(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】物品排出システム
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
G01G19/387 B
(21)【出願番号】P 2020043977
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】北條 正晃
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-003182(JP,A)
【文献】特開2016-156707(JP,A)
【文献】特開2013-195199(JP,A)
【文献】特開昭57-053627(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0166696(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/387-19/393
G01G 21/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に配置される物品群から一部の物品を取り出して排出する物品排出システムであって、
前記物品を把持する複数の把持器と、
前記複数の把持器のそれぞれが把持する前記物品の重量値を取得する重量取得部と、
前記複数の把持器に、前記容器に配置される前記物品群から前記一部の物品を把持させ、前記複数の把持器のそれぞれが把持する前記物品の前記重量値を用いる組合せ計算の結果に基づいて、所定の組合せの前記把持器に前記物品の把持を解除させて前記物品を排出させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記把持器に前記物品の把持を解除させた後、次に前記物品を把持させるまでの間に、前記物品の把持を解除させた前記把持器に対応する前記重量取得部に対してゼロ点補正処理を実施する、
物品排出システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記組合せ計算の結果に基づいて、所定の複数の組合せの前記把持器に所定の優先順位で前記物品の把持を解除させる場合に、前記把持器に対応する前記重量取得部に対して実施された最後の前記ゼロ点補正処理以降に前記把持器が前記物品を把持した回数に基づいて、前記優先順位を決定する、
請求項1に記載の物品排出システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記組合せ計算の結果に基づいて、所定の複数の組合せの前記把持器に所定の優先順位で前記物品の把持を解除させる場合に、前記把持器に対応する前記重量取得部に対して実施された最後の前記ゼロ点補正処理以降の経過時間に基づいて、前記優先順位を決定する、
請求項1又は2に記載の物品排出システム。
【請求項4】
前記複数の把持器を有する第1排出部と、
前記複数の把持器を有する第2排出部と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1排出部の前記複数の把持器に、前記容器に配置される前記物品群から前記一部の物品を把持させ、前記組合せ計算の結果に基づいて、所定の組合せの前記把持器に前記物品の把持を解除させて前記物品を排出させる第1動作と、
前記第2排出部の前記複数の把持器に、前記容器に配置される前記物品群から前記一部の物品を把持させ、前記組合せ計算の結果に基づいて、所定の組合せの前記把持器に前記物品の把持を解除させて前記物品を排出させる第2動作と、
を交互に実施する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の物品排出システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1動作において、前記第1排出部の前記複数の把持器に前記物品を把持させた後、前記第2排出部の前記複数の把持器に前記物品を把持させることができる位置に前記容器を移動させ、
前記第1動作の完了後、前記第1排出部の前記複数の把持器であって、前記物品の把持を解除させた前記把持器に対応する前記重量取得部に対してゼロ点補正処理を実施し、
前記第2動作において、前記第2排出部の前記複数の把持器に前記物品を把持させた後、前記第1排出部の前記複数の把持器に前記物品を把持させることができる位置に前記容器を移動させ、
前記第2動作の完了後、前記第2排出部の前記複数の把持器であって、前記物品の把持を解除させた前記把持器に対応する前記重量取得部に対してゼロ点補正処理を実施する、
請求項4に記載の物品排出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品群から一部の物品を取り出して排出する物品排出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開平6-3182号公報)に記載されているように、複数の把持器を用いて物品群から物品を取り出して排出する物品排出システムが知られている。この物品排出システムは、各把持器が把持している物品の重量値を用いる組合せ計算の結果に基づいて、所定の組合せの把持器による物品の把持を解除して、所定の目標重量の物品を排出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1(特開平6-3182号公報)に記載の物品排出システムでは、全ての把持器が一斉に物品の把持を行うため、各把持器に対応する計量器のゼロ点補正処理も一斉に行う必要がある。そのため、物品の排出動作の効率が低下するおそれがある。
【0004】
本発明の目的は、物品の排出動作を効率的に行うことができる物品排出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る物品排出システムは、容器に配置される物品群から一部の物品を取り出して排出する。物品排出システムは、複数の把持器と、重量取得部と、制御部とを備える。把持器は、物品を把持する。重量取得部は、複数の把持器のそれぞれが把持する物品の重量値を取得する。制御部は、複数の把持器に、容器に配置される物品群から一部の物品を把持させ、複数の把持器のそれぞれが把持する物品の重量値を用いる組合せ計算の結果に基づいて、所定の組合せの把持器に物品の把持を解除させて物品を排出させる。制御部は、把持器に物品の把持を解除させた後、次に物品を把持させるまでの間に、物品の把持を解除させた把持器に対応する重量取得部に対してゼロ点補正処理を実施する。
【0006】
第1観点に係る物品排出システムは、排出する物品の重量を計量する複数の計量器(重量取得部)のゼロ点補正処理を一斉に行う必要がないので、物品の排出動作を効率的に行うことができる。
【0007】
本発明の第2観点に係る物品排出システムは、第1観点に係る物品排出システムであって、制御部は、組合せ計算の結果に基づいて、所定の複数の組合せの把持器に所定の優先順位で物品の把持を解除させる場合に、把持器に対応する重量取得部に対して実施された最後のゼロ点補正処理以降に把持器が物品を把持した回数に基づいて、優先順位を決定する。
【0008】
第2観点に係る物品排出システムは、優先的にゼロ点補正処理を行うべき計量器に対して優先的にゼロ点補正処理を行うことができるので、排出する物品の重量の計量精度を維持することができる。
【0009】
本発明の第3観点に係る物品排出システムは、第1観点又は第2観点に係る物品排出システムであって、制御部は、組合せ計算の結果に基づいて、所定の複数の組合せの把持器に所定の優先順位で物品の把持を解除させる場合に、把持器に対応する重量取得部に対して実施された最後のゼロ点補正処理以降の経過時間に基づいて、優先順位を決定する。
【0010】
第3観点に係る物品排出システムは、優先的にゼロ点補正処理を行うべき計量器に対して優先的にゼロ点補正処理を行うことができるので、排出する物品の重量の計量精度を維持することができる。
【0011】
