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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
   B42F 17/08 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
B42F17/08 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023081642
(22)【出願日】2023-05-17
【審査請求日】2023-05-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523183943
【氏名又は名称】杉田 文枝
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 文枝
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-110981(JP,U)
【文献】特開2014-133306(JP,A)
【文献】特開平10-324086(JP,A)
【文献】実開昭61-022671(JP,U)
【文献】実開昭60-154175(JP,U)
【文献】特開昭62-253498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 17/00
B42F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダ部と箱体を備え、
ホルダ部は、複数のホルダユニットが連結されたものであり、
ホルダユニットは、収納される収納物に当接する表当接面部とそれに隣接する裏当接面部に加え、裏当接面部に接続する保形性のあるスペーサ部で構成されており、
表当接面部、裏当接面部、スペーサ部の順に配置されるユニットであり、
表当接面部と裏当接面部の間には、折り畳み部があり、折り畳まれることで表当接面部と裏当接面部が互いに向かい合うように配置されており、
スペーサ部の一端は次に連結されるホルダユニットにある表当接面部と山折りになるよう曲折自在に接合しているものであり、収納物を箱体内に収納する際は山折りが緩む方向に動き鈍角に開き箱体内に収まるものであり、収納物を引き出す際は、スペーサ部の一端の山折りが閉じる方向に動きスペーサ部の一端の角度が変わるものであり、
スペーサ部の他端は裏当接面部の端部と山折りになるよう曲折自在に接合しているものであり、収納物を箱体内に収納する際は山折りが閉じる方向に動き、スペーサ部と裏当接面部が鋭角となって折り畳まれているが、収納物を引き出す際は、スペーサ部の一端の動きと併せて山折りが開く方向にスペーサ部の角度を変えるものであり、
箱体は、表当接面部とそれに隣接する裏当接面部に挟まれて収納される収納物が箱体の開口側から取り出せるようにホルダ部を収めており、
ホルダ部の一側の端部は、箱体に固定されており、
ホルダ部の他側の端部は、引き出し把手が設けられており、引き出し把手は、収納物を箱体の開口からホルダ部の他端の端部を引き出す側に設けられていることを特徴とする収納装置。
【請求項2】
ホルダ部の他側の端部にあるホルダユニットのみ、スペーサ部が設けられておらず、ホルダユニットの裏当接面部に引き出し把手部が接合されていることを特徴とする請求項1記載の収納装置。

【請求項3】
ホルダ部の一側の端部は、箱体に固定されているものであり、その固定は、ホルダ部の一側の端部にあるホルダユニットの表当接面部が、固定面部に接続されており、固定面部が箱体に固定されている請求項1記載の収納装置。
【請求項4】
ホルダ部は2セット以上あり、箱体は、2セット以上のホルダ部を収めている請求項1記載の収納装置。
【請求項5】
ホルダ部の他側の端部は、引き出し把手部になっている請求項1記載の収納装置。
【請求項6】
引き出し把手部は、箱体を覆う蓋部を兼ねている請求項5記載の収納装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリペイドカード、ポイントカードやクレジットカード、メモリーカード、書類などを収納する収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者が所持するポイントカードやクレジットカード、書類などのカード類は著しく増加している。消費者は、所有しているカード類をレジなどで提示することが求められることがある。カード類や書類の所有者は、多数枚のカード類の中から目的とするカード類や書類を探し出し、取り出すのに時間を要している。
