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特許7432015電子ディスプレイ用の画素構造およびこのようなディスプレイを備える電子デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】電子ディスプレイ用の画素構造およびこのようなディスプレイを備える電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20240207BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240207BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240207BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20240207BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20240207BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20240207BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/30 349B
H01L33/00 J
H01L33/00 L
H01L33/50
H01L33/58
H01L33/60
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2022576519
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2020067228
(87)【国際公開番号】W WO2021254642
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】トルステン・ウィピエウスキ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ・ジャオ
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-080361(JP,A)
【文献】特開2020-085938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0331285(US,A1)
【文献】特開2009-182241(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0291246(US,A1)
【文献】特開2020-085944(JP,A)
【文献】特開2020-085939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
H01L25/00-25/07
25/10-25/11
25/16-25/18
33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ディスプレイ(2)用の画素構造(1)であって、前記画素構造(1)は、
-基板(3)と、
-前記基板(3)上に配置された少なくとも1つのLEDエミッタ(4)であって、前記LEDエミッタ(4)は、放出放射(R1)を放出するように構成されており、前記放出放射(R1)は、放出波長範囲内にあり、主放出平面(P1)内の1つまたは複数の放出方向(D2、…、Dn)に放出される、少なくとも1つのLEDエミッタ(4)と、
-前記LEDエミッタ(4)に隣接して前記基板(3)上に配置された少なくとも1つの波長変換ユニット(5)であって、前記波長変換ユニット(5)は、前記放出放射(R1)を変換放射(R2)に変換するように構成されており、前記変換放射(R2)は、変換波長範囲内にあり、前記波長変換ユニット(5)から、前記主放出平面(P1)に垂直な主変換方向(D1)に伝播する、少なくとも1つの波長変換ユニット(5)と
を備え、前記変換波長範囲は、前記放出波長範囲とは異なり、
前記波長変換ユニット(5)は、少なくとも1つの波長変換ユニット表面(5a、5b)が前記基板(3)の主基板平面(P2)に対して角度(α)で延在するように構成されており、前記波長変換ユニット表面(5a)は前記基板(3)から離れる方を向いており、前記波長変換ユニット表面(5b)は前記基板(3)に隣接して延在する、画素構造(1)。
【請求項2】
前記放出波長範囲は、青色スペクトル範囲または紫外スペクトル範囲のうちの一方であり、
前記画素構造(1)が少なくとも2つの前記LEDエミッタ(4)を備えるとき、前記LEDエミッタ(4)は、同じ波長を有する放射を放出するように構成されている、請求項1に記載の画素構造(1)。
【請求項3】
少なくとも2つの前記波長変換ユニット(5)を備え、前記波長変換ユニット(5)の各々は、前記放出波長範囲内の前記放出放射(R1)を、複数の異なる変換波長範囲のうちの1つの内の前記変換放射(R2)に変換するように構成されている、請求項1または2に記載の画素構造(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの第1の前記波長変換ユニット(5)は、前記放出放射(R1)を、第1の変換波長範囲内にある第1の変換放射(R21)に変換するように構成されており、
少なくとも1つの第2の前記波長変換ユニット(5)は、前記放出放射(R1)を、第2の変換波長範囲内にある第2の変換放射(R22)に変換するように構成されており、前記第2の変換波長範囲は、前記第1の変換波長範囲と少なくとも部分的に異なる、請求項3に記載の画素構造(1)。
【請求項5】
前記第1の変換波長範囲は赤色スペクトル範囲内にあり、前記第2の変換波長範囲は緑色スペクトル範囲内にある、請求項4に記載の画素構造(1)。
【請求項6】
前記LEDエミッタ(4)は、前記主放出平面(P1)内の放出放射(R1)のみを放出するように構成されているか、または
前記LEDエミッタ(4)によって前記主放出平面(P1)内に放出された前記放出放射(R1)または前記放出放射(R1)の少なくとも一部分は、前記波長変換ユニット(5)で変換放射(R2)に変換される、請求項1から5のいずれか一項に記載の画素構造(1)。
【請求項7】
前記画素構造(1)が少なくとも2つの前記LEDエミッタ(4)を備えるとき、前記LEDエミッタ(4)のうちの少なくとも1つは、前記主変換方向(D1)に放出放射(R1)を放出するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の画素構造(1)。
【請求項8】
前記LEDエミッタ(4)に隣接して前記基板(3)上に配置された少なくとも1つの放射散乱ユニット(6)をさらに備え、前記放射散乱ユニット(6)は、前記主放出平面(P1)内を伝播する放出放射(R1)を前記主変換方向(D1)に向け直すように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の画素構造(1)。
【請求項9】
前記波長変換ユニット(5)は波長変換材料を含み、前記波長変換材料は、好ましくはマトリックス材料と、前記マトリックス材料内に分散した波長変換粒子とを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の画素構造(1)。
【請求項10】
前記波長変換粒子は量子ドットまたはリン材料である、請求項9に記載の画素構造(1)。
【請求項11】
前記波長変換ユニット(5)は、前記波長変換ユニット(5)の外周に沿って前記主変換方向(D1)に延在する少なくとも1つのバリア(7)を備え、
前記バリア(7)は、前記波長変換ユニット(5)の吸収経路(A)を延長し、前記吸収経路(A)は、前記主放出平面(P1)内に延びており、前記放出放射(R1)は、前記吸収経路(A)に沿って伝播する、ように構成されており、
