(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】組成物、プリプレグ、樹脂シート、積層板、及びプリント配線板
(51)【国際特許分類】
C08L 63/00 20060101AFI20240208BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240208BHJP
C08K 5/03 20060101ALI20240208BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20240208BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20240208BHJP
B32B 27/06 20060101ALI20240208BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
C08L63/00 Z
C08L101/00
C08K5/03
C08J5/24 CFC
B32B15/08 Q
B32B27/06
H05K1/03 630H
H05K1/03 610H
(21)【出願番号】P 2020571121
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2020003116
(87)【国際公開番号】W WO2020162278
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2019019841
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】森下 智絵
(72)【発明者】
【氏名】濱嶌 知樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 環
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-100327(JP,A)
【文献】国際公開第2015/072262(WO,A1)
【文献】特開2015-021086(JP,A)
【文献】特開2013-104029(JP,A)
【文献】特開2017-124533(JP,A)
【文献】特開2013-080757(JP,A)
【文献】特開昭64-057698(JP,A)
【文献】特開平02-260490(JP,A)
【文献】特開2019-065072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 63/00
C08L 101/00
C08K 5/03
C08J 5/24
B32B 15/08
B32B 27/06
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための組成物であって、
ナフタレン骨格と、該ナフタレン骨格に含まれるナフタレン環の少なくとも2位及び/又は7位に結合した置換基と、を有する化合物(A)
と、
前記化合物(A)以外のマレイミド化合物と、
前記化合物(A)以外のエポキシ化合物と、を含み、
前記マレイミド化合物の含有量は、前記化合物(A)100質量部に対して、20質量部以上であり、
前記エポキシ化合物の含有量が、前記化合物(A)100質量部に対して、80質量部以上である、
組成物。
【請求項2】
前記置換基が、各々独立して、下記式(1)で表される、
-OR
1 (1)
(式中、R
1は、炭素数1~20の有機基である)
請求項1に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための組成物。
【請求項3】
前
記R
1基が、グリシジル基である、
請求項2に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための組成物。
【請求項4】
前記化合物(A)が下記式(1)又は式(2)で表される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための組成物。
【化1】
(R
2は、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の有機基である)
【化2】
【請求項5】
前記化合物(A)の含有量が、樹脂固形分100質量部に対して、5~40質量部である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための組成物。
【請求項6】
前記化合物(A)以外の、シアン酸エステル化合物、フェノール化合物、
及びアルケニル置換ナジイミド化合
物からなる群より選択される1種以上を更に含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための組成物。
【請求項7】
プリント配線板用である、
請求項1~6のいずれか一項に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための組成物。
【請求項8】
基材と、
該基材に含浸又は塗布された請求項1~7のいずれか一項に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための組成物と、を有する、
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するためのプリプレグ。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための組成物を含む、
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための樹脂シート。
【請求項10】
支持体と、
該支持体の片面または両面に積層された、前記組成物を含む層と、を有する、
請求項9に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための樹脂シート。
【請求項11】
請求項8に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するためのプリプレグ、又は、請求項9又は10に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための樹脂シートからなる層を1層以上含む、
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための積層板。
【請求項12】
請求項8に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するためのプリプレグ、又は、請求項9又は10に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための樹脂シートと、
該プリプレグ又は該樹脂シート上に積層された金属箔と、を有する、
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための金属箔張積層板。
【請求項13】
絶縁層と、
該絶縁層の表面に形成された導体層と、を有し、
前記絶縁層が、請求項1~7のいずれか一項に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための組成物を含む、
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するためのプリント配線板。
【請求項14】
少なくとも一つの絶縁層と、
該絶縁層の最外層表面に配置された導体層と、を有し、
前記絶縁層が、請求項1~7のいずれか一項に記載の
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための組成物を含む、
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するためのコアレスプリント配線板。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物を含む、少なくとも一つの絶縁層と、該絶縁層に接する少なくとも一つの導体層と、を積層した基板を準備する工程と、
