(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】注文飲食物搬送装置
(51)【国際特許分類】
A47G 23/08 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
(21)【出願番号】P 2019237933
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】北村 鉄治
(72)【発明者】
【氏名】川口 岳宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 直志
(72)【発明者】
【氏名】松下 哲大
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-185326(JP,A)
【文献】特開平04-265139(JP,A)
【文献】特開2008-017902(JP,A)
【文献】国際公開第2008/28558(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/368047(US,A1)
【文献】米国特許第4003465(US,A)
【文献】国際公開第2016/129147(WO,A1)
【文献】特開2019-042277(JP,A)
【文献】特開2017-148417(JP,A)
【文献】特開2019-51223(JP,A)
【文献】特開2018-150156(JP,A)
【文献】特開2011-289(JP,A)
【文献】特開2008-99885(JP,A)
【文献】特開2002-136414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食店の厨房側から客席へ至る搬送路を形成する主ベルトコンベアと、
前記主ベルトコンベアの前記厨房側に延設されており、前記主ベルトコンベアが形成する搬送路の延長上から外れた位置に搬送路を形成する副ベルトコンベアと、
前記主ベルトコンベアと前記副ベルトコンベアとの間に配置されており、前記主ベルトコンベアが形成する搬送路の延長上と、前記副ベルトコンベアが形成する搬送路の延長上の両方に至る横幅を有する中間ベルトコンベアと、
前記中間ベルトコンベア上に配置されており、前記中間ベルトコンベアに載っている飲食物の皿を前記副ベルトコンベアの終端部から前記主ベルトコンベアの始端部へ案内するガイドと、
前記主ベルトコンベアに載った飲食物の皿の有無を検知する光学式センサであって、前記光学式センサの受光部または発光部が、前記主ベルトコンベアが形成する搬送路のうち前記厨房側の延長上に配置されている主ベルトコンベア用光学式センサと、を備え
、
前記ガイドは、前記副ベルトコンベアの終端部から前記主ベルトコンベアの始端部へ向かう飲食物の皿を進行方向に対し左右両側から挟むように案内経路を形成する、
注文飲食物搬送装置。
【請求項2】
前記ガイドは、前記中間ベルトコンベアに載っている飲食物の皿を、前記中間ベルトコンベアの搬送方向に対して斜めの方向へ案内する、
請求項1に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項3】
前記ガイドは、前記中間ベルトコンベア上に固定されている、
請求項1又は2に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項4】
前記主ベルトコンベアは、飲食店の厨房側から客席へ至る第1搬送路を形成する第1主ベルトコンベアと、飲食店の厨房側から客席へ至る第2搬送路を形成する第2主ベルトコンベアと、を有しており、
前記ガイドは、前記中間ベルトコンベアに載っている飲食物の皿を前記副ベルトコンベアの終端部から前記第1主ベルトコンベアの始端部へ案内する第1状態と、前記中間ベルトコンベアに載っている飲食物の皿を前記副ベルトコンベアの終端部から前記第2主ベルトコンベアの始端部へ案内する第2状態と、に変更可能な可動機構を有する、
請求項1から3の何れか一項に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項5】
搬送開始操作が行われると前記副ベルトコンベアと前記中間ベルトコンベアと前記主ベルトコンベアを作動させ、前記副ベルトコンベアに載った飲食物の皿を前記客席へ搬送する制御手段を更に備え、
