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特許7432076中周波変圧器(MFT)における最適化された電流平衡のための分割エネルギ伝達インダクタを有するデュアルアクティブブリッジコンバータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】中周波変圧器(MFT)における最適化された電流平衡のための分割エネルギ伝達インダクタを有するデュアルアクティブブリッジコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20240208BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H02M3/28 A
H01F27/28 K
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022513684
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2020076070
(87)【国際公開番号】W WO2021053128
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】19198718.9
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドロフェニック,ウーベ
(72)【発明者】
【氏名】グラディンガー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】カナレス,フランシスコ
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-070083(JP,A)
【文献】特開2001-268906(JP,A)
【文献】特開2016-134932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H01F 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータであって、
a)第1のDCリンク(10)と、
b)前記第1のDCリンク(10)に接続された第1の複数のN個のコンバータブリッジと、
c)一次側と二次側とを有する変圧器(2141)とを備え、
d)前記変圧器(2141)の前記一次側は、第2の複数のM>1個の一次巻線を含み、前記複数の一次巻線の各々は、第1の端子と第2の端子とを有し、前記デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータは、
e)共通ノード(C)において接続された第1の複数のN個のエネルギ伝達インダクタ(LDAB1)を備え、
f)前記第1の複数のエネルギ伝達インダクタ(LDAB1)のうちの異なるエネルギ伝達インダクタが、前記共通ノード(C)と前記複数のコンバータブリッジとの間に接続され、
g)前記M個の一次巻線の各第1の端子が、第2の複数のM個のエネルギ伝達インダクタ(LDAB2)を介して前記共通ノード(C)に接続され、前記複数の一次巻線のうちのすべての一次巻線の前記第2の端子がまとめて接続されることを特徴とする、デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項2】
a)前記複数のN>1個のコンバータブリッジは、前記第1のDCリンク(10)に並列接続される、請求項1に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項3】
前記コンバータブリッジの各々は、第1の入力端子および第2の入力端子と、インバータブリッジ出力または前記第1の入力端子または前記第2の入力端子に導通接続可能な複数の半導体スイッチとを含むインバータハーフブリッジであり、各インバータハーフブリッジごとに、前記第1の複数のエネルギ伝達インダクタ(LDAB1)のうちの異なるエネルギ伝達インダクタが、前記インバータブリッジ出力と直列に接続される、請求項1または2のいずれか1項に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項4】
a)複数のO個の共通ノードをさらに備え、O<NおよびO<Mであり、
b)前記第1の複数のN個のエネルギ伝達インダクタの各々は、前記コンバータブリッジのうちの1つと前記共通ノードのうちの1つとの間に接続され、
c)前記第2の複数のM個のエネルギ伝達インダクタの各々は、前記共通ノードのうちの1つと、前記複数の一次巻線のうちの異なる一次巻線の前記第1の端子との間に接続される、請求項2または3に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項5】
M≠Nである、請求項2~4のいずれか1項に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項6】
M<Nである、請求項5に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項7】
デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータであって、
a)第1のDCリンク(10)と、
b)前記第1のDCリンク(10)に接続された第1の複数のN個のコンバータブリッジと、
c)一次側と二次側とを有する変圧器(2141)とを備え、
d)前記変圧器(2141)の前記一次側は、第2の複数のM>1個の一次巻線を含み、前記複数の一次巻線の各々は、第1の端子と第2の端子とを有し、前記デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータは、
e)第1の複数のN個のエネルギ伝達インダクタ(LDAB1)を備え、
f)前記コンバータブリッジと前記一次巻線の前記第1の端子とが、ペアにして、前記第1の複数のエネルギ伝達インダクタのうちの異なるエネルギ伝達インダクタを介して接続され、前記異なるエネルギ伝達インダクタは、前記コンバータブリッジのうちの1つと前記一次巻線のうちの1つとを含む接続された各ペア間に接続され、
g)前記複数の一次巻線のうちのすべての一次巻線の前記第2の端子がまとめて接続され、
前記デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータはさらに、
a1)第2のDCリンクキャパシタを含む第2のDCリンクと、
a2)前記第2のDCリンクに接続された第2のコンバータブリッジとをさらに備え、
b2)前記変圧器の前記二次側は、複数のM’>1個の二次巻線を含み、前記M’個の二次巻線の各々は、第1の端子と第2の端子とを有し、前記デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータはさらに、