放出放射(R1)の変換放射(R2)への前記変換は、前記伝播と同時に行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載の画素構造(1)。
【請求項12】
少なくとも部分的に前記主変換方向(D1)に延在するように前記バリア(7)の表面上に配置された少なくとも1つの壁反射器(8)をさらに備え、
前記壁反射器(8)は、前記波長変換ユニット(5)の前記吸収経路(A)が前記主放出平面(P1)内で延長されるように、前記吸収経路(A)に沿って伝播する前記放出放射(R1)を向け直すように構成されている、請求項11に記載の画素構造(1)。
【請求項13】
前記波長変換ユニット(5)と前記基板(3)との間に配置された少なくとも1つの底部反射器(9)をさらに備え、
前記底部反射器(9)は、前記主放出平面(P1)と少なくとも部分的に平行に延在し、前記波長変換ユニット(5)内を伝播する変換放射(R2)を前記主変換方向(D1)に向け直すように構成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の画素構造(1)。
【請求項14】
前記波長変換ユニット(5)は、前記放出放射(R1)が前記波長変換ユニット(5)内を伝播するときに前記放出放射(R1)を導くように構成された導波路構造(10)を備える、請求項13に記載の画素構造(1)。
【請求項15】
前記波長変換ユニット(5)および前記基板(3)のうちの一方は、前記主放出平面(P1)または前記主基板平面(P2)に沿って延びるにつれて先細になっている、請求項1に記載の画素構造(1)。
【請求項16】
前記基板(3)から離れる方を向いた前記波長変換ユニット表面(5a)に配置された少なくとも1つの光学機能素子(11)をさらに備え、前記光学機能素子(11)は、前記波長変換ユニット表面(5a)の上に配置されているか、前記波長変換ユニット表面(5a)と一体化されているかのいずれかである、請求項1または15に記載の画素構造(1)。
【請求項17】
前記光学機能素子(11)は、屈折レンズおよび回折レンズの少なくとも一方である、請求項16に記載の画素構造(1)。
【請求項18】
前記光学機能素子(11)は、表面構造、好ましくは表面格子、表面粗面化、表面コーティング、またはマイクロピラーのうちの1つである、請求項16に記載の画素構造(1)。
【請求項19】
前記LEDエミッタ(4)のうちのいくつかは、1つの前記波長変換ユニット(5)に動作可能に接続され、前記LEDエミッタ(4)は、同時にかつ独立して前記放出放射(R1)を前記波長変換ユニット(5)に放出するように構成されている、請求項1から18のいずれか一項に記載の画素構造(1)。
【請求項20】
前記変換放射(R2前記第1の変換放射(R21及び前記第2の変換放射(R22)の全出力を調整するための制御装置(12)をさらに備え、前記調整は、パルス幅変調、および前記LEDエミッタ(4)の駆動電流の調整のうちの一方を含む、請求項に記載の画素構造(1)。
【請求項21】
ユーザインターフェース面(2a)を有する電子ディスプレイ(2)と、請求項1から20のいずれか一項に記載の少なくとも1つの画素構造(1)とを備える電子デバイス(13)であって、前記画素構造(1)は、1つの放出波長の放出放射(R1)が主放出平面(P1)内の複数の放出方向(D2、…、Dn)に放出されることを可能にし、前記主放出平面(P1)は、前記ユーザインターフェース面(2a)と平行に延びており、
前記放出放射(R1)の少なくとも一部を少なくとも1つの変換波長の変換放射(R2、R21、R22)に変換し、前記変換波長は前記放出波長とは異なり、
前記変換放射(R2、R21、R22)を、前記主放出平面(P1)および前記ユーザインターフェース面(2a)に垂直な主変換方向(D1)に向けるように構成されている、電子デバイス(13)。
【請求項22】
複数の同一の前記画素構造(1)を備え、前記画素構造(1)は、2次元パターンで前記主放出平面(P1)に分布し、
前記2次元パターンは、前記画素構造(1)の横列および前記画素構造(1)の縦列を備え、前記横列は平行に延び、前記縦列と垂直の角度で交差し、
個々の前記横列の前記画素構造(1)の数は、隣接する前記横列の前記画素構造(1)の数と異なり、
個々の前記縦列の前記画素構造(1)の数は、隣接する前記縦列の前記画素構造(1)の数と異なり、
前記画素構造(1)は、個々の前記横列の前記画素構造(1)が、隣接する前記横列の前記画素構造(1)と縦方向に整列されず、個々の前記縦列の前記画素構造(1)が、隣接する前記縦列の前記画素構造(1)と横方向に整列されないように配置される、請求項21に記載の電子デバイス(13)。
【請求項23】
前記複数の画素構造(1)は、個々の前記画素構造(1)の前記放出放射(R1)の少なくとも第1の放出方向(D2)が隣接する前記画素構造(1)の対応する第1の放出方向(D2)と位置合わせされるような前記2次元パターンに第1のピッチで分布し、
前記第1のピッチは、前記第1の放出方向(D2)に隣接する前記画素構造(1)の中心間距離である、請求項22に記載の電子デバイス(13)。
【請求項24】
前記複数の画素構造(1)は、個々の前記画素構造(1)の前記放出放射(R1)の少なくとも第1の放出方向(D2)が隣接する前記画素構造(1)の対応する第1の放出方向(D2)に対してずらされるような前記2次元パターンに第2のピッチで分布し、
前記第2のピッチは、前記第1の放出方向(D2)に隣接する前記画素構造(1)の中心間距離であり、
1つの縦列に含まれる前記画素構造(1)の1つが前記1つの縦列に隣接する他の1つの縦列に含まれる前記画素構造(1)の1つと隣接しないように、前記1つの縦列の前記画素構造(1)のそれぞれが、前記1つの縦列の方向にオフセットされ、および/または
1つの縦列に含まれる前記画素構造(1)の1つが前記1つの縦列に隣接する他の1つの縦列に含まれる前記画素構造(1)の1つと隣接しないように、前記1つの縦列の前記画素構造(1)のそれぞれが、前記1つの縦列に対して所定の角度に回転して配置される、請求項22に記載の電子デバイス(13)。
【請求項25】
前記波長変換ユニット(5)の吸収経路(A)の長さが固定されるとき、前記長さは10~500μm、好ましくは<20μmであり、
前記第1のピッチは、ユーザの眼と前記ユーザインターフェース面(2a)との間の距離が<1mであるように構成されたディスプレイ用途では、20~150μm、好ましくは30~80μmである、請求項23に記載の電子デバイス。
【請求項26】
前記波長変換ユニット(5)の吸収経路(A)の長さが固定されるとき、前記長さは10~500μm、好ましくは<20μmであり、
前記第2のピッチは、ユーザの眼と前記ユーザインターフェース面(2a)との間の対応する距離が≧0,5mであるように構成されたディスプレイ用途では、≧70μm、好ましくは≧100μmである、請求項24に記載の電子デバイス(13)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子ディスプレイ用の画素構造であって、画素構造は、基板上に配置された少なくとも1つのLEDエミッタおよび少なくとも1つの波長変換ユニットを備える、画素構造に関する。本開示はさらに、ユーザインターフェース面と少なくとも1つのこのような画素構造とを有する電子ディスプレイを備える電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロLED、mLED、またはuLEDとして知られるマイクロ発光ダイオードは、スマートフォン、TV、PC、タブレット、スマートグラス、ウェアラブル、ならびに他の多くの消費者および産業用デバイスなどのモバイルデバイス用のディスプレイに使用されている。マイクロLEDは、通常、多数の小さなLEDエミッタのアレイと、高い輝度およびコントラスト、高い電力効率、広い色域およびフォームファクタの柔軟性、ならびに様々な機能統合などの多くの潜在的な利点を有する有望な将来のディスプレイ技術とで構成されている。
【0003】
