(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】オーラプテン含有組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20240208BHJP
C07D 311/16 20060101ALI20240208BHJP
C07H 15/203 20060101ALI20240208BHJP
A23L 19/00 20160101ALN20240208BHJP
【FI】
A23L33/105
C07D311/16 101
C07H15/203
A23L19/00 Z
(21)【出願番号】P 2023001209
(22)【出願日】2023-01-06
【審査請求日】2023-08-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520429060
【氏名又は名称】株式会社和環
(73)【特許権者】
【識別番号】591023594
【氏名又は名称】和歌山県
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185317
【氏名又は名称】石井 琢哉
(74)【代理人】
【識別番号】100178375
【氏名又は名称】松尾 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】土屋 典子
(72)【発明者】
【氏名】中村 允
(72)【発明者】
【氏名】小川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】沼口 規衣
(72)【発明者】
【氏名】山際 美和子
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-162424(JP,A)
【文献】特開2013-071928(JP,A)
【文献】特開2019-033681(JP,A)
【文献】特開2004-035709(JP,A)
【文献】日本食品科学工学会誌,2004年,Vol.51, No.3,pp.161-166
【文献】健康医療科学研究,2021年,No.11,pp.1-12
【文献】日本食品化学学会誌,2018年,Vol.25, No.2,pp.60-69
【文献】わかやま 果試ニュース,2017年,pp.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/105
C07D 311/16
C07H 15/203
A23L 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーラプテンを含有する組成物であって、
オーラプテンを2質量%以上30質量%以下含有し、
ネオヘスペリジンを前記オーラプテンに対して10質量%以上50質量%以下含有することを特徴とする、
オーラプテン含有組成物。
【請求項2】
繊維成分の含有量が0.10質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のオーラプテン含有組成物
。
【請求項3】
下記工程からなる請求項1に記載のオーラプテン含有組成物の製造方法。
(1)柑橘類果実の果皮から低級アルコールを用いて抽出して固形物を除去する。
(2)固形物を除去した抽出物から低級アルコールと水を留去する。
及び
(3)低級アルコールと水を留去した組成物に水を添加して溶解させ、次いで冷却して水層を分離させ、分離した水層を除去する。
【請求項4】
前記柑橘類果実の果皮が、果皮乾燥粉末であることを特徴とする請求項
3に記載のオーラプテン含有組成物の製造方法。
【請求項5】
前記柑橘類果実が、ハッサクであることを特徴とする請求項
3又は
4に記載のオーラプテン含有組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーラプテン含有組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機能性成分であるオーラプテンを全体の乾燥質量に対して0.7質量%以上含有する河内晩柑の果皮加工物(請求項1)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オーラプテンは柑橘類の果実に含まれる天然の物質である。従来、オーラプテンとともに柑橘類の果実に共存するフラボノイド系化合物であるネオヘスペリジンを含めて効率よく抽出することは困難であった。
