(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】超音波加振式不良検出装置及びワイヤ不良検出システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
H01L21/60 321Y
H01L21/60 321Z
(21)【出願番号】P 2022558668
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2020040416
(87)【国際公開番号】W WO2022091247
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000146722
【氏名又は名称】ヤマハロボティクスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カークビー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】宗像 広志
(72)【発明者】
【氏名】足立 卓也
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-134289(JP,A)
【文献】特開2014-024065(JP,A)
【文献】特開2012-083246(JP,A)
【文献】特開2016-024186(JP,A)
【文献】特開2008-084881(JP,A)
【文献】国際公開第2011/036751(WO,A1)
【文献】特開2007-203199(JP,A)
【文献】特開平09-182467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60 -21/607
H01L 21/447-21/449
G01N 29/00 -29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の不良を検出する超音波加振式不良検出装置であって、
前記検査対象物を超音波加振する超音波加振器と、
前記超音波加振器に高周波電力を供給する電源と、
超音波加振された前記検査対象物を撮像する撮像装置と、
前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の周波数を調整すると共に、前記検査対象物の不良の検出を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の周波数を変化させながら前記撮像装置で前記検査対象物の画像を撮像し、撮像した画像に基づいて前記検査対象物の不良の検出を行い、
前記検査対象物は、不良の検出の対象となる対象部と、不良の検出の対象とならない非対象部とを含み、
前記制御部は、前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の周波数を変化させる際に、前記撮像装置で撮像した画像から検出される前記非対象部の振幅に対する前記撮像装置で撮像した画像から検出される前記対象部の振幅の比率が所定値以上となるように前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の電圧を調整すること、
を特徴とする超音波加振式不良検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波加振式不良検出装置であって、
前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の電流を検出する電流センサを備え、
前記制御部は、前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の周波数を変化させる際に、前記電流センサで検出した電流が所定の範囲内となるように前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の電圧を調整すること、
を特徴とする超音波加振式不良検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の超音波加振式不良検出装置であって、
前記制御部は、前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の電流が所定の範囲内となるように、前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の周波数に対する前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の電圧の変化を予め規定したマップを含み、
前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の周波数を変化させる際に、前記マップに基づいて前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の電圧を調整すること、
を特徴とする超音波加振式不良検出装置。
【請求項4】
請求項1又は
2又は
3に記載の超音波加振式不良検出装置であって、
前記検査対象物は、基板と、前記基板に取付けられた半導体素子と、前記半導体素子の電極と前記基板の電極、又は、前記半導体素子の一の電極と前記半導体素子の他の電極とを接続するワイヤと、を備える半導体装置であって、
