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特許7431980監視装置、ドアを有するシステム、及び監視装置を備えたばね、並びにその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】監視装置、ドアを有するシステム、及び監視装置を備えたばね、並びにその方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/62 20060101AFI20240207BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20240207BHJP
   G01M 13/00 20190101ALI20240207BHJP
【FI】
E06B9/62 B
E06B9/17 Z
G01M13/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022540854
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2020083166
(87)【国際公開番号】W WO2021144056
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】102020100932.1
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501394011
【氏名又は名称】エファフレックス・トーア-ウント・ジッヒャーハイツジュステーメ・ゲーエムベーハー・ウント・シーオー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー,アンドレアス
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0059989(US,A1)
【文献】特表2009-511791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視装置を有するばねであって、
前記監視装置は、
前記ばねの振動部分に設けられたセンサボードと、
前記ばねの振動中に前記ばねの少なくとも1つの物理量を検出するために前記センサボードに設けられたセンサ装置と、
検出された前記物理量を評価するための評価装置とを備え、
前記評価装置は、前記ばねの故障を検出または予測するように構成され、
前記評価装置は、前記ばねの伸長または圧縮後のポスト振動の挙動に基づいて、前記ばねの故障を検出または予測するように構成され、
さらに前記評価装置は、前記ばねの故障が検出または予測される場合に、明示的な監視信号を出力するように構成されている、
ばね。
【請求項2】
前記振動部分は、その全長の30%から70%の間に位置する前記ばねの中央部分である、
請求項1に記載のばね。
【請求項3】
前記少なくとも1つの物理量は、センサ装置の位置、速度、加速度、ジャーク、および/または前記センサボードの向きのうちの少なくとも1つである、
請求項1または2のいずれかに記載のばね。
【請求項4】
前記評価装置は、前記少なくとも1つの検出された物理量に基づいて評価値を決定し、
前記評価値を対応する所定の故障閾値または故障値範囲と比較するように構成され、
前記監視装置は、比較条件が満たされたときに故障を示す監視信号を出力するように構成される、
請求項1から3のいずれか1項に記載のばね。
【請求項5】
前記センサボードは、前記ばねに一意に関連付けられる第1のシリアル番号を含む記憶装置をさらに含み、
前記評価装置は、前記第1のシリアル番号を第2のシリアル番号と比較して、前記第1のシリアル番号の前記第2のシリアル番号からの一致および/または逸脱を示す制御信号を供するように構成される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のばね。
【請求項6】
前記センサボードは、
前記少なくとも1つの検出された物理量および/または前記評価の結果に関連する監視信号を無線または有線で送信するための通信装置と、
前記センサ装置および前記評価装置に電力を供給するための電源装置と、をさらに有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のばね。
【請求項7】
前記電源装置は、低電圧を有する電池である、
請求項6に記載のばね。
【請求項8】
ドアを備えるシステムであって、
ドア開口部を覆い、開位置と閉位置の間で移動可能なドアリーフと、
前記ドアリーフを前記開位置と前記閉位置との間で移動させるための駆動装置と、
前記駆動装置を制御するためのドア制御装置と、
監視装置を有し、前記ドアリーフに接続されたばねと、
前記ばねに一意に関連付けられる第1のシリアル番号と、
前記ドアおよび/またはドアリーフに一意に割り当てることができる第2のシリアル番号と、を備え、
前記ばねは、前記ドアリーフの重量を相殺する力を生成するように構成され、前記ばねによって生成される前記力は、前記開位置よりも前記閉位置の方が大きく、
前記監視装置は、前記ばねの故障が検出または予測される場合に、監視信号をドア制御装置に送信するように構成され、
前記ドア制御装置は、前記監視信号がばね故障を示したときに前記駆動装置のスイッチを切るように構成され、
前記監視装置は、第1のシリアル番号を第2のシリアル番号と比較し、前記ドア制御装置の比較結果を送信するように構成され、
前記ドア制御装置は、比較の結果、前記第1のシリアル番号が前記第2のシリアル番号から逸脱している場合にエラー信号を出力する、および/または前記駆動装置のスイッチを切るように構成される、
システム。
【請求項9】
前記ドアはリフティングドアである、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ドア制御装置は、前記監視装置によって検出された、前記ドアリーフの動きによって生じた前記ばねの振動、特に前記ドアリーフの加速または減速によるばねのポスト振動が低減されるように、前記駆動装置を制御する、
請求項8または9に記載のシステム。
【請求項11】
ばねの振動部分に設置されたセンサボードに設けられたセンサ装置による、監視装置を用いた前記ばねの振動挙動の検出ステップと、
前記ばねの振動時にばねの少なくとも1つの物理量を検出するステップと、
前記ばねの故障が検出または予測されるような方法で、少なくとも1つの物理量を評価するステップと、を含み、
さらに、
前記ばねの応力、特に圧縮または伸長後の前記ばねのポスト振動の開始の認識するステップと、
前記ばねのポスト振動の際に、前記ばねの少なくとも1つの物理量を検出するステップと、
前記ばねの伸長または圧縮後の前記ポスト振動の挙動に基づいて前記ばねの故障が検出または予測された場合に、明示的な監視信号を出力するステップと、を含む、
ばねの振動挙動を監視する方法。
【請求項12】
前記ばねの前記少なくとも1つの物理量は、センサ装置の位置、速度、加速度、ジャーク、および/またはセンサボードの向きのうちの少なくとも1つである、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの検出された物理量に基づいて評価値を決定するステップと、
決定された前記評価値を、対応する所定の故障閾値または故障値範囲と比較するステップと、
比較条件が満たされたときに故障を示す明示的な監視信号を出力するステップと、をさらに含む、
