレットコンピュータのような電子デバイスへの組み込みに適するものでありうる。
【0039】
飛行時間センシングシステムは、エミッタ310が電磁放射を放出し、その電磁放射の少なくとも一部が、検出のために伝播して検出器320に戻る前に1つ以上の外部物体と相互作用する(例えば、そこから反射する)ことを含みうる。エミッタ310による放射の放出と検出器320による放射の検出との間の時間を測定して、電子デバイスと1つ以上の外部物体との間の距離を既知の光速を使用して決定することができる。飛行時間センシングシステムは、比較的高い精度の測定に使用されうる。例えば、カメラを備える携帯電話機に飛行時間センシングシステムを組み込んだ場合、飛行時間センシングシステムは、カメラの焦点を調節して物体の画像を向上させるために、カメラと外部物体との間の距離を決定するために使用されうる。飛行時間センシングシステムの代替的な使用としては、自動車産業、ロボット工学、製造業、および自動化プロセスにおける使用が挙げられる。飛行時間センシングシステムの場合、センシングシステム300は、エミッタ310に近接して配置された第2の検出器(図示せず)をさらに備えてよい。第2の検出器は、飛行時間センシングシステムのためのバックグラウンド電磁放射の基準検出値を提供するように構成されてもよい。
【0040】
センシングシステム300は、代替的に、エミッタ310が電磁放射を放出し、その少なくとも一部がセンシングシステム300から出て、センシングのために検出器320に入射する前に1つ以上の外部物体と相互作用する(例えば、そこから反射する)、近接センシングシステムであってもよい。エミッタ310によって放出された放射の量は、電子デバイスと1つ以上の外部物体との間の距離を決定するために、検出器320によって検出された放射の量と比較することができる。近接センシングシステムは、比較的低い精度の測定に使用されうる。例えば、タッチスクリーンを備える携帯電話機に近接センシングシステムを組み込んだ場合、近接センシングシステムは、タッチスクリーンの入力表示を変更して通話中に不要な入力コマンドを避けるために、電話がユーザの耳に近接して置かれているかを判定するために使用されうる。
【0041】
センシングシステム300は、センシングシステムの回路と相互作用するように構成された電子部品330をさらに備える。電子部品330は、受動素子(例えば、コンデンサ、インダクタ、抵抗器、変圧器、変換器など)、能動素子(例えば、トランジスタ、ダイオード、電源、静電放電デバイスなど)および/または電気機械素子(例えば、スイッチ、圧電素子、ヒューズ、コネクタなど)を備えうる。例えば、電子部品330は、回路の電圧を少なくとも部分的に安定させるように構成されたコンデンサを備えていてよい。センシングシステムの動作中、回路の両端間で電圧が意図せずに変化する場合がある。意図しない電圧の変化の例示的な原因としては、電源による不要な電力変動、回路内のリップル電圧、センシングシステムの電流引き込み量の変化および/またはセンシングシステムが一部を形成する電子デバイスの電流引き込み量の変化、および/または回路内の非ゼロ抵抗および/またはインダクタンスによる回路の両端間での電圧の変化が挙げられる。コンデンサは、一般に、電流の変化がコンデンサによって少なくとも部分的に打ち消されるように、局所的な電圧源および/またはシンクとして機能しうる。代替的にかつ/または付加的に、コンデンサは、回路に作用するフィールドの影響(例えば、外部および/または内部の電磁干渉)を低減させるように構成されてもよい。すなわち、コンデンサは、センシングシステム300のその電磁環境との電磁適合性を向上させるように構成されていてよい。例えば、外部磁場が回路内に不要な電流を発生させることにより、センシングシステム300の動作に悪影響を及ぼす場合がある。代替的にまたは付加的に、動作中、センシングシステム300の回路は、回路内に不要な電流を生じさせうる内部磁場を発生させる場合もある。コンデンサは、回路に作用する不要な電流を少なくとも部分的に打ち消すように機能することができる。
【0042】
別の例として、電子部品330は、インダクタを備えていてもよい。インダクタは、例えば、センシングシステム300の回路のフィルタとして機能するように構成されていてよい。例えば、インダクタは、特定の周波数が回路の特定の部分に作用するのを防ぐために、ある範囲の交流周波数をフィルタ除去するように構成されていてよい。
