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特許7432021医療用デバイスイントロデューサ用の統合型伸展可能アクセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】医療用デバイスイントロデューサ用の統合型伸展可能アクセス
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240207BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240207BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20240207BHJP
   A61M 60/865 20210101ALI20240207BHJP
   A61M 60/165 20210101ALN20240207BHJP
【FI】
A61M25/06 556
A61M25/00 610
A61M25/00 650
A61M25/10
A61M60/865
A61M60/165
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023002077
(22)【出願日】2023-01-11
(62)【分割の表示】P 2020515141の分割
【原出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2023040193
(43)【公開日】2023-03-22
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】62/558,507
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ファントゥッツィ グレン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ズィース トルステン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05961499(US,A)
【文献】米国特許第06090072(US,A)
【文献】特表2017-525519(JP,A)
【文献】国際公開第2017/147103(WO,A1)
【文献】特表2003-508161(JP,A)
【文献】特開2010-057770(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第2932979(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
A61M 25/00
A61M 25/10
A61M 60/865
A61M 60/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シースアセンブリであって、
血管に挿入されるように構成された医療用デバイスであって、該医療用デバイスの第一の部分が第一の幅を有し、該医療用デバイスの第二の部分が該第一の幅より小さい第二の幅を有し、該医療用デバイスの第二の部分が該医療用デバイスの該第一の部分の近位にある、医療用デバイス;
第一シースであって、該第一シースの基端部と先端部との間に延在する第一管腔を有し、該医療用デバイスの該第二の部分の通過を可能にするように構成された、第一シース;
該第一シースの該基端部に連結された第一ハブ;
第二シースであって、該第二シースの基端部と先端部との間に延在する第二管腔を有し該第二管腔が、静止時に第一内径を有し、かつ該第一内径から第二内径に弾性的に伸展可能であるように構成されている、第二シース;および
該第二シースの該基端部に連結された第二のハブ
を具備し、
該第二管腔は、該医療用デバイスの該第一の部分の該通過中に第二内径に伸展し、かつ該医療用デバイスの第二の部分の該通過中に該第二内径から弾性的に収縮するように構成され、かつ
該第二シースが該血管内に挿入されるときに該第二シースの該内面と該医療用デバイスの該第二の部分との間に密封を形成し、かつ該血管からの血液が該密封を過ぎて移動するのを実質的に防ぐように、該第一シースが該医療用デバイスの該第二の部分の上に該第二管腔内へ挿入される、
シースアセンブリ。
【請求項2】
前記医療用デバイスの前記第二の部分が前記第一管腔内に収容されるときに、前記第一シースの内面と該医療用デバイスの該第二の部分の前記外面との間に流体の送達を可能にするように構成されたポートをさらに具備する、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項3】
前記ポートが前記第一ハブ上に位置する、請求項2記載のシースアセンブリ。
【請求項4】
前記第一シースが第二管腔内に挿入されているときに前記第二シースの前記内面と該第一シースの外面との間に流体の送達を可能にするように構成されたポートをさらに具備する、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項5】
前記ポートが前記第二ハブ上に位置する、請求項4記載のシースアセンブリ。
【請求項6】
前記第一ハブは、前記第一シースが前記第二管腔に挿入されているときに前記第二シースの第二管腔内への流体の送達を可能にするように構成されたポートをさらに具備する、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項7】
前記第一シースが、ガイドワイヤの通過を可能にするように構成された、前記第一管腔に実質的に平行でありかつ該第一シースの基端部から先端部まで延在する、補助の管腔をさらに具備する、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項8】
前記第一シースの外面が前記第一シースの前記基端部から前記先端部に向かって先細りになっており、該第一シースの該基端部における外径が該第一シースの該先端部における外径より大きい、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項9】
前記第一シースが、該第一シースが前記第二管腔内に挿入されるときに該第二管腔の直径の変動を可能にするように構成された伸展可能バルーンをさらに具備する、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項10】
前記第一ハブおよび前記第二ハブが、ねじ接続、プレスフィット接続、またはクリップロック接続のうちの少なくとも1つによって、互いに連結するように構成されている、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項11】
前記第二シースの外径が、20 Fr(6.67 mm)またはそれより小さい経皮アクセス部位を通って導入されるように寸法決定されている、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項12】
前記第二シースが、多孔質材料またはメッシュ材料のいずれかを具備する、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項13】
前記第二シースが、前記第二管腔が第一内径であるとき、端部がオーバーラップした管状構成になるよう巻かれた、シートを具備する、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項14】
前記第一シースの外面が、放射線不透過性マーカー、可視マーカー、または挿入の深さを決定するためのマーカーのうちの1つを具備する、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項15】
前記第一シースの外面が、抗血栓性コーティング、または、前記血管に挿入されるときに、該第一シースと前記第二シースとの間で凝血塊が形成される可能性を低減するように構成されたコーティングのうちの1つでコーティングされている、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項16】
前記第二シースの外面が、親水性コーティング、疎水性コーティング、または摩擦を低減するコーティングのうちの1つでコーティングされている、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項17】