前記制御部は、前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の周波数を変化させる際に、前記撮像装置で撮像した画像から検出される前記基板と前記半導体素子の振幅に対する前記撮像装置で撮像した画像から検出される前記ワイヤの振幅の比率が所定値以上となるように前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の電圧を調整すること、
を特徴とする超音波加振式不良検出装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の超音波加振式不良検出装置であって、
前記制御部は、検出した前記ワイヤの振幅が所定の上限振幅を越えないように前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の電圧を調整すること、
を特徴とする超音波加振式不良検出装置。
【請求項6】
請求項
4又は
5に記載の超音波加振式不良検出装置であって、
前記制御部は、前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の周波数を変化させながら、前記撮像装置で前記半導体装置の動画を撮像し、
撮像した動画の1つのフレームとそれ以前の前フレームとのワイヤの画像の差分を算出し、
前記差分が所定の閾値を超えた場合に前記ワイヤの不良検出信号を出力すること、
を特徴とする超音波加振式不良検出装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の超音波加振式不良検出装置であって、
前記制御部は、
前記差分を算出する1つのフレームと前フレームとの間のフレーム数、或いは、動画のフレームレートを変化させて前記差分を算出すること、
を特徴とする超音波加振式不良検出装置。
【請求項8】
請求項1又は
2又は
3に記載の超音波加振式不良検出装置であって、
前記超音波加振器は、前記検査対象物に接続されて前記検査対象物を超音波振動させる超音波振動子、又は、前記検査対象物の周囲に配置された超音波スピーカーであること、
を特徴とする超音波加振式不良検出装置。
【請求項9】
基板と、前記基板に取付けられた半導体素子と、前記半導体素子の電極と前記基板の電極、又は、前記半導体素子の一の電極と前記半導体素子の他の電極とを接続するワイヤと、を備える半導体装置の前記ワイヤの不良を検出するワイヤ不良検出システムであって、
前記半導体装置を超音波加振する超音波加振器と、
前記超音波加振器に高周波電力を供給する電源と、
超音波加振された前記半導体装置を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置で撮像した画像を表示するディスプレイと、
前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の周波数を調整すると共に、前記ワイヤの不良の検出を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の周波数を変化させながら、前記撮像装置で前記半導体装置の動画を撮像し、
撮像した動画の1つのフレームとそれ以前の前フレームとの画像の差分を算出し、
前記差分が所定の閾値を超えた場合に前記ワイヤの表示画像を他の前記ワイヤの表示画像と異ならせて前記ディスプレイに表示し、
前記
ワイヤは、不良の検出の対象となる対象部と、不良の検出の対象とならない非対象部とを含み、
前記制御部は、前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の周波数を変化させる際に、前記撮像装置で撮像した画像から検出される前記非対象部の振幅に対する前記撮像装置で撮像した画像から検出される前記対象部の振幅の比率が所定値以上となるように前記電源から前記超音波加振器に供給される前記高周波電力の電圧を調整すること、
を特徴とするワイヤ不良検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物を超音波加振して検査対象物の不良を検出する超音波加振式不良検出装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の電極と半導体チップの電極との間をワイヤで接続するワイヤボンディング装置が多く用いられている。ワイヤボンディング装置では、ワイヤと半導体チップとの間に電流を流すという電気的な手段により半導体チップの電極とワイヤとの間の接続不良の検出を行う方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ワイヤボンディング装置では、キャピラリの着地からボンディング終了までのZ方向の変位を検出するという機械的手段により半導体チップの電極とワイヤとの間の接続の不良の検出を行う方法が用いられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-213752号公報
【文献】特開2010-56106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、ワイヤ等の検査対象物の不良検出の高精度化が求められている。しかし、特許文献1、2に記載された電気的手段或いは機械的手段による不良検出は、誤検出が発生する場合があった。
【0006】
