(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】パワー半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20240208BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240208BHJP
【FI】
H01L25/04 C
(21)【出願番号】P 2022504661
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2020071018
(87)【国際公開番号】W WO2021014007
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-03-22
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,チュンレイ
(72)【発明者】
【氏名】モーン,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】トッレジン,ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】メンゴッティ,エレナ
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/199621(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0001393(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0021620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体モジュール(10)を形成するために基板(12)に端子(22)を接続する方法であって、前記端子(22)は、第1の材料から形成される第1の接続領域(28)を有し、前記基板(12)は、第2の材料から形成される第2の接続領域(30)を有し、前記第1の材料は、第1の硬度を有し、前記第2の材料は、第2の硬度を有し、前記第1の硬度は、前記第2の硬度とは異なり、硬度がより高いそのような第1の接続領域(28)または第2の接続領域(30)は接続相手領域を形成し、硬度がより低いそのような第1の接続領域(28)または第2の接続領域(30)は接続ベース領域を形成し、前記端子(22)は、超音波溶接またはレーザ溶接によって前記基板(12)に接続され、前記端子(22)を前記基板(12)に接続する前に、前記方法は、前記接続相手領域の硬度に対応する硬度を有する材料から形成される表面サブ層を有する接続層(32)を提供するステップを含み、前記接続層(32)は、前記接続ベース領域上に設けられ、前記表面サブ層は、前記接続相手領域に対向することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記接続層(32)を提供するステップは、低温気体噴霧または選択的レーザ溶融のステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接続層(32)を提供するステップは、金属めっきのステップを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記接続層を提供するステップ(32)は、前記接続ベース領域上に予め形成された層を接合するステップを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記接続層を提供するステップ(32)は、前記接続ベース領域上に予め形成された層を焼結するステップを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記端子(22)は、超音波溶接を使用することによって前記基板(12)に接続されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の材料は銅合金を含み、前記第2の材料は銅を含むか、または前記第1の材料は銅を含み、前記第2の材料は銅合金を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の材料はアルミニウムを含み、前記第2の材料は銅を含むか、または前記第1の材料は銅を含み、前記第2の材料はアルミニウムを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記端子(22)は、プレスばめ補助端子(26)であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記接続層(32)は、前記表面サブ層に加えてベースサブ層を含むように形成され、前記ベースサブ層は、前記表面サブ層が前記接続相手領域の材料を含み、前記ベースサブ層が前記接続ベース領域の材料を含むように、前記接続ベース領域に直接隣接して配置されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記接続層(32)は、その組成を前記第1の材料から前記第2の材料に連続的に変化させることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記接続層(32)は、メタライゼーション(16)上および前記メタライゼーション(16)に隣接する前記基板(12)の本体(14)上に連続的に設けられることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
