(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】手摺ベルト除菌システム
(51)【国際特許分類】
B66B 31/02 20060101AFI20240207BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
B66B31/02 A
B66B31/00 C
(21)【出願番号】P 2023100351
(22)【出願日】2023-06-19
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】澤村 和也
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特表2023-534503(JP,A)
【文献】特開2014-122119(JP,A)
【文献】特開2013-6642(JP,A)
【文献】特開2012-82051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 31/02
B66B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
欄干の周囲を周回走行する手摺ベルトを備えた乗客コンベアのための手摺ベルト除菌システムであって、
前記手摺ベルトの周回毎の前記乗客コンベアへの乗客の乗り込み人数を検出する検出部と、
前記手摺ベルトに対面して配置され、前記手摺ベルトを除菌する除菌部と、
前記手摺ベルトの除菌率を推定し、推定された除菌率に基づいて前記除菌部の出力を制御する除菌制御部と、
を備え、
前記除菌制御部は、前記乗客コンベアへの乗客の乗り込みがあった前記手摺ベルトの周回での前記乗り込み人数と、当該周回後の前記手摺ベルトの周回数と、に基づいて、前記手摺ベルトの除菌率を推定する、手摺ベルト除菌システム。
【請求項2】
前記手摺ベルトは、当該手摺ベルトの走行方向に連なる複数のベルト要素を含み、
前記手摺ベルトの軌道は、前記除菌部と対面する領域である除菌領域を含み、
前記ベルト要素の除菌率の初期値及び当該初期値よりも低い下限値が定められており、
前記除菌制御部は、前記乗客コンベアへの乗客の乗り込みがあった時、前記乗客コンベアに乗り込んだ各乗客に前記複数のベルト要素のいずれかを割り当て、前記乗客に割り当てられたベルト要素の除菌率が、前記下限値から当該乗客が前記乗客コンベアに乗り込んだ後に当該ベルト要素が前記除菌領域を通過した回数に応じて回復するものと推定し、推定されたベルト要素の除菌率に基づいて前記手摺ベルトの除菌率を推定する、請求項1に記載の手摺ベルト除菌システム。
【請求項3】
前記除菌制御部は、乗客に割り当てられていないベルト要素の除菌率、及び、除菌率が前記初期値まで回復した後に乗客に割り当てられていないベルト要素の除菌率が、前記初期値に維持されるものと推定して、前記手摺ベルトの除菌率を推定する、請求項2に記載の手摺ベルト除菌システム。
【請求項4】
前記除菌部は、紫外線を前記手摺ベルトに照射するものであり、
前記除菌制御部は、前記除菌部の紫外線照度を制御する、請求項1に記載の手摺ベルト除菌システム。
【請求項5】
前記除菌部は、前記手摺ベルトに除菌液を塗布するものであり、
前記除菌制御部は、前記除菌部による前記手摺ベルトへの除菌液の塗布量を制御する、請求項1に記載の手摺ベルト除菌システム。
【請求項6】
前記除菌制御部は、前記手摺ベルトの前記除菌率が所定の値以上である場合、前記手摺ベルトの前記除菌率が前記所定の値未満である場合よりも前記除菌部の出力が低くなるように、前記除菌部を制御する、請求項1に記載の手摺ベルト除菌システム。
【請求項7】
前記除菌制御部は、前記手摺ベルトの除菌率Rnを、乗客が前記乗客コンベアに乗り込んだ後に当該乗客に割り当てられたベルト要素が前記除菌領域を通過した回数をkとして、下記数式(1)又は(2)に従って推定する、請求項2に記載の手摺ベルト除菌システム。
【数1】
ここで、上記数式(1)及び(2)中、
mは、前記ベルト要素の総数であり、
qは、0を含まない自然数であり、
R
0は、正の定数であり、
αは、正の定数であり、
P
k及びP
n-j+1は、それぞれ、前記乗客コンベアが就役を開始してから数えて前記手摺ベルトのk周目及びn-j+1周目で前記乗客コンベアへ乗り込んだ乗客の人数であり、
B
kは、前記乗客に割り当てられた前記ベルト要素の、乗客に割り当てられた後に前記除菌領域をk度目に通過する際の除菌率の回復値である。
【請求項8】
前記検出部は光電センサ、赤外線センサ、マイクロ波センサ又はカメラを含む、請求項1に記載の手摺ベルト除菌システム。
【請求項9】
前記検出部は、前記手摺ベルトと同期して周回する踏段を駆動するモータの負荷電流値を測定する測定器を含む、請求項1に記載の手摺ベルト除菌システム。
