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特許7432097注射プロセス中に自動的かつ受動的に針の安全を提供する超低用量の廃棄物のニードルおよび注射器システム
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  • 特許-注射プロセス中に自動的かつ受動的に針の安全を提供する超低用量の廃棄物のニードルおよび注射器システム 図1
  • 特許-注射プロセス中に自動的かつ受動的に針の安全を提供する超低用量の廃棄物のニードルおよび注射器システム 図2
  • 特許-注射プロセス中に自動的かつ受動的に針の安全を提供する超低用量の廃棄物のニードルおよび注射器システム 図3
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  • 特許-注射プロセス中に自動的かつ受動的に針の安全を提供する超低用量の廃棄物のニードルおよび注射器システム 図5
  • 特許-注射プロセス中に自動的かつ受動的に針の安全を提供する超低用量の廃棄物のニードルおよび注射器システム 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】注射プロセス中に自動的かつ受動的に針の安全を提供する超低用量の廃棄物のニードルおよび注射器システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
A61M5/32 510B
A61M5/32 510Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021547661
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 US2019057970
(87)【国際公開番号】W WO2020086919
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】16/660,796
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/750,803
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521177038
【氏名又は名称】シャープス テクノロジー, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SHARPS TECHNOLOGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(72)【発明者】
【氏名】バーラー, バリー
(72)【発明者】
【氏名】ミューロン, ジュニア, アンソニー, エフ.
(72)【発明者】
【氏名】コレリー, ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーリ, ニフ
(72)【発明者】
【氏名】カッツ, ギル
(72)【発明者】
【氏名】ウドビッチ, グレゴリー
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0009808(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0162530(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/28
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニードルおよび注射器のシステムであって、
シリンジ胴体を備え、前記シリンジ胴体は第1の開口端部を有し、前記シリンジ胴体は、前記第1の開口端部を通じてアクセス可能な管状チャンバを定義し、
前記シリンジ胴体から前記管状チャンバの内部に延びるリング突起と、
前記シリンジ胴体内で相互に移動可能なプランジャヘッドを持つプランジャとをさらに備え、前記プランジャヘッドは、前記シリンジ胴体の前記第1の開口端部に面するフェース面を有し、
前記シリンジ胴体に配置されたスペーサをさらに備え、前記スペーサは、外側に沿って配置された凹み領域を有する前記外側と、前記スペーサを通って延びる中央開口部と、前記プランジャヘッドの前記フェース面に面する接触面とを有し、前記シリンジ胴体上の前記リング突出部は、前記スペーサの前記凹み領域の中に延び、前記シリンジ胴体内の前記スペーサの相互移動を制限し、
前記シリンジ胴体に選択的に接続するカラーをさらに備え、前記カラーは、前記スペーサーの前記中央開口部の中に延びるニードルベースを支持し、
尖った第1の端部と反対側の第2の端部との間に延びるニードルをさらに備え、前記ニードルは前記ニードルベースに取り付けられ、