パワー半導体モジュール(10)であって、パワー半導体デバイスに接触し、端子(22)に接触するための基板メタライゼーション(16)を備え、前記基板メタライゼーション(16)上に配置されるための端子(22)を備え、前記端子(22)は、第1の材料から形成される第1の接続領域(28)を有し、
前記基板メタライゼーション(16)を有する基板(12)は、第2の材料から形成される第2の接続領域(30)を有し、前記第1の材料は、第1の硬度を有し、前記第2の材料は、第2の硬度を有し、前記第1の硬度は、前記第2の硬度とは異なり、前記端子(22)は、その第1の接続領域(28)によって、前記基板(12)に、その第2の接続領域(30)によって接続され、硬度のより高いそのような第1の接続領域(28)または第2の接続領域(30)は接続相手領域を形成し、硬度のより低いそのような第1の接続領域(28)または第2の接続領域(30)は接続ベース領域を形成し、前記第1の接続領域(28)と前記第2の接続領域(30)との間には、接続層(32)が設けられ、前記接続層(32)は、前記接続相手領域の硬度に対応する硬度を有する材料から形成される表面サブ層を有し、前記表面
サブ層は、前記接続相手領域に対向することを特徴とする、パワー半導体モジュール(10)。
【請求項14】
前記端子(22)は、プレスばめ補助端子(22)であることを特徴とする、請求項13に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体モジュールの形成方法に関する。本発明はさらに、パワー半導体モジュールに関する。本発明は、特に、基板メタライゼーションへの端子の改善された接続を有するパワー半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体モジュールは、一般に、当該技術分野において広く公知である。端子を基板または基板メタライゼーションなどの導電性構造体にそれぞれ接続するための異なる接続技術がある。
【0003】
超音波溶接(USW)は、高信頼性および高温パワーエレクトロニクスモジュールに使用され得る基板メタライゼーションに端子を接続するための公知の技術である。特に、超音波溶接は、銅製の端子を、銅メタライゼーションを有するセラミック基板に接合するために広く使用されている。これは主に、銅端子および銅メタライゼーションの両方が、約50のビッカース硬度の範囲などの低い硬度を有する焼鈍銅であるという事実に起因する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、パワー半導体モジュールの高度な設計では、異種材料の溶接、例えば、セラミック基板のアルミニウムメタライゼーションへの銅端子の溶接、または銅メタライゼーションを有するセラミック基板への、CuNiSiから作製された押圧ピン補助端子などの硬質銅端子の溶接が必要であることも公知である。異種材料を接続するために超音波溶接を使用する場合、より硬質の材料は、より軟質の材料に押し込まれるか、またはより軟質の材料を変形させる可能性が高い。代替策として、それぞれ、基板または基板メタライゼーションに端子を接合するために、レーザ溶接を使用することが公知である。しかしながら、この技術について考えると、異種材料を接続するときに脆い金属間相が形成されるリスクがある。
【0005】
したがって、特に端子を基板の基板メタライゼーションと接続することについて考えた場合、異種材料の接続に関して改善の余地があるかもしれない。
【0006】
JP2009302579は、半導体チップの表側電極とリードフレームとを同じ材料で形成し、リードフレームの先端部を凸形状に加工し、半導体チップの対応の表面膜とリードフレームとが対向することを示す。加圧しながら超音波振動を行うことで、最表面に形成された同じ金属が互いに拡散し、はんだを用いずに直接金属接合を行うことができる。そのため、半導体チップとリードフレームとの接続に着目している。端子を導電性構造体に接続する手掛かりについては記載していない。
【0007】
しかしながら、このステップは、端子を基板に固定することに匹敵するものではなく、なぜならば、このステップはまったく異なるプロセスであるからである。この点に関して、先行技術によれば、半導体電極上でのワイヤボンディングの場合、最大100mWが適用され、これとは対照的に、端子の超音波溶接の場合、kW範囲まで適用される。
【0008】
JP2008042039Aは、配線部材をヒートスプレッダとして機能する電極板とリードフレームとに2分割し、電極板を、半導体チップの主面に、リードフレームと非接合状態で、ろう付けすることを記載している。そして、リードフレームの接合端を、電極板の周縁から横方向に延在する延在部上に重ねて、レーザ溶接や電子ビーム溶接等により局所的に加熱する。
【0009】
JP 2012 039018 Aは、超音波接合前に、リードの配線パターンに接合される接続部の一面を凸状に湾曲させ、その凸面を配線パターンに向けることを記載している。超音波印加手段は、凸面とは反対側の面に押し付けられて超音波を印加することにより、リードと配線パターンとを超音波接合する。
【0010】
CN104241209は、専用の電力統合モジュールとして、リードフレーム、制御チップ、サーミスタ、パワーチップ、ダイオードおよび金属ワイヤを含む、屋外電源用の特殊な電力モジュールに関する。放熱基板は、パッケージの底部に位置する。サーミスタ、パワーチップおよびダイオードは、基板にはんだ付けされる。パワーチップおよびダイオードは、超音波接合によりリードフレームに接続され、リードフレームは、放熱基板の両側に分散され、金属ワイヤは、制御チップとリードフレームとを接続する。
