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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】基板供給システムおよび基板加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240208BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/78 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020553785
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2019041058
(87)【国際公開番号】W WO2020090518
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2018205614
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】奥田 修
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-10287(JP,A)
【文献】国際公開第2003/082542(WO,A1)
【文献】特開2012-146872(JP,A)
【文献】特開平9-199575(JP,A)
【文献】特開平5-175256(JP,A)
【文献】特開平7-78794(JP,A)
【文献】特開2015-138856(JP,A)
【文献】特開昭63-47036(JP,A)
【文献】特開2012-156413(JP,A)
【文献】特開2017-175029(JP,A)
【文献】特表2016-514376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を所定の間隔で積層した状態で収容するカセットから前記基板を搬送路に供給する基板供給システムであって、
第1のカセットを着脱可能に載置した第1の載置部を収納する第1の収納部と、
第2のカセットを着脱可能に載置した第2の載置部を収納する第2の収納部と、
前記基板を前記第1のカセットおよび前記第2のカセットから前記基板の積層方向に垂直な方向に引き出して前記搬送路に受け渡す引き出し機構と、
前記引き出し機構を前記第1の収納部と前記第2の収納部との間で移動させる移動機構と、
前記第1の載置部が第1の収納部から引き出されて位置する第1の着脱位置と、
前記第2の載置部が第2の収納部から引き出されて位置する第2の着脱位置と、
前記第1の載置部が第1の着脱位置に位置したときに第1の収納部と第1の着脱位置との間を塞ぐ第1のシャッタと、
前記第2の載置部が第2の着脱位置に位置したときに第2の収納部と第2の着脱位置との間を塞ぐ第2のシャッタと、
を備える、ことを特徴とする基板供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の基板供給システムにおいて、
前記引き出し機構は、
前記基板を保持するハンドと、
前記ハンドを前記積層方向に垂直な方向に移動させる駆動機構と、
引き出された前記基板を支持して案内するガイド部と、を備え、
前記ハンドが前記基板を前記第1カセットおよび前記第2のカセットから引き出すとき、前記移動機構は、供給対象の基板に向かい合うように前記ハンドを位置付ける、ことを特徴とする基板供給システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板供給システムにおいて、
前記第1の収納部と前記第2の収納部は、前記積層方向に並んで配置され、
前記移動機構は、前記積層方向に前記引き出し機構を移動させる、
ことを特徴とする基板供給システム。
【請求項4】
請求項3に記載の基板供給システムにおいて、
前記積層方向は、上下方向である、ことを特徴とする基板供給システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の基板供給システムにおいて、
前記移動機構を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記移動機構により、前記引き出し機構を前記積層方向の一方向に移動させる、ことを特徴とする基板供給システム。
【請求項6】
請求項5に記載の基板供給システムにおいて、
前記積層方向は上下方向であって、
前記制御部は、前記移動機構により、前記引き出し機構を下方から上方の一方向に移動させる、ことを特徴とする基板供給システム。
【請求項7】
複数の基板を所定の間隔で積層した状態で収容するカセットから前記基板を搬送路に供給する基板供給システムであって、
第1のカセットを着脱可能に載置した第1の載置部を収納する第1の収納部と、
第2のカセットを着脱可能に載置した第2の載置部を収納する第2の収納部と、
前記基板を前記第1のカセットおよび前記第2のカセットから前記基板の積層方向に垂直な方向に引き出して前記搬送路に受け渡す引き出し機構と、
前記引き出し機構を前記第1の収納部と前記第2の収納部との間で移動させる移動機構と、
前記第1の載置部が第1の収納部から引き出されて位置する第1の着脱位置と、
前記第2の載置部が第2の収納部から引き出されて位置する第2の着脱位置と、
前記第1の載置部が第1の着脱位置に位置したときに第1の収納部と第1の着脱位置との間を塞ぐ第1のシャッタと、
前記第2の載置部が第2の着脱位置に位置したときに第2の収納部と第2の着脱位置との間を塞ぐ第2のシャッタと、
を備える基板供給システムと、
前記基板の表面にスクライブラインを形成するスクライブユニットと、
前記スクライブラインが形成された前記基板の表面にフィルムを貼付するフィルムラミネートユニットと、
前記フィルムが貼付された面が下側となるように前記基板を反転させる反転ユニットと、
前記フィルムが貼付されていない面に所定の力を付与して前記スクライブラインに沿って前記基板を分断するブレイクユニットと、
前記基板を所定の位置に搬送する搬送部と、を備えることを特徴とする、基板加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を供給するための基板供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器等に広く利用される半導体デバイスは、複数の領域に区分された各領域にそれぞれ光デバイス等が組み込まれたウェーハから製造される。ここで、半導体デバイスは、たとえば、次のような工程により製造される。まず、単結晶インゴットの直径が均一となるように、単結晶インゴットの外周面が研削され、厚さ1mm程度の円盤状にスライスされる。これが、いわゆるウェーハである。ウェーハの両面が研削されて、所定の厚さに仕上げられる(研削工程)。続いて、ウェーハの両面が研磨され、平坦度の高い鏡面仕上げが行われる(研磨工程)。そして、研磨されたウェーハは洗浄され(洗浄工程)、ウェーハが完成する。この後、ウェーハの表面に回路パターンが焼き付けられ、所定のラインに沿って分割される。
【0003】
以下の特許文献1は、ウェーハに設けられた所定のラインに沿ってウェーハを切削する切削装置が開示されている。この切削装置には、切削される前の複数のウェーハ(未加工のウェーハ)が収容されているカセット、および切削された後のウェーハ(加工後のウェーハ)を収容するためのカセットがチャックテーブル上に載置される。未加工のウェーハはカセットから順に搬送され、切削された後、加工後のウェーハを収容するカセットに搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-175422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、未加工のウェーハがカセットから全て搬出されてカセットが空になると、カセットが装置から取り外されて、カセットに新たに未加工のウェーハが収容される。そして、再度、カセットが装置に装着されて、新たに、ウェーハの切削工程が実行される。
【0006】