本発明は、オーラプテンを高濃度で含有するとともに、ネオヘスペリジンをオーラプテンに対して高濃度で含有するオーラプテン含有組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かくして本発明の請求項1記載の発明は、オーラプテンを含有する組成物であって、オーラプテンを2質量%以上30質量%以下含有し、ネオヘスペリジンを前記オーラプテンに対して10質量%以上50質量%以下含有することを特徴とする、オーラプテン含有組成物である。
請求項2記載の発明は、繊維成分の含有量が0.10質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のオーラプテン含有組成物である。
請求項3記載の発明は、下記工程からなる請求項1に記載のオーラプテン含有組成物の製造方法である。
(1)柑橘類果実の果皮から低級アルコールを用いて抽出して固形物を除去する。
(2)固形物を除去した抽出物から低級アルコールと水を留去する。
及び
(3)低級アルコールと水を留去した組成物に水を添加して溶解させ、次いで冷却して水層を分離させ、分離した水層を除去する。
請求項4記載の発明は、前記柑橘類果実の果皮が、果皮乾燥粉末であることを特徴とする請求項3に記載のオーラプテン含有組成物の製造方法である。
請求項5記載の発明は、前記柑橘類果実が、ハッサクであることを特徴とする請求項3又は4に記載のオーラプテン含有組成物の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、オーラプテンを高濃度で含有するとともに、ネオヘスペリジンをオーラプテンに対して高濃度で含有するオーラプテン含有組成物を提供することができる。
請求項2の発明によれば、繊維成分をオーラプテン含有組成物中に0.10質量%を超えて含有する場合と比較して、オーラプテンを含有する食品、サプリメント、医薬品等を容易に製造することができる。
請求項3の発明によれば、抽出溶媒として低級アルコールと水のみを用いて製造することが可能であるので、低コストで、作業安全性が高く、環境にやさしいオーラプテン含有組成物の製造方法を提供できる。
請求項4の発明によれば、乾燥果皮を使用することが可能であるため、一年を通じて安定してオーラプテン含有組成物を提供することができる。
請求項5の発明によれば、ハッサクを使用しない場合と比較して、本発明のオーラプテン含有組成物を効率よく製造する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例等は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を限定するものではない。
本開示において、数値範囲を表す「〇〇以上〇〇以下」や「〇〇~〇〇」の記載は、特に断りのない限り、記載された上限及び下限を含む数値範囲を意味する。
【0008】
本実施形態のオーラプテン含有組成物は、オーラプテンを2質量%以上30質量%以下含有し、ネオヘスペリジンを当該オーラプテンに対して10質量%以上50質量%以下含有することを特徴する。
本実施形態のオーラプテン含有組成物の主成分であるオーラプテンは、クマリン系化合物であり、次の構造式を有する。一部の柑橘類の特に果皮に多く含まれる。
【0009】
【0010】
オーラプテンは生理活性を有することが知られており、例えば、認知機能の一部である記憶力(言葉を記憶し、思い出す力)を維持する機能、熱による血管細胞の障害を防ぐ効果による熱中症対策、等が知られている。
本実施形態の組成物に含有されるネオヘスペリジンは柑橘類に含まれるポリフェノールの一種であり、更にポリフェノールの中でフラボノイド類の化合物の1つであり、次の構造式を有する。ネオヘスペリジンは、抗腫瘍、骨芽細胞活性化、毛細血管強化、抗炎症などの作用を示すことが報告されている。