本発明の第4観点に係る物品排出システムは、第1乃至第3観点のいずれか1つに係る物品排出システムであって、複数の把持器を有する第1排出部と、複数の把持器を有する第2排出部とをさらに備える。制御部は、第1動作と第2動作とを交互に実施する。第1動作では、制御部は、第1排出部の複数の把持器に、容器に配置される物品群から一部の物品を把持させ、組合せ計算の結果に基づいて、所定の組合せの把持器に物品の把持を解除させて物品を排出させる。第2動作では、制御部は、第2排出部の複数の把持器に、容器に配置される物品群から一部の物品を把持させ、組合せ計算の結果に基づいて、所定の組合せの把持器に物品の把持を解除させて物品を排出させる。
【0012】
第4観点に係る物品排出システムは、物品を計量して排出するための機構を複数備えるので、物品の排出動作を効率的に行うことができる。
【0013】
本発明の第5観点に係る物品排出システムは、第4観点に係る物品排出システムであって、制御部は、次の工程P1~工程P4を実施する。
・工程P1:第1動作において、第1排出部の複数の把持器に物品を把持させた後、第2排出部の複数の把持器に物品を把持させることができる位置に容器を移動させる。
・工程P2:第1動作の完了後、第1排出部の複数の把持器であって、物品の把持を解除させた把持器に対応する重量取得部に対してゼロ点補正処理を実施する。
・工程P3:第2動作において、第2排出部の複数の把持器に物品を把持させた後、第1排出部の複数の把持器に物品を把持させることができる位置に容器を移動させる。
・工程P4:第2動作の完了後、第2排出部の複数の把持器であって、物品の把持を解除させた把持器に対応する重量取得部に対してゼロ点補正処理を実施する。
【0014】
第5観点に係る物品排出システムは、物品を計量して排出する機構を複数備える場合に、各機構における計量器のゼロ点補正処理を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る物品排出システムは、物品の排出動作を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る物品排出システムの模式図である。
【
図2】
図1の物品排出システムのブロック図である。
【
図3】
図1の物品排出システムのロボット、可動部材、重量取得部及び把持器の概略斜視図である。
【
図4】
図1の物品排出システムの可動部材、重量取得部及び把持器の概略斜視図である。
【
図5】
図1の物品排出システムの把持器が取り付けられた可動部材を、把持器の把持部材側から見た底面図である。
【
図6】可動部材に把持器が格子状に配置される場合と、可動部材に把持器が千鳥状に配置される場合とを比較して示した図である。
【
図7A】複数の把持器の把持領域の配置パターンの一例を模式的に示した平面図である。
【
図7B】複数の把持器の把持領域の配置パターンの他の例を模式的に示した平面図である。
【
図7C】複数の把持器の把持領域の配置パターンの他の例を模式的に示した平面図である。
【
図8A】
図1の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、把持器が物品を把持する前の状態(初期状態)を描画している。
【
図8B】
図1の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、物品の把持のため、把持器の把持部材が物品群に差し込まれた状態を描画している。
【
図8C】
図1の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、物品を把持した把持器の把持部材が、物品群収容容器外に移動した状態を描画している。
【
図8D】
図1の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、載置部が第2位置に移動した状態を描画している。
【
図8E】
図1の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、把持器が物品の排出のためシュートの近傍まで移動した状態を描画している。
【
図8F】
図1の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、把持器の一部が物品をシュートに投下した状態を描画している。
【
図8G】
図1の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、組合せに選択されなかった重量値に対応する把持器が物品を物品群収容容器に投下した状態を描画している。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る物品排出システムの模式図である。載置部が第1位置にある状態を描画している。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る物品排出システムの模式図である。載置部が第2位置にある状態を描画している。
【
図11A】
図9,10の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、第1把持器が物品を把持する前の状態を描画している。
【
図11B】
図9,10の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、物品の把持のため、第1把持器の把持部材が物品群に差し込まれた状態を描画している。
【
図11C】
図9,10の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、物品を把持した第1把持器の把持部材が、物品群収容容器外に移動した状態を描画している。
【
図11D】
図9,10の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、載置部が第2位置に移動した状態を描画している。
【
図11E】
図9,10の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、第1把持器が物品の排出のため第1排出シュートの近傍まで移動した状態を描画している。
【
図11F】
図9,10の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、第1把持器の一部が物品を第1排出シュートに投下した状態を描画している。
【
図11G】
図9,10の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、第2把持器が物品を把持する前の状態を描画している。
【
図11H】
図9,10の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、物品の把持のため、第2把持器の把持部材が物品群に差し込まれた状態を描画している。
【
図11I】
図9,10の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、物品を把持した第2把持器の把持部材が、物品群収容容器外に移動した状態を描画している。
【
図11J】
図9,10の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、載置部が第1位置に移動した状態を描画している。
【
図11K】
図9,10の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、第2把持器が物品の排出のため第2排出シュートの近傍まで移動した状態を描画している。
【
図11L】
図9,10の物品排出システムの動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図であり、第2把持器の一部が物品を第2排出シュートに投下した状態を描画している。
【
図12】変形例Dに係る物品排出システムの主要部分の概略側面図である。
【
図13A】変形例Gに係る物品排出システムにおいて、1つの物品が2つの把持器で把持されている状態を模式的に描画している。
【
図13B】変形例Gに係る物品排出システムにおいて、分離部材により2つの把持器の把持領域が仕切られた状態を模式的に描画している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の物品排出システムの実施形態について以下に説明する。
