(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】物体吊持安定化装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20240208BHJP
F16M 11/10 20060101ALI20240208BHJP
F16M 11/22 20060101ALI20240208BHJP
F16M 13/00 20060101ALI20240208BHJP
F16M 13/02 20060101ALI20240208BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240208BHJP
【FI】
G03B17/56 D
F16M11/10 M
F16M11/22 E
F16M13/00 E
F16M13/00 N
F16M13/00 R
F16M13/02 B
G03B15/00 U
G03B17/56 A
(21)【出願番号】P 2020112261
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】302006267
【氏名又は名称】株式会社クエストコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】神戸 博之
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-016430(JP,A)
【文献】特開2017-193331(JP,A)
【文献】特開2020-050340(JP,A)
【文献】実開昭49-040438(JP,U)
【文献】特開2014-145762(JP,A)
【文献】特開2003-207335(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105501454(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 15/00
F16M 13/00
F16M 13/02
F16M 11/10
F16M 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動する基体から吊るされた状態に保持される被吊持物体の揺動を抑制する物体吊持安定化装置であって、
上下方向に立てた状態で配されて前記基体に装着されるようにシャフト状に設けられた吊持装着シャフトと、
該吊持装着シャフトが、係合され、軸心を中心に回転しないで揺動自在に動作できるように、直交する2軸によって構成されるジンバル機構を備える吊持中心ジンバルと、
該吊持中心ジンバルが中央部に保持され、該中央部の中心の上下方向へ延びる上下軸と直交する平面上に描かれる円の3以上の円周等分位置にリンク連結部を備える上側リンク連結基部と、
該上側リンク連結基部の下方に配され、下側に前記被吊持物体が固定され、前記上側リンク連結基部のリンク連結部に対応して同数のリンク連結部を備える下側リンク連結基部と、
前記上側リンク連結基部と前記下側リンク連結基部との上下で対応するリンク連結部の間に連結されるリンク部材と、
該リンク部材と前記リンク連結部とを連結する継手であって、前記リンク部材が軸心を中心に回転しないで揺動自在に動作できるように、直交する2軸によって構成されるジンバル機構を備えるリンク連結用ジンバルとを具備することを特徴とする物体吊持安定化装置。
【請求項2】
前記リンク部材が3個であることを特徴とする請求項1記載の物体吊持安定化装置。
【請求項3】
前記吊持中心ジンバルが保持された前記上側リンク連結基部から下側に吊るされた状態の前記被吊持物体を含めた周囲を覆う風除カバーが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の物体吊持安定化装置。
【請求項4】
前記風除カバーに、前記被吊持物体の揺れを抑える揺れ抑え機構が設けられていることを特徴とする請求項3記載の物体吊持安定化装置。
【請求項5】