前記カラーから延びる安全スライドをさらに備え、前記安全スライドは、そこを通って延び前記ニードルの一部を取り囲むシースチューブを有し、前記シースチューブが前記ニードルの前記尖った第1の端部を越えて延びない第1の位置と、前記シースチューブが前記ニードルの前記尖った第1の端部を越えて延びる第2の位置との間で、前記安全スライドは、前記ニードルおよび前記カラーに対して相対移動可能であり、
前記プランジャは前記シリンジ胴体内を移動することができ、前記プランジャヘッドを前記スペーサーに接触させて前記スペーサーを移動させることができ、前記スペーサーは前記ニードルベースを越えて前進し、前記安全スライドは前記スペーサーに押されて前記第1の位置から前記第2の位置に移動する、システム。
【請求項2】
前記安全スライドが前記第1の位置から前記第2の位置に移動するとき、前記ニードルベースは、前記スペーサ内の前記中央開口部を通って前記スペーサーの前記接触面に移動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記接触面と前記フェース面との接触の際に前記接触面と前記フェース面との間にスペースが存在しないように、前記スペーサーの前記接触面と前記プランジャヘッドの前記フェース面とは一致する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記安全スライドが前記第2の位置に入るときに前記安全スライドを前記第2の位置に自動的にロックするロックをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記安全スライドが前記第2の位置に入ると見えるようになる前記安全スライド上の視覚的インジケーターをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記シリンジ胴体は、前記スペーサーと機械的に係合し、前記シリンジ胴体内の前記スペーサーの動きを制限された範囲に規制する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
ニードルおよび注射器のシステムであって、
胴体と、プランジャとを含む注射器アセンブリを備え、前記プランジャはプランジャヘッドを有し、
前記胴体内に配置された管状スペーサをさらに備え、前記スペーサは、そこを通って延びる中央開口部を有し、
前記注射器アセンブリに選択的に取り付けられたカラーをさらに備え、前記カラーは、テーパーネックと、前記テーパーネック上の少なくとも1つのロック突起とを有し、前記カラーは、前記テーパーネックを通って延びる尖った第1の端部を持つニードルを支持し、前記少なくとも1つのロック突起は、前記テーパーネックから前記ニードルの方へ延び、
管状体と、前記管状体から延び、前記ニードルの一部を取り囲むシースチューブとを有する安全スライドをさらに備え、前記管状体は、その上に形成されたロック溝を有し、前記シースチューブが前記ニードルの前記尖った第1の端部を越えて延びない第1の位置と、前記シースチューブが前記ニードルの前記尖った第1の端部を越えて延びる第2の位置との間で、前記安全スライドは、前記ニードルに対して相対的に移動可能であり、
前記プランジャは前記胴体内で前進し、前記スペーサに接触して前記スペーサを移動させることが可能であり、前記スペーサは前記安全スライドを押して前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させ、
前記安全スライドが前記第2の位置に移動する場合、前記テーパーネック上の前記少なくとも1つのロック突起は前記管状体上の前記ロック溝と係合し、前記安全スライドを前記第2の位置にロックし、
前記胴体は前記スペーサーと機械的に係合し、前記胴体内の前記スペーサーの動きを制限された範囲に規制する、システム。
【請求項8】
前記ニードルはニードルベースに固定され、前記安全スライドが前記第1の位置から前記第2の位置へ移動するとき、前記ニードルベースは前記スペーサーの前記中央開口部を通って移動する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記スペーサと前記プランジャヘッドとの接触の際に前記スペーサと前記プランジャヘッドとの間にスペースが存在しないように、前記スペーサと前記プランジャヘッドとは一致する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記安全スライドが前記第2の位置に入る場合に見えるようになる、前記安全スライド上の視覚的インジケーターをさらに含む、請求項7に記載のシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
【0002】
一般に、本発明は、ニードルまたはカニューレを介して注射を行うために使用される注射器に関する。より具体的には、本発明は、ニードルが使用後に自動的に遮蔽される安全な注射器に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