【請求項10】
前記乗客コンベアは、エスカレータ又は動く歩道である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の手摺ベルト除菌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、手摺ベルト除菌システムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアでは、乗客の転倒などを防止するため、乗客が手摺ベルトをしっかり握ることが望まれている。その一方で、乗客コンベアは不特定多数の人が利用するものであるため、手摺ベルトを介して細菌やウィルスが乗客から他の乗客に感染する虞がある。このため、手摺ベルトを除菌あるいは殺菌することが望まれる。
【0003】
特許文献1には、手摺ベルトを殺菌する殺菌装置を備えた乗客コンベアが開示されている。特許文献1の殺菌装置は、乗客コンベアの運転スイッチが投入されると作動し、手摺ベルトの殺菌処理を行う。一方、特許文献1の殺菌装置は、乗客コンベアのスイッチを切ると停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、手摺ベルトを除菌あるいは殺菌する除菌装置は、その出力の大きさに応じた製品寿命を有する。除菌装置を高出力のまま使うと、高い除菌効果が得られる一方で、製品寿命が短くなる。例えば、手摺ベルトに紫外線を照射する除菌部を備えた除菌装置では、除菌部を高出力で使う場合、除菌部の累積作動時間が10,000時間を超えると、充分な除菌効果を得ることが難しくなる。この結果、除菌部の交換や修理が必要になる。一般に除菌部は高価であるため、除菌部の長寿命化が望まれている。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、手摺ベルトを効果的に除菌しつつ、除菌部の長寿命化が可能な手摺ベルト除菌システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態による手摺ベルト除菌システムは、
欄干の周囲を周回走行する手摺ベルトを備えた乗客コンベアのための手摺ベルト除菌装置であって、
前記手摺ベルトの周回毎の前記乗客コンベアへの乗客の乗り込み人数を検出する検出部と、
前記手摺ベルトに対面して配置され、前記手摺ベルトを除菌する除菌部と、
前記手摺ベルトの除菌率を推定し、推定された除菌率に基づいて前記除菌部の出力を制御する除菌制御部と、
を備え、
前記除菌制御部は、前記乗客コンベアへの乗客の乗り込みがあった前記手摺ベルトの周回での前記乗り込み人数と、当該周回後の前記手摺ベルトの周回数と、に基づいて、前記手摺ベルトの除菌率を推定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による手摺ベルト除菌システムを備えた乗客コンベアの構成を模式的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、手摺ベルト除菌システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す手摺ベルト及び除菌部の、手摺ベルトの走行方向に垂直な断面を示す図である。
【
図4】紫外線の照射回数と除菌率との関係を示すグラフである。
【
図5】紫外線の照射回数と除菌率との関係を示すグラフである。
【
図6】紫外線の照射回数と除菌率との関係を示すグラフである。
【
図7】
図7は、手摺ベルト除菌システムの作用を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による手摺ベルト除菌システムの実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態による手摺ベルト除菌システムSを備えた乗客コンベア1の構成を、模式的に示す側面図である。
図2は、手摺ベルト除菌システムSの構成を示すブロック図である。
図3は、除菌部40を示す断面図である。
【0010】
乗客コンベア1は、例えばエスカレータまたは動く歩道である。乗客コンベア1は、長手方向DLを有し、第1乗降口2から第2乗降口3へ、又は第2乗降口3から第1乗降口2へ、長手方向DLに沿って乗客を搬送する。
図1に示す例において、乗客コンベア1は、エスカレータであり、建築物の異なる2つの階床F1,F2間に掛け渡されている。第1乗降口2は、下階F1に設けられている。第2乗降口3は、上階F2に設けられている。
【0011】