【0011】
WO2007/033829は、パワー半導体モジュールの製造方法であって、接触領域と接触要素との間に超音波溶接接触部の形態で接触部が形成され、超音波溶接プロセスに使用されるソノトロードは、接触領域を接触端部とともに組み付けるためにも使用され、それによって、接触部をベース領域とともに組み付けるためにも使用される方法に関する。
【0012】
JP 2011061105 Aには、リード端子を基板のパッドに接続する際に、超音波態様で、充分な接続強度を達成し、パッド破損を抑制する、信頼性の高い接続技術を提供するために、以下のように記載されている。金属基材および絶縁膜上のパッド上には、パッドおよびリード端子よりも硬いコーティング層が形成されている。超音波接続中は、超音波ツールに超音波を印加してコーティング層を破壊し、プラスチック流動によりコーティング層の両側のリード端子とパッドとを直接接続する。
【0013】
US2014/021620 A1は、実施形態によると、パワーデバイスが、第2の表面に面する第1の表面を有する半導体構造と、上部電極と、下部電極とを含むことを記載する。上部電極は、半導体構造の第1の表面上にある第1のコンタクト層と、第1のコンタクト層上にあり、ニッケル(Ni)を含有する金属で形成される第1のボンディングパッド層とを含んでもよい。前記下部電極は、半導体構造の第2の表面の下に位置する第2のコンタクト層と、第2のコンタクト層の下に位置するとともに、Niを含む金属からなる第2のボンディングパッド層とを含んでもよい。
【0014】
しかしながら、上記文献には、特に、パワー半導体モジュールにおいて、端子を基板に、穏やかに、かつ高い信頼性をもって接続することについて、依然として改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の概要
したがって、本発明の目的は、先行技術の少なくとも1つの欠点を少なくとも部分的に克服するための解決策を提供することである。特に本発明の目的は、端子を基板に確実かつ穏やかに接続するための解決策を提供することである。
【0016】
これらの目的は、請求項1の特徴を有するパワー半導体モジュールを形成するために基板に端子を接続する方法によって少なくとも部分的に解決される。これらの目的は、さらに、独立請求項13の特徴を有するパワー半導体モジュールによって少なくとも部分的に解決される。有利な実施形態は、従属請求項、さらなる説明、および図面に示され、説明される実施形態は、明確に除外されない限り、単独で、またはそれぞれの実施形態の任意の組み合わせで、本発明の特徴を提供することができる。
【0017】
記載されるのは、パワー半導体モジュールを形成するために基板に端子を接続する方法であって、端子は、第1の材料から形成される第1の接続領域を有し、基板は、第2の材料から形成される第2の接続領域を有し、第1の材料は、第1の硬度を有し、第2の材料は、第2の硬度を有し、第1の硬度は、第2の硬度とは異なり、硬度がより高いそのような第1の接続領域または第2の接続領域は接続相手領域を形成し、硬度がより低いそのような第1の接続領域または第2の接続領域は接続ベース領域を形成し、端子は、超音波溶接またはレーザ溶接によって基板に接続され、端子を基板に接続する前に、本方法は、接続相手領域の硬度に対応する硬度を有する材料から形成される表面サブ層を有する接続層を提供するステップを含み、接続層は、接続ベース領域上に設けられ、表面サブ層は、接続相手領域に対向することを特徴とする。
【0018】
このような方法は、特に、端子を基板または基板メタライゼーションにそれぞれ確実かつ安全に接続することに関して、先行技術の解決策に勝る有意な利点を提供する。
【0019】
したがって、本発明は、パワー半導体モジュールを形成するために端子を基板に接続する方法に関する。したがって、本方法は、パワー半導体モジュールの製造過程で実施されるのに適しており、及びそれに対して意図され、詳細には、端子を基板に、したがって特に基板メタライゼーションに接続することに対処する。
【0020】
端子は、概して、L字形を有してもよく、その下部が、基板に対して、溶接領域など、その第1の接続領域で、接続される。本発明の意味での端子は、600μm以上、例示的に1000μm以上の厚み、および2mm以上の幅を有してもよい。さらに、溶接領域などの接続領域は、2mm×2mm以上の寸法を有してもよい。端子の断面は矩形であってもよく、L字形の、異なるように整列された2つの部分の間の角度は、矩形または90°超であってもよい。さらに、端子は非可撓性であってもよい。
【0021】
端子とは対照的に、ワイヤボンドの典型的なパラメータは、400μm以下の直径と、0.5mm×1mm以下の溶接面積などの接続面積とを含む。接続領域と隣接部分との間の角度は、90度をはるかに上回るような斜めであってもよく、断面は円形であってもよい。さらに、ワイヤボンドは、可撓性、すなわち屈曲可能であってもよい。
【0022】
さらに、端子とは対照的にリボンに関して、典型的なパラメータは、300μm以下の厚み、2mm以上の幅、および0.5mm×2mm以下の溶接面積などの接続面積を含む。接続領域と隣接部分との間の角度は、90度をはるかに上回るような斜めであってもよく、断面は矩形であってもよい。さらに、リボンは、可撓性、すなわち屈曲可能であってもよい。
