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  • 特許-ベルトコンベアの搬送方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ベルトコンベアの搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 45/12 20060101AFI20240208BHJP
   B65G 15/08 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B65G45/12 B
B65G15/08 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020072024
(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公開番号】P2021169345
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】村井 康夫
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/150817(WO,A1)
【文献】実開昭57-199217(JP,U)
【文献】中国実用新案第209740065(CN,U)
【文献】特開平09-194016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 45/12
B65G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドプーリ及びテールプーリと、前記ヘッドプーリ及びテールプーリに掛け回した無端状のベルトからなり、複数のホールドに移動可能なアンローダでキャリア側のベルト上面に搬送物を供給して搬送し、リターン側のベルトの一部に幅方向の断面視で凹状に形成した凹部で前記キャリア側からの前記搬送物の落下物を溜めて搬送して、前記リターン側の前記テールプーリの手前で平坦状のベルト上面に設けた案内板で前記落下物を掻き落とし、回収箱で一時保管して前記キャリア側のベルトに払い出すことを特徴とするベルトコンベアの搬送方法。
【請求項2】
請求項に記載のベルトコンベアの搬送方法であって、
前記凹部は、前記ベルトの下面側を支持する支持部材と前記ベルトの間に空気を供給して前記ベルトを浮上させると共に、前記ベルトの両端から前記キャリア側のベルトに向けて空気を噴き出していることを特徴とするベルトコンベアの搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭、石灰石、穀物などの搬送物(ばら物)を連続的に搬送するベルトコンベアの搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は船舶の荷揚げの説明図である。従来、石炭、石灰石、穀物などのばら物を船舶1から陸上に荷揚げして貯蔵場や中継建屋まで搬送して貯蔵する際に、バケットエレベータ式やクラブバケット式の各種アンローダ2でばら物を払い出して、ベルトコンベア3で搬送している。船上には、ばら物を貯蔵する複数のホールド4があり、陸上側からアンローダ2を複数のホールド4に移動させながら搬送物をコンベア上に供給している。
一般的なベルトコンベアは、ベルトをキャリアローラで支持する形式のローラベルトコンベアであり、キャリア側(往路側)のヘッドプーリとリターン側(復路)のテールプーリの間に無端状のベルトを掛け回して搬送物を連続的に搬送している。リターン側のベルトは単一のリターンローラで幅方向の断面視で平坦状に支持され摺動可能に構成している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、船舶上の複数のホールドから搬送物をアンローダでキャリア側のベルト上に払い出す際や、払い出した後に、キャリア側のベルト上に載ることなく桟橋上に搬送物の一部がこぼれ落ちてしまうことがある。また従来のリターン側のベルトでは、ベルト面が平坦なためにキャリア側からの落下物を受けると落下衝撃によって跳ね返り桟橋上にこぼれ落ちてしまう。そうすると搬送作業中にコンベアの全長に亘る桟橋上に堆積していくことがあり、落下物を長距離に亘って回収する作業が必要となっていた。
また、このように荷揚げされた搬送物をベルトコンベア上に払い出す際、払い出し量はアンローダを操作するオペレータの技量に依存するところがある。すなわちオペレータによって払い出し量は一定ではなく、荷揚げする装置の機械駆動によっても払い出し量はばらつくことがある。このように払い出し量が一定でないことによって一時的にコンベアの供給量が増えると、キャリア側のベルト上から桟橋上へこぼれ落ちる搬送物の量が増えて堆積してしまう。