前記第二シースの外面が、抗菌性コーティング、または、該第二シースが前記血管に挿入されるときに、血管内で感染が生じる可能性を低減するように構成されたコーティングのうちの1つでコーティングされている、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項18】
前記第一シースは、該第一シースおよび前記第二シースの縦軸に沿って、該第一シースおよび該第二シースを互いに対して軸方向に動かすことによって、前記第二シース内に挿入されるように構成された、請求項1記載のシースアセンブリ。
【請求項19】
前記第一シースおよび前記第二シースの両方が、摺動可能に前記医療用デバイスの前記第二の部分に連結されるように構成されている、請求項18記載のシースアセンブリ。
【請求項20】
前記医療用デバイスが経皮的心臓ポンプである、請求項19記載のシースアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその内容全体が本明細書に組み入れられる、2017年9月14日に提出された米国特許仮出願第62/558,507号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
心内留置型心臓ポンプアセンブリなどの医療用デバイスは、さまざまな方式で患者体内に導入されうる。一般的に、心臓ポンプは、心臓から脈管内まで血液をポンピングして心臓の機能を支持するため心臓内に導入されうる。心臓ポンプアセンブリは、心臓内に配置されると、心臓の左心室から血液を引いて大動脈内に血液を吐出するか、または、下大静脈(IVC)から血液を引き、右心房および右心室をバイパスして、肺動脈内に血液を吐出する。心臓ポンプアセンブリは、外科的に導入されるか、または、心臓手技中に脈管系を通じて経皮的に導入される。よく行われる1つのアプローチにおいて、ポンプアセンブリは、カテーテル手技によって、ピールアウェイ式イントロデューサシースなどのシースを用いて大腿動脈を通って挿入される。代替的に、シースは、左心側または右心側のいずれかを支持する目的でポンプを送達するため、大腿静脈などの他の位置または任意の経路に挿入されることもある。
【0003】
ピールアウェイ式イントロデューサシースは、ポンプアセンブリ用の挿入経路を作るための動脈切開部を通じて大腿動脈内に挿入されることがある。次に、ポンプアセンブリの一部分が、イントロデューサの内腔を通って動脈内まで進められる。ポンプアセンブリが挿入されたら、ピールアウェイ式イントロデューサシースが剥ぎ取られる。次に、再配置用シースが、ポンプアセンブリの上に、そして動脈切開部の中まで進められることもある。イントロデューサシースを、剥ぎ取りの必要がないシースに置換すると、そうしなければイントロデューサシース内で生じうる凝血塊形成を防止できる可能性があり、かつ、止血弁とともに用いた場合に患者へのシースの固定が良好になるので、皮膚の挿入部位および/または脈管内の挿入部位における出血を防止または低減できる可能性がある。
【0004】
ピールアウェイ式イントロデューサシースは放射方向に伸展可能ではないため、イントロデューサシースの内径は常に、シースを通って挿入される心臓ポンプの最大直径の通過を受け入れられるだけ充分に大きくなければならず、それは、カテーテルなどポンプアセンブリの他の部分の直径がより小さい場合であっても同様である。このことは、ポンプが挿入されると、脈管内へのポンプカテーテルの通過を可能にするため、必要以上に大きな外径を有する開口部をピールアウェイ式イントロデューサが作り出すことを意味する。したがって、ピールアウェイ式イントロデューサシースは剥ぎ取られ、そして、より小さい断面の再配置用シースに置換される。しかしイントロデューサの剥ぎ取りにはいくつかの不利な点がある。例えば、ピールアウェイ式イントロデューサが容易に剥がれすぎ、裂けるのが早すぎて出血または脈管合併症につながるリスクがある。一方で、ピールアウェイ式イントロデューサは、剥ぎ取りに過剰な力を要する可能性もある。医師が加える力が大きすぎると、イントロデューサが最終的に壊れる際に、医師が不注意により心臓内のポンプの位置をシフトさせてしまう可能性がある。イントロデューサを剥ぎ取らなければならないことは、同様に分離する必要があるイントロデューサのハブ内に位置する、止血弁の設計も複雑にする。加えて、剥ぎ取る動作は、ユーザーが認識しかつトレーニングを受けなければならない追加的な段階であり、かつ、行うために追加的な時間も必要とする。
【0005】
心臓ポンプ挿入以外の用途向けの一部の医療用イントロデューサは、経皮的デバイスを患者の脈管構造内まで通過させられるように放射方向に伸展できる、伸展可能なシースボディを有する。これらのイントロデューサは、導入されるデバイスの外径より小さな内径を有する状態で挿入される。イントロデューサは、デバイスがシースを通って脈管構造内まで通過することが可能になるように伸展し、次いでデバイスの通過後にまた収縮する。現在のところ、これらの伸展可能なイントロデューサは比較的短期間の使用を対象としており、かつ、スタンドアロンのコンポーネントである。現在の伸展可能シースは短期使用を意図しているため、シースボディと留置用カテーテルとの間の血栓症を防ぐようには構成されていない。さらに、現在の伸展可能シースは、長期間にわたって動脈切開部を密封するための手段、または、挿入されたデバイスが(脈管内でおよび脈管外に)移動することを防ぐための手段を含んでいない。
【発明の概要】
【0006】
医療用デバイス(例えば脈管内医療用デバイス)を挿入するためのシステム、デバイス、および方法を提示する。デバイスは伸展可能なイントロデューサシースを通って送達される。伸展できるイントロデューサシースを使用することにより、より小さな穿孔サイズを挿入に用いることができ、かつ、ポンプ挿入後に脈管が小さな直径に戻ることがより容易になる可能性がある。加えて、医療用デバイスは脈管壁をごく短時間通過するにすぎないので、脈管の開口部は、より大きな非伸展可能シースが使用された場合より小さくなると予想される。さらに、医療用デバイスは脈管もごく短時間通過するにすぎないので、デバイスとシースと脈管壁との間の摩擦が最小化されれば、脈管に対する軸方向荷重および応力が減少する。すなわち、シースは、より小さいサイズであり、挿入/除去経路の軸に沿って脈管を押したり引いたりすることがない;代わりに、デバイスが脈管を通過する時に、脈管が放射方向外側に伸展される。本発明の伸展可能イントロデューサシースは、比較的長期間(例えば、>1時間、>2時間、>6時間、または任意の好適な期間)にわたって挿入経路(例えば動脈切開部)内に留まるように構成されている。イントロデューサシースが挿入経路内に留まることを可能にするため、挿入用シースが、導入されている経皮的デバイスと統合されるか、または経皮的デバイスに関連するカテーテルと統合されてもよい。例えば、イントロデューサシースが、機械的補助デバイスの再配置用シースに接続するかまたはこれとインターロックしてもよい。いくつかの実施形態において、伸展可能イントロデューサシースは、再配置用シースアセンブリに含まれる。
【0007】
イントロデューサシースが再配置用シースに接続すること、そして挿入経路内に留まることを、可能にすることによって、ピールアウェイ式イントロデューサに関連する不利点が回避されうる。例えば、伸展可能イントロデューサシースを除去する必要がないので、剥ぎ取りが早すぎるというリスクが本質的に解消され、かつ、導入されたデバイスを(例えば剥ぎ取り中に力を使いすぎることによって)不注意によりシフトさせてしまうリスクが低減または解消される。さらに、イントロデューサシースが挿入経路内に留まることを可能にすると、挿入手技における段階の数が減ることによって、すなわち剥ぎ取りのプロセスがなくなることによって、導入されるデバイスの使用が簡便になる。
【0008】