【0011】
【0012】
本実施形態のオーラプテン含有組成物は、オーラプテンを2質量%以上30質量%以下含有する。製造のしやすさから、含有量は好ましくは2.5質量%以上25質量%以下、より好ましくは3.0質量%以上20質量%以下である。
また、本実施形態のオーラプテン含有組成物は、ネオヘスペリジンをオーラプテンに対して10質量%以上50質量%以下含有する。製造のしやすさから、含有量はオーラプテンに対して好ましくは15質量%以上48質量%以下、より好ましくは20質量%以上45質量%以下である。なお、ネオヘスペリジンは、本実施形態のオーラプテン含有組成物中に0.5質量%以上5質量%以下含有されることが好ましく、より好ましくは1質量%以上4質量%以下含有されることが好ましい。
本実施形態のオーラプテン含有組成物は、オーラプテン等を通常抽出した場合より、オーラプテンの濃度が高く、かつ、有効成分の1つであるネオヘスペリジンのオーラプテンに対する含有割合が高いという効果を有する。
【0013】
以下、本実施形態におけるオーラプテン含有組成物の製造方法を説明する。オーラプテン含有組成物の製造方法は、次の工程からなる。
(1)柑橘類果実の果皮から低級アルコールを用いて、抽出して固形物を除去する。
(2)固形物を除去した抽出物から低級アルコールと水を留去する。
及び
(3)低級アルコールと水を留去した組成物に水を添加して溶解させ、次いで冷却して水層を分離させ、分離した水層を除去する。
【0014】
以下、オーラプテン含有組成物の製造方法を詳細に説明する。
初めの工程(1)において、柑橘類果実の果皮から低級アルコールを用いて抽出して固形物を除去する。
柑橘類果実はオーラプテンを含むものであれば、特に制限なく種々の柑橘類を使用することが可能である。例えば、ハッサク、河内晩柑、グレープフルーツ、柚子、スダチ、なつみかん、温州みかん、ポンカン、清見、不知火(デコポン(登録商標))、伊予柑、オレンジ、レモン、ライム、甘夏、文旦、甘平、愛媛果試28号(紅まどんな(登録商標))、せとか、カラ、はるみ、はれひめ、はるか、南津海、ネーブルオレンジ、天草、まりひめ、日向夏、タロッコ、ダイダイ、ひめのつき、アンコール、セミノール、カボス、モロ、じゃばら、たまみ、黄金柑、安政柑、天香、キンカン、スィートスプリング、麗紅、マーコット、津之香、媛小春、シークワーサー、ひめあかり、西之香、三宝柑、サザンイエロー、あいおとめ、チャンドラポメロ、オレンジ日向、紀州みかん、早香、バンペイユ、ユコウ、オーラスター、福原オレンジ及び仏手柑が挙げられる。中でも、オーラプテンを多く含有する観点から、ハッサク、河内晩柑、グレープフルーツ、柚子、スダチ、なつみかんが好ましく、特にハッサク、河内晩柑が好ましく、ハッサクが最も好ましい。
【0015】
柑橘類の果実の中でも、特に果皮に含まれており、果実や果汁の含有量は限られているため、本実施形態では果皮を使用する。果皮とは、外果皮(フラベド)及び中果皮(アルベド)のことである。柑橘類の果皮としては、例えば、柑橘類を搾汁した後に得られるものを使用することができる。
柑橘類の果皮としては、いずれの搾汁方法で得られたものでも制限無く使用でき、搾汁方法としては、例えば、インライン搾汁、ベルト搾汁、チョッパーパルパー搾汁などが挙げられる。インライン搾汁では、柑橘類は全果のまま1個ずつロアーカップに入り、果実の底に孔をあけ上部からアッパーカップで押さえ、果肉はストレーナーチューブに入り、オリフィスで圧搾されて搾汁される。チョッパーパルパー搾汁は、果皮を剥皮した後に搾汁することを特徴としているので、搾汁前に剥皮された果皮を使用することができる。
【0016】
柑橘類の果皮から低級アルコールを用いて抽出する。抽出対象は前述したように特にはハッサクが好ましい。本実施形態ではハッサクを使用する。
ハッサクの果皮を、通常は乾燥し、乾燥品を粉砕して乾燥粉末として抽出する。果皮の乾燥粉末を使用するため、ハッサクが収穫される12月から2月に限られず、年間を通じて安定して、本実施形態のオーラプテン含有組成物を製造することができる。