以下、カード類は、その取り出す方向を「上」として説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3206018号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような課題を解決するために、特許文献1のように、カードの上下寸法方向にポケットを階段状に設けたカードホルダが開発されている。しかし、ポケットを多くすればするほど、カードホルダの上下寸法は大きくなるため、ポケットの数は制限を受けていた。また、皮革製のカードホルダなどでは、皮革でポケットを作るために、その分、ポケットを作れば作るほどカードホルダの厚さが厚くなるという問題が生じており、ポケット数は制限を受けていた。
本発明は、多数枚のカード類の中から所望のカードを取り出しやすくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ホルダ部と箱体を備え、
ホルダ部は、複数のホルダユニットが連結されたものであり、ホルダユニットは、収納される収納物に当接する表当接面部とそれに隣接する裏当接面部に加え、裏当接面部に接続する保形性のあるスペーサ部で構成されており、表当接面部、裏当接面部、スペーサ部の順に配置されるユニットであり、表当接面部と裏当接面部の間には、折り畳み部があり、折り畳まれることで表当接面部と裏当接面部が互いに向かい合うように配置されており、スペーサ部の一端は次に連結されるホルダユニットにある表当接面部と山折りになるよう曲折自在に接合しているものであり、収納物を箱体内に収納する際は山折りが緩む方向に動き鈍角に開き箱体内に収まるものであり、収納物を引き出す際は、スペーサ部の一端の山折りが閉じる方向に動きスペーサ部の一端の角度が変わるものであり、スペーサ部の他端は裏当接面部の端部と山折りになるよう曲折自在に接合しているものであり、収納物を箱体内に収納する際は山折りが閉じる方向に動き、スペーサ部と裏当接面部が鋭角となって折り畳まれているが、収納物を引き出す際は、スペーサ部の一端の動きと併せて山折りが開く方向にスペーサ部の角度を変えるものであり、箱体は、表当接面部とそれに隣接する裏当接面部に挟まれて収納される収納物が箱体の開口側から取り出せるようにホルダ部を収めており、ホルダ部の一側の端部は、箱体に固定されており、ホルダ部の他側の端部は、引き出し把手が設けられており、引き出し把手は、収納物を箱体の開口からホルダ部の他端の端部を引き出す側に設けられていることを特徴とする収納装置とすることで課題を解決した。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、カード類所有者が、箱体(ケース)に収容される多数枚のカード類の中から所望のカードを取り出しやすくなった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施例の収納装置の斜視図である。
図2図2は、ホルダ部の説明図である。図2(A)はホルダ部展開図である。また、図2(B)はホルダユニット部分拡大図である。
図3図3(A)は、図1に付したA-A間の縦断面図である。また、図3(B)は、図3(A)に付した枠B内拡大図である。図3(C)は、図3(A)に付した枠C内拡大図である。
図4図4は、使用者が引き出し把手部を掴み、上方に引き上げる動作を開始した直後の収納装置の縦断面図である。
図5図5は、図4に付した枠D内の拡大図である。
図6図6は、引き出し把手部を最後まで引き上げた状態の収納装置の縦断面図である。
図7図7は、カード類を密に詰めた時の説明図である。
図8図8は、引き出し把手部を図6の状態よりさらに引き上げた状態の収納装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0009】
本発明の収納装置1は、カード類9以外に書類なども収納できるものである。実施例は、カード類9を収納する収納装置1として説明をする。
(実施例)
図1は、実施例の収納装置1の斜視図である。収納装置1は、大きく分けて箱体(ケース)2とホルダ部3で構成されている。図1は、説明のためカード類9を図示しておらず、空の状態の収納装置1を図示している。
【0010】
(蓋部)
実施例は、箱体(ケース)2を覆う部材として蓋部8を有する。蓋部8は、ホルダ部3と連続する部材であり、後述する引き出し把手部6の役割も果たすものである。
