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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】製袋包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/26 20060101AFI20240208BHJP
   B65B 9/207 20120101ALI20240208BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B65B51/26
B65B9/207
B65B57/00 H
B65B57/00 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020090558
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021187438
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】長島 良太
(72)【発明者】
【氏名】大谷 貴文
(72)【発明者】
【氏名】新川 将基
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-006387(JP,A)
【文献】特開平09-058623(JP,A)
【文献】特開2005-047596(JP,A)
【文献】特開2014-129132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/26
B65B 9/207
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムの両側の側縁部同士をシールしてフィルムを筒状に成形する縦シール機構を備える製袋包装機であって、
前記製袋包装機を制御する制御部を備え、
前記縦シール機構は、
前記両側の側縁部を合掌状態で挟み込んで加熱シールする一対のヒートシール部と、
前記フィルムをその長手方向に沿って搬送する搬送部と、
を有し、
前記制御部は、前記製袋包装機の運転中において、
前記側縁部を挟み込まない第1位置にある前記ヒートシール部を、前記側縁部を挟み込む第2位置に移動させ、
その後、前記搬送部による前記フィルムの搬送と連動するように、前記側縁部を挟み込んでいる前記ヒートシール部を前記長手方向に沿って移動させ、
その後、前記ヒートシール部による前記側縁部の挟み込みを解除させ、
その後、前記ヒートシール部を前記第1位置に移動させる、サイクル動作を繰り返し、
前記制御部は、前記サイクル動作の実行中に前記製袋包装機の停止信号を受けた場合、実行中の前記サイクル動作を終了させた後、次の前記サイクル動作で加熱シールされる前記側縁部を前記ヒートシール部で挟み込み、その後、前記ヒートシール部による前記側縁部の挟み込みを解除させた後に、前記製袋包装機を停止させる、
製袋包装機。
【請求項2】
前記第1位置は、前記サイクル動作において、前記側縁部を挟み込んでいる前記ヒートシール部を前記長手方向に沿って移動させる前における、前記ヒートシール部の前記長手方向の位置である、
請求項1に記載の製袋包装機。
【請求項3】
前記制御部は、前記停止信号を受けた後、前記製袋包装機の運転を再開させる場合、前記ヒートシール部を前記第2位置に移動させる前に、1回の前記サイクル動作において搬送される距離だけ前記フィルムを前記長手方向に沿って搬送させる、
請求項1に記載の製袋包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2010-6387号公報)に記載のように、フィルムの両側の側縁部同士をシールしてフィルムを筒状に成形する縦シール機構を備える製袋包装機が用いられている。この縦シール機構は、一対のシールジョーでフィルムの両側の側縁部を合掌状態で挟み込んで加熱シールする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、製袋包装機の運転が停止したときに、一対のシールジョーの間に、シールされる前のフィルム側縁部が位置していることがある。この場合、シールジョーの熱によってフィルム側縁部が変形し、運転再開時において一対のシールジョーによってフィルム側縁部が正常に挟み込まれなくなるおそれがある。
【0004】
本発明の目的は、縦シールの不具合の発生を抑制する製袋包装機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る製袋包装機は、フィルムの両側の側縁部同士をシールしてフィルムを筒状に成形する縦シール機構を備える。製袋包装機は、製袋包装機を制御する制御部を備える。縦シール機構は、一対のヒートシール部と、搬送部とを有する。一対のヒートシール部は、フィルムの両側の側縁部を合掌状態で挟み込んで加熱シールする。搬送部は、フィルムをその長手方向に沿って搬送する。制御部は、製袋包装機の運転中において、次の(a)~(d)のサイクル動作を繰り返す。
(a)フィルム側縁部を挟み込まない第1位置にあるヒートシール部を、フィルム側縁部を挟み込む第2位置に移動させる。
(b)その後、搬送部によるフィルムの搬送と連動するように、フィルム側縁部を挟み込んでいるヒートシール部を、フィルム長手方向に沿って移動させる。
(c)その後、ヒートシール部によるフィルム側縁部の挟み込みを解除させる。
(d)その後、ヒートシール部を第1位置に移動させる。
【0006】
制御部は、サイクル動作の実行中に製袋包装機の停止信号を受けた場合、実行中のサイクル動作を終了させた後、次のサイクル動作で加熱シールされるフィルム側縁部をヒートシール部で挟み込み、その後、ヒートシール部によるフィルム側縁部の挟み込みを解除させた後に、製袋包装機を停止させる。
【0007】
第1観点に係る製袋包装機は、縦シールのサイクル動作中に運転停止信号を受けた場合に、次のサイクル動作で縦シールされる部分の縦シールを完了させた後に運転を停止させることで、縦シールされる前のフィルム側縁部が、ヒートシール部の熱で変形することを抑制する。従って、この製袋包装機は、縦シールの不具合の発生を抑制することができる。
【0008】