請求項11から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記評価するステップが、前記検出された物理量より検出された振動挙動と、前記検出された物理量について事前に記憶された振動挙動との相関をとることを含む、請求項11から13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置を備えたばね、ドアまたはゲートを有するシステム、特に電動昇降ドアまたはゲート、及び、監視装置付きばね、また、ばねの振動挙動を監視するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昇降ゲートは従来より広く実用され、長期に渡り実証されてきた。昇降ドアは、個人用及び商用の様々なタイプのドア開口部を閉じる為に用いられ、ドア開口部を覆うドアリーフを備えている。これらの昇降ドアは、開放位置から閉鎖位置まで垂直方向に移動し、ドア開口部を覆う。また昇降ドアは、その逆に移動することもできる。
【0003】
昇降ドアの一例として、従来より、ドアリーフと、巻取軸と、電動機駆動装置とを備えたローリングドアが知られる。このローリングドアにおけるドアリーフは、相互に折り曲げ可能なスラットを有するとともに、両側縁部が垂直ガイドレールによって閉鎖位置まで案内される。また、巻取軸にはドアリーフが固定され、巻取軸は巻き取りによってドアリーフを上昇させ、開位置まで移動させることができる。
【0004】
ローリングドア内のドアリーフ重量をバランスさせるために、重量平衡装置を提供することが知られている。これらは典型的には、ドアが閉じられたときに最大のプレストレス下に置かれており、これによりドアリーフの開放動作を補助する。このようにして、このようなローリングドアの作動に必要な駆動トルクの減少を達成することができる。これにより、配置調整を正確に行うことが可能であり、故障時にドアリーフが制御不能に落下することが防止される。
【0005】
この目的のために、ばねの付勢力は、通常、自由な状態のドアリーフ長さ、すなわち、ゲート開口からまだ移動されていないドアリーフ部分の重量を超えるように選択され、各ドアリーフは所望の補償点まで上昇することができる。その結果、例えば、停電などによる駆動機構の故障や手動解錠等が発生した場合、駆動機構による抵抗がなくなり、ドアリーフは自動的に開位置まで移動する。
【0006】
例えば、重量補償のためにねじりばねを用いることが知られている。これらは、ガイド装置に対して同軸に配置され、ドアリーフが閉じているときには完全に伸張した状態となり、ドアリーフが開いているときには、弛緩した状態となる。
【0007】
さらに、例えば欧州特許公報EP0531327B1に説明されているように、上述した形式の重量補償装置が知られている。このばねは、典型的には、螺旋ばねと、それに締結された引張り要素とを有している。この引張り要素は、一般に、ケーブル、バンドまたはチェーンの形態である。ばね要素の下端は床に固結され、その上端は上記引張り要素によって、ローリングドアのまぐさ側に配置された巻取軸に結合されている。引張り要素は、ローリングドアの閉鎖過程の間、引張り要素が巻取軸に巻き取られ、ばね要素は次第に緊張されていく。一方、ドアリーフの開放動作は、引張り要素の巻取軸からの巻き戻しと連動して起こり、その結果、ばねの弛緩が起きる。巻取軸は、ローリングドアの駆動部に結合される。
【0008】
高速上昇ドアは、特に商用の高周波ドア/ゲートを閉じるために使用される。このような場合、ドアリーフは、多くの場合数メートルのストロークで移動される。2m/s以上の高い作動速度が頻繁に達成されるので、通常、フォークリフトトラック等の2つの連続する通り道の間で、このような高速ドアを閉めることが可能である。従って、室内の空調された空気は、天候の影響や、空気のドラフト又は損失から保護される。
【0009】
しかしながら、高速ドアの動作に付随して機械的負荷が増大するに従い、ドアの駆動構成要素の故障の可能性が増大するという問題を導く。そのため、引張り要素、ばね、軸受およびホルダは摩耗することがある。最悪の場合には、ドアリーフの望ましくない落下につながる可能性がある。これは、大きな安全上のリスクを生みだす。
【0010】
さらに、ドアを開閉するか、またはドアを通過することはもはや不可能となる。その結果、例えば、貨物運送者などのユーザは、大きな経済的損失を被る。
【0011】
これを回避するために、今日一般的に供されているゲート装置では、メンテナンス間隔は大変短く設定される。そのため、完全な機能損失や、環境の影響による減損、些細な損傷、または摩耗は、事実上除去される。しかしながら、このような、特に安全関連機能に関するドア機能のメンテナンス及びマニュアル監視は、時間が掛る上に費用負担も大きい。加えて、ドア閉めの影響を受けやすいドアの部品は、メンテナンス中に交換されなければならない。このため、あまりにも短いメンテナンス間隔が設定されると、不都合であるが、交換する必要のない部品までがあまりにも早く交換されてしまう。
【0012】
これに関して、独逸国公報DE102015104416A1が開示しているドアガイドの品質監視システムは、移動中のドアリーフの加速度または振動を検出することによって実施される。すなわち、ドアリーフに直接装着されるセンサが、開閉中に、ドアリーフの加速度または振動を検出する。その結果、ドアリーフとドアガイド間の摩擦の度合い、及び/又は、ドア装置の軸受け要素の摩耗の度合いが判断可能となる。従って、ドア装置の稼動性のモニタリングが可能であり、ドアリーフ動作における自由度の損失を早期に検出して、その後の損傷を回避するために除去することができる。
【0013】
しかしながら、重量補償方向の本質的な構成要素としてのばねへの荷重負荷は、ドアリーフの移動の間に行われるだけでなく、ドアリーフが静止しているときに、ばねの強いポスト振動(継続的振動)によって、各端部位置が到達することによっても発生する。これは、もう1つの故障危険性に関係している。
【0014】
この観点で、この場合、ばねはドア装置の重要な構成要素であり、その故障は人と技術に対して危険をもたらし得る。
【0015】
さらに、ばね特性を変化させるばねは、ドアのタイプ、ドアリーフ重量、開閉速度に基づき、システムごとに個別に計算され製造される。ばね特性は正確に整合されなければならないから、ばね特性の欠陥、不整合又は変化は問題となる。
【0016】
特定のドアシステムに対して供されていないばねが使用されている場合も、安全上のリスクを生じる。
【0017】
また、原理的には、ドアリーフに取り付けられたセンサのエネルギー供給もまた問題となる。ドアリーフ上のセンサのための電力は、通常、スパイラルまたはドラグケーブルによって、またはドアリーフに設置されたエネルギーチェーンによって供給される。しかし、これらは厳しい機械的劣化または摩耗にさらされる。特に、高速ドアの場合には、移動負荷が大きいためである。加えて、ケーブルおよびエネルギーチェーンを使用するためには、高度に複雑な設計が必要とされ、相応のコストが付随することとなる。
【0018】
本発明の目的は、ばね付ドアの動作信頼性を向上できる装置、システム及び方法を提供することである。
【0019】
この場合、更なる目的は、ばねを備え、信頼性および/または費用対効果が高く、動作信頼性を向上させることができる装置、システム及び方法を提供することである。
【0020】
ドアの動作信頼性は、特に、摩耗の検出、ドア機構への重大な損傷の検出、メンテナンスエラーの検出及び/又はドア機構の長期的な挙動の検出、という態様を含む。
【0021】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。さらなる態様および本発明の有利な発展は、従属請求項の主題である