c2)第3の複数のM’個のエネルギ伝達インダクタを備え、
d3)前記M’個の二次巻線のうちの各二次巻線ごとに、前記第3の複数のエネルギ伝達インダクタのうちの異なるエネルギ伝達インダクタが、二次巻線ブリッジと前記第2のコンバータブリッジとの間に接続される
ことを特徴とする、デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項8】
a)前記コンバータブリッジの各々は、第1の入力端子および第2の入力端子とインバータブリッジ出力または前記第1の入力端子または前記第2の入力端子に導電接続可能な複数の半導体スイッチとを含むインバータハーフブリッジであり、
b)各エネルギ伝達インダクタは、第1の端子と第2の端子とを有し、
c)各インバータハーフブリッジごとに、前記第1の複数のエネルギ伝達インダクタのうちの対応するエネルギ伝達インダクタの前記第1の端子が、対応する前記インバータブリッジ出力に接続され、
d)前記第2の複数のM個のエネルギ伝達インダクタのうちのすべてのエネルギ伝達インダクタの前記第2の端子がまとめて前記共通ノードにおいて接続される、請求項2~5のいずれか1項に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項9】
a)前記コンバータブリッジの各々は、第1の入力端子および第2の入力端子とインバータブリッジ出力または前記第1の入力端子または前記第2の入力端子に導通接続可能な複数の半導体スイッチとを含むインバータハーフブリッジであり、
b)各エネルギ伝達インダクタは、第1の端子と第2の端子とを有し、
c)各インバータハーフブリッジごとに、前記第1の複数のエネルギ伝達インダクタのうちの対応するエネルギ伝達インダクタの前記第1の端子が、対応する前記インバータブリッジ出力に接続され、
d)前記第1の複数のM個のエネルギ伝達インダクタのうちの各エネルギ伝達インダクタの前記第2の端子は、異なる一次巻線に接続される、請求項7に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項10】
a)前記第1のDCリンクは正の端子と負の端子とを有し、
b)すべてのインバータハーフブリッジの前記第1の入力端子は前記正の端子に接続され、
c)すべてのインバータハーフブリッジの前記第2の入力端子は前記負の端子に接続される、請求項3、8、9のいずれか1項に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項11】
前記第1のDCリンクは中性端子をさらに有し、前記複数の一次巻線すべての前記第2の端子が前記中性端子に接続される、請求項1~10のいずれか1項に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項12】
a)第2のDCリンクキャパシタを含む第2のDCリンクをさらに備える、請求項1~のいずれか1項に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項13】
a)前記第2のDCリンクに接続された第2のコンバータブリッジをさらに備え、
b)前記変圧器の前記二次側は、複数のM’>1個の二次巻線を含み、前記M’個の二次巻線の各々は、第1の端子と第2の端子とを有し、前記デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータはさらに、
c)第3の複数のM’個のエネルギ伝達インダクタを備え、
d)前記M’個の二次巻線のうちの各二次巻線ごとに、前記第3の複数のエネルギ伝達インダクタのうちの異なるエネルギ伝達インダクタが、二次巻線ブリッジと前記第2のコンバータブリッジとの間に接続される、請求項12に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項14】
a)第2の複数のN’>1個のコンバータブリッジが前記第2のDCリンクに並列接続され、
b)前記コンバータは第4の複数のN’個のエネルギ伝達インダクタをさらに備え、
c)前記第4の複数のN’個のエネルギ伝達インダクタの各々は、前記コンバータブリッジのうちの1つと、他の共通ノード(C’)との間に接続され、
d)前記第3の複数のM’個のエネルギ伝達インダクタの各々は、前記他の共通ノードと、前記複数の二次巻線のうちの異なる二次巻線の前記第1の端子との間に接続される、請求項13に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項15】
前記第1の複数のN>1個のコンバータブリッジのうちのコンバータブリッジは、少なくとも事実上同期した態様で動作するように構成されたアクティブブリッジである、請求項2~5のいずれか1項に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項16】
前記第2の複数のコンバータブリッジのうちの前記コンバータブリッジは、少なくとも事実上同期した態様で動作するように構成されたアクティブブリッジである、請求項14に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項17】
第1のDCリンク(10)は第1のDCリンクキャパシタを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【請求項18】
前記変圧器は中周波変圧器である、請求項1~17のいずれか1項に記載のデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、パワーエレクトロニクスの分野に関する。本発明は、独立特許請求項に係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
数キロヘルツの(特に3kHzを超えるまたはそれよりも遥かに高い)高周波数の高電流(数百アンペア以上、特に200Aを超えるもの)を扱う変圧器を、低コストおよび/または在庫部品で構築することは非常に難しく、その理由は、低周波数、特に1kHzを下回る周波数および/または低電流、特に100Aを下回る電流では無視できる、いくつかの影響にある。このような高い周波数および/または電流を必要とする典型的な用途は、中周波変圧器(medium frequency transformer)であり、中周波変圧器は、固体変圧器(solid state transformer)において、特に
・電気自動車(EV:electric vehicle)の高速充電
・太陽光発電(PV:photovoltaic)
・バッテリエネルギ貯蔵システム(BESS:battery energy storage system)
・洋上および陸上風力発電
・データセンター