本発明の第2観点に係る製袋包装機は、フィルムの両側の側縁部同士をシールしてフィルムを筒状に成形する縦シール機構を備える。製袋包装機は、製袋包装機を制御する制御部を備える。縦シール機構は、一対のヒートシール部と、搬送部とを有する。一対のヒートシール部は、フィルムの両側の側縁部を合掌状態で挟み込んで加熱シールする。搬送部は、フィルムをその長手方向に沿って搬送する。制御部は、製袋包装機の運転中において、次の(a)~(d)のサイクル動作を繰り返す。
(a)フィルム側縁部を挟み込まない第1位置にあるヒートシール部を、フィルム側縁部を挟み込む第2位置に移動させる。
(b)その後、搬送部によるフィルムの搬送と連動するように、フィルム側縁部を挟み込んでいるヒートシール部を、フィルム長手方向に沿って移動させる。
(c)その後、ヒートシール部によるフィルム側縁部の挟み込みを解除させる。
(d)その後、ヒートシール部を第1位置に移動させる。
【0009】
制御部は、サイクル動作の実行中に製袋包装機の停止信号を受けた場合、実行中のサイクル動作において、ヒートシール部によるフィルム側縁部の挟み込みを解除させた後、かつ、ヒートシール部を第1位置に移動させる前に、製袋包装機を停止させる。
【0010】
第2観点に係る製袋包装機は、縦シールのサイクル動作中に運転停止信号を受けた場合に、実行中のサイクル動作で縦シールされる部分の縦シールを完了させた後に運転を停止させることで、縦シールされる前のフィルム側縁部が、ヒートシール部の熱で変形することを抑制する。従って、この製袋包装機は、縦シールの不具合の発生を抑制することができる。
【0011】
本発明の第3観点に係る製袋包装機は、第1観点に係る製袋包装機であって、第1位置は、サイクル動作において、フィルム側縁部を挟み込んでいるヒートシール部をフィルム長手方向に沿って移動させる前における、ヒートシール部のフィルム長手方向の位置である。
【0012】
本発明の第4観点に係る製袋包装機は、第2観点に係る製袋包装機であって、第1位置は、サイクル動作において、フィルム側縁部を挟み込んでいるヒートシール部をフィルム長手方向に沿って移動させた後における、ヒートシール部のフィルム長手方向の位置である。
【0013】
本発明の第5観点に係る製袋包装機は、第1観点に係る製袋包装機であって、制御部は、製袋包装機の停止信号を受けた後、製袋包装機の運転を再開させる場合、ヒートシール部を第2位置に移動させる前に、1回のサイクル動作において搬送される距離だけフィルムをその長手方向に沿って搬送させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る製袋包装機は、縦シールの不具合の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る製袋包装機10の斜視図である。
図2】製袋包装ユニット12の概略的な構成を示す斜視図である。
図3】成形機構21によって筒状に成形された部分におけるフィルムFの斜視図である。
図4】横シール機構23を、図2の右側から見た概略的な側面図である。
図5】一対のヒートシール部31,32の横断面図である。一対のヒートシール部31,32によって側縁部R1,R2が挟み込まれていない状態を示す。
図6】一対のヒートシール部31,32の横断面図である。一対のヒートシール部31,32によって側縁部R1,R2が挟み込まれている状態を示す。
図7(a)】一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を正面から見た図である。
図7(b)】一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を正面から見た図である。
図7(c)】一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を正面から見た図である。
図7(d)】一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を正面から見た図である。
図8(a)】一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を上方から見た図である。
図8(b)】一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を上方から見た図である。
図8(c)】一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を上方から見た図である。
図8(d)】一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を上方から見た図である。
図9】縦シール機構22の動作のタイムチャートである。
図10(a)】制御部16が、実行中の次のサイクル動作で縦シールされる部分の縦シールを実行しない場合の問題点を説明するための図である。
図10(b)】制御部16が、実行中の次のサイクル動作で縦シールされる部分の縦シールを実行しない場合の問題点を説明するための図である。
図11】変形例Aにおける縦シール機構22の動作のタイムチャートである。
図12(a)】変形例Bにおける一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を正面から見た図である。
図12(b)】変形例Bにおける一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を正面から見た図である。
図12(c)】変形例Bにおける一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を正面から見た図である。
図12(d)】変形例Bにおける一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を正面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
(1)全体構成
図1は、本発明の実施形態に係る製袋包装機10の斜視図である。製袋包装機10は、食品等の物品を袋詰めするための装置である。製袋包装機10は、主として、組合せ計量ユニット11と、製袋包装ユニット12と、フィルム供給ユニット13とから構成される。
【0018】
組合せ計量ユニット11は、製袋包装ユニット12の上方に配置される。組合せ計量ユニット11は、物品の重量を複数の計量ホッパで計量し、所定の合計重量になるように、各計量ホッパで計量された重量の値を組み合わせる。組合せ計量ユニット11は、所定の合計重量の物品を下方に排出して、製袋包装ユニット12に供給する。
【0019】
