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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ディスプレイ基板
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240208BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240208BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20240208BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G09F9/30 308Z
G09F9/33
C08G73/10
H05K1/02 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021531490
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 KR2020001364
(87)【国際公開番号】W WO2020159226
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】10-2019-0011816
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519260120
【氏名又は名称】エーピーエス ホールディングス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ペク,スン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジェ・ソン
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-087928(JP,A)
【文献】特表2018-509308(JP,A)
【文献】特表2015-534126(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0103818(KR,A)
【文献】特開2015-129891(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0029116(US,A1)
【文献】特開昭57-173816(JP,A)
【文献】実開平01-105971(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G09F 9/33
C08G 73/10
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が配列される可撓性基板部と、
前記可撓性基板部の一面に形成され、前記発光素子に電源を供給する配線部と、を含み、
前記配線部は、前記発光素子の配列位置から前記可撓性基板部の一端部に向けて延び、
前記可撓性基板部の一端部には、前記配線部の延長方向に突出する突出部が設けられ、
前記配線部は、前記突出部の端部まで延び、
前記可撓性基板部と前記突出部は、同一素材で一体的に形成され
前記可撓性基板部の素材は、120℃~150℃の温度で熱処理されたPETであり、
前記突出部は、前記配線部が一側面に印刷され、他側面に補助シートが積層され、
前記補助シートは金属板又はグラファイトシートである、ディスプレイ基板。
【請求項2】
前記可撓性基板部の素材は、400nm~700nmの波長光を50%以上透過させる、請求項1に記載のディスプレイ基板。
【請求項3】
前記補助シートの軟化点は、前記突出部の軟化点よりも高く、
前記補助シートの熱伝導率は、前記突出部の熱伝導率よりも高い、請求項に記載のディスプレイ基板。
【請求項4】
前記可撓性基板部の一面に形成される仮想の直線である第1直線上に複数の前記発光素子が配列され、
前記第1直線上に配列された前記発光素子に連結される配線部は、前記第1直線に平行な方向に前記突出部まで延びる、請求項1に記載のディスプレイ基板。
【請求項5】
前記可撓性基板部に印刷される前記配線部の幅は、0.3μm~1000μmである、請求項に記載のディスプレイ基板。
【請求項6】
前記第1直線上に配列された前記発光素子のうち、1つを第1発光素子とし、他の1つの前記発光素子を第2発光素子とし、
前記第1発光素子が、前記第2発光素子よりも前記突出部からさらに遠く配されれば、前記第1発光素子に連結される配線部の幅は、前記第2発光素子に連結される配線部の幅よりもさらに広い、請求項に記載のディスプレイ基板。
【請求項7】
1つの前記突出部には、複数の配線部が印刷され、
前記突出部に印刷された前記配線部の幅は、前記可撓性基板部に印刷された前記配線部の幅の1.1倍以上である、請求項1に記載のディスプレイ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年1月30日付の韓国特許出願10-2019-0011816号に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、ディスプレイ基板及びその製造方法に係り、具体的には、ディスプレイシートに電気的に連結される周辺部品とディスプレイシートとの電気的連結部位の耐熱性と耐久性とが向上したディスプレイ基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