【0023】
したがって、本発明の意味における接続は、端子を基板もしくは基板メタライゼーションにそれぞれ機械的および/または電気的に接続することを意味するものとする。
【0024】
この点に関して、概して、パワー半導体モジュールは、当技術分野で公知のような機能を有し得る。例えば、製造されるべきパワー半導体モジュールは、メタライゼーションを備え、このメタライゼーションは、このメタライゼーションに接続されるべき端子をそれぞれのパワー半導体デバイスと電気的に接続するように適合される。
【0025】
基板メタライゼーション上には、パワー半導体デバイスも配置される。そのようなパワー半導体デバイスは、概して、当技術分野で公知なように形成され得、とりわけ、MOSFETおよび/もしくはIGBTなどのトランジスタまたはスイッチをそれぞれ備え得、ならびに/または複数のパワー半導体デバイスは、ダイオードを備え得る。パワー半導体デバイスは、それぞれ相互接続されてもよく、したがって、メタライゼーションとガルバニック接触するように、電気的に接触してもよい。
【0026】
互いに接続されるべき端子およびメタライゼーションに関して、端子は第1の材料から形成される第1の接続領域を有し、基板は第2の材料から形成される第2の接続領域を有し、第1の材料は第1の硬さを有し、第2の材料は第2の硬さを有し、第1の硬度は第2の硬度とは異なる。
【0027】
したがって、第1の接続領域は、基板メタライゼーションに接続されることが意図される端子の領域であり、それに対応して、第2の接続領域は、端子に接続されることが意図される基板または基板メタライゼーションそれぞれの領域である。多くの用途では、第1の接続領域および第2の接続領域が異なる材料から形成され、したがって異なる硬度を有する場合がある。第1の材料、したがって第1の接続領域に設けられる材料が、第2の材料、したがって第2の接続領域に設けられる材料よりも高い硬度を有する場合もあり、第2の材料が、第1の材料よりも高い硬度を有する場合もある。
【0028】
上記の方法によれば、硬度がより高いそのような第1の接続領域または第2の接続領域は接続相手領域を形成し、硬度がより低いそのような第1の接続領域または第2の接続領域は接続ベース領域を形成する。
【0029】
実際、パワー半導体モジュールの高度な設計は、異種材料の溶接を必要とすることも公知である。例として、銅系端子をセラミック基板のアルミニウムメタライゼーションに接続することが公知である。さらに、銅メタライゼーションを有するセラミック基板上に、CuNiSi押圧ピン補助端子などの硬質銅端子を接続することが必要とされ得る。
【0030】
特定の第1および第2の材料とは独立して、超音波溶接またはレーザ溶接を使用することによって端子を基板に接続することがしばしば望ましい。これは、信頼性のある高温パワーエレクトロニクスモジュールを形成するために端子を基板に接続することに関してこれらの技術が公知であるという事実に起因し得る。特に、超音波溶接は、例えば銅製の端子を、銅メタライゼーションを有するセラミック基板に接合するために、広く使用されている。これは主に、銅端子および銅メタライゼーションの両方が、約50のビッカース硬度の範囲などの低い硬度を有する焼鈍銅であるという事実に起因する。
【0031】
しかしながら、これらの溶接技術を使用することは、特に第1の材料が第2の材料と比較して異なる硬度を有する場合に欠点をもたらし得る。異種材料を接続するために超音波溶接を使用する場合、より硬質の材料は、より軟質の材料に押し込まれるか、またはより軟質の材料を変形させ、したがってそれを損傷する可能性がある。
【0032】
先行技術のこの欠点を克服するために、本明細書に記載される方法によれば、端子を基板に接続する前に、接続層が提供され、この接続層は、接続相手領域の硬度に対応する硬度を有する材料から形成される表面サブ層を有し、接続層は接続ベース領域上に提供され、表面層は接続相手領域に面する。
【0033】
接続層に関して、接続層は、表面サブ層からなってもよく、または以下で説明されるような表面サブ層よりも多くの層を含んでもよい。それが接続層からのみ言及される場合、この用語は、接続層が表面サブ層からなる場合の表面サブ層を記述してもよい。
【0034】
前述のように接続層を提供するこのステップは、超音波溶接またはレーザ溶接によって端子を導電性構造体に接続するときに接触する表面が、特に、より高い硬度を有する第1の材料および第2の材料の材料に対応する、対応する硬度を有することを可能にする。本発明の意味での対応する硬度は、特に、同じ硬度を意味するか、または同じ硬度を有し、より高い硬度値に関して+/-30%の許容差を有することを意味するものとする。
【0035】
したがって、先行技術によって生じ得るそれぞれの異なる硬度に言及する欠点を回避し得る。
【0036】
したがって、特に、異種材料を接続するために超音波溶接またはレーザ溶接を使用する場合、より硬質の材料がより軟質の材料に押し込まれるか、またはより軟質の材料を変形させる可能性が回避され得る。したがって、接続プロセスの過程で、硬度の低い材料が損傷することを防止することができる。
【0037】
ひいては、第1の材料と接続層との間または第2の材料と接続層との間の界面における非常に高品質の冶金学的接合を達成することができる。
【0038】
したがって、それぞれの表面の非常に信頼できる接続が達成され得、これは、パワー半導体モジュールの高い動作能力を可能にし得、これは、低品質の接合による損傷を回避し得る。
【0039】