製袋包装ユニット12は、組合せ計量ユニット11から物品が供給されるタイミングに合わせて、物品を袋の中に密封して包装する。製袋包装ユニット12は、フィルム供給ユニット13から供給されるフィルムを袋に成形しながら、物品を袋の中に投入して密封する。
【0020】
フィルム供給ユニット13は、製袋包装ユニット12に隣接して設置され、フィルムを製袋包装ユニット12に供給する。フィルム供給ユニット13は、シート状のフィルムが巻き付けられたフィルムロールからフィルムを連続的に繰り出して、製袋包装ユニット12にフィルムを供給する。
【0021】
製袋包装機10は、操作スイッチ14及び液晶ディスプレイ15を備える。操作スイッチ14及び液晶ディスプレイ15は、製袋包装機10の本体の前面に取り付けられている。操作スイッチ14は、製袋包装機10の操作者が操作できる位置に配置されている。液晶ディスプレイ15は、製袋包装機10の操作者が視認できる位置に配置されている。液晶ディスプレイ15は、タッチパネル式のディスプレイである。操作スイッチ14及び液晶ディスプレイ15は、製袋包装機10に対する指示、及び、製袋包装機10に関する設定を受け付ける入力装置として機能する。液晶ディスプレイ15は、製袋包装機10に関する情報を表示する出力装置として機能する。
【0022】
製袋包装機10は、制御部16を備える。制御部16は、CPU、ROM及びRAM等から構成されるコンピュータである。制御部16は、製袋包装機10の本体に内蔵され、組合せ計量ユニット11、製袋包装ユニット12、フィルム供給ユニット13、操作スイッチ14及び液晶ディスプレイ15に接続されている。制御部16は、操作スイッチ14及び液晶ディスプレイ15からの入力に基づいて、組合せ計量ユニット11、製袋包装ユニット12及びフィルム供給ユニット13を制御し、液晶ディスプレイ15に各種の情報を出力する。
【0023】
(2)製袋包装ユニット12の構成
図2は、製袋包装ユニット12の概略的な構成を示す斜視図である。以下の説明において、「前(正面)」、「後(背面)」、「上」、「下」、「左」及び「右」からなる6つの方向を、図2に示されるように定義する。
【0024】
製袋包装ユニット12は、主として、成形機構21と、縦シール機構22と、横シール機構23とから構成される。成形機構21は、フィルム供給ユニット13から供給されるシート状のフィルムFを筒状に成形する。縦シール機構22は、成形機構21によって筒状に成形されたフィルムFを縦シールして筒状フィルムFcを形成する。横シール機構23は、縦シール機構22によって形成された筒状フィルムFcを横シールして袋Bを形成する。
【0025】
製袋包装ユニット12は、フィルム供給ユニット13から供給されるフィルムFを連続的に搬送しながら袋Bを形成する。製袋包装機10が運転している間、製袋包装ユニット12は、フィルムFの搬送を停止することなく、フィルムFから袋Bを連続的に形成することができる。
【0026】
(2-1)成形機構21
成形機構21は、チューブ21aとフォーマ21bとを有する。チューブ21aは、上端及び下端が開口している、円筒形状の部材である。チューブ21aの上端の開口には、組合せ計量ユニット11から供給される物品Aが投入される。フォーマ21bは、チューブ21aを取り囲むように配置されている。フィルム供給ユニット13から繰り出されてきたフィルムFは、チューブ21aとフォーマ21bとの間の隙間を通過する際に、チューブ21aに巻き付いて筒状に成形される。チューブ21a及びフォーマ21bは、製造する袋Bの大きさに応じて取り替えることができる。
【0027】
成形機構21によって筒状に成形されたフィルムFは、図3に示されるように、互いに向き合っている一対の側縁部R1,R2を有する。一対の側縁部R1,R2は、フィルムFの長手方向LDに直交する方向におけるフィルムFの両端部である。すなわち、フィルムFの側縁部R1,R2は、フィルムFの長手方向LDに沿って延びている。一対の側縁部R1,R2は、図2,3に示されるように、筒状に成形されたフィルムFの前側に向かって前後方向に沿って延びている。チューブ21a及びフォーマ21bは、フィルムFに一対の側縁部R1,R2が形成されるような形状を有している。
【0028】
(2-2)縦シール機構22
縦シール機構22は、成形機構21によって筒状に成形されたフィルムFを縦方向(図2では、上下方向)にシールする。縦シール機構22は、主として、一対のヒートシール部31,32と、搬送部33とを有する。
【0029】
一対のヒートシール部31,32は、チューブ21aの正面側に配置される。一対のヒートシール部31,32は、ヒータを有しており、筒状に成形されたフィルムFの両側の側縁部R1,R2を合掌状態で挟み込んで加熱シールする。加熱シールとは、フィルムFの一部を加熱して一時的に軟化させ、軟化した部分同士を溶着させてシールする方法である。一対のヒートシール部31,32は、フィルムFの両側の側縁部R1,R2同士を縦方向にシールして、筒状フィルムFcを形成する。一対のヒートシール部31,32は、上下方向に沿って所定の寸法を有している。
【0030】
搬送部33は、一対のヒートシール部31,32の近傍の高さ位置に配置されている。搬送部33は、チューブ21aに巻き付けられているフィルムFを、長手方向LDに沿って下方に搬送する。搬送部33は、主として、駆動ローラ33a、従動ローラ33b及び一対のベルト33cを有する。一対のベルト33cは、図2に示されるように、チューブ21aの左右両側においてチューブ21aを挟むように配置される。一対のベルト33cは、フィルムFを吸着する機構を有する。搬送部33は、駆動ローラ33a及び従動ローラ33bによって一対のベルト33cが回転駆動することで、フィルムFを吸着しながら下方に搬送する。筒状に成形されたフィルムFの上下方向の位置は、搬送部33によって調整可能である。
【0031】
(2-3)横シール機構23
横シール機構23は、筒状フィルムFcを横方向(図2では、左右方向)にシールする。横シール機構23は、筒状フィルムFcから、上端部及び下端部が横シールされた袋Bを形成する。横シール機構23は、成形機構21及び縦シール機構22の下方に配置される。
【0032】
図4は、横シール機構23を、図2の右側から見た概略的な側面図である。横シール機構23は、主として、第1回転体50a及び第2回転体50bを備える。第1回転体50aは、筒状フィルムFcの前側に配置される。第2回転体50bは、筒状フィルムFcの後側に配置される。
【0033】
