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特許7432064動力電池を充電する方法及び電池管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-06
(45)【発行日】2024-02-15
(54)【発明の名称】動力電池を充電する方法及び電池管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20240207BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240207BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240207BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240207BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240207BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
H02J7/10 B
B60L3/00 S
B60L58/12
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
H02J7/00 P
H02J7/10 K
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023535043
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 CN2021117314
(87)【国際公開番号】W WO2023035163
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2023-06-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲珊▼
(72)【発明者】
【氏名】李 世超
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲海▼力
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲微▼
(72)【発明者】
【氏名】林 真
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-103077(JP,A)
【文献】特開2011-240863(JP,A)
【文献】特開2021-119561(JP,A)
【文献】特開2008-166025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力電池を充電する方法であって、前記動力電池の電池管理システムBMSに適用され、前記方法は、
前記動力電池の電池パラメータを取得し、前記電池パラメータが荷電状態SOC及び/又は開回路電圧OCVを含むことと、
前記動力電池の充電過程において、前記動力電池の電池パラメータがパラメータ間隔値だけ変化する場合、前記動力電池の放電又は充電停止を制御することとを含み、
前記動力電池の電池パラメータが第1パラメータ区間にある場合、前記パラメータ間隔値は第1の予め設定されたパラメータ間隔値であり、前記動力電池の電池パラメータが第2パラメータ区間にある場合、前記パラメータ間隔値は第2の予め設定されたパラメータ間隔値であり、前記第1の予め設定されたパラメータ間隔値は、前記第2の予め設定されたパラメータ間隔値よりも大きく、前記第1パラメータ区間における電池パラメータは、前記第2パラメータ区間における電池パラメータよりも小さい、動力電池を充電する方法。
【請求項2】
前記パラメータ間隔値は、3%~95%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動力電池の電池パラメータがパラメータ間隔値だけ変化する場合、前記動力電池の放電又は充電停止を制御することは、
前記動力電池の電池パラメータがターゲット電池パラメータに等しいかどうかを確定し、前記ターゲット電池パラメータが前記パラメータ間隔値に基づいて確定された電池パラメータであることと、
前記動力電池の電池パラメータが前記ターゲット電池パラメータに等しい場合、前記動力電池の放電又は充電停止を制御することとを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記動力電池の放電を制御することは、
充電スタンドに充電要求情報を送信し、前記充電要求情報に運ばれる充電要求電流が0であることと、
前記充電スタンドが前記充電要求情報に基づいて前記動力電池を充電する実際の充電電流を取得することと、
前記実際の充電電流が電流閾値未満である場合、放電するように前記動力電池を制御することとを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、
前記充電スタンドに前記充電要求情報を送信する時間が第1の時間閾値以上である場合、放電を停止するように前記動力電池を制御することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、
前記動力電池の放電時間が第2の時間閾値以上である場合、放電を停止するように前記動力電池を制御することをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
動力電池の電池管理システムBMSであって、
取得ユニットであって、前記動力電池の電池パラメータを取得するために用いられ、前記電池パラメータが荷電状態SOC及び/又は開回路電圧OCVを含むものと、
制御ユニットであって、前記動力電池の充電過程において、前記動力電池の電池パラメータがパラメータ間隔値だけ変化する場合、前記動力電池の放電又は充電停止を制御するために用いられるものとを含み、
前記動力電池の電池パラメータが第1パラメータ区間にある場合、前記パラメータ間隔値は第1の予め設定されたパラメータ間隔値であり、前記動力電池の電池パラメータが第2パラメータ区間にある場合、前記パラメータ間隔値は第2の予め設定されたパラメータ間隔値であり、前記第1の予め設定されたパラメータ間隔値は、前記第2の予め設定されたパラメータ間隔値よりも大きく、前記第1パラメータ区間における電池パラメータは、前記第2パラメータ区間における電池パラメータよりも小さい、動力電池の電池管理システムBMS。
【請求項8】
前記パラメータ間隔値は、3%~95%の範囲である、請求項7に記載のBMS。
【請求項9】
前記制御ユニットは具体的に、
前記動力電池の電池パラメータがターゲット電池パラメータに等しいかどうかを確定し、前記ターゲット電池パラメータが前記パラメータ間隔値に基づいて確定された電池パラメータであり、
前記動力電池の電池パラメータが前記ターゲット電池パラメータに等しい場合、前記動力電池の放電又は充電停止を制御するために用いられる、請求項7又は8に記載のBMS。
【請求項10】