LEDが設けられ、LEDと他の回路とを連結し、LEDに電力を供給する基板は、従来にほとんどFR4樹脂やアルミニウムを素材とするPCB(印刷回路基板)であった。一般的なPCBの場合、硬い板材であるために、それを活用して製作されるLEDモジュールも、粗悪な棒状に製作されるしかなかった。
【0004】
最近、新たな素材をLEDの基板として活用する技術が開発されており、LEDディスプレイ市場には、新たなトレンドが形成されている。新たな素材を基板として活用するための試みが振起されることは、一般PCBを使用した製品が有していない新たな特性を付与することができるためである。このような特性は、大きく分けて「透明性」と「柔軟性」の二つである。
【0005】
透明性と柔軟性とを有する素材としては、PETフィルムなどがあるが、耐熱性に脆弱であるために、配線が集中される部位は、耐熱性が高い別途の配線が印刷された素材が連結されるしかない。別途の配線が印刷された素材は、ディスプレイ基板に接着剤で連結されるために、連結部品は、他の部位よりも発熱が激しく、接着力の弱化で分離の問題が発生する。
【0006】
韓国登録特許第10-1689131号公報には、「メタルメッシュを利用した透明ディスプレイ」についての技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録特許第10-1689131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はディスプレイ基板及びその製造方法に係り、具体的には、ディスプレイシートに電気的に連結される周辺部品とディスプレイシートとの電気的連結部位の耐熱性と耐久性とが向上したディスプレイ基板及びその製造方法を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のディスプレイ基板は、複数の発光素子が配列される可撓性基板部;及び前記可撓性基板部の一面に形成され、前記発光素子に電源を供給する配線部;を含み、前記配線部は、前記発光素子の配列位置から前記可撓性基板部の一端部に向けて延び、前記可撓性基板部の一端部には、前記配線部の延長方向に突出する突出部が設けられ、前記配線部は、前記突出部の端部まで延び、前記可撓性基板部と前記突出部は、同一素材で一体的に形成されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のディスプレイ装置は、ハーネスのような周辺部品と電気的に連結するに際して、導電性接着剤などの化学的結合を排除し、基板の熱変形を防止する構造をとることにより、断線、変形などの問題を防止することができる。
【0012】
また、本発明のディスプレイ基板は、ディスプレイシートに別途のFPCBを回路配線形状に合わせて接着しなければならない煩わしい工程を製造段階で省略することができる。
【0013】
本発明のディスプレイ基板は、曲げ及びねじり変形が容易であるために、多様な設置環境に対して容易に設置することができ、面が収縮または膨張しないようにすることにより、断線またはショートの事故を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来のディスプレイ基板を示す平面図である。
図2】本発明のディスプレイ基板を示す平面図である。
図3】本発明のディスプレイ基板を示す縦断面図である。
図4】本発明のディスプレイ基板の一実施形態を示す平面図である。
図5】本発明のディスプレイ基板の他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のディスプレイ基板は、複数の発光素子が配列される可撓性基板部;及び前記可撓性基板部の一面に形成され、前記発光素子に電源を供給する配線部;を含み、前記配線部は、前記発光素子の配列位置から前記可撓性基板部の一端部に向けて延び、前記可撓性基板部の一端部には、前記配線部の延長方向に突出する突出部が設けられ、前記配線部は、前記突出部の端部まで延び、前記可撓性基板部と前記突出部は、一体の同一素材で形成されるものである。
【0016】
本発明のディスプレイ基板において、前記可撓性基板部の素材は、400~700nmの波長光を50%以上透過させるCPI(clear polyimide)でもある。
【0017】
本発明のディスプレイ基板において、前記CPIは、3,3’,4,4’-biphenyl tetracarboxylic dianhydride(BPDA)、bicycle[2.2.2]oct-7-ene-2,3,5,6-tetracarboxylic dianhydride(BTDA)、3,3’,4,4’-diphenylsulfone tetracarboxylic dianhydride(DSDA)、4,4’-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride(6FDA)、4,4’-oxydiphthalic anhydride(ODPA)、pyromellitic dianhydride(PMDA)、4-(2,5-dioxotetrahydrofuran-3-yl)-1,2,3,4-tetrahydronaphthalene-1,2-dicarboxylic