また、半導体チップの電極と基板の電極とを接続する全てのワイヤの不良検出を行うことが求められている。しかし、特許文献1,2に記載の不良検出方法では、ワイヤ毎に不良検出を行うことから、例えば、1つの半導体チップと基板とを接続するワイヤが百本以上になる半導体チップでは、検査に長い時間が掛かってしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、高精度で短時間に検査対象物の不良検出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の超音波加振式不良検出装置は、検査対象物の不良を検出する超音波加振式不良検出装置であって、検査対象物を超音波加振する超音波加振器と、超音波加振器に高周波電力を供給する電源と、超音波加振された検査対象物を撮像する撮像装置と、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の周波数を調整すると共に、検査対象物の不良の検出を行う制御部と、を備え、制御部は、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の周波数を変化させながら撮像装置で検査対象物の画像を撮像し、撮像した画像に基づいて検査対象物の不良の検出を行い、検査対象物は、不良の検出の対象となる対象部と、不良の検出の対象とならない非対象部とを含み、制御部は、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の周波数を変化させる際に、撮像装置で撮像した画像から検出される非対象部の振幅に対する撮像装置で撮像した画像から検出される対象部の振幅の比率が所定値以上となるように電源から超音波加振器に供給される高周波電力の電圧を調整することを特徴とする。
【0009】
このように、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の周波数を変化させるので、様々な周波数で検査対象物を超音波加振でき、高精度に検査対象物の不良を検出することができる。また、これにより、検査対象物を超音波加振した際に、対象部の振幅が非対象部の振幅対して大きくなり、高精度に検査対象物の対象部の不良を検出することができる。
【0012】
本発明の超音波加振式不良検出装置において、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の電流を検出する電流センサを備え、制御部は、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の周波数を変化させる際に、電流センサで検出した電流が所定の範囲内となるように電源から超音波加振器に供給される高周波電力の電圧を調整してもよい。
【0013】
超音波加振器にはそれ自体が共振を起こす周波数がある。このため、超音波加振の際に共振周波数の高周波電力を超音波加振器に入力すると、共振により超音波加振器のインピーダンスが低下し、超音波加振器の振幅が大きくなってしまい、検査対象物全体が大きく振動する。これにより、対象部の振幅が非対象部の振幅に隠れて検出できなくなる場合がある。超音波加振器の振幅は、超音波加振器に入力される高周波電力の電流に比例するので、超音波加振器に入力される高周波電力の電流を電流センサで検出し、検出した電流が所定の範囲内となるように高周波電力の電圧を調整することにより、高周波電力の電流を所定の範囲内として超音波加振器の振幅を所定の範囲内とすることができる。これにより、検査対象物を超音波加振した際に検査対象物全体が大きく振動し、対象部の振幅が非対象部の振幅に隠れて検出できなくなることを抑制でき、高精度に検査対象物の対象部の不良を検出することができる。
【0014】
本発明の超音波加振式不良検出装置において、制御部は、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の電流が所定の範囲内となるように、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の周波数に対する電源から超音波加振器に供給される高周波電力の電圧の変化を予め規定したマップを含み、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の周波数を変化させる際に、マップに基づいて電源から超音波加振器に供給される高周波電力の電圧を調整してもよい。
【0015】
これにより、電流センサで検出した電流のフィードバックにより高周波電力の電圧を調整する必要がなく、簡便な構成で検査対象物を超音波加振した際に検査対象物全体が大きく振動し、対象部の振幅が非対象部の振幅に隠れて検出できなくなることを抑制でき、高精度に検査対象物の対象部の不良を検出することができる。
【0016】
本発明の超音波加振式不良検出装置において、検査対象物は、基板と、基板に取付けられた半導体素子と、半導体素子の電極と基板の電極、又は、半導体素子の一の電極と半導体素子の他の電極とを接続するワイヤと、を備える半導体装置であって、制御部は、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の周波数を変化させる際に、撮像装置で撮像した画像から検出される基板と半導体素子の振幅に対する撮像装置で撮像した画像から検出されるワイヤの振幅の比率が所定値以上となるように電源から超音波加振器に供給される高周波電力の電圧を調整してもよい。
【0017】