ここで、装置に対するカセットの取り外しと装着には、所定の時間を要する。このため、この時間においては、装置にウェーハを供給できず、装置の稼働率が低下する。特に、カセットの取り外し時には、誤って装置の内部に手が入らないように、安全機構を動作させることも想定され得る。この場合は、装置に対するカセットの取り外しと装着に要する時間がさらに長くなり、その結果、装置の稼働率がより一層低下することとなる。
【0007】
かかる課題に鑑み、本発明は、装置の稼働率を高めることが可能な基板供給システム、および基板供給システムを備えた基板加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、複数の基板を所定の間隔で積層した状態で収容するカセットから前記基板を搬送路に供給する基板供給システムに関する。本態様に係る基板供給システムは、第1のカセットを着脱可能に載置した第1の載置部を収納する第1の収納部と、第2のカセットを着脱可能に載置した第2の載置部を収納する第2の収納部と、前記基板を前記第1のカセットおよび前記第2のカセットから前記基板の積層方向に垂直な方向に引き出して前記搬送路に受け渡す引き出し機構と、前記引き出し機構を前記第1の収納部と前記第2の収納部との間で移動させる移動機構と、前記第1の載置部が第1の収納部から引き出されて位置する第1の着脱位置と、前記第2の載置部が第2の収納部から引き出されて位置する第2の着脱位置と、前記第1の載置部が第1の着脱位置に位置したときに第1の収納部と第1の着脱位置との間を塞ぐ第1のシャッタと、前記第2の載置部が第2の着脱位置に位置したときに第2の収納部と第2の着脱位置との間を塞ぐ第2のシャッタと、を備える。
【0009】
本態様に係る構成によれば、たとえば、引き出し機構が第2のカセットから基板を引き出して搬送路に供給している間に、先に基板を供給し終えた第1のカセットを第1の収納部から取り出し、この第1のカセットに基板を収容して、再び第1の収納部に第1のカセットを収納することができる。これにより、第1のカセットから全ての基板が搬送路に供給された場合、引き出し機構による供給動作を一旦停止させることなく、第1のカセットに基板を収容し、第1のカセットを第1の収納部に収納することができる。よって、第1のカセットおよび第2のカセットから連続的に基板を搬送路に供給でき、基板供給システムの稼働率を高めることができる。
【0010】
なお、本態様にかかる基板供給システムにおいて、カセットを着脱可能に収納する収納装置は2つに限らず、3つ以上設けられてもよい。
【0011】
また、第2のカセットから搬送路に供給された基板は、所定の装置で加工された後、同じ搬送路を通って、第2のカセットに戻らせるようにしてもよい。この場合、第2のカセットから搬送路に供給された基板の全てが第2のカセットに戻った後、第2の収納部から第2のカセットを取り出し、第2のカセットから加工後の基板を回収し、未加工の基板を第2のカセットに収容して、再び、第2の収納部に収納することができる。
【0012】
本態様に係る基板供給システムにおいて、前記引き出し機構は、前記基板を保持するハンドと、前記ハンドを前記積層方向に垂直な方向に移動させる駆動機構と、引き出された前記基板を支持して案内するガイド部と、を備え、前記ハンドが前記基板を前記第1カセットおよび前記第2のカセットから引き出すとき、前記移動機構は、供給対象の基板に向かい合うように前記ハンドを位置付けるよう構成され得る。
【0013】
一般に、半導体ウェーハのような基板は、薄膜で脆く、衝撃に弱い。このような基板を搬送路に供給する際、収納部やカセットを上下あるいは左右に移動させると、揺れや振動により基板がカセット内で破損する虞が生じる。この点、この構成では、収納部およびカセットは移動することなく、移動機構によりハンドが積層方向に移動して供給対象の基板をカセットから引き出す。これにより、基板がカセット内で破損することを確実に防ぐことができる。また、引き出し機構は、ガイド部を備える。これにより、引き出し機構がカセットから基板を引き出すとき、基板は、ガイド部により支持されながら引き出される。よって、基板の引き出しを円滑に行うことができる。
【0014】
本態様に係る基板供給システムにおいて、前記第1の収納部と前記第2の収納部は、前記積層方向に並んで配置され、前記移動機構は、前記積層方向に前記引き出し機構を移動させるよう構成され得る。
【0015】
本態様に係る構成によれば、引き出し機構を積層方向のみに移動させることにより、第1のカセットおよび第2カセットの各基板の収容位置に引き出し機構を位置付けることができる。よって、移動機構の構成および制御を簡素にできる。
【0016】
この場合、前記積層方向は、上下方向であるよう構成され得る。
【0017】
この構成であれば、基板を安定した状態でカセットに収容できる。また、基板がカセットから水平に引き出されるため、基板を安定的にカセットから引き出すことができる。
【0018】
本態様に係る基板供給システムにおいて、前記移動機構を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記移動機構により、前記引き出し機構を前記積層方向の一方向に移動させるよう構成され得る。
【0019】
本態様に係る構成によれば、引き出し機構は積層方向を行き来することなく、一方向に移動する。これにより、第1のカセットまたは第2のカセットの一方から順に基板が搬送路に供給される。そして、空になった方のカセットを速やかに収納装置から取り出して、新たな基板をそのカセットに収容し、再び、収納装置に収納することができる。
【0020】
また、搬送路に供給された基板が元のカセットに回収される場合であれば、搬送路に供給された基板が所定の装置で加工されて元のカセットに搬送された後、加工済みの基板が収容された方のカセットを収納装置から取り出す。そして、上記と同様に、未加工の基板をカセットに収容し、再び、収納装置に収納することができる。このように、基板の供給が円滑に、また、効率よく行われる。
【0021】
この場合、前記積層方向は上下方向であって、前記制御部は、前記移動機構により、前記引き出し機構を下方から上方の一方向に移動させるよう構成され得る。
【0022】
本態様に係る構成によれば、引き出し機構は、下側に配置されているカセットの一番下に収容されている基板から、上側に配置されているカセットの一番上に収容されている基板まで、順に基板を引き出す。これにより、効率よく1つのカセットから基板を搬送路に供給することができる。よって、空になった、あるいは、加工後の基板が収容されたカセットを、収納装置から取り出して未加工の基板をカセットに収容し、再び、収納装置に収納するという作業のサイクルを早めることができる。
【0023】
本発明の第2の態様は、基板を加工する基板加工装置に関する。本態様に係る基板加工装置は、複数の基板を所定の間隔で積層した状態で収容するカセットから前記基板を搬送路に供給する基板供給システムであって、第1のカセットを着脱可能に載置した第1の載置部を収納する第1の収納部と、第2のカセットを着脱可能に載置した第2の載置部を収納する第2の収納部と、前記基板を前記第1のカセットおよび前記第2のカセットから前記基板の積層方向に垂直な方向に引き出して前記搬送路に受け渡す引き出し機構と、前記引き出し機構を前記第1の収納部と前記第2の収納部との間で移動させる移動機構と、前記第1の載置部が第1の収納部から引き出されて位置する第1の着脱位置と、前記第2の載置部が第2の収納部から引き出されて位置する第2の着脱位置と、前記第1の載置部が第1の着脱位置に位置したときに第1の収納部と第1の着脱位置との間を塞ぐ第1のシャッタと、前記第2の載置部が第2の着脱位置に位置したときに第2の収納部と第2の着脱位置との間を塞ぐ第2のシャッタと、を備える基板供給システムを備える。また、本態様の基板加工装置は、前記基板の表面にスクライブラインを形成するスクライブユニットと、前記スクライブラインが形成された前記基板の表面にフィルムを貼付するフィルムラミネートユニットと、前記フィルムが貼付された面が下側となるように前記基板を反転させる反転ユニットと、前記フィルムが貼付されていない面に所定の力を付与して前記スクライブラインに沿って前記基板を分断するブレイクユニットと、前記基板を所定の位置に搬送する搬送部と、を備える。