図1に示すように、乗客コンベア1は、長手方向DLに沿って延びるトラス4と、トラス4内を走行する複数の踏段5と、トラス4の両側に立設された一対の欄干20と、を有している。トラス4は、下階F1と上階F2との間に跨がって延びている。トラス4は、内部空間6を有する。トラス4は、一対の端部4a,4bと、一対の端部4a,4bの間を延びる傾斜部4cと、を有する。端部4aは、下階F1に配置されている。端部4bは、上階F2に配置されている。傾斜部4cは、異なる階床F1,F2間を延びている。各端部4a,4bは、乗降板7で覆われている。端部4aの上方に第1乗降口2が形成されている。端部4bの上方に第2乗降口3が形成されている。端部4b内には、機械室8が形成されている。トラス4の内部空間6には、踏段5を案内する案内レール9が配置されている。複数の踏段5は、長手方向DLに沿って並んでいる。踏段5は、踏段チェーン10を介して環状に連結されている。踏段5は、環状に形成された案内レール9上を循環走行する。上方から見て、踏段5は、一対の欄干20の間を、欄干20に沿って走行する。乗客は、踏段5に乗ることで、一対の欄干20の間を、第1乗降口2から第2乗降口3、或いは第2乗降口3から第1乗降口2へ搬送される。図示された例では、乗客は、第1乗降口2から第2乗降口3へ搬送される。
【0012】
各欄干20は、
図1に示すように、長手方向DLに沿って延びている。各欄干20は、長手方向DLに沿って延びる欄干パネル21と、欄干パネル21に取り付けられたハンドレール24と、欄干20の下部に設けられたスカートガード25と、を有している。スカートガード25の下方にトラス4が位置している。ハンドレール24は、環状の手摺ベルト30を案内する。ハンドレール24は、欄干パネル21の縁部22(より具体的には、側縁部22a,22b及び上縁部22c)に沿って延びている。ハンドレール24に案内されることで、手摺ベルト30は欄干パネル21の縁部22の周囲を走行する。言い換えると、手摺ベルト30は、欄干パネル21の縁部22の周囲において、環状の軌道38上を走行する。
【0013】
スカートガード25は、長手方向DLに沿って延びている。スカートガード25は、内部空間26を有する。スカートガード25の内部空間26は、トラス4の内部空間6と連通している。スカートガード25の第1乗降口2側の端部には、第1開口27が形成されている。スカートガード25の第2乗降口3側の端部には、第2開口28が形成されている。手摺ベルト30は、ハンドレール24に沿って移動した後、第1開口27又は第2開口28を通じてスカートガード25及びトラス4の内部空間26,6に進入する。その後、手摺ベルト30は、第2開口28又は第1開口27を通じてトラス4及びスカートガード25の内部空間6,26から出て、再びハンドレール24に沿って移動する。
【0014】
踏段5や手摺ベルト30は、機械室8に設置されたモータ11や制御盤12、スプロケット13~15等によって駆動される。モータ11は、踏段チェーン10を駆動する。制御盤12は、乗客コンベア1の運転を制御する運転制御部12aを有する。運転制御部12aは、例えばモータ11の駆動を制御する。第1~第2スプロケット13,14には、踏段チェーン10が掛け渡されている。モータ11が踏段チェーン10を駆動すると、第1~第2スプロケット13,14が回転する。第3スプロケット15には、手摺ベルト30が掛け渡されている。第3スプロケット15は、図示しない伝達チェーンによって第1スプロケット13に連結され、第1スプロケット13の回転に従って回転する。このため手摺ベルト30は、踏段5と同期して走行する。図示された例では、踏段5及び手摺ベルト30は、30m/分で走行する。また、図示された例では、踏段5及び手摺ベルト30は、50秒で欄干パネル21の縁部22の周囲を一周する。言い換えると、図示された例では、踏段5及び手摺ベルト30の周回速度は50秒/周である。
【0015】
手摺ベルト30は、手摺ベルト30の走行方向に連なる複数のベルト要素31から成る。ベルト要素31の総数mは、踏段5の数の整数倍であってよい。図示された例では、踏段5の数は50であり、ベルト要素31の総数mは250である。複数のベルト要素31の長さは、互いに等しい。図示された例では、手摺ベルト30の長さは25mであり、各ベルト要素31の長さは0.1mである。
【0016】
図示された例では、乗客コンベア1は、更に、踏段5及び手摺ベルト30の周回毎の乗客コンベア1の乗り込み人数を検出する検出部29を含む。ここで、乗客コンベア1の乗り込み人数とは、乗客コンベア1に乗り込む乗客の数のことである。検出部29は、踏段5及び手摺ベルト30が一周する間に乗客コンベア1に乗り込む乗客の数を検出する。検出部29は、乗客コンベア1への乗り込み人数を検出可能な装置であれば特に限られない。検出部29は、例えば、光電センサや、赤外線センサ、マイクロ波センサを用いて、踏段5及び手摺ベルト30の周回毎の乗り込み人数を検出するものであってよい。また、検出部29は、カメラを含んでよく、カメラで撮像した画像に基づいて、踏段5及び手摺ベルト30の周回毎の乗り込み人数を検出するものであってよい。また、検出部29は、モータ11の負荷電流値を測定する測定器を含んでよく、測定器で測定された負荷電流値に基づいて、踏段5及び手摺ベルト30の周回毎の乗り込み人数を検出するものであってよい。