anhydride(DTDA)、4,4’-(4,4’-isopropylidenediphenoxy)-bis-(phthalicanhydride)(BPADA)、3,3’,4,4’-benzotetracarboxylic dianhydride(BTDA)、1,2,3,4-Cyclobutane tetracarboxylic dianhydride(CBDA)、1,2,3,4-Cyclohexane tetracarboxylic dianhydride(CHDA)、及び5-(2,5-Dioxotetrahydrofuryl)-3-methyl-3-cyclohexene-1,2-dicarboxylic anhydride(DOMDA)からなる群から選択される無水物と、2,2-Bis(3-amino-4-hydroxyphenyl)hexafluoropropane(BAHFP)、1,3-Bis(3-aminophenoxy)benzene(m-BAPB)、4,4’-Bis(4-aminophenoxy)biphenyl(p-BAPB)、2,2-Bis(3-aminophenyl)hexafluoropropane(BAPF)、bis[4-(3-aminophenoxy)phenyl]sulfone(m-BAPS)、2,2-Bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]sulfone(p-BAPS)、Bis(3-aminophenyl)sulfone(APS)、m-xylylenediamine(m-XDA)、p-xylylenediamine(p-XDA)、3,4’-Oxydianiline(3,4-ODA)、2,2-Bis(3-amino-4-methylphenyl)hexafluoropropane(BAMF)、4,4’-Diaminooctafluorobiphenyl、3,3’-Dihydroxybenzidine、2,2’-Ethylenedianilin、2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine(TFB)、2,2’,5,5’-Tetrachlorobenzidine、Bis(3-aminophenyl)methanone、2,7-Diaminofluorene、2-Chloro-p-phenylenediamine、1,3-Bis(3-aminopropyl)-tetramethyldisiloxane、1,1-Bis(4-aminophenyl)cyclohexane、9,9-Bis(4-aminophenyl)fluorene、5-(Trifluoromethyl)-1,3-phenylenediamine、4,4’-methylenebis(2-methylcyclohexylamine)、4-Fluoro-1,2-phenylenediamine、4,4’-(1,3-Phenylenediisopropylidene)bisaniline、4-Nitro-1,3-phenylenediamine、4-Chloro-1,3-phenylenediamine、3,5-Diaminobenzonitrile、1,3-bis(aminomethyl)cyclohexane(m-CHDA)、1,4-Bis(aminomethyl)cyclohexane(p-CHDA)、2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane(6FBAPP)、2,2’-Bis(trifluoromethyl)benzidine(MDB)、4,4’-Oxydianiline(4,4’-ODA)、2,2-Bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane(BAPP)、1,3-Cyclohexanediamine、1,4-Cyclohexanediamine、及びBis(4-aminophenyl)sulfide(4,4’-SDA)からなる群から選択されるジアミンと、を重合成分として含むものである。
【0018】
本発明のディスプレイ基板において、前記可撓性基板部の素材は、120~150℃の温度で熱処理されたPETでもある。
【0019】
本発明のディスプレイ基板において、前記突出部は、前記配線部が一側面に印刷され、他側面に補助シートが積層されるものである。
【0020】
本発明のディスプレイ基板において、前記補助シートの軟化点は、前記突出部の軟化点よりも高く、前記補助シートの熱伝導率は、前記突出部の熱伝導率よりも高いものである。
【0021】
本発明のディスプレイ基板において、前記可撓性基板部の一面に形成される仮想の直線である第1直線上に複数の前記発光素子が配列され、前記第1直線上に配列された前記発光素子に連結される配線部は、前記第1直線に平行な方向に前記突出部まで延びるものである。
【0022】
本発明のディスプレイ基板において、前記可撓性基板に印刷される前記配線部の幅は、0.3μm~1000μmでもある。
【0023】
本発明のディスプレイ基板において、前記第1直線上に配列された前記発光素子のうち、1つを第1発光素子とし、他の1つの前記発光素子を第2発光素子とし、前記第1発光素子が、前記第2発光素子よりも前記突出部からさらに遠く配されれば、前記第1発光素子に連結される配線部の幅は、前記第2発光素子に連結される配線部の幅よりもさらに広いものである。