【0004】
アメリカ合衆国では、毎年何百万もの注射が行われている。注射は通常、皮下注射ニードルおよび注射器を使用して行われる。皮下注射ニードルの長さおよびニードルの寸法は、用途と、注射が筋肉内、皮下、静脈内、または皮内のいずれであるかとによって異なる。注射される化合物もまた大きく異なる。生理食塩水などのいくつかの注射材料は、非常に安価である。しかし、特定の遺伝子治療化合物などの多くの医薬品化合物は、一注射ごとに数万ドルの費用がかかる可能性がある。そのため、医薬品の1ミリリットルの何分の一かは、数百ドルの価値がある。
【0005】
従来の皮下注射ニードルおよび注射器を使用して注射を行う場合、注射が完了した後、ニードルおよび注射器の内部に、必然的にある程度の体積の注射材料が残る。残った医薬品は、注射後ニードルおよび注射器とともに捨てられる。ニードルおよび注射器の内部に残る注射材料の量は、ニードルおよび注射器の設計によって異なる。いくつかの注射材料では、50マイクロリットル程度の少量の注射が実行される場合がある。この体積は、多くの従来技術のニードルおよび注射器の設計のデッドスペースの体積に近いものである。その結果、50マイクロリットルを注射するためには100マイクロリットル以上をニードルおよび注射器に引き込む必要がある。その結果、ニードルおよび注射器に引き込まれた注射材料の半分が廃棄される。非効率的なニードルおよび注射器の設計のデッドスペースに保持されている医薬品は、すべての注射を考慮すると、合計で数十億ドルの無駄な医薬品になる。
【0006】
従来技術では、本質的に皮下注射器およびニードルの内部に残る残留材料の体積についてはほとんど考慮されていない。いくつかのニードルおよび注射器のアセンビリは、注射器プランジャとニードルヘッドとが面一で接触するように設計されている。そのような先行技術の設計は、リーの米国特許第6,616,636号およびジェンツェンの米国特許第5,902,270号によって例示されている。しかし、病院などの実際の医療環境では、様々な注射器が、具体的な医療用途に応じて、さまざまなニードルヘッドで使用される。いくつかのニードルヘッドと注射器との組み合わせは、医薬品化合物の排出に効率的あるが、そうでない組み合わせもある。
【0007】
ニードルヘッドおよび注射器が安全な注射器アセンブリの一部である場合、問題はさらに複雑になる。安全な注射器アセンブリは、注射を実行し、かつ針刺し損傷(needle stick)の可能性を最小限に抑えるためのメカニズムを提供するように設計されている。針刺し損傷は医療従事者の間で一般的である。米国国立労働安全衛生研究所によれば、針刺し損傷は、皮下ニードル、採血ニードル、静脈内(IV)スタイレット、およびIVデリバリーシステムの部品を接続するために使用されるニードルなどのニードルによって引き起こされる損傷として定義される。針刺し損傷は、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの血液感染性病原体を感染させる可能性がある。医療従事者にとって、針刺し損傷は、医療従事者のこれらの病気のかなりの部分の原因となっている。
【0008】
米国疾病対策センターによると、アメリカ合衆国では、毎年300万人以上の医療従事者がニードル事故によって血液や体液にさらされていると推定されている。ほとんどの医療従事者は、使用済みのニードルを使用および廃棄するための手順について訓練を受けている。針刺し損傷の可能性を防ぐために、使用済みのニードルに再度キャップを付けるべきではない。しかし、多くの研究により、再度キャップを付けることが医療従事者の間で依然として広く行われていることが明らかになっている。
【0009】
針刺し損傷の数を減らすために、ニードルが皮膚から引っ込められた瞬間にニードルをカバーするように機能するさまざまな安全ニードルが開発されている。これは通常、シースがニードルの先端を覆うまで、ニードルのシャフトに沿って管状シースを前進させることによって達成される。そのような先行技術は、バーラーの米国特許第6,626,863号、バーラーの米国特許出願公開第2007/0016140号、バーラーの米国特許出願公開第2007/0016145号、およびバーラーの米国特許出願公開第2008/0009808号によって例示されている。しかし、ニードルヘッド内に安全メカニズムを統合すると、通常、ニードルヘッド内に追加のスペースが必要になる。ニードルヘッドで使われるスペースが増えるということは、ニードルヘッドに残留した医薬化合物が集まり得るデットスペースが広いことを意味する。結果として、設計においてバランスをとらなければならない反対の懸念がしばしばある。デザインの安全機能は、安全機能のために保持されている無駄になる医薬品とのバランスが取られている。
【0010】