図2に示す例では、検出部29は、赤外線センサ29aと計測部29bを含む。赤外線センサ29aは、スカートガード25の第1乗降口2側の端部に設けられている。第1乗降口2から乗客コンベア1に乗り込む乗客によって赤外線センサ29aが射出する光が遮られると、赤外線センサ29aは、計測部29bに信号を送る。計測部29bは、赤外線センサ29aから受け取った信号に基づいて、踏段5及び手摺ベルト30の周回毎の乗り込み人数を計測する。検出部29は、計測した乗り込み人数に関する情報を、後述する除菌制御部45に入力する。
【0017】
また、図示された例では、乗客コンベア1は、更に、手摺ベルト30を除菌する除菌部40と、除菌部40を制御する除菌制御部45と、を含む。
【0018】
除菌部40は、スカートガード25又はトラス4の内部空間26又は6内において、手摺ベルト30の軌道38の一部に対面して配置されている。除菌部40が対面する軌道38の一部を、以下では「除菌領域39」とも称する。
【0019】
図3に示す例では、除菌部40は、手摺ベルト30の表面に紫外線を照射することにより手摺ベルト30の表面を除菌するものである。除菌部40は、LEDモジュールMを有している。除菌部40が作動すると、LEDモジュールMから紫外線が射出される。除菌部40は、複数のLEDモジュールM1~M3を有していてよい。複数のLEDモジュールM1~M3は、手摺ベルト30を取り囲むように配置されてよい。なお、除菌部40がスカートガード25又はトラス4の内部空間26又は6に配置されていることにより、LEDモジュールMから射出される紫外線が利用者の目に入射することが防止される。
【0020】
図示された例では、除菌部40の除菌領域39に沿った長さは0.2mであり、30m/分で走行する手摺ベルト30の各ベルト要素31に0.4秒間照射する。
【0021】
除菌制御部45は、検出部29からの入力を受けて除菌部40を制御する。除菌制御部45は、検出部29からの各入力に基づいて、手摺ベルト30全体の除菌率(以下、単に「手摺ベルト30の除菌率」とも言う)を推定し、推定された除菌率に基づいて除菌部40を制御する。除菌制御部45は、手摺ベルト30の除菌率が高ければ除菌部40の出力が低くなり、手摺ベルト30の除菌率が低ければ除菌部40の出力が高くなるように、除菌部40を制御する。これにより、手摺ベルト30を効果的に除菌しつつ、除菌部40を長寿命化させることができる。図示された例では、除菌制御部45は、手摺ベルト30の除菌率が第1の値以上である場合に除菌部40の紫外線照度が低照度となり、手摺ベルト30の除菌率が第1の値未満であり第2の値以上である場合に除菌部40の紫外線照度が中照度となり、手摺ベルト30の除菌率が第2の値未満である場合に除菌部40の紫外線照度が高照度となるように、除菌部40を制御する。除菌部40の紫外線照度は、点灯させるLEDモジュールMの数を調整することにより、あるいは、LEDモジュールMの紫外線照度を調整することにより、調整されてよい。図示された例では、除菌部40は、すべてのLEDモジュールM1~M3が最大出力で紫外線を出力する高出力モード、LEDモジュールM1~M3が高出力モードの75%の出力で紫外線を出力する中出力モード、及び、LEDモジュールM1~M3が高出力モードの50%の出力で紫外線を出力する低出力モード、のいずれかで作動される。
【0022】
なお、本明細書において「除菌率」とは、手摺ベルト30またはベルト要素31に付着していると仮定された大腸菌が不活化している割合を意味する。例えば、手摺ベルト30またはベルト要素31に付着していると仮定された大腸菌の99%が不活化していると考えられる場合、手摺ベルト30またはベルト要素31の除菌率は99%であると考える。
【0023】
除菌制御部45は、乗客コンベア1への乗客の乗り込みがあった手摺ベルト30の周回での乗り込み人数と、当該周回後の手摺ベルト30の周回数と、に基づいて、手摺ベルト30の除菌率を推定する。これにより、除菌制御部45は、手摺ベルト30の除菌率を信頼性高く推定することができる。
【0024】