これにより、基板と半導体素子を超音波加振した際に、ワイヤの振幅が基板や半導体素子の振幅に対して大きくなり、高精度に検査対象物の対象部の不良を検出することができる。
【0018】
本発明の超音波加振式不良検出装置において、制御部は、検出したワイヤの振幅が所定の上限振幅を越えないように電源から超音波加振器に供給される高周波電力の電圧を調整してもよい。
【0019】
これにより、半導体装置を超音波加振した際のワイヤの過度な振動を抑制することが出来る。
【0020】
本発明の超音波加振式不良検出装置において、制御部は、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の周波数を変化させながら、撮像装置で半導体装置の動画を撮像し、撮像した動画の1つのフレームとそれ以前の前フレームとのワイヤの画像の差分を算出し、差分が所定の閾値を超えた場合にワイヤの不良検出信号を出力してもよい。
【0021】
これにより、ワイヤの振幅からワイヤの不良の検出を行うことができる。
【0022】
本発明の超音波加振式不良検出装置において、制御部は、差分を算出する1つのフレームと前フレームとの間のフレーム数、或いは、動画のフレームレートを変化させて差分を算出してもよい。
【0023】
これにより、ワイヤの振動数が変化する場合でもワイヤの画像の差分を検出することができ、不良の検出精度を高めることができる。
【0024】
本発明の超音波加振式不良検出装置において、超音波加振器は、検査対象物に接続されて検査対象物を超音波振動させる超音波振動子、又は、検査対象物の周囲に配置された超音波スピーカーでもよい。
【0025】
これにより、簡便な構成で検査対象物の不良の検出を行うことができる。
【0026】
本発明のワイヤ不良検出システムは、基板と、基板に取付けられた半導体素子と、半導体素子の電極と基板の電極、又は、半導体素子の一の電極と半導体素子の他の電極とを接続するワイヤと、を備える半導体装置のワイヤの不良を検出するワイヤ不良検出システムであって、半導体装置を超音波加振する超音波加振器と、超音波加振器に高周波電力を供給する電源と、超音波加振された半導体装置を撮像する撮像装置と、撮像装置で撮像した画像を表示するディスプレイと、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の周波数を調整すると共に、ワイヤの不良の検出を行う制御部と、を備え、制御部は、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の周波数を変化させながら、撮像装置で半導体装置の動画を撮像し、撮像した動画の1つのフレームとそれ以前の前フレームとの画像の差分を算出し、差分が所定の閾値を超えた場合にワイヤの表示画像を他のワイヤの表示画像と異ならせてディスプレイに表示し、ワイヤは、不良の検出の対象となる対象部と、不良の検出の対象とならない非対象部とを含み、制御部は、電源から超音波加振器に供給される高周波電力の周波数を変化させる際に、撮像装置で撮像した画像から検出される非対象部の振幅に対する撮像装置で撮像した画像から検出される対象部の振幅の比率が所定値以上となるように電源から超音波加振器に供給される高周波電力の電圧を調整すること、を特徴とする。
【0027】
このように差分が所定の閾値を越えた際にワイヤの表示画像を他のワイヤの表示画像と異ならせるので、ディスプレイの表示によって容易にワイヤの不良を検出することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、高精度で短時間に検査対象物の不良検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施形態の超音波加振式不良検出装置の構成を示す系統図である。
【
図2】
図1に示す超音波加振式不良検出装置のカメラが半導体装置を上から撮像した画像を示す図である。
【
図3】従来技術における超音波振動子の供給する高周波電力の電圧を一定とした場合の高周波電力の周波数に対する超音波振動子のインピーダンスの変化と高周波電力の電流の変化を示す図である。
【
図4】実施形態の超音波加振式不良検出装置において、電流センサで検出した電流が一定となるように超音波振動子に供給される高周波電力の電圧を変化させた場合の高周波電力の電圧の変化と電流の変化を示す図である。
【
図5】
図1に示す超音波加振式不良検出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】基板を超音波加振した際の
図2のA部の拡大平面図と
図6中に示すB部の拡大平面図である。
【
図7】実施形態の超音波加振式不良検出装置において、超音波振動子に供給される高周波電力の電流が一定となるように、高周波電力の周波数に対する高周波電力の電圧の変化を予め規定したマップを示す図である。
【
図8】実施形態の超音波加振式不良検出装置において、超音波振動子に供給される高周波電力の電流が所定の範囲内となるように、高周波電力の周波数に対する高周波電力の電圧の変化を予め規定した他のマップを示す図である。
【
図9】実施形態のワイヤ不良検出システムの構成を示す系統図である。
【
図10】
図9に示すワイヤ不良検出システムの動作を示すフローチャートである。
【
図11】基板を超音波加振した際の超過領域を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら実施形態の超音波加振式不良検出装置100について説明する。以下の説明では、超音波加振式不良検出装置100は、検査対象物である半導体装置10のワイヤ30の不良の検出を行うとして説明するが、他の検査対象物の不良の検出にも用いることができる。