【0043】
さらなる例として、電子部品330は、抵抗器を備えていてもよい。抵抗器は、例えば、センシングシステム300の回路のプルアップ抵抗器またはプルダウン抵抗器として機能するように構成されていてよい。すなわち、抵抗器は、回路の入力部および/または出力部において十分に限定された電圧を提供するように構成されていてよい。
【0044】
別の例として、電子部品は、センシングシステム300の回路のフィルタネットワーク(すなわち、RCフィルタ)として機能するように構成された、抵抗器およびコンデンサを備えていてもよい。
【0045】
さらなる例として、電子部品330は、ダイオードを備えていてもよい。ダイオードは、例えば、回路に作用するフィールドの影響(例えば、外部および/または内部電磁干渉)を低減させるように構成されていてよい。すなわち、ダイオードは、センシングシステム300のその電磁環境との電磁適合性を向上させるように構成されていてよい。ダイオードは、回路に作用する不要な電流の影響を少なくとも部分的に打ち消すように機能しうる。
【0046】
図1A図1Bを再び参照すると、既知のセンシングシステム100は、エミッタ110と検出器120との間に配置されたシールド180を含む。シールド180の専らの目的は、エミッタ110から検出器120へ電磁放射が直接に伝播するのを少なくとも部分的に遮ることである。
【0047】
図2は、コンデンサ230を備える既知のプリント回路基板200の一部分を上方から見た図を概略的に示す。プリント回路基板200は、図1Aおよび図1Bに示されている既知のセンシングシステムと同じダイ240および/または同じ基板(図示せず)を共有することができる。プリント回路基板200は、複数の信号入力部および出力部220を有する集積回路210を備える。第1の電圧源接続部260および第2の電圧源接続部265、グラウンド接続部270および導電路250が、集積回路210への電気エネルギおよび信号の供給を可能にする。コンデンサ230は、センシングシステム(図2には図示せず)の外側に、センシングシステムから離れてプリント回路基板200に設けられている。コンデンサ230は、(例えば、集積回路210の電圧を安定させるために)集積回路210と相互作用するという専らの機能を有する。コンデンサ230は、製造公差(例えば、プリント回路基板200の製造に使用されるピックアンドプレースツールの精度)によって決定される距離(例えば、約300μm)だけ集積回路210から離間されていてよい。
【0048】
図3Aおよび図3Bを再び参照すると、エミッタ310と検出器320との間に少なくとも部分的に電子部品330を配置することにより、電子部品330は、センシングシステム300の回路と相互作用するというその標準機能を果たすだけでなく、エミッタ310から検出器320に直接に伝播する電磁放射の量を低減させる。これにより、既知のセンシングシステムのシールドが不要となり、既知のセンシングシステム100と比べてよりコンパクトなセンシングシステム300を有利に実現することができる。本発明によるセンシングシステム300は、既知のセンシングシステム100よりも少なくとも1つ少ない部品を備え、これにより、センシングシステム300が簡素化され、その製造コストが低減される。電子部品330は、エミッタ310と検出器320との間の見通し線を少なくとも部分的に遮るように構成されうる。エミッタ310から検出器320に直接に伝播する放射の量を減らすことで、検出器信号から不要なノイズを除去することによってセンシングシステム300の精度が有利に向上する。
【0049】
電子部品330は、エミッタ310によって放出され、検出器320によって検出される放射の波長に対して実質的に不透明な1つ以上の材料を含みうる。例えば、エミッタ310および検出器320はそれぞれ、電磁放射の可視および/または赤外波長を放出および検出するように構成可能である。例えば、エミッタ310および検出器320はそれぞれ、約800nm~約1000nmの範囲内の波長を有する放射を放出および検出するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、エミッタ310および検出器320が、センシングシステム300によって使用される放射が肉眼で検出できないよう、非可視波長の放射を放出および検出することが好ましい場合がある。