前記基板の両面に波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物層を形成する工程と、
前記感光性組成物層の少なくとも一方の表面にマスクパターンを配し、該マスクパターンを通して、波長350~420nmの光で露光を行う工程と、を有する、
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するためのプリント配線板の製造方法。
【請求項16】
コア基板を準備する工程と、
前記コア基板上に、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物を含む、少なくとも一つの絶縁層と、該絶縁層の最外層表面に配置された導体層を、積層した積層体を得る工程と、
前記積層体から前記コア基板を除去することでコアレス基板を形成する工程と、
前記コアレス基板の両面に波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物層を形成する工程と、
前記感光性組成物層の少なくとも一方の表面にマスクパターンを配し、該マスクパターンを通して、波長350~420nmの光で露光を行う工程と、を有する、
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するためのコアレスプリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、並びに、当該組成物を用いた、プリプレグ、樹脂シート、積層板、金属箔張積層板、プリント配線板、及びプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板には、回路形成において様々な加工が施される。例えば、レーザ加工機を用い、プリント配線板表面の絶縁層に回路溝を形成した後に、選択的に回路溝へメッキを施すことにより配線回路を形成する方法や、プリント配線板表面の絶縁層にレーザにより、ビアホールを形成する方法などが知られている。
【0003】
特許文献1には、レーザにより溝加工し、その溝に金属体を埋め込んで回路とするのに適したシートとして、硬化物の吸収係数が少なくとも355nmにおいて300cm-1以上である絶縁樹脂シートを用いることが記載されている。この絶縁樹脂シートには、レーザにより容易に溝を形成することができる。
【0004】
また、特許文献2には、ビアホールを形成するのに適した層構造体が開示されており、ビアホールを形成するにあたり良好なレーザ加工性を得るために、紫外線領域に高い吸収性を有する樹脂を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-037545号公報
【文献】特開2013-080757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、上記の他に、プリント配線板の加工方法の主に最終工程として、電子回路を形成したプリント配線板にソルダーレジストを塗布し、回路パターンを保護する絶縁膜を形成する方法が用いられる。ソルダーレジストによる塗膜形成方法としては、いくつかの方法が知られているが、例えば現像型ソルダーレジストを用いた方法では、ソルダーレジストをプリント配線板の回路パターン上に全面塗布し、所定の回路パターンが作られたネガフィルム(マスク)をとおして、ソルダーレジスト層に露光し、未硬化部分を現像することが行われる。
【0007】
両面に電子回路を形成したプリント配線板に対してこの方法を用いると、一方の面に対して照射した光が、プリント配線板の基板を通過し反対の面のソルダーレジストに作用し、反対の面で除去されるはずの部分にレジスト残りを生じさせることがある。このように、一方の面に対して照射した光が、反対の面のソルダーレジストに対して作用することを、裏露光ともいう。
【0008】
特許文献1及び2は、いずれも回路形成の際におけるレーザの加工性の観点から、UV吸収性能に優れた樹脂を用いることを教示するものであるが、このようなソルダーレジストを用いた工程において用いる材料について教示するものではなく、両面に電子回路を形成したプリント配線板における裏露光の課題についても一切記載されていない。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、裏露光を抑制することのできる組成物、並びに、当該組成物を用いた、プリプレグ、樹脂シート、積層板、金属箔張積層板、プリント配線板、及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、所定の樹脂を用いることにより、効率的に露光された光を吸収し、それにより、一方の面で照射した光が、基材を通過して他方の面へ作用することを抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための組成物であって、
ナフタレン骨格と、該ナフタレン骨格に含まれるナフタレン環の少なくとも2位及び/又は7位に結合した置換基と、を有する化合物(A)を含む、
組成物。
〔2〕
前記置換基が、各々独立して、下記式(3)で表される、
-OR
1 (3)
(式中、R
1は、炭素数1~20の有機基である)
〔1〕に記載の組成物。
〔3〕
前記-OR
1基が、グリシジル基である、
〔2〕に記載の組成物。
〔4〕
前記化合物(A)が下記式(1)又は式(2)で表される、
〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の組成物。
【化1】
(R
2は、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の有機基である)
【化2】
〔5〕
前記化合物(A)の含有量が、樹脂固形分100質量部に対して、5~40質量部である、
〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔6〕
前記化合物(A)以外の、シアン酸エステル化合物、フェノール化合物、マレイミド化合物、アルケニル置換ナジイミド化合物、及びエポキシ化合物からなる群より選択される1種以上を更に含む、
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔7〕
プリント配線板用である、
〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔8〕
基材と、
該基材に含浸又は塗布された〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の組成物と、を有する、
プリプレグ。
〔9〕
〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の組成物を含む、
樹脂シート。
〔10〕
支持体と、
該支持体の片面または両面に積層された、前記組成物を含む層と、を有する、
〔9〕に記載の樹脂シート。
〔11〕
〔8〕に記載のプリプレグ、又は、〔9〕又は〔10〕に記載の樹脂シートからなる層を1層以上含む、
積層板。
〔12〕
〔8〕に記載のプリプレグ、又は、〔9〕又は〔10〕に記載の樹脂シートと、
該プリプレグ又は該樹脂シート上に積層された金属箔と、を有する、
金属箔張積層板。
〔13〕
絶縁層と、
該絶縁層の表面に形成された導体層と、を有し、
前記絶縁層が、〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の組成物を含む、
プリント配線板。
〔14〕
少なくとも一つの絶縁層と、
該絶縁層の最外層表面に配置された導体層と、を有し、
前記絶縁層が、〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の組成物を含む、
コアレスプリント配線板。
〔15〕
〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の組成物を含む、少なくとも一つの絶縁層と、該絶縁層に接する少なくとも一つの導体層と、を積層した基板を準備する工程と、
前記基板の両面に波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物層を形成する工程と、
前記感光性組成物層の少なくとも一方の表面にマスクパターンを配し、該マスクパターンを通して、波長350~420nmの光で露光を行う工程と、を有する、
プリント配線板の製造方法。
〔16〕
コア基板を準備する工程と、
前記コア基板上に、〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の組成物を含む、少なくとも一つの絶縁層と、該絶縁層の最外層表面に配置された導体層とを、積層した積層体を得る工程と、
前記積層体から前記コア基板を除去することでコアレス基板を形成する工程と、
前記コアレス基板の両面に波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物層を形成する工程と、
前記感光性組成物層の少なくとも一方の表面にマスクパターンを配し、該マスクパターンを通して、波長350~420nmの光で露光を行う工程と、を有する、
コアレスプリント配線板の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、裏露光を抑制することのできる組成物、並びに、当該組成物を用いた、プリプレグ、樹脂シート、積層板、金属箔張積層板、プリント配線板、及びプリント配線板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】裏露光が生じた場合のプリント配線板の概略断面図である。
【
図2】裏露光が抑制された場合のプリント配線板の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0015】
〔組成物〕
本実施形態の組成物は、波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物の裏露光を抑制するための組成物であって、ナフタレン骨格と、該ナフタレン骨格に含まれるナフタレン環の少なくとも2位及び/又は7位に結合した置換基と、を有する化合物(A)を含み、必要に応じて、化合物(A)以外の熱硬化性樹脂や充填材を含んでもよい。
【0016】
本実施形態の組成物は、波長350~420nmの光で硬化するソルダーレジストなどの感光性組成物が、裏露光により意図しない部分が硬化することを抑制するためのものである。
【0017】
図1に裏露光が生じた場合のプリント配線板の概略断面図を示し、
図2に裏露光が抑制された場合のプリント配線板の概略断面図を示す。
図1は、絶縁層1の両面に回路パターン2が形成されたプリント配線板10に対して、ソルダーレジスト3を塗布し、絶縁層の両側からマスク4を介してソルダーレジストに光を照射する場合の一例を示す。この場合、表面3aに照射された光は、絶縁層1を通過して照射面(表面3a)と反対側に到達する可能性がある。このように照射面と反対側に到達した光は、マスクされた裏面3b側にレジスト残り5を生じさせる。
【0018】
これに対して、本実施形態の組成物は、所定の構造を有することにより紫外線吸収能を有する化合物(A)を含む。このような本実施形態の組成物を含む絶縁層を形成することにより、表面3aに照射された光は絶縁層1を通過する過程で化合物(A)に吸収され、光が照射面(表面3a)と反対側に到達することを抑制することができる。これにより、本実施形態の組成物は、波長350~420nmの光を吸収して、硬化する感光性組成物の裏露光を抑制することができる。
【0019】
なお、本実施形態の組成物を用いることにより、レーザ加工やマスクパターンを用いたUV露光のいずれにおいても、裏露光を抑制することができる。
【0020】
〔化合物(A)〕
化合物(A)は、ナフタレン骨格と、該ナフタレン骨格に含まれるナフタレン環の少なくとも2位及び/又は7位に結合した置換基と、を有するものである。ここで、置換基としては、各々独立して、下記式(3)で表されるものが好ましく、R1O-がグリシジル基である置換基を有するものが好ましい。このような置換基を有する化合物(A)を用いることにより、裏露光がより抑制される傾向にある。置換基は、ナフタレン骨格に含まれるナフタレン環のすべてに少なくとも1つ以上結合していることが好ましい。
-OR1 (3)
(式中、R1は、炭素数1~20の有機基である)
【0021】
ナフタレン骨格としては、2以上のナフタレン環が連結した骨格を言う。ナフタレン環を連結する連結基としては、例えば、-O-、-CH2-、又は単結合が挙げられる。このような骨格を有することにより、波長350~420nmの光の吸収性がより向上し、裏露光がより抑制される傾向にある。ナフタレン骨格を形成するナフタレン環の数は、好ましくは2~4であり、より好ましくは2~3であり、さらに好ましくは2である。また、ナフタレン骨格は、ナフタレン環以外のアリール環は含まないことが好ましい。
【0022】
化合物(A)としては、ナフタレン骨格と、該ナフタレン骨格に含まれるナフタレン環の少なくとも2位及び/又は7位に結合した置換基と、を有する化合物であれば、特に制限されないが、例えば、下記式(1)又は式(2)で表される化合物が挙げられる。ここで、式(1)で表される化合物は、3つのナフタレン環が連結したナフタレン骨格を有し、各ナフタレン環の2位及び/又は7位にグリシジル基が1つずつ結合した化合物であり、式(2)で表される化合物は、2つのナフタレン環が連結したナフタレン骨格を有し、各ナフタレン環の2位及び7位にグリシジル基が2つずつ結合した化合物である。このような化合物を用いることにより、波長350~420nmの光の吸収性能がより向上し、裏露光の抑制性能がより向上する傾向にある。
【化3】
(R
2は、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の有機基である)
【化4】
【0023】
R2は、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の有機基である。有機基の炭素数は、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~5である。また、有機基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数1~4のアルキル基又はアラルキル基が挙げられる。また、R2が全て水素であることがより好ましい。
【0024】
本実施形態の組成物における化合物(A)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは3~50質量部であり、より好ましくは5~45質量部であり、さらに好ましくは5~40質量部である。化合物(A)の含有量が上記範囲内であることにより、波長350~420nmの光の吸収性能がより向上し、裏露光の抑制性能がより向上する傾向にある。
【0025】
なお、本実施形態において、「樹脂固形分」とは、特に断りのない限り、本実施形態の組成物における、溶剤及び充填材を除いた成分をいい、「樹脂固形分100質量部」とは、本実施形態の組成物における溶剤及び充填材を除いた成分の合計が100質量部であることをいうものとする。
【0026】
特に、式(1)で表される化合物(好ましくはR2が全て水素である化合物)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは10~50質量部であり、より好ましくは15~45質量部であり、さらに好ましくは30~40質量部である。式(1)で表される化合物の含有量が上記範囲内であることにより、波長350~420nmの光の吸収性能がより向上し、裏露光の抑制性能がより向上する傾向にある。
【0027】