【0031】
図1に示すように、超音波加振式不良検出装置100は、超音波加振器である超音波振動子42と、高周波電源40と、撮像装置であるカメラ45と、制御部50とで構成されている。
【0032】
図1に示す様に、超音波加振式不良検出装置100の検査対象となる半導体装置10は、基板11の上に4段に半導体チップ21~24が積層して取付けられ、各半導体チップ21~24の各電極25~28及び基板11の電極12の間を1本のワイヤ30で連続的に接続したものである。ここで、半導体チップ21~24は半導体素子20を構成する。1本のワイヤ30は、一段目の半導体チップ21の電極25と基板11の電極12を接続する一段目ワイヤ31と、二段目から四段目の各半導体チップ22~24の各電極26~28と一段目から三段目の各半導体チップ21~23の各電極25~27とをそれぞれ接続する二段目~四段目ワイヤ32~34で構成されている。半導体装置10の基板11と半導体チップ21~24は不良の検出の対象とならない非対象部を構成し、ワイヤ30は不良の検出を行う対象部を構成する。
【0033】
高周波電源40は超音波領域の周波数の交流電力を出力し、超音波振動子42を超音波振動させるものである。超音波振動子42は、高周波電源40から入力される超音波の周波数領域の高周波電力によって駆動され、超音波振動する部材である。例えば、ピエゾ素子等で構成してもよい。超音波振動子42は、半導体装置10の基板11に接続され、基板11を超音波振動させる。
【0034】
高周波電源40と超音波振動子42との間には、高周波電源40から超音波振動子42に供給される高周波電力の電圧を検出する電圧センサ53と、高周波電力の電流を検出する電流センサ54とが取付けられている。
【0035】
カメラ45は、半導体装置10の上側に配置され、
図2に示すように、基板11と基板11に取付けられた半導体チップ21~24と、半導体チップ21から24の外周部に配置された各電極25~28と、一段目の半導体チップ21の周囲に配置された基板11の電極12と、各電極12、25~28を連続的に接続する各ワイヤ30とを撮像する。
【0036】
制御部50は、内部にCPU51とメモリ52とを含むコンピュータである。高周波電源40は、制御部50に接続されて制御部50の指令によって動作する。カメラ45は、制御部50に接続されて制御部50の指令によって動作する。カメラ45で撮像した動画は制御部50に入力される。電圧センサ53、電流センサ54は、制御部50に接続されており、電圧センサ53、電流センサ54で検出された高周波電力の電圧と電流のデータは、制御部50に入力される。制御部50は、高周波電源40から超音波振動子42に供給される高周波電力の周波数を変化させながらカメラ45で撮像した半導体装置10の画像を撮像し、撮像した画像に基づいて半導体装置10の不良の検査を行う。
【0037】
次に、
図3を参照しながら、従来技術の様に高周波電源40から超音波振動子42に供給される高周波電力の電圧V0を一定とした場合の周波数fに対するインピーダンスと電流A0の変化について説明する。
【0038】
図3に示す一点鎖線c0の様に、高周波電源40から超音波振動子42に供給される高周波電力の電圧V0を一定にして、高周波電力の周波数fを変化させると、超音波振動子42自体が周波数f1で共振する。これにより、超音波振動子42のインピーダンスは、
図3中の破線aに示す様に周波数f1では大きく低下する。一方、周波数f1と最大周波数f3の間の周波数f2では、超音波振動子42のインピーダンスが大きく上昇する。
【0039】
図3中の破線aに示す様に周波数f1の近傍で超音波振動子42のインピーダンスが大きく低下すると、
図3中の実線b0に示す様に、超音波振動子42に供給される高周波電力の電流A0は大きく上昇する。逆に周波数f2の近傍で超音波振動子42のインピーダンスが大きく上昇すると、超音波振動子42に供給される高周波電力の電流A0は大きく低下する。超音波振動子42に供給される電流A0の大きさは、超音波振動子42の振幅に比例する。従って、超音波振動子42が共振する周波数f1の近傍では、超音波振動子42の振幅が大きく上昇して基板11の振幅が大きく増加し、周波数f2の近傍では、超音波振動子42の振幅が大きく低下して基板11の振幅が大きく減少する。
【0040】
このため、超音波振動子42が共振する周波数f1では、基板11と半導体チップ21~24と、ワイヤ30とがいずれも大きく振動してしまうため、ワイヤ30の振幅が基板11と半導体チップ21~24の振幅に隠れて検出することが困難になる場合がある。
【0041】
逆に、周波数f2では、基板11と半導体チップ21~24とワイヤ30の振幅が非常に小さくなってしまい、ワイヤ30の振幅を検出することができない場合がある。
【0042】
以上、説明したように、従来技術の様に高周波電源40から超音波振動子42に供給される電圧V0を一定として周波数を変化させた場合には、超音波振動子42の共振する周波数f1近傍でワイヤ30の振幅の検出が困難になる場合があった。
【0043】