マイクロLEDディスプレイ技術は、主に、直接発光方式または色変換方式の2つの方式を利用する。
【0004】
直接発光方式では、各個々のLEDエミッタは、赤色、緑色、または青色のスペクトル範囲の放射を放出する。約800万画素の解像度を有するディスプレイが約2400万個のLEDエミッタを必要とするように、各画素構造は1つの赤色スペクトル範囲エミッタ、1つの緑色スペクトル範囲エミッタ、および1つの青色スペクトル範囲エミッタを必要とするため、このような直接発光の解決策は、製造に非常に費用がかかる。
【0005】
色変換方式では、例えば青色スペクトル範囲内の放射を放出するLEDエミッタのみが使用される。LEDエミッタチップは、典型的には、GaN(窒化ガリウム)材料系に基づく。青色から赤色へのおよび青色から緑色への放射変換ユニットは、対応するLED画素の上に積層され、一部のLEDエミッタからの青色スペクトル範囲放射を赤色スペクトル範囲放射または緑色スペクトル範囲放射にそれぞれ変換するために使用される。直接発光方式と比較して、1つの種類のLEDエミッタしか必要とされないため、色変換方式は製造がより容易で安価である。
【0006】
青色スペクトル範囲放射は変換ユニットによって部分的に吸収され、吸収は一次指数関数的減少に従う。理想的には、エネルギー効率を高く維持し、変換ユニットからの青色スペクトル範囲放射漏れを最小限に抑えるために、ほとんどすべての青色スペクトル範囲放射が変換ユニットによって吸収されるべきである。
【0007】
さらに、変換ユニットは、LEDエミッタの面積寸法と同様の面積寸法を有するべきである。変換ユニットの高さは、小型LEDエミッタの上に小さなピラーを形成するために、より大きいことが好ましい。これは、青色スペクトル範囲放射が変換ユニットを通って伝播する距離をより大きくすることを容易にし、したがって吸収を容易にする。
【0008】
しかしながら、実際には、変換材料は、青色スペクトル範囲放射の大部分を吸収するために、1または数百μmの厚さでなければならない。これは、LEDエミッタと変換ユニットとの間に100μm:3μm以上の非常に大きなアスペクト比をもたらし、これは微細構造化方法を使用して達成することが容易ではない。さらなる課題は、緑色スペクトル範囲放射または赤色スペクトル範囲放射も変換ユニットを通って伝播しなければならず、同様に変換ユニットの材料によってわずかに吸収され得ることである(自己吸収)。これは、デバイスの効率を低下させる。
【0009】
さらに、このような積層構造は、変換ユニットからの熱が下にあるLEDエミッタチップを通り抜けなければならないため、放熱性が不十分である。これにより、LEDエミッタチップがさらに加熱され、画素構造の寿命が短くなる。積層は、レンズなどの他の機能性光学素子を集積することも困難にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
改善されたマイクロLED画素構造を提供することが目的である。前述のおよび他の目的は、独立請求項の特徴によって達成される。さらなる実施の形態は、従属請求項、明細書、および図面から明らかになる。
【0011】
第1の態様によれば、電子ディスプレイ用の画素構造であって、画素構造は、基板と、基板上に配置された少なくとも1つのLEDエミッタであって、LEDエミッタは、放出放射を放出するように構成されており、放出放射は、放出波長範囲内にあり、主放出平面内の1つまたは複数の放出方向に放出される、少なくとも1つのLEDエミッタと、LEDエミッタに隣接して基板上に配置された少なくとも1つの波長変換ユニットであって、波長変換ユニットは、放出放射を変換放射に変換するように構成されており、変換放射は、変換波長範囲内にあり、波長変換ユニットから、主放出平面に垂直な主変換方向に伝播する、少なくとも1つの波長変換ユニットとを備え、変換波長範囲は、放出波長範囲とは異なる、画素構造が提供される。
【0012】
この配置は、変換ユニットがLEDエミッタの上に積層されるのとは対照的にLEDエミッタに隣接して配置されるため、大幅に低減された高さを有する画素構造を可能にする。この種類の分布は、構造の放熱を改善し、ひいては画素構造の寿命を改善する。さらに、変換放射は放出放射に対して略垂直に延びるため、例えば青色スペクトル範囲内の放出放射が変換放射の方向に漏れ、したがって、例えば赤色スペクトル範囲または緑色スペクトル範囲内の変換放射に影響を及ぼすリスクが大幅に低減される。また、他の変換ユニットによる変換放射の相互作用および再吸収のない、変換ユニットからの変換放射の直接伝播により、より高い効率が達成される。
【0013】
第1の態様の可能な実施の形態では、主放出平面は基板の主基板平面と平行であり、LEDエミッタおよび波長変換ユニットは主放出平面に分布する。
【0014】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、放出波長範囲は、青色スペクトル範囲または紫外スペクトル範囲のうちの一方であり、画素構造が少なくとも2つのLEDエミッタを備えるとき、LEDエミッタは、同じ波長を有する放射を放出するように構成される。1つの種類のLEDエミッタのみを利用することにより、例えば3つの異なる、等しく重要な主要構成要素の代わりに1つの主要構成要素しかないため、画素構造の製造ははるかに単純で安価である。
【0015】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、画素構造は、少なくとも2つの波長変換ユニットを備え、各波長変換ユニットは、放出波長範囲内の放出放射を複数の異なる変換波長範囲のうちの1つ内の変換放射に変換するように構成され、これにより、1つの同じ波長の放出放射の任意のいくつかの異なる波長範囲内の変換放射への変換が容易になる。
【0016】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、少なくとも1つの第1の波長変換ユニットは、放出放射を、第1の変換波長範囲内にある第1の変換放射に変換するように構成され、
少なくとも1つの第2の波長変換ユニットは、放出放射を、第2の変換波長範囲内にある第2の変換放射に変換するように構成され、第2の変換波長範囲は、第1の変換波長範囲と少なくとも部分的に異なる。これは、いくつかの異なる波長範囲内の放射を同時に同じ方向に放出する1つの画素構造の放射を可能にする。
【0017】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、第1の変換波長範囲は赤色スペクトル範囲内にあり、第2の変換波長範囲は緑色スペクトル範囲内にあり、これにより、一般的に使用されるRGB画素構造の製造が容易になる。
【0018】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、LEDエミッタは、主放出平面内のみに放出放射を放出するように構成されるか、またはLEDエミッタによって主放出平面内に放出される放出放射もしくは放出放射の少なくとも一部分は、波長変換ユニットで変換放射に変換される。これにより、画素構造が、主変換方向で見られたときに可能な限り低い高さを有することが可能になり、ひいては、LEDエミッタを電子デバイス内の任意の適切な位置に配置する自由度が増加し、他の構成要素のための空間も確保される。
【0019】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、画素構造が少なくとも2つのLEDエミッタを備えるとき、LEDエミッタのうちの少なくとも1つは、主変換方向に放出放射を放出するように構成され、これにより、例えば、青色スペクトル範囲内の放出放射が、変換または向け直しが行われずに、ユーザインターフェースに直接放出されることが可能になる。
【0020】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、画素構造は、LEDエミッタに隣接して基板上に配置された少なくとも1つの放射散乱ユニットをさらに備え、散乱ユニットは、主放出平面内を伝播する放出放射を主変換方向に向け直すように構成され、これにより、放出放射の一部が向け直されることが可能になり、電子デバイス内のLEDエミッタの配置に関してより多くの自由度が提供される。