前記制御手段は、前記搬送開始操作が行われることにより、飲食物の皿が前記副ベルトコンベアから前記中間ベルトコンベア経由で前記主ベルトコンベアに載ると、前記主ベルトコンベアの停止前に、前記副ベルトコンベアを次に搬送する皿を載せることが可能な停止状態にする、
請求項1から4の何れか一項に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項6】
前記中間ベルトコンベアを撮像する撮像手段を更に備える、
請求項1から5の何れか一項に記載の注文飲食物搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注文飲食物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店においては、搬送装置を使った飲食物の提供が行なわれている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
注文された飲食物を搬送する場合、例えば、厨房から客席へ至るベルトコンベアに飲食物の皿を載せて搬送することが考えられる。しかし、厨房から客席までの搬送路が1つのベルトコンベアで形成されている場合、ベルトコンベアが皿を客席へ運んでいる間は厨房で次の皿をベルトコンベアに載せることができない。よって、注文飲食物を効率よく提供することが難しい。特に、客席へ至るベルトコンベアの経路が長いとベルトコンベアの作動時間が長いため、注文飲食物の提供効率が著しく下がる。
【0005】
そこで、厨房で飲食物をベルトコンベアへ効率良く載せることができるようにするために、厨房側にベルトコンベアを別途延設しておき、厨房側のベルトコンベアに載せた飲食物の皿が客席側のベルトコンベアへ移動すると、次に搬送する飲食物の皿を載せることができるように厨房側のベルトコンベアを停止することが考えられる。このようなシステム構成を採る場合、客席側のベルトコンベアに載っている飲食物の皿が客席で取り上げられたことを検知するために、例えば、ベルトコンベアの長手方向に沿って検出光を放つ光学式のセンサを用いるのが合理的である。ところが、当該センサは、厨房側のベルトコンベアに載っている飲食物の皿を検知しないようにする必要があるため、受光部または発光部が、厨房側のベルトコンベアと客席側のベルトコンベアとの間に配置されることになる。そして、ベルトコンベアで移送される飲食物の皿が当該センサに接触するのを防ぐべく、例えば、センサを可動式にする必要に迫られる。
【0006】
しかし、光学式のセンサは、受光部と発光部が精密に位置決めされている必要があるため、センサの一部または全部が可動式になると、機構の複雑化やセンサの検出不良を招く可能性がある。
【0007】
そこで、本願は、飲食物の皿を光学式のセンサで精度良く検出可能な注文飲食物搬送装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、主ベルトコンベアが形成する厨房側から客席へ至る搬送路の延長上から外れた位置に副ベルトコンベアで搬送路を形成させると共に、両ベルトコンベアの間に、主ベルトコンベアが形成する搬送路の延長上と、副ベルトコンベアが形成する搬送路の延長上の両方に至る横幅を有する中間ベルトコンベアと、中間ベルトコンベアに載っている飲食物の皿を副ベルトコンベアの終端部から主ベルトコンベアの始端部へ案内するガイドとを設け、主ベルトコンベアに載った飲食物の皿の有無を検知する光学式センサの受光部または発光部を、主ベルトコンベアが形成する搬送路のうち厨房
側の延長上に配置することにした。
【0009】
詳細には、本発明は、注文飲食物搬送装置であって、飲食店の厨房側から客席へ至る搬送路を形成する主ベルトコンベアと、主ベルトコンベアの厨房側に延設されており、主ベルトコンベアが形成する搬送路の延長上から外れた位置に搬送路を形成する副ベルトコンベアと、主ベルトコンベアと副ベルトコンベアとの間に配置されており、主ベルトコンベアが形成する搬送路の延長上と、副ベルトコンベアが形成する搬送路の延長上の両方に至る横幅を有する中間ベルトコンベアと、中間ベルトコンベア上に配置されており、中間ベルトコンベアに載っている飲食物の皿を副ベルトコンベアの終端部から主ベルトコンベアの始端部へ案内するガイドと、主ベルトコンベアに載った飲食物の皿の有無を検知する光学式センサであって、光学式センサの受光部または発光部が、主ベルトコンベアが形成する搬送路のうち厨房側の延長上に配置されている主ベルトコンベア用光学式センサと、を備える。