【0024】
この構成であれば、第1の態様と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明によれば、装置の稼働率を高めることが可能な基板供給システム、および基板供給システムを備えた基板加工装置を提供することができる。
【0026】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1(a)~(c)は、実施形態に係る基板供給システムの構成を示す斜視図である。図1(a)は、基板供給システムの構成を示す斜視図である。図1(b)は、基板供給システムに収納されるカセットの構成を示す斜視図である。図1(c)は、基板供給システムの収納装置の構成を示す斜視図であり、図1(a)に対応する。
図2図2(a)、(b)は、実施形態に係る基板供給システムの引き出し機構および移動機構の構成を示す斜視図である。
図3図3(a)、(b)は、実施形態に係る基板供給システムと搬送路とを示す斜視図である。
図4図4(a)、(b)は、実施形態に係る基板供給システムと搬送路とを示す斜視図である。
図5図5(a)は、実施形態に係る基板供給システムの構成を示すブロック図である。図5(b)は、実施形態に係る基板供給システムの動作を示すフローチャートである。
図6図6(a)~(c)は、実施形態に係る基板供給システムの収納装置の構成を示す斜視図である。
図7図7は、実施形態に係る基板供給システムの収納装置の構成を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態に係る基板供給システムの収納装置の構成を示す斜視図である。
図9図9は、実施形態に係る基板供給システムの収納装置の構成を示す斜視図である。
図10図10(a)~(c)は、実施形態に係る基板供給システムの収納装置の構成を示す斜視図である。図10(a)、(b)は、リンク機構周辺の拡大図である。図10(c)は、図9に対応する斜視図である。
図11図11は、実施形態に係る基板供給システムの収納装置の構成を示す斜視図である。
図12図12(a)~(c)は、実施形態に係る基板供給システムの収納装置の構成を示す斜視図である。図12(a)、(b)は、リンク機構周辺の拡大図である。図12(c)は、図11に対応する斜視図である。
図13図13は、実施形態に係る基板供給システムの収納装置の構成を示す斜視図である。
図14図14(a)、(b)は、実施形態に係る基板供給システムの収納装置の構成を示す斜視図である。図14(a)は、リンク機構周辺の拡大図である。図14(b)は、図13に対応する斜視図である。
図15図15は、実施形態に係る基板供給システムを備えた基板加工装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が付記されている。X-Y平面は水平面に平行で、Z軸方向は鉛直方向である。Z軸正側が上方であり、Z軸負側が下方である。また、本実施の形態において、Z軸方向が特許請求の範囲に記載の「積層方向」である。この積層方向は、本実施の形態において、「上下方向」と表記される場合がある。また、Y軸方向が特許請求の範囲に記載の「積層方向に垂直な方向」である。このY軸方向は、本実施の形態において、「水平方向」と表記される場合がある。
【0029】
<実施形態>
[基板供給システムの構成]
本実施の形態の基板供給システム1は、電子機器等に広く利用される半導体デバイスの材料である半導体ウェーハの製造の際、ウェーハを所定の装置に搬送する搬送路に供給するために用いられる。本実施の形態において、基板供給システム1による供給対象の基板は、環状のフレームにダイシングテープで貼付された半導体ウェーハである。以降、「環状のフレームにダイシングテープで貼付された半導体ウェーハ」は、単に、「ウェーハW」と表記される。また、本実施の形態の説明では、ウェーハWが基板供給システム1から完全に引き出された位置を「引き出し位置」と称し、この引き出し位置から搬送路に受け渡される位置を「受渡位置」と称する。
【0030】
ウェーハWの材質として、たとえば、単結晶シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、およびヒ化ガリウム(GaSa)等が挙げられる。半導体ウェーハの上記のような材質、厚み、およびサイズは、製造目的の半導体デバイスの種類、機能等によって適切に選択され、設計される。
【0031】
図1(a)~(c)は、基板供給システム1の構成を示す斜視図である。図1(a)は、基板供給システム1の斜視図であり、図1(b)は、ウェーハWが収容されたカセットを示す斜視図であり、図1(c)は、収納装置100の斜視図である。
【0032】
図1(a)に示すように、基板供給システム1は、収納装置100と、引き出し機構200と、移動機構300と、を備えている。なお、収納装置100全体は筐体で覆われているが、説明の便宜上、この筐体は省略されている。以降、全ての図において、収納装置100全体を覆う筐体は省略されている。
【0033】
収納装置100は、搬送路に供給されるウェーハWが収納される。具体的には、図1(b)に示すように、複数のウェーハWが積層された状態でカセットに収容され、このカセットが収納装置100に収納される。本実施の形態では、第1のカセット10および第2のカセット20の2つが用意される。第1のカセット10の側壁11a、11bの内側面に、所定の間隔で溝12が設けられている。ウェーハWは、この溝12に挿入されることにより、第1のカセット10の内部で支持された状態で収容される。
【0034】
第1のカセット10の上部には、オペレータが第1のカセット10を持ち運びする際に使用される取っ手13が設けられている。第2のカセット20は、第1のカセット10と同様の構成であるため、説明を省略する。なお、上記では、第1のカセット10および第2のカセット20は、共通のカセットとして説明したが、第1のカセット10と第2のカセット20とで、側壁11a、11bの内側面に設けられる溝12の間隔を異ならせてもよく、また、収容するウェーハWの数を異ならせてもよい。
【0035】
収納装置100は、上記した第1のカセット10および第2のカセット20を収納する。図1(c)に示すように、収納装置100は、ウェーハWの積層方向、つまり、上下方向に並んで配置されている第1の収納部101と第2の収納部102とを備える。また、収納装置100は、第1の収納部101に、第1のカセット10が着脱可能に載置される載置部110と、第1の収納部101を覆う筐体103と、扉104と、載置部110に設置される取っ手112と、収納装置100と引き出し位置とを遮断するシャッタ140と、を備える。
【0036】
上記のとおり、収納装置100は、第1の収納部101が筐体103で覆われ、また、水平方向に開閉する扉104が設けられている。扉104は、図1(a)、(c)において図示を省略した、収納装置100全体を覆う筐体に取付られており、扉104を開閉すると、第1の収納部101にアクセスすることができる。また、オペレータが基板供給システム1の稼働中、第1のカセット10および第2のカセット20を視認できるよう、扉104を透明な部材で構成することができる。図1(c)では、扉104が透明な場合を図示している。
【0037】
上記した筐体103、扉104、載置部110、および取っ手112は、第2の収納部102についても同様に設けられる。
【0038】
このように、収納装置100が第1の収納部101と第2の収納部102とを備えており、第1の収納部101および第2の収納部102のそれぞれに扉104が設けられている。このため、たとえば、第1の収納部101に収納された第1のカセット10からウェーハWが搬送路に供給されている間、オペレータは、第2の収納部102の扉104を開けて、第2の収納部102の載置部110をY軸負方向に引き出すことができる。このとき、第2の収納部102に第2のカセット20が収納されていない、あるいは、第2のカセット20内にウェーハWが収容されていない場合(つまり、第2のカセット20から全てのウェーハWが搬送路に供給されていた場合)、オペレータは、第2のカセット20にウェーハWを収容し、第2の収納部102の載置部110に適切に第2のカセット20を載置した後、第2の収納部102の載置部110をY軸正方向に引き入れる。このように、第2の収納部102に第2のカセット20を収納することができる。