第一の局面において、再配置用シースアセンブリは、医療用デバイスの一部分の通過用の、第一シースの基端部と先端部との間における第一開口部を画定する第一管腔を有する、第一シースであって、その基端部に連結された第一ハブを有する、第一シースを含む。同アセンブリは、第二シースの基端部と先端部との間における第二開口部を画定する第二管腔を有する、第二シースであって、該第二管腔が、医療用デバイスの前記部分を含有する第一シースの通過を可能にするように伸展可能であり、該第二シースが、その基端部に連結された第二ハブを有する、第二シースをさらに含む。この構成において、第一シースは、医療用デバイスの前記部分を含有する第一シースが第二管腔内に挿入されているときに、第二シースと医療用デバイスの前記部分との間の空間を満たす。第二シースと医療用デバイスの前記部分との間の空間が第一シースによって占められているので、そこに血液が蓄積しうる追加的な空間はほとんどないし全く存在しない。血液の蓄積は血栓症を引き起こす。したがって、このようなアセンブリは、第一シースと第二シースとの間の空間、および第一シースと医療用デバイスとの間の空間における、血栓形成のリスクを低減しうる。本発明のアセンブリは、第一シースのために道を空けるために、伸展可能な第二シースを分離または分解する必要がないという点において、従来のピールアウェイ式イントロデューサシースより有利である。
【0009】
特定の実施形態において、シースアセンブリは、第一シースと医療用デバイスの前記部分との間の空間と流体連絡する第一ポートを含む。特定の実施形態において、第一ポートは第一ハブ上に位置する。特定の実施形態において、シースアセンブリは、第一シースが第二管腔内に挿入されているときに第二シースと第一シースとの間の空間と流体連絡する第二ポートを含む。特定の実施形態において、第二ポートは第二ハブ上に位置する。特定の実施形態において、第二ハブは、第一シースの第一管腔と流体連絡する開口部を具備する。特定の実施形態において、第一シースは、ガイドワイヤの通過用の、第一管腔に平行でありかつ第一シースの基端部から先端部まで延在する、さらなる管腔を含む。特定の実施形態において、第一ハブは、ガイドワイヤの通過用の前記さらなる管腔と連絡する第三ポートを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、第一シースはその基端部から先端部に向かって幾何学的に先細りになっており、第一シースの基端部における外径が第一シースの先端部における外径より大きい。特定の実施形態において、第一シースは、第一シースが第二管腔内に挿入されるときに第二管腔の直径を変動させるための伸展可能バルーンを具備する。特定の実施形態において、第一ハブは、伸展可能バルーンに接続されたバルーンポートを具備する。
【0011】
いくつかの実施形態において、第一ハブと第二ハブとは、ねじ接続、プレスフィット接続、およびクリップロック接続のうちの少なくとも1つによって、互いに連結するように構成されている。特定の実施形態において、第一ハブは、患者への縫合用に構成された特徴を含む。特定の実施形態において、第一ハブは、縫合部を固定するための複数のリブを各ウイングが有する、1対の縫合用ウイングを含む。
【0012】
特定の実施形態において、第一シースボディは、約20 Fr(6.67 mm)以下の経皮アクセス部位を通って導入されるように寸法決定されている。特定の実施形態において、第二シースは、多孔質材料またはメッシュ材料のいずれかを具備する。特定の実施形態において、第一シースの外面は、放射線不透過性マーカー、可視マーカー、および挿入の深さを決定するためのマーカーのうちの1つを具備する。特定の実施形態において、第一シースの外面は、抗血栓性コーティング、および、第一管状シースと第二管状シースとの間で凝血塊が形成される可能性を低減するコーティングのうちの1つでコーティングされる。特定の実施形態において、第一シースの外面は、親水性コーティング、疎水性コーティング、および摩擦を低減するコーティングのうちの1つでコーティングされる。特定の実施形態において、第一シースの外面は、抗菌性コーティング、および、脈管開口部で感染が生じる可能性を低減するコーティングのうちの1つでコーティングされる。
【0013】
いくつかの実施形態において、第一シースおよび第二シースは、互いの縦軸に対して軸方向に動くことができる。特定の実施形態において、シースアセンブリはカテーテルを含み、かつ、第一および第二シースの両方が、摺動可能にカテーテルに連結されている。特定の実施形態において、医療用デバイスは経皮的心臓ポンプである。特定の実施形態において、第二シースは、第一シースと血管における動脈切開部との間の空間を密封するよう、血管内の血圧によって伸展可能である。
【0014】
さらなる局面において、再配置用シースアセンブリは、医療用デバイスの一部分の通過用の、第一シースの基端部と先端部との間における第一開口部を画定する第一管腔を有する、第一の剛性シースを含む。同アセンブリは、第二シースの基端部と先端部との間における第二開口部を画定する第二管腔を有する、第二シースをさらに含む;第二管腔は、医療用デバイスの前記部分を含有する第一シースの通過を可能にするように伸展可能であり;第二シースは、その基端部に連結された第二ハブを有し;医療用デバイスの前記部分を含有する第一シースが第二管腔内に挿入されているときに、第一シースは第二シースと医療用デバイスの前記部分との間の空間を満たす。この構成において、シースアセンブリは、第一および第二シースならびに医療用デバイスの前記部分を、血管を通して送達することを容易にし、かつ、第一シースは、医療用デバイスが血管内に配置されたら剥ぎ取られるように構成されている。
【0015】
特定の実施形態において、シースアセンブリは、医療用デバイスの前記部分の通過用の、第三シースの基端部と先端部との間における第三開口部を画定する第三管腔を有する、第三シースであって、その基端部に連結された第三ハブを有する、第三シースをさらに含む。いくつかの実施形態において、第三ハブは、第二ハブに連結されているときに第二管腔と流体連絡するように構成されている。
【0016】
さらに別の局面において、再配置用シースアセンブリは、医療用デバイスに固定的に接続された第一ハブと、第二シースの基端部と先端部との間における第二開口部を画定する第二管腔を有する、第二シースとを含む。第二管腔は、医療用デバイスの一部分の通過を可能にするように伸展可能であるように構成されており、第二シースは、その基端部に連結された第二ハブを有する。さらに、第一ハブは、第一ハブが第二ハブに連結されているときに第二管腔と流体連絡するように構成されている。特定の実施形態において、第一ハブは、第一ハブが第二ハブに連結されているときに第二シースと医療用デバイスの前記部分との間の空間と流体連絡する、第一ポートを具備する。
[本発明1001]
医療用デバイスを血管内に挿入するためのシースアセンブリであって、
該医療用デバイスの一部分の通過用の、第一シースの基端部と先端部との間における第一開口部を画定する第一管腔を有する、第一シースであって、その基端部に連結された第一ハブを有する、第一シース;および
第二シースの基端部と先端部との間における第二開口部を画定する第二管腔を有する、第二シースであって、該第二管腔が、該医療用デバイスの該部分を含有する該第一シースの通過を可能にするように伸展可能であり、該第二シースが、その基端部に連結された第二ハブを有する、第二シース
を具備し、
該医療用デバイスの該部分を含有する該第一シースが該第二管腔内に挿入されているときに、該第一シースが該第二シースと該医療用デバイスの該部分との間の空間を満たす、
シースアセンブリ。
[本発明1002]
前記第一シースと前記医療用デバイスの前記部分との間の空間と流体連絡する第一ポートを具備する、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1003]
前記第一ポートが前記第一ハブ上に位置する、本発明1002のシースアセンブリ。
[本発明1004]
前記第一シースが第二管腔内に挿入されているときに前記第二シースと該第一シースとの間の空間と流体連絡する第二ポートを具備する、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1005]
前記第二ポートが前記第二ハブ上に位置する、本発明1004のシースアセンブリ。
[本発明1006]
前記第二ハブが、前記第一シースの第一管腔と流体連絡する開口部を具備する、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1007]
前記第一シースが、ガイドワイヤの通過用の、前記第一管腔に平行でありかつ該第一シースの基端部から先端部まで延在する、さらなる管腔を具備する、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1008]