それとは別に、パワー半導体モジュールは、端子と基板または基板メタライゼーションとの間の安定かつ信頼性の高い接続により、高い安全性で動作することができる。
【0040】
上記とは別に、超音波溶接中にセラミック基板に亀裂が入り、メタライゼーションギャップが低減または短絡さえする可能性をさらに回避することができる。これは、上述の方法が、端子と基板との穏やかで効果的な接続技術を可能にするという事実に起因し得る。
【0041】
接続層を提供するステップは、低温気体噴霧(CGS)のステップを含んでもよい。CGSに関し、このプロセスはコーティング堆積法である。固体粉末が、超音速ガスジェット内で高速に加速される。コーティングされる材料との衝突中、塑性変形を経て、表面に付着する。この方法によれば、接続層は、例えば厚みおよび使用される材料に関して、特に信頼性が高く適応性があるように適用され得る。それとは別に、この方法は、それぞれの第1および第2の接続領域の幾何学的形状にかかわらず、実行することができる。
【0042】
低温気体噴霧は、一般に、第1の材料および第2の材料とは独立して使用され得る。
しかしながら、非限定的な例として、この実施形態は、第1および第2の材料として銅およびアルミニウムの組み合わせで用いられてもよい。これに関して、AI/AlN/Al基板は、高いサイクル信頼性を有し、活性金属ろう付けCu/AlN/Cu基板と比較して銀イオンマイグレーションの問題が現れないので、高電圧電力モジュールに好ましいことが多い。しかしながら、先行技術によれば、このような種類のAI/AIN/AI基板上に銅系端子を溶接することは非常に困難である。これは、アルミニウムメタライゼーションが端子の材料としての銅よりもはるかに軟質であり、そのため、銅系端子はアルミニウムメタライゼーションに押し込まれ得るという事実に起因し得る。さらに、この場合、基板のセラミック材料AINは非常に割れやすい。
【0043】
したがって、低温気体噴霧は、溶接によって銅とアルミニウムとを接続するために接続層を設けるための非常に効果的な実施形態である。
【0044】
したがって、追加の銅層が、CGSによって、基板の既存のアルミニウムメタライゼーション上に、選択的領域内において設けられてもよく、そこで、すなわち第2の接続領域において、端子接合が起こる。この銅被覆領域は、接続層によってアルミニウムメタライゼーションおよびセラミックAlN基板を保護することによって、アルミニウムメタライゼーション上の銅端子の超音波溶接またはレーザ溶接を可能にする。
【0045】
さらに、低温気体噴霧が他の方法と置換されてもよく、例えば、選択的レーザ溶融(SLM)または多層の低温気体噴霧が、例えば、材料がアルミニウムから銅に徐々に変化するような層の組成の変化とともに使用され得る。これは、以下でより詳細に説明される。
【0046】
さらに、接続層を提供するステップは、金属めっきのステップを含んでもよい。ここで、金属めっきとは、導電性表面に金属を堆積させる表面被覆プロセスである。これは、例えば、電気めっきおよび無電解めっきの両方を含む。
【0047】
金属めっきは、概して、第1の材料および第2の材料とは独立して使用され得る。
しかしながら、非限定的な例として、この実施形態は、プレスばめ端子をセラミック基板などの基板のメタライゼーション、特にアルミニウムメタライゼーションまたは特に銅メタライゼーションに接続するために使用されてもよい。
【0048】
プレスばめ端子は、その高信頼性、高温度性能、およびインバータアセンブリなどのアセンブリ中の単純性のため、パワーモジュールパッケージングにおける補助端子として広く使用されている。しかしながら、プレスばめ端子は、組み立て中に冶金学的結合を形成し、高い動作温度でも接触を信頼できる状態に保つことができるように、CuNiSiから形成されるような硬質銅合金でなければならない。先行技術によれば、銅メタライゼーション上におけるプレスばめ端子の超音波溶接は非常に困難であり、なぜならば、特に補助端子の接合脚部は典型的には小さく、基板のCuメタライゼーションはCuNiSi合金よりもはるかに軟質であるからである。
【0049】
めっきを使用することにより、非常に簡単な製造プロセスが可能になり、さらに、非常に薄い層を接続層として形成することができる。特にこの実施形態では、銅メタライゼーションに接続層を設けることが可能であり、接続層または少なくともその表面サブ層は、銅メタライゼーションと比較して硬度を高めるために、NiAg合金などの合金または層配列Ni/AuもしくはNi/Cuを有する多層構造から形成される。これは、溶接中に界面でより強い摩擦をもたらすことを可能にし、それは次いで安定かつ信頼性のある冶金学的結合をもたらす。
【0050】
上述のように、例えば、プレスばめ補助端子が導電性構造体として基板メタライゼーションに接続されるべきである場合、本方法は非常に効果的であり得、なぜならば、その場合、異なる材料が互いに溶接されなければならないことが多いからである。したがって、本発明は、溶接された補助プレスばめ端子を有する高温かつ高出力の半導体モジュールを形成することを可能にする。
【0051】
上記によれば、端子は補助プレスばめ端子であってもよい。これに関して、プレスばめ端子は、永久電気的および機械的な端子対PCB接続を可能にするために使用され、それは、通常は硬質Cu合金、すなわちCuNiSi、CuSn合金である、異なる材料から作製することができる。
【0052】
さらに、接続層を提供するステップは、接続ベース領域上に予め形成された層を接合するステップを含んでもよい。これは、例えば焼結によって行うことができる。
【0053】