【0018】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る物品排出システム100について説明する。
【0019】
(1)全体概要
物品排出システム100の概要を、主に
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1は、物品排出システム100の模式図である。
図2は、物品排出システム100のブロック図である。
【0020】
物品排出システム100は、物品Aの集まりである物品群A1から一部の物品Aを取り出して排出するシステムである。具体的には、物品排出システム100は、物品群A1から、重量が目標重量範囲となるように一部の物品Aを取り出し、物品排出システム100から排出する。限定するものではないが、物品排出システム100から排出される物品Aは、図示しない物品排出システム100の後工程で袋に包装されたり、容器に収容されたりして、商品として出荷される。
【0021】
物品排出システム100は、主に、載置部50と、載置部駆動部54と、複数の把持器30と、可動部材20と、ロボット10と、重量取得部40と、排出シュート60と、制御部70と、を備える(
図1及び
図2参照)。これらの構成について概説する。
【0022】
載置部50には、物品群A1が載置される。物品Aは、限定するものではないが、例えば食品である。また、限定するものではないが、物品Aは、例えば、スパゲティの麺類や、糖類を多く含む食品等の、粘着性の高い食品である。載置部50は、載置部駆動部54により、把持器30が載置部50に載置される物品群A1の物品Aを把持可能な第1位置と、把持器30が載置部50に載置される物品群A1から物品Aを把持できない第2位置との間を移動させられる。各把持器30は、把持部材32を有する。把持器30は、把持部材32で物品Aを把持する。可動部材20には、複数の把持器30が取り付けられている。ロボット10は、複数の把持器30が取り付けられている可動部材20を移動させる。重量取得部40は、把持器30のそれぞれが把持する物品Aの重量値を取得する。排出シュート60は、把持器30が把持を解除した物品Aを受けて排出する。制御部70は、載置部駆動部54、把持器駆動部34、ロボット10等の物品排出システム100の各種構成の動作の制御や、重量取得部40の取得した物品Aの重量値を利用した組合せ計算等を行う。
【0023】
物品排出システム100の動作を概説する。制御部70は、ロボット10の動作を制御して可動部材20を移動させ、複数の把持器30を、物品群A1の載置されている第1位置に置かれた載置部50へと近づける。制御部70は、複数の把持器30の動作を制御して、載置部50に載置された物品群A1の物品Aの一部を、複数の把持器30のそれぞれに把持させる。重量取得部40は、把持器30のそれぞれが把持する物品Aの重量値を取得する。制御部70は、重量取得部40の取得した把持器30のそれぞれが把持する物品Aの重量値に基づいて組合せ計算を行う。組合せ計算は、把持器30のそれぞれが把持する物品Aの重量値を足し合わせた結果、その合計値が目標重量範囲となる重量値の組合せを見つける処理である。制御部70は、組合せ計算の結果に基づいて、目標重量範囲となる重量値の組合せに対応する把持器30に、排出シュート60の上方で物品Aの把持を解除させ、排出シュート60から目標重量範囲の物品Aを排出する。詳細については後述する。
【0024】
(2)詳細構成
主に
図1~
図5を参照して物品排出システム100の詳細構成について説明する。
図3は、ロボット10、可動部材20、重量取得部40及び把持器30の概略斜視図である。
図4は、可動部材20、重量取得部40及び把持器30の概略斜視図である。
図5は、把持器30が取り付けられた可動部材20を、把持器30の把持部材32側(下方)から見た底面図である。
【0025】
(2-1)可動部材
可動部材20は、複数の把持器30が取り付けられている部材である。可動部材20は、複数の把持器30を支持するフレームである。可動部材20は、ロボット10により移動させられる、可動の(移動可能な)部材である。
【0026】
なお、ここで、複数の把持器30が可動部材20に取り付けられているという記載は、複数の把持器30が可動部材20に直接取り付けられる態様だけを表すものではない。複数の把持器30が可動部材20に取り付けられているという記載は、複数の把持器30が、他の部材を介して可動部材20に取り付けられている態様を含む。本実施形態では、複数の把持器30は、重量取得部40のセンサ部42を介して可動部材20に取り付けられている(
図4参照)。
【0027】
(2-2)ロボット
ロボット10は、可動部材20を支持し、可動部材20を移動させる装置である。本実施形態では、ロボット10は、可動部材20を単一軸に沿って移動させる。具体的には、ロボット10は、可動部材20を、鉛直方向に延びる単一軸に沿って上下に移動させる。
【0028】
本実施形態では、ロボット10は、
図1に示すような多関節ロボットである。ただし、ロボット10の種類は、多関節ロボットに限定されない。ロボット10は、所定の方向に可動部材20を移動させることが可能な装置であればよい。
【0029】
また、物品排出システム100では、ロボット10の代わりに、可動部材20を所定の方向に移動させることが可能なシリンダが用いられてもよい。例えば、ロボット10の代わりに、可動部材20を単一軸に沿って移動させることが可能なシリンダが用いられてもよい。
【0030】
(2-3)把持器
把持器30は、物品Aを把持する装置である。
【0031】
把持器30は、把持部材32と、把持器駆動部34と、を有する。把持器駆動部34は、例えば、モータや流体圧を駆動源として、把持部材32を駆動する。
【0032】
本実施形態では、把持部材32は、棒状又はフィンガ状の部材である(
図4参照)。各把持器30は、複数の(
図4では3本の)把持部材32を有する。なお、
図4等に描画されている把持部材32の数や形状は例示に過ぎず、適宜変更可能である。各把持器30を把持部材32側から見た時に、本実施形態では、複数の把持部材32は周方向に並べて配置されている(
図5参照)。特にここでは、各把持器30の把持部材32側から見た時に、複数の把持部材32は周方向に概ね等間隔に並べて配置されている。各把持器30を把持部材32側から見た時に、把持部材32の端部は径方向に移動可能である(
図5参照)。把持器30は、互いに離れた状態にある把持部材32を、把持器駆動部34で径方向内向きに動かして互いに近づいた状態にすることで、複数の把持部材32の間に物品Aを挟み込んで物品Aを把持する。また、把持器30は、互いに近づいた状態にある把持部材32を、把持器駆動部34で径方向外向きに動かして互いに離れた状態にすることで、物品Aの把持を解除する。
【0033】
可動部材20には、
図3~
図5のように、複数の把持器30が取り付けられている。把持器30のそれぞれは、重量取得部40のセンサ部42を介して、可動部材20に取り付けられている。言い換えれば、重量取得部40のセンサ部42は、把持器30と、これを支持する可動部材20との間に配置されている。把持器30の数を限定するものではないが、
図3~
図5に示す例では、11個の把持器30が可動部材20に取り付けられている。可動部材20に取り付けられた複数の把持器30は、ロボット10が可動部材20を上下に移動させることで、一体的に上下に移動する。
【0034】
各把持器30は、可動部材20に取り付けられた把持器30を把持部材32側から見ると略円形状を有する(
図5参照)。また、本実施形態では、各把持器30は、可動部材20に取り付けられた把持器30を把持部材32側から見た時に、略円形状の把持領域GAを有する(
図7参照)。把持領域GAは、把持器30の把持部材32が物品Aを把持可能な領域である。
【0035】
配置を限定するものではないが、可動部材20に取り付けられた複数の把持器30を把持部材32側から(本実施形態では下方から)見た時、複数の把持器30は、
図5のように千鳥状に配置されている。このように把持器30を配置することで、可動部材20に取り付けられた複数の把持器30を把持部材32側から見た時に、比較的小さな面積に多数の把持器30を配置することが容易である。
図6を参照して具体的に説明する。
【0036】