【0010】
上記の注文飲食物搬送装置であれば、中間ベルトコンベアとガイドにより、主ベルトコンベアの搬送路の延長上に副ベルトコンベアを無くすことができるため、主ベルトコンベアに載っている皿の有無を検知する光学式センサの受光部または発光部が皿の進路を妨げない。そして、光学式センサの受光部または発光部は、皿への接触を避けるべく可動式にする必要が無いため、機構の複雑化やセンサの検出不良を招く可能性も低い。
【0011】
なお、ガイドは、中間ベルトコンベアに載っている飲食物の皿を、中間ベルトコンベアの搬送方向に対して斜めの方向へ案内するものであってもよい。また、ガイドは、中間ベルトコンベア上に固定されていてもよい。これによれば、中間ベルトコンベアを、主ベルトコンベアと同じ搬送方向で動く機構にすることができる。
【0012】
また、主ベルトコンベアは、飲食店の厨房側から客席へ至る第1搬送路を形成する第1主ベルトコンベアと、飲食店の厨房側から客席へ至る第2搬送路を形成する第2主ベルトコンベアと、を有しており、ガイドは、中間ベルトコンベアに載っている飲食物の皿を副ベルトコンベアの終端部から第1主ベルトコンベアの始端部へ案内する第1状態と、中間ベルトコンベアに載っている飲食物の皿を副ベルトコンベアの終端部から第2主ベルトコンベアの始端部へ案内する第2状態と、に変更可能な可動機構を有するものであってもよい。これによれば、第1主ベルトコンベアと第2主ベルトコンベアのうち何れか一方に皿が載っている状態であっても、次に搬送する皿が副ベルトコンベアに載っていれば、他方の主ベルトコンベアを使った皿の搬送を直ちに開始することができる。よって、注文された飲食物を効率的に客席へ搬送することができる。
【0013】
また、上記の注文飲食物搬送装置は、搬送開始操作が行われると副ベルトコンベアと中間ベルトコンベアと主ベルトコンベアを作動させ、副ベルトコンベアに載った飲食物の皿を客席へ搬送する制御手段を更に備え、制御手段は、搬送開始操作が行われることにより、飲食物の皿が副ベルトコンベアから中間ベルトコンベア経由で主ベルトコンベアに載ると、主ベルトコンベアの停止前に、副ベルトコンベアを次に搬送する皿を載せることが可能な停止状態にするものであってもよい。これによれば、主ベルトコンベアが飲食物の皿を搬送中に他の飲食物の皿を副ベルトコンベアへ載せることができるため、飲食物を効率的に搬送することが可能である。
【0014】
また、上記の注文飲食物搬送装置は、中間ベルトコンベアを撮像する撮像手段を更に備えるものであってもよい。このような注文飲食物搬送装置であれば、ベルトコンベアで搬送される飲食物の状態を画像で確認可能となる。
【発明の効果】
【0015】
上記注文飲食物搬送装置であれば、飲食物の皿を光学式のセンサで精度良く検出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態に係る注文飲食物搬送装置の全体構成図である。
【
図2】
図2は、副ベルトコンベア付近を拡大した図である。
【
図3】
図3は、搬送開始操作が行われた場合に実行される制御フロー図を示している。
【
図4】
図4は、搬送時の皿の動きを示した図である。
【
図5】
図5は、第1変形例に係る注文飲食物搬送装置の全体構成図である。
【
図6】
図6は、第1変形例において搬送開始操作が行われた場合に実行される制御フロー図を示している。
【
図7】
図7は、第1変形例における搬送時の皿の動きを示した図である。
【
図8】
図8は、第2変形例に係る注文飲食物搬送装置の全体構成図である。
【
図9】
図9は、第3変形例に係る注文飲食物搬送装置の全体構成図である。
【
図10】
図10は、第4変形例に係る注文飲食物搬送装置の副ベルトコンベア付近を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。以下に示す各実施形態や変形例は、例えば、寿司や飲料物、そばやうどんといった丼物、から揚げや天ぷらといった各種の飲食物を、店内で飲食する客へ提供する飲食店に好適である。
【0018】