より具体的には、除菌制御部45は、ベルト要素31の除菌率の初期値及び当該初期値よりも低い下限値を定める。そして、乗客コンベア1への乗客の乗り込みがあった時、推定部46は、乗客コンベア1に乗り込んだ各乗客に複数のベルト要素31のいずれかを割り当て、乗客に割り当てられたベルト要素31の除菌率が、上記下限値から、当該乗客が乗客コンベア1に乗り込んだ後に当該ベルト要素31が除菌領域39を通過した回数に応じて(すなわち、当該乗客が乗客コンベア1に乗り込んだ後の手摺ベルト30の周回数に応じて)回復するものと推定する。ベルト要素31の除菌率の初期値は、100%であってもよく、99.9%であってもよく、それ以外の値であってもよい。ベルト要素31の除菌率の下限値は、0%であってもよく、0.1%であってもよく、それ以外の値であってもよい。
【0025】
また、除菌制御部45は、乗客に割り当てられていないベルト要素31の除菌率、及び、除菌率が上記初期値まで回復した後に乗客に割り当てられていないベルト要素31の除菌率が、上記初期値に維持されるものと推定する。
【0026】
そして、除菌制御部45は、このようにして推定されたベルト要素31の除菌率の平均値を算出し、算出された平均値を手摺ベルト30の除菌率と推定する。
【0027】
例えば、乗客コンベア1が就役を開始してから(言い換えると、乗客による乗客コンベア1の利用が開始されてから)手摺ベルト30が一周するまでが、手摺ベルト30の1周目であるとする。また、ベルト要素31の除菌率の初期値(すなわち、手摺ベルト30が1周目の走行を始める直前の除菌率)がR0%であり、上記下限値がR0-α%であるとする。R0及びαは、共に正の定数である。また、ベルト要素31は、乗客に割り当てられると当該乗客に接触されたものとみなされて、当該ベルト要素31の除菌率は上記下限値R0-α%まで低下するものとする。また、除菌率がR0-α%に落ち込んだベルト要素31の除菌率は、除菌領域39を1回通過すると(したがって、手摺ベルト30が1周すると)R0-α+B1%に回復し、除菌領域39を2回通過すると(したがって、手摺ベルト30が2周すると)R0-α+B1+B2%に回復し、除菌領域39をn回通過すると(したがって、手摺ベルト30がn周すると)R0-α+B1+B2+・・・+Bn%に回復するものと推定する。ここで、αは正の定数である。また、Bk(kは1以上の整数)は、乗客に割り当てられたベルト要素31の、乗客に割り当てられた後、除菌領域39をk度目に通過する際の除菌率の回復値である。
【0028】
Bkは、βkとγi(iは1以上の整数)との積により表される。βkは、上記乗客に割り当てられたベルト要素31の、乗客に割り当てられた後、高出力モードで作動している除菌部40をk度目に通過する際の除菌率の回復値である。βkは、例えば、後述する数式(6)乃至(8)のいずれかに従って推定される。また、γiは、除菌部40の出力に対応した1以下の正の定数である。γiは、手摺ベルト30のi周目における除菌部40の出力に対応した数値である。図示された例では、除菌部40が上述した高出力モード、中出力モード及び低出力モードのいずれかで作動されることに対応して、γiは、1、0.75または0.5のいずれかである。
【0029】
なお、ベルト要素31の除菌率は、乗客に割り当てられる度に上記下限値R0-α%まで低下するものとする。また、乗客に割り当てられていないベルト要素31の除菌率、及び、除菌率が上記初期値R0まで回復した後に乗客に割り当てられていないベルト要素31の除菌率は、上記初期値R0に維持されるものと推定する。
【0030】
このような条件のもと、手摺ベルト30の1周目において、P1人の乗客が乗客コンベア1に乗り込んできたものとする。この場合、除菌制御部45は、P1個のベルト要素31(1)~31(P1)を乗客に割り当て、乗客コンベア1が就役を開始してから手摺ベルト30が1周した時点での除菌率R1を次のように推定する。
R1={(R0-α+B1)×P1+R0×(m-P1)}/m
ここで、上述したように、mはベルト要素31の総数である。また、図示された例では、γ1は、低出力モードに対応した数値である。なぜなら、乗客コンベア1の就役開始時の手摺ベルト30の除菌率は最も高い値(初期値R0%)であり、除菌部40を高出力モードや中出力モードで作動させる必要はないからである。図示された例では、γ1は0.5である。
【0031】
また、手摺ベルト30の2周目において、P2人の乗客が乗客コンベア1に乗り込んできたものとする。この場合、除菌制御部45は、P2個のベルト要素31を乗客に割り当てる。このとき、除菌制御部45は、手摺ベルト30の1周目に乗客コンベア1に乗り込んだ乗客に割り当てられたベルト要素31とは異なるベルト要素31を、これらP2人の乗客に割り当てる。そして、除菌制御部45は、乗客コンベア1が就役を開始してから手摺ベルト30が2周した時点での除菌率R2を次のように推定する。