【0039】
図1(a)に示すように、シャッタ140は、収納装置100において、ウェーハWが搬送路に供給される場合、開放される。たとえば、上記の場合であれば、第1の収納部101からウェーハWが搬送路に供給されているため、第1の収納部101に設けられているシャッタ140は、開放されている。一方、第2の収納部102では、第2のカセット20の取り出しが行われている。このような場合、第2の収納部102のシャッタ140が開放されると、作業者の手が誤って第2の収納部102の奥方(Y軸正側)に入り込み危険である。あるいは、新たなウェーハWが収容された第2のカセット20を第2の収納部102に収納する際、ウェーハWが第2のカセット20から奥方へ飛び出し、落下する虞がある。そのため、第2の収納部102と引き出し位置との間を遮断するため、第2の収納部102のシャッタ140は閉塞される。なお、図1(a)、(c)は、説明の便宜上、各収納部の内部が見えるように図示するために、第1の収納部101のシャッタ140および第2の収納部102のシャッタ140は開放された状態が図示されているが、実際の動作に対応するものではない。これは、図3(a)~図4(b)も同様である。
【0040】
また、収納装置100は、図1(c)に示すように、移動部120と、規制部130と、昇降機構150と、支持部160と、リンク機構170と、検知手段180と、を備えている。なお、移動部120は、図1(c)では図示されず、図6にて図示される。収納装置100の詳細な構成に関しては、追って、図6図14(b)を参照しながら説明する。
【0041】
次に、引き出し機構200について説明する。
【0042】
図2(a)、(b)は、引き出し機構200および移動機構300の構成を示す斜視図である。
【0043】
引き出し機構200は、搬送路にウェーハWを供給するため、第1のカセット10および第2のカセット20からウェーハWを引き出す。引き出し機構200は、ハンド210と、駆動機構220と、ガイド部230と、退避機構240と、センサ250と、を備えている。
【0044】
ハンド210は、ウェーハWの周縁部を把持する。駆動機構220は、ハンド210を水平方向に移動させる。
【0045】
ガイド部230は、カセットから引き出されたウェーハWを支持しながら、搬送路へ案内する。ガイド部230は、レール231a、231bと、レール231a、231bを支持するガイド支持部材232a~232cと、を備えている。レール231a、231bは、X軸正側および負側に配置されている。レール231a、231bのそれぞれの下部に、ガイド支持部材232a、232bが当接する。ガイド支持部材232a、232bのそれぞれの下部に、ガイド支持部材232cが連結される。
【0046】
また、ガイド支持部材232a~232cは、矩形状の板部材である。図2(a)、(b)では、ガイド支持部材232aは2体に分けられているが、一体であっても構わない
退避機構240は、収納装置100から引き出されたウェーハWが搬送路に受け渡される際、受渡位置でウェーハWを受け取る部材(たとえば、搬送路側の把持部材)とハンド210との干渉を回避させる。
【0047】
センサ250は、ハンド210がカセットからウェーハWを引き出す際、供給対象のウェーハWを検知する。ハンド210、センサ250、および退避機構240は、Y軸負側からこの順に、連結部材を介して連結される。また、退避機構240は、ハンド210およびセンサ250よりも下方に配置される。
【0048】
また、退避機構240は、具体的には、エアシリンダである。退避機構240にエアシリンダ駆動部405から所定の圧力が付与されると、退避機構240と、連結部材を介して連結されているハンド210およびセンサ250とが一体的に下方に移動する。なお、エアシリンダ駆動部405は、図5(a)で図示される。
【0049】
駆動機構220は、ハンド210に把持されたウェーハWを水平方向に移動させる。駆動機構220は、ウェーハWを水平方向に移動させる引き出しガイド部221と、引き出しガイド部221を移動させる移動部材222と、を備えている。図2(a)、(b)に示すように、引き出しガイド部221は、ガイド支持部材232a~232cにより囲まれる空間内配置されており、ガイド支持部材232cに装着される。また、移動部材222には、退避機構240が装着されている。
【0050】
引き出し機構200において、移動部材222が引き出しガイド部221を水平方向に移動すると、退避機構240、センサ250、ハンド210、ガイド部230、およびウェーハWが一体的に水平方向に移動する。
【0051】
移動機構300は、引き出し機構200を、第1の収納部101と第2の収納部102との間で昇降移動させる。移動機構300は、引き出し機構200を昇降させる昇降ガイド310と、昇降ガイド310を昇降する昇降部材320と、を備えている。
【0052】
昇降部材320は、ガイド支持部材232bに装着されている。移動機構300において、昇降部材320が昇降ガイド310を移動することにより、昇降部材320を介して引き出し機構200が一体的に昇降する。
【0053】
次に、基板供給システム1によるウェーハWの搬送路への供給について説明する。ここでは、基板供給システム1は、ウェーハWを搬送路500に供給する場合を想定して説明する。
【0054】
また、本実施の形態では、第1の収納部101に収納された第1のカセット10の最下部に収容されているウェーハWから順に搬送路に供給する。
【0055】
図3(a)~4(b)は、基板供給システム1と搬送路500との構成を示す斜視図である。図3(a)は、引き出し機構200によりウェーハWが引き出される場合であり、図3(b)は、引き出し機構200によるウェーハWの引き出しが完了した場合である。図4(a)は、引き出し機構200が搬送路500の受渡位置にウェーハWを受け渡す直前を示しており、図4(b)は、搬送路500の受渡位置にウェーハWの受け渡しが完了した場合を示している。
【0056】
図3(a)~図4(b)に示すように、搬送路500は、搬送機構510と、2つの搬送レール520と、案内部材530と、搬送ハンド540と、を備える。搬送ハンド540は、基板供給システム1から受け渡されたウェーハWを把持する。搬送レール520案内部材530に搬送ハンド540が装着されており、搬送機構510を駆動すると、案内部材530が搬送機構510のガイドに沿って移動する。これにより、搬送レール520に沿ってウェーハWが搬送される。
【0057】
図3(a)に示すように、移動機構300が引き出し機構200を一体的に下方に移動させ、所定の高さ位置に位置付ける。このとき、移動機構300は、ハンド210が第1のカセット10または第2のカセット20に収容されている供給対象のウェーハWと対向する位置に、引き出し機構200を一体的に移動させる。そして、供給対象のウェーハWの高さ位置に位置付けられたハンド210は、駆動機構220によりY軸負側に移動して、供給対象のウェーハWを把持する。このとき、センサ250が、供給対象のウェーハWを検知する。基板供給システム1のこの動作を、「引き出し動作」と称する。
【0058】
図3(b)に示すように、ウェーハWがハンド210に把持されると、駆動機構220は、Y軸正側にウェーハWを引き出す。引き出されたウェーハWは、レール231a、231bに支持され、案内されながら引き出し位置に位置付けられる。このとき、ハンド210はウェーハWを把持した状態である。基板供給システム1のこの動作を、「引き出し完了動作」と称する。
【0059】