通信ユニットをさらに含み、前記通信ユニットは、充電スタンドに充電要求情報を送信するために用いられ、前記充電要求情報に運ばれる充電要求電流は0であり、
前記取得ユニットはさらに、前記充電スタンドが前記充電要求情報に基づいて前記動力電池を充電する実際の充電電流を取得するために用いられ、
前記制御ユニットは、具体的に、前記実際の充電電流が電流閾値未満である場合、放電するように前記動力電池を制御するために用いられる、請求項7~9のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項11】
前記制御ユニットはさらに、
前記充電スタンドに前記充電要求情報を送信する時間が第1の時間閾値以上である場合、放電を停止するように前記動力電池を制御するために用いられる、請求項10に記載のBMS。
【請求項12】
前記制御ユニットはさらに、
前記動力電池の放電時間が第2の時間閾値以上である場合、放電を停止するように前記動力電池を制御するために用いられる、請求項7~10のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項13】
動力電池の電池管理システムBMSであって、コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、プロセッサとを含み、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを呼び出して、請求項1~6のいずれか一項に記載の動力電池を充電する方法を実行するために用いられる、動力電池の電池管理システムBMS。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、動力電池の分野に関し、特に、動力電池を充電する方法及び電池管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
時代の発展に伴って、電気自動車は高い環境保護性、低い騒音、低い使用コストなどの利点により、巨大な市場の将来性を有し、省エネと排出削減を効果的に促進することができ、社会の発展と進歩に有利である。
【0003】
電気自動車及びその関連分野にとって、電池技術はその発展に関わる重要な要素であり、特に電池の安全性能は電池関連製品の発展と応用に影響し、電気自動車に対する大衆の受け入れ程度も影響している。そのため、電池の安全性能をどう保証するかは、解決すべき技術問題である。
【発明の概要】
【0004】
本出願の実施例は動力電池の安全性能を効果的に保証することができる動力電池を充電する方法及び装置を提供する。
【0005】
第1態様では、動力電池を充電する方法を提供し、動力電池の電池管理システムBMSに適用され、前記方法は、前記動力電池の電池パラメータを取得し、前記電池パラメータが荷電状態SOC及び/又は開回路電圧OCVを含むことと、前記動力電池の充電過程において、前記動力電池の電池パラメータがパラメータ間隔値だけ変化する場合、前記動力電池の放電又は充電停止を制御することとを含み、ここでは、前記動力電池の電池パラメータが第1パラメータ区間にある場合、前記パラメータ間隔値は第1予め設定されたパラメータ間隔値であり、前記動力電池の電池パラメータが第2パラメータ区間にある場合、前記パラメータ間隔値は第2予め設定されたパラメータ間隔値であり、前記第1予め設定されたパラメータ間隔値は、前記第2予め設定されたパラメータ間隔値よりも大きく、前記第1パラメータ区間における電池パラメータは、前記第2パラメータ区間における電池パラメータよりも小さい。
【0006】
上記技術案では、動力電池を充電する過程において、動力電池に対して、放電を行うか、又は充電を一時的に停止することにより、動力電池への持続充電による発熱、リチウムイオンの集まりなどの問題を避けることができ、さらに発熱、リチウムイオンの集まりなどの問題による動力電池の安全問題、例えば電池の燃焼や爆発などを避けることができ、動力電池の安全性を保証する。
【0007】
さらに、動力電池の電池パラメータ(例えばSOC)が大きければ大きいほど、動力電池の現時点の負極電位が低く、リチウム析出現象が発生しやすいため、動力電池の電池パラメータが大きいとき、その放電頻度又は充電停止の頻度を高くし、すなわちパラメータ間隔値を小さくし、これにより、動力電池の安全性能をさらに保証することができる。それに対し、動力電池の電池パラメータ(例えばSOC)が小さい場合、動力電池の現時点の負極電位が高く、負極電位が低い場合よりも、そのリチウム析出リスクが低いため、その放電頻度又は充電停止の頻度を低くし、すなわちパラメータ間隔値を大きくし、これにより、動力電池の充電時間に対する影響を減らすことができると同時に、リチウム析出を抑制する効果を達成する。
【0008】
いくつかの可能な実施形態では、前記パラメータ間隔値は、3%~95%の範囲である。
【0009】
いくつかの可能な実施形態では、前記の、前記動力電池の電池パラメータがパラメータ間隔値だけ変化する場合、前記動力電池の放電を制御することは、前記動力電池の電池パラメータがターゲット電池パラメータに等しいかどうかを確定し、前記ターゲット電池パラメータが前記パラメータ間隔値に基づいて確定された電池パラメータであることと、前記動力電池の電池パラメータが前記ターゲット電池パラメータに等しい場合、前記動力電池の放電又は充電停止を制御することとを含む。
【0010】
上記技術案では、動力電池の電池パラメータがターゲット電池パラメータに等しい場合、BMSは動力電池の放電又は充電の停止を制御し、このように、動力電池の充電と放電のバランスがよりうまく取れることができ、動力電池の安全性能を保証する上で動力電池への充電を完成する。
【0011】
いくつかの可能な実施形態では、前記の、前記動力電池の放電を制御することは、充電スタンドに充電要求情報を送信し、前記充電要求情報に運ばれる充電要求電流が0であることと、前記充電スタンドが前記充電要求情報に基づいて前記動力電池を充電する実際の充電電流を取得することと、前記実際の充電電流が電流閾値未満である場合、放電するように前記動力電池を制御することとを含む。
【0012】
動力電池を充電する過程において、動力電池の放電を直接制御すると、動力電池に損傷を与え、動力電池の寿命に影響するだけでなく、安全上の危険ももたらし、動力電池の安全性に影響する。上記技術案では、BMSが充電要求電流が0である旨を運んでいる充電要求情報を送信し、かつ動力電池の実際の充電電流が小さく、例えば電流閾値より小さいくなってからBMSは動力電池の放電を制御し、動力電池の寿命と性能を保証し、動力電池の充放電過程の安全性を向上させることができる。
【0013】
いくつかの可能な実施形態では、前記方法は、前記充電スタンドに前記充電要求情報を送信する時間が第1時間閾値以上である場合、放電を停止するように前記動力電池を制御することをさらに含む。
【0014】
BMSが動力電池の放電を常に制御する場合、動力電池の正常な充電過程に影響を与える可能性がある。上記技術案では、BMSが充電スタンドに充電要求情報を送信する時間が第1時間閾値以上である場合、BMSは放電を停止するように動力電池を制御し、このように、動力電池中の電気を全部放出する問題を避け、従って、動力電池の正常な充電を保証することができる。