【0022】
本発明の一態様によれば、監視装置を備えたばねが提供され、監視装置は、ばねの振動部分に設けられたセンサボードと、ばねが振動するときにばねの少なくとも1つの物理量を検出するためにセンサボード上に提供されるセンサ装置と、検出された物理量を評価するための評価装置を有する。評価装置は、ばねの故障が検出または予測されるように設定されている。センサボードは、例えば、既知の材料FR4からなることができ、導体トラック、はんだ付けされた接合部、および片側または両側に取り付けられたアクティブおよび/またはパッシブコンポーネントを有することができる。
【0023】
本明細書のばねは、一般に、変形によって機械的エネルギーを蓄積し、好ましくは重量平衡装置を形成するのに適した弾性変形可能な構成要素を指す。「ばね」という用語は、ばね要素、単一のばね、または複数の単一のばねを含んだばねアセンブリのいずれかを指す場合がある。ばねは縦軸を持ち、張力および/または圧力に復元力で反応する場合がある。ばねの一部が静止位置からたわんで解放されると、特に復元力により、ばねの特徴的な振動/揺れが発生する。ばねの特徴的な振動は、ばね全体の振動とばねの一部の振動の両方を表すことができる。ばねの振動中に検出されるばねの物理量は、ばねの特性に基づいており、基本的な物理学の通常の定義を参照すると、ばね定数Dを含めることができる。したがって、ばねの特性に関する情報、たとえば、その機械的安定性については、この方法で検出された物理量から取得できる。ばねは、例えば、巻きばねであり得る。
【0024】
ばねの故障の検出は、ばねの多段またはばねの特性における別の不利な変化の検出に関連している。不利な点は、ばねの使用目的に悪影響を与える場合の特性の変化である。障害の予測は、実際に発生する前に差し迫った障害を認識することに関連している。故障は、センサ装置によってばねの振動中に少なくとも1つの物理量のばねが検出され、潜在的な損傷事象が発生するように評価装置によって評価されるという点で、検出または予測することができる。たとえば、ばねの故障は、発生する前に高い確率で予測できる。たとえば、事前定義された動作を持つばねの場合、少なくとも1つの物理量に関連する制限または閾値は、通常の動作では許容できない確率で故障が発生する実験によって決定できる。この場合、安全装置の通常の規則は、特に(高速)ローリングドアに適用される。
【0025】
本発明の開発によれば、評価装置は、例えば、ばねの縦軸に沿った伸長または圧縮によってばねに応力が加えられた後の、ばねの起こすポスト振動の挙動を評価し、ばねの故障を検出または予測するように設定される。また、評価装置は、ばねの故障が予測または検出された場合に明示的に監視信号を出力するように設定されている。ポスト振動の挙動は、応力負荷後のばねの挙動を指すが、振動挙動の用語は、非常に一般的に、たとえば応力が掛った状態でのばねの挙動を指す。
【0026】
明示的監視信号とは、ばねの故障または差し迫った故障を示すのに適した信号を指す。特に、静止位置への移動中にばねへの応力付与が終わった後に発生する振動、たとえば、開閉操作中にドアリーフが端位置に達したときに発生する振動は、ポスト振動と呼ばれることがある。ドアリーフの端位置は、ドアの開閉の程度によって異なる。これは、完全にまたは部分的に閉じたり開いたりすることができる。ばねのポスト振動は、ポスト振動をしているばねの通常の(物理的)特性に基づいて検出できる。例えば、振動振幅の減少は、少なくとも2つの期間にわたって(再び、例えば、閾値によって)検出され得るか、または検出された変数/量の少なくとも1つに対する相関分析が実行され得る。これについての詳細は、図を参照して後段で説明する。
【0027】
本発明のさらなる発展によれば、ばねの振動部分は、ばねの全長の30%から70%の間にある、ばねの中央領域である。ばねの全長は、ばねの縦軸に沿った、ばねの2つの両端間の距離を示す。ばねの中央部分の振動に基づいて、ばねの少なくとも1つの物理量を検出することは、ばねの故障を検出または予測することに関して有利である可能性がある。
【0028】
本発明の開発によれば、少なくとも1つの物理量は、位置、スピード/速度、加速度、センサ装置のジャーク、およびセンサボードの向きのうちの少なくとも1つである。
【0029】
「位置」という用語は空間内の位置を意味し、「方向」という用語は空間内の方向を意味すると理解される。物体は、位置を変更せずにねじることによって方向を変更でき、その逆も可能である。
【0030】
ジャークj(t)(ジャークの概念については古典力学を参照)、加速度a(t)、スピード/速度v(t)及び位置x(t)の関係は機械的に以下の数式によって記述できる。
【数1】
【0031】
例えば、速度は、時間による位置ベクトルの一次導関数(すなわち、変化)である。加速度は、時間による速度ベクトルの一次微分値であり、ジャークは時間による加速度ベクトルの一次微分値である。
【0032】
「加速」という用語は、ここでは一般的に使用される。つまり、事実が必ずしも別のことを示していない限り、「ブレーキ」または「減速」の意味でも使用される。
【0033】
「通常の」特性を持つばねの場合と比較すると、ばねの破損またはばねの特性の他の変化が発生した場合、センサデバイスの位置、速度、加速度、および/またはジャーク、および/またはセンサボードの向きが、結果として変化し得る。したがって、ばねの故障を検出および/または予測することができる。
【0034】
物理量を検出するための手段は、例えば、ばねの縦軸に沿ってセンサ装置の加速度を測定する加速度センサであり得る。加速度センサは、例えば、圧電加速度センサまたはMEMS加速度センサであり得る。このようなセンサを使用すると、センサ装置の加速度を非常に正確に、高いサンプリングレート(たとえば50Hz超)で決定できる。
【0035】
本発明の発展によれば、評価装置は、少なくとも1つの検出された物理量に基づいて少なくとも1つの評価値を決定し、それを対応する所定の故障閾値または故障値範囲と比較するように設定される。監視装置は、比較条件が満たされたときに故障を示す監視信号を出力するように設定されている。評価値はまた、複数の計算された個々の値を含み得、例えば、これは、プログラムソフトウェアにおける物理量の配列または数列を含み得る。
【0036】
このような比較は、例えば、コンパレータまたはデジタル比較によって、あるいはより複雑な比較方法によって(例えば、パターン比較によって、またはニューラルネットワークを介した計算によって)実行することができる。比較条件は、例えば、評価値が所定の故障閾値を1回または所定の期間超えているか、故障値の範囲内にあることである。ただし、故障しきい値または故障値範囲の定義方法によっては、評価値が所定の故障閾値を1回または所定の期間下回ったり、故障値の範囲外になったりする場合もある。
【0037】
評価値は、例えば、振動の振幅および/または振動中の周波数または周期および/またはポスト振動の持続時間であり得る。評価値は、乱れの影響を制限するために、少なくとも2回のドアストローク後の振動の振幅の平均値にすることもできる。評価値はまた、複数の個別の値を含み得る。しかしながら、本発明の可能な実施形態は、例として言及された評価値に限定されない。適切な評価値は、例えば、ばねの特性を示す値であり得る。評価値は、ばねの継続的な揺れ/ポスト振動の検出にも使用できる。
【0038】
本発明のさらなる発展によれば、センサボードはさらに、少なくとも1つの物理量および/または評価の結果に関連する監視信号の無線または有線伝送のための通信装置、センサ装置および評価装置に電力を供給するための電源装置、好ましくは電圧定数を有する電池を含みうる。