R2={(R0-α+B1+B2)×P1+(R0-α+B1)×P2+R0×(m-P1-P2)}/m
【0032】
このようにして、除菌率R1、R2、R3・・・を順次計算する。なお、乗客コンベア1が就役を開始してからベルト要素31の総数mを上回る乗客が乗客コンベア1に乗り込んだ場合には、すでに乗客が割り当てられたベルト要素31に再び乗客を割り当てる。このとき、乗客が割り当てられた回数が最も少ないベルト要素31に乗客を割り当てる。
【0033】
このようにして除菌率R
nを推定した場合、除菌率R
nの推定値は次の数式(1)及び(2)によって表される。
【数1】
ここで、上記数式(1)及び(2)中、
mは、手摺りベルト要素31の総数であり、
qは、0を含まない自然数であり、
R
0は、正の定数であり、
αは、正の定数であり、
P
k及びP
n-j+1は、それぞれ、手摺ベルト30のk周目及びn-j+1周目で乗客コンベア1へ乗り込んだ乗客の人数であり、
B
kは、乗客に割り当てられたベルト要素31の、乗客に割り当てられた後に除菌部40をk度目に通過する際の除菌率の回復値である。
【0034】
次に、図示された例における、乗客に割り当てられたベルト要素31の除菌率の推定方法、より具体的にはβkの算出方法を、さらに具体的に説明する。
【0035】
まず、本件発明者が得た知見によれば、大腸菌を付着させた試料片に紫外線を一定の照度で所定時間長ずつ複数回照射した場合、当該試料片の除菌率y(すなわち、大腸菌の不活性化度)(%)は、紫外線の照射回数(照射時間)が増すにつれて
図4乃至
図6に示すように回復する。
図4乃至
図6に示すグラフに共通しているのは、紫外線の照射回数(照射時間)が増すにつれて除菌率の回復量が緩やかになる点である。
【0036】
なお、
図4乃至
図6は、それぞれ以下の数式(3)乃至(5)で表される。ここで、数式(3)乃至(5)では、試料片の除菌率の初期値を0%としている。また、数式(3)乃至(5)において、xは、試料片に紫外線を照射した回数である。また、数式(4)及び(5)において、b及びcは、正の定数である。
【数2】
【数3】
【数4】
【0037】
図示された例では、上記数式(3)に基づいて、除菌制御部45は、ベルト要素31の除菌率を以下のように推定する。まず、乗客コンベア1への乗客の乗り込みがあった時、除菌制御部45は、乗客コンベア1に乗り込んだ各乗客に複数のベルト要素31のいずれかを割り当て、乗客に割り当てられたベルト要素31の除菌率r(k)(%)を、下記数式(6)に従って推定する。ここで、除菌率r(k)(%)は、ベルト要素31に乗客が割り当てられた後に当該ベルト要素31が除菌領域39をk度目に通過した際の当該ベルト要素31の除菌率である。なお、除菌制御部45は、上記数式(4)に基づいて、ベルト要素31の除菌率r(k)(%)を下記数式(7)に従って推定してもよい。また、除菌制御部45は、上記数式(5)に基づいて、ベルト要素31の除菌率r(k)(%)を下記数式(8)に従って推定してもよい。なお、数式(6)~(8)において、A、b及びcは正の定数である。
【数5】
【数6】
【数7】
【0038】
このようにして求められるベルト要素31の除菌率r(k)(%)に基づいて、β
kは次の数式(9)に基づいて求められる。
【数8】
なお、ベルト要素31の除菌率の初期値は手摺ベルト30の除菌率の初期値に等しいが、これに関係なく、数式(9)の計算においてはr(0)=0とする。
【0039】
なお、図示された例において、少なくとも検出部29と除菌部40と除菌制御部45とによって、手摺ベルト除菌システムSが構成されている。
【0040】
次に、
図7を参照して、乗客コンベア1の作用について説明する。まず、運転制御部12aから除菌制御部45への入力により乗客コンベア1の運転が開始されたことが、除菌制御部45において検知されると(ステップS1)、除菌制御部45はタイマ49を作動させ、タイマ49に計時を開始させる。また、除菌制御部45は除菌部40を作動させて、手摺ベルト30の除菌を開始する(ステップS2)。このとき、除菌制御部45は、除菌部40を高出力モードで作動させる。なお、ステップS2では、乗客による乗客コンベア1の利用(すなわち、乗客コンベア1の就役)はまだ開始されない。以下では、乗客コンベア1の運転が開始されてから乗客コンベア1の就役が開始されるまでの期間を、「就役前期間」とも称する。また、乗客コンベア1の就役が開始されてから乗客コンベア1の運転が停止するまでの期間を、「就役期間」とも称する。
【0041】