蓋部8は、留め金を構成する留め金突起部61が設けられており、また、箱体(ケース)2は、留め金を構成する留め金凹部23を有する。
留め金(61・23)は、留め金突起部61と留め金凹部23が係合する方式となっている。箱体(ケース)2は蓋部8で覆われ、留め金(61・23)で留めることで、箱体(ケース)2内に収容されるカード類9が箱体(ケース)2から飛び出すことを防いでいる。
実施例は、引き出し把手部6が、箱体(ケース)2を覆う蓋部8を兼ねている態様である。引き出し把手部6と蓋部8は、兼用される部材である必要はなく、各々別部材として設けられてもよい。また、収納装置1は、収納するカード類9を名刺にするなど机の上で使う目的でも使うことができる。机の上の収納装置1は、振動などでカード類9が箱体(ケース)2から飛び出す懸念は無く、蓋部8を設けない態様もあり得る。
【0011】
箱体(ケース)
実施例の箱体(ケース)2は、合成樹脂、厚紙、板金などで作られるハードな材料で作られている。しかし、箱体(ケース)2は、布や皮革などソフトな材料で作られていてもよい。ソフトな材料で作られている収納装置1は、衣服のポケットなどに入れるのに適しており、ハードな材料で作られている収納装置1は、机や自動車の小物入れなどに入れて使うのに適している。
箱体(ケース)2の材料は、使用目的等を考慮して適宜決めることができる。
箱体(ケース)2の内部に収容するものは、カード類9であることから、箱体(ケース)2の外観は方形であることが好ましい。
収納装置1は、鞄のパーツとして組み込むことも可能である。
このように、収納装置1の使用態様により、箱体(ケース)2に使われる材料や形状は大きく変わり得る。
【0012】
箱体(ケース)2の前面上部は切欠き部24が設けられている。実施例は、この切欠き部24の位置を、箱体(ケース)上端21として説明する。切欠き部24の位置は、ホルダ部3を箱体(ケース)2内に収納した時、ホルダ部3の上端が隠れる程度であることが好ましい。ホルダ部3に収められたカード類9は、切欠き部24(箱体(ケース)上端21)で隠されるように収納されていてもよいし、切欠き部24からカード類9の上端が見えるように収納されていてもよい。
切欠き部24の位置は、カード類9の見え具合などにより適宜決められる。
なお、実施例は、切欠き部24を箱体(ケース)2に設けた態様であったが、切欠き部24を設けない変形例もあり得る。
【0013】
(ホルダ部)
図1に図示されているように、ホルダ部3は、箱体(ケース)2に収納されている。図2は、ホルダ部3の説明図である。図2(A)はホルダ部3の展開図である。図2(A)に図示されているとおり、ホルダ部3は、複数のホルダユニット4が連結されたものである。図2(B)はホルダユニット4の部分拡大図である。
【0014】
ホルダ部3の一側の端部は、箱体(ケース)2に固定されている。実施例の態様は、ホルダ部3の一側の端部にある最も手前側にあるホルダユニット4Aの表当接面部41が、スペーサ部44介して、固定面部42に接続されており、固定面部42が箱体(ケース)2に固定されている。なお、固定面部42は、スペーサ部44を介さずに直接表当接面部41と接続していてもよい。さらに、変形例として、最も手前側にあるホルダユニット4Aに固定面部42とスペーサ部44を設けず、表当接面部41を直接箱体(ケース)2に接着固定してもよい。
【0015】
ホルダ部3の最も奥側にあるホルダユニット4Zは、スペーサ部44が設けられておらず、引き出し把手部6が接合されている。実施例の態様は、引き出し把手部6が蓋部8を兼用しており、図1に図示されているように、箱体(ケース)2の上部を覆っている。引き出し把手部6(蓋部8)の先端は、留め金突起部61が取り付けられている。
【0016】
実施例のホルダ部3は、最も手前側にあるホルダユニット4Aから最も奥側にあるホルダユニット4Zまで、5つのホルダユニット4が連結されたものである。一つのホルダユニット4は、表当接面部41、裏当接面部43及びスペーサ部44の順に配置されるユニットである。表当接面部41と裏当接面部43は、折り畳み部431で谷折りに折り畳まれる。折り畳まれることで、表当接面部41と裏当接面部43は、互いに向かい合うように配置される。そして、折り畳まれた表当接面部41と裏当接面部43の間の空間は、カード類9が挟まれる空間になる。なお、ここで、「表」・「裏」と表現したのは説明のためであり、カード類9の表面と裏面を意味するものではない。表当接面部41と裏当接面部43は、本来どちらが表となろうが裏となろうが意味は無く、本明細書の説明の都合上、「表」と「裏」を決めたものに過ぎない。