この実施形態は、大きい厚みを有する接続層を提供することを可能にし、これは、過酷な溶接条件が使用されるべき場合、およびパワーモジュールが高電力および高温で動作する場合に利点を示し得る。
【0054】
非限定的な例として、この実施形態によれば、小さい厚みもしくは大きい厚みを有する銅板、またはCuNiSi合金などの銅合金から作製された板が、端子上などの第1の接続領域上に、たとえば同時に、したがってチップ取り付けの同じプロセスステップで焼結されてもよい。これはまた、アルミニウムメタライゼーション上の銅端子の超音波溶接と、銅またはアルミニウムメタライゼーション上の、銅合金を含むプレスばめ端子の超音波溶接との両方を可能にする。
【0055】
したがって、特に、接続層を提供するステップは、接続ベース領域上に予め形成された層を焼結するステップを含んでもよい。特に、第1の接続領域上または第2の接続領域上に予め形成された層を焼結することに関して、このステップは、接続層として予め形成された層を提供することによって、上述の利点が相殺される危険性がないように、耐久性および信頼性のある接続を提供することができる。
【0056】
さらに、端子は超音波溶接を用いて基板に接続されてもよい。特に、超音波溶接を使用することによって、比較的より軟質の材料が比較的より硬質の材料によって損傷され、つまり、言い換えれば、比較的より硬質の材料が上述のように比較的より軟質の材料に押し込まれるという問題が生じ得ることが分かっている。したがって、説明されるような利点は、端子が、超音波溶接によって、基板に、したがって特に基板メタライゼーションに接続される場合に、特に効果的である。
【0057】
さらに、第1の材料が、銅合金、したがって特に高硬度銅合金からなるなど、それを含み、第2の材料が、銅、特に軟質銅からなるなど、それを含み、または第2の材料が、銅合金、したがって特に高硬度銅合金からなるなど、それを含み、第1の材料が、銅、特に軟質銅からなるなど、それを含んでもよい。これに関して、より詳細には、軟質銅は軟質焼鈍銅であり、軟質焼鈍銅は、例示的であり、決して限定的なものではないが、50~70HVの範囲にある硬度を有し、その硬度は、DIN EN ISO6507-1:2018~6507-4:2018に従って決定することができる。例えば、セラミック基板などの基板メタライゼーションは、そのような軟質焼鈍銅によって形成されることが多い。さらに、高硬度銅合金に関して、それは、例えば、120~200HVの例示的かつ非限定的な範囲内の硬度を有してもよい。これは、CuNiSi合金を含むか、またはCuNiSi合金からなってもよく、それは、例えば、プレスばめ端子等の補助端子内の材料であってもよい。
【0058】
さらに、第1の材料がアルミニウムからなるなど、それを含み、第2の材料が銅からなるなど、それを含み、または第1の材料が銅からなるなど、それを含み、第2の材料がアルミニウムからなるなど、それを含んでもよい。この実施形態によれば、やはり、銅およびアルミニウムは異なる硬度を有する材料であり、したがって、超音波溶接またはレーザ溶接によってこれらの材料を接続することは、説明されるような問題につながり得る。したがって、この場合もやはり、本方法は非常に効果的であり得る。
【0059】
このような実施形態は、例えば、AI/AIN/AI基板を含む高電圧パワーモジュールにおいて存在し得、たとえば実現することができる。そのような基板は、高電圧用途に好適であり得、なぜならば、それは、高いサイクル信頼性を有し、例えば、活性金属ろう付け(AMB)を使用する場合に、銀イオン移動を回避することができ、それは、例えば、Cu/セラミック/Cu基板とは対照的であるからである。しかしながら、銅系端子を比較的軟質のアルミニウムメタライゼーション上に溶接することは、銅材料を上述のようにアルミニウムメタライゼーションに押し込み得るので、困難である。
【0060】
さらに、接続層は、表面サブ層に加えてベースサブ層を含むように形成され、ベースサブ層は、表面サブ層が接続相手領域の材料を含み、ベースサブ層が接続ベース領域の材料を含むように、接続ベース領域に直接隣接して配置されてもよい。
【0061】
言い換えれば、表面サブ層は、接続層を、接続ベース領域、すなわち、より低い硬度を有する第1または第2の接続領域に取り付けた後、接続層の表面を形成する。したがって、接続層を接続ベース領域に取り付けた後、表面サブ層は、接続相手領域と対向し、したがって、より高い硬度を有する第1または第2の接続領域と対向する。
【0062】
そのような構成は、特に2つより多い複数の層、したがってベースサブ層および表面サブ層より多い層を有する場合、それぞれ、多層構造または多層構成とも呼ばれ得る。したがって、それは、直接、2層構成において、または、徐々に、2層より多い層を有する構成において、その組成を変化させて、端子の第1の材料が接続層の同じ材料に接続され、それに対応して、基板メタライゼーションの第2の材料が接続層の同じ材料に接続されるようにすることができる。したがって、材料変化は、端子から導電性構造に向かう方向に存在する。
【0063】
そのような実施形態は、端子の、基板への、特に信頼性が高く安定した接続を、可能にすることができる。したがって、記載された本発明の利点は、この実施形態によれば特に顕著であり得る。
【0064】
したがって、接続層は、その組成を第1の材料から第2の材料に連続的に変化させ得る。
【0065】