【0024】
本発明のディスプレイ基板において、1つの前記突出部には、複数の配線部が印刷され、前記突出部に印刷された前記配線部の幅は、前記可撓性基板部に印刷された前記配線部の幅の1.1倍以上でもある。
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明による実施形態を詳しく説明する。この過程で図面に示された構成要素の大きさや形状などは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して示される。また、本発明の構成及び作用を考慮して特別に定義された用語は、ユーザ、運用者の意図または慣例によって変わりうる。このような用語に対する定義は、本明細書の全般に亘った内容に基づいて下されなければならない。
【0026】
図1は、従来のディスプレイ基板を示す平面図であり、図2は、本発明のディスプレイ基板を示す平面図であり、図3は、本発明のディスプレイ基板を示す縦断面図であり、図4は、本発明のディスプレイ基板の一実施形態を示す平面図であり、図5は、本発明のディスプレイ基板の他の実施形態を示す平面図である。
【0027】
以下、図1ないし図5を参照して、本発明のディスプレイ基板に対する構成及び機能について詳しく説明する。
【0028】
図1に示したように、従来のディスプレイ基板1100は、複数の発光素子がメイン基板1010に配列され、発光素子に電源を供給する電源ラインが発光素子の配列位置1020からメイン基板1010の一側端部エッジまで延びる。メイン基板の一側端部エッジの電源ラインと電源を供給する周辺部品1001との電気的連結のために、可撓性の基板(FPCB)1002がメイン基板1010の一側端部に導電性接着剤で接着される。可撓性の基板が連結される周辺部品1001は、ハーネスなどがある。
【0029】
電源ラインの幅は、マイクロメートルスケールであるために、正確な位置に接着剤を塗布して精密な位置制御でメイン基板に可撓性の基板を接着しなければならない煩わしさがあった。
【0030】
また、導電性接着剤で連結されたメイン基板と可撓性の基板との接着部位は、抵抗が高いために、発熱がさらに容易になった。接着部位に熱が集中されれば、メイン基板に熱が伝達されてメイン基板の形状が変形される問題があった。
【0031】
また、発光素子のon/offは、短時間に多く反復されるために、導電性接着剤に加熱と冷却とが頻繁に発生し、導電性接着剤の劣化が加速化されて、メイン基板で可撓性の基板が分離される問題があった。
【0032】
すなわち、従来のディスプレイ基板は、発光素子が配されるメイン基板に可撓性の基板(FPCB)1002が導電性接着剤で接着される構造であるために、メイン基板に可撓性の基板を接着する煩わしさ、接着部位の発熱及び分離の問題点があった。
【0033】
本発明のディスプレイ装置は、ハーネスのような周辺部品と電気的に連結するに際して、導電性接着剤などの化学的結合を排除し、基板の熱変形を防止する構造をとることにより、断線、変形などの問題を防止することができる。
【0034】
図2に示したように、本発明のディスプレイ基板10は、複数の発光素子が配列される可撓性基板部100、及び可撓性基板部100の一面に形成され、発光素子に電源を供給する配線部300を含み、配線部300は、発光素子の配列位置110から可撓性基板部100の一端部に向けて延び、可撓性基板部100の一端部には、配線部300の延長方向に突出する突出部200が設けられ、配線部300は、突出部200の端部まで延び、可撓性基板部100と突出部200は、同一素材で一体的に形成されるものである。
【0035】
可撓性基板部100及び突出部200は、平面のシート状の1つの構造物である。具体的に、突出部200は、可撓性基板部100の一端部に複数設けられうる。それぞれの突出部200は、互いに一定距離離隔して設けられうる。突出部200は、配線部300の長手方向に突出し、1つの突出部200には、複数の配線部300が設けられうる。本発明のディスプレイ基板10は、四角の可撓性シートに配線部300などの回路を印刷した後、可撓性シートの一端部の一部を切り取ることにより、可撓性基板部100及び突出部200を形成しうる。すなわち、可撓性シートの一端部で切られていない部分が突出部200になる。突出部200の端部は、電源を供給する周辺部品に連結される。電源を供給する周辺部品は、ハーネスなどの電気連結素子を意味する。
【0036】
すなわち、本発明のディスプレイ基板10は、可撓性基板部100と突出部200とが1つの構造物として同一素材によって一体的に形成されるものである。したがって、従来のディスプレイ基板とは異なって、接着剤などを用いる化学的結合で連結される電気的連結を排除することができる。
【0037】