安全な注射器の使用はまた、しばしば注射技術の変更を必要とする。つまり、医療従事者は、安全機能をアクティブにするために、ニードルおよび注射器の使用方法を変更する必要がある。これによって、医療従事者が両手を使用し、使用後にニードルおよびニードルの近くの注射器をつかむ必要性が生まれることがよくある。安全なシステムの自動化は自動ではなく、安全なシステムをアクティブ化しようとしている間、医療従事者は針刺し損傷に対して脆弱なままとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第6,616,636号
【文献】米国特許第5,902,270号
【文献】米国特許第6,626,863号
【文献】米国特許出願公開第2007/0016140号
【文献】米国特許出願公開第2007/0016145号
【文献】米国特許出願公開第2008/0009808号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、ニードルが注射後に自動的に遮蔽され、アセンブリが大きい体積の注射される材料を保持しない、改良された皮下ニードルおよび注射器のアセンブリの必要がある。
【0013】
従来のニードルおよび注射器のシステムと同じ手法で、片手で操作できる安全ニードルおよび注射器のシステムの必要がある。
【0014】
最後に、自動的にアクティブになり、ニードルが患者から引き抜かれる前であってもニードルの先へのアクセスを防止する安全ニードルおよび注射器のシステムの必要がある。
【0015】
これらの必要は、以下に記載および請求される本発明によって満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の開示
【0017】
本発明は、片手での操作で超低用量の廃棄物と自動での針刺し保護とを提供するニードルおよび注射器のシステムである。胴体およびプランジャを含む注射器アセンブリが提供される。プランジャは、胴体内を移動するプランジャヘッドを有する。管状スペーサは、その上端近くの胴体に配置される。注射化合物がスペーサを通って流れることができるように、スペーサは中央開口部を有する。
【0018】
胴体の開口端部に選択的に取り付けるニードルヘッドアセンブリが提供される。ニードルヘッドアセンブリは、胴体と係合するためのカラーと、尖った第1の端部を持つニードルとを含む。
【0019】
安全スライドは、ニードルヘッドアセンブリ内のニードルとカラーとの間に配置される。安全スライドは、ニードルの一部を囲むシースチューブを有する。安全スライドは、ニードルに対して第1の位置と第2の位置との間を移動可能である。第1の位置では、シースチューブはニードルの尖った第1の端部を越えて延びない。第2の位置では、シースチューブはニードルの尖った第1の端部を越えて延び、針刺しを防ぐ。
【0020】
プランジャが胴体内で前進する場合、プランジャ胴体内の圧力の上昇により管状スペーサが動き始める。最終的に、プランジャヘッドは管状スペーサに接触し、アセンブリ内の最も遠い位置に管状スペーサを移動させる。管状スペーサはニードルのベースを通過し、安全スライドを押す。注射が実行されるときに、安全スライドは管状スペーサによって第1の位置から第2の位置に移動される。安全スライドが前進すると、シースチューブはニードルの尖った端を越えて延びる。これは注射中に起こり、ニードルが患者から引き抜かれる前でさえニードルの先端を保護する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面の簡単な説明
【0022】
本発明をよりよく理解するために、添付の図面と併せて検討される、その例示的な実施の形態の以下の説明が参照される。
図1】ニードルヘッドアセンブリに取り付けられた注射器アセンブリを含む、安全ニードルおよび注射器のシステムの例示的な実施の形態の断面図である。
図2図1の例示的な実施の形態の分解図を示す。
図3】ニードルヘッドアセンブリの安全スライド構成要素の斜視図を示す。
図4】ニードルヘッドアセンブリ内の安全スライドを作動させる前の、注射器アセンブリのネックおよびニードルヘッドアセンブリの拡大断面図である。
図5】ニードルヘッドアセンブリ内の安全スライドの作動中の注射器アセンブリのネックおよびニードルヘッドアセンブリの拡大断面図である。
図6】ニードルヘッドアセンブリ内の安全スライドを作動させた後の、注射器アセンブリのネックおよびニードルヘッドアセンブリの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明を実施するための最良のモードの詳細な説明
【0024】
本発明のニードルおよび注射器のシステムは、多くの方法で構成することができ、多くの用途での使用に適合させることができる。しかしながら、説明および例示の目的のために、いくつかの例示的な実施の形態のみが選択されている。しかしながら、説明された実施の形態は、単なる例示であり、添付の特許請求の範囲を解釈する際の制限と見なされるべきではない。