第1回転体50aは、主として、第1回転軸53aと、第1シールジョー51aと、第2シールジョー52aとを備える。第2回転体50bは、主として、第2回転軸53bと、第1シールジョー51bと、第2シールジョー52bとを備える。第1回転体50aは、左右方向に沿って見た場合において、第1回転軸53aを回転軸として、第1回転軸53aの回転中心C1を中心に回転する。第2回転体50bは、左右方向に沿って見た場合において、第2回転軸53bを回転軸として、第2回転軸53bの回転中心C2を中心に回転する。横シール機構23を左右方向に沿って見た場合において、一対の第1シールジョー51a,51bは、互いに反対方向に同期回転し、一対の第2シールジョー52a,52bは、互いに反対方向に同期回転する。図4には、一対の第1シールジョー51a,51b、及び、一対の第2シールジョー52a,52bの軌跡が鎖線で示されている。
【0034】
横シール機構23は、一対の第1シールジョー51a,51b、又は、一対の第2シールジョー52a,52bによって、筒状フィルムFcを、筒状フィルムFcの搬送方向と交差する横方向に沿って挟み込む。一対の第1シールジョー51a,51b、及び、一対の第2シールジョー52a,52bは、ヒータを有している。一対の第1シールジョー51a,51b、又は、一対の第2シールジョー52a,52bは、筒状フィルムFcを挟み込んで加熱シールすることで、筒状フィルムFcを横シールする。
【0035】
(3)製袋包装機10の動作
(3-1)全体的な動作
製袋包装機10が物品Aを袋Bに密封する動作の概略について説明する。
【0036】
フィルム供給ユニット13から製袋包装ユニット12に供給されたフィルムFは、成形機構21によって筒状に成形された後、縦シール機構22の一対のヒートシール部31,32によって縦方向にシールされて、筒状フィルムFcが形成される。
【0037】
筒状フィルムFcは、縦シール機構22の搬送部33によって下方に向かって連続的に搬送されながら、横シール機構23によって、フィルムFの長手方向LD(縦方向)に沿って所定の間隔で横シールされる。横シール機構23は、一対の第1シールジョー51a,51b、又は、一対の第2シールジョー52a,52bによって、筒状フィルムFcを挟み込んで横シールする。
【0038】
筒状フィルムFcが横シール機構23によって横シールされた直後のタイミングで、組合せ計量ユニット11によって計量された物品Aがチューブ21a内を落下して、筒状フィルムFcの中に投入される。筒状フィルムFcの中に投入された物品Aは、直前に横シールされた部分の上方に留まる。筒状フィルムFcが横シール機構23によって次に横シールされるとき、横シール機構23は、先ほど筒状フィルムFcの中に投入された物品Aよりも上方の高さ位置において、筒状フィルムFcを横シールする。これにより、筒状フィルムFc内の物品Aは、上方及び下方において横シールされた部分に挟み込まれて密封される。
【0039】
筒状フィルムFcが横シールされるタイミングに合わせて、第1シールジョー51a又は第2シールジョー52aに内蔵されているカッター(図示せず)によって、筒状フィルムFcの横シールされた部分が横方向に切断される。これにより、物品Aが封入された袋Bは、後続の筒状フィルムFcから切り離される。
【0040】
以上の工程により、物品Aが封入された袋Bは、連続的に製造される。製造された袋Bは、その後、ベルトコンベア等によって、厚みチェッカー及び重さチェッカー等の装置に移送される。
【0041】
製袋包装機10は、複数の袋Bが連なった連包の袋形態で製袋を行ってもよい。この場合、横シール機構23によって所定の数の袋Bが形成される度に、筒状フィルムFcの横シールされた部分が横方向に切断される。
【0042】
(3-2)縦シール機構22の動作
縦シール機構22は、一対のヒートシール部31,32で、筒状に成形されたフィルムFの両側の側縁部R1,R2を合掌状態で挟み込んで加熱シールする。図5,6は、一対のヒートシール部31,32の横断面図である。図5,6は、上下方向に直交する平面で切断した断面図である。図5では、一対のヒートシール部31,32によって側縁部R1,R2が挟み込まれていない状態を示す。図6は、一対のヒートシール部31,32によって側縁部R1,R2が挟み込まれている状態を示す。図5,6に示されるように、チューブ21aに巻き付いているフィルムFの両側の側縁部R1,R2は、互いに近接しており、上下方向に沿って見た場合に、チューブ21aの径方向である前後方向に沿っている。側縁部R1,R2は、フィルムFの長手方向LDに沿って延びているので、一対のヒートシール部31,32で側縁部R1,R2同士を加熱シールして溶着させることで、筒状に成形されたフィルムFが縦シールされる。
【0043】
一対のヒートシール部31,32は、第1ヒートシール部31と第2ヒートシール部32とから構成される。第1ヒートシール部31及び第2ヒートシール部32は、駆動モータによって、上下方向に沿って所定の範囲内を移動可能に構成されている。駆動モータは、第1ヒートシール部31及び第2ヒートシール部32の上下方向の位置を、互いに同期させて変更することができる。第2ヒートシール部32は、エアシリンダによって、左右方向に沿って所定の範囲内を移動可能に構成されている。エアシリンダは、第1ヒートシール部31と第2ヒートシール部32との間の左右方向の間隔を変更することができる。エアシリンダがこの間隔を変更することで、第1ヒートシール部31及び第2ヒートシール部32は、側縁部R1,R2を挟み込んだり、側縁部R1,R2を挟み込んだ状態を解除したりすることができる。図5,6に示されるように、第1ヒートシール部31及び第2ヒートシール部32が側縁部R1,R2を挟み込んでいる時、第1ヒートシール部31は側縁部R1と接触し、第2ヒートシール部32は側縁部R2と接触する。第2ヒートシール部32は、第1ヒートシール部31と共に側縁部R1,R2を挟み込んでいる間、側縁部R1,R2を加熱するためのヒータを内蔵している。一方、第1ヒートシール部31は、そのようなヒータを内蔵していない。
【0044】
制御部16は、製袋包装機10の運転中において、縦シール機構22を制御することで、一対のヒートシール部31,32の位置、及び、筒状に成形されたフィルムFの位置を調整することができる。制御部16は、次に説明するように、一対のヒートシール部31,32の位置を周期的に変化させるサイクル動作を行う。
【0045】