におけるような、中電圧(MV:medium voltage)グリッドへの接続された分散電力のためのAC/DCコンバータとして構成されたSSTにおいて、よく使用され、典型的な用途は、それだけでなく、EV高速充電器の充電ポールに必要な、ガルバニック絶縁を有する高電力低電圧DC/DCコンバータでよく使用される、MV絶縁が必要でない変圧器である。このようなDC/DCコンバータの具体的な一例は、スイス特許出願公開CH707533A2または米国特許出願公開CH2018/0159435A1に具体例として記載されている、デュアルアクティブブリッジコンバータであり、これらの出願双方の全体を本明細書に引用により援用する。
【0003】
変圧器のコイルにおける高周波損失を小さく保つための1つの方法は、リッツワイヤ(litz wire)を用いてコイルの巻線を形成することである。リッツワイヤは、固体銅線よりも数倍高価であるが、100~200A(二乗平均平方根、rms)までのAC電流用の「在庫品」から購入可能である。リッツワイヤは、一般的に銅からなる多数の撚線からなり、100~200Armsの範囲の最大電流を許容する最大0.5cmの総断面のものが在庫品から入手可能である(充填率が0.4と0.9との間、特に少なくともおよそ0.8、および、電流密度2.5…5A/mmと仮定)。上記用途では典型的なより大きな電流は、より大きな断面を必要とし、一層屈曲し難い。リッツワイヤは通常アルミニウム製ではない、というのも、アルミニウムの場合、ワイヤ端子においてすべてのワイヤと確実にコンタクトするのが難しいからである(たとえば、上記銅製のリッツワイヤの場合、直径0.2mmのワイヤが900本)。銅のリッツワイヤは、固体銅よりも少なくとも2~4倍高価であり、銅はアルミニウムよりもおよそ3倍高価である。上で列挙した用途では典型的である高電流(>100A)の場合、数本の銅リッツワイヤを平行にする必要があり、この場合、往々にして、循環電流における、平行なワイヤとワイヤとの間の漂遊磁束に起因して、損失が大幅に増大する可能性がある。
【0004】
製造労力および必要なリソースの最適化および/または最小化のために、50Hzの変圧器で一般的に使用されているアルミニウム箔の巻線および/または固体銅は、コイルの好ましい選択肢であろう。周波数が高い場合、表皮効果および近接効果に起因して、箔の巻線損失が大幅に増大する。単一箔を使用する場合、周波数が、必要な箔の厚さを定め、所望のまたは必要な電流が箔の高さを定め、これが変圧器の高さとなる。よって、大電流および高周波数の場合、変圧器の形状は立方体形状から大幅に逸脱し、結果として、重量がより大きくなり、コア損失が生じ、リソースおよび労力についての要件が増す(より大きなコア容積が必要)。
【0005】
平行な箔を使用する場合、個々の箔の高さは小さくできるが、平行な箔と箔との間の漂遊磁場に起因して、強い循環電流が引き起こされる可能性があり、これが、損失を大幅に増大させる(平行なワイヤと同じ影響)。
【0006】
銅リッツワイヤおよび箔のいずれの設計の場合も、主な問題は、巻線損失を、往々にして大幅に増大させることにより、変圧器の定格電力を減少させおよび/または変圧器コスト(USD/kW)を大幅に増大させる、平行な導体と導体との間の循環電流である。EV高速充電、PV太陽光発電、バッテリエネルギ貯蔵システム、風力、またはデータセンターのような、予想される分散型エネルギ用途において、中周波変圧器(MFT)は重要な構成要素である。より高い電流(特に100Aを超えるもの)の場合、単純に50/60Hz技術をスケールアップするおよび/または在庫品のリッツワイヤもしくは低コストの箔線を使用すると、変圧器の性能を大幅に低下させる高周波誘導循環電流に起因して膨大な損失が発生する。
【0007】
特に、各巻線が複数のターンを含む、並列接続された巻線を形成する、2つ以上のワイヤ、箔またはその他の導体の構成における循環電流の発生は、次のように理解することができる。たとえば変圧器のコアで形成された巻線ウィンドウ内で、巻線の各ターンが漂浮磁場に晒される。変圧器の入力端子および出力端子で接続された個々の巻線を形成する平行なリッツワイヤは、漂遊磁場に晒されるループを形成する。漂遊磁場は、MFTの動作周波数とともに変化し、結果として、このループ内で循環電流を駆動する電圧が発生する。この循環電流は、MFT内の公称電流に加えられ、その結果、1つのリッツワイヤが公称電流の2分の1を超える電流を搬送し、したがって、これと平行なリッツワイヤが公称電流の2分の1を下回る電流を搬送する場合がある。循環電流が十分に大きい場合、1つのリッツワイヤは総公称電流よりも大きな電流を搬送する可能性があり、そうすると、これと平行なリッツワイヤは負の(180度位相がずれた)電流を搬送する。このようにして、利用可能な銅の総断面が実際に50%減少するだけでなく、追加損失が導入され、MFTの最大出力電力は2分の1以上減少する。
【0008】
循環電流を制限するための先行技術の解決策は、必要以上の構成要素、より多くの製造労力、および追加のスペースを必要とし、さらに他の問題につながる可能性がある。ある先行技術の解決策として、たとえば互いに縒り合された、そうでなければ編み合わされたまたは組み合わされた平行なワイヤが提供する、並列接続されたワイヤまたは箔の転置は、特に箔巻線の場合はさらに製造労力を必要とし、有効な巻線長さの増加につながり、巻線のターンが少数であるMFTにおいて限られた効率を示し、結果として、たとえば転置の場所の近傍における形状的な不均質性に起因して、高電圧絶縁という課題につながる可能性がある。これに代えて、コモンモードフィルタを、平行なワイヤまたは箔の間に追加してもよい。しかしながら、これは、追加の構成要素を必要とし、したがってより高いコストおよびより大きな製造労力につながり、追加のスペースおよび/または他のリソースを必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、デュアルアクティブブリッジDCDCコンバータにおいて循環電流を効率的に抑制できるようにすることである。また、本発明の目的は、必要以上の構成要素またはリソースなしでデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータのトポロジを変更することにより、循環電流を完全に阻止することである。
【0010】
発明の概要
これらの目的は、独立請求項に係る特徴の組み合わせを有するデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータによって達成される。さらに他の具体例としての実施形態は、従属請求項および添付の図面と組み合わせた以下の説明から明らかである。
【0011】
