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特許7432135二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム及び二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム及び二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20240208BHJP
   B29C 55/12 20060101ALI20240208BHJP
   B32B 15/09 20060101ALI20240208BHJP
   B32B 15/20 20060101ALI20240208BHJP
   B29K 67/00 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
C08J5/18 CFD
B29C55/12
B32B15/09 Z
B32B15/20
B29K67:00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019158718
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021038281
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-03-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 久雄
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-191405(JP,A)
【文献】特開平11-168267(JP,A)
【文献】特開2006-054239(JP,A)
【文献】特開2013-131323(JP,A)
【文献】特開2011-184579(JP,A)
【文献】特開平10-207008(JP,A)
【文献】特開平11-333922(JP,A)
【文献】特開昭62-135350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00-5/02;5/12-5/22
B29C 55/00-55/30
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンナフタレートを主たる構成成分とし、
厚さ方向の屈折率が1.499~1.512であり、
5.0GHzにおける誘電正接が0.007以下であり5.0GHzにおける比誘電率が2.96以下であり、
6.0GHz以上の高周波信号を伝送するフレキシブル回路基板に用いるための二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム。
【請求項2】
200℃、10分の熱処理後における横方向の熱収縮率が0.2%以上2.0%以下である請求項1に記載の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム。
【請求項3】
200℃、10分の熱処理後における熱収縮率が縦及び横ともに1.0%以下である請求項1または2に記載の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムからなる樹脂層と、
前記樹脂層の一方の主面上に配置された銅箔からなる銅箔層と、
を備える積層体。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの製造方法であって、
未延伸のポリエチレンナフタレートフィルムを準備する工程と、
前記未延伸のポリエチレンナフタレートフィルムを縦延伸倍率及び横延伸倍率がそれぞれ独立に3.5倍以下の条件で二軸延伸する工程と、
二軸延伸された前記ポリエチレンナフタレートフィルムを熱固定ゾーンの最高温度が250℃以上の条件で加熱する工程と、
を含む、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記加熱する工程後にて、二軸延伸された前記ポリエチレンナフタレートフィルムを、200℃以上の温度で後処理する工程をさらに含む請求項5に記載の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム及び二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高度情報化時代を迎え、モバイル通信の伝送速度は指数関数的な高速化及び高周波化が進んでいる。いわゆる第5世代の移動体通信においてはミリ波帯の電波が活用される。このような高周波用の回路基板には、出力信号の減衰を抑制し、良好な通信品質を確保するため、伝送損失を従来よりも大幅に低減することが求められている。
【0003】