図6は、11個の把持器30を3列に格子状に配置する場合と、11個の把持器30を3列に千鳥状に配置する場合とを描画している。
図6では、把持器30同士をできるだけ近づけた時の(把持器30同士を互いに隣接された時の)把持器30の配置を描画している。
図6から分かるように、把持器30を千鳥状に配置する場合には、把持器30を格子状に配置する場合に比べ、把持器30をより密集して配置することができる。
図6の例では、把持器30の配置を格子状配置から千鳥状配置に変えることで、各列に把持器30が並べられる方向(
図6中では左右方向)の把持器30の配置の長さは変えずに、把持器30の列が並べられる方向(
図6中では上下方向)の把持器30の幅を小さくすることができる。
【0037】
また、複数の把持器30は、
図7Aのように、把持器30のそれぞれが載置部50において物品Aを把持可能な把持領域GAが、他の少なくとも1つの把持器30が載置部50において物品Aを把持可能な把持領域GAと近接するように、可動部材20に取り付けられることが好ましい。なお、
図7Aは、載置部50を上方から見た時の把持器30のそれぞれが載置部50において物品Aを把持可能な把持領域GAを描画している。
【0038】
さらに好ましくは、隣接する把持器30の把持部材32同士が干渉しあわない範囲で、複数の把持器30は、
図7Bのように、把持器30のそれぞれが載置部50において物品Aを把持可能な把持領域GAが、他の少なくとも1つの把持器30が載置部50において物品Aを把持可能な把持領域GAと接するように、可動部材20に取り付けられる。また、隣接する把持器30の把持部材32同士が干渉しあわない範囲で、複数の把持器30は、
図7Cのように、把持器30のそれぞれが載置部50において物品Aを把持可能な把持領域GAが、他の少なくとも1つの把持器30が載置部50において物品Aを把持可能な把持領域GAと一部重なるように、可動部材20に取り付けられてもよい。
【0039】
(2-4)重量取得部
物品排出システム100では、把持器30のそれぞれに対して、1台の重量取得部40が設けられる。重量取得部40は、重量取得部の一例であり、対応する把持器30が把持する物品Aの重量を測定する。
【0040】
各重量取得部40は、センサ部42と、図示しない制御部と、を主に含む。
【0041】
各把持器30は、
図4のようにセンサ部42を介して可動部材20に取り付けられている。センサ部42は、図示は省略するが、力センサと、加速度センサと、を含む。センサの種類を限定するものではないが、力センサは、例えば、歪みゲージ式ロードセルである。加速度センサは、例えば、歪みゲージ式ロードセルや、MEMS型の小型加速度センサである。
【0042】
重量取得部40の制御部は、物品Aを把持した状態の把持器30が可動部材20の移動に伴い移動させられる時に、センサ部42で計測される力及び加速度に基づいて、把持器30の把持している物品Aの質量を取得する。具体的には、重量取得部40の制御部は、力センサで計測された力を、加速度センサで計測された加速度で除すことで、把持器30の把持している物品Aの質量を取得する。
【0043】
なお、重量取得部は、把持器30の移動時に計測される力と加速度とに基づいて物品Aの質量を取得する重量取得部40に限定されるものではない。重量取得部は、ロードセル等を用いて、静止状態の把持器30が把持している物品Aの重量を取得するものであってもよい。
【0044】
(2-5)載置部及び載置部駆動部
載置部50には、物品群A1が載置される。
【0045】
具体的には、載置部50には、物品群収容容器52を含む。物品群収容容器52には、物品A(物品群A1)が収容されている。載置部50では、載置面52a(ここでは、物品群収容容器52の底面)に物品群A1が載置されている。把持器30は、物品群収容容器52に収容されている物品群A1から、物品Aの一部を把持する。本実施形態では、物品群収容容器52は、上方が開いた直方体状の容器である。本実施形態では、載置部50は、物品群収容容器52の内部に収容される物品Aの量が減少すると、人又は機械が、内部の物品Aの量が減少した物品群収容容器52を、新たな(物品Aが多く収容されている)物品群収容容器52と交換可能に構成されている。なお、載置部50は、物品群収容容器52が交換可能に構成される代わりに、物品群収容容器52に物品Aを供給するための物品供給機構を有してもよい。
【0046】
載置部50は、載置部駆動部54により、第1位置と、第2位置との間を移動させられる。載置部駆動部54は、例えば、モータや流体圧を駆動源として、載置部50を移動させる。第1位置は、把持器30が載置部50に載置される物品群A1の物品Aを把持可能な位置である。第2位置は、把持器30が載置部50に載置される物品群A1から物品Aを把持できない位置である。載置部駆動部54は、載置部50を、第1位置と第2位置との間で、可動部材20の移動方向と交差する方向に移動させる。言い換えれば、載置部駆動部54は、載置部50を、第1位置と第2位置との間で、鉛直方向と交差する方向に移動させる。限定するものではないが、本実施形態では、載置部駆動部54は、載置部50を、第1位置と第2位置との間で水平方向に移動させる。
【0047】
載置部50の第1位置は、具体的には、把持器30の直下の位置である。載置部50が第1位置にある時には、可動部材20がロボット10により移動させられ、把持器30が載置部50に対して所定の位置まで近づけられると、把持器30は載置部50に載置されている物品Aを把持することができる。また、載置部50の第1位置は、排出シュート60の直上の位置である。
【0048】
一方、載置部50の第2位置は、把持器30の直下を外れた位置である。本実施形態では、把持器30の取り付けられている可動部材20が鉛直方向にしか移動しないため、載置部50が第2位置にある時には、把持器30は載置部50に載置されている物品Aを把持することができない。また、載置部50の第2位置は、排出シュート60の直上を外れた位置である。
【0049】
(2-6)排出シュート
排出シュート60は漏斗状の部材である。排出シュート60は、把持器30の直下に配置される。また、排出シュート60は、載置部50が第1位置に位置する時、載置部50の直下に配置される。言い換えれば、第1位置に位置する載置部50は、把持器30と排出シュート60との間に配置される。一方で、載置部50が第2位置に位置する時には、把持器30と排出シュート60との間には、載置部50は配置されない。
【0050】
排出シュート60は、把持器30が把持を解除することで、把持器30から供給される物品Aを物品排出システム100の外に排出する。具体的には、排出シュート60は、載置部50が第2位置に位置する時に、把持器30が把持を解除して落下させる物品Aを受けて物品排出システム100の外に排出する。
【0051】
(2-7)制御部
制御部70は、図示を省略するCPUや、ROMやRAM等のメモリを有する。制御部70は、ロボット10、把持器駆動部34、重量取得部40、載置部駆動部54と電気的に接続されている(
図2参照)。制御部70は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、ロボット10、把持器駆動部34、載置部駆動部54等の物品排出システム100の各種構成の動作の制御や、重量取得部40の取得した物品Aの重量値を利用した組合せ計算等を行う。なお、制御部70の各種機能は、ソフトウェアで実現される場合に限定されず、ハードウェアで実現されても、ハードウェアとソフトウェアとが協働することで実現されてもよい。
【0052】
(3)物品排出システムの動作
制御部70により制御される物品排出システム100の動作について、
図8A~
図8Gを参照しながら説明する。なお、
図8A~
図8Gは、
図1の物品排出システム100の動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図である。
図8A~
図8Gでは、可動部材20を移動させるロボット10の描画は省略している。
【0053】
図8Aは、把持器30が物品Aを把持する前の初期状態を描画している。初期状態における各機器の状態について簡単に説明すると、可動部材20は、把持器30の把持部材32が載置部50の物品群収容容器52の外に配置されるように、所定位置に配置されている。載置部50は、把持器30の直下の第1位置に配置されている。