なお、実施例の折り畳み部431は、実際に折れ線で折り畳まれたものである。折り畳み部431は、表当接面部41と裏当接面部43は、互いに向かい合うように配置するためのものであり、きちんとした折れ線で折り畳まれている必要はない。折り畳み部431は、折れ目が無くてもよい。
【0017】
展開図である図2から分かるように、表当接面部41と裏当接面部43の間は、折り畳み部431があり、カード類9が入るように谷折りに折られる。裏当接面部43とスペーサ部44は、スペーサ部44の一端441で山折りに折られる。さらに、スペーサ部44と次に連結されるホルダユニット4の表当接面部41は、スペーサ部44の他端442で山折りに折られる。
【0018】
(変形例1)
実施例は、折り畳み部431、スペーサ部44の一端441及びスペーサ部44の他端442で折り畳まれる態様として説明した。変形例1は、表当接面部41、裏当接面部43及びスペーサ部44のそれぞれは、ジョイントを介して接合されている態様である。山折りや谷折りになるよう、ジョイントが曲がる態様である。
本発明のホルダ部3は、折り紙のように一枚のシートが折られている必要はない。
また、表当接面部41と裏当接面部43を繋ぐ折り畳み部431は、カード類9を保持する役割だけを果たすため、大きく開いたり閉じたりできる必要はない。
【0019】
(カード類の収納状態のホルダ部)
図3(A)は、図1に付したA-A間の縦断面図である。また、図3(B)は、図3(A)に付した枠B内拡大図である。図3(C)は、図3(A)に付した枠C内拡大図である。
図3(A)は、カード類9の収納状態のホルダ部3がどのように折り畳まれて箱体(ケース)2に配置されている図示している。
実施例は、2セットのホルダ部3を一つの箱体(ケース)2に収納した態様であり、図3(A)の右側のホルダ部3について説明を行う。
【0020】
ホルダユニット4は、表当接面部41と裏当接面部43が折り畳み部431で谷折りに折り畳まれている。折り畳まれることで表当接面部41と裏当接面部43は、互いに向かい合うように配置されている。カード類9は、折り畳み部431で折り畳まれた表当接面部41と裏当接面部43の間の空間に挟まれて、収納装置1内に収められる。
【0021】
実施例の折り畳み部431は、図3(C)に図示されているように平坦な底部45になっており、カード類9が厚い場合や、複数枚のカード類9を一つの底部45に収める場合にカード類9がきちんと収まるように配慮されている。
ポイントカードなど、非常に薄いカード類9を収める場合は、平坦な底部45が無くても収めることができる。当業者は、収めるカード類9の厚さ等を考慮して、折り畳み部431を平坦な底部45に形成するか否かを決めることができる。
【0022】
スペーサ部44の一端441は次に連結されるホルダユニット4の表当接面部41と山折りになるよう曲折自在に接合しているものであり、カード類9を箱体(ケース)2内に収納する際は山折りが開く方向に動き鈍角に開き箱体(ケース)2内に収まっている。
なお、ホルダユニット4は、複数ユニット連結されているため、ホルダユニット4の表当接面部41は、前に連結されるホルダユニット4のスペーサ部44の一端441と山折りになるよう曲折自在に接合しているとも考えることができる。
さらに、ここでいう「鈍角」とは、180°開いている場合も包含している。
【0023】
スペーサ部44の他端442はホルダユニット4にある裏当接面部43の端部と山折りになるよう曲折自在に接合しているものである。カード類9を箱体(ケース)2内に収納する際は山折りが閉じる方向に動き、スペーサ部44と接面部4が鋭角となって折り畳まれている。
【0024】
以上のように、ホルダ部3にある各ホルダユニット4が折り畳まれていることで、ホルダ部3の手前側から奥側にかけての幅は、コンパクトになり、箱体(ケース)2に収納される。
【0025】
(収納状態のカード類)
図3(A)及び図3(B)に図示したように、カード類9は、各ホルダユニット4にある表当接面部41と裏当接面部43の間に挟まれて収納される。実施例では、表当接面部41と裏当接面部43の上下寸法は、ほぼカード類9の上下寸法と同じになっている。実施例の収納装置1は、カード類9を表当接面部41と裏当接面部43の間に挟み収納すると、カード類9が丁度納まり、見えないようになっている。
【0026】
(変形例2)
変形例2は、表当接面部41と裏当接面部43の上下寸法を、カード類9の上下寸法より短く構成した態様である。このようにすると、カード類9の上端は、表当接面部41と裏当接面部43より上に飛び出てホルダ部3に収納される。