図1は、実施形態に係る注文飲食物搬送装置10の全体構成図である。注文飲食物搬送装置10は、客の注文を受けて用意された飲食物の皿1を飲食店の厨房2から客席3へ搬送する装置であり、
図1に示すように、客が飲食する各客席3の脇を通る搬送路を形成する。注文飲食物搬送装置10は、飲食店の厨房2側から客席3へ至る搬送路を形成する主ベルトコンベア20と、主ベルトコンベア20の厨房2側に延設され、搬送路を延伸する副ベルトコンベア30とを備えている。なお、本実施形態では、主ベルトコンベア20が直線状に形成されているが、主ベルトコンベア20を複数組み合わせることにより、主ベルトコンベア20がコーナー部分を有する搬送路を形成するようにしてもよい。
【0019】
主ベルトコンベア20の厨房2側に延設される副ベルトコンベア30は、主ベルトコンベア20が形成する搬送路の延長上から外れた位置に搬送路を形成する。そして、主ベルトコンベア20と副ベルトコンベア30との間には、主ベルトコンベア20が形成する搬送路の延長上と、副ベルトコンベア30が形成する搬送路の延長上の両方に至る横幅を有する中間ベルトコンベア30Mが設けられている。また、中間ベルトコンベア30Mの上には、中間ベルトコンベア30Mに載っている皿1を副ベルトコンベア30の終端部から主ベルトコンベア20の始端部へ案内するガイド30G1,G2が固定されている。主ベルトコンベア20の厨房2側に延設される副ベルトコンベア30が、主ベルトコンベア20が形成する搬送路の延長上から外れた位置に搬送路を形成しているため、中間ベルトコンベア30Mの搬送方向(ベルトの送り方向)に向かって見た場合、主ベルトコンベア20の始端部は、副ベルトコンベア30の終端部に対して横方向に位置ずれしている。このため、ガイド30G1,G2は、中間ベルトコンベア30M上において、中間ベルトコンベア30Mの搬送方向に対し斜めのガイドを形成している。
【0020】
また、注文飲食物搬送装置10には、光学式センサ24が備わっている。光学式センサ24は、主ベルトコンベア20に載った飲食物の皿1の有無を検知する光学式センサであり、受光部24Jと発光部24Hとを有する。受光部24Jは、主ベルトコンベア20の
厨房2側に配置されている。また、発光部24Hは、主ベルトコンベア20の客席3側の端部に固定されている。光学式センサ24は、発光部24Hが主ベルトコンベア20の客席3側から厨房2側へ放った光を厨房2側の受光部24Jが受光するか否かに基づき、主ベルトコンベア20に載った飲食物の皿1の有無を検知する。主ベルトコンベア20に飲食物の皿1が載っていれば、発光部24Hから受光部24Jへ向けて放たれた光が受光部24Jへ到達する前に皿1によって遮られる。なお、受光部24Jと発光部24Hの位置関係は逆でもよい。
【0021】
また、注文飲食物搬送装置10には、光学式センサ34が備わっている。光学式センサ34は、副ベルトコンベア30に載った飲食物の皿1の有無を検知する光学式センサであり、受光部34Jと発光部34Hとを有する。受光部34Jは、副ベルトコンベア30の客席3側の端部付近に配置されている。また、発光部34Hは、副ベルトコンベア30の反対側の端部付近に配置されている。光学式センサ34は、発光部34Hが放った光を受光部34Jが受光するか否かに基づき、副ベルトコンベア30に載った飲食物の皿1の有無を検知する。副ベルトコンベア30に飲食物の皿1が載っていれば、発光部34Hから受光部34Jへ向けて放たれた光が受光部34Jへ到達する前に皿1によって遮られる。なお、受光部34Jと発光部34Hの位置関係は逆でもよい。
【0022】
図2は、副ベルトコンベア30付近を拡大した図である。主ベルトコンベア20の厨房2側に延設され、主ベルトコンベア20の搬送路を延伸するように配置される副ベルトコンベア30は、皿1を副ベルトコンベア30の搬送路の長手方向沿いに複数枚(例えば、4枚)並べて置くことが可能な長さを有している。また、副ベルトコンベア30の付近には、各種の操作を受け付けるための図示しない操作パネルが設けられている。そして、
図2を見ると判るように、中間ベルトコンベア30Mは、副ベルトコンベア30の終端部付近に配置される第1のローラと、主ベルトコンベア20の始端部付近に配置される第2のローラとの間に引き回されるベルトで皿1を搬送するベルトコンベアである。そして、中間ベルトコンベア30Mの搬送面上に、ガイド30G1,G2が設けられているため、中間ベルトコンベア30Mに載っている皿1は、中間ベルトコンベア30Mが作動するとガイド30G1,G2に接触し、副ベルトコンベア30の終端部から主ベルトコンベア20の始端部へ向かって斜めに移動することになる。