図4(a)に示すように、ウェーハWが引き出し位置に位置付けられると、移動機構300は引き出し機構200を一体的に上方に移動させる。このとき、レール231a、231bの高さ位置と、搬送路500の搬送レール520の高さ位置とが一致するように、移動機構300は引き出し機構200を一体的に移動させる。また、ハンド210はウェーハWを把持した状態である。基板供給システム1のこの動作を、「受渡準備動作」と称する。
【0060】
図4(b)に示すように、引き出し機構200のレール231a、231bが搬送レール520の高さ位置、すなわち受渡位置に位置付けられると、ハンド210はウェーハWを離す。そして、退避機構240に所定の圧力が付与されて、ハンド210とセンサ250とが搬送レール520よりも下方に移動する。これにより、ハンド210とセンサ250とが、搬送ハンド540と干渉しない。なお、この状態では、ウェーハWは未だレール231a、231bに支持されている。基板供給システム1のこの動作を、「受渡完了動作」と称する。
【0061】
ハンド210がウェーハWを離すと、搬送機構510を駆動により、搬送ハンド540が装着されている案内部材530が搬送機構のガイドに沿って移動し、搬送ハンド540は、ウェーハWを把持する。そして、搬送レール520に支持されながら所定の場所へウェーハWは搬送される。
【0062】
以上のようにして、基板供給システム1はウェーハWを搬送路に供給する。基板供給システム1は、上記の引き出し動作、引き出し完了動作、受渡準備動作、および受渡完了動作を供給対象のウェーハWがある間、繰り返し実行する。
【0063】
本実施の形態では、第1のカセット10に収容されていたウェーハWが全て搬送路に供給された場合、引き出し機構200および移動機構300は、第2の収納部102に収納されている第2のカセット20からウェーハWを引き出して、搬送路に供給する。このとき、第1のカセット10からウェーハWを引き出したときと同様に、引き出し機構200および移動機構300は、第2のカセット20の最下部に収容されているウェーハWから順に引き出す。
【0064】
基板供給システム1が第2のカセット20からウェーハWを引き出して搬送路に供給している間、オペレータは、第1の収納部101の扉104を開け、第1の収納部101の載置部110をY軸負方向に引き出し、載置部110を着脱位置に位置付ける。そして、オペレータは、第1の収納部101の載置部110から第1のカセット10を取り出して、第1のカセット10に新たなウェーハWを収容して第1の収納部101の載置部110に載置した後、再び、第1の収納部101を収納位置に位置付けることができる。このように、第1の収納部101から第1のカセットを取り出している間であっても、第2のカセット20からウェーハWが引き出され、搬送路への供給動作が継続されている。よって、基板供給システム1の稼働率を高めることができる。
【0065】
なお、搬送路でのウェーハWの受け渡しは、上記のように、ハンドによってウェーハWを把持する他に、たとえば、吸着パッドを備えた部材により、ウェーハWを吸着し、保持してもよい。
【0066】
[基板供給システムの供給動作]
次に、基板供給システム1によるウェーハWの供給動作について説明する。図5(a)は、基板供給システム1の構成を示すブロック図である。図5(a)に示すように、基板供給システム1は、収納装置100と、引き出し機構200と、移動機構300と、を備え、さらに、制御部400と、入力部401と、検出部402と、を備える。また、引き出しガイド部221、昇降ガイド310、および退避機構240のそれぞれの駆動部である引き出しガイド駆動部403と、昇降ガイド駆動部404と、エアシリンダ駆動部405と、を備える。
【0067】
制御部400は、CPU等の演算処理回路や、ROM、RAM、ハードディスク等のメモリを含んでいる。制御部は、メモリに記憶されたプログラムに従って各部を制御する。
【0068】
入力部401は、基板供給システム1がウェーハWを搬送路に供給する際の開始を受け付ける。検出部402は、基板供給システム1において、供給対象のウェーハWの位置を検出する。また、検出部402は、ウェーハWが搬送路に供給されたことを検出するよう構成してもよい。検出部402は、たとえば、センサや、撮像装置等を使用することができる。
【0069】
図5(b)は、本実施の形態に係る基板供給システム1の動作を示すフローチャートである。この制御は、図5(a)に示した制御部400が実行する。ここで、上記と同様に、基板供給システム1から搬送路500にウェーハWを供給する場合の動作について説明する。
【0070】
また、図5(b)のフローチャートにおいて、「スタート」は、入力部により、ウェーハWの搬送路への供給開始を受け付けた時点である。なお、収納装置100の第1の収納部101および第2の収納部102にはそれぞれ、ウェーハWが収容された第1のカセット10および第2のカセット20が収納されている。また、第1のカセット10の最下部に収容されているウェーハWから上方のウェーハWへ順に供給される。
【0071】
ステップS11では、昇降ガイド駆動部404に昇降ガイド310を駆動させて、引き出し機構200を供給対象のウェーハWの高さ位置に移動させ、センサ250に供給対象のウェーハWを検知させる。これは、上記の引き出し動作であり、図3(a)に示した状態に相当する。
【0072】
ステップS12では、センサ250が供給対象のウェーハWを検出すると、制御部400は、引き出しガイド駆動部403にハンド210を駆動させて、供給対象のウェーハWを把持させ、水平方向に引き出させ、引き出し位置に位置付ける。これは、上記の引き出し完了動作であり、図3(b)に示した状態に相当する。
【0073】
ステップS13では、制御部400は、昇降ガイド駆動部404に昇降ガイド310を駆動させて、引き出し機構200を搬送路500の搬送レール520の高さ位置に位置付ける。これは、上記の受渡準備動作であり、図4(a)に示した状態に相当する。
【0074】
ステップS14では、検出部402が、ウェーハWが搬送レール520の高さ位置に位置していることを検出すると、制御部400は、引き出しガイド駆動部403にハンド210を駆動させて、ハンド210によるウェーハWの把持を停止させる。そして、制御部400は、エアシリンダ駆動部405に退避機構240に対して所定の圧力を付与させて、ハンド210を下方に移動させる。これにより、ハンド210と搬送ハンド540との干渉が回避される。これは、上記の受渡完了動作であり、図4(b)に示した状態に相当する。
【0075】
ステップS14の後、ウェーハWは搬送路500に受け渡され(図4(b)参照。)、所定の場所に搬送される。ステップS15では、検出部402が、ウェーハWの受け渡しが完了したことを検出すると、制御部400は、供給すべきウェーハWが第1のカセット10または第2のカセット20にあるか否か判定する。供給対象のウェーハWがある場合(S15;YES)、上記のステップS11~S14の各動作を繰り返し実行する。供給対象のウェーハWがない場合(S15;NO)、基板供給システム1によるウェーハWの搬送路への供給が終了する。
【0076】
なお、基板供給システム1は、第1のカセット10および第2のカセット20の状態を表示する表示部を備えるよう構成してもよい。たとえば、基板供給システム1に図示しない表示画面が接続されており、第1のカセット10および第2のカセット20のどちらにも未処理、すなわち、供給対象のウェーハWが残存している場合、表示画面に「処理中」と表示される。この表示により、オペレータは、第1のカセット10または第2のカセット20からウェーハWが搬送路に供給されていることを把握することができる。
【0077】
また、第1のカセット10が空になった場合、あるいは、予定数のウェーハWが搬送路に供給された場合であって、第2のカセット20には未処理のウェーハWが残存する場合、「第1のカセット10:処理完了」と表示される。この表示により、オペレータは、直ぐに第1のカセット10を第1の収納部101から取り出し、第1のカセット10に新たにウェーハWを収容し、再び、第1のカセット10を第1の収納部101に収納することができる。
【0078】
また、第1のカセット10および第2のカセット20が空になった場合、あるいは、予定数のウェーハWが搬送路に供給された場合、「処理完了」と表示される。この表示により、オペレータは、ウェーハWの供給が完了したことを把握することができる。