本発明に係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータは、好ましくは第1のDCリンクキャパシタを含む第1のDCリンクと、第1のDCリンクに接続されたコンバータブリッジと、一次側と二次側とを有する変圧器、好ましくは中周波変圧器とを備え、変圧器の一次側は、複数のM>1個の一次巻線を含み、複数の一次巻線の各々は、第1の端子および第2の端子を有し、デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータは、第1の複数のM個のエネルギ伝達インダクタをさらに備え、M個の一次巻線のうちの各一次巻線ごとに、第1の複数のエネルギ伝達インダクタのうちの異なるエネルギ伝達インダクタが、一次巻線ブリッジとコンバータブリッジとの間に接続される。
【0012】
コンバータブリッジは、第1のDCリンクに接続された入力を有するDC/ACコンバータまたはインバータの一部とみなすことができ、これは、コンバータを介してグリッドに、または、PVソーラーシステムもしくはBESSのようなDC電源に接続することができ、DC/ACコンバータは、このDC/ACの出力においてAC電圧および/または電流を提供するように構成される。
【0013】
この変圧器は、上記DC/ACコンバータの出力に接続された入力および/または一次側を有するAC中間回路の一部とみなすことができる。AC中間回路は、追加要素を、特にAC中間回路の入力または出力または二次側と並列に接続された、またはAC中間回路の入力または出力と変圧器との間に直列に接続された、インダクタを、含み得る。変圧器は、特に、単一の一次および/または単一の二次巻線のみを備えていてもよいが、一般的には、複数の一次巻線および/または複数の二次巻線を含む。
【0014】
AC中間回路の出力および/または二次側は、AC/DCコンバータの入力に接続されてもよく、AC/DCコンバータは、AC中間回路から出力されたAC電流および/または電圧をAC/DCコンバータの出力におけるDC電圧および/または(断続的な)DC電流に変換するように構成され、AC/DCコンバータの出力は、第2のコンバータブリッジを介して第2のDCリンクに接続されてもよく、第2のDCリンクは、好ましくは、負荷が接続されてもよい第2のDCリンクキャパシタを含む。コンバータが、双方向動作に適合するようにされ、特に双方向電力の流れを可能にする場合、負荷は少なくとも一時的に発生源としても作用し得る。
【0015】
第1のDCリンクは、少なくとも2つの電圧レベル、特にゼロまたは中性レベルと正のレベルとを提供してもよい。また、第1のDCリンクは、特に、正のレベルと、ゼロまたは中性レベルと、負の電圧レベルとを提供してもよい。
【0016】
デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータは、第1のDCリンクに並列に接続された2つ以上のコンバータブリッジ、特に合計N>1個のコンバータブリッジを含み得るものであり、第2の複数のN個のエネルギ伝達インダクタおよび共通ノードをさらに含み得るものであり、第2の複数のN個のエネルギ伝達インダクタの各々は、コンバータブリッジのうちの1つと共通ノードとの間に接続され、第1の複数のM個のエネルギ伝達インダクタの各々は、共通ノードと複数の一次巻線のうちの異なる一次巻線の第1の端子との間に接続される。
【0017】
1つのコンバータブリッジまたは複数のコンバータブリッジは、特に、第1のDCリンクから与えられた2つの電圧レベルのうちの少なくとも1つをAC中間回路の入力、特に入力端子に印加することができる任意のトポロジのアクティブブリッジであってもよい。これは、ハーフブリッジ、フルブリッジ、スターポイントクランプブリッジ、および任意の種類のマルチステージトポロジを含み得る。たとえば、3点ブリッジは、AC中間回路の入力に対する正の電圧、負の電圧、およびゼロ電圧の印加を可能にする。
【0018】
このように、1つのコンバータブリッジまたは複数のコンバータブリッジは、AC中間回路の入力と電圧レベルの各々との間の接続の確立および遮断を可能にする、複数のスイッチと、対応するスイッチされた接続とを含み得る。スイッチは、特に、DC/ACコンバータの内部にあってもよくまたは外部に設けられてもよい、制御ユニット、制御システム、またはコントローラによる制御下で動作することができる。制御は、特に閉ループ制御であってもよい。
【0019】
好ましくは、第1のDCリンクに並列に接続された複数のコンバータブリッジが存在する場合、それらはすべて同じトポロジを有する。好ましくは、すべてのコンバータブリッジの対応するスイッチは、少なくとも事実上同期された態様で動作するように構成される。特に、コントローラまたは制御システムは、すべての対応するスイッチを少なくとも事実上同時にオンに切り替えてもよく、すべての対応するスイッチを少なくとも事実上同時にオフに切り替えてもよい。
【0020】
スイッチは、特に、トランジスタ、特にBJT(バイポーラ接合トランジスタ(bipolar junction transistor))、MOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)、IGBT(集積型ゲートバイポーラトランジスタ(integrated gate bipolar transistor))を含む半導体スイッチであってもよく、または、サイリスタ、特にGTO(ゲートターンオフサイリスタ(gate turn-off thyristor))、GCT(ゲート転流サイリスタ(gate commutated thyristor))、またはIGCT(集積型ゲート転流サイリスタ(integrated gate commutated thyristor))であってもよい。
【0021】
本発明の上記局面およびさらに他の局面は、以下で図面と組み合わせて記載されている実施形態を参照すると明らかになり解明されるであろう。
【0022】
本発明の主題を、以下の本文において、添付の図面に示される具体例としての実施形態を参照しながら、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】基本的な先行技術のDC/DCデュアルアクティブブリッジ(DAB)コンバータを示す図である。
図2】本発明のある実施形態に係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータの概略図を示す。
図3】本発明の別の実施形態に係る具体例としてのデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータの概略図を示す。
図4】本発明の他の実施形態に係る具体例としてのデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
原則的に、図面において同一の参照符号は同一の特徴または要素を示す。
具体例としての実施形態の詳細な説明