【0021】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、波長変換ユニットは波長変換材料を含み、波長変換材料は、好ましくはマトリックス材料と、マトリックス材料内に分散した波長変換粒子とを含む。
【0022】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、波長変換粒子は量子ドットまたはリン材料である。
【0023】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、波長変換ユニットは、波長変換ユニットの外周に沿って主変換方向に延在する少なくとも1つのバリアを備え、バリアは、波長変換ユニットの吸収経路を延長し、吸収経路は、主放出平面内に延び、放出放射は、吸収経路に沿って伝播する、ように構成され、放出放射の変換放射への変換は、伝播と同時に行われる。バリアは、隣接する画素構造が近接していても隣接する画素構造間の光学的クロストークを低減またはさらには回避するのに役立つため、バリアは、個々の画素構造がより小さいピッチで分布することを可能にする。さらに、バリアは、放射を向け直すために使用される反射器のための支持面として機能することができる。
【0024】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、画素構造は、少なくとも部分的に主変換方向に延在するようにバリアの表面上に配置された少なくとも1つの壁反射器をさらに備え、壁反射器は、波長変換ユニットの吸収経路が主放出平面内で延長されるように、吸収経路に沿って伝播する放出放射を向け直すように構成され、これにより、可能な限り多くの放出放射が、波長変換ユニットによって吸収され、したがって変換されることが可能になる。
【0025】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、画素構造は、波長変換ユニットと基板との間に配置された少なくとも1つの底部反射器を備え、底部反射器は、主放出平面と少なくとも部分的に平行に延在し、波長変換ユニット内を伝播する変換放射を主変換方向に向け直すように構成され、これにより、出力放射効率の改善が容易になる。
【0026】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、壁反射器および底部反射器の少なくとも一方は、主変換方向に対してある角度で延在し、これにより、放出放射および/または変換放射が、反射器に当たったときにより有用な方向に向け直されることが可能になる。
【0027】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、波長変換ユニットは、放出放射が波長変換ユニット内を伝播するときに放出放射を導くように構成された導波路構造を備え、これにより、波長変換ユニットが電子デバイスおよび周囲の構成要素のフォームファクタに適合されることが可能になる。
【0028】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、波長変換ユニットは、少なくとも1つの波長変換ユニット表面が基板の主基板平面に対してある角度で延在し、表面は基板から離れる方を向いており、表面は基板に隣接して延在する、ように構成される。このような解決策は、可能な限り多くの変換放射が波長変換ユニットから主変換方向に伝播することを保証するように角度は適合されることができるため、全内部反射の発生を防止するのに役立つ。
【0029】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、波長変換ユニットおよび基板のうちの一方は、主放出平面または主基板平面に沿って延びるにつれて先細になっており、これにより、波長変換ユニット表面は可能な限り最も単純な手段によって傾斜することが可能である。
【0030】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、画素は、基板から離れる方を向いた波長変換ユニット表面に配置された少なくとも1つの光学機能素子をさらに備え、光学機能素子は、波長変換ユニット表面の上に配置されるか、波長変換ユニット表面と一体化されるかのいずれかである。
【0031】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、光学機能素子は、例えば変換放射の集束を強化する屈折レンズおよび回折レンズの少なくとも一方である。
【0032】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、光学機能素子は、画素構造のアウトカップリング効率を向上させる表面構造、好ましくは、表面格子、表面粗面化、表面コーティング、またはマイクロピラーのうちの1つである。
【0033】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、複数のLEDエミッタのうちのいくつかは、1つの波長変換ユニットに動作可能に接続され、LEDエミッタは、同時にかつ独立して放出放射を波長変換ユニットに放出するように構成される。これは、より良好な収率をもたらす冗長性を提供するとともに、LEDエミッタのうちの1つが故障した場合でも、画素構造が暗い領域なしで依然として意図されたように機能することを保証する。
【0034】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、画素構造は、
6つのLEDエミッタを備え、第1の一対のLEDエミッタは、第1の波長変換ユニットに動作可能に接続され、第1の波長変換ユニットは、第1の一対のLEDエミッタからの放出放射を第1の変換放射に変換するように構成され、
第2の一対のLEDエミッタは、第2の波長変換ユニットに動作可能に接続され、第2の波長変換ユニットは、第2の一対のLEDエミッタからの放出放射を第2の変換放射に変換するように構成され、任意選択で、第3の一対のLEDエミッタの各LEDエミッタは、1つの放射散乱ユニットまたは1つのさらなる波長変換ユニットに動作可能に接続され、さらなる波長変換ユニットは、第3の一対のLEDエミッタからの放出放射を第3の変換放射に変換するように構成される。これにより、冗長性を伴って3つの波長の放射を同時に放出することが可能な画素構造が提供される。
【0035】
第1の態様のさらなる可能な実施の形態では、画素構造は、変換放射の全出力を調整するための制御装置をさらに備え、調整は、パルス幅変調、およびLEDエミッタの駆動電流の調整のうちの一方を含む。制御装置は、例えば内蔵冗長性が適切に使用されることを可能にし、例えば、複数対のLEDエミッタがより良好な収率を提供するように、または一方のLEDエミッタが一対のうちの故障した他方のLEDエミッタを補償するように、複数対のLEDエミッタを操作する。
【0036】
第2の態様によれば、ユーザインターフェース面を有する電子ディスプレイと、上記による少なくとも1つの画素構造とを備える電子デバイスが提供される。画素構造は、1つの放出波長の放出放射が主放出平面内の複数の放出方向に放出されることを可能にし、主放出平面は、ユーザインターフェース面と平行に延在し、放出放射の少なくとも一部を少なくとも1つの変換波長の変換放射に変換し、変換波長は放出波長とは異なり、
変換放射を、主放出平面およびユーザインターフェース面に垂直な主変換方向に向けるように構成される。
【0037】