図7は、一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を正面から見た図である。図8は、一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を上方から見た図である。図8は、一対のヒートシール部31,32の高さ位置における断面図である。図7(a)~(d)は、それぞれ、図8(a)~(d)に対応する。図7,8に示されるように、サイクル動作の実行中、第1ヒートシール部31は、上下方向に沿って所定の範囲内を往復し、第2ヒートシール部32は、左右方向及び上下方向に沿って所定の範囲内を移動することで、ボックスモーションを繰り返す。サイクル動作の実行中、第1ヒートシール部31は、側縁部R1と接触しているか、左右方向において側縁部R1から極めて近い位置にある。「極めて近い位置」とは、例えば、第1ヒートシール部31と側縁部R1との間の距離が1mm未満となる位置である。
【0046】
一対のヒートシール部31,32がサイクル動作を実行している間、筒状に成形されたフィルムF、及び、筒状フィルムFcは、搬送部33によって下方に搬送されている。次に、一対のヒートシール部31,32のサイクル動作の実行中における制御部16による制御について、図7,8を参照しながら説明する。
【0047】
最初に、図7(a)及び図8(a)に示されるように、一対のヒートシール部31,32は、フィルムFの側縁部R1,R2を挟み込まない第1位置P1にある。第1位置P1とは、具体的には、第2ヒートシール部32と側縁部R2との間の距離が、所定の長さ以上確保されている位置である。所定の長さとは、第2ヒートシール部32の熱に起因するフィルムFの側縁部R1,R2の変形が十分に小さくなる長さである。所定の長さは、フィルムFの材質、及び、第2ヒートシール部32の温度にもよるが、例えば、少なくとも30mmである。図7(a)及び図8(a)では、一対のヒートシール部31,32は、その上下方向の移動可能範囲において最も上方に位置している。第1位置P1は、サイクル動作の起点である。
【0048】
次に、制御部16は、フィルムFの側縁部R1,R2を挟み込まない第1位置P1にある一対のヒートシール部31,32を、フィルムFの側縁部R1,R2を挟み込む第2位置P2に移動させる。図7(b)及び図8(b)では、一対のヒートシール部31,32は、第2位置P2にある。制御部16は、第2ヒートシール部32を左方向に移動させて第1ヒートシール部31に近付けることで、一対のヒートシール部31,32を、第1位置P1から第2位置P2に移動させる。第2位置P2にある一対のヒートシール部31,32は、それぞれ、側縁部R1,R2と接触し、側縁部R1,R2を加熱する。図7(b)及び図8(b)では、一対のヒートシール部31,32は、その上下方向の移動可能範囲において最も上方に位置している。
【0049】
次に、制御部16は、搬送部33によるフィルムFの下方への搬送と連動するように、側縁部R1,R2を挟み込んでいる一対のヒートシール部31,32を長手方向LDに沿って下方に移動させる。すなわち、一対のヒートシール部31,32は、側縁部R1,R2を挟み込んでいる状態で、フィルムFの搬送速度と同じ速さで、下方に向かって所定の距離だけ移動する。図7(c)及び図8(c)では、一対のヒートシール部31,32は、第2位置P2の下方の第3位置P3にある。図7(c)及び図8(c)では、一対のヒートシール部31,32は、その上下方向の移動可能範囲において最も下方に位置している。一対のヒートシール部31,32は、第2位置P2から第3位置P3まで移動している間に、フィルムFの側縁部R1,R2を加熱シールする。
【0050】
次に、制御部16は、一対のヒートシール部31,32による側縁部R1,R2の挟み込みを解除させる。具体的には、図7(d)及び図8(d)に示されるように、制御部16は、第2ヒートシール部32を右方向に移動させて第1ヒートシール部31から離すことで、側縁部R1,R2が一対のヒートシール部31,32によって挟み込まれない状態にする。この状態では、側縁部R1,R2は加熱シールされており、実行中のサイクル動作におけるフィルムFの縦シールが完了している。図7(d)及び図8(d)では、一対のヒートシール部31,32は、第4位置P4にあり、その上下方向の移動可能範囲において最も下方に位置している。
【0051】
次に、制御部16は、第1ヒートシール部31及び第2ヒートシール部32を、長手方向LDに沿って上方に移動させる。これにより、一対のヒートシール部31,32は、第4位置P4から第1位置P1に移動して、図7(a)及び図8(a)に示される状態になる。
【0052】
本実施形態において、第1位置P1は、サイクル動作において、フィルムFの側縁部R1,R2を挟み込んでいる一対のヒートシール部31,32を長手方向LDに沿って移動させる前における、一対のヒートシール部31,32の長手方向LDの位置である。すなわち、第1位置P1は、一対のヒートシール部31,32の上下方向の移動可能範囲において最も上方の位置である。
【0053】
一対のヒートシール部31,32の上下方向の寸法は、フィルムF及び袋Bの寸法にもよるが、例えば、350mmである。1回のサイクル動作において一対のヒートシール部31,32が上下方向に移動する距離、すなわち、一対のヒートシール部31,32の上下方向の移動可能範囲の寸法は、例えば、150mmである。一対のヒートシール部31,32の寸法、及び、上下方向の移動距離によっては、連続するサイクル動作において、一対のヒートシール部31,32によって縦シールされる部分が互いに重なり合うことがある。この場合、フィルムFの側縁部R1,R2は、一対のヒートシール部31,32によって複数回縦シールされる領域が存在する。
【0054】
本実施形態において、制御部16は、サイクル動作の実行中に製袋包装機10の停止信号を受けた場合、実行中のサイクル動作を終了させた後、次のサイクル動作で加熱シールされる側縁部R1,R2を一対のヒートシール部31,32で挟み込み、その後、一対のヒートシール部31,32による側縁部R1,R2の挟み込みを解除させた後に、製袋包装機10を停止させる。そのため、制御部16は、サイクル動作の実行中に製袋包装機10の停止信号を受けた場合、直ちに、製袋包装機10を停止させない。その代わり、制御部16は、実行中のサイクル動作を終了させた後、次のサイクル動作で縦シールされる側縁部R1,R2の縦シールを完了させた後に、製袋包装機10を停止させる。次に、この動作の詳細について説明する。
【0055】