【0039】
したがって、特に無線通信用の通信装置の場合、監視装置に電力を供給し、監視装置とは別の第2の装置に監視信号を送信するためにケーブルを必要とせず、その結果、複雑さとケーブル断線のリスクが相当量軽減された設計ができる。
【0040】
本発明のさらなる発展によれば、センサボードはまた、ばねに一意に割り当てることができる第1のシリアル番号を含む記憶装置を有し、評価デバイスは、第1のシリアル番号を第2のシリアル番号と比較するように設定され、第2のシリアル番号からの第1のシリアル番号の一致および/または逸脱を示す制御信号を提供する。これにより、たとえば、以下でさらに詳しく説明するように、この目的に適したばねのみがドアシステムに取り付けられるようにすることができる。比較は、例えば、上記のように実施することができる。
【0041】
本発明によれば、ドア、特にリフティングドアを備えたシステムも提供される。システムは、ドア開口部を覆い、開位置と閉位置との間で移動することができるドアリーフと、ドアリーフを開位置(開放位置)と閉位置(閉鎖位置)の間で移動させるための駆動装置と、駆動装置を制御するためのドア制御装置と、ドアリーフに接続され、監視装置を備えたばねとを備える。ここで、ばねは、ドアリーフの重量に対抗する力を生成するように設計されており、閉位置においてばねによって生成される力は、開位置において生成される力よりも大きい。また監視装置は、ばねの故障を検出または予測した場合に、監視信号をドア制御装置に送信するように設計されている。
【0042】
本発明でのドアは、ドア開口部、特にリフティングドアを覆う可動ドアリーフを備えた装置である。本発明によるドアは、例えば、互いに移動可能に接続された複数の個々の要素(スラット)を有するドアリーフが、横方向に取り付けられたガイドに案内されるローラードアである。
【0043】
ドアリーフのこの動きは、ドアの駆動装置によってもたらされる。この装置は、たとえば、強力な電気モーター、空気圧式リフトシリンダー、または油圧システムを備えている。さらに、駆動装置は、例えば、歯車、ベルト、またはカップリング部材などのさらなる機械的構成要素を有することができる。
【0044】
ドア制御装置は、駆動装置の半自動または全自動制御用に設定できる。このタイプのドア制御装置は、開閉操作ならびに様々な操作および/または安全ルーチンを提供する制御プログラム(ソフトウェア)を備えたマイクロコンピュータを有する。あるいは、ドア制御装置は配線されていてもよい。
【0045】
本発明によるドアを備えたシステムは、ドア制御装置のばねの検出されたまたは予想された故障の場合に、ばねの検出されたまたは予想された故障に適切に反応することを可能にする。
【0046】
適切な反応は、例えば、検出されたまたは予想されるばね故障の場合にドアの動作を中断することであり得る。
【0047】
したがって、本発明のさらなる発展によれば、監視信号がばねの故障を示している場合、ドア制御装置は、駆動装置のスイッチを切るように設定することができる。
【0048】
また、適切な反応とは、例えば、ばねの損傷が検出された場合に、緊急停止機構を用いてドアリーフが所定の時間内に落下する結果となることを阻止することであり得る。それは、例えば、エンジンブレーキおよび/または機械的ロックボルトがドア制御装置によって起動されることである。これは、ドアの落下を検出するだけでなく、可能な限り迅速に落下を阻止する。
【0049】
ドアリーフの落下は、ドアリーフの望ましくないまたは意図しない動きである。通常の落下方向は、例えば、重力によって地面に向かって下向きに向けられる。
【0050】
また、適切な反応とは、例えば、ばねへの負荷が低減されるように、ドアリーフの動きを修正することであり得る。たとえば、ドアリーフの動きの加速度の限界を下げることができる。
【0051】
したがって、本発明のさらなる発展によれば、ドア制御装置は、ドアリーフの動きによって引き起こされ、監視によって検出されるばねの振動/揺れが、特にばねのその後の振動/ポスト振動が、ドアリーフの加速またはブレーキの結果として減少するように、駆動装置を制御することができる。
【0052】
本発明のさらなる発展によれば、ドアを備えたシステムはまた、ばねに一意に割り当てることができる第1のシリアル番号と、ドアに一意に割り当てることができる第2のシリアル番号とを備える。監視装置はさらに、第1のシリアル番号を第2のシリアル番号と比較し、ドア制御装置の比較の結果を送信することに適応する。ドア制御装置は、比較の結果、第1のシリアル番号が第2のシリアル番号からずれている場合に、エラー信号を出力したり、駆動装置のスイッチを切ったりするように設定される。
【0053】
このようにして、使用目的のドアにばねのみが使用されていること、またはドアがこの目的に適したばねのみで操作されていることを確認できる。
【0054】
さらに、本発明によるドアを備えたシステムは、センサがドアリーフに直接取り付けられている場合よりも、ばねの監視中に監視装置が受ける移動振幅が実質的に小さいという利点を有する。その結果、ケーブルの移動負荷が低くなるため、スパイラルケーブルやドラッグケーブルによる電源でも問題が少なくなる。
【0055】
本発明によれば、ばねの振動挙動を監視するための方法も提供される。この方法は、ばねの振動部分にあるセンサボード上に提供されるセンサ装置によって監視装置を用いてばねの振動挙動を検出するステップと、ばねの振動中にばねの少なくとも1つの物理量を検出するステップと、ばねの故障が検出または予測されるように、少なくとも1つの物理量を評価するステップとを含む。
【0056】
その発展によれば、この方法はさらに、ばねに応力を加えた後のばねのポスト振動の開始ステップと、特に圧縮または膨張/伸長を検出するステップと、ばねのポスト振動の間にばねの少なくとも1つの物理量を検出するステップと、ばねの故障が予想または検出された場合に正の監視信号を出力するステップとを含む。
【0057】
この方法の一実施形態によれば、少なくとも1つの物理量は、位置、速度、加速度、センサデバイスのジャーク、およびセンサボードの向きのうちの少なくとも1つである。
【0058】
さらなる発展によれば、この方法は少なくとも1つの検出された物理量に基づいて評価値を決定するステップと、決定された評価値を、対応する所定の故障閾値または故障値の範囲と比較するステップと、比較条件が満たされたときに故障を示す明示的監視信号を出力するステップと、をさらに含む。
【0059】
更なる開発によれば、評価する処理ステップは、検出された物理量の検出された振動挙動と、検出された物理量の事前に保存された振動挙動との相互相関をとる処理を含む。
【0060】
ばねの振動挙動は、たとえば、パターン認識または検出された変数/量に関する相関関数を使用して評価することもできる。たとえば、検出された量は、たとえば相互相関関数またはウェーブレット変換によって、「理想的な」事前に保存された振動動作と相関させることができる。ここで、相関計算の結果は、検出された振動挙動と事前に保存された振動挙動との類似性である。
【0061】
数学的には、計算の結果としての相関積分は、調べられる関数がどれほど類似しているかの基礎である。この測定値または相関積分の場合、たとえば、現在の振動動作が事前に保存された振動動作から大きく逸脱していることを認識するために、単純なしきい値を提供できるようになった。言い換えれば、現在検出されている振動挙動が、例えば、事前に保存された「理想的な」振動挙動にどれほど類似しているかを計算することが可能である。これは、ばねの振動挙動を評価するための効率的な方法である。これは、スキャンエラー、ノイズ、または検出の短期間の偏差でさえ、外乱量によってより適切に補償できるためです。