この画素構造は、大幅に低減された高さを有し、他の構成要素のために電子デバイス内の内部に自由空間を残し、またはデバイスのフォームファクタにさらなる自由度を提供する。さらに、電子ディスプレイは、画素構造の改善された放熱により、改善された寿命を有する。また、横方向、すなわち主放出平面内の方向における画素構造のフィルファクタは、多くの電子デバイスと違って低いため、この構造は、さらなる構成要素または構造の改善のために十分な自由度を提供しながらも、変換ユニットを収容するための多くの自由空間を残す。
【0038】
第2の態様の可能な実施の形態では、電子デバイスは、複数の同一の画素構造を備え、画素構造は、2次元パターンで主放出平面に分布し、2次元パターンは、画素構造の横列および画素構造の縦列を備え、横列は平行に延び、縦列と垂直の角度で交差し、個々の横列の画素構造の数は、隣接する横列の画素構造の数とは無関係であり、
個々の縦列の画素構造の数は、隣接する縦列の画素構造の数とは無関係であり、画素構造の分布は、必要なときには、2次元パターンを含む領域内の画素構造の数の最大化を可能にし、最大化が必要ないときには、より単純な構造を可能にする。
【0039】
第2の態様のさらなる可能な実施の形態では、複数の画素構造は、個々の画素構造の放出放射の少なくとも第1の放出方向が隣接する画素構造の対応する第1の放出方向と位置合わせされるような2次元パターンに、例えば遠見ディスプレイに十分な第1のピッチで分布する。
【0040】
第2の態様のさらなる可能な実施の形態では、複数の画素構造は、個々の画素構造の放出放射の少なくとも第1の放出方向が隣接する画素構造の対応する第1の放出方向に対してずらされるような2次元パターンに第2のピッチで分布し、これにより、例えば近見ディスプレイに必要な、2次元パターンを含む領域内の画素構造の数の最大化が可能になる。
【0041】
第2の態様のさらなる可能な実施の形態では、画素構造は、第1のピッチだけ離され、画素構造は、個々の画素構造の波長変換ユニットの吸収経路が隣接する画素構造の対応する吸収経路と位置合わせされるように、縦列の方向および横列の方向の少なくとも一方において位置合わせされる。
【0042】
第2の態様のさらなる可能な実施の形態では、画素構造は第2のピッチだけ離され、各画素構造は、個々の画素構造の波長変換ユニットの吸収経路が隣接する画素構造の対応する吸収経路に対してずらされるように、主放出平面内である角度だけ回転され、ずれは、各画素構造の方向の横方向オフセットおよび/または角度オフセットである。
【0043】
第2の態様のさらなる可能な実施の形態では、個々の横列の画素構造は、隣接する横列の画素構造に対して縦列の方向にオフセットされ、および/または個々の縦列の画素構造は、隣接する縦列の画素構造に対して横列の方向にオフセットされる。
【0044】
第2の態様のさらなる可能な実施の形態では、吸収経路の長さが固定されるとき、長さは10~500μm、好ましくは<20μmであり、第2のピッチは、ユーザの眼とユーザインターフェース面(2a)との間の距離が<1mであるように構成されたディスプレイ用途では、20~150μm、好ましくは30~80μmであり、第2のピッチは、ユーザの眼とユーザインターフェース面(2a)との間の対応する距離が≧0,5mであるように構成されたディスプレイ用途では、≧70μm、好ましくは≧100μmである。
【0045】
第2の態様のさらなる可能な実施の形態では、変換放射は、放射フィルタリングの適用なしで、ユーザインターフェース面に向かって主変換方向に伝播し、これにより、必要な構成要素の数、画素構造に必要な空間、ならびに誤差源の数が低減される。
【0046】
これらのおよび他の態様は、以下で説明される実施形態から明らかになる。
【0047】
本開示の以下の詳細な部分では、図面に示されている例示的な実施形態を参照して、態様、実施形態、および実施態様がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1aは従来技術の画素構造の側面図を示し、図1bは従来技術の画素構造の上面図を示す。
図2a】本発明の一実施形態による画素構造の側面図である。
図2b】本発明の一実施形態による画素構造の上面図である。
図3a】本発明の一実施形態による画素構造の上面図である。
図3b】本発明の一実施形態による画素構造の側面図である。
図4】本発明の実施形態による画素構造の部分断面図である。
図5】本発明の実施形態による画素構造の部分断面図である。
図6】本発明の実施形態による画素構造の部分断面図である。
図7】本発明の実施形態による画素構造の部分断面図である。
図8】本発明の実施形態による画素構造の部分断面図である。
図9】本発明の実施形態による画素構造の部分断面図である。
図10】本発明の実施形態による画素構造を備える電子デバイスの概略側面図である。
図11】電子ディスプレイ用の画素構造の分布の概略上面図を示す。
図12】電子ディスプレイ用の画素構造の分布の概略上面図を示す。
図13】電子ディスプレイ用の画素構造の分布の概略上面図を示す。
図14】電子ディスプレイ用の画素構造の分布の概略上面図を示す。
図15】電子ディスプレイ用の画素構造の分布の概略上面図を示す。
図16】電子ディスプレイ用の画素構造の分布の概略上面図を示す。
図17】電子ディスプレイ用の画素構造の分布の概略上面図を示す。
図18】電子ディスプレイ用の画素構造の分布の概略上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1aおよび図1bは、従来技術による色変換画素構造の側面図および上面図を示す。いくつかのLEDエミッタ4は、例えば青色スペクトル範囲内の放出放射R1を方向D1に放出する。LEDエミッタ4の上に積層された変換ユニット5は、放出放射R1を吸収し、これを変換放射R2に変換し、続いて変換放射R2を同様に方向D1に放出する。
【0050】
図2aおよび図2bは、本発明による色変換画素構造の一実施形態の側面図および上面図を示す。図3aから図9は、色変換画素構造のさらなる実施形態を示す。これらの色変換画素構造は、電子ディスプレイ2に使用されることになり、このディスプレイは、任意の必要な数の同一の画素構造を備える。
【0051】
画素構造1は、図2aに示されているように、少なくとも1つのLEDエミッタ4を支持するように構成された基板3と、LEDエミッタ4に隣接して基板3上に配置された少なくとも1つの波長変換ユニット5とを備える。LEDエミッタ4と、波長変換ユニット5と、以下でさらに言及される追加の構成要素とは、はんだ付け、接着剤、またはナノワイヤによって基板3に接続されてもよい。基板3は、1つの一体基板またはいくつかの位置合わせされた部分基板を備えてもよく、少なくとも部分的に1つの主基板平面P2内に延在する。基板3は、部分的に階段状の構成を有してもよいが、各画素構造1は、その放射放出および放射変換構成要素がすべて主放出平面P1に位置合わせされるように、1つの共通平面に配置される。主放出平面P1は、図2aに示されているように、基板3の主基板平面P2と平行に延び、LEDエミッタ4および波長変換ユニット5は、主放出平面P1に分布する。このような分布により、波長変換ユニット5は、約10から100μmの、主変換方向D1における高さを有してもよく、波長変換ユニット5の長さ/幅は100μm超、さらには1000μm超であってもよい。
【0052】
1つまたはいくつかのLEDエミッタ4は、各LEDエミッタ4が主放出平面P1内に、すなわちLEDエミッタの側面を通って横方向に放出放射R1を放出することができるように、基板3上に配置される。LEDエミッタ4によって放出される放出放射R1は、第1の放出方向D2のみに放出されてもよいし、LEDエミッタ4の周りの360°の領域の一部または全部をカバーする複数の放出方向D2、…、Dnに放出されてもよい。放出放射R1は、ポンプ光としても知られている。
【0053】
複数のLEDエミッタ4によって放出される放出放射R1のすべては、1つの同じ放出波長範囲内にある。放出波長範囲は、青色スペクトル範囲または紫外スペクトル範囲であってもよい。
【0054】