前記被吊持物体がカメラやセンサー機器であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の物体吊持安定化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動する基体から吊るされた状態に保持される被吊持物体の揺動を抑制する物体吊持安定化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物体吊持安定化装置に関連する技術としては、飛行体の下部に装着され、2つの異なる面方向に独立にカメラの向きを変更できる可変式カメラ支持機構であって、カメラを収納したカプセルと、当該カプセルを前記2つの異なる面方向の一方の方向に回動自在に軸支する逆U字形のカプセル支持部材と、当該カプセル支持部材に固定され、駆動信号に応じて当該カプセルを回動する第1のモータと、当該カプセル支持部材を前記2つの異なる面方向の他方の方向に回動自在に軸支し、ヘリコプターの機体に固定されたブラケットと、駆動信号に応じて回転し、当該カプセル支持部材を回動させる第2のモータとからなることを特徴とする可変式カメラ支持機構(特許文献1参照)が提案されている。このような上下左右にカメラの撮影方向を自在に操作し得る可変式カメラ支持機構によれば、ジャイロセンサからの信号によって、被吊持物体であるカメラの姿勢を制御することが可能であるが、装置が複雑化すると共に、駆動機構が作動することによるタイムラグが発生するため、追従性の極めて高い姿勢制御は難しいことになる。
【0003】
また、従来の他の物体吊持安定化装置に関連する技術としては、ジンバルを介して任意の方向に傾斜自在に支持されたシャフトと、シャフトの上端に設けられたGPSアンテナを有するGPS装置と、シャフトの下端に設けられた写真装置本体とを有し、写真装置本体の光軸が常に鉛直下方に向く様構成され、写真装置本体はGPSアンテナと既知の関係に設けられた撮像部と、撮像部の撮像を制御する制御装置とを有し、制御装置は撮像部で静止画像を取得する様、撮像部を制御すると共にGPS装置により撮像時の撮像位置を取得する様構成し、小型飛行体の姿勢がどの様に変化しても、正確に写真測量用カメラの撮影位置を特定可能な写真測量用カメラ又は航空写真装置(特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭61-91641号公報(特許請求の範囲(1))
【文献】特開2014-44067号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物体吊持安定化装置に関して解決しようとする問題点は、従来のジンバルを用いたものでは、そのジンバルで支持されて下端側に被吊持物体が装着されるシャフトを長くすることが、そのシャフトを長くするとその長さに比例して末端での揺れ幅が大きくなるため難しく、その結果、被吊持物体の重心をより下側へ効果的に下げることが難しくなり、被吊持物体の自重による慣性を効果的に利用して揺動をより適切に抑制することができない点にある。
【0006】
そこで本発明の目的は、被吊持物体の重心をより下側へ効果的に下げることができ、被吊持物体の揺動をより適切に抑制することができる物体吊持安定化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係る物体吊持安定化装置の一形態によれば、揺動する基体から吊るされた状態に保持される被吊持物体の揺動を抑制する物体吊持安定化装置であって、上下方向に立てた状態で配されて前記基体に装着されるようにシャフト状に設けられた吊持装着シャフトと、該吊持装着シャフトが、係合され、軸心を中心に回転しないで揺動自在に動作できるように、直交する2軸によって構成されるジンバル機構を備える吊持中心ジンバルと、該吊持中心ジンバルが中央部に保持され、該中央部の中心の上下方向へ延びる上下軸と直交する平面上に描かれる円の3以上の円周等分位置にリンク連結部を備える上側リンク連結基部と、該上側リンク連結基部の下方に配され、下側に前記被吊持物体が固定され、前記上側リンク連結基部のリンク連結部に対応して同数のリンク連結部を備える下側リンク連結基部と、前記上側リンク連結基部と前記下側リンク連結基部との上下で対応するリンク連結部の間に連結されるリンク部材と、該リンク部材と前記リンク連結部とを連結する継手であって、前記リンク部材が軸心を中心に回転しないで揺動自在に動作できるように、直交する2軸によって構成されるジンバル機構を備えるリンク連結用ジンバルとを具備する。
【0008】