【0050】
電子部品330は、エミッタ310から検出器320に直接に伝播するはずの放射を少なくとも部分的に遮るようにサイズ決定、形成および配置されている。電子部品330は、エミッタ310と検出器320との間の見通し線または照明フィールドの全体を実質的に遮るようにサイズ決定、形成および配置されてよい。したがって、電子部品330のサイズ、形状および位置は、センシングシステム300の幾何学的形状に少なくとも部分的に依存しうる。例えば、電子部品330のサイズ、形状および位置は、エミッタ310のサイズ、形状および位置、検出器320のサイズ、形状および位置、ならびに/または放出された放射が伝播しうるエミッタ310と検出器320との間の空間に基づいて選択されうる。センシングシステム300の様々な部品の寸法および幾何学的形状が異なる使用例の間で大きく変化しうることが理解されよう。概して、電子部品330は、エミッタ310から検出器320への放射の経路を少なくとも部分的に遮るように、サイズ決定、形成および配置されている。電子部品330は、標準的なサイズの標準的な電子部品であってもよい。例えば、電子部品は、長さ約1.0mm、幅約0.5mmの0402インペリアルコンデンサであってよく、または長さ約0.6mm、幅約0.3mmの0201インペリアルコンデンサであってもよい。
【0051】
放射がエミッタ310を離れる角度の範囲および/または放射が検出器320に入りうる角度の範囲によっても、電子部品330のサイズ、形状および位置が少なくとも部分的に決定されうる。概して、電子部品330の高さは、エミッタ310の高さよりも大きくてよい。
【0052】
電子部品330のサイズ、形状および位置は、好ましくは、エミッタ310によって放出され、センシングシステム300から出ない電磁放射が、検出器320に到達することを電子部品330によって妨げるように選択される。センシングシステム300は一般に、エミッタ310によって放出された放射の測定部分がセンシングシステム300から出て、外側の環境と相互作用し(例えば、物体から反射し)、センシングシステム300に戻って検出器320によって検出されるように構成されている。電子部品330は、放射の測定部分が検出器320に到達することを妨げない。
【0053】
センシングシステム300は、図1Aおよび図1Bに示すキャップ190のようなキャップを備えていてよい。キャップの一部分は、電子部品330の上面に接し、これにより、放射がエミッタ310から検出器320に直接に伝播するのを実質的に妨げるように形成されうる。センシングシステム300は、図1Aおよび図1Bに示す第1のケーシング182および第2のケーシング184のような第1のケーシングおよび第2のケーシング(図示せず)も備えていてよい。
【0054】
図3Aおよび図3Bの例では、電子部品330、エミッタ310および検出器320は、単一のダイ340に配置されている。ダイ340は、センシングシステム300の回路(例えば、集積回路)を収容するように構成されている。ダイ340は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)回路を備えていてよい。ダイ340は、プリント回路基板(図示せず)の基板(図示せず)に配置されていてもよい。センシングシステム300の回路(例えば、ダイ340)の近くに電子部品330を配置するほど、電子部品330とセンシングシステム300の回路との間の電気抵抗が低くなりうる。これにより、電子部品330の性能が向上しうる。センシングシステム300の回路と同じダイ340および/または基板(図示せず)に電子部品330を配置することにより、前記構成要素の間の導電路の長さが既知のセンシングシステムと比べて低減する。これにより、導電路に関連する電気抵抗が既知のセンシングシステムと比べて低減し、電子部品330の性能が既知のセンシングシステムと比べて有利に向上する。
【0055】
ダイは、製造が比較的高価となるセンシングシステム300の部品でありうるので、比較的薄い(例えば、約2mm未満の)ダイ340を維持することが好ましい場合がある。したがって、より大きな電子部品330(例えば、コンデンサ)をエミッタ310と検出器320との間に少なくとも部分的に配置することが有利となりうる。なぜなら、より小さな部品を収容するためにダイ340の厚さを増大させることなく、より小さな電子部品(例えばダイオード)をダイ340に組み込むことができるからである。