図9は、縦シール機構22の動作のタイムチャートである。図9の横軸は、時刻を表す。図9の横軸の最も左側の時刻は、制御部16が製袋包装機10の運転を開示した時刻S0である。図9(a)は、搬送部33の動作のタイムチャートである。図9(a)のチャートの縦軸は、搬送部33によって搬送されるフィルムFの速さを表す。製袋包装機10の運転中、フィルムFは、搬送部33のベルト33cによって、一定の速さVで長手方向LDに沿って下方に搬送される。図9(b)は、第2ヒートシール部32の左右方向の位置を変更するためのエアシリンダの動作のタイムチャートである。図9(b)において、エアシリンダが「OFF」の状態の間、一対のヒートシール部31,32は、側縁部R1,R2を挟み込んでいない。エアシリンダが「ON」の状態の間、一対のヒートシール部31,32は、側縁部R1,R2を挟み込んでいる。図9(c)は、一対のヒートシール部31,32の上下方向の位置を変更するための駆動モータの動作のタイムチャートである。図9(c)のチャートの縦軸は、一対のヒートシール部31,32の上下方向の速さを表す。図9(c)において、「DROP」の側は、一対のヒートシール部31,32が下方向に移動していることを表し、「RETURN」の側は、一対のヒートシール部31,32が上方向に移動していることを表す。図9には、制御部16が製袋包装機10の停止信号を受けた時刻S1、及び、製袋包装機10の停止後に制御部16が製袋包装機10の運転を再開した時刻S2が示されている。1回のサイクル動作は、ヒートシール部の位置が第1位置P1となる時刻から、再び第1位置P1となる時刻までの期間に行われる動作である。図9に示されるように、制御部16は、初回のサイクル動作では、フィルムFの搬送を開始すると同時に、駆動モータによって一対のヒートシール部31,32を上下方向に移動させるが、エアシリンダによって一対のヒートシール部31,32で側縁部R1,R2を挟み込んで加熱シールしない。
【0056】
制御部16は、製袋包装機10の停止信号を時刻S1に受けると、実行中のサイクル動作を停止させずに継続させる。実行中のサイクル動作は、時刻t1で終了する。このとき、一対のヒートシール部31,32は、第1位置P1にある。制御部16は、製袋包装機10の停止信号を受けた場合、実行中のサイクル動作が終了した時刻t1において、搬送部33によるフィルムFの搬送を停止させる。その後、制御部16は、エアシリンダによって第1位置P1にある一対のヒートシール部31,32を第2位置P2に移動させて、一対のヒートシール部31,32で側縁部R1,R2を挟み込む。挟み込まれる前の側縁部R1,R2は、加熱シールされていない。次に、制御部16は、一対のヒートシール部31,32で側縁部R1,R2を挟み込んだ状態を所定の期間維持して、側縁部R1,R2を加熱シールする。その後、制御部16は、エアシリンダによって一対のヒートシール部31,32による側縁部R1,R2の挟み込みを解除して、一対のヒートシール部31,32を第2位置P2から第1位置P1に移動させる。図9の期間t2~t3は、一対のヒートシール部31,32が側縁部R1,R2を挟み込んでいる期間である。その後、制御部16は、製袋包装機10を停止させる。そのため、製袋包装機10が停止した時において、第2ヒートシール部32と側縁部R2との間の距離が、所定の長さ以上確保されている。この時、一対のヒートシール部31,32の間にある側縁部R1,R2は、加熱シールされている。
【0057】
図9では、製袋包装機10が停止した後、制御部16は、時刻S2で製袋包装機10の運転を再開させる。この場合、制御部16は、フィルムFの搬送を開始すると同時に、駆動モータによって一対のヒートシール部31,32を上下方向に移動させてサイクル動作を開始する。この時、一対のヒートシール部31,32の間にある側縁部R1,R2は、既に加熱シールされている。そのため、図9に示されるように、製袋包装機10の運転再開後の初回のサイクル動作では、制御部16は、エアシリンダによって一対のヒートシール部31,32で側縁部R1,R2を挟み込んで加熱シールしない。
【0058】
(4)特徴
製袋包装機10は、製袋包装ユニット12の一対のヒートシール部31,32によって、筒状に成形されたフィルムFの両側の側縁部R1,R2を縦方向に加熱シールして、筒状フィルムFcを形成する。製袋包装機10の運転中、制御部16は、フィルムFを下方に搬送させながら、図7,8に示されるように一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を行う。制御部16は、サイクル動作中に製袋包装機10の運転停止信号を受けた場合、実行中の次のサイクル動作で縦シールされる部分の縦シールを完了させ、一対のヒートシール部31,32による側縁部R1,R2の挟み込みを解除した後に製袋包装機10を停止させる。すなわち、制御部16は、サイクル動作の停止後、フィルムFを搬送させずに、上側の第1位置P1及び第2位置P2において縦シール動作を行う。
【0059】
制御部16が、実行中の次のサイクル動作で縦シールされる部分の縦シールを実行しない場合の問題点について説明する。制御部16が製袋包装機10の運転を停止した時に、一対のヒートシール部31,32の間に、加熱シールされる前の側縁部R1,R2が位置している状態を考える。図10(a)は、この場合において、製袋包装機10が運転を停止した直後の状態を示す。図10(a)に示される状態において、第2ヒートシール部32と側縁部R2との間の距離が十分に確保されていない場合、加熱シールされる前の側縁部R1,R2が、第2ヒートシール部32の熱で変形するおそれがある。例えば、図10(b)に示されるように、側縁部R1,R2は、第2ヒートシール部32からの放射熱を受けて湾曲するおそれがある。この場合、製袋包装機10の運転が再開して、一対のヒートシール部31,32が、湾曲した側縁部R1,R2を挟み込んで加熱シールすると、シール不良の原因となる。
【0060】
本実施形態の製袋包装機10は、製袋包装機10の運転停止信号を受けた場合、実行中の次のサイクル動作で縦シールされる部分の縦シールを実行した後に、製袋包装機10を停止させるので、上述のシール不良の発生を抑制することができる。従って、製袋包装機10は、縦シールの不具合の発生を抑制することができる。
【0061】
(5)変形例
以下に上記実施形態の変形例を示す。なお、各変形例の内容の一部又は全部は、互いに矛盾しない範囲で他の変形例の内容と組み合わされてもよい。
【0062】
(5-1)変形例A