また、本発明に係る物体吊持安定化装置の一形態によれば、前記リンク部材が3個であることを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明に係る物体吊持安定化装置の一形態によれば、前記吊持中心ジンバルが保持された前記上側リンク連結基部から下側に吊るされた状態の前記被吊持物体を含めた周囲を覆う風除カバーが設けられていることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明に係る物体吊持安定化装置の一形態によれば、前記風除カバーに、前記被吊持物体の揺れを抑える揺れ抑え機構が設けられていることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る物体吊持安定化装置の一形態によれば、前記被吊持物体がカメラやセンサー機器であることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る物体吊持安定化装置によれば、被吊持物体の重心をより下側へ効果的に下げることができ、被吊持物体の揺動をより適切に抑制することができるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る物体吊持安定化装置の形態例を示す斜視図である。
【
図2】
図1の形態例のAの部分を拡大した拡大斜視図である。
【
図3】
図1の形態例のBの部分を拡大した拡大斜視図である。
【
図5】
図1の形態例の
図4で示したC-C線で破断した横断面図である。
【
図6】
図1の形態例の風除カバーを取り除いた状態の(a)平面図、及び(b)側面図である。
【
図7】
図1の形態例に用いられている吊持中心ジンバルの(a)斜視図、(b)平面図、及び(c)側面図である。
【
図8】
図1の形態例に用いられているリンク連結用ジンバルの(a)斜視図、(b)正面図、及び(c)側面図である。
【
図9】本発明に係る物体吊持安定化装置が装着されたドローンの形態例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る物体吊持安定化装置の形態例を、添付図面(
図1~9)に基づいて詳細に説明する。この物体吊持安定化装置は、揺動する基体から吊るされた状態に保持される被吊持物体90の揺動を抑制するものであって、例えば
図9に示すように、無人航空機(ドローン100)に装着して用いることができる。
【0015】
本発明に係る物体吊持安定化装置は、
図1において二点鎖線で囲まれた部分であり、例えば図に示すようなレーザー鉛直器(被吊持物体90)を吊り下げた状態に保持し、その揺動を抑制するように用いられる。この本発明に係る被吊持物体90とは、揺動による影響を排除することが求められる物であり、例えば、カメラや各種のセンサー機器のことである。なお、本形態例のレーザー鉛直器によれば、一定の水平基準を満たした場合に、自動的に鉛直方向を調整し、鉛直にレーザー光を照射することができ、所望の地点を指し示すことができる。例えば、GPSシステムによって設定された地点の上空にホバリングするドローン100から、鉛直下方へレーザー光を照射することで設定された地点を指し示すことができる。
【0016】
10は吊持装着シャフトであり、上下方向に立てた状態で配されて前記基体(本形態例ではドローン100(
図9参照))に装着されるようにシャフト状に設けられている。本形態例の吊持装着シャフト10は、ボルト形状に設けられており、ボルトの頭部に当たる部分が、装着される際に下端となるように配され、後述する吊持中心ジンバル20に係合する係合部11となっている。
【0017】
吊持中心ジンバル20は、吊持装着シャフト10が、係合され、その吊持装着シャフト10の軸心を中心に回転しないで揺動自在に動作できるように、直交する2軸によって構成されるジンバル機構を備えている。
【0018】
本形態例の吊持中心ジンバル20は、
図7に示すように、後述する上側リンク連結基部30の中央部31に固定される外枠21と、その外枠21に設けられた第1軸22よって回動自在に動作できる第1の回動枠23と、その第1の回動枠23に設けられた第2軸24よって回動自在に動作できる第2の回動枠25とを備えている。そして、第2の回動枠25の中央開口に、吊持装着シャフト10が挿通されて保持されることで両者が固定された状態になり、第2の回動枠25と吊持装着シャフト10とは一体となって動作するように設けられている。
【0019】
これによれば、吊持装着シャフト10が、直交する2軸によって構成されるジンバル機構によって、前後及び左右の方向に揺動自在に動作できると共に、第1軸22と第2軸24によって規制されることになるため、その吊持装着シャフト10の軸心を中心に回転(自転)しない揺動運動ができる構成になっている。すなわち、この吊持中心ジンバル20によれば、ドローン100のような揺動する基体の前後及び左右の傾きに対して、その傾きを打ち消し、被吊持物体90を水平に保つように作動することができる。