前記第一ハブが、前記ガイドワイヤの通過用の前記さらなる管腔と連絡する第三ポートを具備する、本発明1007のシースアセンブリ。
[本発明1009]
前記第一シースがその基端部から先端部に向かって幾何学的に先細りになっており、該第一シースの該基端部における外径が該第一シースの該先端部における外径より大きい、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1010]
前記第一シースが、該第一シースが第二管腔内に挿入されるときに該第二管腔の直径を変動させるための伸展可能バルーンを具備する、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1011]
前記第一ハブが、前記伸展可能バルーンに接続されたバルーンポートを具備する、本発明1010のシースアセンブリ。
[本発明1012]
前記第一ハブおよび前記第二ハブが、ねじ接続、プレスフィット接続、およびクリップロック接続のうちの少なくとも1つによって、互いに連結するように構成されている、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1013]
前記第一ハブが、患者への縫合用に構成された特徴を含む、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1014]
前記第一ハブが、縫合部を固定するための複数のリブを各ウイングが有する、1対の縫合用ウイングを含む、本発明1013のシースアセンブリ。
[本発明1015]
前記第一シースのボディが、約20 Fr(6.67 mm)またはそれより小さい経皮アクセス部位を通って導入されるように寸法決定されている、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1016]
前記第二シースが、多孔質材料またはメッシュ材料のいずれかを具備する、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1017]
前記第一シースの外面が、放射線不透過性マーカー、可視マーカー、および挿入の深さを決定するためのマーカーのうちの1つを具備する、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1018]
前記第一シースの外面が、抗血栓性コーティング、および、第一管状シースと第二管状シースとの間で凝血塊が形成される可能性を低減するコーティングのうちの1つでコーティングされている、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1019]
前記第一シースの外面が、親水性コーティング、疎水性コーティング、および摩擦を低減するコーティングのうちの1つでコーティングされている、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1020]
前記第一シースの外面が、抗菌性コーティング、および、脈管開口部で感染が生じる可能性を低減するコーティングのうちの1つでコーティングされている、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1021]
前記第一シースおよび前記第二シースが、互いの縦軸に対して軸方向に動くことができる、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1022]
前記シースアセンブリがカテーテルをさらに具備し、前記第一および第二シースの両方が、摺動可能に該カテーテルに連結される、本発明1021のシースアセンブリ。
[本発明1023]
前記医療用デバイスが経皮的心臓ポンプである、本発明1022のシースアセンブリ。
[本発明1024]
前記第二シースが、前記第一シースと血管における動脈切開部との間の空間を密封するように、血管内の血圧によって伸展可能である、本発明1001のシースアセンブリ。
[本発明1025]
医療用デバイスを血管内に挿入するためのシースアセンブリであって、
該医療用デバイスの一部分の通過用の、第一シースの基端部と先端部との間における第一開口部を画定する第一管腔を有する、第一の剛性シース;および
第二シースの基端部と先端部との間における第二開口部を画定する第二管腔を有する、第二シースであって、該第二管腔が、該医療用デバイスの該部分を含有する該第一シースの通過を可能にするように伸展可能であり、該第二シースが、その基端部に連結された第二ハブを有し、該医療用デバイスの該部分を含有する該第一シースが該第二管腔内に挿入されているときに、該第一シースが、該第二シースと該医療用デバイスの該部分との間の空間を満たす、第二シース
を具備し、
該シースアセンブリが、該第一および第二シースならびに該医療用デバイスの該部分を該血管を通して送達することを容易にし、かつ、該第一シースが、該医療用デバイスが該血管内に配置されたら剥ぎ取られるように構成されている、
シースアセンブリ。
[本発明1026]
前記医療用デバイスの前記部分の通過用の、第三シースの基端部と先端部との間における第三開口部を画定する第三管腔を有する、第三シースであって、その基端部に連結された第三ハブを有する、第三シースをさらに具備する、本発明1025のシースアセンブリ。
[本発明1027]
前記第三ハブが、前記第二ハブに連結されているときに前記第二管腔と流体連絡するように構成されている、本発明1026のシースアセンブリ。
[本発明1028]
医療用デバイスを血管内に挿入するためのシースアセンブリであって、
該医療用デバイスに固定的に接続された第一ハブ;および
第二シースの基端部と先端部との間における第二開口部を画定する第二管腔を有する、第二シースであって、該第二管腔が、該医療用デバイスの一部分の通過を可能にするように伸展可能であり、該第二シースが、その基端部に連結された第二ハブを有する、第二シース
を具備し、
該第一ハブが、該第二ハブに連結されているときに該第二管腔と流体連絡するように構成されている、
シースアセンブリ。
[本発明1029]
前記第一ハブが前記第二ハブに連結されているときに前記第二シースと前記医療用デバイスの前記部分との間の空間と流体連絡する第一ポートを、該第一ハブが具備する、本発明1028のシースアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以上および他の目的と利点とは、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて検討することによって明らかになるであろう;添付の図面全体を通して、同様の参照符号は同様の部品を参照する。
【0018】
図1】先行技術による例示的な医療用デバイスの斜視図である。
図2】脈管に形成された開口部(例えば動脈切開部)に提供するための、先行技術による例示的な再配置用シースの断面を示した図である。
図3図1の医療用デバイスと統合された、図2の例示的な再配置用シースの断面を示した図である。
図4図1のデバイスなどの医療用デバイスのための動脈アクセス用の、例示的な伸展可能シースの断面を示した図である。
図4A】端部がオーバーラップした管状構成になるよう巻かれた、コンプライアント材料(compliant material)のシートを具備する、例示的な伸展可能シースの断面を示した図である。
図5図4の伸展可能シースを用いて動脈切開部内にポンプを挿入するための例示的な方法を示した図である。
図6】脈管拡張器を用いて挿入部位内に挿入された、図4の例示的な伸展可能シースの斜視図である。
図7図4の伸展可能シース内に挿入された、図1の例示的な医療用デバイスの斜視図である。
図8図1の医療用デバイスが図4の伸展可能シースを完全に通過した後に伸展可能シースに挿入された、図3の例示的な再配置用シースの斜視図である。
図9図2の再配置用シースが図1の医療用デバイスに向かって進められ、かつ、再配置用シースの基端部上のハブが伸展可能シースの基端部上のハブと連結されたときの、例示的な伸展可能シースアセンブリを示した図である。
図10】動脈切開部を通って血管内に挿入された、図4の例示的な伸展可能シースの斜視図である。
図11図3の再配置用シースがハブを具備する、動脈切開部を通って血管内に挿入される伸展可能シースアセンブリの例示的な代替構成の実施形態を示した図である。