【0062】
相互相関の入力変数として事前に保存された振動挙動は、例えば、検出プロセスによって、または新しいまたは正しく機能しているばねの測定によって、有利に検出され、その後保存され得る。換言すれば、監視装置は、例えば、ドアの新規設置中に、較正操作によってばねの初期振動挙動を検出するための少なくとも1つの第1の検出操作を実行し、検出結果をメモリに格納することができる。
【0063】
次に、ばねの初期振動挙動を監視デバイスの相互相関関数の入力として永続的に使用できる。一方、ばねの寿命全体にわたるばねの振動挙動の現在の、またはその後の繰り返しの検出プロセスでは、同様に繰り返し実行される相関関数の追加入力として使用される。時間の経過に伴うばねの経年変化の結果として、相関計算の結果は、ばねの事前に保存された「理想的な」振動挙動と、現在検出されているばねの振動挙動との類似性を低下させる結果となる。たとえば、ばねの故障を判断または予測するためのしきい値を使用する。振動挙動として、例えば、前述の物理量の1つ、例えば、検出された加速度値は、経時的な関数として使用することができ、これは、例えば、相関関数の入力としての(プログラミング)配列となり得る。
【0064】
このような方法は、好ましくは、前述の態様の1つによる監視装置を備えたばねの場合、較正中にばねの少なくとも1つの振動挙動を検出するステップと、相関関数の最初の入力として振動挙動を保存するステップと、相関関数の第2の入力として、ばねまたはドアの動作中にばねの少なくとも1つの振動挙動を検出するステップと、最初の入力を2番目の入力と相関させて、2つの入力の類似性の尺度を決定するステップと、オプションで、類似性の尺度をしきい値と比較して、ばねの破損を判断または予測するステップと、を含む。
【0065】
さらに、相関関数の第2の入力として、ばねまたはドアの動作中にばねの少なくとも1つの振動挙動を検出するステップと、最初の入力を2番目の入力と相関させて、2つの入力の類似性の尺度を決定するステップと、を含む。必要に応じて、類似度の測定値をばねの故障を決定または予測するためのしきい値と比較するステップは、好ましくは繰り返し実行できる。一方、較正ステップは、好ましくは、監視装置が作動するときの1回の操作である。
【0066】
上記の方法は、監視装置を備えたばねおよびドアを備えたシステムに関して上記と同じ利点を実施し、さらに信頼性が高い。
【0067】
本発明による監視装置を備えたばねおよび本発明によるドアを備えたシステムは、図面の図を参照して、例示的な実施形態において以下により詳細に説明される。
【0068】
しかしながら、本明細書で使用される実施形態および用語は、本開示を特定の実施形態に限定することを意図するものではなく、本開示の実施形態による様々な変更、同等物、および/または代替物を含むと解釈されるべきである。
【0069】
図に示される特徴または要素の説明において、より一般的な用語が使用される場合、図の特別な特徴または要素が当業者に開示されるだけでなく、より一般的な技術的教示も意図される。
【0070】
図の説明を参照すると、個々の図の同じ参照番号を使用して、類似のまたは技術的に対応する要素を参照することができる。さらに、わかりやすくするために、概要ビューよりも個々の詳細ビューまたは詳細ビューで、参照記号を使用してより多くの要素または機能を表示できます。これらの要素または機能は、それらがそこに明示的にリストされていなくても、概要表現に対応して開示されていると想定されるべきである。
【0071】
問題の文脈が明確に別のことを示していない限り、問題に対応する名詞の単数形には、1つまたは複数のものが含まれる場合があることを理解されたい。
【0072】
本開示では、「AまたはB」、「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」、または「Aおよび/またはBの1つまたは複数」などの表現は、一緒にリストされた特徴の任意の可能な組み合わせを含み得る。
【0073】
例えば、本開示で使用される「構成される」という表現は、「のために適合される」、「に適応する」、「に適合する」、「製造される」、「可能である」、または「設計される」に置き換えることが、技術的に可能である。あるいは、特定の状況において、「構成された装置」という表現は、装置が別の装置またはコンポーネントと連動して動作するか、または対応する機能を実行することができることを意味し得る。
【0074】
さらに、明確にするために、すべての特徴および要素が、特にそれらが繰り返される場合、図で個別に指定されているわけではない。むしろ、要素と特徴はそれぞれ例として示されている。その場合、類似または同一の要素はそのように理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1図1は、ドア1、駆動装置3、ドア制御装置4、重量補償装置2、ばね20および監視装置5を備えた本発明によるシステムの図である。
図2図2は、ドア1、駆動装置3、ドア制御装置4、監視装置5および緊急停止装置6を備えた本発明によるシステムの概略図である。
図3図3は、2つの異なるドアリーフ位置(左:開位置;右:閉位置)にある3つのばね20および3つの監視装置5を備えた重量補償装置2の詳細図である。
図4図4左側:監視装置が設けられたばね(螺旋ばね)の詳細図である。図4右側:ばね20のリバウンド挙動/振動後挙動をモデル化するための置換図である。
図5図5(a)は、監視装置5が終了位置27(平衡状態)にある無傷のばね20の概略図である。図5(b)は、ポスト振動(上部反転点)の間における、監視装置5を備えた無傷のばね20の概略図である。図5(c)は、ポスト振動における、監視装置5を備えた変形したばね20の概略図である。図5(d)は、ばね破損後の最初の時間t1における、監視装置5を備えた破損したばね20の概略図である。図5(e)は、ばねの破損後の最初の時間t2(t2>t1)における、監視装置5を備えた破損したばね20の概略図である。
図6図6(a)は、閉鎖操作中における、ばね20上に設けられた監視装置5の位置x(t)を示す概略図であり、無傷のばね(実線)、変形したばね(点線)、および壊れたばね(一点鎖線)のそれぞれについて示す。図6(b)は、閉鎖操作中における、ばね20上に設けられた監視装置5の速度v(t)を示す概略図であり、無傷のばね(実線)、変形したばね(点線)、および壊れたばね(一点鎖線)のそれぞれについて示す。図6(c)は、閉鎖操作中における、ばね20上に設けられた監視装置5の加速度a(t)を示す概略図であり、無傷のばね(実線)、変形したばね(点線)、および壊れたばね(一点鎖線)のそれぞれについて示す。
図7図7(a)は、本発明によるばね20の監視装置5の詳細な上面図である。図7(b)は、本発明によるばね20の監視装置5の詳細な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1は、ドア1と、ばね20と、を備えた本発明によるシステムの概観である。
【0077】
ドア1は、例えば、ドアリーフ10が高いピーク速度を有する高速ローリングドアである。ドアリーフ10のピーク速度は、例えば、1m/s超であり、好ましくは2m/s超である。ドアのドアリーフ10は、横ガイド(図示せず)に保持されており、複数のスラット11を備えている。複数のスラット11は互いに関節をなすように連結されており、ドア開口を介してガイドに対して垂直に延びる。また、ドアリーフ10は、ゴムシール等で底部側に設けられた端部要素12を有している。