伝送損失は、主に、誘電体に起因する誘電損失と、導体に起因する導体損失とからなるが、誘電損失に関しては、誘電体の誘電率、誘電正接(tanδ)等が小さくなるほど減少することが知られており、誘電体の誘電率又は誘電正接を小さくして誘電損失を低減化することが行われている。
【0004】
様々な種類の低伝送損失材料の開発が行われており、例えば、高周波回路における電気信号の伝送損失を低減することができると共に金属箔と樹脂との密着性が高い、金属箔に熱可塑性液晶ポリマーフィルムを積層した積層体からなる高周波回路基板が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、高い信頼性、特に吸湿特性及び高周波特性に優れた回路基板も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-216598号公報
【文献】特開2002-171046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
低損失の誘電体基板材料としては、液晶ポリマーフィルム、フッ素樹脂フィルム、改質ポリイミドフィルム等が挙げられる。液晶ポリマーは誘電正接が極めて小さく、伝送特性に優れる反面、製膜時の配向結晶化の制御が難しく厚さムラが生じやすい。フッ素樹脂も誘電率、誘電正接ともに非常に低く伝送特性に優れるものの、銅箔、他の材料等との接着が難しく、これらの材料と積層がしにくいという課題がある。改質ポリイミドは絶乾状態では誘電特性が良好であるが、吸水率が高く大気中の水分を吸収すると誘電特性が悪化する。
【0007】
小型化が顕著に要求されるモバイル機器の回路基板は実装の高密度化と多層化が進み、層間の配線を接続するビアに要求される性能が厳しくなっている。特に高速通信においては、ビアの持つ寄生要素により通信品質が劣化するため、ビアの加工精度、熱寸法安定性等が非常に重要な要素となる。ビア長さ、つまりフィルム厚さが不均一である場合、信号乱れの原因となる。さらに基板が温度、湿度等の変化で伸び縮みした場合も信号品質に悪影響を与えるだけでなく、ビア内面のメッキ層に繰り返しの応力負荷がかかり、やがては断線に至る。従って、ビア内面のメッキ層に時間の経過によって繰り返しの応力負荷がかかり、割れが発生したり、断線が生じたりするといった問題が生じるおそれがあり、ビアの接続信頼性を高めることが望まれている。
【0008】
フィルム厚さの均一性及び厚さ方向の熱寸法安定性は、フィルムの分子配向状態に強く依存するが、液晶ポリマーフィルム、フッ素樹脂フィルム、改質ポリイミドフィルム等はいずれも分子配向制御が難しい手段で製膜され、一般には厚さの変動も大きいことが知られている。そのため、分子配向を精密に制御でき、厚さ均一性にも優れる半結晶性ポリマーであるポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等の二軸延伸フィルムの適用が好ましく、なかでも耐熱性、低吸水性、加工特性等に優れるポリエステルが好ましい。
【0009】
本発明の目的は、ビアの接続信頼性に優れるフレキシブル回路基板を製造可能な二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を達成するための具体的手段は、以下の通りである。
<1> ポリエチレンナフタレートを主たる構成成分とし、厚さ方向の屈折率が1.499~1.512であり、5.0GHzにおける誘電正接が0.007以下であり5.0GHzにおける比誘電率が3.20以下であり、6.0GHz以上の高周波信号を伝送するフレキシブル回路基板に用いるための二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム。
<2> 200℃、10分の熱処理後における熱収縮率が縦及び横ともに1.0%以下である<1>に記載の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム。
【0011】
<3> <1>又は<2>に記載の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムからなる樹脂層と、前記樹脂層の一方の主面上に配置された銅箔からなる銅箔層と、を備える積層体。
【0012】
<4> <1>又は<2>に記載の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの製造方法であって、未延伸のポリエチレンナフタレートフィルムを準備する工程と、前記未延伸のポリエチレンナフタレートフィルムを縦延伸倍率及び横延伸倍率がそれぞれ独立に3.5倍以下の条件で二軸延伸する工程と、二軸延伸された前記ポリエチレンナフタレートフィルムを熱固定ゾーンの最高温度が250℃以上の条件で加熱する工程と、を含む、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの製造方法。