【0020】
上側リンク連結基部30は、吊持中心ジンバル20が中央部31に保持されて一体てきに固定された状態となり、その中央部31の中心の上下方向へ延びる上下軸と直交する平面上に描かれる円の3以上の円周等分位置にリンク連結部35を備える形態に設けられている。本形態例では、円周3等分の位置に、それぞれアーム部32が中央部31から径方向外側へ放射状に延設された状態に設けられており、そのアーム部32の先端にリンク連結部35が設けられている。
【0021】
なお、このアーム部32は、本形態例では3本が形成されたもの(リンク連結部35が3か所に設けられた形態)になっているが、本発明ではこれに限定されるものではなく、被吊持物体90をバランスよく三次元的に吊持できる形態として4本以上形成されたものであっても良い。また、本形態例の上側リンク連結基部30では、アーム部32を設けて軽量化した形態となっているが、これに限定されることはなく、剛性を高めるためなど、適宜選択的に補強形態などを設定してもよいのは勿論である。
【0022】
40は下側リンク連結基部であり、上側リンク連結基部30の下方に配され、下側に被吊持物体90が固定されて一体的保持され、上側リンク連結基部30のリンク連結部35に対応して同数のリンク連結部45を備えている。なお、下側リンク連結基部40の中心が、吊り下げられた状態で、被吊持物体90の重心と鉛直方向に一致するように、この下側リンク連結基部40に被吊持物体90が固定されているとよい。
【0023】
本形態例の下側リンク連結基部40は、上側リンク連結基部30と同様に、その中心の上下方向へ延びる上下軸と直交する平面上に描かれる円の3以上の円周等分位置にリンク連結部45を備える形態に設けられている。本形態例では、円周3等分の位置に、それぞれアーム部42が中心から径方向外側へ放射状に延設された状態に設けられており、そのアーム部42の先端にリンク連結部45が設けられている。
【0024】
また、このアーム部42は、本形態例では3本が形成されたものになっているが、上側リンク連結基部30のアーム部32と同様に本発明ではこれに限定されるものではなく、被吊持物体90をバランスよく三次元的に吊持するための形態として4本以上形成されたものであっても良い。また、本形態例の下側リンク連結基部40では、アーム部42を設けて軽量化した形態となっているが、これに限定されることはなく、剛性を高めるためなど、適宜選択的に補強形態などを設定してもよいのは勿論である。
【0025】
50はリンク部材であり、上側リンク連結基部30と下側リンク連結基部40との上下で対応するリンク連結部35、45の間に連結されている。本形態例では、このリンク部材50が3個である構成になっており、同一長さの棒状に設けられている。従って、それぞれの上下で対応するリンク連結部35、45の間隔は同一となっており、上側リンク連結基部30にリンク部材50を介して下側リンク連結基部40が吊り下げられ、上側リンク連結基部30と下側リンク連結基部40とは平行に配された状態になって、四節平行リンクが3面形成されたような形態になっている。これによれば、3点支持と同様に、最小限の構成になっており、バランスよく被吊持物体90を吊持することができる。また、本形態例のリンク部材50では、棒状又はシャフト状の形態になっているが、これに限定されるものではなく、剛性を高めるためなど、適宜選択的に補強形態などを設定してもよいのは勿論である。
【0026】
60はリンク連結用ジンバルであり、リンク部材50とリンク連結部35、45とを連結する継手であって、リンク部材50が軸心を中心に回転しないで揺動自在に動作できるように、直交する2軸によって構成されるジンバル機構を備えている。なお、このリンク部材50の軸心とは、上下で対応するリンク連結部35、45のそれぞれの中心の間を結ぶ線と重なるもので、本形態例のような長尺棒状のリンク部材50では、その長手方向に延びる軸心線のことである。
【0027】
本形態例のリンク連結用ジンバル60は、
図8に示すように、上側リンク連結基部30及び下側リンク連結基部40のそれぞれに装着されるように、第1軸62と第2軸64に嵌まる部分を備える第1の回動片63と、第2軸64に嵌まる部分を備える第2の回動片65とを備えている。本形態例では、このリンク連結用ジンバル60が、上下に3個ずつ、合計で6個が装着されている。
【0028】