【0079】
このように、表示部を設けた場合、オペレータは、収納装置100に収納されている第1のカセット10および第2のカセット20の状態を迅速に把握することができるため、円滑に作業を行うことができる。
【0080】
[収納装置の構成]
続いて、収納装置100の構成について説明する。
【0081】
図6(a)~(c)は、収納装置100の異なる状態を示す斜視図であり、左側の図と右側の図とは対応している。
【0082】
図6(a)~(c)に示すように、収納装置100には主に4つの状態がある。図6(a)は、載置部110が第2の収納部102から引き出された状態(第1の状態)を示す。このとき、第2の収納部102のシャッタ140は閉じているため、オペレータが収納装置100に手を入れることはできない。図6(b)は、載置部110が第2の収納部102に収まっている状態(第2の状態)を示す。図6(c)は、第2の収納部102のシャッタ140を開放するための準備状態(第3の状態)を示す。第2の収納部102のシャッタ140の開放が完了した状態(第4の状態)は、図1(a)および(c)が相当する。以降、これら4つの状態に分けて、収納装置100の構成を説明する。ここで、第1の収納部101のシャッタ140は、上方に開放し、第2の収納部102のシャッタ140は、下方に開放する。このように、開放する方向が上下で異なるものの、シャッタ140を開放するための構成は、同様の構成である。そのため、以降の説明では、上段に配置されている第2の収納部102に着目して説明する。
【0083】
また、収納装置100が第1の状態(図6(a)に示す状態)のとき、第2のカセット20は、第2の収納部102の載置部110に着脱可能に載置される。このとき、第2の収納部102の載置部110の位置を「着脱位置」と称する。収納装置100が第2の状態(図6(b)に示す状態)のとき、第2のカセット20は第2の収納部102の載置部110に載置された状態で、第2の収納部102に収納される。このときの第2の収納部102の載置部110の位置を「収納位置」と称する。
【0084】
まず、収納装置100が第1の状態、つまり、載置部110が着脱位置に位置している場合について説明する。
【0085】
図7図8は、収納装置100の構成を示す斜視図であり、収納装置100が第1の状態であるときを示している。図7図8では、第2のカセット20、筐体103、および扉104が省略されており、図8では、さらに、検知手段180が省略されている。
【0086】
図7図8に示すように、収納装置100は、上記した載置部110と、移動部120と、規制部130と、シャッタ140と、昇降機構150と、支持部160と、リンク機構170と、検知手段180と、の他に、台座190を備える。また、図7の載置部110において、破線で囲まれた部分は、第2のカセット20が載置される領域である。
【0087】
載置部110の上面には、第2のカセット20を位置決めする位置決め部材111が4つ設けられている。第2のカセット20を載置部110に載置する際、第2のカセット20の側壁11a、11bの両端部を4つの位置決め部材111に嵌め合わせる(図1(c)参照。)。
【0088】
移動部120は、載置部110を着脱位置と収納位置との間で水平方向に移動させる。移動部120は、連係部材121と、水平スライド部材122a、122bと、案内部材123と、突部材124と、を備えている。なお、連係部材121は、図7では図示されておらず、図8にて図示される。
【0089】
連係部材121は、X軸方向における断面が段状の部材121aと、移送ローラ121bとから構成される。部材121aの下部には、X軸方向に孔が形成されており、この孔に移送ローラ121bの回転軸が通される。部材121aの上部の立ち上がり部にシャッタ140が装着される(図10(c)参照。)。
【0090】
水平スライド部材122aは、載置部110側に設けられ、水平スライド部材122bは、台座190側に設けられる。載置部110が水平方向に移動する際、水平スライド部材122bに対して、水平スライド部材122aが移動する。これにより、載置部110は、水平方向に移動できる。
【0091】
案内部材123は、細長い矩形状の部材であり、台座190に設置される。案内部材123のY軸正側および負側は中央に向かって緩やかな傾斜面が形成されており、Y軸正側の端部には、V字状の凹部123aが形成されている。載置部110に設けられている突部材124の下端部は半球状に形成されている(不図示)。水平スライド部材122a、122bにより載置部110が収納位置まで水平方向に移動すると、突部材124の半球状の部分が案内部材123の傾斜面を滑る。これにより、載置部110には適切にブレーキが掛かり、台座190に減速しながら滑らかに移動することができる。また、突部材124の半球状の部分が凹部123aに嵌まることにより、載置部110は第2の収納部102に位置決めされる。
【0092】
規制部130は、載置部110が着脱位置(第1の状態)と収納位置(第2の状態)との間で水平方向に移動している間、また、載置部110が収納位置に位置しているとき(第2の状態)、第2のカセット20から奥方(Y軸正側)にウェーハWが飛び出して落下することを防ぐ。規制部130は、第2のカセット20の奥方の端面に当接する。つまり、第2のカセット20に収容されているウェーハWに当接する。規制部130は、板状の部材であり、本実施の形態では、2つ設けられる。規制部130は、支持板131に支持されている。
【0093】
シャッタ140は、第2の収納部102と引き出し位置との間を遮断する。第2の収納部102において、第2のカセット20からウェーハWが引き出されるとき、シャッタ140は開放され、載置部110が収納位置から着脱位置に移動するとき、シャッタ140は閉塞する。
【0094】
昇降機構150は、シャッタ140を昇降させる。昇降機構150は、駆動部151と、受け部材152と、昇降スライド部材153a、153bと、を備えている。
【0095】
駆動部151は、シリンダである。駆動部151のロッド151aの下端部に、受け部材152が接続されている。受け部材152は、Y軸負側が開いた枠状の部材から構成されている。受け部材152の上下の隙間152aは、上記した移送ローラ121bに嵌まり込む。後で説明するが、収納装置100が第2~第4の状態であるとき、移送ローラ121bは受け部材152の隙間152aに嵌められている(たとえば、図10(c)参照。)。受け部材152はロッド151aと接続されているため、駆動部151が駆動すると、受け部材152は駆動部151と一体となって昇降する。
【0096】
昇降スライド部材153a、153bは、シャッタ140と支持部160との間に設けられており、シャッタ140を昇降させる。シャッタ140に昇降スライド部材153aが装着されており、支持部160に昇降スライド部材153bが装着される。
【0097】
支持部160は、Y軸方向の断面が段状の部材であり(図9参照。)、載置部110に設置される。次に説明するリンク機構170を介して規制部130を支持する。
【0098】
リンク機構170は、リンクベース171と、リンクプレート172と、2つのリンクバー173と、リンクローラ174とから構成される。
【0099】
リンクベース171およびリンクプレート172は、板状の部材であり、2つのリンクバー173によって連結される。リンクベース171は、シャッタ140に装着されており、リンクプレート172は、支持板131に装着される。リンクプレート172の下部にリンクローラ174が回転可能に設けられている。リンクローラ174は、支持部160の下部の水平面と当接する。なお、2つのリンクバー173は、図7では図示されず、図8にて図示される。
【0100】