【0023】
主ベルトコンベア20および副ベルトコンベア30を駆動する駆動モータは、図示しない制御装置によって制御され、操作パネルに入力された操作内容や各センサからの信号に基づいて制御される。以下、制御装置によって実現される注文飲食物搬送装置10の動作を説明する。
【0024】
注文飲食物搬送装置10の制御装置は、操作パネルにおいて搬送開始操作が行われると、副ベルトコンベア30と中間ベルトコンベア30Mと主ベルトコンベア20を作動させ、副ベルトコンベア30に載った飲食物の皿1を客席3へ搬送する。
【0025】
図3は、搬送開始操作が行われた場合に実行される制御フロー図を示している。注文飲食物搬送装置10の制御装置は、操作パネルにおいてテーブルの選択操作が行われたか否かを判定する(S101)。テーブルの選択は、客席3の端末で注文を受け付けるシステムから提供される情報により、自動的に行われてもよい。制御装置は、ステップS101の処理においてテーブルの選択操作が行われたことを検知すると、次に搬送開始の操作が行われたか否かを判定する(S102)。そして、制御装置は、ステップS102の処理において搬送開始の操作が行われたことを検知すると、主ベルトコンベア20と中間ベルトコンベア30Mと副ベルトコンベア30を作動させる(S103)。
【0026】
制御装置は、ステップS103の処理を実行した後、副ベルトコンベア30に載ってい
た全ての皿1が主ベルトコンベア20に載ったか否かを判定する(S104)。制御装置は、副ベルトコンベア30に載っていた全ての皿1が主ベルトコンベア20に載ったか否かの判定を、例えば、光学式センサ34に基づいて判定してもよいし、副ベルトコンベア30と主ベルトコンベア20との境界付近に設置したセンサの検知結果に基づいて判定してもよいし、或いは、副ベルトコンベア30を起動してからの経過時間に基づいて判定してもよい。制御装置は、ステップS104の処理において肯定判定を下した場合、中間ベルトコンベア30Mと副ベルトコンベア30を停止する(S105)。
【0027】
制御装置は、ステップS105の処理を実行した後、選択されたテーブルに皿1が到着したか否かを判定する(S106)。制御装置は、テーブルに皿1が到着しているか否かの判定を、例えば、テーブルの付近に設置したセンサの検知結果に基づいて判定してもよいし、テーブルの位置毎に予め設定された搬送開始からの経過時間に基づいて判定してもよい。制御装置は、ステップS106の処理において肯定判定を下した場合、主ベルトコンベア20を停止させる(S107)。
【0028】
制御装置は、ステップS107の処理を実行した後、主ベルトコンベア20に載っている全ての皿1が下げられたか否かを、光学式センサ24の情報を基に判定する(S108)。制御装置は、ステップS108の処理において肯定判定を下した場合、再びステップS101以降の処理を実行する。
【0029】
なお、制御装置は、ステップS101とステップS102の何れかにおいて否定判定を行った場合、ステップS103以降の処理を省略し、ステップS101以降の処理を再び実行する。
【0030】
図4は、搬送時の皿1の動きを示した図である。搬送開始要求がなされると、
図4(A)に示されるように、主ベルトコンベア20と中間ベルトコンベア30Mと副ベルトコンベア30が作動し、副ベルトコンベア30に載っていた皿1が順次中間ベルトコンベア30M上へ送り出される。副ベルトコンベア30の終端部から中間ベルトコンベア30Mへ送り出された皿1は、
図4(B)に示されるように、ガイド30G1,G2によって主ベルトコンベア20の始端部へ案内される。そして、中間ベルトコンベア30Mから主ベルトコンベア20上へ送り出された皿1は、
図4(C)に示されるように、主ベルトコンベア20上によって搬送先の客席3へ向かって移動する。そして、主ベルトコンベア20によって搬送される皿1は、
図4(D)に示されるように、やがて搬送先の客席3に到着して停止する。そして、客席3の客が皿1を取り、主ベルトコンベア20から全ての皿1が無くなると、ステップS108で肯定判定が行われる。