図1のa)は、本発明の可能な出発点とみなし得る、基本的な先行技術のデュアルアクティブブリッジDC/DC(DAB:dual active bridge)コンバータ1を示す。DC/ACコンバータ12は、好ましくはその入力に接続されたDCリンクキャパシタを含むDC源からのDC電圧および/または電流を、中周波の、すなわち好ましくは500Hzと500kHzとの間の周波数範囲のAC電圧および/または電流に変換するように構成されている。上記AC電圧および/または電流は、変圧器141、特に中周波変圧器(MFT)を含むAC中間回路14に与えられ、この変圧器は、一次側と二次側とを含み、これらの一次側と二次側との間にガルバニック絶縁を与える。この変圧器は、とりわけ、結合インダクタンスLおよびLm’ならびに漂遊インダクタンスLによって特徴付けることができ、その一次側の1つまたは複数の巻線が、インダクタを介してDC/ACコンバータに接続され、このインダクタは、エネルギ伝達インダクタと呼ばれることもあり、インダクタンスLDABを有する。変圧器は、その一次側の電圧および/または電流を、周知の方法で二次側の電圧および/または電流に変換する。上記二次側の電圧および/または電流は、次に、AC/DCコンバータ16により、上記AC/DCコンバータ16の出力におけるDC電圧および/または電流に変換される。変圧器の二次側とAD/DCコンバータとの間に接続された任意のインダクタは、特に1:1の変圧器巻数比の場合、好ましくはLDABと少なくとも事実上同一のインダクタンスL’DABを有する。DC/ACコンバータ12は、特に、図1のb)に示されるものに対応するハーフブリッジ構成で配置されるかまたは図1のc)に示されるものに対応するフルブリッジ構成で配置される、複数の半導体スイッチを含み得る。同様に、AC/DCコンバータ16は、特に、図1のb)に示されるものに対応するハーフブリッジ構成で配置されるかまたは図1のc)に示されるものに対応するフルブリッジ構成で配置される、複数の半導体スイッチを含み得る。
【0025】
図2は、本発明のある実施形態に係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータの概略図を示す。コンバータは、第1のDCリンク10と、一対の半導体スイッチSおよびSを含むDC/ACコンバータ112と、AC中間回路114と、AC/DCコンバータ116と、第2のDCリンク18とを備える。変圧器の一次側1001および二次側1002の両方に2つの並列巻線が設けられ、エネルギ伝達インダクタLDABおよびL’DABが分割され並列巻線間に分散されており、各巻線は、一次側および二次側の各々において、インダクタンスLDAB/2またはL’DAB/2を有するエネルギ伝達インダクタを有する。背景情報にすぎないが、第1のDCリンク10に接続された電圧源、第2のDCリンク18に接続され抵抗Rloadによって特徴付けられる抵抗負荷、および、変圧器のコアおよび漂遊磁束のリラクタンスネットワーク19(灰色)も示されている。
【0026】
図3は、本発明の別の実施形態に係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータの概略図を示す。一次コイルは、複数のM=2個の並列巻線、すなわち電気的に並列接続された巻線を含み、各巻線は、変圧器ワイヤで形成され、各ワイヤまたは巻線は、第2の複数(M=2)のインダクタLDAB2のうちの個々のインダクタを介して共通ノードCに接続される。このコンバータは、第1のDCリンク10と、複数の半導体スイッチS,S,S,…,Sを含むDC/ACコンバータ212と、AC中間回路214と、AC/DCコンバータ216と、第2のDCリンク18とを備える。このコンバータは、単一の第1のDCリンク10に接続される複数のアクティブハーフブリッジを含み、それらの出力の各々は、第1の複数(N=3)のインダクタLDAB1および共通ノードCのうちの個々の1つを介して、中周波変圧器2141の一次コイルに接続され、上記変圧器は、とりわけ、この変圧器の一次側と二次側との間にガルバニック絶縁を提供する。インダクタLDAB1およびインダクタLDAB2がすべて接続される単一の結合点として共通ノードCを設けることで、半導体スイッチおよび変圧器ワイヤを独立して最適化することが可能になる。第1の複数のインダクタLDAB1のうちのすべてのインダクタのインダクタンスは、特に1:1の変圧器巻数比の場合、少なくとも事実上互いに同一になり得る。同様に、第2の複数のインダクタLDAB2のうちのすべてのインダクタのインダクタンスは、必ずしも第1の複数のインダクタLDAB1のインダクタンスと同一ではないが、少なくとも事実上互いに同一になり得る。背景情報にすぎないが、第1のDCリンク10に接続された電圧源、第2のDCリンク18に接続され抵抗Rloadによって特徴付けられる抵抗負荷、および、変圧器のコアおよび漂遊磁束のリラクタンスネットワーク19(灰色)も示されている。
【0027】
図4は、本発明のさらに別の実施形態に係る具体例としてのデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータの概略図を示す。このコンバータは、第1のDCリンク10と、DC/ACコンバータ312と、AC中間回路314と、AC/DCコンバータ316と、第2のDCリンク18とを備える。デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータのDC/ACコンバータ312は、複数のN個のアクティブハーフブリッジを含み、Nは、変圧器の並列にされた一次巻線の数Mの整数倍、またはその逆であり、具体例としての選択肢は、N=M=2である。エネルギ伝達インダクタLDAB1はそれらの変圧器側で相互に接続されていないが、各エネルギ伝達インダクタは、上記実施形態のような共通ノードなしで変圧器巻線に直接接続されることがわかるであろう。この場合も、すべてのエネルギ伝達インダクタLDAB1のインダクタンスは、特に1:1の変圧器巻数比の場合、少なくとも事実上互いに同一になり得る。
【0028】
図2図4に示される実施形態において、エネルギ伝達インダクタLDAB1、およびもしあればLDAB2は、図1のa)のエネルギ伝達インダクタLDABに取って代わり、中間回路114、214および314のエネルギ伝達インダクタとして共同で作用する。このため、上記エネルギ伝達インダクタは分割エネルギ伝達インダクタとみなすことができ、これらのインダクタのうちの個々のインダクタは部分エネルギ伝達インダクタとして作用する。
【0029】
分割エネルギ伝達インダクタを介して並列の変圧器巻線を接続することにより、そうでなければMFTに莫大な損失を生じさせる、および/またはコンバータの性能を著しく低下させることになる変圧器巻線内の循環電流を防止する。
【0030】
さらに、デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータが複数のN>1個のアクティブハーフブリッジを含む場合、部分エネルギ伝達インダクタが存在する結果、各アクティブハーフブリッジまたはブリッジレッグを通る電流はもはや、パワーモジュールの規制、不均質な温度分布、および/または半導体特性(すべてのチップで完全に等しい訳ではない)によって定められるのではなく、分割エネルギ伝達インダクタ(規定範囲内で、参照するインダクタンスからの制限された最大偏差、たとえば5%を有する)によって定められる。これにより、追加の処置または労力を必要とすることなく、電流分布が均質になり安定する。