上記のとおり、シャッタ140は、水平スライド部材122a、122bを介して支持部160に支持される。シャッタ140にリンクベース171が装着されており、リンクベース171とリンクバー173を介して連結されているリンクプレート172は支持板131に装着されている。このリンクベース171およびリンクプレート172は、2つのリンクバー173により四つ棒リンクを構成する。このリンク機構により、リンクプレート172は、垂直な状態を維持した状態で摺動する。そして、この支持板131は規制部130を支持する。したがって、規制部130は、リンク機構170を介してシャッタ140に支持され、また、規制部130は、リンク機構170を介して支持部160に支持される。
【0101】
図7図8に示すように、第1の状態では、リンク機構170のリンクバー173は載置部110に対して水平である。そのため、リンクベース171とリンクプレート172とは僅かながら離間している。つまり、リンクベース171が装着されているシャッタ140と、リンクプレート172が装着されている支持板131とは離間している。支持板131には規制部130が装着されているため、シャッタ140と、規制部130とは、離間している。
【0102】
検知手段180は、台座190のY軸正側に設けられるセンサである。検知手段180は、第2のカセット20からウェーハWが飛び出しているか否かを検知する。
【0103】
図7図8に示すように、第1の状態では、載置部110が引き出され、着脱位置に位置するとき、規制部130、支持板131、およびシャッタ140も載置部110とともに水平方向に移動する。これは、図6(a)、特に、図6(a)の右側の図に示すように、規制部130がウェーハWに当接した状態である。このため、載置部110から第2のカセット20を取り出すとき、および、第2のカセット20を載置部110に載置するとき、オペレータは載置部110の領域内のみしか手を入れることができず、搬送路にオペレータの手が入り込むことはない。よって、オペレータは安全に第2のカセット20の着脱を行うことができる。
【0104】
次に、収納装置100が第2の状態、つまり、載置部110が収納位置に位置している場合について説明する。
【0105】
図9図10(a)~(c)は、収納装置100の構成を示す斜視図であり、収納装置100が第2の状態のときを示している。図10(a)、(b)は、リンク機構周辺の拡大図であり、図10(b)は、シャッタ140が省略されている。図10(c)は、図9に対応する斜視図である。また、図9図10(a)~(c)では、第2のカセット20、筐体103、扉104、および検知手段180が省略されている。
【0106】
図9に示すように、載置部110を収納位置に移動させると、連係部材121、規制部130、支持板131、シャッタ140、および支持部160は、図7図8に示した状態を維持しながら載置部110とともに水平移動する。このとき、図10(b)に示すように、シャッタ140とともに水平移動した連係部材121の移送ローラ121bが、受け部材152の隙間152aに嵌まり込む。このとき、移送ローラ121bが台座190を転動すると、受け部材152に連続的に乗り移ることが可能なように、移送ローラ121bの幅は広めに設定されている。また、図10(a)、(c)に示すように、受け部材152の上部の枠とシャッタ140は干渉しない。
【0107】
図10(a)、(b)に示すように、収納装置100が第2の状態のとき、リンク機構170は、第1の状態と同様であるから、未だ、規制部130とシャッタ140とは僅かに離間しており、規制部130はウェーハWに当接している。これは、規制部130がウェーハWに当接している様子は、図6(b)に示されている。
【0108】
このように、第1の状態から第2の状態、つまり、載置部110が着脱位置から収納位置へ水平移動するとき、規制部130とシャッタ140とは互いの位置関係が変化することなく、載置部110とともに水平移動する。よって、載置部110が着脱位置から収納位置へ水平移動している間、規制部130はウェーハWに当接し続ける。よって、第2のカセット20からウェーハWが供給領域側に飛び出して落下する虞はない。また、シャッタ140が供給領域側を塞いでいるため、収納装置100内に作業者の手が入り込むことを確実に防ぐ。
【0109】
次に、収納装置100が第3の状態、つまり、載置部110が収納位置に位置し、シャッタ140が開放される直前について説明する。
【0110】
図11、12(a)~(c)は、収納装置100の構成を示す斜視図であり、収納装置100が第3の状態のときを示している。図12(a)、(b)は、リンク機構周辺の拡大図であり、図12(b)は、シャッタ140が省略されている。図12(c)は、図11に対応する斜視図である。また、図11、12(a)~(c)では、第2のカセット20、筐体103、扉104、および検知手段180が省略されている。
【0111】
載置部110が収納位置に位置付けられると、収納装置100は、第2のカセット20からウェーハWが供給可能となるように、シャッタ140を開放する準備を行う。ここで、シャッタ140をいっきに昇降移動させると、規制部130もシャッタ140と一体的に昇降移動する。規制部130はウェーハWに当接しているため、規制部130はウェーハWを擦りながら昇降移動する。ウェーハWは、これは、ウェーハWの品質の低下を招くため、ウェーハWと規制部130とを離間させてから、シャッタ140を上昇させる必要がある。そこで、図7、8(a)~(c)に示すように、収納装置100において、シャッタ140を開放する準備として、ウェーハWと規制部130とを離間させる(第3の状態)。
【0112】
図11、12(a)~(c)に示すように、駆動部151に所定の圧力が付与されると、ロッド151aが所定ストローク上昇する。これにより、ロッド151aに接続されている受け部材152は、連係部材121の移送ローラ121bが嵌まった状態で、所定ストローク上昇する。連係部材121の部材121aは、シャッタ140に装着されているため、受け部材152の上昇に伴い、連係部材121とシャッタ140とが一体的に所定ストローク上昇する。このとき、シャッタ140は、昇降スライド部材153a、153bにより上下移動可能なようにガイドされる。
【0113】
図12(a)、(b)に示すように、シャッタ140には、リンクベース171が装着されている。このため、シャッタ140が上昇するとリンクベース171も上昇し、水平方向に維持されていた2つのリンクバー173(図10(b)参照。)が回動する。このとき、リンクプレート172に回動可能に設けられているリンクローラ174が支持部160の下部の水平面をY軸正側へ転がり、リンクプレート172をY軸正側へ移動させる。リンクプレート172は支持板131に装着されているため、支持板131もY軸正側へ移動する。リンクプレート172は、四つ棒リンクにより、垂直な状態を維持しながら水平方向に移動する。これにより、支持板131に支持されている規制部130が図9、10(a)~(c)に示されていた状態から、Y軸正側へ僅かに移動する。そして、規制部130も水平方向に移動し、規制部130は、ウェーハWから離間する。これにより、規制部130はウェーハWに当接することなく、すなわち、ウェーハWの位置をずらすことなく、ウェーハWから離間してから上昇することができる。
【0114】
次に、収納装置100が第4の状態、つまり、載置部110が収納位置に位置し、シャッタ140が開放される場合について説明する。
【0115】
図13、14(a)、(b)は、収納装置100の構成を示す斜視図であり、収納装置100が第4の状態のときを示している。図14(a)は、リンク機構170周辺の拡大図であり、図14(b)は、図13に対応する斜視図である。また、図13、14(a)、(b)では、第2のカセット20、筐体103、扉104、および検知手段180が省略されている。
【0116】
図13、14(a)、(b)に示すように、第3の状態から続けて駆動部151に所定の圧力が付与されると、ロッド151aがさらに所定ストローク上昇する。これにより、ロッド151aに接続されている受け部材152に連係部材121の移送ローラ121bが嵌まり込んだまま、所定ストローク上昇する。これにより、シャッタ140は、規制部130と一体的に上昇し、第2の収納部102を供給領域に対して開放することができる。
【0117】