図12図4の伸展可能シースが剛性のピールアウェイ式シースとともに挿入される、動脈切開部を通って血管内に挿入される伸展可能シースアセンブリの例示的な代替構成の実施形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本明細書に説明するシステム、方法、およびデバイスが全体的に理解されうるよう、特定の例示的態様を説明する。本明細書に説明する態様および特徴は、経皮的心臓ポンプシステムと関係した使用について具体的に説明するが、理解されるであろう点として、以下に概説するすべてのコンポーネントおよび他の特徴は、任意の好適な様式において互いに組み合わせられてもよく、かつ、バルーンポンプ、および外科的切開を用いて植込みされる心臓補助デバイスなどを含む、心臓治療デバイスおよび心臓補助デバイスなど、他のタイプの医療用デバイスに適合および適用されてもよい。
【0020】
本明細書に説明するシステム、方法、およびデバイスは、脈管開口部を通して医療用デバイス(例えば経皮的心臓ポンプ)を血管内に挿入するためのシースアセンブリを提供する。シースアセンブリは、第一シースの基端部と先端部との間における第一開放通路を画定する第一管腔を有する、第一シースを具備する。このことは、医療用デバイスの一部分が第一シースの中を通過することを可能にする。第一シースは、統合型シースアセンブリの他のコンポーネントに取り付けるため、その基端部に連結された第一ハブを有する。シースアセンブリはまた、第二シースの基端部と先端部との間における第二開放通路を画定する第二管腔を有する、第二シースも具備する。このことは、医療用デバイスと第一シースとが第二シースの第二管腔の中を通過することを可能にする。第二シースは、第一シースの第一ハブなど、統合型シースアセンブリの他のコンポーネントと嵌合させるため、その基端部に連結された第二ハブを有する。ハブのそうした嵌合は、第一管腔と第二管腔とが流体接続することを確実にする。第二管腔は、経皮ポンプおよび第一シースが滑らかに通過するのを可能にするために、伸展可能材料から構築される。この様式において、第一シースと第二シースとの間の空間、および経皮的医療用デバイスのボディと第二シースとの間の空間が、最小化される。このことは、(i)第一シースと第二シースとの間、および(ii)第二シースと経皮的医療用デバイスのボディとの間、における血液の蓄積を低減し、したがって、これら空間における血栓症を防止または低減する。シースとカテーテルとの間の血液漏出を防ぐため、伸展可能シースと再配置用シースとの間の連結は、止血性であってもよく、かつ、Oリングまたは干渉フィットなど密封用の特徴を伴って設計されてもよい。
【0021】
さらに、第一シースが第二管腔内に挿入されているとき、第一シースは、第二シースと経皮ポンプなど医療用デバイスとの間の空間を満たす。このことは、第二シースと経皮ポンプとの間における血液の蓄積を防止または低減して、血栓症のリスクをさらに最小化する。ハブが連結されたら、伸展可能シースと統合型シースボディとの間の空間から血液を持続的に流し出すため、統合型伸展可能シースアセンブリに流体が通されてもよい。
【0022】
図1に、特定の実施形態に基づく、経皮ポンプ100などの例示的な機械的補助デバイス(MAD)を示す。ポンプ100は、ポンプハンドル110と、ポンプヘッド130と、ポンプハンドル110をポンプヘッド130に接続するポンプボディ120とを具備する。ポンプボディ120は管状であり、かつ、実質的に均一な外径を有する。ポンプボディ120は、ポンプヘッド130とポンプハンドル110とが電気機械的に連絡することを可能にする。ポンプハンドル110は、ポンプヘッド130の制御を可能にする制御回路と連絡する。ポンプヘッド130は、体内のある位置から血液をポンピングするなど、デバイスが患者の体内でさまざまなタスクを行うことを可能にする電気機械的コンポーネントを含有する。ポンプヘッド130は、ポンプボディ120の直径150より大きい直径140を有する。そのような経皮ポンプの1例はImpella 2.5(商標)システム(Abiomed, Inc., Danvers, Massachusetts)である。理解されるであろう点として、本明細書には経皮的心臓ポンプを説明するが、他の任意の経皮的医療用デバイスが本開示との関連において使用されうる。
【0023】
図2に、特定の実施形態に基づく例示的な再配置用シース200を示す。再配置用シース200は、中心縦軸201と、基端部部分202と、先端部部分204とを有する、シースボディ220を具備する。シースボディ220は、実質的に均一な断面を有し、かつ、脈管開口部を通って血管内に挿入されるように寸法決定されている。特定の実施形態において、シースボディ220は、円形または楕円形の断面を備えた管状であってもよく、かつ、一定のまたは変化する壁厚を有してもよい。いくつかの実施形態において、シースボディ220は、動脈切開部を通って大腿動脈内に挿入されるように寸法が決定される。大多数のシースボディ220は、約10 Fr、11 Fr、12 Fr、13 Fr、14 Fr、15 Fr、16 Fr、17 Fr、20 Fr、または他の任意の好適な直径である、実質的に均一な外径を有してもよい。シースボディ220は、約20 Fr(6.67 mm)またはそれより小さい(例えば19 Fr、18 Fr、17 Fr、16 Fr、15 Fr、14 Fr、13 Fr、12 Fr、10 Fr、9 Fr、8 Fr、6 Fr、もしくはそれより小さい)経皮アクセス部位を通って導入されるように寸法が決定されてもよい。シースボディ220は、約80 mm、100 mm、120 mm、140 mm、160 mmの長さ、または他の任意の好適な長さを有してもよい。いくつかの実施形態において、シースボディ220は先細りになっていてもよい。
【0024】
シースボディ220は、シースボディ220の長さ方向に沿って基端部部分202から先端部部分204まで延在しかつ縦軸201に実質的に平行である、第一管腔230を有する。第一管腔230は、シースボディ220の壁224の内面222によって画定される。シースボディ220は直径208を有し、第一管腔230は直径226を有する。シースボディ220の先端部部分204は、テーパー面260と、第一管腔230と流体連絡する第一開口部270とを含む。テーパー面260は、11 Frから15 Frまで(3.667 mmから5 mmまで)漸変した外径を有する。テーパー面260の外径が漸変していることにより、経皮ポンプと挿入部位との間のギャップを充分に塞ぐため、再配置用シース200を必要に応じてさまざまな挿入深さまで挿入できる可能性がある。再配置用シース200のテーパー面260は、ユーザーが、(動脈切開部内に進められるテーパー面260の長さによって制御される)さまざまな直径で、動脈切開部をより良好に密封することを可能にしうる。ユーザーは、にじみ/出血が止まるまで再配置用シース200のテーパー面260を進めてもよい。動脈切開部のサイズは、例えば石灰化、瘢痕組織、脈管サイズ、および弾性などに応じて、患者ごとにさまざまである。再配置用シース200のテーパー面260は、動脈切開部の密封を必要に応じてカスタム化することを可能にする。第一管腔230は、図1の経皮ポンプ100の一部分が通過するのを可能にするように寸法が決定され、第一管腔230の直径226はポンプボディ120の直径150より大きい。加えて、第一管腔230の直径226は、ポンプヘッド130の直径140より小さい。ハブ210は再配置用シース200の基端部部分202に位置し、かつ、第一管腔230と流体連絡する通路212を有する。通路212は、その出願の全内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第15/245,982号「Hemostatic Valve for Medical Device Introducer」に説明されるような止血弁など、弁216を伴って構成されている。通路212および弁216は、図1の経皮ポンプ100などの機械的補助デバイスの少なくとも一部分が、再配置用シース200内を通過することを許容する。シースボディ220は、血管開口部に対する応力を低減するため、ポリエーテルブロックアミドまたは他の任意の好適なポリマーなどの可撓性材料で作られてもよい。材料は、具体的な医療手技に関する剛性要件に適うように選択されてもよい。
【0025】