変形例2は、カード類9の上端が見えるため、収納装置1の使用者は、収納状態のままでもある程度のカード類9の選別が可能となる。
【0027】
(引き出し動作)
図4は、使用者が引き出し把手部6を掴み、上方に引き上げる動作を開始した直後の収納装置1の縦断面図である。また、図5は、図4に付した枠D内の拡大図である。
使用者は、蓋部8を開き、引き出し把手部6を兼ねている蓋部8をつまんで上方に引き上げる動作を行う。引き出し把手部6は、ホルダ部3の他側の端部(奥側の端部)。ホルダ部3の最も手前側にあるホルダユニット4Aは、表当接面部41と裏当接面部43が存在せず、スペーサ部44の一端441は固定面部42に接続されている。カード類9の引き出しは、最も手前側にあるホルダユニット4Aから開始される。
ホルダ部3は、引き出し把手部6を引き上げる動作に伴い、全体的に上に引きあがるように動き出す。底部45は全体的に持ち上がるが、最も手前側にあるホルダユニット4Aの底部45は、固定面部42を介して箱体(ケース)2と接着固定されているため動くことができない。
【0028】
最も手前にあるホルダユニット4Aのスペーサ部44の一端441は、カード類9を箱体(ケース)2内に収納する際は山折りが緩む方向に動き鈍角に開き箱体(ケース)2内に収まっている状態にある。
カード類9を引き出す際は、スペーサ部44の一端441の山折りが鈍角から閉じる方向に動きスペーサ部44の一端441の角度が変わる。図4は、略直角になるまで一端441の角度が変わっているように図示されているが、一端441の鈍角がやや鈍角が閉じた方向に動く程度で止まることがある。このような現象は、ホルダ部3の各ホルダユニット4に多数のカード類9を収めた場合に起きやすい。スペーサ部44の一端441が鈍角から閉じる方向に動くと、スペーサ部44は水平方向に開いてゆく。箱体(ケース)2内に、多数のカード類9が収められた結果、スペーサ部44が水平方向に動くゆとりが無くなり、鈍角がやや鈍角が閉じた方向に動く程度で止まるからである。
【0029】
最も手前にあるホルダユニット4Aのスペーサ部44の他端442は、一端441が開く方向に動くのと同時に動き出す。前述したようにスペーサ部44は、固定面部42に接続されており、固定面部42が箱体(ケース)2と固定されているため動くことができない。
収納時、スペーサ部44と当接面部4は、鋭角に折り畳まれて箱体(ケース)2内に収められているが、カード類9を引き出す際は、鋭角に山折り折られた他端442は、一端441の動きと併せて山折りが開く(緩む)方向にスペーサ部44の角度を変えて行く。図4は、その様子を一端441が略90°に開いているように図示している。以下、このスペーサ部44が水平に開いている様子を「スペーサ部44が開く」と表現する。
【0030】
使用者が引き出し動作を継続すると、最も手前にあるホルダユニット4Aの隣にある2番目のホルダユニット4Bが引き上がり始める。このとき、2番目のホルダユニット4Bの底部45は、最も手前にあるホルダユニット4Aのスペーサ部44が開いた分、上に引きあがる。2番目のホルダユニット4Bの表当接面部41と裏当接面部43の間に挟まれたカード類9の上端は、最も手前にあるホルダユニット4Aの開いたスペーサ部44より上に飛び出る。使用者は、カード類9の上端を見ることができ、カード類9の種類を特定することができる。
【0031】
(連鎖)
上述したスペーサ部44が開く動作は、3番目のホルダユニット4Cに連鎖し、3番目
のホルダユニット4Cの表当接面部41と裏当接面部43の間に挟まれたカード類9の上
端は、2番目のホルダユニット4Bの開いたスペーサ部44より上に飛び出る。
この一連のホルダユニット4の動きは、最後のホルダユニット4まで続く。
【0032】
図6は、引き出し把手部6を最後まで引き上げた状態の収納装置1の縦断面図である。
各ホルダユニット4のスペーサ部44が水平に開き、各ホルダユニット4のスペーサ部44があたかも階段状に並ぶ。カード類9の上端部は、開いたスペーサ部44から上に飛び出る。使用者は、飛び出たカード類9の上端部から、探しているカード類9を特定できる。
【0033】
(変形例3)
図6の最も奥側にあるホルダユニット4Zは、底部45が広い底部46になっている。
広い底部46は、表当接面部41と裏当接面部43に挟まれるカード類9の枚数を増やすことを可能とする。広い底部46に収容されるカード類9は、複数枚になるため、最も手前側のカード類9しか見えないが、使用者はカード類9をめくることで裏に隠れたカード類9を見ることができる。