次に、除菌制御部45は、タイマ49が所定の時間長(例えば、手摺ベルト30が50周するのに十分な時間長)を計時したか否かを判定する(ステップS3)。ステップS2においてタイマ49が未だ上記所定の時間長を計時していないと判断した場合(NO)、除菌制御部45は、手摺ベルト30及び各ベルト要素31の除菌率がそれぞれ初期値(例えば99.9%)に達していないものと判断して、再びステップS2の判定を行う。一方、ステップS2においてタイマ49が上記所定の時間長を計時したと判断した場合(YES)、除菌制御部45は手摺ベルト30及び各ベルト要素31の除菌率がそれぞれ初期値に達したものとして、除菌部40を高出力モードから低出力モードに切り替える(ステップS4)。具体的には、LEDモジュールMの紫外線照度を低下させる。なお、タイマ49が上記所定の時間長を計時するのと同時に、就役前期間が終了し、就役期間が開始する。
【0042】
就役期間が開始すると、検出部29が手摺ベルト30の周回毎の乗客コンベア1の乗り込み人数を検出する。検出部29は、検出した乗り込み人数に関する情報を、除菌制御部45に渡す。また、除菌制御部45は、手摺ベルト30及び各ベルト要素31の除菌率の推定を開始する。具体的には、手摺ベルト30の周回毎の乗り込み人数に関する情報を検出部29から受け取り、これに基づいて、手摺ベルト30の周回毎のベルト要素31の除菌率を推定し、推定されたベルト要素31の除菌率に基づいて手摺ベルト30の除菌率を推定する。そして、推定された手摺ベルト30の除菌率が所定の第1の値以上であるか否かの判定を行う(ステップS5)。
【0043】
ステップS5において推定された手摺ベルト30の除菌率が上記第1の値以上である場合(YES)、除菌制御部45は、除菌部40を低出力モードに維持または変更する(ステップS6)。
【0044】
ステップS5において推定された手摺ベルト30の除菌率が上記第1の値未満である場合(NO)、推定された手摺ベルト30の除菌率が所定の第2の値以上であるか否かの判定を行う(ステップS7)。ステップS7において推定された手摺ベルト30の除菌率が上記第2の値以上である場合(YES)、除菌制御部45は、除菌部40を中出力モードに維持または変更する(ステップS8)。
【0045】
ステップS7において推定された手摺ベルト30の除菌率が上記第2の値未満である場合(NO)、除菌制御部45は、除菌部40を高出力モードに変更または維持する(ステップS9)。
【0046】
ステップS6、ステップS8又はステップS9の後、除菌制御部45は、乗客コンベア1の運転が停止されたか否かの判定を行う(ステップS10)。具体的には、運転制御部12aから除菌制御部45に、乗客コンベア1の運転が停止されたことを示す入力があったか否かを判定する。ステップS10において乗客コンベア1の運転が停止されていないと判定した場合(NO)、除菌制御部45は、再びステップS5の判定を行う。一方、ステップS8において乗客コンベア1の運転が停止されたと判定した場合(YES)、除菌制御部45は除菌部40を停止させる。言い換えると、除菌制御部45は、除菌部40からの出力をゼロにする。さらに言い換えると、除菌制御部45は、除菌部40を消灯する。また、除菌制御部45は除菌率の推定を停止し、手摺ベルト30及び各ベルト要素31の除菌率を初期値に戻す(ステップS11)。
【0047】
上述した一実施の形態では、ベルト要素31の除菌率r(k)(%)を上記数式(6)乃至(8)のいずれかに従って推定しているが、これに限られない。
図4乃至
図6に示すグラフと同様の形状を有するグラフを表す式に基づいて、ベルト要素31の除菌率r(k)(%)を推定してもよい。
【0048】
また、上述した一実施の形態では、除菌部40は手摺ベルト30の表面に紫外線を照射することにより手摺ベルト30を除菌するものであるが、これに限られない。除菌部40は、手摺ベルト30に除菌液を塗布することにより手摺ベルト30を除菌するものであってもよい。この場合、除菌制御部45は、除菌部40による手摺ベルト30への除菌液の塗布量を制御してよい。この場合も、上記数式(1)及び(2)並びに(6)乃至(8)のいずれかに従って、手摺ベルト30の除菌率Rnを推定することができる。除菌液を手摺ベルト30に塗布する方法は、任意の方法であってよい。例えば、噴霧器を用いて除菌液を手摺ベルト30に噴霧することにより、除菌液を手摺ベルト30に塗布してもよい。除菌液は、例えば、次亜塩素酸水、安定化二酸化塩素、グレープフルーツ種子抽出物等であってよい。
【0049】