【0054】
物品排出システム100の運転中には、制御部70は、初期状態から、ロボット10を制御して可動部材20を鉛直下方に移動させ、複数の把持器30を載置部50に近づける。具体的には、制御部70は、把持器30の把持部材32が物品群収容容器52内の物品Aを把持可能な所定位置に配置されるように、ロボット10の動作を制御し、可動部材20を鉛直下方に移動させる(
図8B参照)。より具体的には、制御部70は、把持部材32が物品群A1に差し込まれた状態になるように、ロボット10の動作を制御し、可動部材20を鉛直下方に移動させる。その後、制御部70は、把持器30の把持器駆動部34を制御して、把持部材32に物品Aを把持させる。
【0055】
好ましくは、制御部70は、複数の把持器30に同時に物品Aを把持させる。ただし、これに限定されるものではなく、制御部70は、複数の把持器30に、異なるタイミングで物品Aを把持させてもよい。
【0056】
次に、制御部70は、複数の把持器30が物品Aを把持した状態で、ロボット10を制御して、把持器30の把持部材32が載置部50の物品群収容容器52の外に配置されるように、可動部材20を鉛直上方に移動させる(
図8C参照)。
【0057】
次に、制御部70は、載置部駆動部54を制御して、載置部50を第1位置から第2位置へと移動させる(
図8D参照)。載置部50が第2位置へと移動することで、把持器30と排出シュート60との間には載置部50が配置されない状態となる。
【0058】
次に、制御部70は、ロボット10を制御して可動部材20を鉛直下方に移動させ、複数の把持器30を排出シュート60に近づける(
図8E参照)。ロボット10が可動部材20を鉛直下方に移動させる時、各重量取得部40は、対応する把持器30が把持する物品Aの重量を取得する。制御部70は、各重量取得部40から取得した各把持器30が把持する物品Aの重量値を用いた組合せ計算を行い、その合計値が目標重量範囲となる重量値の組合せを見つける。
【0059】
組合せ計算が終了すると、制御部70は、組合せ計算の結果に基づいて、排出シュート60の上方で目標重量範囲となる重量値の組合せに対応する把持器30に物品Aの把持を解除させ、排出シュート60から物品Aを排出する(
図8F参照)。目標重量範囲となる重量値の組合せが複数存在する場合には、制御部70は、排出シュート60からの物品Aの排出を複数回実行する。このとき、制御部70は、排出シュート60から物品Aを排出するために物品Aの把持を解除させた把持器30に対応する重量取得部40に対して、所定のタイミングでゼロ点補正処理を実施する。ゼロ点補正処理とは、重量取得部40が受けるゼロ点ドリフトの影響を排除又は軽減するために行われる処理である。ゼロ点ドリフトとは、例えば、重量取得部40のセンサ部42の出力値の基準点(ゼロ点)が、温度及び湿度等の環境の変化や、センサ部42の部品の経年劣化等に起因して、比較的長時間に亘って徐々に変動する現象である。ゼロ点補正処理は、重量取得部40による物品Aの重量値の計量精度を所定の範囲内に維持するために行われる。ゼロ点補正処理が実施されるタイミングは、対象となる重量取得部40に対応する把持器30に物品Aの把持を解除させた後、同じ把持器30に対して次に物品Aを把持させるまでの間の時間帯である。言い換えると、ゼロ点補正処理は、把持器30が物品Aを把持していない待機時間の間に、対応する重量取得部40に対して実施される。
【0060】
目標重量範囲となる重量値の組合せの全てに対して物品Aの排出が終了すると、制御部70は、ロボット10を制御して、可動部材20を
図8Aに描画されている位置と同じ位置へと戻す。また、制御部70は、載置部駆動部54を制御して、載置部50を第2位置から、把持器30の直下の第1位置に戻す(
図8G参照)。さらに、制御部70は、未だ物品Aを把持している把持器30(言い換えれば、把持している物品Aの重量が組合せに選ばれなかった把持器30)があれば、把持器駆動部34を制御して、その把持器30に物品Aの把持を解除させる。この結果、把持器30の把持していた物品Aは、第1位置に配置されている載置部50へと落下し、物品群A1の物品Aとして再利用される。
【0061】
物品排出システム100は、以上の動作を繰り返し行う。
【0062】
なお、ここで説明した物品排出システム100の動作は、一例に過ぎず、矛盾しない範囲で適宜変更可能である。
【0063】
例えば、上記の説明では、各重量取得部40が、可動部材20を鉛直下方に移動させるタイミングで、把持器30が把持する物品Aの重量を取得している。これに変えて、各重量取得部40は、可動部材20を鉛直上方に移動させるタイミングで、対応する把持器30が把持する物品Aの重量を取得してもよい。
【0064】
また、例えば、制御部70は、複数の把持器30が物品Aを把持した状態で、ロボット10を制御して可動部材20を上方に移動させる際(可動部材20の位置を
図8Bに描画されている位置から
図8Cに描画されている位置へと変化させる際)、載置部50を第1位置から第2位置へと移動させる前に、可動部材20を1回以上下方に移動させるようにロボット10を制御してもよい。具体的には、制御部70は、可動部材20を上方に移動させた後、載置部50を第1位置から第2位置へと移動させる前に、可動部材20を1回だけ下方に所定距離移動させるようにロボット10を制御してもよい。また、例えば、制御部70は、可動部材20を上方に移動させた後、載置部50を第1位置から第2位置へと移動させる前に、上下方向に往復動させるようにロボット10を制御してもよい。このような可動部材20の動作により、把持部材32に付着している物品をふるい落とすことができる。把持部材32に付着している物品は、把持部材32に把持されておらず、把持部材32の動作によらず落下するおそれのある物品である。可動部材20を下方に移動させて把持部材32に付着している物品を予めふるい落としておくことで、重量取得部40の取得する物品Aの重量を、把持部材32が把持している物品Aの重量に近づけて計量精度を向上することができる。
【0065】
また、組合せ計算において目標重量範囲となる重量値の組合せが複数存在する場合、制御部70は、排出シュート60から物品Aを排出する動作を複数回実行する。具体的には、制御部70は、所定の組合せの把持器30に物品Aの把持を解除させる動作を複数回行うことで、排出シュート60から物品Aを複数回排出する。この場合、制御部70は、組合せ計算の結果に基づいて、複数の組合せの把持器30に所定の優先順位で物品Aの把持を解除させてもよい。すなわち、制御部70は、ある組合せの把持器30による物品Aの把持の解除を、別の組合せの把持器30による物品Aの把持の解除よりも優先して行ってもよい。これにより、制御部70は、より優先的に物品Aの把持が解除された把持器30に対して、より長い待機時間(物品Aを把持していない時間)を付与することができるので、対応する重量取得部40に対するゼロ点補正処理を実施する機会を十分に確保することができる。従って、制御部70は、優先的にゼロ点補正処理を行うべき重量取得部40に対して優先的にゼロ点補正処理を行うことができるので、排出する物品Aの重量値の計量精度を維持することができる。
【0066】
制御部70は、上述の所定の優先順位を、様々な基準に基づいて決定してもよい。例えば、所定の優先順位は、把持器30に対応する重量取得部40に対して実施された最後(最近)のゼロ点補正処理の実施以降に、当該把持器30が物品Aを把持した回数(補正後把持回数)に基づいて決定されてもよい。この場合、制御部70は、例えば、ある組合せの把持器30に含まれる全ての把持器30の補正後把持回数の合計が多いほど、当該組合せの把持器30に高い優先順位を与えてもよい。また、制御部70は、例えば、ある把持器30の補正後把持回数が多いほど、当該把持器30が含まれる組合せの把持器30に高い優先順位を与えてもよい。このような制御によって、制御部70は、補正後把持回数が多い把持器30に対応する重量取得部40に対するゼロ点補正処理を実施する機会を十分に確保することができる。
【0067】