各波長変換ユニット5は、放出放射R1を変換放射R2に変換するように構成される。変換放射R2は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に放出波長範囲とは異なる変換波長範囲内にある。異なる波長変換ユニット5は、放出放射R1を異なる変換放射範囲内の変換放射R2(R21、R22)に変換し得る。画素構造1は、複数の波長変換ユニット5を備えてもよく、各波長変換ユニット5は、放出放射R1を複数の変換波長範囲のうちの1つ内の変換放射R2に変換するように構成される。
【0055】
一実施形態では、画素構造1は、放出放射R1を第1の変換波長範囲、例えば赤色スペクトル範囲内の第1の変換放射R21に変換するように構成された少なくとも1つの第1の波長変換ユニット5と、放出放射R1を第2の変換波長範囲、例えば緑色スペクトル範囲内の第2の変換放射R22に変換するように構成された少なくとも1つの第2の波長変換ユニット5とを備える。
【0056】
さらなる実施形態では、画素構造1は、放出放射R1を赤色スペクトル範囲内の変換放射R21に、緑色スペクトル範囲内の変換放射R22に、および黄色スペクトル範囲内の変換放射R23に変換する波長変換ユニット5を備える(図示せず)。画素構造1は、放出放射R1を任意の数の所望のスペクトル範囲内の放射R2、R21、R22、R23、…、R2nに変換する任意の数の波長変換ユニット5を備えてもよい。
【0057】
変換放射R2は、波長変換ユニット5から、主放出平面P1に対して略垂直に延びる主変換方向D1に、すなわち波長変換ユニット5の上面を通って伝播する。変換放射R2は、言い換えれば、例えば、電子ディスプレイ2内に含まれる電子デバイス13のユーザインターフェース面2aに向かって、基板3から離れる方向に伝播する。
【0058】
図4に示されている一実施形態では、LEDエミッタ4のうちの少なくとも1つは、主変換方向D1に放出放射R1を直接放出するように構成され、すなわち、放出された放出放射R1は、主変換方向D1に伝播する際にその方向および波長を維持する。
【0059】
図5から図7に示されているさらなる実施形態では、LEDエミッタ4は、主放出平面(P1)に、すなわち、主変換方向D1に直接ではなく、波長変換ユニット5または複数の変換ユニット5に向かって、LEDエミッタ4の少なくとも1つの側面またはすべての側面を通って横方向に放出放射R1のみを放出するように構成される。波長変換ユニット5は、LEDエミッタ4の1つの側面またはすべての側面から放出される放出放射R1または放出放射R1の一部分のみを変換放射R2に変換するように配置されることができる。
【0060】
さらなる実施形態では、画素構造1は、図5に示されているように、少なくとも1つの放射散乱ユニット6を備える。放射散乱ユニット6は、波長変換ユニット5の配置と同様に、LEDエミッタ4に隣接して基板3上に配置される。散乱ユニット6は、変換なしに、すなわち放出放射R1の波長を変化させることなく、主放出平面P1内を伝播する放出放射R1を主変換方向D1に向け直すように構成される。散乱ユニット6は、マトリックス材料内に分散した散乱粒子を有するポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリマーマトリックス材料を含んでもよい。散乱粒子は、入射放出放射R1をあらゆる方向に散乱させ、好ましくは、散乱ユニット6の底、すなわち基板3に向けられた放射R1は、例えば、以下でさらに説明される底部反射器9などの反射器によって散乱ユニット6の上に容易に向け直される。散乱ユニット6は、約10から100μmの、主変換方向D1における高さを有してもよく、散乱ユニット6の長さ/幅は、100μm超、さらには1000μm超であってもよい。一般に、散乱粒子の量は、散乱ユニット6が比較的低い高さを有することを可能にするのに十分な多さである。
【0061】
各波長変換ユニット5は、波長変換材料を含む。波長変換材料は、マトリックス材料内に分散した波長変換粒子を含むマトリックス材料であってもよい。波長変換粒子は、量子ドットまたはリン材料であってもよい。
【0062】
図6に示されているように、波長変換ユニット5は、波長変換ユニット5の外周に沿って主変換方向D1に延在する少なくとも1つのバリア7を備えてもよい。バリア7は、少なくとも図11および図15に示されているように、波長変換ユニット5の壁が主変換方向D1においてバリア7によって覆われるように、波長変換ユニット5の少なくとも1つの長縁に沿って(図示せず)、図6に示されているように、波長変換ユニット5の1つの短端に沿って、または波長変換ユニット5の長縁および短端の周りに延在してもよい。バリア7は、ポリマー層を用いるナノインプリント技術によって、またはベンゾシクロブテン(BCB)などの感光性ポリマー材料のフォトリソグラフィによって、隣接する画素構造1間に一体化されてもよい。
【0063】
バリア7は、波長変換ユニット5の吸収経路Aを延長するように構成される。吸収経路Aは、波長変換ユニット5内の主放出平面P1内に延びる。放出放射R1は、波長変換ユニット5内を伝播するとき、吸収経路Aに沿って伝播するとともに吸収される。吸収、したがって、放出放射R1の変換放射R2への変換は、図4から図9に示されているように、伝播と同時に行われる。放出放射R1が吸収経路Aに沿って伝播するにつれて、放出放射R1の強度は、通常は指数関数的に減少する。
【0064】
バリア7は、隣接する画素構造1間に発生する光学的クロストークを低減し、少なくとも1つの壁反射器8によって波長変換ユニット5の吸収経路Aが延長されることを可能にする。
【0065】
図6に示されている一実施形態では、少なくとも1つの壁反射器8が、バリア7上に、好ましくは、少なくとも部分的に主変換方向D1に延在するようにバリア7の表面上に配置される。壁反射器8は、波長変換ユニット5の吸収経路Aが主放出平面P1内で延長されるように、吸収経路Aに沿って伝播する放出放射R1を向け直すように構成される。元の放出方向D2、…、Dnから180°までであってもよい吸収経路Aのこのような折り返しが、図11に示されている。
【0066】
図4から図9に示されているように、少なくとも1つの底部反射器9が、波長変換ユニット5と基板3との間に、好ましくは、LEDエミッタ4および波長変換ユニット5がその上に分布する基板3の表面の上に配置されてもよい。底部反射器9は、主放出平面P1と少なくとも部分的に平行に延在し、波長変換ユニット4内を実質的にあらゆる方向に伝播する変換放射R2を主変換方向D1に向け直すように構成される。例えば、波長変換ユニット5の底、すなわち基板3に向けられた変換放射R2は、波長変換ユニット5の上に容易に向け直される。
【0067】
壁反射器8および/または底部反射器9は、主変換方向D1に対してある角度で延在してもよい。壁反射器8は、壁反射器8に当たる放出放射R1が基板3、好ましくは底部反射器9、またはユーザインターフェース面2に向けられるように、主放出平面P1に垂直ではない角度で延在してもよい。底部反射器9は、基板3に向かって伝播する放出放射R1を反射するために、主放出平面P1と平行に延在してもよいし、基板3に向かって伝播する放出放射R1の反射が特定の所定の方向に誘導されることができるように、主放出平面P1に対してある角度で延在してもよい。壁反射器8および/または底部反射器9は、反射面、好ましくは金属層を備え得る。金属層は、スパッタされたアルミニウム層であってもよく、この場合、壁反射器8および/または底部反射器9は、隣接する画素構造間の光学的クロストークも防止する。
【0068】