【0056】
ダイ340は、センシングシステム300を他の電子装置、例えば、センシングシステム300を組み込む電子デバイス(図示せず)のプロセッサに電気的に接続するための電気コンタクト350を備える。センシングシステム300は、エミッタ310を受容するように構成されたエミッタ電極315を備える。エミッタ電極315は、ダイ340に配置されている。センシングシステム300は、電子部品330を受容するように構成された2つの電極332,334をさらに備える。電極332,334は、ダイ340に配置されている。電極332,334は、電子部品330とセンシングシステム300との間の接触面積を、ワイヤボンディングのような導電コネクタを使用する場合と比べて増大させることができる。これにより、電子部品330とセンシングシステム300との間の電気的接続が、電子部品330をセンシングシステム300に電気的に接続する他の方法と比べて有利に向上しうる。電極332,334は、例えば金プレートを備えることができる。電子部品330自体が、センシングシステム300の電極332,334に接触するための2つの電極(図示せず)を備えていてもよい。センシングシステム300は、代替的に、2つの電気コンタクトと、電子部品330を電気コンタクトに接続する、電子部品330から間隔を置いた2つの導電コネクタ(図4Aおよび図4Bに示す電子部品コンタクト432,434ならびに第1および第2の導電コネクタ436,438など)と、を備えていてもよい。
【0057】
電子部品330とセンシングシステム300との間には、充填物338が設けられてもよい。充填物338は、センシングシステム300から離れずにエミッタ310から検出器320へ直接に向かう電磁放射の伝播をさらに低減させるように構成されうる。充填物338は、電子部品330をセンシングシステム300に固定するように構成されたインクおよび/または接着剤を含みうる。図3Aおよび図3Bの例では、充填物338は、電子部品330と電極332,334との間の導電性接着剤を含む。導電性接着剤は、電子部品330をセンシングシステム300に取り付ける、電子部品330と電極332,334との間に導電路を設ける、センシングシステム300を離れずにエミッタ310から検出器320へ直接に伝播するはずの電磁放射の検出をさらに低減する、などの複数の機能を有利に提供する。
【0058】
図4Aおよび図4Bは、本発明の一実施形態による代替的なセンシングシステム400の上方から見た図および側方から見た断面図を概略的に示す。図4Aおよび図4Bのセンシングシステム400は、図3Aおよび図3Bのセンシングシステム300と共通の多くの特徴を共有している。センシングシステム400は、エミッタ410および検出器420を備える。エミッタ410は、電磁放射を放出するように構成されている。エミッタ410は、任意の種類の電磁放射源、例えば、ダイオードまたは垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のようなレーザであってよい。検出器420は、電磁放射を検出するように構成されている。検出器420は、エミッタ410によって放出された電磁放射を、センシングシステム400によってセンシングされるべき物体と電磁放射が相互作用した(例えば、そこから反射した)後に検出するように構成されていてよい。検出器420は、任意の形態の光検出器、例えば、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)のようなフォトダイオードであってよい。センシングシステム400は、携帯電話機またはタブレットコンピュータのような電子デバイスの一部を形成するのに適している。センシングシステム400は、上述したように、飛行時間センシングシステムまたは近接センシングシステムであってよい。
【0059】
センシングシステム400は、センシングシステム400の回路と相互作用するように構成された電子部品430を備える。電子部品430は、上述したように、受動素子、能動素子および/または電気機械素子であってよい。例えば、電子部品430は、回路の電圧を少なくとも部分的に安定させるように、かつ/またはセンシングシステム400の回路に作用するフィールドの影響(例えば、外部電磁干渉)を低減させるように構成されたコンデンサを備えてもよい。