これによれば、リンク部材50が、直交する2軸によって構成されるリンク連結用ジンバル60のジンバル機構によって、前後及び左右の方向に揺動自在に動作できると共に、第1軸62と第2軸64によって規制されることになるため、そのリンク部材50の軸心を中心に回転(自転)しない揺動運動ができる構成になっている。すなわち、このリンク連結用ジンバル60によれば、前述の吊持中心ジンバル20の動作と同様に、ドローン100のような揺動する基体の前後及び左右の傾きに対して、その傾きを打ち消し、被吊持物体90を水平に保つように作動することができる。
【0029】
本発明に係る物体吊持安定化装置によれば、被吊持物体90の重心をより下側へ効果的に下げることができ、被吊持物体90の揺動をより適切に抑制することができるという特別有利な効果を奏する。すなわち、この物体吊持安定化装置によれば、吊持中心ジンバル20とリンク連結用ジンバル60のどちらも2軸のジンバルによって構成されているため、軸心を中心に回転する動き(自転)が阻止されることで、捩じられる動作による揺動を阻止することができる。このため、被吊持物体90は、鉛直線に直交する水平面と平行に揺動するが、これと異なる他の方向の振れが可及的に抑制されることになり、被吊持物体90の揺動をより精密に抑制することができる。また、リンク部材50によって、被吊持物体90の重心をより下側へ位置させることができるため、揺動してもモーメントの作用で、その揺動を押さえる方向へ力が作用し易く、揺動を素早く減衰されることができることになり、揺動をより効果的に抑制し、被吊持物体90の安定化を促進できる。
【0030】
また、本形態例では、吊持中心ジンバル20が固定された上側リンク連結基部30から下側に吊るされた状態の被吊持物体90を含めた周囲を覆う風除カバー70が設けられている。本形態例の風除カバー70は、風除カバー取付部材71を介して吊持装着シャフト10によって保持される形態となっており、風除カバー70と吊持装着シャフト10の両者が一体的に動作できる状態に配されている。
【0031】
この風除カバー70によれば、本発明に係る物体吊持安定化装置が、例えばドローン100に装着される場合、ドローン100が移動する際に受ける風を含めて、揺動の主な原因となる風圧(空気圧)を除ける風除けとなって、揺動を抑制することができる。
【0032】
なお、風除カバー70の取付位置は、本形態例に限定されるものではなく、例えばドローン100に装着される場合、そのドローン100の本体側に取り付けることができる。すなわち、本発明に係る物体吊持安定化装置の被吊持物体90が吊持される側であって、吊持中心ジンバル20が固定される上側リンク連結基部30から下側部分とは、別々に動作するように、吊持装着シャフト10よりも上側の部材に装着されることになる。
【0033】
さらに、本形態例では、風除カバー70に、被吊持物体90の揺れを抑える揺れ抑え機構75が設けられている。本形態例の揺れ抑え機構75は、
図1に示すように、揺れ抑え板76と揺れ抑え板駆動ソレノイド77とを備え、円周3等分の位置にそれぞれ配されており、遠隔操作によって駆動できるように設けられている。
【0034】
これによれば、移動時や揺れが大きいときに、揺れ抑え板駆動ソレノイド77を作動させ、揺れ抑え板76によって被吊持物体90を保持して揺れを押さ込むことができる。そして、例えばドローン100に装着されて使用される場合、安定的なホバリング状態になった時点で、揺れ抑え板駆動ソレノイド77を作動させて揺れ抑え板76による被吊持物体90の保持を解除し、被吊持物体90の自重による慣性を利用して、その被吊持物体90が静止状態になるように安定化させることができる。なお、揺れ抑え板76の動作は、本形態例のようなソレノイドに限定されるものではなく、他の既知の駆動機構を適宜選択的に採用できるのは勿論である。
【0035】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0036】
10 吊持装着シャフト
11 係合部
20 吊持中心ジンバル
21 外枠
22 第1軸
23 第1の回動枠
24 第2軸
25 第の2回動枠
30 上側リンク連結基部
31 中央部
32 アーム部
35 リンク連結部
40 下側リンク連結基部
42 アーム部
45 リンク連結部
50 リンク部材
60 リンク連結用ジンバル
62 第1軸
63 第1の回動片
64 第2軸
65 第2の回動片
70 風除カバー
71 風除カバー取付部材
75 揺れ抑え機構
76 揺れ抑え板
77 揺れ抑え板駆動ソレノイド
90 被吊持物体
100 ドローン