【0031】
示されているすべての実施形態において、(図2図4の右側に示される)DC/DCコンバータの二次側は、代わりに、同一のまたはその他いずれかの実施形態の一次側と類似するように実施されてもよい。
【0032】
本発明に係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータの有利な特徴は次の通りである。
【0033】
●必要以上の構成要素は不要である。提案しているようにエネルギ伝達インダクタを分割することで、インダクタの合計サイズ、特に合計/総計インダクタンスを不変に保つ。
【0034】
●内部ですべての並列巻線を接続する単一の出力または二次側端子を有するMFTを使用することができ、これは、たとえば箔、特に低コストの箔からなる巻線の場合、構築がより簡単であり、それでもなお、高電圧用途の厳しい絶縁要件を満たすことができる。
【0035】
●1つのMFTが扱うことができる最大電流が増すので、1つのMFT当たりの最大および/または公称電力を増すことができる。これは、経済的に効率の良いMFTを構築する上で重要である。より高電力の(したがってより大型の)MFTにおいて、絶縁のための労力、特に十分な絶縁に必要な体積が、相対的に減じられる。より高電力をより高電流を介して供給するための代替方法は、SST内の全共振コンバータまたはデュアルアクティブブリッジコンバータセルを、並列接続すること、または全SSTを、したがって必要な数のMFTを並列接続することであろう。しかしながら、そうしても個々のMFTの電力レベルは増加しない。
【0036】
●平行なワイヤからなる並列変圧器巻線における循環電流は、このような電流を遮断する分割エネルギ伝達インダクタによって効率的に抑制され、このことは、場合によってはおそらくより低価格でありより少ない労力およびリソースで製造できる、断面がより小さいより一般的なリッツワイヤの使用を、可能にする。
【0037】
●単純にさらに他のハーフブリッジを追加することにより、高電流用途のための在庫品のパワー半導体スイッチを使用するおよび/または可能にする、デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータを、低コストで実現することが可能になる。
【0038】
●並列コンバータブリッジ、すなわちパワー半導体スイッチの数(NまたはN’)に理論上の制限がない。
【0039】
●高電流用途のためのワイドバンドギャップ半導体スイッチを使用する共振コンバータセルおよびデュアルアクティブブリッジを低コストで実現することを可能にし、これは、そうでなければ、(非ワイドバンドギャップ半導体スイッチと比較して)高速のスイッチ速度およびより小さなチップサイズが原因で、ますます難しくなるであろう。
【0040】
●単純で頑強であり、アクティブ電流平衡制御は不要である。
●たとえば各種EV高速充電器トポロジで必要な、MVグリッド接続SST内のセルだけでなく高電力低電圧用途の場合も、数百アンペアを扱う必要があるデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータの、非常に一般的な概念。
【0041】
特に先に述べた本発明の好ましい実施形態は、以下で列挙する項目に従い実施形態において詳述するように、好都合には先に詳述した特徴のうちの1つ以上と組み合わせて、または以下でさらに示す請求項に従い、実現することができる。
【0042】
●デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータは、
〇好ましくは第1のDCリンクキャパシタを含む第1のDCリンク10と、
〇第1のDCリンクに接続されたコンバータブリッジと、
〇一次側と二次側とを有する、変圧器、好ましくは中周波変圧器とを備え、
〇変圧器の一次側は、複数のM>1個の一次巻線を含み、複数の一次巻線の各々は第1の端子と第2の端子とを有し、デュアルアクティブDC/DCコンバータは、
〇第1の複数のM個のエネルギ伝達インダクタを備え、
〇M個の一次巻線のうちの各一次巻線ごとに、第1の複数のエネルギ伝達インダクタのうちの異なるエネルギ伝達インダクタが、一次巻線ブリッジとコンバータブリッジとの間に接続されることを、特徴とする。
【0043】
●デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータは、
〇好ましくは第1のDCリンクキャパシタを含む第1のDCリンクと、
〇第1のDCリンクに接続されたDC/ACコンバータとを備え、DC/ACコンバータは、
・第1のDCリンクに接続されたコンバータブリッジを含み、デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータはさらに、
〇DC/ACコンバータに接続されたAC中間回路を備え、AC中間回路は、
・一次側と二次側とを有する、好ましくは中周波変圧器である変圧器を含み、
・一次側は複数のM>1個の一時巻線を含み、さらに、
・第1の複数のM個のエネルギ伝達インダクタを含み、
・一次巻線のうちの各一次巻線ごとに、第1の複数のエネルギ伝達インダクタのうちの異なるエネルギ伝達インダクタが、一次巻線ブリッジとコンバータブリッジとの間に接続され、デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータはさらに、
〇AC中間回路の二次側に接続されたAC/DCコンバータと、
〇好ましくは第2のDCリンクキャパシタを含み、AC/DCコンバータの出力に接続された第2のDCリンクとを備える。
【0044】
●上記実施形態に係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータにおいて、
〇デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータは、第1のDCリンクに並列接続された第1の複数のN>1個のコンバータブリッジ、特に合計N>1個のコンバータブリッジを備え、
〇コンバータは第2の複数のN個のエネルギ伝達インダクタをさらに備え、
〇第2の複数のN個のエネルギ伝達インダクタの各々は、コンバータブリッジのうちの1つと共通ノード(C)との間に接続され、
〇第1の複数のM個のエネルギ伝達インダクタの各々は、共通ノードと、複数の一次巻線のうちの異なる一次巻線の第1の端子との間に接続される。