可撓性基板部100及び突出部200は、曲げ変形が容易であるが、収縮または膨張の変形が小さな素材である。すなわち、可撓性基板部100及び突出部200は、面に垂直な方向に加えられる曲げ応力に対して変形が自在であるが、面に水平な方向に加えられる力に対しては、面が収縮または膨張せず、一定の規格を保持することができる。本発明のディスプレイ基板10は、曲げ及びねじり変形が容易であるために、多様な設置環境に対して容易に設置することができ、面が収縮または膨張しないようにすることにより、断線またはショートの事故を防止することができる。このような条件を満足する可撓性基板部100または突出部200の厚さは、10μm~700μmになる。可撓性基板部100または突出部200の厚さが10μm未満になれば、小さな衝撃または張力によって可撓性基板部100または突出部200が破れるか、引き伸ばされる。可撓性基板部100または突出部200の厚さが700μmを超過すれば、可撓性基板部100または突出部200における曲げ応力が過度に大きくなり、曲げ変形が起こる代わりに、可撓性基板部100または突出部200が折れることとなるので、複雑な構造物を設置することと、ロール工程を適用することなどにおいて不利になる。
【0038】
本発明のディスプレイ基板10は、発光素子が設けられる可撓性基板部100の面が自在に曲がったり、ねじれたりすることができるため、多様な形状の構造物に容易に設けることができる。最近、ディスプレイ基板10は、建築物、自動車などの多様な分野で内外装材として注目されている。したがって、単純に平面にディスプレイ基板10が設けられるものではなく、曲率がある面に設けられることを要求する場合が増えている。本発明のディスプレイ基板10は、発光素子が設けられる部分が柔軟な可撓性素材であるために、ディスプレイ基板10が設けられる構造物の形状が複雑であっても容易に設けることができる。
【0039】
また、電源を供給する周辺部品が多様な位置に存在しても、突出部200は自在に曲がたったり、ねじれたりすることができるために、電気連結が容易である。電源を供給する周辺部品の位置は、ディスプレイ基板10が設けられる構造物の形状、ディスプレイ装置のデザイン、公差などによって変わりうる。本発明のディスプレイ基板10において、突出部200は、可撓性基板と一体的に形成された柔軟な可撓性素材であるために、ディスプレイ基板10に電源供給をするための周辺部品の位置が変わっても、突出部200は容易に周辺部品に連結することができる。
【0040】
本発明のディスプレイ基板10の可撓性基板部100の素材は、400nm~700nmの波長光を50%以上透過させるCPIでもある。
【0041】
芳香族ポリイミド(polyimide、PI)は、比較的結晶化度が低いか、ほぼ非晶質構造を有する高分子であって、透明であり、剛直な鎖構造によって優れた耐熱性と耐化学性、優れた機械的物性、電気的特性及び寸法安定性を有している高分子材料として、現在、自動車、航空宇宙分野、柔軟性回路基板、LCD用液晶配向膜、接着及びコーティング剤などの電気・電子材料に広く使われている。絶縁材、柔軟性基板、宇宙航空分野に適用することができる多様な長所を有するにも拘らず、特有の濃い色によって透明FPCB(flexible printed circuit board)とディスプレイ分野には、極めて制限的に使われている。PIが固有な色を有する理由は、イミド主鎖内に存在するベンゼンのπ電子が鎖間の結合(intermolecular bonding)によって発生する電荷移動錯体(charge transfer complex、CT-complex)理論で説明可能であり、これは、イミド(imide)構造内にσ電子、π電子、nonbording非共有電子対が存在するので、電子の励起が可能になる。そして、π電子遷移で見れば、共鳴構造の数が増加するほどπ電子の遷移が容易になるので、エネルギー準位は低くなり、それにより、高波長、すなわち、可視光線領域の光を吸収する。水の場合には、190nm以下の高エネルギー波長を吸収して、透明であり、一般的なPIの場合には、400nm以下の波長から500nmの間の可視光線領域の光を吸収することによって、その配色であるyellow~redの色になる。CPIは、PIの熱的、機械的性質を保持しながら、CT-complexを減らすようにデザインされたモノマー構造を使用したものである。
【0042】
本発明のディスプレイ基板10の可撓性基板部または突出部200の素材になるCPIは、3,3’,4,4’-biphenyl tetracarboxylic dianhydride(BPDA)、bicycle[2.2.2]oct-7-ene-2,3,5,6-tetracarboxylic dianhydride(BTDA)、3,3’,4,4’-diphenylsulfone tetracarboxylic dianhydride(DSDA)、4,4’-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride(6FDA)、4,4’-oxydiphthalic anhydride(ODPA)、pyromellitic dianhydride(PMDA)、4-(2,5-dioxotetrahydrofuran-3-yl)-1,2,3,4-tetrahydronaphthalene-1,2-dicarboxylic anhydride(DTDA)、4,4’-(4,4’-isopropylidenediphenoxy)-bis-(phthalicanhydride)(BPADA)、3,3’,4,4’-benzotetracarboxylic dianhydride(BTDA)、1,2,3,4-Cyclobutane tetracarboxylic dianhydride(CBDA)、1,2,3,4-Cyclohexane tetracarboxylic dianhydride(CHDA)、及び5-(2,5-Dioxotetrahydrofuryl)-3-methyl-3-cyclohexene-1,2-dicarboxylic