同様に、波長変換ユニット5は、少なくとも1つの波長変換ユニット表面5a、5bが基板3の主基板平面P2に対して角度αで延在し、表面5aは基板3から離れる方を向いており、表面5bは基板3に隣接して延在する、ように構成されてもよい。波長変換ユニット表面5a、5bの少なくとも一方は、波長変換ユニット5、基板3、またはこれら両方が楔形状である、すなわち、それが主放出平面P1または主基板平面P2に沿って延びるにつれて先細になることにより、角度αで延在する。図7は、波長変換ユニット5自体が先細になっていることにより、波長変換ユニット表面5aのみが基板3の主基板平面P2に対して角度αで延在する実施形態を示す。両方の波長変換ユニット表面5a、5bが、基板3の主基板平面P2に対して角度αで延在してもよい。さらに、波長変換ユニット表面5aは角度α1で延在してもよく、波長変換ユニット表面5bは角度α2で延在してもよい。周囲の空気と比較して高い、波長変換ユニットのマトリックス材料の屈折率により、内部全反射の臨界角よりも小さい角度で波長変換ユニット表面5a、5bに当たる変換放射R2のみが波長変換ユニット5を出る一方で、他の変換放射R2は波長変換ユニット表面5a、5bで反射され、波長変換ユニット5内に残る。上述された先細の楔形状を適用することにより、波長変換ユニット5の内部に取り込まれた放射は、反射されるにつれてより小さい角度で波長変換ユニット表面5a、5bに最終的に当たるため、放射出力効率が向上する。
【0069】
図12に示されているように、波長変換ユニット5は、放出放射R1が波長変換ユニット5内を伝播するときにそれを導くように構成された導波路構造10を備えてもよい。導波路構造は、任意の適切な形状を有してもよく、例えば、図12のように湾曲していても螺旋形状(図示せず)であってもよい。
【0070】
画素構造1は、図8および図9に示されているように、基板3から離れる方を向いた波長変換ユニット表面5aに配置された少なくとも1つの光学機能素子11をさらに備えてもよい。光学機能素子11は、図9に示されているように波長変換ユニット表面5aの上に配置されてもよいし、図8に示されているように波長変換ユニット表面5aと一体化されてもよい。
【0071】
図9に示されている光学機能素子11は、例えば変換放射R2を集束させるために使用される屈折レンズおよび回折レンズの少なくとも一方であってもよい。
【0072】
代わりに、光学機能素子11は、表面構造、好ましくは、図8に示されているように、表面格子、表面粗面化、表面コーティング、またはマイクロピラーのうちの1つであってもよい。格子は、変換放射R2を誘導することによって、変換放射R2のアウトカップリング効率を向上させる。
【0073】
図2bに示されているように、LEDエミッタ4のうちのいくつかは、1つの波長変換ユニット5に動作可能に接続され、同時にかつ独立して放出放射R1を波長変換ユニット5に放出するように構成されてもよい。これは、より良好な収率をもたらす冗長性を提供するとともに、LEDエミッタ4のうちの1つが故障した場合でも、画素構造1が暗い領域なしで依然として意図されたように機能することを保証する。
【0074】
図10に示されているように、変換放射R2、R21、R22の全出力を調整するために制御装置12が設けられ、調整は、パルス幅変調、およびLEDエミッタ4の駆動電流の調整のうちの一方を含む。
【0075】
一実施形態では、変換放射R2、R21、R22は、放射フィルタリングの適用なしで、ユーザインターフェース面2aに向かって主変換方向D2に伝播する。
【0076】
画素構造1は、少なくとも3つのLEDエミッタ4を備えてもよく、少なくとも1つの第1の波長変換ユニット5は、第1のLEDエミッタ4に動作可能に接続され、少なくとも1つの第2の波長変換ユニット5は、第2のLEDエミッタ4に動作可能に接続される。図2bに示されているように、画素構造1は、6つのLEDエミッタ4を備えてもよく、第1の一対のLEDエミッタ4は、第1の波長変換ユニット5に動作可能に接続され、第2の一対のLEDエミッタ4は、第2の波長変換ユニット5に動作可能に接続される。第1の波長変換ユニット5は、好ましくは、第1の一対のLEDエミッタ4からの放出放射R1を第1の変換放射R2に変換するように構成され、第2の波長変換ユニット5は、好ましくは、第2の一対のLEDエミッタ4からの放出放射R1を第2の変換放射R2に変換するように構成される。
【0077】
図2bにも示されているように、第3の一対のLEDエミッタ4の各LEDエミッタ4は、それぞれ1つの放射散乱ユニット6または1つのさらなる波長変換ユニット5に動作可能に接続されてもよい。放出放射R1が紫外スペクトル範囲内にあるとき、第3の一対のLEDエミッタ4は、好ましくは、それぞれ1つのさらなる波長変換ユニット5に動作可能に接続され、さらなる波長変換ユニット5は、第3の一対のLEDエミッタ4からの、紫外スペクトル範囲内の放出放射R1を、例えば青色スペクトル範囲内の第3の変換放射R3に変換するように構成される(図示せず)。代わりに、放出放射R1が青色スペクトル範囲内にあるとき、第3の一対のLEDエミッタ4は、好ましくは、それぞれ1つの放射散乱ユニット5に動作可能に接続される。各LEDエミッタ4は、1つの波長変換ユニット5に動作可能に接続されてもよく、任意選択で、接続は、各LEDエミッタのための接触層アノード、例えば、図3bにおいて底層として示されている金属接触層を含み、基板3はカソード層を含む。金属接触層は、LEDエミッタに電流を供給し、LEDエミッタの底、したがって基板3への望ましくない放出放射R1を防止する。
【0078】
図10は、ユーザインターフェース面2aと少なくとも1つの画素構造1とを有する電子ディスプレイ2を備える電子デバイス13を示す。画素構造1は、図2bに示されているように、1つの放出波長の放出放射R1が主放出平面P1内の複数の放出方向D2、…、Dnに放出され、放出放射R1の少なくとも一部を少なくとも1つの変換波長の変換放射R2、R21、R22に変換し、変換放射R2、R21、R22を、主放出平面P1およびユーザインターフェース面2aに垂直な主変換方向D1に向けることを可能にするように構成される。主放出平面P1は、ユーザインターフェース面2aと略平行に延びる。画素構造1は、放出放射を少なくとも1つの、好ましくはいくつかの変換波長に変換し、異なる変換波長は互いに異なり、放出波長とは異なる、ように構成される。
【0079】
図11から図18に示されているように、電子デバイス13は、複数の同一の画素構造1を備えてもよく、画素構造1は、2次元パターンで主放出平面P1に分布する。2次元パターンは、画素構造1の横列および画素構造1の縦列を備え、横列は平行に延び、縦列と垂直の角度で交差する。各横列の1つおよび2つの画素構造1を交互に示す図17、ならびに各横列の2つおよび3つの画素構造1を交互に示す図18に示されているように、個々の横列の画素構造1の数は、隣接する横列の画素構造1の数とは無関係である。同様に、各縦列の2つおよび3つの画素構造1を交互に示す図17、ならびに各縦列の1つおよび2つの画素構造1を交互に示す図18に示されているように、個々の縦列の画素構造1の数は、隣接する縦列の画素構造1の数とは無関係である。画素構造1のこの分布は、2次元パターンを含む領域内の画素構造1の数の最大化を可能にする。
【0080】
図13に示されているように、複数の画素構造1は、個々の画素構造1の放出放射R1の少なくとも第1の放出方向D2が隣接する画素構造1の対応する第1の放出方向D2と位置合わせされるような2次元パターンに第1のピッチで分布してもよい。図13にも示されているように、第2の放出方向D3、第3の放出方向D4、および第4の放出方向D5も、隣接する画素構造1の対応する第2の放出方向D3、第3の放出方向D4、および第4の放出方向D5と位置合わせされてもよい。言い換えれば、画素構造1は、横列の画素構造1の数、縦列の画素構造1の数、横列間の距離、および縦列間の距離が一定である2次元矩形格子パターンで配置されてもよい。ピッチは、隣接する画素構造1の中心点間の距離である。この種類の位置合わせされた配置は、吸収経路Aの長さがピッチに比べて小さいときに適している。
【0081】
図11図12、および図14から図18に示されているように、複数の画素構造1は、代わりに、個々の画素構造1の放出放射R1の少なくとも第1の放出方向D2が隣接する画素構造1の対応する第1の放出方向D2に対してずらされるような2次元パターンに第2のピッチで分布してもよい。好ましくは、ずらされた放出方向は、すべての画素構造1が、例えば縦列および横列のパターンに関して主放出平面P1内で回転されることによって、同じ量だけ同じ方向にずらされているようにして、平行に延びる。