<5> 前記加熱する工程後にて、二軸延伸された前記ポリエチレンナフタレートフィルムを、200℃以上の温度で後処理する工程をさらに含む<4>に記載の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ビアの接続信頼性に優れるフレキシブル回路基板を製造可能な二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0015】
<二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム>
本開示の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(以下、単に「PENフィルム」とも称する。)は、ポリエチレンナフタレートを主たる構成成分とし、厚さ方向の屈折率が1.499~1.512であり、5.0GHzにおける誘電正接が0.007以下であり5.0GHzにおける比誘電率が3.20以下であり、6.0GHz以上の高周波信号を伝送するフレキシブル回路基板に用いられる。
【0016】
本開示のPENフィルムを用いることでビアの接続信頼性に優れるフレキシブル回路基板を製造可能である。本開示のPENフィルムは、厚さ方向の屈折率が1.499以上であるため、厚さ方向と直交する平面方向の分子配向が大きすぎず、厚さ方向の屈折率が1.512以下であるため、PENフィルムの柔軟性、耐熱性等を確保することができる。厚さ方向と直交する平面方向の分子配向が大きすぎないため、PENフィルムの厚さ方向の熱膨張が小さく厚さ方向の熱寸法安定性に優れる。これにより、PENフィルムを用いて製造したフレキシブル回路基板は断線等が生じにくくビアの接続信頼性に優れると考えられる。さらに、本開示のPENフィルムは、5.0GHzにおける誘電正接が0.007以下であり5.0GHzにおける比誘電率が3.20以下であることにより、高周波信号の伝送損失を低減することができ、6.0GHz以上の高周波信号を伝送するフレキシブル回路基板に好適に用いることができる。この理由としては、以下のように考えられる。本開示のPENフィルムは5.0GHzにおける誘電正接及び比誘電率が小さいため、6.0GHz以上の高周波であっても誘電正接及び比誘電率を小さくすることができる。その結果、6.0GHz以上の高周波信号の伝送損失を少なくしつつ高周波信号の伝送を好適に行うことができる。
本開示のPENフィルムが伝送する高周波信号の上限としては、実用上の伝送損失の大きさの点から、好ましくは60GHz以下であり、より好ましくは40GHz以下であり、さらに好ましくは30GHz以下である。
【0017】
本開示のPENフィルムの主たる構成成分であるポリエチレンナフタレートは、例えば、ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとの重縮合によって得られる。ポリエチレンナフタレートとしては、中でもポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレートは、例えば、2,6-ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとの重縮合によって得られる。フレキシブルプリント基板の製造では、層間のボンディングシートの熱硬化、プリベーク等で高温環境下に晒されることが多い。一方、ガラス転移温度が高いポリエチレンナフタレートを主たる構成成分とすることにより、フィルムの熱寸法安定性を高めることができる。
【0018】
本開示のPENフィルムでは、ポリエチレンナフタレートの含有率は、フィルムの全量に対して50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が好ましい。PENフィルムは、実質的にポリエチレンナフタレートからなるものであってもよく、99質量%以下であってもよく、97質量%以下であってもよく、95質量%以下であってもよい。本開示のPENフィルムに含まれるポリエチレンナフタレートは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0019】
本開示のPENフィルムの主たる構成成分であるポリエチレンナフタレートは、ナフタレンジカルボン酸に由来する構成単位及びエチレングリコールに由来する構成単位のみからなる重合体であってもよく、ナフタレンジカルボン酸及びエチレングリコール以外の他のモノマーに由来する構成単位をさらに含む重合体であってもよい。
【0020】
ナフタレンジカルボン酸及びエチレングリコール以外の他のモノマーに由来する構成単位としては、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分(エチレングリコールを除く)に由来する構成単位、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分(ナフタレン酸ジカルボン酸を除く)に由来する構成単位などが挙げられる。
【0021】