【0015】
いくつかの可能な実施形態では、前記方法は、前記動力電池の放電時間が第2時間閾値以上である場合、放電を停止するように前記動力電池を制御することをさらに含む。
【0016】
BMSが動力電池の放電を常に制御する場合、動力電池の正常な充電過程に影響を与える可能性がある。上記技術案では、動力電池の放電時間が第2時間閾値以上である場合、BMSは放電を停止するように動力電池を制御し、このように、動力電池の放電時間が長すぎて動力電池の電気を全部放出してしまうという問題を避け、動力電池の正常な充電を保証する。
【0017】
第2態様では、動力電池の電池管理システムBMSを提供し、前記電池管理システムBMSは、取得ユニットであって、前記動力電池の電池パラメータを取得するために用いられ、前記電池パラメータが荷電状態SOC及び/又は開回路電圧OCVを含むものと、制御ユニットであって、前記動力電池の充電過程において、前記動力電池の電池パラメータがパラメータ間隔値だけ変化する場合、前記動力電池の放電又は充電停止を制御するために用いられるものとを含み、ここでは、前記動力電池の電池パラメータが第1パラメータ区間にある場合、前記パラメータ間隔値は第1予め設定されたパラメータ間隔値であり、前記動力電池の電池パラメータが第2パラメータ区間にある場合、前記パラメータ間隔値は第2予め設定されたパラメータ間隔値であり、前記第1予め設定されたパラメータ間隔値は、前記第2予め設定されたパラメータ間隔値よりも大きく、前記第1パラメータ区間における電池パラメータは、前記第2パラメータ区間における電池パラメータよりも小さい。
【0018】
いくつかの可能な実施形態では、前記パラメータ間隔値は、3%~95%の範囲である。
【0019】
いくつかの可能な実施形態では、前記制御ユニットは具体的に、前記動力電池の電池パラメータがターゲット電池パラメータに等しいかどうかを確定し、前記ターゲット電池パラメータが前記パラメータ間隔値に基づいて確定された電池パラメータであり、前記動力電池の電池パラメータが前記ターゲット電池パラメータに等しい場合、前記動力電池の放電又は充電停止を制御するために用いられる。
【0020】
いくつかの可能な実施形態では、通信ユニットをさらに含み、前記通信ユニットは、充電スタンドに充電要求情報を送信するために用いられ、前記充電要求メッセージに運ばれる充電要求電流は0であり、前記取得ユニットはさらに、前記充電スタンドが前記充電要求情報に基づいて前記動力電池を充電する実際の充電電流を取得するために用いられ、前記制御ユニットは、具体的に、前記実際の充電電流が電流閾値未満である場合、放電するように前記動力電池を制御するために用いられる。
【0021】
いくつかの可能な実施形態では、前記制御ユニットはさらに、前記充電スタンドに前記充電要求情報を送信する時間が第1時間閾値以上である場合、放電を停止するように前記動力電池を制御するために用いられる。
【0022】
いくつかの可能な実施形態では、前記制御ユニットはさらに、前記動力電池の放電時間が第2時間閾値以上である場合、放電を停止するように前記動力電池を制御するために用いられる。
【0023】
第3の態様では、動力電池の電池管理システムBMSを提供し、前記動力電池の電池管理システムBMSは、プログラムを記憶するためのメモリと、前記メモリに記憶されたプログラムを実行するためのプロセッサとを含み、前記メモリに記憶されたプログラムが実行されると、前記プロセッサは、以上に記載の第1態様又はその各実施形態における方法を実行するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本出願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下では、本出願の実施例で使用する必要がある図面を簡単に説明するが、明らかなことに、以下に説明する図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を支払うことなく、図面に基づいて他の図面を入手することができる。
図1】本出願の一実施例が適用される充電システムの構成図である。
図2】本出願の実施例の動力電池充電方法の概略図である。
図3】本出願の実施例の別の動力電池充電方法の概略図である。
図4】本出願の実施例の動力電池充電方法の概略フローチャートである。
図5】本出願の実施例のBMSの概略ブロック図である。
図6】本出願の実施例のBMSの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面と実施例を参照しながら本出願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明と図面は、本出願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本出願の範囲を限定するために用いられるべきではなく、即ち本出願は、説明された実施例に限定されない。
【0026】
本出願の説明において、指摘すべきこととして、特に説明されていない限り、「複数」は、二つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語で示される方位又は位置関係は、示された装置又は素子が特定の方位を有しなければならず、特定の方位で構成され操作されなければならないことを示したり、暗示したりするのではなく、本出願を容易に説明し、説明を簡略化するためのものに過ぎず、本出願の限定として理解されるべきではない。なお、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明のみを目的として使用されており、相対的な重要性を示したり、暗示したりするものとして理解されるべきではない。
【0027】
新エネルギーの分野では、動力電池は、電力を消費する装置(例えば車両、船舶、又は宇宙船など)の主要な動力源として機能することができる。現在、市販の動力電池の多くは充電可能な蓄電池であり、最も一般的なのはリチウム電池であり、例えばリチウムイオン電池やリチウムイオンポリマー電池などである。充電過程において、一般的に持続充電の方式を採用して動力電池を充電して、動力電池に対して持続充電を行うと動力電池のリチウム析出、発熱などの現象が発生し、ここでは、リチウム析出、発熱などの現象は動力電池の性能を低下させ、サイクル寿命を大幅に短縮させるだけでなく、動力電池の急速充電容量も制限し、燃焼、爆発などの壊滅的な結果を引き起こし、重大な安全問題を引き起こす可能性がある。
【0028】
動力電池の安全性能を保証するために、本出願は、動力電池を充電するための新しい方法及び充電システムを提案する。
【0029】
図1は、本出願の実施例が適用される充電システムの構成図を示す。
【0030】
図1に示すように、該充電システム100は、充電装置110及び電池システム120を含むことができ、任意選択的に、該電池システム120は、電気自動車(純粋な電気自動車及びプラグイン可能なハイブリッド電気自動車を含む)における電池システム、又は他の適用シーンにおける電池システムであってもよい。