抽出に使用する低級アルコールは炭素数5以下のアルコールであり、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールが例示されるが、目的とするオーラプテンとネオヘスペリジンの抽出率や操作性の観点からエタノールが好ましい。エタノールは濃度80質量%以上のものが好ましく、90質量%以上がより適しており、特には99質量%以上のものがよい。
エタノールは、抽出対象のハッサクの質量に対して、同じ質量以上2倍以下が好ましく、特には1.5質量倍程度がよい。抽出は加温して行う。温度は、60℃以上エタノールの沸点以下の温度まで加熱することが好ましく、特には65℃以上75℃以下が好ましい。
果皮からの抽出率を上げるため、エタノールを添加した状態で、上記温度で1~3時間、通常は2時間程度攪拌を行う。
【0017】
その後、室温まで冷却し、液中に沈殿として発生した固形分をろ過によりろ別除去し、目的とするオーラプテン等を含む液体状の抽出物を得る。
沈殿は低級アルコールにより洗浄することが好ましい。低級アルコールは前述したように抽出率等からエタノールが好ましい。また、エタノールの場合、濃度80質量%以上のものが好ましく、90質量%以上のものがより適しており、特には99質量%以上のものがよい。エタノールの使用量は、原料として使用したハッサクの果皮乾燥粉末の質量に対して0.5倍~1.5倍が好ましく、より好ましくは0.8倍~1.2倍である。
【0018】
次に工程(2)において、固形物を除去した抽出物から低級アルコールと水を留去する。
具体的な工程(2)の操作は次のように行う。
まず、(1)で得た抽出物に、沈殿を洗浄したエタノールを合わせる。この液体状の抽出物を、蒸留装置を用い、減圧下で、初めにエタノールを留去する。次いで、装置の減圧度を上げ、残ったエタノールと水分を完全に留去する。
この段階で得られた抽出物中のオーラプテン濃度は、原料とする柑橘類果実の果皮中のオーラプテン濃度によって大きく変化するが、ハッサクの場合、オーラプテン濃度は平均的には0.5~1.0質量%程度であった。また、ハッサクの場合、果皮からのオーラプテン回収率は平均的には約90%程度であった。
【0019】
続いて工程(3)において、低級アルコールと水を留去した組成物に水を添加して溶解させ次いで冷却して水層を分離させ、分離した水層を除去する。
具体的な工程(3)の操作は次のように行う。
始めに、工程(2)で得られた低級アルコール(エタノール)と水を留去した組成物に対して水を加える。水の量は、処理対象とする組成物に対して、質量で0.5~2倍が好ましく、抽出率、操作性等から0.8~1.2倍が好ましい。
次いで、加温して抽出物を水に溶解させる。加熱する温度は、抽出物が水に溶解する温度を選択するが、高すぎないことが好ましく、通常、60~80℃、特には65~75℃が好ましい。
溶解した液を室温(20~25℃等)まで冷却する。冷却すると、通常、上下二層に分離する。下は水層であり、上に褐色の油状液体の層が分かれる。下に分離した水層を分液ロート等により除去する。
得られた褐色の油状液体が本実施形態のオーラプテン含有組成物である。
組成物中の平均的なオーラプテン濃度は2~7質量%、工程(2)からのオーラプテン回収率は約100%である。
【0020】
次に、他の実施形態のオーラプテン含有組成物を得る製造方法を説明する。
工程(1)~(3)に続いて、次の工程を行う。
(4)工程(3)で得た油状液体に対して低級アルコール水溶液を加え、沈殿する固形物と油状成分を除去し、低級アルコールと水分を留去する。
(5)工程(4)で得た組成物に対して、低級アルコールを加えて分散させる。分散液を冷凍し、析出した沈殿をろ過にて分離除去し、溶液から低級アルコールと水分を留去する。
【0021】
具体的に説明する。
工程(4)では、まず、工程(3)で得た油状液体に、質量として5~15倍量の低級アルコール水溶液を添加する。低級アルコールは前述したようにエタノールが好ましく、工程(4)では濃度70~90質量%のエタノール水溶液が使用される。