ポリエチレンナフタレートにおけるナフタレンジカルボン酸及びエチレングリコール以外の他のモノマーに由来する構成単位の含有率は、全構成単位に対して10mol%以下であることが好ましく、5mol%以下であることがより好ましい。
【0022】
ポリエチレンナフタレートは、公知の方法を適用して製造することができる。例えば、ナフタレンジカルボン酸及びエチレングリコールと、必要に応じてジオール成分(エチレングリコールを除く)及びジカルボン酸成分(ナフタレン酸ジカルボン酸を除く)からなる群より選択される少なくとも一種と、をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法が知られている。また、これらの原料モノマーの誘導体をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造してもよい。
【0023】
また、後述するフィルム状物と回転冷却ドラムとの密着性を高める目的で、ナフタレンジカルボン酸、エチレングリコール等にエステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウムを添加してエステル化反応させてもよい。エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウムの添加量としては、ナフタレンジカルボン酸等の2官能性カルボン酸成分に対し、0.1mmol%~10mmol%であることが好ましい。エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウムとしては、例えば3,5-ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が好ましい。
【0024】
本開示のPENフィルムは、ポリエチレンナフタレートが主たる構成成分であるが、本発明の目的を奏する範囲で、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、熱安定剤等が挙げられる。
【0025】
滑剤は、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー等の無機粒子、シリコーン、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の有機粒子、硫酸バリウム、酸化チタン等の顔料などの不活性粒子が挙げられる。滑剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0026】
本開示のPENフィルムが添加剤を含む場合、添加剤の含有率は、PENフィルムの全量に対して5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
【0027】
本開示のPENフィルムは、厚さ方向の屈折率が1.499~1.512である。前述の屈折率が1.499以上であることにより、厚さ方向の熱膨張係数の増加が抑制され、比誘電率及び誘電正接の上昇が抑制され、さらに、PENフィルムを用いて製造したフレキシブル回路基板についてビアの接続信頼性に優れる。さらに、前述の屈折率が1.512以下であることにより、フィルム平面方向の配向性に優れ、フィルムは柔軟性及び耐熱性に優れる。
【0028】
本開示のPENフィルムは、厚さ方向の屈折率が1.501~1.511であることが好ましく、1.503~1.511であることがより好ましく、1.503~1.510であることがさらに好ましく、1.505~1.508であることが特に好ましい。
【0029】
本開示のPENフィルムは、5.0GHzにおける誘電正接が0.007以下である。前述の誘電正接が0.007以下であることにより誘電損失を抑制できる。5.0GHzにおける誘電正接は、0.006以下であることが好ましい。また、5.0GHzにおける誘電正接は、0.001以上であってもよく、0.003以上であってもよい。
【0030】
本開示のPENフィルムは、5.0GHzにおける比誘電率が3.20以下である。前述の比誘電率が3.20以下であることにより誘電損失を抑制できる。5.0GHzにおける比誘電率は、3.16以下であることが好ましい。また、5.0GHzにおける比誘電率は、2.70以上であってもよく、2.90以上であってもよい。
【0031】
本開示のPENフィルムにて、厚さ方向の屈折率、誘電正接及び比誘電率は、後述の実施例に記載の方法により測定される値である。
【0032】
本開示のPENフィルムの厚さは特に限定されず、例えば、25μm~250μmであってもよく、30μm~200μmであってもよい。PENフィルムの厚さが25μm以上であることにより、加工時のハンドリング性に優れる傾向にある。PENフィルムの厚さが250μm以下であることにより、フレキシブル回路基板にした際の柔軟性に優れる傾向にある。
本開示にて、PENフィルムの厚さは、中心厚さを意味する。
【0033】