【0031】
任意選択的に、電池システム120には、少なくとも1つの電池パック(battery pack)が設置されてもよく、この少なくとも1つの電池パックは、全体として動力電池121と呼ぶことができる。電池の種類から言えば、該動力電池121は、任意のタイプの電池であってもよく、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、リチウム硫黄電池、鉛酸電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、又はリチウム空気電池などを含むがこれらに限定されない。電池の規模から言えば、本出願の実施例における動力電池121は、セル/電池単体(cell)であってもよいし、電池モジュールや電池パックであってもよいが、電池モジュールや電池パックは、いずれも複数の電池を直並列することで形成されることができ、本出願の実施例においては、 動力電池121の具体的なタイプや規模は、特に限定されない。
【0032】
また、該動力電池121をインテリジェントに管理しメンテナンスし、動力電池121の過充電と過放電を防止し、電池の耐用年数を延長するために、電池システム120には一般に、充放電管理、高電圧制御、電池保護、電池データ収集、電池状態評価などの機能を実施するための電池管理システム(battery management system,BMS)122がさらに設置される。任意選択的に、該BMS 122は、動力電池121と同一のデバイス又は装置に統合して設置されてもよいし、又は、該BMS 122は、独立したデバイス又は装置として、動力電池121の外部に設置されてもよい。
【0033】
充電装置110は、BMS 122の充電需要に応じて、電池121を充電するために充電電力を出力することができる。例えば、充電装置110は、BMS 122から送信された需要電圧及び需要電流に応じて、電圧及び電流を出力することができる。任意選択的に、本出願の実施例における充電装置110は、充電機とも呼ばれる充電スタンドであってもよい。ここでの充電スタンドは、例えば、普通充電スタンド、スーパー充電スタンド、自動車対グリッド(vehicle to grid,V2G)モードをサポートする充電スタンド等であってもよい。
【0034】
図1に示すように、充電装置110は、電線130を介して動力電池121に接続され、通信線140を介してBMS 122に接続されることができ、ここでは、通信線140は、充電装置110とBMSとの間の情報のやり取りを実現するために用いられる。一例として、該通信線140は、コントローラエリアネットワーク(control area network,CAN)通信バス又はデイジーチェーン(daisy chain)通信バスを含むが、これらに限定されない。
【0035】
充電装置110は、通信線140を介してBMS 122と通信することができるほか、無線ネットワークを介してBMS 122と通信することもできる。本出願の実施例は、充電装置110とBMS 122との有線通信のタイプや無線通信のタイプについてはいずれも具体的に限定しない。
【0036】
図2は、本出願の実施例の動力電池を充電する方法200の概略図である。方法200は、例えば、図1のBMS 122であり得るBMSによって実行されてもよい。方法200は、以下の内容の少なくとも一部を含むことができる。
【0037】
ステップ210では、動力電池の電池パラメータを取得し、電池パラメータは、荷電状態(state of charge,SOC)及び/又は開回路電圧(open circuit voltage, OCV)を含むことができる。
【0038】
ステップ220では、動力電池の充電過程において、動力電池の電池パラメータがパラメータ間隔値だけ変化する場合、動力電池の放電又は充電停止を制御する。
【0039】
ここでは、動力電池の電池パラメータが第1パラメータ区間にある場合、パラメータ間隔値は第1予め設定されたパラメータ間隔値であり、動力電池の電池パラメータが第2パラメータ区間にある場合、パラメータ間隔値は第2予め設定されたパラメータ間隔値であり、第1予め設定されたパラメータ間隔値は、第2予め設定されたパラメータ間隔値よりも大きく、第1パラメータ区間における電池パラメータは、第2パラメータ区間における電池パラメータよりも小さい。
【0040】
本出願の実施例では、動力電池を充電する過程において、動力電池に放電を行うか又は充電を一時的に停止することで、動力電池への持続充電による発熱、リチウムイオンの集まりなどの問題を避けることができ、さらに発熱、リチウムイオンの集まりなどの問題による動力電池の安全問題、例えば動力電池の燃焼や爆発などを避けることができ、動力電池の安全性を保証する。
【0041】
さらに、動力電池の電池パラメータ(例えばSOC)が大きければ大きいほど、動力電池の現時点の負極電位が低く、リチウム析出現象が発生しやすいため、動力電池の電池パラメータが大きいとき、その放電頻度又は充電停止の頻度を高くし、すなわちパラメータ間隔値を小さくし、これにより、動力電池の安全性能をさらに保証することができる。それに対し、動力電池の電池パラメータ(例えばSOC)が小さい場合、動力電池の現時点の負極電位が高く、負極電位が低い場合よりも、そのリチウム析出リスクが低いため、その放電頻度又は充電停止頻度を低くし、すなわちパラメータ間隔値を大きくし、これにより、動力電池の充電時間に対する影響を減らすことができると同時に、リチウム析出を抑制する効果を達成する。
【0042】
SOCは、動力電池の残存容量を示すために用いることができ、動力電池の現在の残存容量と総使用可能容量との比として数値的に定義され、一般に百分率で示される。具体的には、SOC=100%の場合、動力電池が完全に充電されていることを示す。逆に、SOC=0%の場合、動力電池が完全に放電していることを示す。
【0043】
OCVは、動力電池に電流の流れがないときの正負極間の電位差である。通常、動力電池の充放電が終了した後、動力電池をしばらく静置して動力電池のOCVの値が得られる。
【0044】
OCVとSOCとの間には対応関係があるため、1つの実施形態では、BMSは、動力電池のOCVに基づいてSOCを確定することができる。具体的には、まず、時間遅延テストによって異なるSOCでのOCVのデータを得て、両方の関係グラフをフィッティングして得られ、従って、BMSは、測定されたOCV及びグラフに基づいて、動力電池のSOCを推定することができる。
【0045】
別の実施形態では、BMSは、バックプロパゲーション(Back Propagation,BP)ニューラルネットワークを利用して、動力電池のSOCを取得することができる。ここでは、BPニューラルネットワークの入力は動力電池の電流、電圧と温度などのパラメータであり、出力は動力電池のSOCであってもよい。
【0046】
上記2つの方法のほかに、BMSは、電流積算法、カルマンフィルタ法等の方法を用いて、動力電池のSOCを取得することができ、本出願の実施例では、詳細に説明しない。
【0047】