シースボディ220の外面206は、再配置用シース200を脈管構造内に挿入/脈管構造から除去する際の摩擦力を低減するため、親水性コーティングまたは他の任意の好適なコーティングでコーティングされてもよい。シースボディ220の先端部分のみがコーティングされてもよく、または、コーティングがシースボディ220の外面206を完全に覆ってもよい。親水性コーティングはまた、血管壁に対する付着も防止しうる。そうした付着は、シースが、長期間(例えば何日間も)にわたって血管内にあった後に除去されると、脈管を損傷させる可能性がある。血管壁への付着のリスクは、手技の持続時間の増大に伴って増大しうる。いくつかの実施形態において、再配置用シースボディ220の壁224の外面206は、感染リスクを防止または低減するため抗菌性コーティングまたは他の任意の好適なコーティングを含む。加えて、いくつかの実施形態において、第一管腔270の内面222および第二管腔280の内面が、感染リスクを防止または低減するため抗菌性コーティングまたは他の任意の好適なコーティングを含む。さらなる実施形態において、シースボディ220の外面206は深さマーキングを含む。深さマーキングは外面206上にパッド印刷またはレーザーエッチングされてもよい。特定の実施形態において、深さマーキングは放射線不透過性である。深さマーキングの単位は、センチメートル、インチ、ミリメートル、もしくは他の任意の好適な測定単位、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0026】
特定の実施形態において、シースボディ220は、その出願の全内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第14/827,741号「Dual Lumen Sheath for Arterial Access」において説明されているデュアル管腔シースにおける第二管腔などの、第二管腔250を有してもよい。第二管腔250は、シースボディ220の長さ方向に沿って基端部部分202から先端部部分204まで延在する。第二管腔250は、シースボディ220の壁224内に位置し、かつ、縦軸201からオフセットされかつ実質的にこれと平行である。第二管腔250は、シースボディ220の先端部部分204のテーパー面260上に開口部280を有する。開口部280は第二管腔250と流体連絡する。特定の実施形態において、ハブ210は、第二管腔250と流体連絡する第一ポート240を有する。第一ポート240には弁(図には示していない)が付けられる。
【0027】
さらに、特定の実施形態において、再配置用シース200は、シースボディ220の外面206に取り付けられた膨張可能バルーンを有してもよい。膨張可能バルーンは、ハブ210上に位置する第二ポートと流体連絡してもよい。再配置用シース200の挿入中、膨張可能バルーンはつぶれた状態であってもよい。シースの位置を動脈切開部内の特定の挿入深さに固定するため、バルーンが、ハブ210上の第二ポートを介して生理食塩水などの流体または空気で膨張されてもよい。バルーンは、特定の外径に対応する特定の圧力まで膨張されうる、ポリウレタンまたはTeflon材料などの可撓性材料から形成されてもよい。特定の局面において、ハブ上に位置する第一ポートがバルーンポートである。
【0028】
図3に示すように、経皮ポンプ100と再配置用シース200とが統合されて再配置用シースアセンブリ300を形成してもよい。再配置用シース200は、ポンプボディ120が第一管腔230内に配置されるように、経皮ポンプ100のボディ120上に固定される。第一管腔230の直径226はポンプヘッド130の直径140より小さいので、このことは、ポンプヘッド130が第一開口部270の外部に位置し、かつ経皮ポンプ100が使用前に再配置用シース200から外れて自由になることを防ぐように、製造中に経皮ポンプ100と再配置用シース200とを統合することを可能にする。この構成において、ポンプ100は再配置用シース200に対して横方向(図3において矢印Aで示す方向)に動くことができ、これにより、再配置用シース200の先端部204のテーパー面260が患者の大腿動脈の動脈切開部内に差し込まれたときに、経皮ポンプ100を血管内に進めることが可能となる。
【0029】
図4に、特定の実施形態に基づく伸展可能シース400を示す。伸展可能シース400は、基端部分402と、先端部分404と、管腔430とを有する伸展可能ボディ420を具備する。管腔430は開いており、かつ、基端部分402を先端部分404に接続する。伸展可能ボディ420の基端部分402にハブ410が取り付けられる。ハブ410は、管腔430と流体連絡する開口部450を有する。開口部450は、その出願の全内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第15/245,982号に説明されるような止血弁など、弁455を伴って構成されている。開口部450は、再配置用シースアセンブリ300が管腔430内を通過できるよう、シースボディ220の直径208より大きく設計された直径405を有する。いくつかの実施形態において、伸展可能ボディ420は管状であってもよい。
【0030】
伸展可能ボディ420は非伸展時直径425を有する。伸展可能ボディ420は、管腔430内に挿入される物体によって拡大されてもよい。伸展可能ボディ420は、ある程度のコンプライアンスを有する伸展可能材料から作られてもよい。例えば、ポリエステルまたはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのコンプライアント材料が用いられてもよい。特定の実施形態において、伸展可能材料は、コンプライアント材料から作られたメッシュであってもよい。代替的な実施形態において、伸展可能シースボディ420は多孔質材料を具備してもよい。いくつかの実施形態において、伸展可能シースボディ420は、図4Aに示すように、端部がオーバーラップした管状構成になるよう巻かれた、コンプライアント材料のシートを具備してもよい。
いくつかの実施形態において、伸展可能ボディ420の非伸展時直径425はポンプボディ120の直径150より大きくてもよい。伸展可能ボディ420の非伸展時直径425は、経皮ポンプ100が伸展可能シース400に挿入されたときに、ポンプヘッド130を受け入れるため増大されてもよい。再配置用シース200と伸展可能シース400とは、ポンプ100などの経皮的デバイスを進めるための伸展可能アクセスアセンブリを形成する。
【0031】
いくつかの実施形態において、伸展可能シース400は、シースボディ420に取り付けられた膨張可能バルーンを有してもよい。バルーンは、ハブ410上のバルーンポート(図には示していない)を介して生理食塩水などの流体または空気で膨張されてもよい。バルーンは、特定の外径に対応する特定の圧力まで膨張されうる、ポリウレタンまたはTeflon材料などの可撓性材料から形成されてもよい。特定の局面において、ハブ410上に位置するフラッシングポート440がバルーンポートである。
【0032】
特定の実施形態において、ハブ410は、通路442に接続したフラッシングポート440を有する。フラッシングポート440には弁(図には示していない)が付けられる。通路442は管腔430と流体連絡する。したがってフラッシングポート440は、統合型再配置用シース300が伸展可能シース400内に挿入されているときに、伸展可能ボディ420とシースボディ220との間の空間を流体でフラッシングすることを可能にする。任意の種類の係合機構(例えばねじ山、クリップロックなど)を用いて、フラッシングポート440に加圧バッグが接続されてもよい。加圧バッグは、伸展可能ボディ420とシースボディ220との間の空間の開存性を維持し、それにより凝血塊の形成を防ぐため、同空間を流体でフラッシングするために用いられてもよい。そうしたフラッシングは瞬間的または持続的であってもよい。患者体内への液体の流量を調節するため、加圧バッグと組み合わせて注入ポンプが用いられてもよい。例えば、流量は、1 mL/hr、2 mL/hr、5 mL/hr、10 mL/hr、または他の任意の好適な流量に限定されてもよい。ポートはまた、必要ならば血圧の測定を得るために用いられてもよい。代替的に、本明細書におけるいずれかのハブが、フラッシングポートを含まなくてもよい。
【0033】