本開示のPENフィルムの縦方向(機械方向)の熱収縮率は、200℃、10分の熱処理後において、0.01%~2.0%であることが好ましく、150℃、30分の熱処理後において、0.01%~1.0%であることが好ましい。また、前述の縦方向の熱収縮率は、200℃、10分の熱処理後において、精細な回路が形成できる点から、1.0%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがより好ましい。
【0034】
本開示のPENフィルムの横方向の熱収縮率は、200℃、10分の熱処理後において、-0.5%~2.0%であることが好ましく、150℃、30分の熱処理後において、-0.1%~1.0%であることが好ましい。また、前述の横方向の熱収縮率は、200℃、10分の熱処理後において、精細な回路が形成できる点から、1.0%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましく、0.3%以下であることが特に好ましい。
【0035】
本開示のPENフィルムの縦方向及び横方向の熱収縮率が前述の下限値以上であることにより、PENフィルムを用いて形成された回路のパターンを維持しやすく、より高精細な回路パターンを形成でき、デバイスを小型化できる。また、PENフィルムの加工後にシワ、うねり等の変形が生じにくい。一方、本開示のPENフィルムの縦方向及び横方向の熱収縮率が前述の上限値以上であることにより、このPENフィルムを用いて形成した回路基板の平面性に優れる。
【0036】
本開示のPENフィルムの縦方向及び横方向の200℃、10分の熱処理後における熱収縮率は、実施例に記載の方法により求めることができる。本開示のPENフィルムの縦方向及び横方向の150℃、30分の熱処理後における熱収縮率は、実施例に記載の加熱温度及び加熱時間の条件を150℃、30分の条件に置き換えた方法により求めることができる。
【0037】
PENフィルムの熱収縮率の縦方向と横方向との差、PENフィルムにて、中央部の熱収縮率と端部の熱収縮率との差は、小さいことが好ましい。これらの差の適切なバランスは使用条件によっても左右されるため、用途に応じて適切に調整される。
【0038】
<二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの製造方法>
本開示の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの製造方法は、未延伸のポリエチレンナフタレートフィルムを準備する工程と、前記未延伸のポリエチレンナフタレートフィルムを縦延伸倍率及び横延伸倍率がそれぞれ独立に3.5倍以下の条件で二軸延伸する工程と、二軸延伸された前記ポリエチレンナフタレートフィルムを熱固定ゾーンの最高温度が250℃以上の条件で加熱する工程と、を含む。
【0039】
(準備工程)
本開示の製造方法では、未延伸のポリエチレンナフタレートフィルムを準備する(準備工程)。未延伸のポリエチレンナフタレートフィルムは、例えば、前述のように、ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとの重縮合等により得たポリエチレンナフタレートを押出機に供給し、押出機にて混練溶融した溶融物をTダイから吐出してフィルム状とし、フィルム状物を急冷することで得られる。
【0040】
未延伸のポリエチレンナフタレートフィルムの製造に用いるポリエチレンナフタレートの固有粘度は、o-クロロフェノール中、35℃において、0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40dl/g~0.90dl/gであることがより好ましい。前述の固有粘度が0.40dl/g以上であることにより、フィルム製造時に切断が生じにくく、成形加工後のプリント基板の強度に優れる傾向にある。また、前述の固有粘度が0.90dl/g以下であることにより、重合時の生産性に優れ、溶融粘度が高くなりすぎず、フィルムが製造しやすい傾向にある。
【0041】
押出機にてポリエチレンナフタレートを混練溶融する温度としては、例えば、その融点(以下、Tmとも表す)以上、(Tm+70)℃以下であることが好ましい。
【0042】
Tダイから吐出されたフィルム状物は、回転冷却ドラムの表面で急冷されてもよい。このとき、フィルム状物と回転冷却ドラムとの密着性を高める目的で、フィルム状物に静電荷を付与してもよい。フィルム状物に静電荷を付与する場合、例えば、ポリエチレンナフタレートの原料であるナフタレンジカルボン酸等の2官能性カルボン酸成分に対し、0.1mmol%~10mmol%のエステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウムを添加してポリエチレンナフタレートを製造することが好ましい。エステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウムとしては、例えば3,5-ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が好ましい。ポリエチレンナフタレートの溶融物は、電気抵抗が高いため、上記の回転冷却ドラムとの静電密着が不十分になる場合がある一方、前述のエステル形成性官能基を有するスルホン酸4級ホスホニウムを用いることにより、フィルム状物と回転冷却ドラムとの密着性を高めることができる。