任意選択的に、本出願の実施例において、パラメータ間隔値は、BMSに予め設定されてもよい。例えば、パラメータ間隔値は、多数の実験によって得られるものであってもよく、その後、BMSの出荷時にパラメータ間隔値をBMSに予め設定する。
【0048】
任意選択的に、パラメータ間隔値は、BMS自身により決められてもよい。例えば、BMSは、動力電池の温度、健康状態(state of health,SOH)、現時点の環境温度など、少なくとも1つのパラメータに基づいてパラメータ間隔値を確定することができる。
【0049】
ここでは、SOHは、動力電池の経年劣化状態を表すために用いることができ、動力電池の残存寿命として理解することもできる。動力電池は、長時間の動作後、性能が絶えず低下し、したがって、残存寿命が短くなり、すなわちSOH値も小さくなる。SOHが小さいほど、動力電池のリチウム析出リスクが高くなり、すると、パラメータ間隔値も小さくなる。
【0050】
任意選択的に、パラメータ間隔値は、3%~95%の範囲であってもよい。例えば、パラメータ間隔値は、5%又は10%であってもよい。
【0051】
上記のパラメータ間隔は、2つの間隔を含むことができる。例示的に、電池パラメータをSOC、[0%、50%) SOC区間を第1パラメータ区間とすると、SOC間隔値は10%であってもよく、[50%、100%]SOC区間を第2パラメータ区間とすると、SOC間隔値は5%であってもよい。
【0052】
第1パラメータ区間及び第2パラメータ区間に加えて、本出願の実施例は、第3パラメータ区間、第4パラメータ区間などのパラメータ区間をさらに含んでもよい。例えば、[0%、40%) SOC区間は第1パラメータ区間、[40、80%) SOC区間は第2パラメータ区間、[80、100%] SOC区間は第3パラメータ区間とすると、[0、40%) SOC区間のSOC間隔値>[40、80%) SOC区間のSOC間隔値>[80、100%] SOC区間のSOC間隔値である。
【0053】
パラメータ区間が多ければ多いほど、リチウム析出抑制効果がよく、すなわち動力電池の安全性はよくなる。また、充電時間に対する影響をさらに低減し、これによりユーザー体験を向上させることもできる。
【0054】
任意選択的に、本出願の実施例において、BMSが動力電池の放電を制御することは、具体的に、BMSが放電パラメータに基づいて、動力電池の放電を制御することであってもよい。
【0055】
放電パラメータには、放電時間、放電電流、放電電圧などが含まれるが、これらに限定されない。放電時間は、例えば、1s~60sであってもよく、電流の大きさは、例えば、1A~5であってもよい。
【0056】
1つの可能な実施形態では、BMSは、動力電池の温度、動力電池のSOH、動力電池のSOC、現時点の動力電池がある外部環境などのパラメータのうちの少なくとも1つに基づいて放電パラメータを確定することができる。
【0057】
ここでは、BMSは充電前に動力電池の温度及び/又はSOHを取得してもよいし、充電過程において動力電池の温度及び/又はSOHを取得してもよい。
【0058】
本明細書における用語「及び/又は」は、関連オブジェクトの関連関係の記述に過ぎず、3つの関係を表すことができ、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの3つのケースを表してもよい。
【0059】
一例として、動力電池の温度が例えば、-10℃のように低ければ、放電時間は比較的短く、例えば10sであってもよい。動力電池の温度が正常(例えば20℃)であれば、放電時間は比較的長く、例えば40秒であってもよい。
【0060】
一例として、動力電池のSOHが大きければ大きいほど、放電時間が長く、放電電流が大きくてもよい。
【0061】
上記技術案では、BMSは複数のパラメータによって動力電池の放電時の放電パラメータを総合的に確定し、このようにして、確定された放電パラメータはより正確であり、これにより、動力電池の放電をより良好に実現することができる。
【0062】
任意選択的に、本出願の実施例において、ステップ220は、具体的には、BMSが、動力電池の電池パラメータがパラメータ間隔値だけ変化するごとに、動力電池の放電又は充電停止を制御することであってもよい。
【0063】
一例として、BMSは、動力電池の電池パラメータがパラメータ間隔値だけ変化するごとに、1回放電するように動力電池を制御することができる。
【0064】
例えば、電池パラメータをOCV、[0%、50%) OCV区間を第1パラメータ区間、OCV間隔値を10%、[50%、100%] OCV区間を第2パラメータ区間、OCV間隔を5%とする。動力電池のOCVが10% OCVの場合、BMSは1回放電するように動力電池を制御し、その後、動力電池のOCVが20% OCVの場合、BMSは1回放電するように動力電池を再度制御し、その後、動力電池のOCVが30% OCV、40% OCV、50% OCV、55% OCV、60% OCV、65% OCV、70% OCV、75% OCV、80% OCV、85% OCV、90% OCV、95% OCV、100% OCVの場合、BMSは、それぞれ動力電池を、1回放電するように制御できる。
【0065】
別の例として、BMSは、動力電池の電池パラメータがパラメータ間隔値だけ変化するごとに、動力電池を複数回放電するように制御することができる。
【0066】
例えば、依然として、電池パラメータをOCV、[0%、50%) OCV区間を第1パラメータ区間、OCV間隔値を10%、[50%、100%]OCV区間を第2パラメータ区間、OCV間隔を5%とする。動力電池のOCVが10% OCVである場合、BMSは、動力電池を2回放電するように制御し、ここでは、2回の放電間の時間間隔は、ある時間閾値よりも小さくすることができる。
【0067】
任意選択的に、毎回の放電に対する動力電池の放電パラメータは同じであってもよい。例えば、動力電池の毎回の放電時間は20sであり、放電電流は10Aである。
【0068】
任意選択的に、動力電池の毎回の放電の放電パラメータは異なってもよい。例えば、動力電池のSOCが10% SOCの場合、動力電池は50s放電し、放電電流は3Aであり、動力電池のSOCが55% SOCの場合、動力電池は30s放電し、放電電流は1Aである。
【0069】
任意選択的に、本出願の実施例において、ステップ220は、具体的には、動力電池の電池パラメータがターゲット電池パラメータに等しいかどうかを確定し、動力電池の電池パラメータがターゲット電池パラメータに等しい場合、BMSは、動力電池の放電又は充電停止を制御することを含むことができる。
【0070】
ここで、ターゲット電池パラメータは、パラメータ間隔値に基づいて確定される電池パラメータである。例えば、パラメータ間隔値が5%であれば、ターゲット電池パラメータは5%、10%、15%、20%・・・となる。
【0071】
ターゲット電池パラメータは、BMSに予め設定されてもよい。例えば、表1と表2に示すように、ターゲット電池パラメータは、表形式でBMSに予め設定することができる。
【表1】
【表2】
【0072】