【0031】
注文飲食物搬送装置10の制御装置によって実現される主要な動作内容は、以上に説明した通りである。上記注文飲食物搬送装置10では、副ベルトコンベア30に載っていた全ての皿1が主ベルトコンベア20に載ると、主ベルトコンベア20が作動中でも副ベルトコンベア30が停止するため、厨房2のスタッフは、副ベルトコンベア30に次の皿1を直ちに載せることができる。従って、飲食物の注文が多い場合であっても、注文された飲食物を効率的に客席へ搬送することができる。上記注文飲食物搬送装置10によるこのような効果は、主ベルトコンベア20によって形成される搬送路の長い飲食店で特に著しい。
【0032】
そして、上記実施形態の注文飲食物搬送装置10であれば、中間ベルトコンベア30Mとガイド30G1,G2により、主ベルトコンベア20の搬送路の延長上に副ベルトコンベア30が無いため、主ベルトコンベア20に載っている皿1の有無を検知する光学式センサ24の受光部24Jや、副ベルトコンベア30に載っている皿1の有無を検知する光学式センサ34の受光部34Jが皿1の進路を妨げない。そして、光学式センサ24の受
光部24Jや光学式センサ34の受光部34Jは、皿1への接触を避けるべく可動式にする必要も無いため、機構の複雑化やセンサの検出不良を招く可能性も低い。
【0033】
<第1変形例>
ところで、上記実施形態の注文飲食物搬送装置10は、例えば、以下のように変形してもよい。
【0034】
図5は、第1変形例に係る注文飲食物搬送装置10の全体構成図である。本変形例に係る注文飲食物搬送装置10には、各客席3に分岐レーン40が設けられている。分岐レーン40は、主ベルトコンベア20が形成する搬送路の脇に設けられており、搬送路から分岐して下り勾配の経路を形成する。分岐レーン40は、主ベルトコンベア20が形成する搬送路から分岐レーン40へ別れる分岐部分に設置された進路変更装置50によって主ベルトコンベア20の搬送路から分岐された飲食物の皿1が載り移るレーンであり、主ベルトコンベア20によって形成される搬送路沿いに配置されている。分岐レーン40は、回転自在な搬送用のローラ群によって形成されている。分岐レーン40は、主ベルトコンベア20の搬送路から側方へ分岐し、更に主ベルトコンベア20の搬送路に沿った下り勾配の経路を形成しているため、皿1が載るとローラが転がり、皿1が分岐レーン40の終端側に寄る。分岐レーン40は、例えば、カウンター席用のテーブルに設けられていてもよい。
【0035】
進路変更装置50は、主ベルトコンベア20が形成する搬送路上に側方から進路変更部材を出し入れすることにより、主ベルトコンベア20によって搬送される飲食物の皿1を分岐レーン40側へ案内可能である。進路変更装置50は、内蔵される図示しないロータリーソレノイドで進路変更部材を動かす。なお、進路変更装置50は、ロータリーソレノイドを駆動源とするものに限定されるものでなく、例えば、電動のモータやその他各種の駆動源を適用可能である。
【0036】
図6は、第1変形例において搬送開始操作が行われた場合に実行される制御フロー図を示している。本変形例に係る注文飲食物搬送装置10の制御装置は、操作パネルにおいてテーブルの選択操作が行われたか否かを判定する(S201)。そして、制御装置は、ステップS201の処理においてテーブルの選択操作が行われたことを検知すると、次に搬送開始の操作が行われたか否かを判定する(S202)。そして、制御装置は、ステップS202の処理において搬送開始の操作が行われたことを検知すると、選択されたテーブルに設置された分岐レーン40への分岐点に設けられている進路変更装置50を作動させ、進路変更部材を主ベルトコンベア20上に出す(S203)。そして、制御装置は、主ベルトコンベア20と中間ベルトコンベア30Mと副ベルトコンベア30を作動させる(S204)。
【0037】
制御装置は、ステップS204の処理を実行した後、副ベルトコンベア30に載っていた全ての皿1が中間ベルトコンベア30M経由で主ベルトコンベア20に載ったか否かを判定する(S205)。制御装置は、ステップS205の処理において肯定判定を下した場合、中間ベルトコンベア30Mと副ベルトコンベア30を停止する(S206)。
【0038】