図5に、伸展可能アクセスアセンブリを用いる方法500を示す。段階S510において、伸展可能シース(例えば図4の伸展可能シース400)が、脈管拡張器(例えば図600の脈管拡張器600)の補助により、挿入部位(例えば図6の挿入部位650)を通って患者体内に挿入される。そうした挿入部位は手術中に作られ、そして、例えばキーホール切開部(key-hole incision)を具備してもよい。
【0034】
段階S520において、ポンプヘッド(例えばポンプヘッド130)と、ポンプボディの一部分(例えばポンプボディ120の一部分)とが、伸展可能シースのハブにおける開口部(例えばハブ410における開口部450)に通される。ポンプヘッドは、伸展可能シースの管腔(例えば伸展可能シース400の管腔430)を通って進む際に、伸展可能ボディ(例えば伸展可能ボディ420)の直径を増大させる。伸展可能ボディは、そのコンプライアントな性質により、ポンプヘッドが伸展可能シースの管腔を通って進められる際にその形状に従う。加えて、患者体内の血圧が伸展可能ボディに圧縮力を及ぼす可能性があり、それは、伸展可能ボディがポンプヘッドの形状に従うことを補助しうる。ポンプヘッドは、伸展可能ボディの先端部分から(例えば、図8に示すように伸展可能ボディ420の先端部分404から)出るまで進められる。ポンプヘッドが伸展可能ボディから出ると、伸展可能ボディの管腔はその非伸展時直径まで実質的に戻る。
【0035】
段階S530において、経皮ポンプが伸展可能ボディの先端部分を過ぎて進められた後、再配置用シース(例えば再配置用シース200)が患者の脈管構造内に進められる。ここで、再配置用シースは経皮ポンプのボディに沿って通され、その際、先端部分が伸展可能シースのハブの開口部(例えば開口部450)内に挿入される。医療従事者は、再配置用シースを伸展可能シース400内に進めるため、再配置用シース200のハブ210を用いてもよい。
【0036】
段階S540において、再配置用シースのハブ(例えばハブ210)が、伸展可能シースのハブ(例えばハブ410)と連結される。そうした連結は、例えばねじ接続、プレスフィット接続、またはクリップロック接続など、任意の種類の係合機構を用いて実現されてもよい。図9に例示するように、伸展可能シースのハブ410は、再配置用シースのハブ210との内部フィットを有する;すなわち、ハブが連結されたとき、伸展可能シースのハブ410は、再配置用シースのハブ210内にフィットする。他の実施形態において(図には示していない)、再配置用シースのハブ210は、伸展可能シースのハブ410との内部フィットを有する;すなわち、ハブが連結されたとき、再配置用シースのハブ210は、伸展可能シースのハブ410内にフィットする。連結されたら、再配置用シース200の第一管腔230が伸展可能シース400の管腔430と流体連絡してもよい。
【0037】
段階S550において、再配置用シースの先端部分(例えば先端部分204)が、伸展可能シースの管腔(例えば管腔430)内から動脈切開部内に進められる。血管における動脈切開部(例えば図10の動脈切開部1020)を塞ぐため、テーパー面(例えばテーパー面260)における漸変部が、必要に応じて望ましい深さまで挿入される。このことは、経皮ポンプと動脈切開部との間のギャップを密封し、そして血液が動脈切開部から流れ出ることを防ぐ。
【0038】
したがって図5の方法500は、再配置用シースが伸展可能シースの管腔内に挿入されているときに、再配置用シースが伸展可能シースと経皮ポンプとの間の空間を満たすことを確実にする。このことは、第二シースと経皮ポンプとの間における血液の蓄積を防止または低減し、それにより血栓形成のリスクを最小化する。
【0039】
図6に、脈管拡張器600を用いた、図4の例示的な伸展可能シース400の、挿入部位内への挿入の斜視図を示す。拡張器600は、伸展可能シース400の基端部分402における開口部450の直径405より小さい直径を有する。挿入部位650への挿入前に、拡張器600が開口部450を通って伸展可能シース内に挿入され、そして、管腔430を通って伸展可能ボディ420の基端部分402から先端部分404まで進められる。拡張器600を伸展可能シース400の管腔430内に挿入すると、伸展可能シース400が拡張器600の形状に従うよう、伸展可能ボディ420の直径425が増大する。図6に示すように、拡張器600は伸展可能シース400内に完全に挿入される。
【0040】
拡張器600の外面は、拡張器600を伸展可能シース400から挿入/除去する際の摩擦力を低減するため、親水性コーティングまたは他の任意の好適なコーティングでコーティングされてもよい。拡張器600の外面はまた、伸展可能シース400および挿入部位650内への挿入を容易にするため、潤滑用ゲルでコーティングされてもよい。図6に示すように、拡張器600が伸展可能シース400内に完全に挿入されたら、図7に示すようにそのアレンジメントが挿入部位650内に挿入される。伸展可能シース400のボディ420が挿入部位650内に挿入されたら、拡張器600が伸展可能シース400から除去される。この時、伸展可能ボディ420は、患者の脈管構造内で非伸展状態まで実質的に戻る。
【0041】
図7に、図4の伸展可能シース内に挿入された、図1の例示的な経皮的医療用デバイスの斜視図を示す。
図示した位置において、伸展可能シース400のハブ410は患者の体外に留まり、一方、伸展可能ボディ420は患者の体内にある。図7はまた、統合型再配置用シース300(この図内では視認できない)が伸展可能シース400を通って患者の脈管構造内に進められることも示している。前述したように、統合型再配置用シース300は、経皮ポンプ100のポンプボディ120上に固定された再配置用シース200を具備する。図7に示すように、ポンプヘッド130は、伸展可能シース400の管腔430を通って進む際に、伸展可能ボディ420の直径を増大させる。ボディ420は、そのコンプライアントな性質により、ポンプヘッド130が管腔430を通って進められる際にその形状に従う。加えて、患者体内の血液750の圧力が伸展可能ボディ420に圧縮力を及ぼす可能性があり、それは、伸展可能ボディ420がポンプヘッド130の形状に従うことを補助すると考えられる。ポンプヘッド130は、図8に示すように、伸展可能ボディ420の先端部分404から出るまで進められる。
【0042】
図8に、図1の経皮的医療用デバイスが図4の伸展可能シースの中を完全に通過した後、図3の例示的な再配置用シースが図4の伸展可能シース内に挿入される、挿入の斜視図を示す。図8は、ポンプヘッド130が伸展可能ボディ420から出たときに、伸展可能ボディ420の管腔430がその非伸展時直径425まで実質的に戻ることを示している。経皮ポンプ100が伸展可能ボディ420の先端部分404を過ぎて進められた後、再配置用シース200が患者の脈管構造内に進められる。再配置用シース200は、先端部分204が伸展可能シース400のハブ410の開口部540内に挿入された状態で、経皮ポンプ100のボディ120に沿って通される。再配置用シースを伸展可能シース400内に進めるため、再配置用シース200のハブ210が用いられてもよい。
【0043】
図9に、図2の再配置用シースが図1の経皮的医療用デバイスに向かって進められ、再配置用シースの基端部上のハブが伸展可能シースの基端部上のハブと連結されたときの、例示的な伸展可能シースアセンブリを示す。
【0044】
図9は、再配置用シース200が伸展可能シース400内にいっぱいまで挿入された後の、伸展可能アクセスアセンブリ900を示す。伸展可能シース400のハブ410と再配置用シース200のハブ210とは連結されている。そうした連結は、例えばねじ接続、プレスフィット接続、またはクリップロック接続など、任意の種類の係合機構を用いて実現されてもよい。いくつかの実施形態において、シースとカテーテルとの間の血液漏出を防ぐため、伸展可能シースと再配置用シースとの間の連結は、止血性であってもよく、かつ、Oリングまたは干渉フィットなど密封用の特徴を伴って設計されてもよい。連結されると、再配置用シース200の第一管腔230が伸展可能シース400の管腔430と流体連絡する。
【0045】
伸展可能アクセスアセンブリ900は、再配置用シース200のために道を空けるために伸展可能シース400を分離または分解する必要がないという点において、従来のピールアウェイ式イントロデューサシースより有利である。そうした分離には力が必要であり、その力は、経皮ポンプ100の位置を不注意でずらす可能性がある。加えて、本開示の統合型伸展可能シースアセンブリは、患者の皮膚上の所定の位置に固定でき、かつ、経皮ポンプを再配置する必要があるときに繰り返し使用できる。