このエタノール水溶液を工程(3)で得た油状液体に添加し、室温で攪拌する。液中に沈殿する固形物及び油状成分が生成するため、これら固形物及び油状成分を除去し、エタノール水溶液を回収する。続いて、回収したエタノール水溶液から、減圧下でエタノールと水分を留去して、組成物を得る。
【0022】
工程(5)では、(4)で得た組成物に、質量として3~7倍量の低級アルコールを添加し、分散させる。低級アルコールは前述したようにエタノールが好ましく、工程(5)では濃度99%以上のエタノールを使用する。
分散液を冷凍庫等により0~-40℃に冷却し、5~12時間放置する。冷却する温度は0~-5℃も可能であるが、-30℃より低い温度でも実施可能である。
冷却後に分散液中に沈殿が析出するため、沈殿をろ過して除去する。溶解した溶液から、減圧下でエタノールと水分を留去して、組成物を得る。この組成物のオーラプテン濃度は7~10質量%程度であった。
【0023】
なお、後記実施例5のように、オーラプテン濃度17質量%の組成物も他の実施形態で得ることができる。
実施例5に示す実施形態では、工程(3)で得た油状液体に対して次の工程(3’)を行い、油状成分を得る。この油状成分に対して、工程(4)及び(5)を行う。
(3’) 工程(3)で得た油状液体を低級アルコール水溶液に溶解し、遠心分離を行い下層の油状液体を得る。
具体的には、工程(3)で得た油状液体に体積で15~25倍の濃度30~50質量%の低級アルコール水溶液を加え、65~75℃に加温して溶解させる。続いて、この溶解液を遠心分離により分離し、目的の油状液体を下層として得る。
【0024】
本発明で得られるオーラプテン含有組成物は、オーラプテンと共にネオヘスペリジンも高濃度で含む、新規な組成物である。
原料として、乾燥した柑橘類果実の果皮を使用することが可能であるため、一年を通して、安定供給することが可能である。また、本発明のオーラプテン含有組成物は容易に繊維成分の含有量を0.10質量%以下とすることが可能である。実施例に示すように、実施形態によっては、オーラプテン含有組成物は繊維成分を実質的に含まない。繊維成分の含有量が少ないため、オーラプテンを含有する食品、サプリメント、医薬品等の製造が容易である。また、製造方法としては抽出溶媒としてアルコールと水のみを使用するため、作業安全性が高く、環境にやさしく、また、低コストで製造できる。
【0025】
本発明で得られるオーラプテン含有組成物は、例えば、種々の飲食品に添加して使用することができる。可能な飲食品としては、飲料類(お茶、ドリンクヨーグルト、ジュース、果汁入り飲料、清涼飲料水、牛乳、豆乳、コーヒー、スポーツ飲料、炭酸飲料、酒類等); 菓子類(プリン、クラッカー、ビスケット、クッキー、ケーキ、ゼリー、キャンデー、チョコレート、チューインガム、アイスクリーム、焼き菓子、和菓子等); 食品類(パン、乾パン、うどん、そば、ラーメン、パスタ、ハム、豆腐、こんにゃく、佃煮、餃子、コロッケ、サラダ、カレー、ジャム等); 調味類(みそ、しょう油、ドレッシング、マヨネーズ、ソース、ふりかけ、スープの素等); 乳製品(ヨーグルト、チーズ、バター等);水産練り製品(ちくわ、蒲鉾、じゃこてん等); 米由来製品(米菓、餅等)などが挙げられる。
また、本発明のオーラプテン含有組成物は、保健、健康維持、増進等を目的とする飲食品、例えば、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品などの利用も可能である。
本発明は、以上の実施態様に限らず、本発明の思想内であれば、他の実施態様も可能である。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「%」等の使用量は質量基準である。
〔実施例1〕(工程(1)及び(2))
ハッサクの果皮を集め、乾燥し粉末化した。得られたハッサク果皮の粉末200gに対して、濃度99.5%のエタノール300gを添加し、70℃で2時間撹拌した。続いて、果皮を含めた攪拌液全体を室温まで冷却した後、沈殿をエタノール抽出液から濾別した。濃度99.5%のエタノール200gを用いて、沈殿物を洗浄した。
洗浄後に回収した99.5%エタノールと前記エタノール抽出液とを混合し、減圧下でエタノールを留去した。次いで、減圧度を上げ、エタノールと水分を減圧下で完全に留去した。これを「オーラプテン組成物A」と称する。