本明細書における具体的な実施例は、当業者が本出願の実施形態をよりよく理解するのを助けるためだけであり、本出願の実施形態の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。
【0073】
上記技術案では、動力電池の電池パラメータがターゲット電池パラメータに等しい場合、BMSは動力電池の放電又は充電の停止を制御し、このように、動力電池の充電と放電のバランスがよりうまく取れることができ、動力電池の安全性能を保証する上で動力電池への充電を完成する。
【0074】
動力電池の電池パラメータがパラメータ間隔値だけ変化する場合、方法200は、BMSが、充電スタンドに充電要求情報を送信することをさらに含み、該充電要求情報に運ばれる充電要求電流は0である。つまり、充電要求情報は、充電スタンドに動力電池への充電の停止を指示するために用いられる。
【0075】
図3は、図2のステップ220の1つの可能な実施形態の概略フローチャートである。図3の方法は、ステップ310~330を含むことができる。
【0076】
ステップ310では、動力電池の電池パラメータがパラメータ間隔値だけ変化する場合、BMSは充電スタンドに充電要求情報を送信し、該充電要求情報に運ばれる充電要求電流は0である。
【0077】
ステップ320では、BMSは、充電要求情報に基づいて充電スタンドが動力電池を充電する実際の充電電流を取得する。
【0078】
ステップ330では、実際の充電電流が電流閾値未満である場合、動力電池の放電を制御する。
【0079】
通常、BMSから送信した、充電要求電流が0である旨が運ばれる充電要求情報を充電スタンドが受信と、充電スタンドが動力電池に伝送する実際の充電電流は徐々に低下し、すぐに0にはならない。実際の充電電流が電流閾値まで低下するとき、BMSは動力電池の放電を制御する。
【0080】
本出願の実施例において、電流閾値は、特に限定されるものではないが、一例として50Aであってもよい。
【0081】
動力電池を充電する過程において、動力電池の放電を直接制御すれば、動力電池に損傷を与え、動力電池の寿命に影響するだけでなく、安全上の危険ももたらし、動力電池の安全性に影響する。上記技術案では、BMSは、充電要求電流が0である旨が運ばれる充電要求情報を送信し、かつ動力電池の実際の充電電流が小さく、例えば電池閾値より小さい場合、BMSは動力電池の放電を制御し、動力電池の寿命と性能を保証することができ、動力電池の充放電過程の安全性を向上させる。
【0082】
動力電池の正常な充電を保証するために、さらに、方法200は、BMSが動力電池の放電停止を制御することをさらに含むことができる。
【0083】
一例として、BMSが充電スタンドに充電要求情報を送信する時間が第1時間閾値以上である場合、BMSは、動力電池を、放電を停止するように制御することができる。
【0084】
ここで、BMSが充電スタンドに充電要求情報を送信する時間は、BMSが、充電要求情報を充電スタンドに複数回送信する総時間として理解されてもよい。例えば、BMSは充電スタンドに充電要求情報を5sごとに送信し、BMSが充電要求情報を合計6回送信すれば、BMSが充電スタンドに充電要求情報を送信する時間は30sである。
【0085】
任意選択的に、BMSが充電スタンドに充電要求情報を初めて送信するとき、BMSは、第1タイマをスタートすることができ、ここでは、第1タイマのタイミング時間は、第1時間閾値である。第1タイマがタイムアウトした後、BMSは、動力電池を、放電を停止するように制御することができる。
【0086】
任意選択的に、第1時間閾値は、60秒であってもよいが、これに限定されない。
【0087】
別の例として、動力電池の放電時間が第2時間閾値以上であるとき、BMSは、動力電池を、放電を停止するように制御することができる。
【0088】
任意選択的に、第2時間閾値は、20sであってもよいが、これに限定されない。
【0089】
任意選択的に、動力電池の放電が開始するとき、BMSは、」第2タイマをスタートすることができ、第2タイマのタイミング時間は、第2時間閾値である。第2タイマがタイムアウトした後、BMSは、動力電池を、放電を停止するように制御することができる。
【0090】
さらに別の例として、BMSは、動力電池の放電量が特定の値に達する場合、動力電池を、放電を停止するように制御することができる。
【0091】
BMSが動力電池の放電を常に制御する場合、動力電池の正常な充電過程に影響を与える可能性がある。上記技術案では、BMSが充電スタンドに充電要求情報を送信する時間が第1時間閾値以上である場合、又は、動力電池の放電時間が第2時間閾値以上である場合、BMSは放電を停止するように動力電池を制御し、このように、動力電池の電気を全部放出する問題を避け、従って、動力電池の正常な充電を保証することができる。
【0092】
BMSが動力電池を、放電を停止するように制御した後、BMSは充電スタンドに充電需要パラメータを送信することができ、該充電需要パラメータは充電スタンドに充電電流を出力することを指示するために用いることができ、該充電電流は、動力電池を充電するために用いられる。充電スタンドは該充電需要パラメータを受信した後、該充電需要パラメータに基づいて動力電池に充電電流を出力する。
【0093】
ここでは、BMSは動力電池の、動力電池の温度、動力電池の電圧、動力電池の容量、動力電池のSOCの少なくとも1つのパラメータに基づいて充電需要パラメータを確定することができる。
【0094】
上記技術案では、動力電池の放電が停止した後、BMSは充電スタンドに充電需要パラメータを送信して、充電スタンドが動力電池を充電し続けるようにし、これにより、動力電池を充電する目的を達成することができる。
【0095】
任意選択的に、本出願の実施例において、方法200は、BMSが動力電池の状態を確定し、動力電池が満充電状態又は充電コネクタ抜き状態にある場合に、動力電池の放電を制御する。
【0096】
一例として、BMSは、動力電池のパラメータを取得することによって、動力電池のパラメータに基づいて、動力電池の状態を確定することができる。例えば、動力電池のパラメータはSOCを含むことができ、動力電池のSOCが100%に達したときに、BMSは、動力電池が満充電状態にあると確定することができる。
【0097】
別の例として、BMSは、充電スタンドに確認情報を送信することができ、BMSが、充電スタンドによりその確認情報に対して送信された応答情報を受信していない場合、BMSは、動力電池が充電コネクタ抜き状態にあると確定することができる。
【0098】
動力電池が満充電状態又は充電コネクタ抜き状態にあるとき、BMSが動力電池の放電を制御する放電パラメータは、動力電池が充電状態にあるときの放電パラメータと同じであってもよい。例えば、充電状態でも、満充電でも、充電コネクタ抜き状態でも、動力電池の放電時の放電電流は10A、放電時間は20sであってもよい。
【0099】
或いは、動力電池が満充電状態又は充電コネクタ抜き状態にあるとき、BMSが動力電池の放電を制御する放電パラメータは、動力電池が充電状態にあるときの放電パラメータとは異なってもよい。例えば、放電時間は、動力電池が充電状態にあるときの放電時間よりも短くてもよく、放電電流は、動力電池が充電状態にあるときの放電電流よりも小さくてもよい。