【0046】
図10に、動脈切開部を通って血管内に挿入された、図4の例示的な伸展可能シース400の斜視図を示す。再配置用シース200のハブ210と伸展可能シース400のハブ410とが連結されたら、再配置用シース200の先端部分204が、伸展可能シース400の管腔430内から動脈切開部内に進められる。血管1050における動脈切開部1020を塞ぐため、テーパー面260における漸変部が、必要に応じて望ましい深さまで挿入されてもよい。このことは、経皮ポンプ100と動脈切開部1020との間のギャップを密封し、そして血液が動脈切開部から流れ出ることを防ぐ。伸展可能アクセスアセンブリ900が所定の位置になったら、アセンブリ900を動かす必要なく、必要に応じて経皮ポンプ100(図には示していない)を血管内で再配置できる。このことは、アセンブリ900が患者の身体に対して所定の位置に固定されているときに、ポンプボディ120を再配置用シース200の第一管腔230に沿って基端方向および/または先端方向に単にスライドさせることによって行える。
【0047】
アセンブリ900が所定の位置になったら、再配置用シース200のハブ210が患者に係留されてもよい。前述したように、ハブ210は、ウイング(例えば図9の特徴950)および縫合穴(図には示していない)など、縫合糸を取り付けるための特徴を含んでもよい。縫合穴は、アセンブリ900を安定させるためウイングを患者に縫合することを可能にする。任意の好適な数の縫合穴が用いられてよい。ハブ210はまた、アンビリカルテープまたは縫合糸で脈管グラフトに容易に取り付けられるようにも設計される。このことは、腋窩への挿入時、または脈管グラフトを通してポンプを置くことを必要とする他の任意の挿入時に、有益である。特定の実施形態において、サージカルテープ、STATLOCK(登録商標)安定化デバイス(Bard Access Systems, Inc., Salt Lake City, UT)、または他の任意の好適な付着性の安定化デバイスなど、他の安定化デバイスがハブ210に連結されてもよい。
【0048】
留意されるべき点として、動脈切開部1020の幾何学形状は、流体タイトな密封が形成されないようなものである可能性があり、したがって血管1050から動脈切開部1020外部への血液の滲出につながる可能性がある。そうした幾何学形状は、血管における非円形の開口部など、不均一なものである可能性がある。このことは、望ましくない、血液塞栓および凝血塊の形成につながりうる。本開示に基づき、シース200の伸展可能ボディ220は内部の血圧によって必要に応じて伸展可能であり、ゆえに非円形の動脈切開部に従うことができ、それによって血液の滲出を防ぐことができる。(前述のように)シースボディ220の外面206に取り付けられた膨張可能バルーンを再配置用シース200が有する特定の実施形態において、アセンブリ200を係留するためバルーンが膨張されてもよい。加えて、膨張したバルーンは、伸展可能シースの直径を必要に応じて調整することによって、不規則な動脈切開部からの血液の滲出をさらに抑制してもよい。
【0049】
伸展可能アクセスアセンブリ900内の血栓形成をさらに防ぐ目的で、アセンブリ900内部を流体でフラッシングしてシステムの開存性を維持するため、ハブ410上のポート440が加圧バッグの接続を可能にする。前述したように、任意の種類の係合機構(例えばねじ山、プレスフィット、クリップロックなど)を用いて、これらポートに加圧バッグが接続されてもよい。患者体内への液体の流量を調節するため、加圧バッグと組み合わせて注入ポンプが用いられてもよい。例えば、流量は、1 mL/hr、2 mL/hr、5 mL/hr、10 mL/hr、または他の任意の好適な流量に限定されてもよい。具体的には、伸展可能シース400と再配置用シース200との間の空間が、ポート440を介してアセンブリ内に導入された流体でフラッシングされてもよい。そうしたフラッシングは瞬間的または持続的であってもよい。これら空間を流体でフラッシングすることにより、経皮ポンプ100の挿入経路における血栓形成もまたフラッシングされる。ポートはまた、必要ならば血圧の測定を得るために用いられてもよい。代替的に、ハブがこのポートを含まなくてもよい。
【0050】
特定の実施形態において、再配置用シース200は、ポンプボディ120に固定的に取り付けられる第二ハブ210のみを具備してもよい。そうした構成において、経皮ポンプ100が伸展可能シース400内に挿入されているとき、伸展可能ボディ420はポンプボディ120上に完全につぶれる。固定された第二ハブ210は、ポンプ100を、血管内で配置できるよう患者の脈管構造内で操作することを可能にする。次に第二ハブ210は、ハブが互いに流体連絡するよう、そしてより具体的には、図11に示すように第二ハブ210が伸展可能シース400の管腔430と流体連絡するよう、伸展可能シース400のハブ410に連結される。いくつかの実施形態において、第二ハブ210は、ハブ410が第二ハブ210に連結されているときに伸展可能ボディ420と経皮ポンプ100の前記部分との間の空間と流体連絡する、ポートまたはサイドアームを具備する。そうしたポートは、伸展可能ボディ420と経皮ポンプ100の前記部分との間の空間を流体でフラッシングするために用いられてもよい。代替的に、ポートは血圧の測定に用いられてもよい。
【0051】
他の実施形態において、伸展可能シース400は必要でない。代わりに、再配置用シース200のボディ220が伸展可能であってもよい。このことは、動脈切開部と経皮ポンプ100との間の空隙を満たすため、ユーザーがシースボディ220の直径を合わせることを可能にする。
【0052】
いくつかの実施形態において、図12に示すように、伸展可能アクセスアセンブリ1200は、ピールアウェイ式シース1210など除去可能なコンポーネントを追加的に含む。そうした構成において、ピールアウェイ式シース1210は、引き裂きまたは剥ぎ取りできる剛性のシースである。ここで、剛性シース1210は、伸展可能シース400内部に配置されている間、脈管内に送達するための補剛構造(stiffening structure)として作用する。次に剛性シース1210は、患者に対する医療用デバイス100の位置を乱すことなく剥ぎ取られる。剛性シース1210が剥ぎ取られたら、次に、脈管における開口部を満たすため、再配置用シース200が医療用デバイス100のボディ120に沿って進められてもよい。
【0053】
加えて、アセンブリ900が患者の脈管構造内の所定の位置にあるとき、再配置用シース200の第二管腔250を通るガイドワイヤアクセスもまた可能である。
【0054】
以上に照らして、本開示が、患者に係留された統合型伸展可能シース内の所定の位置に機械的補助デバイスを固定し、これにより、同デバイスがいったん心臓内に挿入されたらその移動を防ぐための手段を提供することが、明白になるであろう。
【0055】
以上は本開示の原理を例示するものにすぎず、本発明のシステム、方法、およびデバイスは、本明細書に説明した態様以外によっても実施されうる;本明細書に説明した態様は、限定ではなく例示の目的で提示されたものである。理解されるべき点として、本明細書に開示するシステム、方法、およびデバイスは、経皮的心臓ポンプ用のシステムにおける使用について示したが、他の植込み型心臓ポンプまたは植込み型心臓補助デバイス用のシステム、方法、およびデバイスに適用されてもよい。
【0056】
当業者には、本開示の検討後にバリエーションおよび改変が考えられるであろう。以上に説明または例示したさまざまな特徴は、その任意のコンポーネントも含めて、他のシステムに組み合わせまたは統合されてもよい。さらに、特定の特徴が省略されるかまたは実施されなくてもよい。以上に説明または例示したさまざまな実施形態は、任意の様式で組み合わせられてもよい。
【0057】
変更、置換、および改変の例は当業者によって確認可能であり、かつ、本明細書に開示する情報の範囲から逸脱することなく行われうる。本明細書に挙げるすべての参照物は、その全体が参照により組み入れられ、かつ、本出願の一部をなす。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12