また、所定の優先順位は、把持器30に対応する重量取得部40に対して実施された最後のゼロ点補正処理以降の経過時間(補正後経過時間)に基づいて決定されてもよい。この場合、制御部70は、例えば、ある組合せの把持器30に含まれる全ての把持器30の補正後経過時間の合計が長いほど、当該組合せの把持器30に高い優先順位を与えてもよい。また、制御部70は、例えば、ある把持器30の補正後経過時間が長いほど、当該把持器30が含まれる組合せの把持器30に高い優先順位を与えてもよい。このような制御によって、制御部70は、補正後経過時間が多い把持器30に対応する重量取得部40に対するゼロ点補正処理を実施する機会を十分に確保することができる。
【0068】
以上、複数の組合せの把持器30に物品Aの把持を解除させるための優先順位を決定するための方法を2つ挙げたが、これらの方法を組み合わせて優先順位が決定されてもよく、また、これらの方法と他の方法とを組み合わせて優先順位が決定されてもよい。
【0069】
(4)特徴
(4-1)
本実施形態の物品排出システム100は、物品群A1から一部の物品Aを取り出して排出する。物品排出システム100は、載置部50と、複数の把持器30と、可動部材20と、ロボット10と、重量取得部40と、制御部70と、を備える。載置部50には、物品群A1が載置される。複数の把持器30は、物品Aを把持部材32で把持する。可動部材20には、複数の把持器30が取り付けられている。ロボット10は、可動部材20を移動させる。重量取得部40は、把持器30のそれぞれが把持する物品Aの重量値を取得する。制御部70は、可動部材20を移動させて、複数の把持器30を載置部50に近づけ、複数の把持器30に載置部50に載置される物品群A1の一部の物品Aを把持させ、重量取得部40が取得した把持器30のそれぞれが把持する物品Aの重量値を用いた組合せ計算の結果に基づいて、所定の把持器30の物品Aの把持を解除させて物品Aを排出する。
【0070】
本実施形態の物品排出システム100では、制御部70は、物品Aを排出するために物品Aの把持を解除させた把持器30に対応する重量取得部40に対して、所定のタイミングでゼロ点補正処理を実施する。所定のタイミングとは、対象となる重量取得部40に対応する把持器30に物品Aの把持を解除させた後、同じ把持器30に対して次に物品Aを把持させるまでの間の時間帯である。そのため、物品排出システム100は、全ての把持器30に物品Aの把持を解除させた後、全ての重量取得部40のゼロ点補正処理を一斉に行う必要がない。全ての重量取得部40のゼロ点補正処理を一斉に行う場合、ゼロ点補正処理を実施するための時間帯を確保する必要があるので、物品排出システム100が物品Aを排出する一連の動作にかかる時間がその分だけ長くなる。物品排出システム100は、上述したように、排出シュート60から物品Aを排出する動作を複数回実行する場合に、例えば、最初に物品Aを排出した把持器30に対応する重量取得部40のゼロ点補正処理のみを行うことができる。そのため、物品排出システム100は、
図8A~
図8Gに示される一連の動作において、全ての重量取得部40のゼロ点補正処理を一斉に行うための時間帯を確保する必要がない。従って、物品排出システム100は、物品Aの排出動作を効率的に行うことができる。
【0071】
(4-2)
本実施形態の物品排出システム100では、制御部70は、排出シュート60から物品Aを排出する動作を複数回実行する場合において、複数の組合せの把持器30に対して所定の優先順位で物品Aの把持を解除させることができる。そのため、物品排出システム100は、優先的にゼロ点補正処理を行うべき重量取得部40に対して優先的にゼロ点補正処理を行うことができるので、排出する物品Aの重量の計量精度を維持することができる。
【0072】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る物品排出システム200について、主に
図9及び
図10を参照しながら説明する。
図9及び
図10は、物品排出システム200の模式図である。
図9及び
図10では、第1実施形態の物品排出システム100と同様の構成には、第1実施形態と同様の参照符号を付している。
【0073】
(1)構成
物品排出システム200は、第1排出部170と、第2排出部172とを備える。各排出部170,172は、それぞれ、複数の把持器130,132と、可動部材20と、ロボット10と、重量取得部40と、排出シュート160,162とからなる。以下、必要に応じて、第1排出部170の把持器130及び排出シュート160を、それぞれ第1把持器130及び第1排出シュート160と呼び、第2排出部172の把持器130及び排出シュート160を、それぞれ第2把持器132及び第2排出シュート162と呼ぶ。第1排出シュート160は、第1把持器130の下方に配置される。第2排出シュート162は、第2把持器132の下方に配置される。説明の重複を避けるため、ここでは物品排出システム200と物品排出システム100との相違点について主に説明し、特に必要のない限り一致点の説明は省略する。
【0074】
なお、ここでは、説明の簡易化のため各排出部170,172が3つの把持器130,132を有する場合を例に説明する。ただし、把持器130,132の数は3つに限定されるものではない。各排出部170,172は、より多くの把持器130,132を有していてもよく、ここで説明する把持器130,132の配置(把持部材32の下端の位置)の特徴が、3つより多くの把持器130,132に適用されればよい。
【0075】
また、物品排出システム200は、載置部50と、載置部駆動部54と、制御部70とを備える。第1実施形態と同様に、載置部50は、載置部駆動部54により、第1位置と第2位置との間を移動させられる。第1位置は、
図9に示されるように、第1把持器130が載置部50に載置される物品群A1の物品Aを把持可能な位置であり、かつ、第2把持器132が載置部50に載置される物品群A1から物品Aを把持できない位置である。第2位置は、
図10に示されるように、第1把持器130が載置部50に載置される物品群A1の物品Aを把持できない位置であり、かつ、第2把持器132が載置部50に載置される物品群A1から物品Aを把持可能な位置である。
【0076】
物品排出システム200の制御部70は、第1動作と第2動作とを交互に実施する。第1動作とは、第1把持器130が、第1位置にある載置部50に載置される物品群A1から物品Aを把持して、第1排出シュート160から物品Aを排出する動作である。第2動作とは、第2把持器132が、第2位置にある載置部50に載置される物品群A1から物品Aを把持して、第2排出シュート162から物品Aを排出する動作である。制御部70は、第1動作を実施する際、第1把持器130のそれぞれが把持する物品Aの重量値を用いた組合せ計算の結果に基づいて、所定の組合せの把持器130に物品Aの把持を解除させて物品Aを排出させる。制御部70は、第2動作を実施する際、第2把持器132のそれぞれが把持する物品Aの重量値を用いた組合せ計算の結果に基づいて、所定の組合せの把持器132に物品Aの把持を解除させて物品Aを排出させる。制御部70は、第1動作の完了後、載置部駆動部54を制御して、載置部50を第1位置から第2位置に移動させる。制御部70は、第2動作の完了後、載置部駆動部54を制御して、載置部50を第2位置から第1位置に移動させる。これにより、制御部70は、第1動作と第2動作とを交互に繰り返し実行することができる。物品排出システム200は、2つの排出部170,172で交互に物品Aを排出する機構を備えるので、物品Aの排出動作を効率的に行うことができる。
【0077】
(2)動作
制御部70により制御される物品排出システム200の動作の詳細について、
図11A~
図11Lを参照しながら説明する。なお、
図11A~
図11Lは、物品排出システム200の動作を説明するための物品排出システムの主要部分の概略側面図である。
図11A~
図11Lでは、各排出部170,172のロボット10の描画は省略している。第1排出部170による物品Aの排出動作に関する
図11A~
図11Fは、第1実施形態の
図8A~
図8Fと実質的に同じ動作を描画している。第2排出部172による物品Aの排出動作に関する
図11G~
図11Lは、第1実施形態の
図8A~
図8Fと実質的に同じ動作を描画している。そのため、
図11A~