【0100】
上記技術案では、動力電池が満充電状態又は充電コネクタ抜き状態にある時、BMSは動力電池を放電するように制御し、このように動力電池が後続の充電過程において、充電スタンドと動力電池との接続を確立した後、動力電池を直接充電することによる動力電池のリチウム析出リスクの問題を避けることができ、それにより動力電池の安全性能をさらに向上させる。
【0101】
動力電池の放電時、動力電池の放電対象は充電スタンドであってもよい。充電スタンドは動力電池からの放電を受け取った後、受け取った電気量を利用して他の車両を充電することができる。
【0102】
任意選択的に、動力電池の放電対象は、動力電池が存在する車両であってもよく、具体的には、例えば、車両上のエアコンなどであってもよい。
【0103】
さらに、動力電池の放電対象は、モバイルバッテリーなどの他の外部装置であってもよい。
【0104】
このようにして、電力の循環利用を実現し、省エネルギの目的を達成することができる。
【0105】
なお、車両から充電コネクタを抜いた後、動力電池の放電対象は充電スタンドを含まない。
【0106】
本出願の実施例の動力電池を充電する方法200をより明確に理解するために、本出願の1つの可能な実施例の動力電池を充電する方法を、図4に関連して以下に説明する。ここでは、図4において、電池パラメータはSOC、電流閾値は50A、第1時間閾値は60s、第2時間閾値は20sである。
【0107】
ステップ401では、BMSは、動力電池が充電状態にあるかどうかを判定する。
【0108】
動力電池が充電状態にある場合、ステップ402を実行し、動力電池が充電状態にない場合、ステップ411を実行し、
【0109】
ステップ402では、BMSは、動力電池のSOCを取得する。
【0110】
ステップ403では、BMSは、動力電池のSOCがターゲットSOCに等しいかどうかを確定する。
【0111】
ステップ404では、動力電池のSOCがターゲットSOCに等しい場合、BMSは、充電要求情報を充電スタンドに送信し、計時を開始する。
【0112】
ここで、該充電要求情報に運ばれる充電要求電流は0である。
【0113】
ステップ405では、BMSは、充電スタンドが動力電池を充電する実際の充電電流を収集する。
【0114】
ステップ406では、BMSは、実際の充電電流が50A未満であるかどうかを判定する。
【0115】
実際の充電電流が50A未満であれば、ステップ407を実行する。
【0116】
ステップ407では、BMSは、動力電池の放電を制御する。
【0117】
例えば、BMSは、10Aの電流で20sの放電時間で動力電池を放電するように制御することができる。
【0118】
ステップ408において、BMSは、充電スタンドに充電要求情報を送信する時間が60s以上であるかどうか、あるいは、動力電池放電の放電時間が20s以上であるかどうかを判定する。
【0119】
BMSが充電スタンドに充電要求情報を送信時間が60s以上である、又は、動力電池が放電する放電時間が20s以上である場合、ステップ409を実行する。
【0120】
ステップ409では、BMSは、動力電池を、放電を停止するように制御する。
【0121】
ステップ410では、BMSは、充電需要パラメータを充電スタンドに送信する。
【0122】
該充電需要パラメータは、充電スタンドが動力電池を充電するための充電電流を出力することを指示するために用いられる。
【0123】
ステップ411では、BMSは、動力電池が満充電状態又は充電コネクタ抜き状態であるかどうかを判定する。
【0124】
ステップ412では、BMSは、動力電池が満充電状態又は充電コネクタ抜き状態にある場合、動力電池の放電を制御する。
【0125】
例えば、BMSは、10Aの電流で動力電池を、20s放電するように制御することができる。
【0126】
以上、本出願の実施例の方法実施例を詳細に説明し、以下、本出願の実施例の装置実施例について説明するが、装置実施例と方法実施例とは、互いに対応するため、詳細に説明しない部分については、前述の各方法の実施例を参照することができ、装置は、上述の方法で実現可能な任意の手段を実施することができる。
【0127】
図5は、本出願の一実施例のBMS 500の概略ブロック図を示す。該BMS 500は、本出願の実施例の動力電池を充電する方法200を実行することができる。図5に示すように、該BMS 500は、
【0128】
取得ユニット510であって、前記動力電池の電池パラメータを取得するために用いられ、前記電池パラメータが荷電状態SOC及び/又は開回路電圧OCVを含むものと、
【0129】
制御ユニット520であって、前記動力電池の充電過程において、前記動力電池の電池パラメータがパラメータ間隔値だけ変化する場合、前記動力電池の放電又は充電停止を制御するものとを含むことができる。
【0130】
ここでは、前記動力電池の電池パラメータが第1パラメータ区間にある場合、前記パラメータ間隔値は第1予め設定されたパラメータ間隔値であり、前記動力電池の電池パラメータが第2パラメータ区間にある場合、前記パラメータ間隔値は第2予め設定されたパラメータ間隔値であり、前記第1予め設定されたパラメータ間隔値は、前記第2予め設定されたパラメータ間隔値よりも大きく、前記第1パラメータ区間における電池パラメータは、前記第2パラメータ区間における電池パラメータよりも小さい。
【0131】
任意選択的に、本出願の一実施例において、前記パラメータ間隔値は、3%~95%の範囲である。
【0132】
任意選択的に、本出願の一実施例では、前記制御ユニット520は具体的に、前記動力電池の電池パラメータがターゲット電池パラメータに等しいかどうかを確定し、前記ターゲット電池パラメータが前記パラメータ間隔値に基づいて確定された電池パラメータであり、前記動力電池の電池パラメータが前記ターゲット電池パラメータに等しい場合、前記動力電池の放電又は充電停止を制御するために用いられる。
【0133】
任意選択的に、本開示の一実施例では、通信ユニットをさらに含み、前記通信ユニットは、充電スタンドに充電要求情報を送信するために用いられ、前記充電要求情報に運ばれる充電要求電流は0であり、前記取得ユニット510はさらに、前記充電スタンドが前記充電要求情報に基づいて前記動力電池を充電する実際の充電電流を取得するために用いられ、前記制御ユニット520は、具体的に、前記実際の充電電流が電流閾値未満である場合、放電するように前記動力電池を制御するために用いられる。
【0134】
任意選択的に、本出願の一実施例では、前記制御ユニット520はさらに、前記充電スタンドに前記充電要求情報を送信する時間が第1時間閾値以上である場合、放電を停止するように前記動力電池を制御するために用いられる。
【0135】
任意選択的に、本出願の一実施例では、前記制御ユニット520はさらに、前記動力電池の放電時間が第2時間閾値以上である場合、放電を停止するように前記動力電池を制御するために用いられる。
【0136】
該BMS 500は、方法200におけるBMSの対応する動作を実施することができ、簡潔にするために、ここでは繰り返さないことを理解されたい。
【0137】