なお、第1の収納部101のシャッタ140は、下方に移動する。第1の収納部101は、第2の収納部102と同様の部材および機構により構成される。第1の収納部101では、支持部160およびリンク機構170が第2の収納部102の支持部160およびリンク機構170とは上下逆向きに設けられる。その他の構成は、第2の収納部102と同様に設けられる。
【0118】
上記のとおり、第1の収納部101では、リンク機構170が第2の収納部102に設けられていた状態とは上下逆向きの状態で設けられている。第2の収納部102のリンクローラ174は、自重により、リンク機構170に付勢部材を設けなくても、支持部160の段部の水平面上に安定的に位置付けられる。
【0119】
これに対し、第1の収納部101では、支持部160の段部の水平面よりもリンクローラ174は下方に位置する。これにより、リンクローラ174は自重により移動可能となる。リンクローラ174が移動すると、リンクプレート172も移動するため、リンク機構170が不安定化する。そこで、第2の収納部102のリンク機構170には、リンクローラ174を上方に付勢するための付勢部材(不図示)が設けられる。これにより、第1の収納部101のリンク機構170は、安定化する。
【0120】
上記のような構成の収納装置100であれば各収納部から載置部110を着脱位置側に引き出すと、規制部130およびシャッタ140も引き出される。載置部110を収納位置に戻す場合も同様である。このため、載置部110の移動中、規制部130がウェーハWに対向し続けることとなり、カセットからウェーハWが落下することを確実に防ぐことができる。また、載置部110が着脱位置に位置付けられたとき、シャッタ140により各収納部の奥方が塞がれているため、オペレータが収納装置100内に手を挿入することを防ぐことができる。
【0121】
<実施形態の効果>
図3(a)~図4(b)に示すように、引き出し機構200が第2の収納部102に収納されている第2のカセットからウェーハWを引き出して搬送路に供給している間、第1のカセット10内が空の場合、オペレータは、第1の収納部101から載置部110を引き出し、第1のカセット10を載置部110から取り出して、第1のカセット10に供給対象のウェーハWを収容する。そして、再び第1の収納部101に第1のカセット10を収納することができる。これにより、第1のカセット10から全てのウェーハWが搬送路に供給された場合、引き出し機構200による供給動作を一旦停止することなく、第1のカセット10にウェーハWを収容し、第1の収納部101に収納することができる。よって、第1のカセット10および第2のカセット20から連続的にウェーハWを搬送路に供給でき、基板供給システム1の稼働率を高めることができる。
【0122】
また、基板供給システム1は、収納装置100を上下、左右方向に移動させることがない。一般に、半導体ウェーハは、薄膜で脆く、衝撃に弱い。このため、収納装置100が移動すると、揺れや振動により、供給対象のウェーハWが破損する虞がある。この点、基板供給システム1では、ウェーハWの引き出しは、引き出し機構200と移動機構300とによって行われている。よって、ウェーハWが収納装置100内で破損することを確実に防ぐことができる。
【0123】
また、引き出し機構200は、レール231a、231bを備える。これにより、ハンド210がウェーハWを引き出すとき、ウェーハWは、レール231a、231bにより支持されながら引き出される。よって、ウェーハWの引き出しを円滑に行うことができる。
【0124】
また、収納装置100において、第1の収納部101と第2の収納部102とは、ウェーハWの積層方向に並んで配置されている。これにより、引き出し機構200を積層方向のみに移動させ、第1のカセット10および第2のカセット20のウェーハWにハンド210を位置付けることができる。よって、移動機構300の構成および制御を簡素にできる。
【0125】
また、搬送路に供給されたウェーハWが、供給前に収容されていたカセットに戻るように構成しても構わない。この場合、搬送路の受渡位置にて、引き出し機構200のハンド210にウェーハWが受け渡される。移動機構300は、引き出し機構200をウェーハWの供給前の位置に位置付ける。そして、引き出し機構200によりウェーハWがカセットに挿入される。
【0126】
このように構成した場合、所定の処理がなされたウェーハWを纏めて回収し、別の工程へと移ることができる。
【0127】
また、基板供給システム1において、積層方向は、上下方向である。これにより、ウェーハWを安定した状態で第1のカセット10および第2のカセット20に収容できる。また、ウェーハWを第1のカセット10および第2のカセット20から安定的に、水平方向に引き出すことができる。
【0128】
また、基板供給システム1では、第1の収納部101の第1のカセット10からウェーハWを供給する。つまり、引き出し機構200は積層方向に行き来することなく、下方から上方の一方向に移動する。よって、第1のカセット10が空になった場合、速やかに収納装置100から第1のカセット10を取り出して、新たなウェーハWをその第1のカセット10に収容し、再び、第1の収納部101に収納することができる。よって、ウェーハWの供給が円滑に、また、効率よく行われる。
【0129】
なお、ウェーハWの供給を、第2のカセット20から行ってもよい。この場合、引き出し機構200が積層方向に一方向に移動するよう、第2のカセット20の最上部に収容されているウェーハWから順に供給すればよい。
【0130】
また、基板供給システム1では、水平スライド部材122a、122bを介して1の収納部101の第1のカセット10からウェーハWを供給する場合、第1のカセット10の最下部に収容されているウェーハWから順にウェーハWを供給する。これにより、効率よく1つのカセットからウェーハWを搬送路に供給することができる。よって、空になった、あるいは、加工後のウェーハWが収容されたカセットを、収納装置100から取り出して未加工のウェーハWをカセットに収容し、再び、収納装置100に収納するという作業のサイクルを早めることができる。
【0131】
また、上記の基板供給システム1は、ウェーハを加工する複数のユニットと組み合わせて、基板加工装置30を構成することができる。
【0132】
図15は、基板供給システム1を備える基板加工装置30の構成を示す斜視図である。図15に示すように、基板加工装置30は、ウェーハWの表面にスクライブラインを形成するスクライブユニット40と、スクライブラインが形成されたウェーハWの表面にフィルムを貼付するフィルムラミネートユニット50と、フィルムが貼付された面が下側となるようにウェーハWを反転させる反転ユニット60と、フィルムが貼付されていない面に所定の力を付与してスクライブラインに沿ってウェーハWを分断するブレイクユニット70と、ウェーハWを所定の位置に搬送する搬送部80と、を備える。なお、図15では、基板供給システム1は、筐体で覆われている
上記の構成の基板加工装置30は、基板供給システム1により、円滑にウェーハWが供給されるため、装置の稼働率を高めることができる。
【0133】
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0134】
1…基板供給システム
10…第1のカセット
20…第2のカセット
30…基板加工装置
40…スクライブユニット
50…フィルムラミネートユニット
60…反転ユニット
70…ブレイクユニット
80…搬送部
101…第1の収納部
102…第2の収納部
200…引き出し機構
210…ハンド
220…駆動機構
230…ガイド部
300…移動機構
W…基板(ウェーハ)
図1
図2
図3
図4
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図6
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図8
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図10
図11
図12
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図15