また、式(2)で表される化合物の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは5~30質量部であり、より好ましくは7.5~25質量部であり、さらに好ましくは10~20質量部である。式(2)で表される化合物の含有量が上記範囲内であることにより、波長350~420nmの光の吸収性能がより向上し、裏露光の抑制性能がより向上する傾向にある。
【0028】
〔熱硬化性樹脂〕
本実施形態の組成物は、上記化合物(A)と熱硬化性樹脂とを含み、熱により硬化して絶縁部を形成するものであることが好ましい。熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、シアン酸エステル化合物、フェノール化合物、マレイミド化合物、アルケニル置換ナジイミド化合物、及びエポキシ化合物からなる群より選択される1種以上が挙げられる。なお、本実施形態において、化合物(A)は熱硬化性樹脂には含めないものとする。
【0029】
このなかでも、熱硬化性樹脂は、耐熱性、吸水性、絶縁性、銅箔ピール強度などに優れる硬化物を得る観点から、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。そのような態様としては、特に制限されないが、例えば、マレイミド化合物、エポキシ化合物、及びフェノール樹脂を含む組合せ;マレイミド化合物、エポキシ化合物、及びシアン酸エステル化合物を含む組合せ;マレイミド化合物、エポキシ化合物、及びアルケニル置換ナジイミドを含む組合せ;マレイミド化合物、シアン酸エステル化合物、及びアルケニル置換ナジイミドを含む組合せ;マレイミド化合物、エポキシ化合物、シアン酸エステル化合物、及びアルケニル置換ナジイミドを含む組合せ;及び、マレイミド化合物、アルケニル置換ナジイミドを含む組合せが挙げられる。
【0030】
本実施形態の組成物における熱硬化性樹脂の含有量の下限値は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上であり、より好ましくは60質量部以上であり、70質量部以上である。また、熱硬化性樹脂の含有量の上限値は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは97質量部以下であり、より好ましくは95質量部以下であり、さらに好ましくは90質量部以下である。熱硬化性樹脂の含有量が上記した下限値及び/または上限値の範囲内であることにより、耐熱性、吸水性、絶縁性、銅箔ピール強度などに優れる硬化物が得られる傾向にある。
【0031】
(マレイミド化合物)
マレイミド化合物としては、分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、N-フェニルマレイミド、N-ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2’-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド化合物、これらマレイミド化合物のプレポリマー、若しくはマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマーが挙げられる。
【0032】
このなかでも、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2’-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、及びポリフェニルメタンマレイミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。このようなマレイミド化合物を含むことにより、得られる硬化物の熱膨張率がより低下し、耐熱性がより向上する傾向にある。マレイミド化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
本実施形態の組成物におけるマレイミド化合物の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは5~35質量部であり、より好ましくは10~30質量部であり、さらに好ましくは10~25質量部である。マレイミド化合物の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性、硬化性がより向上する傾向にある。
【0034】
また、マレイミド化合物の含有量は、化合物(A)100質量部に対して、好ましくは20質量部以上であり、より好ましくは45質量部以上であり、さらに好ましくは60質量部以上である。また、マレイミド化合物の含有量は、化合物(A)100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは70質量部以下であり、さらに好ましくは50質量部以下である。マレイミド化合物の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性、硬化性がより向上する傾向にある。
【0035】
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物としては、化合物(A)以外の、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、イソシアヌレート環含有エポキシ樹脂、或いはこれらのハロゲン化物が挙げられる。エポキシ化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
このなかでも、ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ化合物を用いることにより、耐熱性、硬化性がより向上する傾向にある。
【0037】
本実施形態の組成物におけるエポキシ化合物の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは1~50質量部であり、より好ましくは3~50質量部であり、さらに好ましくは5~45質量部であり、ことさら好ましくは7.5~40質量部である。エポキシ化合物の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性、硬化性がより向上する傾向にある。
【0038】
本実施形態の組成物において、化合物(A)とエポキシ化合物の合計含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは35~60質量部であり、より好ましくは40~55質量部であり、さらに好ましくは45~50質量部である。合計含有量が上記範囲内であることにより、裏露光の抑制性能と、耐熱性、硬化性がより向上する傾向にある。
【0039】
また、エポキシ化合物の含有量は、化合物(A)100質量部に対して、好ましくは15質量部以上であり、より好ましくは40質量部以上であり、さらに好ましくは80質量部以上である。また、エポキシ化合物の含有量は、化合物(A)100質量部に対して、好ましくは180質量部以下であり、より好ましくは100質量部以下であり、さらに好ましくは50質量部以下である。エポキシ化合物の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性、硬化性がより向上する傾向にある。
【0040】
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂としては、公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されないが、例えば、1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有する樹脂が挙げられる。そのようなフェノール樹脂としては、特に限定されないが、例えば、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、アミノトリアジンノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。フェノール樹脂は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