【0025】
図1および図2を参照して、本発明のニードルおよび注射器のシステム10が示される。示される実施の形態では、ニードルおよび注射器のシステム10は、使用直前に医療専門家によって選択的に結合される2つの一次アセンブリを含む。一次アセンブリは、予め充填された注射器アセンブリ12と、ニードルヘッドアセンブリ14とを含む。
【0026】
ニードルヘッドアセンブリ14は、ニードル16を含む。ニードル16は、尖った第1の端部18と、その反対の第2の端部19とを有する。ニードル16の寸法およびニードル16の長さは、実施される医療処置のために医療専門家によって選択される。ニードルヘッドアセンブリ14内では、ニードル16の一部が細長いベース20の中にセットされる。細長いベース20は管状であり、ニードル16を通る流れを妨げない。このように、ニードル16および細長いベース20は、1つのユニットとして一緒に移動する。
【0027】
図2と併せて図3を参照すると、ニードル16は、安全スライド22の相対的な動きによって選択的に保護されることが分かる。安全スライド22は、管状体24を有する。脚26は、管状体24の第1の端部27から延びる。管状体24は、ニードル16の細長いベース20を受け入れるサイズの中央開口部28を定義する。シースチューブ30は、脚26の反対側の安全スライド22の第2の端部31から延びる。延在するシースチューブ30は片持ち梁であり、中央開口部28と繋がる導管32を定義する。細長いベース20は、安全スライド22の中央開口部28の中に延び、ニードル16は安全スライド22のシースチューブ30を通って延びる。説明するように、安全スライド22は、ニードル16および細長いベース20に対して相対的に移動することができる。
【0028】
図4図5、および図6と併せて図2を参照すると、使用前(図4)に安全スライド22が格納され、使用できるシースチューブ30を越えてニードル16が延びる。使用中(図5)、安全スライド22はニードル16に沿ってシースチューブ30を延ばす。使用後(図6)、シースチューブ30がニードル16全体を覆うように安全スライド22はシースチューブ30を延ばし、ニードル16を安全にする。
【0029】
ニードルヘッドアセンブリ14は、安全スライド22を囲むカラー34を含む。カラー34は、バヨネット接続、ねじ接続、または同様の機械的接続で注射器アセンブリ12に機械的に接続する。そのため、カラー34は、ニードルヘッドアセンブリ14を注射器アセンブリ12に相互接続するために使用される。カラー34は、安全スライド22に隣接し、操作中の安全スライド22の動きをガイドするテーパネック36を有する。テーパネック36の内部には、1つまたは複数のロック突起38が形成される。ロック突起38は、後で説明する目的のために安全スライド22に対して付勢される。
【0030】
注射器アセンブリ12は、胴体40を有する。胴体40は、開いた第1の端部42と開いた第2の端部44との間に延びる管状チャンバ41を定義する。管状チャンバ41は、開いた第1の端部42から短い距離をおいて形成されたリング突起60を除いて、開いた第1の端部42と開いた第2の端部44との間で均一である。第1の端部42の近くの胴体40の外部は、ネジが形成されるか、またはニードルヘッドアセンブリ14のカラー34に係合するように構成される。同様に、反対側の第2の端部44の胴体40の外側は、フィンガーフランジ46を有し、ニードルおよび注射器のシステム10全体を適切につかむことができる。
【0031】
プランジャ50は、胴体40内にセットされる。プランジャ50は、プランジャ50が胴体40内で相互に移動するときに、胴体40内の管状チャンバ41に対してシールするプランジャヘッド52を有する。プランジャヘッド52は、胴体40の開いた第1の端部42に面したフェース面55を有する。
【0032】
管状スペーサ54は、胴体40の管状チャンバ41内に配置される。管状スペーサ54は、第1の端部57と第2の端部58との間に延びる中央開口部56を有する。管状スペーサ54の第1の端部57は、プランジャヘッド52のフェース面55の方を向き、介在するギャップスペースなしにプランジャヘッド52に隣接するように構成される。管状スペーサ54の中央開口部56は、ニードル16の底部にある細長いベース20を受け入れるサイズになっている。管状スペーサ54は、胴体40の管状チャンバ41に収まるサイズになっている。管状スペーサ54は、その外側に凹み領域59を有しており、凹み領域59は管状チャンバ41の内側のリング突起60と係合する。凹み領域59内のリング突起60の存在によって、胴体40内の管状スペーサ54の相互移動の範囲が制限される。
【0033】
ニードルおよび注射器のシステム10を利用するために、実施される医療注射に適切なニードルヘッドアセンブリ14および注射器アセンブリ12が選択されることが理解されるであろう。ニードルヘッドアセンブリ14は、注射器アセンブリ12に手作業で取り付けられる。次に、胴体40内のプランジャ50を引っ込めるという従来の方法で、定格な量の注射化合物62がニードルおよび注射器のシステム10に引き込まれる。