【0082】
可能な回転にかかわらず、画素構造1は、図11図12、および図15に示されているように、それらの中心点が2次元パターンの両方向において位置合わせされるように配置されてもよい。画素構造1は、図14および図16に示されているように、それらの中心点が2次元パターンの一方の方向では位置合わせされるが、他方の方向ではオフセットされるように配置されてもよい。図17および図18に示されているように、画素構造1はまた、それらの中心点が2次元パターンの両方向においてずらされるように配置されてもよい。回転されてずらされた配置は、吸収経路Aの長さがピッチに比べて大きいときに適している。
【0083】
ずれは、1つまたはいくつかのずらされた放出方向を有するこのような各画素構造1の吸収経路Aの長さの延長を可能にする。放出方向がずらされ、同じ横列または縦列に沿って延びず、代わりに、このような横列と縦列との間の空き領域内に延びるため、各吸収経路Aの長さは、隣接する吸収経路Aの長さによってあまり制限されない。したがって、吸収経路Aの寸法は、例えば、主放出平面P1における波長変換ユニット5の外形寸法を超えてもよく、すなわち、吸収経路Aの長さは、吸収経路Aが延びる波長変換ユニット5の長さまたはそれどころか幅よりも長くてもよい。例えば、図11は、吸収経路Aが波長変換ユニット5の両端で2回折り返されている実施形態を示し、図12は、吸収経路Aが湾曲されている実施形態を示す。
【0084】
図14から図18は、隣接する画素構造1間のピッチが低減された実施形態を示す。図15では、ピッチが吸収経路Aの長さと同様であるため、このピッチは画素間の直線上に2つの隣接する吸収経路を収めることができない。したがって、各画素構造1の放出方向は、1つの画素構造1の吸収経路Aが隣接する画素構造1の吸収経路Aと重ならずに隣接するように、画素構造1のパターンに対して回転される。これにより、画素構造1間のピッチは、吸収経路Aのために最大限に利用される。吸収経路Aは、特に青色スペクトル範囲において、放出放射R1の高い色変換効率および高い吸収を保証するために十分に長くなければならない。
【0085】
図14は、個々の画素構造1の第1の放出方向D2および第2の放出方向D3が、隣接する画素構造の対応する第1の放出方向D2および第2の放出方向D3に対して横方向オフセットを示すようにずらされている一方で、第3の放出方向D4および第4の放出方向D5からの放出のために、必要な吸収経路長がより短いため、D4およびD5が位置合わせされている実施形態を示す。
【0086】
図15および図16は、2次元パターンが1つまたはいくつかの相互接続された平行四辺形を含むように、個々の画素構造1の第1の放出方向D2、第2の放出方向D3、第3の放出方向D4、および第4の放出方向D5がすべて、隣接する画素構造の対応する放出方向D2、D3、D4、D5に対してずらされている実施形態を示す。
【0087】
図17および図18は、2次元パターンが分布した画素構造1のハニカムパターンを含むように、個々の画素構造1の第1の放出方向D2、第2の放出方向D3、第3の放出方向D4、および第4の放出方向D5がすべて、隣接する画素構造の対応する放出方向D2、D3、D4、D5に対して横方向オフセットを示すようにずらされている実施形態を示す。
【0088】
上述されたように、画素構造1は、第1のピッチで配置されてもよい、すなわち、第1のピッチだけ離されてもよい。この場合、画素構造1は、個々の画素構造1の波長変換ユニット5の吸収経路Aが隣接する画素構造の対応する吸収経路Aと位置合わせされるように、縦列の方向および横列の方向の少なくとも一方において位置合わせされる。
【0089】
上述されたように、画素構造1は、2次元アレイ状に配置されてもよい。各画素構造1は、他の画素構造1と同一のサイズの領域を占めてもよく、および/または同じ長さの吸収経路Aを有してもよい。吸収長は、10~500μm、好ましくは<20μmであってもよい。2次元アレイ内の画素構造1のピッチは、
ユーザの眼とユーザインターフェース面2aとの間の距離が<1mであるように構成されたディスプレイ用途、すなわち、スマートフォンのディスプレイなどの近見ディスプレイでは、20~150μm、好ましくは30~80μmであってもよい。同様に、第2のピッチは、ユーザの眼とユーザインターフェース面2aとの間の対応する距離が≧0,5mであるように構成されたディスプレイ用途、すなわち、TVのディスプレイなどの遠見ディスプレイでは、≧70μm、好ましくは≧100μmであってもよい。
【0090】
図11図12図15図16、および図18に示されているように、第2のピッチで分布する複数の画素構造1は、個々の画素構造1の波長変換ユニット5の吸収経路Aが隣接する画素構造の対応する吸収経路Aに対してずらされるように、主放出平面P1内で角度βだけ回転されてもよい。
【0091】
さらに、図14図16、および図17に示されているように、個々の横列の画素構造1は、隣接する横列の画素構造1に対して縦列の方向にオフセットされてもよい。同様に、図18に示されているように、個々の縦列の画素構造1は、隣接する縦列の画素構造1に対して横列の方向にオフセットされてもよい。
【0092】
様々な態様および実施態様が、本明細書の様々な実施形態に関連して説明された。ただし、開示された実施形態に対する他の変形例は、図面、本開示、および添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求された主題を実施する当業者によって理解および達成されることができる。特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という語は、他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を排除しない。シングルプロセッサまたは他のユニットは、特許請求の範囲に記載されたいくつかのアイテムの機能を果たし得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共にまたはその一部として提供される光記憶媒体またはソリッドステート媒体などの適切な媒体に記憶/分散され得るが、インターネットまたは他の有線もしくはワイヤレス通信システムを介するなど、他の形態でも分散され得る。
【0093】
特許請求の範囲で使用されている参照符号は、範囲を限定するものと解釈されてはならない。別段の指示がない限り、図面は、本明細書と共に読まれる(例えば、クロスハッチング、部品の配置、割合、程度など)ことを意図されており、本開示の記載全体の一部分と見なされるべきである。本明細書で使用されるとき、「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「上」、および「下」という用語、ならびにこれらの形容詞および副詞の派生語(例えば、「水平に」、「右方に」、「上方に」など)は、特定の図面が読者に面しているときの図示された構造の向きを単に指す。同様に、「内向きに」および「外向きに」という用語は、一般に、必要に応じて、その延在軸または回転軸に対する表面の向きを指す。
【符号の説明】
【0094】
1 画素構造
2 電子ディスプレイ
2a ユーザインターフェース面
3 基板
4 LEDエミッタ
5 波長変換ユニット
5a 波長変換ユニット表面
5b 波長変換ユニット表面
6 放射散乱ユニット
7 バリア
8 壁反射器
9 底部反射器
10 導波路構造
11 光学機能素子
12 制御装置
13 電子デバイス
A 吸収経路
D1 主変換方向
D2 第1の放出方向
D3 第2の放出方向
D4 第3の放出方向
D5 第4の放出方向
P1 主放出平面
P2 主基板平面
R1 放出放射
R2 変換放射
R21 第1の変換放射
R22 第2の変換放射
α 角度
β 角度
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18