このなかでも、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、アミノトリアジンノボラック型フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、及びビフェニルアラルキル型フェノール樹脂からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。このようなフェノール樹脂を用いることにより、得られる硬化物の吸水率がより低下し、耐熱性がより向上する傾向にある。
【0042】
本実施形態の組成物におけるフェノール樹脂の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは10~50質量部であり、より好ましくは20~45質量部であり、さらに好ましくは30~40質量部である。フェノール樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性、耐薬品性がより向上する傾向にある。
【0043】
(シアン酸エステル化合物)
シアン酸エステル化合物としては、1分子中に芳香環に直接結合したシアン酸エステル基(シアナト基)を1個以上有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル、ノボラック型シアン酸エステル、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステル、ビス(3,5-ジメチル4-シアナトフェニル)メタン、ビス(4-シアナトフェニル)メタン、1,3-ジシアナトベンゼン、1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-ジシアナトナフタレン、1,4-ジシアナトナフタレン、1,6-ジシアナトナフタレン、1,8-ジシアナトナフタレン、2,6-ジシアナトナフタレン、2、7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4、4’-ジシアナトビフェニル、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、及び2、2’-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン;これらシアン酸エステルのプレポリマー等が挙げられる。シアン酸エステル化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
このなかでも、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル、ノボラック型シアン酸エステル、及びビフェニルアラルキル型シアン酸エステルからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。このようなシアン酸エステル化合物を用いることにより、難燃性により優れ、硬化性がより高く、かつ熱膨張係数がより低い硬化物が得られる傾向にある。
【0045】
本実施形態の組成物におけるシアン酸エステル化合物の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは1~50質量部であり、より好ましくは5~40質量部であり、さらに好ましくは10~30質量部である。シアン酸エステル化合物の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性と耐薬品性がより向上する傾向にある。
【0046】
(アルケニル置換ナジイミド化合物)
アルケニル置換ナジイミド化合物は、1分子中に1個以上のアルケニル置換ナジイミド基を有する化合物であれば特に限定されない。このなかでも、式(3)で表される化合物が好ましい。このようなアルケニル置換ナジイミド化合物を用いることにより、得られる硬化物の熱膨張率がより低下し、耐熱性がより向上する傾向にある。
【化5】
(式中、R
2は、各々独立して、水素原子、又は炭素数1~6のアルキル基を示し、R
3は、炭素数1~6のアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、又は式(4)若しくは(5)で表される基を示す。)
【化6】
(式中、R
4は、メチレン基、イソプロピリデン基、又は、CO、O、S、若しくはSO
2で表される置換基を示す。)
【化7】
(式中、R
5は、各々独立して、炭素数1~4のアルキレン基、又は炭素数5~8のシクロアルキレン基を示す。)
【0047】
本実施形態の組成物におけるアルケニル置換ナジイミド化合物の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは10~50質量部であり、より好ましくは20~45質量部であり、さらに好ましくは30~40質量部である。アルケニル置換ナジイミド化合物の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性がより向上する傾向にある。
【0048】
〔充填材〕
充填材としては、特に限定されないが、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、アエロジル、中空シリカなどのシリカ類;ホワイトカーボンなどのケイ素化合物;チタンホワイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物;窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物;硫酸バリウムなどの金属硫酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム加熱処理品(水酸化アルミニウムを加熱処理し、結晶水の一部を減じたもの)、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物;ベーマイトなどの金属水和物;酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛などのモリブデン化合物;ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛などの亜鉛化合物;アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、E-ガラス、A-ガラス、NE-ガラス、C-ガラス、L-ガラス、D-ガラス、S-ガラス、M-ガラスG20、ガラス短繊維(Eガラス、Tガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラスなどのガラス微粉末類を含む。)、中空ガラス、球状ガラスなどが挙げられる。充填材は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0049】
本実施形態の組成物における充填材の含有量は、特に限定されないが、樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは50~500質量部であり、より好ましくは75~350質量部であり、さらに好ましくは75~250質量部、さらにより好ましくは100~200質量部である。充填材の含有量が上記範囲内であることにより、熱膨張率がより低下する傾向にある。
【0050】
〔シランカップリング剤及び湿潤分散剤〕
本実施形態の組成物は、シランカップリング剤や湿潤分散剤をさらに含んでもよい。シランカップリング剤や湿潤分散剤を含むことにより、上記充填材の分散性、樹脂成分、充填材、及び後述する基材の接着強度がより向上する傾向にある。
【0051】
シランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されないが、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン系化合物;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系化合物;γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン系化合物;N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩などのカチオニックシラン系化合物;フェニルシラン系化合物などが挙げられる。シランカップリング剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0052】
湿潤分散剤としては、塗料用に使用されている分散安定剤であれば、特に限定されないが、例えば、ビックケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK(登録商標)-110、111、118、180、161、BYK-W996、W9010、W903等が挙げられる。
【0053】
〔硬化促進剤〕
本実施形態の組成物は、硬化促進剤をさらに含んでもよい。硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチル-ジ-パーフタレートなどの有機過酸化物;アゾビスニトリルなどのアゾ化合物;N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルトルイジン、2-N-エチルアニリノエタノール、トリ-n-ブチルアミン、ピリジン、キノリン、N-メチルモルホリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、N-メチルピペリジンなどの第3級アミン類;フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコールなどのフェノール類;ナフテン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸錫、ジブチル錫マレート、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、アセチルアセトン鉄などの有機金属塩;これら有機金属塩をフェノール、ビスフェノールなどの水酸基含有化合物に溶解してなるもの;塩化錫、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどの無機金属塩;ジオクチル錫オキサイド、その他のアルキル錫、アルキル錫オキサイドなどの有機錫化合物などが挙げられる。
【0054】
〔組成物の製造方法〕
本実施形態の組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、各成分を順次溶剤に配合し、十分に攪拌する方法が挙げられる。この際、各成分を均一に溶解或いは分散させるため、攪拌、混合、混練処理などの公知の処理を行うことができる。具体的には、適切な攪拌能力を有する攪拌機を付設した攪拌槽を用いて攪拌分散処理を行うことで、組成物に対する充填材の分散性を向上させることができる。上記の攪拌、混合、混練処理は、例えば、ボールミル、ビーズミルなどの混合を目的とした装置、又は、公転又は自転型の混合装置などの公知の装置を用いて適宜行うことができる。
【0055】
また、組成物の調製時においては、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。有機溶剤の種類は、組成物中の樹脂を溶解可能なものであれば、特に限定されない。
【0056】
〔用途〕
上記した本実施形態の組成物は、プリプレグ、樹脂シート、積層板、金属箔張積層板、又はプリント配線板として好適に用いることができる。以下、プリプレグ、樹脂シート、積層板、金属箔張積層板、又はプリント配線板について説明する。
【0057】
〔プリプレグ〕
本実施形態のプリプレグは、基材と、該基材に含浸又は塗布された、本実施形態の組成物と、を有する。プリプレグの製造方法は、常法にしたがって行うことができ、特に限定されない。例えば、本実施形態における組成物を基材に含浸又は塗布させた後、100~200℃の乾燥機中で1~30分加熱するなどして半硬化(Bステ-ジ化)させることで、本実施形態のプリプレグを作製することができる。
【0058】
プリプレグにおける本実施形態の組成物(充填材を含む。)の含有量は、プリプレグの総量に対して、好ましくは30~90質量%であり、より好ましくは35~85質量%であり、好ましくは40~80質量%である。組成物の含有量が上記範囲内であることにより、成形性がより向上する傾向にある。
【0059】
(基材)
基材としては、特に限定されず、各種プリント配線板材料に用いられている公知のものを、目的とする用途や性能により適宜選択して使用することができる。基材を構成する繊維の具体例としては、特に限定されないが、例えば、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス、球状ガラス、NEガラス、Lガラス、Tガラスなどのガラス繊維;クォーツなどのガラス以外の無機繊維;ポリパラフェニレンテレフタラミド(ケブラー(登録商標)、デュポン株式会社製)、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)などの全芳香族ポリアミド;2,6-ヒドロキシナフトエ酸・パラヒドロキシ安息香酸(ベクトラン(登録商標)、株式会社クラレ製)、ゼクシオン(登録商標、KBセーレン製)などのポリエステル;ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(ザイロン(登録商標)、東洋紡績株式会社製)、ポリイミドなどの有機繊維が挙げられる。これらのなかでも低熱膨張率の観点から、Eガラスクロス、Tガラスクロス、Sガラスクロス、Qガラスクロス、及び有機繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。これら基材は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0060】
基材の形状としては、特に限定されないが、例えば、織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマット、サーフェシングマットなどが挙げられる。織布の織り方としては、特に限定されないが、例えば、平織り、ななこ織り、綾織り等が知られており、これら公知のものから目的とする用途や性能により適宜選択して使用することができる。また、これらを開繊処理したものやシランカップリング剤などで表面処理したガラス織布が好適に使用される。基材の厚さや質量は、特に限定されないが、通常は0.01~0.3mm程度のものが好適に用いられる。とりわけ、強度と吸水性との観点から、基材は、厚み200μm以下、質量250g/m2以下のガラス織布が好ましく、Eガラス、Sガラス、及びTガラスのガラス繊維からなるガラス織布がより好ましい。
【0061】
〔樹脂シート〕
本実施形態の樹脂シートは、本実施形態の組成物を含む。樹脂シートの製造方法は、特に制限されないが、例えば、本実施形態の組成物を支持体上に塗布し乾燥させ、乾燥後に、支持体を剥離又はエッチングすることで、樹脂シートを得る方法、または、本実施形態の組成物を、シート状のキャビティを有する金型内に供給し乾燥する等してシート状に成形する方法が挙げられる。
【0062】
また、本実施形態の樹脂シートは、支持体と、該支持体の片面または両面に積層された、本実施形態の組成物と、を有するものであってもよい。このような樹脂シートは、支持体付き樹脂シートともいう。支持体付き樹脂シートは、薄葉化の1つの手段として用いられるもので、例えば、金属箔やフィルムなどの支持体に、直接、プリプレグ等に用いられる熱硬化性樹脂(充填材を含む)を塗布及び乾燥して製造することができる。
【0063】