anhydride(DOMDA)からなる群から選択される無水物と、2,2-Bis(3-amino-4-hydroxyphenyl)hexafluoropropane(BAHFP)、1,3-Bis(3-aminophenoxy)benzene(m-BAPB)、4,4’-Bis(4-aminophenoxy)biphenyl(p-BAPB)、2,2-Bis(3-aminophenyl)hexafluoropropane(BAPF)、bis[4-(3-aminophenoxy)phenyl]sulfone(m-BAPS)、2,2-Bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]sulfone(p-BAPS)、Bis(3-aminophenyl)sulfone(APS)、m-xylylenediamine(m-XDA)、p-xylylenediamine(p-XDA)、3,4’-Oxydianiline(3,4-ODA)、2,2-Bis(3-amino-4-methylphenyl)hexafluoropropane(BAMF)、4,4’-Diaminooctafluorobiphenyl、3,3’-Dihydroxybenzidine、2,2’-Ethylenedianilin、2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine(TFB)、2,2’,5,5’-Tetrachlorobenzidine、Bis(3-aminophenyl)methanone、2,7-Diaminofluorene、2-Chloro-p-phenylenediamine、1,3-Bis(3-aminopropyl)-tetramethyldisiloxane、1,1-Bis(4-aminophenyl)cyclohexane、9,9-Bis(4-aminophenyl)fluorene、5-(Trifluoromethyl)-1,3-phenylenediamine、4,4’-methylenebis(2-methylcyclohexylamine)、4-Fluoro-1,2-phenylenediamine、4,4’-(1,3-Phenylenediisopropylidene)bisaniline、4-Nitro-1,3-phenylenediamine、4-Chloro-1,3-phenylenediamine、3,5-Diaminobenzonitrile、1,3-bis(aminomethyl)cyclohexane(m-CHDA)、1,4-Bis(aminomethyl)cyclohexane(p-CHDA)、2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane(6FBAPP)、2,2’-Bis(trifluoromethyl)benzidine(MDB)、4,4’-Oxydianiline(4,4’-ODA)、2,2-Bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane(BAPP)、1,3-Cyclohexanediamine、1,4-Cyclohexanediamine、及びBis(4-aminophenyl)sulfide(4,4’-SDA)からなる群から選択されるジアミンと、を重合成分として含むものである。
【0043】
本発明のディスプレイ基板10の可撓性基板部100または突出部200の素材は、120℃~150℃の温度で熱処理されたPETでもある。すなわち、可撓性基板部100または突出部200の素材は、アニーリングを通じて残留応力を解消し、耐熱性を強化したPETである。
【0044】
図3に示したように、突出部200は、配線部300が一側面に印刷され、他側面に補助シート210が積層されるものである。すなわち、突出部200には、配線部300が形成された面の反対側面に、突出部200の形状変化を防止して突出部200の熱を放出する補助シート210が接着される。したがって、補助シート210の軟化点は、突出部200の軟化点よりも高く、補助シート210の熱伝導率は、突出部200の熱伝導率よりも高い。突出部200の配線に異常状態として過電流が流れて、突出部200の温度が軟化点よりも高く上がっても、補助シート210が突出部200を支持しており、突出部200の変形を防止することができる。突出部200の収縮または膨張変形は、配線部300を断線またはショートさせることができ、作動エラー及び加熱を加速化などの2次問題が発生する。補助シート210は、突出部200の形状変化を防止することにより、ディスプレイ基板10の作動の安定性を強化させることができる。また、突出部200は、熱伝導率が高い素材で設けられることにより、突出部200から発生する熱を迅速に放出することができる。補助シート210は、金属板、グラファイトシートなどである。
【0045】
可撓性基板部100の一面に形成される仮想の直線である第1直線上に複数の発光素子が配列され、第1直線上に配列された前記発光素子に連結される配線部300は、第1直線に平行な方向に前記突出部200まで延びるものである。
【0046】