【0060】
電子部品430は、エミッタ410と検出器420との間に少なくとも部分的に配置されている。エミッタ410と検出器420との間に少なくとも部分的に電子部品430を配置することにより、電子部品430は、センシングシステム400の回路と相互作用するというその標準機能を果たすだけでなく、エミッタ410から検出器420へ直接に伝播するはずの電磁放射の検出を低減させる。これにより、既知のセンシングシステムと比べて、コンパクトでありかつ簡素化されかつ比較的安価なセンシングシステム400が有利に実現される。電子部品430は、エミッタ410と検出器420との間の見通し線を少なくとも部分的に遮るように構成されうる。電子部品430は、エミッタ410と検出器420との間の見通し線を完全に遮るように構成されていてもよい。
【0061】
上述したように、図4Aおよび図4Bのセンシングシステム400の電子部品430は、エミッタ410によって放出され、検出器420によって検出される放射の波長に対して電子部品430を実質的に不透明にする異なる材料で形成されていてもよい。
【0062】
上述したように、電子部品430のサイズ、形状および/または位置は、エミッタ410のサイズ、形状および位置、検出器420のサイズ、形状および位置、ならびに放射が伝播しうるエミッタ410と検出器420との間の空間に少なくとも部分的に依存しうる。電子部品430のサイズ、形状および/または位置は、エミッタ410から検出器420へ直接に伝播する電磁放射の量が低減するように選択される。すなわち、電子部品430は、エミッタ410から検出器420へ直接に伝播するはずの電磁放射を吸収する、かつ/または方向転換させるように機能する。
【0063】
センシングシステム400は、図1Aおよび図1Bに示されているキャップ190のようなキャップ(図4Aおよび図4Bには図示せず)を備えることができる。キャップの一部分が、電子部品430に接して、放射がエミッタ410から検出器420へ直接に伝播するのを実質的に妨げるように形成されうる。センシングシステム400は、図1Aおよび図1Bに示されている第1のケーシング182および第2のケーシング184のような第1のケーシングおよび第2のケーシング(図示せず)を備えていてもよい。
【0064】
図4Aおよび図4Bの例では、電子部品430および検出器420は、単一のダイ440に配置されており、エミッタ410およびダイ440は、単一の基板460に配置されている。電子部品430、エミッタ410および検出器420を同じ基板に有することで、電子部品430は、センシングシステム400の回路の近くに保たれる。これにより、有利なことに、電子部品430とセンシングシステム400の回路との間の電気抵抗が低減し、これによって電子部品430の性能が向上する。例えば、電子部品430がコンデンサを備える場合、電圧を安定させ、かつ/またはセンシングシステム400の回路に作用するフィールドの影響(例えば、外部または内部の電磁干渉)を低減させる、コンデンサの性能が向上しうる。
【0065】
図4Aおよび図4Bの例では、センシングシステム400は、ダイ440の電子部品430から間隔を置いた第1の電子部品コンタクト432および第2の電子部品コンタクト434と、電子部品430を電子部品コンタクト432,434に接続する第1の導電コネクタ436および第2の導電コネクタ438と、を備える。センシングシステム400は、代替的に、電子部品430を受容するように構成された2つの電極(図3Aおよび図3Bに示す電極332,334など)を備えていてよく、これによって、第1の導電コネクタ436および第2の導電コネクタ438が不要となる。
【0066】
センシングシステム400は、エミッタ410から検出器420へ電磁放射が直接に伝播するのをさらに妨げるために、電子部品430とセンシングシステム400との間に設けられた充填物(図示せず)を含むこともできる。図4Aおよび図4Bの例では、充填物は、電子部品430とセンシングシステム400との間の非導電性接着剤を含む。
【0067】