【0043】
(延伸工程)
本開示の製造方法では、未延伸のポリエチレンナフタレートフィルムを縦延伸倍率及び横延伸倍率がそれぞれ独立に3.5倍以下の条件で二軸延伸する(延伸工程)。
【0044】
未延伸のポリエチレンナフタレートフィルムは、例えば、100~160℃、好ましくは110℃~140℃の温度に加熱されたロール上で予熱された後、加熱した赤外線ヒーター上で縦方向に好ましくは3.5倍以下、より好ましくは2.5倍~3.5倍、さらに好ましくは2.8倍~3.3倍の延伸倍率で延伸される。
【0045】
縦方向に延伸されたポリエチレンナフタレートフィルムは、110℃~150℃の温度にて横方向に好ましくは3.5倍以下、より好ましくは2.5倍~3.5倍、さらに好ましくは3.0倍~3.5倍の延伸倍率で延伸される。横方向に延伸を行う場合、延伸過程にて昇温してもよい。横延伸過程の昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよく、段階的に昇温することが好ましい。例えば、ステンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーンごとに所定温度の加熱媒体を流すことで段階昇温してもよい。
【0046】
横方向の延伸倍率が2.5倍以上であることにより、回路基板としてのPENフィルムの強度が十分に得られる傾向にある。横方向の延伸倍率が3.5倍以下であることにより、本開示のPENフィルムにおける厚さ方向の屈折率の範囲に調整しやすく、フィルム製造時の破断が生じにくく、また、PENフィルムに厚さムラが生じにくく、PENフィルムの厚さ均一性に優れる傾向にある。
【0047】
縦方向の延伸倍率に対する横方向の延伸倍率(横方向の延伸倍率/縦方向の延伸倍率)は、1.06倍~1.20倍であることが好ましい。これらの延伸は、複数段階に分割して行われる多段延伸であってもよいし、縦延伸と横延伸を同時に行う同時二軸延伸であってもよい。
【0048】
(加熱工程)
本開示の製造方法では、二軸延伸されたポリエチレンナフタレートフィルムを熱固定ゾーンの最高温度が250℃以上の条件で加熱する(加熱工程)。
【0049】
二軸延伸されたポリエチレンナフタレートフィルムに加熱工程を施すことにより、前述の厚さ方向の屈折率を有し、さらに熱寸法安定性に優れるPENフィルムが得られる。
【0050】
熱固定ゾーンの温度としては、(Tm-100)℃以上であることが好ましく、(Tm-70)℃~(Tm-10)℃であることがより好ましい。
【0051】
また、200℃で熱処理した後のPENフィルムの熱収縮率を低下させる点から、熱固定ゾーンの最高温度が250℃以上で加熱しているとき、又は加熱後に、縦方向及び横方向の少なくとも一方に、弛緩率0.1%~15%の範囲で、熱弛緩処理を行うことが好ましい。
【0052】
PENフィルムでは、厚さ方向の屈折率と、平面方向の分子配向とは相関関係があり、平面方向の分子配向を低くするほど、厚さ方向の屈折率が高くなる傾向にあり、厚さ方向の熱寸法安定性及び誘電特性に優れる傾向にある。
【0053】
平面方向の分子配向を低くする手段としては、例えば、延伸倍率を低くする方法、及び一旦通常通りの倍率で延伸する延伸工程の後に分子鎖を弛緩させる方法の2種類が挙げられる。延伸倍率を低くする方法では厚さばらつきが大きくなる傾向にあるため、延伸工程の後に弛緩処理を行う方法が好ましい。PENフィルムにて、厚さムラの範囲は、中心厚さの±10%未満、より好ましくは±5%未満である。
【0054】
(後処理工程)
本開示の製造方法では、前述の加熱工程の後にて二軸延伸されたポリエチレンナフタレートフィルムを、200℃以上の温度で後処理する工程をさらに含んでいてもよい。これにより、PENフィルムの比誘電率をさらに低下させることが可能になる。PENフィルムの比誘電率の低下は、詳細な理由は不明であるが、結晶化度の増加、分子の局所配向の影響等が理由と考えられる。
【0055】
後処理の方法は特に限定されず、例えば、懸垂式の弛緩熱処理法が好ましい。懸垂式の弛緩熱処理法としては、処理するPENフィルムを上方に設置したローラーを経て下方に自重で垂下させ、その途中で加熱した後、下方のローラーで冷却しながらほぼ水平方向に向きを変え、ニップローラーで巻取り張力を遮断した上で巻き取る方法が好ましい。
【0056】
懸垂式の弛緩熱処理法では、垂下距離は2m~10m程度が好ましい。垂下距離が2m以上であることにより、自重を確保することができて平面性に優れ、加熱範囲も確保できるため、十分な弛緩効果が得られる。垂下距離が10m以下であることにより、自重が大きくなりすぎることが抑制され、加熱域の位置による熱収縮率のバラつきが抑制される。