第1直線上に複数の発光素子が配列されるために、各発光素子に個別的に連結されなければならない配線部300も、同様に複数設けられ、複数の配線部300は、平行に一定間隔で突出部200側に延びる。配線部300は、一定距離以上でディスプレイ基板10を眺める者に見えないことが望ましい。したがって、配線部300は、マイクロメートルスケールの幅に形成され、場合によっては、ナノメートルスケールの幅に形成されうる。
【0047】
可撓性基板に印刷される配線部300の幅は、300nm以上である。配線部300の幅が300nm以下になれば、可視光が吸収され、ディスプレイ基板を通した事物の観測が妨害される。また、複数の配線部300の長手方向を1つの方向に統一して平行に形成することにより、光の1つの偏光成分が吸収されても、他の1つの偏光成分が保たれることで、人によるディスプレイ基板の反対側の事物の認識が可能になることが望ましい。
【0048】
したがって、可撓性基板に印刷される配線部300の幅は、0.3μm~1000μmでもある。1000μm以上の幅の配線部300は、5μm~10m以内の距離で人の目に容易に映るので、それを防止する必要がある。
【0049】
図4に示したように、第1直線上に配列された前記発光素子のうち、1つを第1発光素子とし、他の1つの発光素子を第2発光素子とする時、第1発光素子が第2発光素子よりも突出部200からさらに遠く配されれば、第1発光素子に連結される配線部300の幅は、第2発光素子に連結される配線部300の幅よりもさらに広いものである。すなわち、外部電源とさらに長い配線部300で電気連結される発光素子の配線部300の幅は、外部電源と短い配線部300で電気連結される発光素子の配線部300の幅よりもさらに広い。
【0050】
透明ディスプレイ基板10で基板に印刷される配線部300のような回路は、最大限目立たないことが望ましい。したがって、配線部300は、最大限狭い幅で印刷されることが望ましい。配線部300の幅が狭くなるほど配線部300に長さによって抵抗はさらに大きくなる。
【0051】
1つの発光素子に対してディスプレイ基板10で消費する電力は、発光素子の抵抗をR1とし、配線の抵抗をR2とする時、IR1+IR2になる。Iは、発光素子に流れる電流である。ここで、IR1は、発光素子の光度と比例し、IR2は、配線部300で発生する熱と比例することができる。配線部300の長さに関係なく発光素子において同じ強度の光を生成するためには、電流Iの値は一定でなければならない。したがって、電流Iが一定であるために、配線部300が長くなって、R2が大きくなれば、配線部300に発生する熱も増加する。また、抵抗が大きくなった状態で電流Iを一定に保持するためには、外部電源は発光素子に連結された配線部300の正極にさらに大きな電圧をかけなければならないので、外部電源の負担も大きくなる。したがって、配線部300の長さが長くなるほど配線部300の幅が広がることが望ましい。
【0052】
1つの突出部200に複数の配線部300が印刷される場合、突出部200に印刷された配線部300の幅d1は、可撓性基板部100に印刷された配線部300の幅d2よりもさらに広い。望ましくは、突出部200に印刷された前記配線部300の幅は、可撓性基板部100に印刷された配線部300の幅の1.1倍以上でもある。
【0053】
図5に示したように、複数の配線部300が平行に可撓性基板部100から1つの突出部200の端部まで延びる時、突出部200の幅w(突出部200の突出方向に垂直な方向での長さ)は、可撓性基板部100に印刷された複数の配線部300の全体幅よりも狭い。ここで、複数の配線部300の全体幅は、配線部300がn個であり、配線部300が互いに間隔d3で離隔して印刷された時、(n×d2)+((n-1)×d3)を意味する。
【0054】
この際、突出部200に印刷された配線部300は、可撓性基板部100に印刷された配線部300よりもさらに密集されているために、突出部200では単位面積当たりさらに多くの熱が発生する恐れがある。したがって、突出部200側の配線部300の幅をさらに広くして、配線部300の抵抗を下げて発熱を抑制することができる。また、突出部200の配線部300の端部は、外部部品と接触して電気的に連結されるために、幅を広くすることにより、さらに安定して電気連結を具現することができる。
【0055】
以上、本発明による実施形態が説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これにより多様な変形及び均等な範囲の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、次の特許請求の範囲によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のディスプレイ装置は、ハーネスのような周辺部品と電気的に連結するに際して、導電性接着剤などの化学的結合を排除し、基板の熱変形を防止する構造とすることにより、断線、変形などの問題を防止することができる。
【0057】
また、本発明のディスプレイ基板は、ディスプレイシートに別途のFPCBを回路配線形状に合わせて接着しなければならない煩わしい工程を製造段階で省略することができる。
【0058】
本発明のディスプレイ基板は、曲げ及びねじり変形が容易であるために、多様な設置環境に対して容易に設置することができ、面が収縮または膨張しないようにすることにより、断線またはショートの事故を防止することができる。
図1
図2
図3
図4
図5