実施形態では、制御部16は、サイクル動作中に製袋包装機10の運転停止信号を受けた場合、実行中の次のサイクル動作で縦シールされる部分の縦シールを完了させ、一対のヒートシール部31,32による側縁部R1,R2の挟み込みを解除した後に製袋包装機10を停止させる。
【0063】
本変形例では、制御部16は、サイクル動作中に製袋包装機10の運転停止信号を受けた場合、実行中のサイクル動作における縦シールを完了させて、一対のヒートシール部31,32による側縁部R1,R2の挟み込みを解除した後に製袋包装機10を停止させる。具体的には、制御部16は、サイクル動作の実行中に製袋包装機10の停止信号を受けた場合、実行中のサイクル動作において、一対のヒートシール部31,32による側縁部R1,R2の挟み込みを解除させた後、かつ、一対のヒートシール部31,32を第1位置P1に移動させる前に、製袋包装機10を停止させる。
【0064】
本変形例では、制御部16は、実行中のサイクル動作において、図7(c)及び図8(c)に示される状態以前に、製袋包装機10の停止信号を受けた場合、実行中のサイクル動作において、図7(d)及び図8(d)に示される状態で製袋包装機10を停止させる。図7(c)及び図8(c)は、一対のヒートシール部31,32が第3位置P3にあり、縦シールが完了した時の状態を示す。図7(d)及び図8(d)は、一対のヒートシール部31,32が第4位置P4にあり、縦シールの完了後に一対のヒートシール部31,32による側縁部R1,R2の挟み込みが解除された状態である。
【0065】
図11は、図9と同様のタイムチャートであって、本変形例における縦シール機構22の動作のタイムチャートである。図11は、制御部16は、図7(c)及び図8(c)に示される状態より前に、製袋包装機10の停止信号を受けた場合のタイムチャートである。図11には、制御部16が製袋包装機10の運転を開示した時刻S0、制御部16が製袋包装機10の停止信号を受けた時刻S1、及び、製袋包装機10の停止後に制御部16が製袋包装機10の運転を再開した時刻S2が示されている。実施形態と異なり、制御部16は、図11(b)に示されるように、初回のサイクル動作において、エアシリンダによって一対のヒートシール部31,32で側縁部R1,R2を挟み込んで加熱シールする。
【0066】
図11では、制御部16は、一対のヒートシール部31,32が側縁部R1,R2を挟み込んでいる状態で下方に移動している間、すなわち、一対のヒートシール部31,32が第2位置P2から第3位置P3に移動している間、製袋包装機10の停止信号を時刻S1で受ける。この場合、制御部16は、一対のヒートシール部31,32の下方への移動が完了して、一対のヒートシール部31,32による側縁部R1,R2の挟み込みが解除された時刻t11において、製袋包装機10を停止させる。時刻t11において、一対のヒートシール部31,32は、第4位置P4にある。
【0067】
図11では、製袋包装機10の運転が再開される時刻S2において、制御部16は、一対のヒートシール部31,32を第4位置P4から第1位置P1に移動させる動作を開始し、同時に、搬送部33によるフィルムFの搬送を開始する。一対のヒートシール部31,32が第1位置P1に移動した後、制御部16は、縦シール機構22による通常のサイクル動作を開始する。
【0068】
本変形例では、制御部16は、実行中のサイクル動作において、図7(c)及び図8(c)に示される状態より後に、製袋包装機10の停止信号を受けた場合、製袋包装機10を直ちに停止させてもよい。
【0069】
本変形例でも、実施形態と同様に、制御部16は、縦シールを完了させて一対のヒートシール部31,32による側縁部R1,R2の挟み込みを解除した後に製袋包装機10を停止させることができる。従って、製袋包装機10は、縦シールの不具合の発生を抑制することができる。
【0070】
(5-2)変形例B
変形例Aにおいて、サイクル動作の起点である、一対のヒートシール部31,32の第1位置P1は、サイクル動作において、フィルムFの側縁部R1,R2を挟み込んでいる一対のヒートシール部31,32を長手方向LDに沿って移動させた後における、一対のヒートシール部31,32の長手方向LDの位置であってもよい。この場合、第1位置P1は、一対のヒートシール部31,32の上下方向の移動可能範囲において最も下方の位置である。具体的には、本変形例の第1位置P1は、実施形態の第4位置P4に相当する。図12は、本変形例における、一対のヒートシール部31,32のサイクル動作を正面から見た図である。
【0071】
本変形例における通常のサイクル動作について説明する。最初に、制御部16は、図12(a)に示されるようにフィルムFの側縁部R1,R2を挟み込んでいない第1位置P1にある一対のヒートシール部31,32を、長手方向LDに沿って上方に移動させる。これにより、図12(b)に示されるように、一対のヒートシール部31,32は、一対のヒートシール部31,32の上下方向の移動可能範囲において最も上方の位置まで移動する。次に、図12(c)に示されるように、制御部16は、一対のヒートシール部31,32を、フィルムFの側縁部R1,R2を挟み込んでいる第2位置P2まで移動させる。次に、図12(d)に示されるように、制御部16は、一対のヒートシール部31,32で側縁部R1,R2を挟み込んで加熱シールしながら、搬送部33によるフィルムFの搬送と連動するように、一対のヒートシール部31,32を第2位置P2から第3位置P3まで移動させる。その後、図12(a)に示されるように、制御部16は、一対のヒートシール部31,32による加熱シールされた側縁部R1,R2の挟み込みを解除して、一対のヒートシール部31,32を第3位置P3から第1位置P1まで移動させる。
【0072】
本変形例では、制御部16は、サイクル動作の実行中に製袋包装機10の停止信号を受けた場合、実行中のサイクル動作において、一対のヒートシール部31,32による側縁部R1,R2の挟み込みを解除させ、一対のヒートシール部31,32を第1位置P1以外の位置まで移動させた後に、製袋包装機10を停止させることができる。この場合、製袋包装機10の停止時において、第2ヒートシール部32と側縁部R2との間の距離が十分に確保されている必要がある。
【0073】
(5-3)変形例C
実施形態では、製袋包装機10が停止した後に製袋包装機10の運転を再開させる場合、制御部16は、フィルムFの搬送を開始すると同時に、駆動モータによって一対のヒートシール部31,32を上下方向に移動させてサイクル動作を開始する。この時、図9に示されるように、制御部16は、エアシリンダによって一対のヒートシール部31,32を第1位置P1から第2位置P2に移動させて側縁部R1,R2を挟み込む動作を行う。