従って落下した搬送物を作業員が清掃する手間が発生して作業効率が悪化したり、利用できずに廃棄せざるを得ない搬送物のロスが増加したりするなど問題となっていた。
またこのようなコンベアは海岸に設置されているため、落下した搬送物が海風によって吹き飛ばされると環境に悪影響を与え、環境保全上も問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-229716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、ベルトコンベア上に搬送物を供給する際にキャリア側のベルトからこぼれ落ちた落下物を回収できるベルトコンベアの搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第の手段として、ヘッドプーリ及びテールプーリと、前記ヘッドプーリ及びテールプーリに掛け回した無端状のベルトからなり、複数のホールドに移動可能なアンローダでキャリア側のベルト上面に搬送物を供給して搬送し、リターン側のベルトの一部に幅方向の断面視で凹状に形成した凹部で前記キャリア側からの前記搬送物の落下物を溜めて搬送して、前記リターン側の前記テールプーリの手前で平坦状のベルト上面に設けた案内板で前記落下物を掻き落とし、回収箱で一時保管して前記キャリア側のベルトに払い出すことを特徴とするベルトコンベアの搬送方法を提供することにある。
上記第の手段によれば、キャリア側のベルトからこぼれ落ちた落下物をリターン側のベルト上面で受けて溜めることができ、搬送物の一部が桟橋上へ落下することを防止できる。またリターン側のベルトによって搬送した落下物をテールプーリ手前で回収することにより、搬送物のロスを回避できる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための第の手段として、第の手段において、前記凹部は、前記ベルトの下面側を支持する支持部材と前記ベルトの間に空気を供給して前記ベルトを浮上させると共に、前記ベルトの両端から前記キャリア側のベルトに向けて空気を噴き出していることを特徴とするベルトコンベアの搬送方法を提供することにある。
上記第の手段によれば、キャリア側のベルトと、その支持部材の間から上方へ吹き出す空気の流れによってベルトの両端から上方に向けて壁を形成して、キャリア側のベルト上面から桟橋上へ搬送物の一部がこぼれ落ちることを防止してリターン側のベルト上に落下物を溜めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キャリア側のベルトからこぼれ落ちた落下物をリターン側のベルト上面で受けて溜めることができ、桟橋上へ搬送物の一部が落下することを防止でき桟橋上に堆積した落下物を清掃する余計な作業を回避できる。
またリターン側のベルトによって搬送した落下物をテールプーリ手前で回収し、再利用することにより、搬送物のロスを回避できる。
さらに、海岸に設置されたベルトコンベアの場合には、落下した搬送物が海風によって吹き飛ばされることがなく海洋汚染を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のベルトコンベアの概略側面図である。
図2】実施形態1のベルトコンベアの幅方向の断面図である。
図3】案内板の平面図である。
図4】実施形態2のベルトコンベアの幅方向の断面図である。
図5】船舶の荷揚げの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のベルトコンベアの搬送方法の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0013】
[ベルトコンベア10]
図1は、本発明のベルトコンベアの概略側面図である。図2は、実施形態1のベルトコンベアの幅方向の断面図である。図3は、案内板の平面図である。図4は、実施形態2のベルトコンベアの幅方向の断面図である。図1に示すように本発明のベルトコンベア10は、ヘッドプーリ12及びテールプーリ14と、前記ヘッドプーリ12及びテールプーリ14に掛け回した無端状のベルト16を有し、キャリア側のベルト16a上面に搬送物11を供給して搬送するベルトコンベア10であって、リターン側の前記ベルトの一部に幅方向の断面視で凹状に形成してキャリア側からの搬送物11の落下物11aを溜める凹部19と、前記落下物11aを掻き落とす案内板30と、を備えている。
ベルト16は基本的にヘッドプーリ12及びテールプーリ14を周回する際に平坦状になる。しかし、ヘッドプーリ12及びテールプーリ14の間では次のような形態をとる。