支持体としては、特に限定されないが、各種プリント配線板材料に用いられている公知の物もの使用することができる。例えばポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、アルミ箔、銅箔、金箔、ガラス板、SUS板など挙げられる。その中でも電解銅箔、PETフィルムが好ましい。
【0064】
塗布方法としては、例えば、本実施形態の組成物を溶剤に溶解させた溶液を、バーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、ベーカーアプリケーター等で支持体上に塗布する方法が挙げられる。
【0065】
支持体付き樹脂シートは、本実施形態の組成物を支持体に塗布後、半硬化(Bステージ化)させたものであることが好ましい。具体的には、例えば、本実施形態の組成物を銅箔などの支持体に塗布した後、20~200℃の乾燥機中で、1~90分加熱させる方法などにより半硬化させ、支持体付き樹脂シートを製造する方法などが挙げられる。支持体に対する組成物の付着量は、樹脂層の厚さで0.1~500μmの範囲が好ましい。
【0066】
〔積層板〕
本実施形態の積層板は、上記プリプレグ又は樹脂シートからなる層を1層以上含む。積層板はプリプレグ又は樹脂シートを1層以上備えるものであれば特に限定されず、他のいかなる層を有していてもよい。積層板の製造方法としては、一般に公知の方法を適宜適用でき、特に限定されない。例えば、上記のプリプレグ同士や樹脂シート同士、あるいはプリプレグと樹脂シートを積層し、加熱加圧成形することで積層板を得ることができる。このとき、加熱する温度は、特に限定されないが、65~300℃が好ましく、120~270℃がより好ましい。また、加圧する圧力は、特に限定されないが、2~5MPaが好ましく、2.5~4MPaがより好ましい。本実施形態の積層板は、金属箔からなる層を備えることにより、後述する金属箔張積層板として好適に用いることができる。
【0067】
〔金属箔張積層板〕
本実施形態の金属箔張積層板は、上記プリプレグ又は上記樹脂シートと、プリプレグ又は樹脂シート上に積層された金属箔とを有する。絶縁層は、上記組成物、1層のプリプレグ、又は樹脂シートからなるものであっても、上記組成物、プリプレグ、又は樹脂シートを2層以上積層したものであってもよく、上記組成物、プリプレグ、及び樹脂シートを積層したものであってもよい。
【0068】
金属箔としては、銅やアルミニウムなどを用いることができる。ここで使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられるものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔や電解銅箔などの公知の銅箔が好ましい。また、金属箔(導体層)の厚みは、特に限定されないが、1~70μmが好ましく、より好ましくは1.5~35μmである。
【0069】
金属箔張積層板の成形方法及びその成形条件は、特に限定されず、一般的なプリント配線板用積層板及び多層板の手法及び条件を適用することができる。例えば、金属箔張積層板の成形時には多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを用いることができる。また、金属箔張積層板の成形において、温度は100~300℃、圧力は面圧2~100kgf/cm2、加熱時間は0.05~5時間の範囲が一般的である。さらに、必要に応じて、150~300℃の温度で後硬化を行うこともできる。また、上述のプリプレグと、別途作成した内層用の配線板とを組み合わせて積層成形することにより、多層板とすることも可能である。
【0070】
〔プリント配線板〕
本実施形態のプリント配線板は、絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成された導体層とを有し、前記絶縁層が、本実施形態の組成物を含む。上記の金属箔張積層板は、所定の配線パターンを形成することにより、プリント配線板として好適に用いることができる。そして、上記の金属箔張積層板は、低い熱膨張率、良好な成形性及び耐薬品性を有し、そのような性能が要求される半導体パッケージ用プリント配線板の材料として、殊に有効に用いることができる。
【0071】
また、多層構造を有するプリント配線板としては、積層された複数の絶縁層と、該複数の絶縁層の間及び最外層表面に配置された一又は複数の導体層と、を有し、前記絶縁層が、上記組成物を含むものが挙げられる。このような多層プリント配線板は、その他の構成として、複数の絶縁層を貫通するめっきする-ホールなど、多層プリント配線板として公知の構成を有することができる。
【0072】
また、本実施形態の多層プリント配線板は、絶縁層としてのコア基板を持たず、ビルドアップ層のみを絶縁層として積層したコアレスプリント配線板であってもよい。このような、コアレスプリント配線板としては、少なくとも一つの絶縁層と、該絶縁層の最外層表面に配置された導体層を有するものが挙げられる。絶縁層が複数ある場合、複数の絶縁層の間に、さらに導体層を有していてもよい。この場合、一つ又は複数ある絶縁層のいずれかが、上述の組成物を含むことになる。
【0073】
従来のビルドアップ基板は、支持基板であるコア基板の上下に絶縁層と導体層を積み重ねた構造を有する。コア基板の上下に積み重ねる絶縁層と導体層は、ビルドアップ層とも呼ばれる。配線を高密度に形成する観点から、ビルドアップ層は薄い層の積層により構成される。これに対して、コア基板は、絶縁層と導体層を積層する工程においてある程度の強度等を有する支持基板として役割も有する。そのため、一般にコア基板はビルドアップ層における絶縁層よりも厚いものである。本実施形態におけるコアレスプリント配線板とは、このコア基板を有しないプリント配線板をいう。
【0074】
多層プリント配線板の製造方法は、特に制限されず、プリント配線板を積層する方法など、従来公知の方法を用いることができる。
【0075】
〔プリント配線板の製造方法〕
本実施形態のプリント配線板は、具体的には、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、上述の金属箔張積層板(銅張積層板等)を用意する。金属箔張積層板の表面にエッチング処理を施して内層回路の形成を行い、内層基板を作成する。この内層基板の内層回路表面に、必要に応じて接着強度を高めるための表面処理を行い、次いでその内層回路表面に上述のプリプレグを所要枚数重ね、更にその外側に外層回路用の金属箔を積層し、加熱加圧して一体成形する。このようにして、内層回路と外層回路用の金属箔との間に、基材及び熱硬化性組成物の硬化物からなる絶縁層が形成された多層の積層板が製造される。次いで、この多層の積層板にスルーホールやバイアホール用の穴あけ加工を施した後、硬化物層に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアを除去するためデスミア処理が行われる。その後この穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成し、更に外層回路用の金属箔にエッチング処理を施して外層回路を形成し、プリント配線板が製造される。
【0076】
例えば、上述のプリプレグ(基材及びこれに添着された上述の組成物)、金属箔張積層板中の組成物層(上述の組成物からなる層)が、上述の組成物を含む絶縁層を構成することになる。
【0077】
また、金属箔張積層板を用いない場合には、上記プリプレグ、又は上記樹脂シート上に、回路となる導体層を形成しプリント配線板を作製してもよい。この際、導体層の形成に無電解めっきの手法を用いることもできる。
【0078】
さらに、上記のようにして得られたプリント配線板に対して、ソルダーレジストを塗布し、回路パターンを保護する絶縁膜を形成する工程を行ってもよい。より具体的には、プリント配線板を上記のとおり準備する工程と、プリント配線板の両面に波長350~420nmの光で硬化する感光性組成物層を形成する工程と、感光性組成物層の表面にマスクパターンを配し、該マスクパターンを通して波長350~420nmの光で露光を行う工程と、を有する方法が挙げられる。露光後、感光性組成物層の未硬化部分を現像し、回路パターンが保護されたプリント配線板を得ることができる。なお、感光性組成物層としては、例えば、ソルダーレジスト層が挙げられる。