さらに、接続層は、基板メタライゼーション上および基板メタライゼーションに隣接する基板の本体上に連続的に設けられてもよい。したがって、この実施形態によれば、基板上、すなわち基板本体上と基板メタライゼーション上との両方に配置される連続接続層が提供される。これは、例えば、CGSまたはSLMによって行われ得る。この実施形態によれば、端子は、少なくとも部分的に、例えば完全に、メタライゼーションの隣に、したがって少なくとも部分的にまたは完全に基板本体上に位置決めすることができる。しかしながら、連続した接続層により、端子からメタライゼーションに電流または信号を転送するための接続が依然として可能である。
【0066】
この実施形態は、アルミニウム層などの軟質層を下に有することなく端子を提供することを可能にする。これは、超音波溶接またはレーザ溶接のプロセスウィンドウを広げることができる。次いで、端子の、導電性構造への、特に信頼性の高い接続を提供することができる。したがって、記載される本発明の利点は、この実施形態によれば特に顕著であり得る。
【0067】
本方法のさらなる利点および技術的特徴に関して、パワー半導体モジュール、図面およびさらなる記載に言及する。
【0068】
さらに記載されるのは、パワー半導体モジュールであって、パワー半導体デバイスと接触し、端子と接触するための基板メタライゼーションを備え、および基板メタライゼーション上に配置される端子を備え、端子は、第1の材料から形成される第1の接続領域を有し、基板は、第2の材料から形成される第2の接続領域を有し、第1の材料は、第1の硬度を有し、第2の材料は、第2の硬度を有し、第1の硬度は、第2の硬度とは異なり、端子は、それの第1の接続領域で、基板に、それの第2の接続領域で接続され、硬度がより高いそのような第1の接続領域または第2の接続領域は接続相手領域を形成し、硬度がより低いそのような第1の接続領域または第2の接続領域は接続ベース領域を形成し、第1の接続領域と第2の接続領域との間に接続層が提供され、この接続層は、接続相手領域の硬度に対応する硬度を有する材料から形成される表面サブ層を有し、表面層は接続相手領域に面する。
【0069】
端子は、好ましくは補助プレスばめ端子である。そのような端子は、通常、CuNiSiなどの高硬度銅合金で形成されるのに対して、基板メタライゼーションは、通常、非常に軟質の焼鈍銅で形成される。特に超音波溶接またはレーザ溶接によってこのような部品を接続する場合、これは、より軟質の材料、すなわちメタライゼーションまたは基板本体の、亀裂による損傷につながる可能性がある。
【0070】
このようなパワー半導体モジュールは、本方法に関して詳細に説明される、先行技術に勝る著しい利点を提供する。要約すると、接続層を設けることによって、超音波溶接またはレーザ溶接の過程で、より軟質の材料が損傷する危険性なしに、パワー半導体モジュールを製造することができる。代わりに、端子と導電性構造体との間の非常に安定した信頼性の高い電気的接続を提供することができ、これにより、パワー半導体モジュールの安全で信頼性の高い高性能の動作挙動が可能になる。
【0071】
上記を要約すると、本発明は、2つの異種材料をいかにして異なるハーネスで溶接するかという重要な目的を解決し、次いで、高度なパワーモジュール設計を可能にする。
【0072】
パワー半導体モジュールのさらなる利点および技術的特徴に関して、方法、図面およびさらなる説明を参照する。
【0073】
図面の簡単な説明
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それらを参照して解明されるであろう。実施形態に開示される個々の特徴は、単独で、または組み合わせて、本発明の態様を構成することができる。異なる実施形態の特徴は、ある実施形態から別の実施形態に持ち越すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】本発明によるパワー半導体モジュールの第1の実施形態の部分破断断面側面図である。
【
図2】本発明によるパワー半導体モジュールの第2の実施形態の部分破断断面側面図である。
【
図3】本発明によるパワー半導体モジュールの第3の実施形態の部分破断断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
実施形態の説明
図1は、パワー半導体モジュール10を示す。パワー半導体モジュール10は、窒化アルミニウムなどのセラミックから形成されてもよい基板本体14と、焼鈍軟銅などの銅から形成されてもよい基板メタライゼーション16とを有する基板12を備える。さらに、基板本体14は、さらなる銅層20によってベースプレート18に接続され、層20は、底部メタライゼーションとして説明され得る。したがって、このような基板12は、Cu/セラミック/Cu基板またはCu/AlN/Cu基板である。
【0076】
基板メタライゼーション16は、導電性構造を形成し、とりわけ、パワー半導体デバイス(そのようには図示されず)を電力端子24および補助端子26などの端子22に接続する役割を果たす。端子22、特に補助端子26は、CuNiSiなどの硬質銅合金から形成することができる。
【0077】
各端子22は、第1の材料から形成される第1の接続領域28を含み、基板12は、第2の材料から形成される第2の接続領域30を有し、第1の材料は第1の硬度を有し、第2の材料は第2の硬度を有し、第1の硬度は第2の硬度とは異なることがさらに示されている。
【0078】
これは主に、端子22および基板メタライゼーション16について上述したような材料によるものである。
【0079】