【0045】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータにおいて、コンバータブリッジの各々は、第1の入力端子および第2の入力端子とインバータブリッジ出力(代わりに複数の半導体スイッチにより第1の入力端子または第2の入力端子に導通接続可能)とを含むインバータハーフブリッジであり、各インバータハーフブリッジごとに、第1の複数のエネルギ伝達インダクタのうちの異なるエネルギ伝達インダクタが、インバータブリッジ出力と直列に接続される。
【0046】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータは、
○複数のO個の共通ノードを備え、O<NおよびO<Mであり、特に合計O個の共通ノードを備え、
○第1の複数のN個のエネルギ伝達インダクタの各々は、コンバータブリッジのうちの1つと共通ノードのうちの1つとの間に接続され、
○第2の複数のM個のエネルギ伝達インダクタの各々は、共通ノードのうちの1つと、複数の一次巻線のうちの異なる一次巻線の第1の端子との間に接続される。
【0047】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータにおいて、M≠Nであり、好ましくはM<Nである。
【0048】
●第1の項目および第2の項目において示された上記実施形態に係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータにおいて、コンバータは、第1の複数のM>個のコンバータブリッジを備え、コンバータブリッジと一次巻線とが、ペアにして、第1の複数のエネルギ伝達インダクタのうちの異なるエネルギ伝達インダクタを介して接続され、この異なる1つのエネルギ伝達インダクタは、コンバータブリッジのうちの1つと一次巻線のうちの1つとを含む接続された各ペア間に接続される。
【0049】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータにおいて、
○コンバータブリッジの各々は、第1の入力端子および第2の入力端子とインバータブリッジ出力(代わりに複数の半導体スイッチにより第1の入力端子または第2の入力端子に導通接続可能)とを含むインバータハーフブリッジであり、
○各エネルギ伝達インダクタは、第1の端子と第2の端子とを有し、
○各インバータハーフブリッジごとに、複数のエネルギ伝達インダクタのうちの対応するエネルギ伝達インダクタの第1の端子が、対応するインバータブリッジ出力に接続され、
○第1の複数のM個のエネルギ伝達インダクタのうちの各エネルギ伝達インダクタの第2の端子は、異なる一次巻線に接続される。
【0050】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータにおいて、
○コンバータブリッジの各々は、第1の入力端子および第2の入力端子とインバータブリッジ出力(代わりに複数の半導体スイッチにより第1の入力端子または第2の入力端子に導電接続可能)とを含むインバータハーフブリッジであり、
○各エネルギ伝達インダクタは、第1の端子と第2の端子とを有し、
○各インバータハーフブリッジごとに、複数のエネルギ伝達インダクタのうちの対応するエネルギ伝達インダクタの第1の端子が、対応するインバータブリッジ出力に接続され、
○第2の複数のN個のエネルギ伝達インダクタのうちのすべてのエネルギ伝達インダクタの第2の端子がまとめて共通ノードに接続される。
【0051】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータにおいて、複数の一次巻線すべての第2の端子がまとめて接続される。
【0052】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータにおいて、
○第1のDCリンクは正の端子と負の端子とを有し、
○すべてのインバータハーフブリッジの第1の入力端子は正の端子に接続され、
○すべてのインバータハーフブリッジの第2の入力端子は負の端子に接続される。
【0053】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータにおいて、第1のDCリンクは中性端子をさらに有し、複数の一次巻線すべての第2の端子が中性端子に接続される。
【0054】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータは、
○好ましくは第2のDCリンクキャパシタを含む第2のDCリンクをさらに備える。
【0055】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータは、
○第2のDCリンクに接続された第2のコンバータブリッジをさらに備え、
○変圧器の二次側は、複数のM’>1個の二次巻線を含み、複数の二次巻線の各々は、第1の端子と第2の端子とを有し、デュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータはさらに、
○第3の複数のM’個のエネルギ伝達インダクタを備え、
○M’個の二次巻線のうちの各二次巻線ごとに、第3の複数のエネルギ伝達インダクタのうちの異なるエネルギ伝達インダクタが、二次巻線ブリッジと第2のコンバータブリッジとの間に接続される。
【0056】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータにおいて、
○第2の複数のN’>1個のコンバータブリッジ、特に合計N’>1個のコンバータブリッジが、第2のDCリンクに並列接続され、
○コンバータは第4の複数のN’個のエネルギ伝達インダクタをさらに備え、
○第2の複数のN’>個のコンバータブリッジのうちの各コンバータブリッジごとに、第4の複数のエネルギ伝達インダクタのうちの異なるエネルギ伝達インダクタが、コンバータブリッジと複数の二次巻線との間に接続される。
【0057】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータにおいて、
○第2の複数のN’>1個のコンバータブリッジが第2のDCリンクに並列接続され、
○コンバータは第4の複数のN’個のエネルギ伝達インダクタをさらに備え、
○第4の複数のN’個のエネルギ伝達インダクタの各々は、コンバータブリッジのうちの1つと、他の共通ノード(C)との間に接続され、
○第3の複数のM’個のエネルギ伝達インダクタの各々は、上記他の共通ノードと、複数の二次巻線のうちの異なる二次巻線の第1の端子との間に接続される。
【0058】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータにおいて、
○複数のN>1個のコンバータブリッジの各々は、インバータブリッジであり、
○変圧器の二次側は、少なくとも1つの二次巻線を含み、コンバータはさらに、
○第2のDCリンクに並列接続された第2の複数のN’>1個の整流器ブリッジと
○第4の複数のN’個のエネルギ伝達インダクタとを備え、
○各整流器ブリッジごとに、第4の複数のエネルギ伝達インダクタのうちの異なるエネルギ伝達インダクタが、上記整流器ブリッジと複数の二次巻線との間に接続される。