制御装置は、ステップS206の処理を実行した後、選択されたテーブルにある分岐レーン40への分岐点に皿1が接近しているか否かを判定する(S207)。制御装置は、分岐点に皿1が接近しているか否かの判定を、例えば、分岐点の付近に設置したセンサの検知結果に基づいて判定してもよいし、分岐点の位置毎に予め設定された搬送開始からの経過時間に基づいて判定してもよい。制御装置は、ステップS207の処理において肯定判定を下した場合、主ベルトコンベア20を減速させる(S208)。
【0039】
制御装置は、ステップS208の処理を実行した後、主ベルトコンベア20に載っている全ての皿1が分岐レーン40に移動したか否かを、光学式センサ24の情報を基に判定する(S209)。そして、制御装置は、ステップS207の処理において肯定判定を下した場合、主ベルトコンベア20を停止し、進路変更装置50の進路変更部材を主ベルトコンベア20の上から退避させ、再びステップS201以降の処理を実行する。(S210)。
【0040】
なお、制御装置は、ステップS201とステップS202の何れかにおいて否定判定を行った場合、ステップS203以降の処理を省略し、ステップS201以降の処理を再び実行する。
【0041】
図7は、第1変形例における搬送時の皿1の動きを示した図である。搬送開始要求がなされると、
図7(A)に示されるように、主ベルトコンベア20と中間ベルトコンベア30Mと副ベルトコンベア30が作動し、副ベルトコンベア30に載っていた皿1が順次中間ベルトコンベア30M上へ送り出される。副ベルトコンベア30の終端部から中間ベルトコンベア30Mへ送り出された皿1は、
図7(B)に示されるように、ガイド30G1,G2によって主ベルトコンベア20の始端部へ案内される。そして、中間ベルトコンベア30Mから主ベルトコンベア20上へ送り出された皿1は、
図7(C)に示されるように、主ベルトコンベア20によって搬送先の客席3へ向かって移動し、進路変更装置50の進路変更部材に接触して分岐レーン40へ案内される。そして、分岐レーン40へ案内された皿1は、
図7(D)に示されるように、搬送先の客席3にある分岐レーン40上で停止する。本変形例では、副ベルトコンベア30から中間ベルトコンベア30M経由で主ベルトコンベア20へ送り出された全ての皿1が主ベルトコンベア20から分岐レーン40へ移動すると、ステップS209で肯定判定が行われる。
【0042】
変形例に係る注文飲食物搬送装置10の制御装置によって実現される主要な動作内容は、以上に説明した通りである。本変形例も上記実施形態と同様、主ベルトコンベア20が作動中でも副ベルトコンベア30が停止するため、厨房2のスタッフは、副ベルトコンベア30に次の皿1を直ちに載せることができる。また、中間ベルトコンベア30Mとガイド30G1,G2により、主ベルトコンベア20の搬送路の延長上に副ベルトコンベア30が無いため、主ベルトコンベア20に載っている皿1の有無を検知する光学式センサ24の受光部24Jや、副ベルトコンベア30に載っている皿1の有無を検知する光学式センサ34の受光部34Jが皿1の進路を妨げない。そして、光学式センサ24の受光部24Jや光学式センサ34の受光部34Jは、皿1への接触を避けるべく可動式にする必要も無いため、機構の複雑化やセンサの検出不良を招く可能性も低い。
【0043】
<第2変形例>
また、上記実施形態の注文飲食物搬送装置10は、例えば、以下のように変形してもよい。
【0044】
図8は、第2変形例に係る注文飲食物搬送装置10の全体構成図である。本変形例に係る注文飲食物搬送装置10には、主ベルトコンベア20が平行に2つ設けられている。そして、ガイド30G1,G2は、棒状であり、互いに平行を維持した状態で案内方向を変更可能な可動機構となっている。すなわち、ガイド30G1,G2は、制御装置によって制御されるモータ等により、副ベルトコンベア30の終端部から主ベルトコンベア20の始端部へ皿1を案内する経路を、2つある主ベルトコンベア20の何れかへ切り替え可能となっている(本願でいう「第1状態」と「第2状態」の一例である)。
【0045】
本変形例に係る注文飲食物搬送装置10であれば、2つある主ベルトコンベア20のうち何れか一方の主ベルトコンベア20に皿1が載っている状態であっても、次に搬送する
皿1が副ベルトコンベア30に載っていれば、他方の主ベルトコンベア20を使った皿1の搬送を直ちに開始することができる。よって、本変形例であれば、注文された飲食物を効率的に客席へ搬送することができる。