図11Lのそれぞれにおける動作の詳細は、第1実施形態において説明した通りである。
【0078】
本実施形態では、制御部70は、次の第1工程~第10工程を順に繰り返し行うことで第1動作と第2動作とを交互に実施する。
・第1工程:第1動作を開始する。具体的には、第1把持器130に、第1位置にある載置部50に載置される物品群A1から物品Aを把持させる。(
図11A~
図11C)
・第2工程:載置部50を第1位置から第2位置に移動させる。(
図11D)
・第3工程:第1把持器130のそれぞれが把持する物品Aの重量値を取得し、取得した重量値を用いた組合せ計算を行う。
・第4工程:第3工程の組合せ計算の結果に基づいて、所定の組合せの第1把持器130に物品Aの把持を解除させて物品Aを排出させる。第1把持器130の組合せが複数ある場合、各組合せの第1把持器130に物品Aの把持を解除させる。これにより、第1動作が完了する。(
図11E~
図11F)
・第5工程:第1把持器130であって、第4工程において物品Aの把持を解除させた第1把持器130に対応する重量取得部40に対してゼロ点補正処理を開始する。
・第6工程:第2動作を開始する。具体的には、第2把持器132に、第2位置にある載置部50に載置される物品群A1から物品Aを把持させる。(
図11G~
図11I)
・第7工程:載置部50を第2位置から第1位置に移動させる。(
図11J)
・第8工程:第2把持器132のそれぞれが把持する物品Aの重量値を取得し、取得した重量値を用いた組合せ計算を行う。
・第9工程:第8工程の組合せ計算の結果に基づいて、所定の組合せの第2把持器132に物品Aの把持を解除させて物品Aを排出させる。第2把持器132の組合せが複数ある場合、各組合せの第2把持器132に物品Aの把持を解除させる。これにより、第2動作が完了する。(
図11K~
図11L)
・第10工程:第2把持器132であって、第9工程において物品Aの把持を解除させた第2把持器132に対応する重量取得部40に対してゼロ点補正処理を開始する。
【0079】
第6工程は、載置部50が第2位置に移動した第2工程の完了後であれば第3工程又は第4工程の前でも実行可能である。第1工程は、載置部50が第1位置に移動した第7工程の完了後であれば第8工程又は第9工程の前でも実行可能である。
【0080】
また、第5工程で開始したゼロ点補正処理は、次の第1工程の開始前までに終了する。例えば、第5工程で開始したゼロ点補正処理は、続く第6工程~第9工程の実行中に終了する。第10工程で開始したゼロ点補正処理は、次の第6工程の開始前までに終了する。例えば、第10工程で開始したゼロ点補正処理は、続く第1工程~第4工程の実行中に終了する。
【0081】
また、第5工程の終了時において、未だ物品Aを把持している第1把持器130(言い換えれば、把持している物品Aの重量が組合せに選ばれなかった第1把持器130)がある場合がある。この場合、制御部70は、第7工程の完了後、次の第1工程の開始前において、把持器駆動部34を制御して、当該第1把持器130に物品Aの把持を解除させて、第1位置にある載置部50に物品Aを落下させる。
【0082】
同様に、第10工程の終了時において、未だ物品Aを把持している第2把持器132(言い換えれば、把持している物品Aの重量が組合せに選ばれなかった第2把持器132)がある場合がある。この場合、制御部70は、第2工程の完了後、次の第6工程の開始前において、把持器駆動部34を制御して、当該第2把持器132に物品Aの把持を解除させて、第2位置にある載置部50に物品Aを落下させる。
【0083】
また、第4工程において、第1把持器130の組合せが複数ある場合、第1実施形態と同様に、制御部70は、複数の組合せの第1把持器130に対して所定の優先順位で物品Aの把持を解除させてもよい。
【0084】
同様に、第9工程において、第2把持器132の組合せが複数ある場合、第1実施形態と同様に、制御部70は、複数の組合せの第2把持器132に対して所定の優先順位で物品Aの把持を解除させてもよい。
【0085】
(3)特徴
第2実施形態の物品排出システム200は、第1実施形態の物品排出システム100の
特徴に加え、以下のような特徴を有する。
【0086】
物品排出システム200は、2つの排出部170,172で共通の載置部50に載置される物品群A1から物品Aを交互に把持し、2つの排出シュート160,162から交互に物品Aを排出する。これにより、物品排出システム200は、物品Aの排出動作を効率的に行うことができる。
【0087】
また、物品排出システム200は、各把持器130,132に対応する重量取得部40に対してゼロ点補正処理を実施する際に、第1把持器130に対応する重量取得部40のゼロ点補正処理と、第2把持器132に対応する重量取得部40のゼロ点補正処理とを交互に実施することができる。
【0088】
具体例を挙げて説明すると、第1把持器130が物品Aの把持を解除した後、当該第1把持器130に対応する重量取得部40に対してゼロ点補正処理が開始されるとする(上記の第5工程)。このとき、第2把持器132は、物品Aの把持を開始しているか又は開始する直前の状態にある。そのため、第2把持器132に対応する重量取得部40に対してゼロ点補正処理を開始することができない。同様に、第2把持器132が物品Aの把持を解除した後、当該第2把持器132に対応する重量取得部40に対してゼロ点補正処理が開始されるとする。このとき、第1把持器130は、物品Aの把持を開始しているか又は開始する直前の状態にある。そのため、第1把持器130に対応する重量取得部40に対してゼロ点補正処理を開始することができない。
【0089】
物品排出システム200は、上記の理由により、第1排出部170が物品Aの排出動作をしている間に、第2排出部172の重量取得部40のゼロ点補正処理を実行し、第2排出部172が物品Aの排出動作をしている間に、第1排出部170の重量取得部40のゼロ点補正処理を実行する。これにより、物品排出システム200は、排出部170,172全体の重量取得部40のゼロ点補正処理を効率的に行うことができる。
【0090】
なお、本変形例において、物品排出システム200は、3つ以上の排出部170,172を備えてもよい。この場合、物品排出システム200は、複数の把持器130,132を用いて共通の載置部50に載置される物品群A1から物品Aを交互に把持し、複数の排出シュート160,162から交互に物品Aを排出する。
【0091】
<変形例>
以下に上記実施形態の変形例を示す。なお、各変形例の内容の一部又は全部は、互いに矛盾しない範囲で他の変形例の内容と組み合わされてもよい。
【0092】
(1)変形例A
上記実施形態における把持器30(第2実施形態の把持器130,132も含む。以下同様。)の種類は、一例に過ぎず、種々の種類の把持器を本開示の把持器として適用可能である。例えば、把持器は、一対の把持部材を互いに近づくように平行移動させることで、物品Aを把持するものであってもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、可動部材20に同一種類の把持器30が取り付けられているが、これに限定されるものではなく、可動部材20には、2種類以上の把持器30が取り付けられてもよい。
【0094】
(2)変化例B
上記実施形態における載置部50の物品群収容容器52は、直方体形状の容器であり、物品群A1が載置される載置面52a(物品群収容容器52の底面)は水平面である(
図1参照)。
【0095】
しかし、このような態様に限定されるものではなく、物品群収容容器52は、他の形状を有する容器であってもよい。例えば、物品群収容容器52は、物品群A1が載置される載置面52aの高さ位置が、把持器30の並べられる向きに沿って変化している容器であってもよい。具体的には、把持器30の並べられる向きに沿って物品群収容容器52を切断した時に、物品群収容容器52の底面は略V字状に形成されていてもよい。なお、物品群収容容器52をこのような形状とする利点は、物品群収容容器52の中央部付近で物品Aを取り出すと、物品群収容容器52の周縁部の物品Aが中央部に移動し、把持器30が物品Aを把持する位置に物品Aが無いという状態が抑制されやすい点にある。
【0096】