【0034】
(カード類を密に詰めた場合)
図7は、カード類9を密に詰めた時の説明図である。
使用者は、所有するカード類9が増えてくると、複数枚のカード類9を一つのホルダユニット4に重ねて収納するなど、多数のカード類9を収納装置1に収納してしまうことがある。多数のカード類9が箱体(ケース)2に収められると、スペーサ部44を開くゆとりが消失する。
ホルダ部3の基部が多数詰められたカード類9により密に詰まっていたとしても、箱体(ケース)上端21より上に飛び出したホルダ部3の上部は図7のように扇型に開くことができるので、スペーサ部44が開くゆとりを作ることができる。
【0035】
(変形例4)
図6の状態のスペーサ部44は階段状になり、ホルダ部3の手前から奥へ幅が広がるため、ホルダ部3にカード類9を多数収納した場合、広がりにくいことがあった。
そんなとき使用者は、図6の状態からさらに引き出し把手部6を引き上げることができる。図8は、引き出し把手部を図6の状態よりさらに引き上げた状態の収納装置1の縦断面図である。
使用者は、変形例4のように、引き出し把手部6を引き上げると、階段状に開いていたスペーサ部44が閉じることになる。これをより詳しく説明する。収納時鈍角であったスペーサ部44の一端441は、表当接面部41とスペーサ部44が互いに、一端441が鋭角になるまで引き上げられる。
それと同時に、スペーサ部44の他端442は、収納時鋭角であったスペーサ部44が開くように動く。収納時鋭角であったスペーサ部44の他端442は、180°近くまで鈍角になる。
ホルダ部3の手前から奥へ幅は狭まり、たとえ多数枚のカード類9をホルダ部3に収めるようなことがあっても、ホルダ部3を傾斜上に展開することが可能となる。
ただし、この場合、カード類9はスペーサ部44の上端からさほど飛び出ることが無くなる。
使用者は、状況に応じて、引き出し把手部6を引き上げる程度を加減できる。
【0036】
(ホルダ部の材質)
スペーサ部44は、階段状に開くことが要求されるため、保形性のある硬質な材料であることが好ましい。スペーサ部44は、硬質合成樹脂などが使われる。
表当接面部41と裏当接面部43は、共に硬質な材料または共に柔軟な材料で構成されていてもよい。さらに、表当接面部41と裏当接面部43は、いずれか一方のみが硬質な材料であり、他方が柔軟なシートで構成されていてもよい。
【0037】
(引き出し把手部)
実施例は、引き出し把手部6と蓋部8を一体とした例であった。本発明は引き出し把手部6があればよく、蓋部8は必ずしも必要とされない。
【0038】
(カード類)
実施例は、カード類9を収納する収納装置1であった。本発明の収納装置1の収納物はカード類9に限らない。収納物は、書類でもよいし、パネルなどでもよい。
【0039】
以上、実施例、変形例を説明してきたが、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 収納装置
箱体(ケース)
21 箱体(ケース)上端
23 留め金凹部
24 切欠き部
3 ホルダ部
4 ホルダユニット
4A 最も手前側にあるホルダユニット
4B 2番目のホルダユニット
4C 3番目のホルダユニット
4Z 最も奥側にあるホルダユニット
41 表当接面部
42 固定面部
43 裏当接面部
431 折り畳み部
44 スペーサ部
441 一端
442 他端
45 底部
46 広い底部
6 引き出し把手部
61 留め金突起部
8 蓋部
9 カード類
【要約】
【課題】所望のカードを取り出しやすくすること。
【解決手段】ホルダ部とケースを備え、スペーサ部の一端は次に連結されるホルダユニットにある表当接面部と山折りになるよう曲折自在に接合しているものであり、収納物をケース内に収納する際は山折りが緩む方向に動き鈍角に開きケース内に収まるものであり、収納物を引き出す際は、スペーサ部の一端の山折りが閉じる方向に動きスペーサ部の一端の角度が変わるものであり、スペーサ部の他端は裏当接面部の端部と山折りになるよう曲折自在に接合しているものであり、収納物をケース内に収納する際は山折りが閉じる方向に動き、スペーサ部と表当接面部が鋭角となって折り畳まれているが、収納物を引き出す際は、スペーサ部の一端の動きと併せて山折りが開く方向にスペーサ部の角度を変えるものであり、ケースは、ホルダ部を収めており、ホルダ部の一側の端部は、ケースに固定されている。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8