【0079】
また、コアレスプリント配線板の製造方法では、例えば、上記プリント配線板を上記のとおり準備する工程に代えて、コア基板を準備する工程と、コア基板上に、本実施形態の組成物を含む、少なくとも一つの絶縁層と、該絶縁層の最外層表面に配置された導体層とを、積層した積層体を得る工程を経る。すなわち、コア基板上に、一又は複数の絶縁層と一又は複数の導体層を積層することで、コア基板上にビルドアップ層が形成された積層体を得ることができる。その後、コア基板を除去(剥離)することで、コアレスプリント配線板(コアレス基板ともいう)を形成する。
【0080】
そして、このコアレス基板に対して、上述と同様に、感光性組成物層を形成する工程、露光を行う工程を行うことにより、回路パターンが形成されたコアレスプリント配線板を得ることができる。
【実施例】
【0081】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0082】
〔実施例1〕
ビフェニルアラルキルフェノール樹脂(KAYAHARD GPH-103、日本化薬社製)35質量部と、マレイミド化合物(BMI-70、大和化成工業(株)製)15質量部と、ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂(HP-9900、DIC株式会社製)10質量部と、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000H、日本化薬社製)20質量部と、化合物(A)としてナフタレンエーテル型エポキシ樹脂(HP-6000、DIC株式会社製)20質量部と、シランカップリング剤(Z6040、東レダウコーニング社製)5質量部と、湿潤分散剤(DISPERBYK(登録商標)-161、ビックケミー・ジャパン社製)1質量部と、硬化促進剤(2,4,5-トリフェニルイミダゾール、東京化成工業社製)1質量部とを混合し、メチルエチルケトンで希釈することでワニスを得た。このワニスを用いて、厚さ0.08mmの樹脂板を成形した。なお、上記ナフタレンエーテル型エポキシ樹脂は、式(1)で表される構造で、R2が全て水素であるものであった。また、HP-9900は2以上のナフタレン環が連結したナフタレン骨格を有しないものである。
【0083】
〔実施例2〕
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000H、日本化薬社製)を用いず、ナフタレンエーテル型エポキシ樹脂(HP-6000、DIC株式会社製)の使用量を40質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂板を形成した。
【0084】
〔実施例3〕
ビフェニルアラルキルフェノール樹脂(KAYAHARD GPH-103、日本化薬社製)35質量部と、マレイミド化合物(BMI-70、大和化成工業(株)製)15質量部と、4官能ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂(HP-4710、DIC株式会社製)10質量部と、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000H、日本化薬社製)40質量部と、シランカップリング剤(Z6040、東レダウコーニング社製)5質量部と、湿潤分散剤(DISPERBYK(登録商標)-161、ビックケミー・ジャパン社製)1質量部と、硬化促進剤(2,4,5-トリフェニルイミダゾール、東京化成工業社製)1質量部とを混合し、メチルエチルケトンで希釈することでワニスを得た。このワニスを用いて、厚さ0.08mmの樹脂板を成形した。なお、上記4官能ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂は、式(2)で表される構造を有するものであった。
【0085】
〔実施例4〕
ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂(HP-9900、DIC株式会社製)を10質量部用い、4官能ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂(HP-4710、DIC株式会社製)の使用量を20質量部に変更し、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000H、日本化薬社製)の使用量を20質量部に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、樹脂板を形成した。
【0086】
〔比較例1〕
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000H、日本化薬社製)の使用量を40質量部に変更し、ナフタレンエーテル型エポキシ樹脂(HP-6000、DIC株式会社製)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂板を形成した。
【0087】
〔比較例2〕
ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂(HP-9900、DIC株式会社製)10質量部に代えて、ナフタレン型エポキシ樹脂(EXA-4032、DIC株式会社製)10質量部を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、樹脂板を形成した。以下に示すとおり、EXA-4032は2以上のナフタレン環が連結したナフタレン骨格を有しないものである。
【化8】
【0088】
〔比較例3〕
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000H、日本化薬社製)40質量部に代えて、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(HP-7200L、DIC株式会社製)40質量部を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、樹脂板を形成した。なお、HP-7200Lは、ナフタレン環を有しない化合物である。
【0089】
〔比較例4〕
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000H、日本化薬社製)の使用量を50質量部に変更し、ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂(HP-9900、DIC株式会社製)を用いなかったこと以外は、比較例1と同様にして、樹脂板を形成した。
【0090】
〔露光テスト〕
上記のようにして得られた樹脂板の両面に対して、厚さ15μmのフィルム状のレジスト(太陽ホールディングス株式会社製 PSR-800 AUS SR1)をラミネートし、一方の面(露光面)から下記条件で露光した。その後、露光面と反対側の面(裏面)のレジストを除去した。裏面において、露光面からの裏露光によりレジスト残差が残留するか否かを確認した。
装置 :ORC製DI露光機
光源 :3種混合(g線、h線、i線)
露光量:220mJ
【0091】
上記テストにおいて、裏面においてレジスト残渣が残留しなかったものを〇と評価し、レジスト残渣が残留したものを×と評価した。結果を表1に示す。
【0092】
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の組成物は、裏露光によるソルダーレジストの効果などを抑制することのできる組成物として産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0094】
1…絶縁層、2…銅パターン、3…ソルダーレジスト、3a…表面、3b…裏面、4…マスク、5…レジスト残り、10…プリント配線板