【0078】
図1は、例えば、ドア1が完全に閉じ、ドアリーフ10がゲート開口を完全に覆っている状態を示す。
【0079】
ドアリーフ10の端部位置間の移動は、駆動装置3によって行われる。駆動装置3は、ドア制御装置4によって制御される。駆動装置3は、例えば強力な電動モータである、モータ31を有する。モータ31は、モータ動力を駆動軸35により既知の方法でまぐさ側巻取軸32に伝達する。さらに、駆動装置3は、例えば、ギア、ベルトまたは連結部材のような、更なる機械的構成要素(不図示)を有することができる。
【0080】
ドアリーフ10は、例えばバンドである1以上の連結要素37によって、まぐさ側端部が既知の方法で巻取軸32に接続されており、巻取軸32の巻取り方向への回転により巻き取られることができる。同様に、巻取軸32を巻き戻し方向に回転させることにより、ドアリーフ10は、巻取軸32から巻き戻される。巻取り方向は、巻戻し方向とは逆である。ドア制御装置4に為されたプログラミングに従い、ドアリーフ10は、完全閉鎖位置と完全開放位置との間で、任意の位置を取ることができる。
【0081】
また、ドア1は、重量補償装置2を有している。これは、ばね20と、牽引要素21と、巻取軸32に取り付けられたガイド装置36とを備えている。
【0082】
ばね20は、例えば、螺旋状のばねであり、例えば、螺旋状に巻かれた充分に厚いワイヤまたは丸鋼で形成される。ばね20は、その下端部(第2端部24)が底部に固定されている。ばね20の他端(第1端部23)は、例えば金属バンドである牽引要素21または引張要素21に、締結要素22を介して固定されて接続されている。牽引要素または引張要素の端部面側の端部は、偏向ローラ25によって偏向される(図3に示す)。また、牽引要素または引張要素の端部面側の端部は、巻取軸32(閉鎖工程)からのドアリーフの巻戻しの結果としてガイド装置36に締結される。牽引要素21はガイド装置36上で重層を成すように巻き取られるため、ばね20には徐々に引張り荷重が掛けられ、ドアリーフ10の巻き戻された部分の重量を相殺する。一方で、巻取軸32(開放工程)上でのドアリーフ10の巻取りは、ガイド装置36からの引張要素の巻き戻しへと繋がり、そのためばね20の弛緩を生じる。
【0083】
ドア1が閉じられてばね20が伸長された場合に、ドアリーフ10の重量によって生じるモーメントを超えるモーメントを生じるように、重量補償装置2は設定可能である。その結果、閉鎖されたドア1が起動された場合に、ドアリーフ10は、追加の駆動をしなくても、ドアリーフ10の開放された部分の重量がばね20に加えられたばね力と平衡する高さとほぼ同じ高さまで上昇する。ドアリーフ10を更に開放する過程においては、それぞれ必要とされる駆動トルクは、重量補償装置2によって提供される駆動トルクとほぼ平衡状態にある。そのため本質的には、駆動装置3は、存在する摩擦力に対して対抗するだけでよい。
【0084】
本発明によるばね20は、例えば、全長の30%から70%までの間の中間領域内に在る監視装置5を有する。監視装置5の詳細な図は、図7(a)および図7(b)に示されており、以下に詳細に説明される。監視装置5は、ばね20の故障を検出または予測するように構成される。監視装置5は、ばね20に設けられており、例えば応力負荷後のポスト振動でばね20が振動した場合に、ばね20と共に振動できる。
【0085】
応力は、例えば、ドアリーフ10の巻き取りまたは巻き戻し工程中、特に巻取りまたは巻き戻し工程の開始時及び終了時において、巻回動作の加速または減速が発生したときに発生する。モータ31によって生成されて巻取軸32に伝達されたトルクは、引張要素21を介して、ばね20へ伝達される。このようにして、本実施形態では、ドアリーフ10が巻取軸32から巻き戻される(引張要素が巻取軸32に巻き取られる)とき、ばね20の伸長が起きる。また、ドアリーフ10が巻取軸32上に巻き取られる(引張要素が巻取軸32から巻き戻される)とき、適切であれば、(引張要素の性質に従って)ばね20の圧縮が起きる。このような応力により、ばね20、ひいては監視装置5が振動する。
【0086】
図2は、本発明によるドア1、ばね20を含み、監視装置5と、ドア制御装置4と、駆動装置3とを備えるシステムの概略図を示す。この場合、図1に示すように、監視装置5は、例えば、ばね20の中またはばね20上に、例えば固定されることにより設けられている。さらに、ドア制御装置4は、少なくとも1つの緊急停止装置6に接続されている。緊急停止装置6は、例えばばね破断の結果など、ドアリーフ10の故障が起きた時に、ドアリーフ10を停止させるために使用される。これは、後に詳細に説明するように、本発明による監視装置5によって検出することができる。例えば、ドアリーフ10のガイド内又はガイド近傍にロック装置が配置でき、ロック装置がドア制御装置4によって起動されていれば、ドアリーフ10の落下時にドアリーフ10の移動を停止または防止することができる。詳細には、例えば、ロックボルトまたはブレーキシューをこの目的のために使用することができる。あるいは、緊急停止装置6をドア1の駆動装置3と組合せて、例えば、巻取軸32の回転を好適に防止させることができる。
【0087】
駆動装置3及びドア制御装置4は、ドアリーフ10に固定して隣接して配置されることができる。監視装置5とドア制御装置4と駆動装置3との間の通信は、図1に示すようにケーブル34を介して、またはラジオ無線により無線で行うことができる。
【0088】
監視装置5とドア装置4との間の通信は、図2の矢印aで示されるように一方向性である。監視装置5は、送信部を持つように設計され、ドア制御装置4は、受信部を持つように設計されている。監視装置5とドア制御装置4との間の通信が矢印a)、b)に示されるように双方向に行われる場合では、監視装置5とドア制御装置4はいずれも送受信部として設計されている。
【0089】
無線通信装置54の例である、第1及び第2の送受信ユニットとの間の信号伝送は、双方向無線リンクを介して実行可能である。例えば、送信はブルートゥース(登録商標)によることができる。あるいは、各48ビットのアドレスを介して第1または第2の送受信ユニットを識別した後、データ伝送が実行される。
【0090】
信号伝送は、好ましくは、一方向無線リンクを介して実行できる。これにより、ドア制御装置4に1つの受信部のみが設けられ、監視装置5には1つの送信ユニット(ワイヤレス通信装置40の一例)のみが設けられる。このように、ある種の用途では、一方向のデータ伝送で十分である。また、この種のデータ伝送は、双方向データ伝送と比較してエネルギー消費が少ない。なぜならば、監視装置5によるデータ受信または受信準備のためにエネルギーが消費されないためである。
【0091】
ただ1つの一方向伝達しか必要とされない場合、監視信号は、一般に、例えば識別コードおよびデータフィールド(ばねの故障または予想される故障が明記される)を有する単一の無線信号のみから構成される。監視信号が実際に受信されることを確実にするために、監視信号を、例えば何度か(例えば2回)繰り返すこともできる。
【0092】
ケーブル34によって、また、上述の様に、例えばラジオ無線を介した無線通信によっても、ドア制御装置4と駆動装置3との接続を確立することができる。駆動装置3は、受信した信号のコマンドに従い、ドアリーフ10を駆動する。
【0093】
例えば、開口スイッチ、遠隔制御機、またはドア開口領域を検出する他のセンサなど、複数の追加装置をドア制御装置4に接続することができる。ドア制御装置4は、これらの追加装置によって受信された情報または動作関連パラメータを考慮に入れ、所望の運転モードに応じて、ドア1を開閉するように駆動装置3を制御する。