【0057】
後処理工程でのPENフィルムの加熱方式は、特に限定されず、PENフィルムを迅速に加熱できるため、赤外線加熱が好ましい。
【0058】
後処理工程は、PENフィルムの温度が200~240℃となるように加熱することが好ましい。PENフィルムの温度を200℃以上となるように加熱することにより、200℃で熱処理した後のPENフィルムの熱収縮率を小さくすることができ、PENフィルムの温度を240℃以下となるように加熱することにより、平面性に優れ、オリゴマー析出による白化が抑制されたPENフィルムが得られる。
なお、フィルム温度は、非接触の赤外線式温度計(例えばバーンズ式輻射温度計)を用いて測定できる。
【0059】
熱処理方法の中で、PENフィルムの広範囲な範囲の熱収縮率をより均一に抑えやすいことから、懸垂式の弛緩熱処理法が好ましい。
【0060】
<積層体>
本開示の積層体は、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムからなる樹脂層と、前記樹脂層の一方の主面上に配置された銅箔からなる銅箔層と、を備える。本開示の積層体を用いることで、6.0GHz以上の高周波信号を伝送し、ビアの接続信頼性に優れるフレキシブル回路基板を製造することができる。
【0061】
積層体形成に用いる銅箔としては特に限定されず、従来公知の銅箔を用いてもよい。中でも、導体損失を低減する点から、表面平滑性の高い銅箔を用いることが好ましい。例えば、銅箔としては、表面平滑性に優れる点から、例えば表面粗さRzが2μm以下であることが好ましい。例えば、特許第3155920号、特開2019-51709号公報に記載の銅箔を用いてもよい。銅箔として市販品を用いてもよく、例えば、三井金属鉱業株式会社製の「TQM4-VSP」等が挙げられる。
なお、本開示において、表面粗さRzは、「最大高さ粗さ」と呼ばれる高さ方向のパラメータであり、JIS B 0601:2013で規定されている、基準長さにおける粗さ曲線の山高さの最大値と谷深さの最大値との和である。
【0062】
樹脂層と銅箔層とは接触して直接積層されていてもよく、接着層等の他の層を介して樹脂層と銅箔層とが積層されていてもよい。
【0063】
樹脂層と銅箔層との間に接着層を設ける場合、従来公知の接着剤を用いて接着層を設けてもよい。中でも、誘電率、誘電正接等が小さい材料で構成されている接着剤が好ましい。またPENフィルム及び銅箔との密着力は高いほど好ましく、例えば、0.5N/10mm以上の密着力であることが好ましい。接着剤としては、例えば、特許第6485577号に記載の接着剤を用いてもよい。接着剤として市販品を用いてもよく、例えば、東亞合成株式会社の「アロンマイティAF-700」等を用いてもよい。
【実施例
【0064】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限を受けるものではない。また、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0065】
本実施例において、各物性値は以下のようにして測定した。
【0066】
(屈折率)
二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの屈折率を、ナトリウムD線(589nm)を光源として、偏光板を装着したアッベ屈折計を用いて測定した。
【0067】
(200℃処理後の熱収縮率)
二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの縦方向及び横方向に、あらかじめ正確な長さを測定してマーキングした長さ30cm四方のフィルムを、200℃に設定されたオーブン中に無荷重で入れ、10分間静置した後に取り出し、室温に戻してからその寸法変化を読み取った。
熱処理前の長さ(L0)と熱処理による寸法変化量(ΔL)より、次式(1)に従って縦方向及び横方向の熱収縮率をそれぞれ求めた。各方向の熱収縮率はそれぞれサンプル数n=5で評価を行い、その平均値を用いた。
熱収縮率(%)=(ΔL/L0)×100・・・(1)
【0068】
(比誘電率及び誘電正接)
二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの5.0GHzでの比誘電率及び誘電正接を、円筒空胴共振器法にて測定した。
【0069】
(サイクル試験)
積層体を用い、JIS C5016:1994の熱衝撃試験方法に従ってヒートサイクル試験を実施した。温度は-55℃~100℃、サイクル回数は100回とし、試験終了後のビア導通を評価した。
10個のサンプルの測定で導通不良が1つもない場合に評価Aとし、1個以上のサンプルに導通不良がある場合に評価Bとした。
【0070】
[実施例1]
(ポリマーの合成)