【0034】
使用前に、ニードル16の尖った第1の端部18が露出する。ニードル16の第1の端部18は、患者の皮膚を通って注射するために使用される。シースチューブ30の細さによって、シースチューブ30も通常、ニードル16によって作られた開口部を通って皮膚の中に入る。プランジャヘッド52をニードルヘッドアセンブリ14に向かって前進させることによって化合物は注入される。図4図5、および図6の順で示されるように、ニードル16および細長いベース20は、注射前、注射中、および注射後も静止したままである。細長いベース20は、管状スペーサ54の中央開口部56に部分的に延びる。このようにして、ニードル16を流れる注射化合物62は管状スペーサ54を自由に流れることができる。注射化合物62が胴体40に引き込まれると、管状スペーサ54は、管状スペーサ54の凹み領域59と相互作用する胴体40中のリング突起60によって、所定の位置に保持される。
【0035】
プランジャ50が胴体40内を前進すると、注射化合物62はニードル16を介して胴体40から移動する。注射中、プランジャ50の移動により注射化合物62の圧力が上昇する。注射化合物62は管状スペーサ54を押し、注射が行われると管状スペーサ54を前方に動かし始める。図5を参照すると、プランジャヘッド52が最初に管状スペーサ54に接触するとき、プランジャヘッド52と管状スペーサ54との間にギャップスペースがないことが分かる。注射化合物62を含む唯一の領域は、ニードル16の内部と、ニードル16の細長いベース20によって占有されていない管状スペーサ54の中央開口部56とである。しかし、この時点で、プランジャ50は胴体40内でまだ完全に押されていない。
【0036】
図6を参照すると、プランジャ50が完全に前進すると、プランジャヘッド52が管状スペーサ54に接触し、管状スペーサ54を胴体40の開いた第2の端部44に押し込むことが分かる。この時点で、プランジャヘッド52はニードル16の細長いベース20に接触する。結果として、管状スペーサ54内に空いたスペースはもはや無くなる。注射化合物62が残ることができる唯一の場所はニードル16自体の中である。この領域は非常に小さく、ニードルおよびシリンジのアセンブリ10が最初に保持していた注射化合物62の体積の1%未満である。したがって、注入が完了した後にニードルおよびシリンジのアセンブリ10によって保持される注射化合物62は僅かであることが理解されるであろう。
【0037】
図5および図6の両方を図3と併せて参照すると、管状スペーサ54がプランジャヘッド52によって胴体40の第2の端部44に向かって前進するとき、胴体40内の圧力の増加によって管状スペーサ54が前方へ移動することが理解されるであろう。最終的に、管状スペーサ54は安全スライド22の脚26を押し、安全スライド22を前進させ続ける。結果として、安全スライド22は注射処理中に前方に移動する。安全スライド22が前方へ移動すると、シースチューブ30はニードル16を越えて前進し、シースチューブ30は最終的にニードル16の尖った第1の端部18を越えて延びる。これにより、ニードル16が安全になる。シースチューブ30は、注射処置中に安全スライド22と一緒に移動する。シースチューブ30は、ニードル16に沿って前進するときに患者の中に移動する。シースチューブ30は、注射処置が完了する前にニードル16を越えて延びる。このように、ニードル16が患者から引き抜かれるとき、ニードル16はすでにシースチューブ30によって保護される。
【0038】
安全スライド22が静止したカラー34内を前進するとき、カラー34のロック突起38は、安全スライド22と係合し、安全スライド22を所定の位置にロックする。これにより、ニードルヘッドアセンブリ14がリセットされて再利用されることが防がれる。また、安全スライド22がカラー34内を前進するとき、安全スライド22の外側にある視覚的インジケータ65(図3)が見えるようになる。安全スライド22がカラー34との係合によりロックすると、視覚的インジケータ65が見えるようになる。視覚的インジケータ65によって、医療従事者は、ニードルおよび注射器のシステム10が使用されたこと、およびシステム10が安全な構成にロックされ、廃棄の準備ができていることを確認することができる。
【0039】
図示および説明される本発明の実施の形態は単なる例示であり、当業者はその実施形態に多くの変形を加えることができることが理解されよう。たとえば、注射の完了時にこれらの要素を一緒にロックするために、カラーと安全スライドとの間に利用できる多くのロック装置がある。そのようなすべての実施の形態は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6