そこで、実施形態の超音波加振式不良検出装置100では、超音波振動子42の振幅が超音波加振器に入力される高周波電力の電流に比例することに着目し、超音波振動子42に入力される高周波電力の電流A1を電流センサ54で検出し、検出した電流A1が所定の範囲内となるように高周波電力の電圧V1を調整する。これにより、高周波電力の電流A1を所定の範囲内として超音波振動子42の振幅を所定の範囲内とすることができる。そして、高周波電力の周波数を変化させて半導体装置10を超音波加振した際に、特定の周波数で検出の非対象部である基板11や半導体素子20の振幅が大きく振動し、検出の対象部であるワイヤ30の振幅が基板11や半導体素子20の振幅に隠れて検出できなくなることを抑制できる。
【0044】
以下、
図4を参照しながら実施形態の超音波加振式不良検出装置100において、電流センサ54で検出した電流A1が一定となるように超音波振動子42に供給される高周波電力の電圧V1を変化させた場合の高周波電力の電圧V1の変化と電流A1の変化動作について説明する。
【0045】
実施形態の超音波加振式不良検出装置100では、電流センサ54で検出した電流A1を制御部50にフィードバックし、高周波電力の電流A1が増加する周波数f1の近傍では、
図4の一点鎖線c1で示す様に超音波振動子42に供給する高周波電力の電圧V1を低下させる。一方、電流センサ54で検出した電流A1が減少する周波数f2の近傍では、
図4の一点鎖線c1で示す様に超音波振動子42に供給する高周波電力の電圧V1を上昇させる。これによって、
図4中の実線d1に示す様に、電流センサ54で検出した電流A1の大きさを周波数fにかかわらず略一定とすることができる。
【0046】
このように、高周波電源40から超音波振動子42に供給される高周波電力の電流A1が略一定になるようにフィードバック制御することにより、高周波電力の周波数fを変化させた場合でも、超音波振動子42の振幅を略一定とし、基板11と半導体素子20の振幅を略一定とすることができる。
【0047】
そして、この際、カメラ45で撮像した画像から検出される基板11と半導体素子20の振幅に対するカメラ45で撮像した画像から検出されるワイヤ30の振幅の比率が所定値以上となるように電圧を調整するとよい。これにより、各周波数fでワイヤ30の振幅が基板11或いは半導体素子20の振幅に紛れて検出精度が低下することを抑制し、ワイヤ30の振幅を確実に検出することができ、高精度にワイヤ30の不良の検出を行うことができる。また、この際、カメラ45で撮像したワイヤ30の画像を確認しながらワイヤ30の振幅が上限振幅を越えないように高周波電力の電圧を調整することにより、不良検出中にワイヤ30が過振動により損傷することを抑制できる。
【0048】
次に
図5、
図6を参照しながら実施形態の超音波加振式不良検出装置100におけるワイヤ30の不良の検出動作について説明する。
【0049】
図5のステップS101に示す様に、制御部50のCPU51は、電流センサ54で検出した電流A1が略一定となるように高周波電力の電圧V1を調整しつつ、高周波電力の周波数fを変化させながら半導体装置10を超音波加振する。
【0050】
制御部50は、
図5のステップS102に示す様に振動している半導体装置10の動画を撮像し、
図5のステップS103に示す様に撮像した画像データをメモリ52に格納する。
【0051】
制御部50のCPU51は、高周波電力の周波数を所定の超音波の周波数の範囲で変化させて、半導体装置10の動画を撮像してメモリ52に格納したら、
図5のステップS104に進んで1つのフレームと前フレームとのワイヤ30の画像を比較し、位置の差分Δdを算出する。
【0052】
図6のA部詳細に示すワイヤ30aは、各電極12、25~28に正常に接続されている。ワイヤ30aは、超音波加振されると、一段目~四段目ワイヤ31a~34aは、一段目~四段目ワイヤ31a~34aの下端がそれぞれ接続されている各電極12,25~27と上端が接続されている各電極25~28とのそれぞれの間の固有振動数g0で横方向に振動する。固有振動数g0は、ワイヤ30の直径と電極25,26及び電極26,27の間隔Lによって異なるが、一般的な半導体装置10では、数十Hzのオーダーとなることが多い。
【0053】
一方、不良ワイヤ30bは二段目の半導体チップ22の電極26との間が不着状態となっている。このため、不良ワイヤ30bが超音波加振されると、二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bとは、一段目の半導体チップ21の電極25と三段目の半導体チップ23との電極27と間の固有振動数g1で横方向に振動する。本例では、
図6のB部詳細に示すように、電極25と電極27との間隔Lは、電極25,26、電極26,27の間隔Lの2倍の2Lとなっているので、不良ワイヤ30bの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの固有振動数g1は、g0の1/2程度で、一般的な半導体装置10では、20~30Hzのオーダーとなることが多い。
【0054】
正常に接続されているワイヤ30aの一段目~四段目ワイヤ31a~34aは、数十Hzの固有振動数g0で横方向に振動する。動画のフレームレートは、一秒間に24~60フレームである。このため、例えば、1つのフレームの一段目~四段目ワイヤ31a~34aの画像は、
図6のA部詳細でワイヤ30aの中心線39aの左側の一点鎖線のようになり、1つ前の前フレームの画像は、
図6のA部詳細でワイヤ30aの中心線39aの右側の一点鎖線のようになる。
【0055】
制御部50のPCU51は、
図5のステップS104で、