端子22を基板12、すなわち基板メタライゼーション16に接続するために、超音波溶接またはレーザ溶接を使用する。それぞれの接続領域28、30は、溶接ステップによる欠点をもたらし得る異なる材料から形成されるので、端子22を基板12に接続することは、接続層32によって行われる。
【0080】
より詳細には、端子22、特に
図1の実施形態によれば補助プレスばめ端子26は、超音波溶接またはレーザ溶接を使用することによって基板12に接続される。これに関して、ソノトロードなどの溶接ツール34が示されている。
【0081】
さらに、端子22を基板12に接続する前に、接続層32が設けられ、接続層32は、図では接続層32の唯一の層である表面サブ層を有する。接続層32は、接続相手領域、すなわち、より高い硬度を有する接続領域28、30の硬度に対応する硬度を有する材料から形成される。接続層32は、接続ベース領域、すなわち、
図1では第2の接続領域30である、より低い硬度を有する接続領域28、30上に提供される。したがって、接続層32の材料、したがってその硬度は、補助端子26の銅合金の硬度に対応する。
【0082】
したがって、接続層32は、第2の接続領域30上に提供され、接続層32は、第1の材料、すなわち補助端子26の銅合金の硬度に対応する硬度を有する材料から形成される。
【0083】
接続層32を設けるステップは、少なくとも、第2の接続領域30上に、低温気体噴霧ステップ、金属めっきステップ、および予め形成された層を接合するステップのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0084】
図2には、さらなる実施形態が示されており、同じまたは同等の構成要素は、
図2と比較して同じ参照番号によって定義されている。
【0085】
図2によれば、
図1と比較して概して同じことが当てはまる。
しかしながら、
図2によれば、基板は、Al/セラミック/AlN基板、またはより詳細にはAl/AlN/Al基板である。したがって、パワー半導体モジュール10は、窒化アルミニウムから形成されてもよい基板本体14と、アルミニウムから形成されてもよい基板メタライゼーション16とを有する基板12を備える。さらに、基板本体14は、層20としての、したがって底部メタライゼーションとしてのさらなるアルミニウム層によってベースプレート18に接続される。
【0086】
したがって、基板12への端子22の超音波溶接を実現するために、ここでも、それぞれの接続層32が第2の接続層30上に設けられる。
【0087】
しかしながら、基板メタライゼーション16がアルミニウムから形成されるので、接続層32が電力端子24と基板12との間にも設けられ、なぜならば、超音波溶接を使用することによって、アルミニウムと電力端子の銅との組み合わせも問題につながるかもしれないからである。
【0088】
接続層32は、第2の接続領域30上に提供され、接続層32は、第1の材料、すなわち、それぞれ補助端子26の銅合金または電力端子の銅の硬度に対応する硬度を有する材料から形成される。
【0089】
図3には、さらなる実施形態が示されており、同じまたは同等の構成要素は、
図3と比較して同じ参照番号によって定義されている。
【0090】
図3によれば、
図2に比較して、基板は、Al/セラミック/AlN基板、またはより詳細にはAl/AlN/Al基板である。したがって、パワー半導体モジュール10は、窒化アルミニウムから形成されてもよい基板本体14と、アルミニウムから形成されてもよい基板メタライゼーション16とを有する基板12を備える。さらに、基板本体14は、層20としての、したがって底部メタライゼーションとしてのさらなるアルミニウム層によって、ベースプレート18に接続される。
【0091】
したがって、基板12への端子22の超音波溶接を実現するために、ここでも、それぞれの接続層32が第2の接続層30上に設けられる。
【0092】
しかしながら、基板メタライゼーション16がアルミニウムから形成されるので、接続層32が電力端子24と基板12との間にも設けられ、なぜならば、超音波溶接を使用することによって、アルミニウムと電力端子の銅との組み合わせも問題につながるかもしれないからである。
【0093】
接続層32は、第2の接続領域30上に提供され、接続層32は、第1の材料、すなわち、それぞれ補助端子26の銅合金または電力端子の銅の硬度に対応する硬度を有する材料から形成される。
【0094】
しかしながら、
図2および
図1に加えて、接続層32は、メタライゼーション16上および基板メタライゼーションに隣接する基板本体14上に連続的に設けられる。これは、例えば、CGSまたはSLMによって実現されてもよい。
【0095】
本発明は、図面および前述の説明において詳細に図示および説明されているが、そのような図示および説明は、例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明は、開示される実施形態に限定されない。開示される実施形態に対する他の変形形態は、図面、本開示、および特許請求の範囲の検討から、特許請求される発明を実施する際に当業者によって理解され、実施され得る。請求項において、「備える/含む(comprising)」という語は、他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0096】
10 パワー半導体モジュール
12 基板
14 本体
16 メタライゼーション
18 ベースプレート
20 層
22 端子
24 電力端子
26 補助端子
28 第1の接続領域
30 第2の接続領域
32 接続層
34 溶接ツール