【0059】
●上記実施形態のいずれかに係るデュアルアクティブブリッジDC/DCコンバータにおいて、第1の複数のN>1個のコンバータブリッジのうちのコンバータブリッジは、好ましくは少なくとも事実上同期した態様で動作するように構成されたアクティブブリッジであり、もしあれば、第2の複数のコンバータブリッジのうちのコンバータブリッジも、好ましくは少なくとも事実上同期した態様で動作するように構成されたアクティブブリッジである。
【0060】
特に指定がない限り、特にノード、ポイント、端子、素子、装置など、またはその組み合わせを含む、特に任意の2つのエンティティ間の接続は、特にワイヤ、ケーブル、バスバー、導電性トラック、たとえば(プリント)回路基板上のトレースまたはライン、はんだなどによって確立されるような導電性接続を意味する。導電性接続は、好ましくは、接続されるエンティティ間に、特に何の離散素子もない、特に抵抗器、キャパシタ、インダクタ、またはその他の受動もしくは能動素子もしくは装置が接続されていない、少なくとも実質的に直接接続である。したがって、この導電性接続は、少なくとも実質的に無視できる抵抗、静電容量、およびインダクタンス、好ましくは少なくとも実質的にゼロの抵抗、静電容量、およびインダクタンスを有する。特に、導電性接続の抵抗、静電容量、およびインダクタンスは、本来、専ら寄生成分である。さらに、導電性接続の抵抗、静電容量、およびインダクタンスは、この導電性接続によって接続されるおよび/または導電性接続を含む電気回路もしくはネットワークに含まれる抵抗器、キャパシタまたはインダクタそれぞれの抵抗、静電容量、およびインピーダンスよりも遥かに小さい(好ましくは1/100、1/1000、または1/10000)。
【0061】
特に指定がない限り、電気接続または電気的接続は、定義した上述の接続と同一である。
【0062】
特に指定がない限り、特にノード、ポイント、端子、素子、装置など、またはその組み合わせを含む、2つのエンティティ同士が接続される、電気的に接続される、(電気的に)接続されることになる場合、定義した上述の接続がこれら2つのエンティティの間に存在する。
【0063】
特に指定がない限り、特に第1および第2のノード、ポイント、端子、素子、装置など、またはその組み合わせを含む、第1および第2のエンティティが、特に第3のノード、ポイント、端子、素子、装置を含む、第3のエンティティを介してまたはそのような第3のエンティティを間に挟んで接続される場合、定義下上述の接続が、第1のエンティティと第3のエンティティとの間および第3のエンティティと第2のエンティティとの間に存在する。しかしながら、定義した上述の接続、特に少なくとも実質的に直接接続は、第1のエンティティと第2のエンティティとの間に存在しない。明示的に指定されている場合、第3の素子は、特に接続、特に導体、ワイヤ、ケーブル、バスバーなどであってもよい。このような場合、指定されたもの以外に上述の接続は存在しないと考えることができる。
【0064】
特に指定がない限り、本特許出願全体を通して、a≒bという記述は、|a-b|/(|a|+|b|)<10、好ましくは|a-b|/(|a|+|b|)<100を意味すると想定し、aおよびbは、本特許出願のいずれかで記載および/または定義されている任意の変数を表し得る、またはそうでなければ当業者とって周知である。さらに、aはbと少なくともほぼ等しいまたは少なくともほぼ同一であるという記述は、a≒b、好ましくはa=bを意味する。さらに、特に指定がない限り、本特許出願を通して、a>>bという記述は、a>10b、好ましくはa>100bを意味し、a<<bという記述は、10a<b、好ましくは100a<bを意味すると、想定する。
【0065】
特に指定がない限り、本特許出願全体を通して、N、M、O、N’、M’、O’は、整数を表すために使用される。
【0066】
本発明の局面および実施形態を示す本明細書および添付の図面は、保護される発明を規定する請求項を限定するものと解釈されてはならない。言い換えると、本発明は、図面および上記説明において詳細に示され記載されているが、このような記載および説明は、例示または具体例とみなされるべきものであって、限定とみなされてはならない。各種の機械的、構成、構造、電気、および動作の変更を、本明細書および請求項の精神および範囲から逸脱することなく、なすことができる。いくつかの例において、周囲の回路、構造および技術は、本発明を曖昧にしないために詳細には示されていない。よって、当業者は以下の請求項の範囲の中で変更および修正を行い得ることが理解されるであろう。特に、本発明は、上記および下記の異なるおよび/または個々の実施形態の特徴の任意の組み合わせを有するさらに他の実施形態をカバーする。本発明に係る実施形態は、特に、図面に示されていないまたはこれまでの説明に記載されていない、さらに他のおよび/または追加の特徴、要素、局面などを含み得る。
【0067】
本開示は、図面に個々に示されるすべてのさらに他の特徴もカバーするが、これらは上記または以下の説明には記載されていない場合がある。また、図面および本明細書に記載されている実施形態の個々の代替形ならびにその特徴の個々の代替形を、本発明の主題からまたは開示されている主題からディスクレームすることができる。本開示は、請求項において規定されている特徴からなる主題、および、上記特徴を含む主題を含む。
【0068】
さらに、請求項における「備える/含む(comprising)」という用語は、さらに他のまたは追加の特徴、要素、ステップなどを除外するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外するものではない。単一のユニットまたはステップは、請求項に記載されるいくつかの特徴の機能を果たし得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているからといって、それは、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。属性、特性または値に関する「本質的に(essentially)」、「約(about)」、「およそapproximately)」などの用語は、特に、記載されている通りの属性、特性または値そのものも含む。特定の数値または範囲の文脈における「およそ」または「約」という用語は、たとえば特定の数値または範囲の20%以内、10%以内、5%以内、または2%以内の値または範囲を意味し、特に、記載されている値または範囲そのものも含む。結合または接続されるものとして説明される構成要素は、電気的または機械的に直接結合されていてもよく、または1つ以上の中間構成要素を介して間接的に結合されていてもよい。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
図1a)】
図1b)】
図1c)】
図2
図3
図4