【0074】
しかし、制御部16は、エアシリンダによって第1位置P1にある一対のヒートシール部31,32を第2位置P2に移動させる前に、フィルムFを長手方向LDに沿って下方に所定の距離だけ搬送させてもよい。所定の距離とは、例えば、1回のサイクル動作において搬送部33によってフィルムFが搬送される距離である。この場合、製袋包装機10の運転再開後の初回のサイクル動作では、制御部16は、エアシリンダによって一対のヒートシール部31,32で側縁部R1,R2を挟み込む動作を行い、側縁部R1,R2が加熱シールされる。
【0075】
(5-4)変形例D
実施形態及び変形例A~Cでは、製袋包装ユニット12は、フィルム供給ユニット13から供給されるフィルムFを連続的に搬送しながら袋Bを形成する。しかし、製袋包装ユニット12は、フィルム供給ユニット13から供給されるフィルムFを間欠的に搬送しながら袋Bを形成してもよい。この場合、製袋包装ユニット12は、所定のタイミングでフィルムFの搬送を一時的に停止しながら袋Bを形成する。
【0076】
フィルムFを連続的に搬送する連続モードでは、製袋包装ユニット12は、搬送中のフィルムFをシールする。一方、フィルムFを間欠的に搬送する間欠モードでは、製袋包装ユニット12は、フィルムFの搬送が停止しているタイミングで、停止中のフィルムFをシールする。製袋包装機10の制御部は、動作モードに応じて、製袋包装ユニット12を制御する。間欠モードでは、例えば、筒状に成形されたフィルムFの搬送が一時的に停止しているタイミングで、縦シール機構22が、停止中のフィルムFを縦シールする。この場合、制御部16は、縦シール機構22を上下方向に移動させる動作を行わない。実施形態と同様に、制御部16は、製袋包装機10の運転停止信号を受けた場合、縦シール機構22によるフィルムFの縦シールを完了させ、一対のヒートシール部31,32によるフィルムFの側縁部R1,R2の挟み込みを解除した後に、製袋包装機10の運転を停止させる。これにより、製袋包装機10は、実施形態と同様に、縦シールの不具合の発生を抑制することができる。
【0077】
また、製袋包装機10は、連続モードと間欠モードとの間で動作モードを切り替えることができるように構成されてもよい。連続モードと間欠モードとの間を切り替え可能とすることで、製袋包装機10の操作者は、状況に応じて適切な動作モードを選択することができる。この場合、制御部16は、製袋包装機10の運転停止信号を受けると、製袋包装機10の動作モードに応じて、縦シール機構22によるフィルムFの縦シールを完了させ、一対のヒートシール部31,32によるフィルムFの側縁部R1,R2の挟み込みを解除した後に、製袋包装機10の運転を停止させる。
【0078】
(5-5)変形例E
実施形態及び変形例A~Dでは、図7,8に示されるように、縦シール機構22のサイクル動作の実行中、第1ヒートシール部31は、上下方向に沿って所定の範囲内を往復し、第2ヒートシール部32は、左右方向及び上下方向に沿って所定の範囲内を移動することで、ボックスモーションを繰り返す。しかし、縦シール機構22のサイクル動作の実行中、第1ヒートシール部31及び第2ヒートシール部32の両方が、ボックスモーションを繰り返してもよい。この場合、第1ヒートシール部31及び第2ヒートシール部32の動きは、側縁部R1,R2に対して互いに対称となる。
【0079】
(5-6)変形例F
実施形態では、制御部16は、製袋包装機10の運転停止信号を受けた場合、実行中の次のサイクル動作で縦シールされる部分の縦シールを実行した後に、製袋包装機10を停止させることで、シール不良の発生を抑制することができる。しかし、制御部16は、他の方法によって、シール不良の発生を抑制してもよい。例えば、制御部16は、製袋包装機10の運転停止信号を受けた場合、一対のヒートシール部31,32をフィルムFから一時的に退避させた後に、製袋包装機10の運転を停止させてもよい。これにより、第1ヒートシール部31と第2ヒートシール部32との間にフィルムFの側縁部R1,R2が位置していない状態で製袋包装機10の運転を停止することができる。そのため、加熱シールされる前の側縁部R1,R2が、第2ヒートシール部32の熱で変形することが抑制されるので、シール不良の発生が抑制される。
【0080】
一対のヒートシール部31,32を一時的に退避させる方法の2つの具体例について説明する。第1の例では、制御部16は、製袋包装機10の運転停止信号を受けた時に、一対のヒートシール部31,32を前方に移動させて、一対のヒートシール部31,32と側縁部R1,R2との間の前後方向の距離を十分に確保した後に、製袋包装機10の運転を停止させる。これにより、加熱シールされる前の側縁部R1,R2の変形が抑制される。
【0081】
第2の例では、制御部16は、製袋包装機10の運転停止信号を受けた時に、側縁部R1,R2の前方に位置する鉛直方向に沿った所定の軸を中心に一対のヒートシール部31,32を回転させて、一対のヒートシール部31,32と側縁部R1,R2との間の距離を十分に確保した後に、製袋包装機10の運転を停止させる。これにより、加熱シールされる前の側縁部R1,R2の変形が抑制される。また、一対のヒートシール部31,32を回転させることで、製袋包装機10の運転の停止時において第1ヒートシール部31と第2ヒートシール部32とを互いに離すことができるので、一対のヒートシール部31,32の清掃が容易になる。
【符号の説明】
【0082】
10 製袋包装機
16 制御部
22 縦シール機構
31 第1ヒートシール部(ヒートシール部)
32 第2ヒートシール部(ヒートシール部)
33 搬送部
P1 第1位置
P2 第2位置
F フィルム
R1 側縁部(フィルムの両側の側縁部)
R2 側縁部(フィルムの両側の側縁部)
LD 長手方向(フィルムの長手方向)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【文献】特開2010-6387号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図7(d)】
図8(a)】
図8(b)】
図8(c)】
図8(d)】
図9
図10(a)】
図10(b)】
図11
図12(a)】
図12(b)】
図12(c)】
図12(d)】