得られたオーラプテン組成物Aにおけるオーラプテン濃度は0.89%であった。また、ハッサク果皮からのオーラプテン回収率は89.9%であった。
【0027】
〔実施例2〕(工程(3))
得られたオーラプテン組成物Aに対して、同重量の水を添加し、70℃まで加温し、オーラプテン組成物Aを溶解させた。この溶解した液を分液ロートに移し下層となる水層が完全に透明になるまで放置した。下層が完全に透明になった後、褐色のオイル状である上層を分取した。これを「オーラプテン組成物B」と称する。
得られたオーラプテン組成物Bにおけるオーラプテン濃度6.1%であった。また、オーラプテン組成物Aからのオーラプテン回収率は97.8%であった。
オーラプテン組成物Bの含有成分を液体クロマトグラフ装置(Agilent1100。アジレントテクノロジー社製)により分析した。オーラプテン組成物B中の成分名と含有量は次の通りであった。
「オーラプテン組成物B」
オーラプテン:3.8%
ネオヘスペリジン(フラボノイド類):1.7%
ナリルチン(フラボノイド類):0.35%
ナリンギン(フラボノイド類):3.8%
ヘスペリジン(フラボノイド類):0.2%
食物繊維:0%(分析限界以下)
また、オーラプテン組成物Bの栄養成分分析を行った。その結果を100gあたり数値として表1に示す。
【0028】
【0029】
〔実施例3〕(工程(4))
オーラプテン組成物Bに対して、濃度80%のエタノール水溶液を体積として約10倍の量を添加し、室温で撹拌した。オーラプテン組成物Bを完全に分散させた後、沈殿する固形物やオイル分を除去した。残ったエタノール溶液を回収し、エタノールと水分を減圧下で完全に留去した。残った成分を「オーラプテン組成物C」と称する。
得られたオーラプテン組成物Cにおけるオーラプテン濃度は使用する果皮のオーラプテン濃度に依存するが、7.4%であった。また、オーラプテン組成物Bからのオーラプテン回収率は71.4%であった。
【0030】
〔実施例4〕(工程(5))
オーラプテン組成物Cに対して、濃度99.5%のエタノールを体積として約5倍の量を添加し、完全に分散させ、分散液を得た。得られた分散液を―25℃の冷凍庫で一晩放置して、沈殿を析出させた。沈殿が析出した液をろ過し、溶解分とエタノール液を回収し、エタノールと水分を減圧下で完全に留去した。得た成分を「オーラプテン組成物D」と称する。
得られたオーラプテン組成物Dにおけるオーラプテン濃度使用する果皮のオーラプテン濃度に依存するが、8.7%であった。また、オーラプテン組成物Cからのオーラプテン回収率は100%であった。
オーラプテン組成物Dの含有成分を液体クロマトグラフ装置(Agilent1100。アジレントテクノロジー社製)により分析した。オーラプテン組成物D中の成分名と含有量は次の通りであった。
「オーラプテン組成物D」
オーラプテン:9.1%
ネオヘスペリジン(フラボノイド類):2.8%
ナリルチン(フラボノイド類):0.6%
ナリンギン(フラボノイド類):6.4%
ヘスペリジン(フラボノイド類):0.3%
食物繊維:0%(分析限界以下)
【0031】
〔実施例5〕(工程(3’)、(4)及び(5))
オーラプテン組成物Bに、濃度40%のエタノール水溶液を体積で20倍添加し、70℃にて溶解した。次いで遠心分離機(条件:25℃、15000rpm)を10分間操作して分離し、下層に分かれた油状成分を分取した。これを「オーラプテン組成物B’」と称する。
オーラプテン組成物B’に対して、上記実施例3及び実施例4と同じ操作を行った。得た成分を「オーラプテン組成物E」と称する。
オーラプテン組成物Eにおけるオーラプテン濃度は17.0%であった。
【要約】
【課題】オーラプテンを高濃度で含有するとともに、ネオヘスペリジンをオーラプテンに対して高濃度で含有するオーラプテン含有組成物及びその製造方法を提供することができる。
【解決手段】オーラプテンを含有する組成物であって、オーラプテンを2質量%以上30質量%以下含有し、ネオヘスペリジンをオーラプテンに対して10質量%以上50質量%以下含有する、オーラプテン含有組成物。
【選択図】なし