【0094】
図3は、ドアリーフ10の開位置(左)およびドアリーフ10の閉位置(右)にある例示的な重量補償装置2を示している。ここでの開位置および閉位置という用語は、必ずしもドア1の完全な開位置または閉位置を意味するわけではない。むしろ、これらの用語は相対的に使用されている。開位置とは、ドアリーフ10が、ドア開口部のうち、閉位置に有る場合より小さな部分を覆うことを特徴とする。示されている重量補償装置2は、例えば、3つのばね20を有し、監視装置5は、各ばね20に設けられている。しかし、重量補償装置2に、より少ない、またはより多いばね20を設けることも可能である。ばね20の重量は、所与の荷重、すなわち、特にドアリーフ10のタイプ、その重量およびその寸法によって決定される。
【0095】
図1を参照して上記説明したように、ばね20は、開位置よりも閉位置においてより大きな張力がかけられている。ばね20は、開位置よりも閉位置の場合の方が長い。これにより、監視装置5が配置されている位置x(t)(以下の文章では簡単にxと称する)が変更される。たとえば、閉位置では、監視装置5が配置されている位置xは、開位置よりも地面からΔxだけ離れている。したがって、ドアリーフの位置は、監視デバイスが配置されている位置であるxを検出することによって決定できる。
【0096】
閉位置と開位置との間でのドアリーフ10の移動中、監視装置5の速度/スピードv(t)(以下、本文中では簡単にvとする)、加速度a(t)および/またはジャークj(t)(以下、本文中、簡単にaまたはjとする)は、ばね20に作用する力により、少なくとも断続的に変化する。図5(a)に示されるように、ドアリーフ10がその終了位置27または静止位置に到達し、平衡が確立されたとき、監視装置5の速度v、加速度a、およびジャークjはゼロである。したがって、ドアリーフの位置に関する情報は、運動変数である速度v、加速度a、およびジャークjからも取得できる。
【0097】
しかしながら、ドアリーフ10がその終了位置27で停止するとき、ばね20の固有質量および監視装置の固有質量のために、図1に概略的に示されるように運動エネルギーEは依然としてばね20に貯蔵される。加えて、図5(b)に示されるように、ばね20は振動し続け、または、ばね20はポスト振動を行う。ポスト振動は、一方では、ばね20に対する追加負荷であり、ばねの損耗につながる可能性がある。他方で、ポスト振動は、ばね20の状態に関する情報を受け取るため、ばねの監視に使用することができる。
【0098】
ばね20(およびその上に設けられた監視装置5)の振動挙動を説明するために、システムは、例えば、図4(右側)に示されるように、減衰ばね-質量-ばねシステムと見なすことができる。縦軸26に沿った監視装置5の動きは、概ね、以下の式が適用できる減衰調和振動となる。
【数2】
【数3】
【数4】
t:時間、
:初期状態における、平衡位置からの慣性による偏心、
D:システムの減衰係数、
:システムのばね定数、
T:振動周期、
δ:振動の崩壊定数
m:システムの振動質量
崩壊定数は、振動の振幅が時間と共にどのように減少するかを示す。
【0099】
システムのばね定数Cは、第1ばねF1のばね定数CF1と第2ばねF2のばね定数CF2から次のように計算される。
【数5】
【0100】
らせんばねの特定のケースでは、ばね定数CSFに対して以下が適用される。
【数6】
G:せん断弾性係数、
:ワイヤ径、
:ばね径、
:巻き数
【0101】
ばねの質量を考慮すると、以下のものが振動する質量に適用される。
【数7】
F1、mF2はばねF1、F2の質量を示し、
Sensorは監視装置5の質量を示す。
式1によれば、ジャークj、加速度a、速度vを算出することができる。
【0102】
ばね定数Cまたは減衰係数Dが変化した場合、これは振動の振る舞いに直接影響する。したがって、ばね20の振動挙動を分析することによって、ばね20の特性の変化、例えば、ばね20の変形(図5(c)に示す)、またはばねの破損(図5(d)および図5(e)に示す)を検出することができる。ばね20の変形は、例えば、特性の変化を引き起こして、システムのばね定数Cを減少させるか、システムの減衰係数Dを増加させる可能性があり、これは、振動周波数ωおよび/または振動振幅の減少をもたらす。したがって、ばね定数Cが増加するか、減衰係数Dが減少するようなばね20の特性変化は、振動周波数ωおよび/または振動振幅の増加をもたらす可能性がある。
【0103】
しかしながら、上述したパラメータは、振動挙動に影響を及ぼす唯一のものではない。例えば、ばね20のプレストレスとドアリーフ移動の運動特性は振動挙動に影響を及ぼす。
【0104】
図6(a)は、ドア1を閉じるときの時間tの関数としての監視装置5の位置xの概略図であり、無傷のばね(実線)、変形したばね(点線)、および壊れたばね(一点鎖線)について示す。図6(b)および6(c)は、対応する監視装置5の速度v(t)および加速度a(t)を示している。変形においては、例えば、ばね定数Cが減少し、減衰係数Dが同じ値を維持する。ただし、ばねにおけるその他変化によって、ばね定数Cが増加したり、減衰係数Dが変化したりすることもある。垂直に延びる一点鎖線71は、ドアリーフ10が地面に到達し、閉鎖プロセスが終了する時点を示している。その左側の領域は、ドアリーフ10が、例えば、実質的に一定の速度で床の方向に下向きに移動する閉鎖プロセスの最終段階を示している。その過程で、ばね20が伸長し、監視装置5が上方に移動する(図3も参照)。この右側には、ばねのポスト振動が示されている。T1とδ1は無傷のばねの振動の周期と崩壊定数を示し、T2とδ2は乱れたばねの振動の周期を示す。
【0105】
乱れたばねの場合、振動周期は、無傷のばねと比較して増加している(T2>T1)。振幅包絡線75及び76と、無傷のばね及び乱れたばねの崩壊定数δ1及びδ2は本質的に同じである。これは、本実施例では、ばねの変形がばね定数にのみ作用するものと仮定したからである。従って、例えば、ばね故障または差し迫ったばね故障を検出するために限界値Ts(本発明の意味では、故障閾値)を決定することが可能であり、その超過は、ばねの障害を示す。言い換えれば、(例えば)評価値は、検出された物理量(例えば、xT)に基づいて決定することができ、これを、対応する所定の故障閾値(例えば、T)または故障閾値範囲との比較により、ばね20の故障の検出または予測が可能になる。同様の手順は、測定されたジャークj、測定された速度v、測定された加速度a、またはそれらの組み合わせに基づいて実行され得る。別のケースでは、崩壊定数の限界値もδsで定義できる。
【0106】
図5(d)および5(e)に示されるようなばねの破断(例として、ばねの破断が監視装置5上にあると仮定される)は、無傷のばねが揺動/振動/ポスト振動(図5および6(a)を参照)する場合よりも監視装置5の位置を大幅に変化させる可能性がある。反力が無くなって監視装置5が地面に向かって引っ張られるためである。同様に、図5(e)に示されるように、例えば、ばねスタブ28がその長手方向軸26に対して傾斜するため、監視装置5の位置が変化し、垂直方向に対して或る角度をつけるようにその位置を変化させる。反力がないため、監視装置5は、地面の方向に向かって長時間、より高い加速度にさらされる可能性があり、その結果、より高速になる可能性がある。したがって、図6(a)から6(c)に示されるように、位置限界72、x、速度限界73、v、または加速度限界74、aを決定することも可能であり、これによって壊れたばねを無傷のばねと区別することができる。これらの限界値は、本発明における範囲内の故障閾値を意味する。