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル100質量部及びエチレングリコール60質量部の混合物に、酢酸マンガン・4水塩0.03質量部を添加し、150℃から240℃に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。途中反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024質量部を添加し、さらに平均粒径0.3μmの多孔質シリカを0.15質量%添加して、次いで220℃に達した時点で3,5-ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.042質量部(2mmol%に相当)を添加した。引き続いてエステル交換反応を行い、エステル交換反応終了後に燐酸トリメチル0.023質量部を添加した。その後反応生成物を重合反応器に移し、290℃まで昇温し、0.2mmHg以下の高真空下にて重縮合反応を行って25℃のo-クロロフェノール溶液で測定した固有粘度が0.61dl/g、DEG共重合量1.1mol%のポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレートポリマーを得た。
【0071】
(二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの製造)
このポリマーを170℃において6時間乾燥させた後、単軸押出機に供給し、溶融温度302℃で溶融し、線径13μmのステンレス細線よりなる平均目開き24μmの不織布型フィルターで濾過した後、スリットダイよりフィルム状に吐出し、表面仕上げ0.3S、表面温度60℃の回転冷却ドラム上に押出し、未延伸フィルムを得た。なお、溶融ポリマーが回転冷却ドラムと接する付近に直流の電圧6.5kVを印加した線電極を近接させ、静電気による回転冷却ドラムへの密着を促進した。こうして得られた未延伸フィルムを140℃に予熱した予熱ローラーに通し、600℃以上の温度に加熱した赤外線ヒーター上で縦方向に3.0倍に延伸し、縦延伸フィルムを得た。
【0072】
次いでこの縦延伸フィルムを連続してステンター延伸機に通し、110℃、117℃、130℃、145℃の4段階の昇温ゾーン中で横方向に3.3倍延伸した。さらに連続して220℃及び250℃に設定した熱固定ゾーンをこの順で通過させ、250℃の熱固定ゾーン中で20秒間熱固定処理しつつ、横方向に0.7%の弛緩処理を行い、135℃の冷却ゾーンを通過させて巻取り機で巻き取って、厚さが50μmである二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムを得た。
さらに得られた延伸フィルムをさらに懸垂式の弛緩熱処理装置を用いて230℃、5分間熱処理した。
【0073】
[実施例2]
二軸延伸後にて前述の弛緩熱処理装置を用いた熱処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムを得た。
【0074】
[比較例1]
延伸倍率を縦3.7倍及び横3.8倍とし、熱固定ゾーンの温度をそれぞれ224℃及び244℃とし、熱固定ゾーンでの弛緩率を0%とした以外は実施例2と同様にして二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムを得た。
【0075】
(積層体の製造)
得られた実施例1及び2並びに比較例1の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの両面に熱硬化性接着剤シート「アロンマイティAF-700」(東亞合成株式会社製)を100℃で仮接着し、厚さ18μmの銅箔「TQ-M4-VSP」(三井金属鉱業株式会社製)を重ね合わせた後、180℃、1MPaの条件で30分間熱プレスしてフレキシブル銅貼積層板を作製した。
得られた銅貼積層板にドリルで直径0.1mmのビアを形成し、表面を酸洗浄した後、無電解メッキにてビア内面に銅メッキを施して積層体を製造した。
【0076】
実施例1及び2並びに比較例1の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム及び積層体について、各物性の評価結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
表1に示すように、実施例1及び2では、比較例1と比べてサイクル試験の結果が良好であり、ビアの接続信頼性に優れるフレキシブル回路基板を製造可能な二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムが得られた。
表1に示すように、実施例1及び2では、比較例1と比べて200℃処理後の熱収縮率の数値が小さかった。これにより、実施例1及び2にて得られた二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムは、熱収縮しにくく、精細又は小型なフレキシブル回路基板の製造に適していることが分かった。