【0046】
<第3変形例>
また、上記実施形態の注文飲食物搬送装置10は、例えば、以下のように変形してもよい。
【0047】
図9は、第3変形例に係る注文飲食物搬送装置10の全体構成図である。本変形例に係る注文飲食物搬送装置10は、第2変形例と同様、主ベルトコンベア20が平行に2つ設けられている。しかし、ガイド30G1,G2は、実施形態と同様に固定されており、第2変形例のように可動機構とはなっていない。そして、ガイド30G1は、搬送方向に向かって左側の主ベルトコンベア20の始端部の方へ斜めのガイドを形成する。また、ガイド30G2は、搬送方向に向かって右側の主ベルトコンベア20の始端部の方へ斜めのガイドを形成する。本変形例において、中間ベルトコンベア30Mに載っている皿1は、中間ベルトコンベア30M上でスイングする可動式のガイド30GCによって進路変更される。すなわち、ガイド30GCは、2つ主ベルトコンベア20の始端部同士の間に設けられた可動機構を中心にしてスイング動作可能な棒状のガイドとなっており、制御装置によって制御されるモータ等により、副ベルトコンベア30の終端部から主ベルトコンベア20の始端部へ皿1を案内する経路を、2つある主ベルトコンベア20の何れかへ切り替え可能となっている(本願でいう「第1状態」と「第2状態」の一例である)。
【0048】
本変形例に係る注文飲食物搬送装置10であれば、第2変形例と同様、2つある主ベルトコンベア20のうち何れか一方の主ベルトコンベア20に皿1が載っている状態であっても、次に搬送する皿1が副ベルトコンベア30に載っていれば、他方の主ベルトコンベア20を使った皿1の搬送を直ちに開始することができる。よって、本変形例であれば、注文された飲食物を効率的に客席へ搬送することができる。
【0049】
<第4変形例>
図10は、第4変形例に係る注文飲食物搬送装置の副ベルトコンベア付近を拡大した図である。注文飲食物搬送装置10は、コンベアを制御するためのセンサの他に、例えば、飲食物の状態を監視するためのセンサを備えていてもよい。注文飲食物搬送装置10には、例えば、
図10に示されるように、中間ベルトコンベア30Mに載っている皿1の撮像を行うカメラS9が更に備わっていてもよい。このようなカメラS9が注文飲食物搬送装置10に備わっていれば、中間ベルトコンベア30Mを通過する皿1の画像を取得できるため、例えば、主ベルトコンベア20へ送る飲食物の外観の異常の有無を、カメラS9で取得した画像の自動解析等により検知することが可能となる。
【0050】
カメラS9は、中間ベルトコンベア30Mに載っている飲食物を常時撮像するものであってもよいし、中間ベルトコンベア30Mが作動すると同時に撮像するものであってもよい。カメラS9で取得した画像は、皿4に載っている寿司の転倒や、シャリに載っているネタの位置ずれ、その他各種の異常の有無の確認に用いることが可能である。画像は、厨房のスタッフが目視の監視で参照されるものであってもよいし、或いは、画像を分析して異常の有無を判定する画像解析装置に参照されるものであってもよい。
【0051】
また、カメラS9で取得した画像は、例えば、ベルトコンベアの状態監視に利用することも可能である。カメラS9で取得した画像は、例えば、ベルトコンベアのベルト表面の汚れ、ベルトのほつれといったベルト自体の損傷、ベルトコンベアの隙間部分への異物混入等の各種異常感知に利用可能である。
【0052】
<その他の変形例>
また、上記実施形態や変形例の注文飲食物搬送装置10は、適宜組み合わせることが可能である。注文飲食物搬送装置10は、例えば、主ベルトコンベア20や中間ベルトコンベア30Mや副ベルトコンベア30がそれぞれ2以上設けられていてもよい。また、中間ベルトコンベア30Mは、主ベルトコンベア20へ送る前の皿1の待機場所としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1・・皿
2・・厨房
3・・客席
10・・注文飲食物搬送装置
20・・主ベルトコンベア
24・・光学式センサ
24H・・発光部
24J・・受光部
30・・副ベルトコンベア
30G1,30G2,30GC・・ガイド
30M・・中間ベルトコンベア
34・・光学式センサ
34H・・発光部
34J・・受光部
40・・分岐レーン
50・・進路変更装置
S9・・カメラ