ダイ440は、センシングシステム400を基板460の電気コンタクト470に電気的に接続するための電気コンタクト450を備える。基板460は、集積回路のような他の電子装置、例えば電子デバイスのプロセッサ(図示せず)にセンシングシステム400を接続するために、例えば基板460の底面に、さらなる電気コンタクト(図示せず)を備えていてよい。基板460は、エミッタ410を受容するように構成されたエミッタ電極415を備える。
【0068】
図5は、本発明の一実施形態によるセンシングシステムを製造する方法を示す。方法の第1のステップS1は、電磁放射を放出するエミッタを設けることを含む。方法の第2のステップS2は、電磁放射を検出する検出器を設けることを含む。方法の第3のステップS3は、センサの回路と相互作用する電子部品を設けることを含む。方法の第4のステップS4は、エミッタによって放出され、検出器によって検出される電磁放射の量を低減するために、エミッタと検出器との間に少なくとも部分的に電子部品を配置することを含む。
【0069】
方法はまた、ダイを設けること、基板を設けること、およびダイを基板に取り付けることを含んでもよい。ダイはエミッタを備えていてよい。基板がエミッタを備えていてもよい。ダイと基板との間の電気的接続は例えばワイヤボンディングを使用して設けられてよく、検出器および電子部品がダイに設けられていてもよい。検出器およびエミッタのための第1のケーシングおよび第2のケーシングが設けられてもよく、電子部品に接するようにキャップが配置されてもよい。キャップは、ケーシングを所定位置に保持するために、センシングシステムに接着されてもよい。
【0070】
本開示の実施形態は、例えば、消費財(例えば、携帯電話機またはタブレットコンピュータ)、住宅およびビルオートメーションシステム、製造システムおよび生産ライン、ロボット工学、自動車および他の産業における電子デバイスの飛行時間または近接センサを含む、多くの異なる用途で採用することができる。
【0071】
当業者は、先の説明および添付の特許請求の範囲において、「上方に」、「沿って」、「側」のような位置用語が添付図面に示すような概念的図解を参照していることを理解するであろう。これらの用語は参照の便宜上で使用されており、限定的な性質となることを意図していない。したがって、これらの用語は、添付図面に示すような向きにあるときの物体を参照していると理解されるべきである。
【0072】
本開示について、上記のような好ましい実施形態の観点から説明してきたが、これらの実施形態は例示にすぎず、特許請求の範囲はこれらの実施形態に限定されないと理解されるべきである。当業者は、本開示をふまえて変更および代替を行うことができ、それらは、添付の特許請求の範囲に含まれることが企図されている。本明細書に開示または図示した各特徴を、単独でまたは本明細書に開示もしくは図示した任意の他の特徴と適切に組み合わせて、任意の実施形態に組み込むこともできる。
【符号の説明】
【0073】
100 既知のセンシングシステム
110 エミッタ
120 検出器
130 第1のダイ
140 第2のダイ
150 電気コンタクト(ダイ)
160 基板
170 電気コンタクト(基板)
180 シールド
182 第1のケーシング
184 第2のケーシング
186 レンズ
190 キャップ
192 第1のアパーチャ
194 第2のアパーチャ
200 既知のプリント回路基板
210 集積回路
220 入力部/出力部
230 コンデンサ
240 ダイ
250 導電路
260 第1の電圧源接続部
265 第2の電圧源接続部
270 グラウンド接続部
300 センシングシステム
310 エミッタ
315 エミッタ電極
320 検出器
330 電子部品
332 第1の電極
334 第2の電極
338 充填物
340 ダイ
350 電気コンタクト
400 センシングシステム
410 エミッタ
415 エミッタ電極
420 検出器
430 電子部品
432 第1の電子部品コンタクト
434 第2の電子部品コンタクト
436 第1の導電コネクタ
438 第2の導電コネクタ
440 ダイ
450 電気コンタクト(ダイ)
460 基板
470 電気コンタクト(基板)
S1~S4 第1、第2、第3および第4の方法ステップ
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5