図6は、本出願の実施例におけるBMSのハードウェア構成を示す図である。BMS600は、メモリ601と、プロセッサ602と、通信インタフェース603と、バス604とを含む。ここでは、メモリ601、プロセッサ602、通信インタフェース603は、バス604を介して互いに通信接続することを実現する。
【0138】
メモリ601は、リードオンリーメモリ(read-only memory,ROM)、スタティックメモリデバイス、及びランダムアクセスメモリ(random access memory,RAM)であってよい。メモリ601はプログラムを記憶することができ、メモリ601に記憶されたプログラムがプロセッサ602により実行する際に、プロセッサ602及び通信インタフェース603は、本出願の実施例の動力電池充電方法の各ステップを実行するために用いられる。
【0139】
プロセッサ602は、汎用中央処理装置(central processing unit,CPU)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit,ASIC)、グラフィックスプロセシングユニット(graphics processing unit,GPU)、又は1つ以上の集積回路を採用することができ、本発明の実施例の装置におけるユニットが実行すべき機能を実現するか、本出願の実施例の動力電池充電方法を実行するように、関連プログラムを実行するために用いられる。
【0140】
プロセッサ602は、信号処理能力を有する集積回路チップであってもよい。実現過程において、本出願の実施例の動力電池充電方法の各ステップは、プロセッサ602内のハードウェアの集積論理回路又はソフトウェア形式の命令によって達成することができる。
【0141】
上記プロセッサ602はさらに、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processing,DSP)、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array,FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理デバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントであってもよい。本出願の実施例において開示された各方法、ステップ、及び論理ブロック図を実現し、又は実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいし、任意の従来のプロセッサであってもよい。本出願の実施例に関連して開示する方法の各ステップは、ハードウェアプロセッサによる実行完了、又は、プロセッサ内のハードウェアとソフトウェアモジュールの組み合わせによる実行完了として直接具現化することができる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ、プログラマブルリードオンリーメモリ、又は電気的に消去可能なプログラマブルメモリ、レジスタなどの当技術分野で成熟した記憶媒体に位置することができる。該記憶媒体は、メモリ601に位置し、プロセッサ602は、メモリ601における情報を読み出し、そのハードウェアと組み合わせて、本出願の実施例のBMSに含まれるユニットが実行すべき機能を完了し、あるいは、本出願の実施例の動力電池充電方法を実行する。
【0142】
通信インタフェース603は、BMS 600と他の装置又は通信ネットワークとの間の通信を可能にするトランシーバのような送受信装置を使用するが、これに限定されない。例えば、BMS 600は、通信インタフェース603を介して充電スタンドに充電要求情報を送信することができる。
【0143】
バス604は、BMS 600の各構成要素(例えば、メモリ601、プロセッサ602、通信インタフェース603)間で情報を伝送する経路を含むことができる。
【0144】
上述のBMS 600は、メモリ、プロセッサ、通信インタフェースのみを示しているが、具体的な実現過程において、当業者が理解できるように、BMS600が、正常な動作を達成するために必要な他の手段も含むことができる。一方、BMS 600は、特定の要求に応じて、他の追加機能を実現するハードウェアデバイスも含むことができることを当業者は理解するであろう。さらに、当業者は、装置BMS 600が、本出願の実施例を実現するには必要なデバイスのみを含むことができ、図6に示すデバイスの全てを含む必要がないことを理解するであろう。
【0145】
また、本出願の実施例は、装置が実行するためのプログラムコードを記憶するコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、前記プログラムコードは、上述の動力電池充電方法におけるステップを実行するための命令を含む。
【0146】
また、本出願の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されるコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供し、前記コンピュータプログラムはプログラム命令を含み、前記プログラム命令がコンピュータにより実行されると、前記コンピュータに、上記の動力電池を充電する方法を実行させる。
【0147】
上記のコンピュータ可読記憶媒体は、一時的コンピュータ可読記憶媒体であってもよいし、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0148】
本出願の様々な実施例において、各プロセスのシーケンス番号の大きさは、実行順序の前後を意味するものではなく、各プロセスの実行順序は、その機能及び固有の論理によって確定され、本出願の実施例の実施過程への何らの限定を構成しないことを理解されたい。
【0149】
なお、本明細書に記載の種々の実施形態は、単独で実施されてもよく、組み合わせて実施されてもよく、本出願の実施例はこれに限定されるものではないことを理解されたい。
【0150】
好ましい実施例を参照して本出願を説明したが、本出願の範囲から逸脱することなく、それに対して様々な改良を行うことができ、そのうちの部材を同等物によって置換することができる。特に、構成上の矛盾がない限り、各実施例で言及される各技術的特徴はいずれも、任意の方法で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示される特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に含まれる全ての技術案を含む。
【符号の説明】
【0151】
100 充電システム
110 充電装置
120 電池システム
121 動力電池
122 電池管理システム(BMS)
130 電線
140 通信線
500 BMS
510 取得ユニット
520 制御ユニット
600 BMS
601 メモリ
602 プロセッサ
603 通信インタフェース
604 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6