本変形例では、載置部50の物品群収容容器52の底面の高さ位置に合わせて、可動部材20は、把持器30の取り付けられる場所の高さ位置が、把持器30によって異なる形状を有している。この場合、各把持器30に対応する重量取得部40のセンサ部42の取り付けられる場所の高さも、把持器30によって異なる。
【0097】
また、他の例として、物品群収容容器52は、第1実施形態の直方体形状の物品群収容容器52を傾けて配置した態様を有してもよい。この場合、物品群A1が載置される載置面52a(物品群収容容器252の底面)は一様な傾斜面である。
【0098】
(3)変化例C
上記実施形態では、可動部材20は、ロボット10により鉛直方向に移動させられる。そして、可動部材20に取り付けられている把持器30は、所定位置から鉛直下方に移動して、載置部50に近づき、載置部50に載置される物品群A1の物品Aの一部を把持する。
【0099】
このような態様に代えて、可動部材20は、鉛直方向に対して傾いた方向に移動可能に構成されてもよい。例えば、変形例Bの載置部50のように載置面52aが傾斜している場合に、可動部材20を載置面52aに対して概ね垂直方向に移動させるように構成することで、載置面52aの高さ位置が異なる場合であっても、各把持器30で適量の物品Aを把持することが容易である。
【0100】
(4)変形例D
上記実施形態では、載置部駆動部54が、載置部50を第1位置と第2位置との間で移動させる。ただし、第1実施形態では、このような態様に限定されるものではなく、載置部50は不動であってもよい。
【0101】
この場合には、
図12に示すように、排出シュート60を載置部50の直下以外の場所に配置し、可動部材20を鉛直方向だけではなく、水平方向にも移動可能とすることが好ましい。このように構成することで、把持器30で載置部50の物品Aを把持した後(
図12中の実線参照)、排出シュート60の上方へと把持器30を動かし(
図12中の二点鎖線参照)、把持器30の物品Aの把持を解除することで、物品Aを排出することができる。
【0102】
ただし、このように構成する場合には、把持器30の水平移動の際に物品Aに水平方向の力が加わり落下しやすくなる可能性があるため、載置部50を第1位置と第2位置との間で移動可能な構成とすることがより好ましい。
【0103】
なお、本変形例の構成を第2実施形態に適用することもできる。この場合、第1把持器130が、不動の載置部50の上方で載置部50の物品Aを把持し、第2把持器132が、第2排出シュート162の上方で物品Aの把持を解除して物品Aを排出する。その後、両方の把持器130,132が水平移動して位置が交換される。そして、第2把持器132が、不動の載置部50の上方で載置部50の物品Aを把持し、第1把持器130が、第1排出シュート160の上方で物品Aの把持を解除して物品Aを排出する。その後、両方の把持器130,132が水平移動して位置が交換される。以上の一連の動作を繰り返すことで、載置部50を移動させることなく、2つの排出部170,172のそれぞれの把持器130,132を用いて物品Aを交互に排出することができる。
【0104】
(5)変形例E
上記実施形態では、ロボット10は、可動部材20を単一軸に沿って移動させている。しかし、このような態様に限定されるものではなく、ロボット10は、可動部材20を複数方向に移動させてもよい。例えば、ロボット10は、可動部材20を載置部50,150から遠ざけるように上方に移動させる際(可動部材20の位置を
図8Bに描画された位置から
図8Cに描画された位置に移動させる際)に、把持部材32に付着した物品をふるい落とすように、可動部材20を鉛直方向と直交する水平方向に往復動させてもよい。
【0105】
(6)変形例F
上記実施形態では、物品Aは排出シュート60から排出されるが、物品Aは他の態様で物品排出システムから排出されてもよい。例えば、物品排出システムは、排出シュート60に代えて、物品排出システム100から物品Aを排出するための排出コンベアを有してもよい。そして、組合せ計算で組合せに選ばれた重量値に対応する把持器30は、排出コンベア上の所定の位置で物品Aの把持を解除することで物品Aを排出コンベアに落下させ、排出コンベア上に落下した物品を排出コンベアが搬送するように構成されてもよい。
【0106】
(7)変形例G
取り扱われる物品Aの種類によっては、1の把持器30で把持する物品Aが、他の把持器30でも同時に把持されるという事態が発生する可能性がある。例えば、物品Aがスパゲティのような長さの長い物品である場合(例えば、物品Aの長さが、隣接する把持器30の把持領域の距離よりも長い場合)、
図13Aのように1の把持器30が把持する物品Aが、他の把持器30でも同時に把持されるという現象が発生する可能性がある。なお、
図13Aは説明ための模式図であり、複数の把持器30で把持される物品A以外の物品Aの描画は省略している。このような事態が発生すると、システムから排出する物品の重量が目標重量に対してずれ、システムから排出される重量の精度が低下する恐れがある。
【0107】
このような状況の発生を抑制するため、把持器30の把持部材32が載置部50の物品Aを把持した後、物品Aの把持を解除するまでの間の少なくとも所定の期間、載置部50の上方に、
図13Bのように、把持器30の把持部材32と、その把持器30に隣接する把持器30の把持部材32との間に配置される分離部材80を設けることが好ましい。分離部材80は、例えば、鉛直方向に沿って移動することで、互いに隣接する複数の把持器30によって同時に把持されている物品Aを切断するためのカッターである。
【0108】
なお、把持器30が物品Aの把持を解除して物品Aを排出シュート60に落下させる際には、分離部材80が落下する物品Aの下方にあると分離部材80に物品Aが引っ掛かる可能性がある。そのため、把持器30が物品Aの把持を解除して物品Aを排出シュート60に落下させる際には、分離部材80は、物品Aの排出シュート60への落下を妨げない位置に移動することが好ましい。例えば、分離部材80は、載置部50が第1位置から第2位置へと移動する際に、同時に把持器30の直下以外の場所に移動させられればよい。
【0109】
(8)変形例H
上記実施形態では、物品排出システム100,200が有する可動部材20は1つであるが、これに限定されるものではなく、物品排出システム100,200は、複数の把持器30が取り付けられている可動部材20を複数有してもよい。
【0110】
(9)変形例I
上記実施形態では、把持器30の配置の例として、可動部材20に取り付けられた複数の把持器30を把持部材32側から見た時に、複数の把持器30が千鳥状に配置されている形態を示している。ただし、把持器30の配置は一例にすぎず、把持器30の配置の態様は、例えば把持器30の把持領域の形状や、把持器30が物品を排出する排出シュート60の物品投入側の開口の寸法等に応じて、適宜選択されればよい。
【0111】
例えば、上記実施形態では、各把持器30の把持領域が概ね円形状である場合を例に説明しており、複数の把持器30は、可動部材20に取り付けられた複数の把持器30を把持部材32側から見た時に千鳥状に配置されている。これに対し、各把持器30の把持領域が概ね矩形状である場合には、可動部材20に取り付けられた複数の把持器30を把持部材32側から見た時、複数の把持器30は格子状に配置されてもよい。
【0112】
また、把持器30の可動部材20に対する取り付け位置は、調整可能に構成されていてもよい。
【0113】
<付記>
以上で説明した物品排出システムは、物品排出システムの具体例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではない。上記の実施形態には、本開示の趣旨及び範囲から逸脱すること無く、種々の変形が可能なことが理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明に係る物品排出システムは、物品の排出動作を効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0115】
30 把持器
40 重量取得部
50 載置部(容器)
70 制御部
100 物品排出システム
170 第1排出部
172 第2排出部
200 物品排出システム
A1 物品群
A 物品
【先行技術文献】
【特許文献】
【0116】