キャリア側(上側)のベルト16aは、ヘッドプーリ12とテールプーリ14の間に、下面に複数のローラ18を配置、本実施形態では、幅方向の断面視で3つのローラ18を凹状に配置し、これをベルトコンベア10の長手方向に所定間隔で配置している。このようなキャリア側のベルト16aは、ヘッドプーリ12とテールプーリ14の間で複数のローラ18上を摺動する際に幅方向の断面視で凹状に形成されて、搬送物11の払い出しや搬送する際にこぼれ落ちることを低減できる。
リターン側(下側)のベルト16bは、ヘッドプーリ12とテールプーリ14の間に、凹部19を設けている(図2参照)。凹部19は、キャリア側のベルト16aと同様に下面に複数のローラ18を配置し、これをベルトコンベア10の長手方向に所定間隔で配置している。このようなリターン側のベルト16cは、ヘッドプーリ12とテールプーリ14の間で複数のローラ18上を摺動する際に幅方向の断面視で凹状に形成されて、キャリア側のベルト16aからの搬送物11の落下物11aを受けたときに凹状の底部に向かって流れて溜めることができる。
また凹部19は空気浮上部20の形態を採用している(図4参照)。空気浮上部20は、幅方向の断面視で凹状に形成し前記リターン側のベルト16bの下面側を支持する支持部材22と、前記支持部材22の上面側中央に設けた空気の供給口24と、供給口24に接続してブロアから空気が供給される空気ダクト26を備え、支持部材22と前記ベルト16bの間に空気を供給して前記ベルト16bを浮上させる。
図3に示すように案内板30は、テールプーリ14の手前で平坦状になったリターン側のベルト16b上面に僅かな隙間を開けて取り付けた平面視でV字状の部材である。案内板30を取り付けたベルト16bの下方には落下物11aの回収箱32を配置し、ベルト16b上面から掻き落とした落下物11aを一時保管する。
【0014】
[搬送方法]
上記構成による本発明のベルトコンベアを用いた搬送方法について、以下説明する。桟橋に停泊中の船舶のホールド上にアンローダを移動して搬送物(ばら物)11をベルトコンベア10へ払い出す。ベルトコンベア10のキャリア側のベルト16aは、幅方向の断面視で凹状に3つのローラ18で摺動自在に支持されており、ベルト上面で搬送物11を受ける。アンローダのオペレータ、機械駆動によって払い出し量にばらつきが生じてばら物の一部がこぼれ落ちたとしても、凹部19によって凹状に形成されたキャリア側のベルト16bで受けることができる。従来のベルトコンベアは、リターン側のベルトが平坦状のため、キャリア側からの搬送物11の落下物11aを受けたときに落下衝撃によって跳ね返り桟橋上にこぼれ落ちてしまう。しかしながら、凹部19の構成によりキャリア側からの落下物11aを受けたときに凹状の底部に流れていきベルト上に溜めることができる。
また凹部19が空気供給部20の場合には、空気ダクト26から供給された空気が支持部材22の上面側中央に設けた供給口24から吹き出している。空気は支持部材22とベルト16bの間を通り、ベルト16bの両端から上方のキャリア側のベルト16aに向けて吹き出す。これによりベルト16bは浮上し、両端から上方に向けて空気の壁が長手方向に沿って形成されて、キャリア側のベルト16aからこぼれ落ちた落下物11aが桟橋上に落ちることを防いで、リターン側のベルト16b上面に溜めることができる。
リターン側のベルト16bにより搬送される落下物11aは、テールプーリ14の手前に配置した案内板30に衝突して上面から書き落とされる。掻き落とした落下物11aは回収箱32で一時保管する。その後はバケットエレベータなどを使用して再度、キャリア側のベルト16aに払い出して再利用すると良い。
このような本発明によれば、キャリア側のベルトからこぼれ落ちた落下物をリターン側のベルト上面で受けて溜めることができ、桟橋上へ搬送物の一部が落下することを防止でき桟橋上に堆積した落下物を清掃する余計な作業を回避できる。
またリターン側のベルトによって搬送した落下物をテールプーリ手前で回収し、再利用することにより、搬送物のロスを回避できる。
さらに、海岸に設置されたベルトコンベアの場合には、落下した搬送物が海風によって吹き飛ばされることがなく海洋汚染を防止できる。
【0015】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0016】
1 船舶
2 アンローダ
3 ベルトコンベア
4 ホールド
10 ベルトコンベア
11 搬送物
11a 落下物
12 ヘッドプーリ
14 テールプーリ
16 ベルト
16a キャリア側のベルト
16b リターン側のベルト
18 ローラ
19 凹部
20 空気浮上部
22 支持部材
24 供給口
26 空気ダクト
30 案内板
32 回収箱
図1
図2
図3
図4
図5