以上に説明した一実施の形態において、手摺ベルト除菌システムSは、欄干20の周囲を周回走行する手摺ベルト30を備えた乗客コンベア1のための手摺ベルト除菌システムSであって、検出部29と、除菌部40と、除菌制御部45と、を備えている。検出部29は、手摺ベルト30の周回毎の乗客コンベア1への乗客の乗り込み人数を検出する。除菌部40は、手摺ベルト30に対面して配置され、手摺ベルト30を除菌する。除菌制御部45は、手摺ベルト30の除菌率を推定し、推定された除菌率に基づいて除菌部40の出力を制御する。除菌制御部45は、乗客コンベア1への乗客の乗り込みがあった手摺ベルト30の周回での乗り込み人数と、当該周回後の手摺ベルト30の周回数と、に基づいて、手摺ベルト30の除菌率を推定する。このような手摺ベルト除菌システムSによれば、手摺ベルト30の除菌率を信頼性高く推定することができる。そして、手摺ベルト30の除菌率が高ければ除菌部40の出力を抑えることができる。このため、手摺ベルト30を効果的に除菌しつつ、除菌部40を長寿命化させることができる。
【0050】
また、以上に説明した一実施の形態において、手摺ベルト30は、手摺ベルト30の走行方向に連なる複数のベルト要素31を含む。手摺ベルト30の軌道38は、除菌部40と対面する領域である除菌領域39を含む。手摺ベルト除菌システムSでは、ベルト要素31の除菌率の初期値及び当該初期値よりも低い下限値を定められている。除菌制御部45は、乗客コンベア1への乗客の乗り込みがあった時、乗客コンベア1に乗り込んだ各乗客に複数のベルト要素31のいずれかを割り当て、乗客に割り当てられたベルト要素31の除菌率が、上記下限値から当該乗客が乗客コンベア1に乗り込んだ後に当該ベルト要素31が除菌領域39を通過した回数に応じて回復するものと推定する。そして、除菌制御部45は、推定されたベルト要素31の除菌率に基づいて、手摺ベルト30の除菌率を推定する。
【0051】
また、以上に説明した一実施の形態において、除菌制御部45は、乗客に割り当てられていないベルト要素31の除菌率、及び、除菌率が上記初期値まで回復した後に乗客に割り当てられていないベルト要素31の除菌率が、上記初期値に維持されるものと推定して、手摺ベルト30の除菌率を推定する。
【0052】
また、以上に説明した一実施の形態において、除菌部40は、紫外線を手摺ベルト30に照射するものである。除菌制御部45は、除菌部40の紫外線照度を制御する。
【0053】
また、以上に説明した一実施の形態の変形例において、除菌部40は、手摺ベルト30に除菌液を塗布するものである。除菌制御部45は、除菌部40による手摺ベルト30への除菌液の塗布量を制御する。
【0054】
また、以上に説明した一実施の形態において、除菌制御部45は、手摺ベルト30の除菌率Rnを、当該乗客が乗客コンベア1に乗り込んだ後に当該乗客に割り当てられたベルト要素31が除菌領域39を通過した回数をkとして、上記数式(1)又は(2)に従って推定する。これにより、手摺ベルト30の除菌率Rnを信頼性高く推定することができる。
【0055】
また、以上に説明した一実施の形態において、除菌制御部45は、手摺ベルト30の除菌率が所定の値以上である場合、手摺ベルト30の除菌率が上記所定の値未満である場合よりも除菌部40の出力が低くなるよう、除菌部40を制御する。
【0056】
本発明の実施形態といくつかの変形例を説明したが、これらの実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内でこれらの実施形態および変形例を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:乗客コンベア、2:第1乗降口、3:第2乗降口、4:トラス、4a,4b:トラスの端部、4c:トラスの傾斜部、5:踏段、6:トラスの内部空間、7:乗降板、8:機械室、9:案内レール、10:踏段チェーン、11:モータ、12:制御盤、12a:運転制御部、13:第1スプロケット、14:第2スプロケット、15:第3スプロケット、20:欄干、21:欄干パネル、22:縁部、24:ハンドレール、25:スカートガード、26:スカートガードの内部空間、27:第1開口、28:第2開口、29:検出部、30:手摺ベルト、31:ベルト要素、38:軌道、39:除菌領域、40:除菌部、45:除菌制御部、49:タイマ、S:手摺ベルト除菌システム
【要約】 (修正有)
【課題】手摺ベルトを効果的に除菌しつつ、除菌部の長寿命化が可能な手摺ベルト除菌システムを提供する。
【解決手段】手摺ベルト除菌システムSは、欄干の周囲を周回走行する手摺ベルトを備えた乗客コンベアのための手摺ベルト除菌システムSであって、検出部29と、除菌部40と、除菌制御部45と、を備えている。検出部29は、手摺ベルトの周回毎の乗客コンベアへの乗客の乗り込み人数を検出する。除菌部40は、手摺ベルトに対面して配置され、手摺ベルトを除菌する。除菌制御部45は、手摺ベルトの除菌率を推定し、推定された除菌率に基づいて除菌部40の出力を制御する。除菌制御部45は、乗客コンベアへの乗客の乗り込みがあった手摺ベルトの周回での乗り込み人数と、当該周回後の手摺ベルトの周回数と、に基づいて、手摺ベルトの除菌率を推定する。
【選択図】
図2