【0107】
また、監視装置5で検出した物理変数と、それから求めた評価値とを用いて、ドアリーフ10の移動制御を最適化することができる。このようにして、例えばポスト振動を最小限に抑えることができる。
【0108】
図7(a)は、本発明による例示的な監視装置5の上面図を示し、図7(a)は、本発明による例示的な監視装置5の上面図を示す。図7(b)はその側面図を示す。監視装置5は、センサボード51、センサボード51上に、少なくとも1つの物理量を検出するためのセンサ装置52、および物理量を評価するための評価装置53を備える。センサ装置52は、監視装置5の位置x、方向および/または運動特性(例えば、速度v、加速度a、ジャークj)を検出するための少なくとも1つのセンサ、ならびに任意選択で信号調整ユニット(不図示)を有する。センサは、例えば、加速度センサ、例えば、圧電加速度センサまたはMEMS加速度センサ、あるいは磁気誘導に基づく加速度センサであり得る。
【0109】
信号調整ユニットは、センサによって出力された電気信号(たとえばデジタル加速度データ)を、たとえばフィルター処理し、増幅し、または測定値絶対値(たとえばG)へ変換することができる。複数の検出された物理的運動パラメータの場合、信号調整ユニットは電気信号を多重化することもできる。
【0110】
監視装置5はまた、検出された物理量および/またはその評価の結果に関連する監視信号の無線送信のために、センサボード51上に通信装置54を有することができる。この通信装置は、例えば、統合されたまたは別個のアンテナを備えた無線チップであり得る。さらに、監視装置5は、例えば、センサボード51の下側に、センサ装置52および評価装置53に電力を供給するための電源装置55、例えば、定電圧を有する電池を備えることができる。さらに、センサボード51は、シリアル番号を記憶するための記憶装置56を有することができる。シリアル番号は、要求に応じて記憶装置56から読み取ることができる。
【0111】
評価装置53はまた、算術ユニットを有することができる。1つのアプリケーションでは、算術論理ユニットは、図6(a)-(c)に記載されたプロセスを実施するのに役立つ。たとえば、コンピューティングユニットは、振動に関連する速度値に積分することにより、加速度センサのデータを変換できる。次に、計算ユニットは、この数値速度値(評価値の例)を、所定の速度制限値または速度値範囲と比較することができる。所定の制限速度値を超えた場合(または速度値の範囲から外れた場合)、算術論理演算装置は監視信号を起動し、速度制限値を超えた直後に、例えば、通信装置54によってドア制御装置4に送信される。通信装置54は、例えば、ドアリーフ移動の運動パラメータを変更することによって、故障または予想される故障に適切に反応することができる。
【0112】
評価装置53はまた、ばね20に一意に割り当てできる第1のシリアル番号を記憶装置56から読み取り、それをドア1に一意に割り当てできる第2のシリアル番号と比較するように設定できる。そして、提供されたドア制御装置4の比較の結果を(例えば、制御信号の形で)通信装置54の送信によって提供し、適切に反応できるようにする。適切な反応は、例えば、エラー信号を出力すること、および/または比較の結果として第1のシリアル番号が第2のシリアル番号から逸脱しているときに駆動装置3のスイッチを切ることであり得る。
【0113】
監視装置5は、監視すべきばね20の形状及び大きさに関して適合されていることが好ましい。例えば、センサボード51の直径は、ばね20の平均巻径に実質的に対応したものとされ、特に螺旋ばねの場合には、円形であってもよい。
【0114】
さらに、監視装置5の負荷は、信頼できる電源が確保されるように設計されている。この目的のために、監視装置5の電子部品は、好ましくは/任意選択で、それらが非常に低い消費電流(好ましくはμWの範囲)を有し、同様に好ましくは必要な場合にのみ電流が供給されるように設計される。そのような電子部品、例えば、DC-DCコンバータまたはマイクロプロセッサは、例えば、いわゆる「超低電力」部品として利用可能である。
【0115】
説明された実施形態および態様に加えて、本発明は、さらなる設計原理を可能にする。したがって、様々な実施形態および態様の個々の特徴はまた、これが当業者によって実行され得る限り、互いに任意に組み合わせることができる。
【0116】
以上でローリングドアとして説明されたドアを備えた本発明によるシステムのドアはまた、例えば、折れ戸または蝶番式ドアであり得る。したがって、本発明によれば、ドアリーフが定義された動きまたは所定の移動経路を経験するすべてのドアが含まれる。
【0117】
また、ばね20の任意の部分に監視装置5を収容することができる。
【0118】
原理的には、監視装置は、例えばエネルギー低消費型の表示素子をさらに有することができる。
【0119】
図1に示すように、平衡補償装置(またはばね20)がドア開口部の両側に設けられる。特に、幅の広いドアリーフの場合、これは配置にかかる片側の負荷を減らすために有効な場合がある。ただし、平衡補償装置は片側にだけ設置されてもよい。
【0120】
例示的な実施形態では、ばね20は、螺旋ばねとして記載された。さらに、螺旋ばねの代わりに、例えば伸縮バンド等の他の弾性要素が供されることも可能である。
【0121】
引張要素21は帯状でなくてもよいが、チェーン等の形式でも提供されることができる。この目的のためには、特に金属のような寸法的に安定な材料が好ましい。
【0122】
ガイド装置36は、巻取軸32に取り付けられる必要はなく、別個の軸受シャフトに取り付けられてもよい。特に、モータ31は、巻取軸32および/または別個の軸受を直接駆動せず、歯付きベルト、チェーン、ギア等を介して間接的に駆動することも可能である。しかし、可能な限りのコンパクトな構成が指向されるのであれば、これらの構成要素を直接駆動することが好ましい。
【0123】
本実施形態では、ばねの長手方向に沿った振動に基づいて物理量を検出した。しかし、ばねの長手方向から外れた方向に沿った振動に対応することもできる。
【0124】
図示の実施形態では、評価装置53は、センサボード51上に設けられている。しかし、別の装置に設けることができ、例えば、ドア制御装置4に設けることができる。
【0125】
図1に示すドアリーフ10は、下から上へ移動することができ、その逆も可能である。しかし、例えば横向きなど、ドアリーフが他の方向に可動なドアも本発明に包含される。
【0126】
本発明による方法および本発明による装置は、ばねの振動後の挙動およびドアの閉鎖を参照して説明されてきた。しかしながら、本発明の原理は、一般に、ばね振動に適用することができる。
【符号の説明】
【0127】
1 ドア
10 ドアリーフ
11 スラット
12 端部要素
2 重量平衡装置
20 ばね
21 引張要素
22 締結要素
23 第1ばね端部
24 第2ばね端部
25 偏向ローラ
26 ばねの長手方向軸
27終了位置
28 ばねスタブ
3 駆動装置
31 モータ
32 巻取軸
34 ケーブル
35 駆動軸
36 ガイド装置
37 連結要素
4 ドア制御装置
5 監視装置
51 センサボード
52 センサ装置
53 評価装置
54 通信装置またはユニット
55 電源装置
56 記憶装置
6 緊急停止装置
71 ドアリーフが地面に到達する時間
72 位置限界値
73 速度限界値
74 加速度限界値
75 無傷のばねの振幅包絡線
76 変形した/壊れたばねの振幅包絡線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B