図6のA部詳細に示す1つのフレームの一段目~四段目ワイヤ31a~34aの画像と、1つ前の前フレーム一段目~四段目ワイヤ31a~34aの画像とを対比してその間の差分Δdaを算出する。
図6のA部詳細に示すように、正常なワイヤ30aではこの差分Δdaは小さい。なお、この差分Δdaは一段目~四段目ワイヤ31a~34aの振幅に比例する量となる。
【0056】
一方、二段目の半導体チップ22の電極26との間が不着状態となっている不良ワイヤ30bの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bとは、20~30Hzで横方向に大きく振動する。先に述べたように、動画のフレームレートは、一秒間に24~60フレームであるから、例えば、1つのフレームの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの画像は、
図6のA部詳細、B部詳細で不良ワイヤ30bの中心線39bの左側の一点鎖線のようになり、1つ前の前フレームの画像は、
図6のA部詳細、B部詳細で不良ワイヤ30bの中心線39bの右側の一点鎖線のようになる。
【0057】
制御部50のCPU51は、ワイヤ30aの場合と同様、
図6のB部詳細に示すように、1つのフレームの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの画像と1つ前の前フレームの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの画像との差分Δdbを算出する。
図6のB部詳細に示すように、不良ワイヤ30bの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bではこの差分Δdbは、非常に大きく、所定の閾値ΔSを越えている。なお、この差分Δdbは二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの振幅に比例する量となる。
【0058】
制御部50のCPU51は、
図6のB部詳細に示すように、1つのフレームの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの画像と1つ前の前フレームの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの画像との差分Δdbが所定の閾値ΔSを越えた場合、
図5のステップS105でYESと判断して
図5のステップS106に進んで、半導体装置10のワイヤ30に不良があることを示すワイヤ不良検出信号を外部に出力する。
【0059】
一方、制御部50のCPU51は、いずれのワイヤ30でも差分Δdが所定の閾値ΔSを越えてない場合には、
図5のステップS105でNOと判断して
図5のステップS107に進んで、半導体装置10のワイヤ30は良好であることを示すワイヤ良好信号を外部に出力する。
【0060】
以上説明したように、実施形態の超音波加振式不良検出装置100は、高周波電源40から超音波振動子42に供給される高周波電力の電流A1を略一定にフィードバック制御することにより、高周波電力の周波数fを変化させた場合でも、超音波振動子42の振幅を略一定とし、基板11と半導体素子20の振幅を略一定とすることができる。また、カメラ45で撮像した画像から検出される基板11と半導体素子20の振幅に対するカメラ45で撮像した画像から検出されるワイヤ30の振幅の比率が所定値以上となるように電圧を調整することにより、基板11と半導体素子20の振幅にワイヤ30の振幅が埋もれてしまうことを抑制できる。これにより、様々な周波数において、基板11と半導体素子20の振幅にワイヤ30の振幅が埋もれてしまうことを抑制し、様々な周波数でワイヤ30の振幅を確実に検出することができる。
【0061】
また、ワイヤ30の不着によりワイヤ30が大きく振動する周波数は、不着の位置、電極12、25~28の間隔L、ワイヤ30の直径等によって様々に変化する。実施形態の超音波加振式不良検出装置100は、様々な周波数でワイヤ30の振幅を確実に検出できるので、不着によりワイヤ30の振幅が大きくなる各周波数においてワイヤ30の振幅を検出でき、高精度で短時間にワイヤ30の不良検出を行うことができる。
【0062】
以上の説明では、高周波電源40から超音波振動子42に供給される高周波電力の電流A1が略一定になるようにフィードバック制御することにより、高周波電力の周波数fを変化させた場合に、超音波振動子42の振幅を略一定とすることとして説明したがこれに限らない。
【0063】
例えば、
図3を参照して説明したように、試験等により高周波電力の電圧V0を一定として周波数を変化させた際の高周波電力の電流A0の変化を取得しておき、
図7に一点鎖線c2で示すように電流A0の増加と減少とを逆にした電圧波形を生成し、この電圧波形を周波数fに対する電圧V2の変化を示すマップ55としてメモリ52に格納しておく。
図7に一点鎖線c2で示すように、マップ55は、周波数f1近傍では電圧が低くなり、周波数f2では電圧が高くなる波形となる。そして、超音波加振を行う際には、メモリ52に格納したマップ55を参照して周波数fに対する電圧を調整してもよい。この場合も、
図7の実線d2に示す様に、超音波振動子42に供給される電流A2は周波数が変化しても略一定となる。
【0064】
これにより、簡便な構成で半導体装置10を様々な周波数帯で超音波加振した際に半導体装置10の全体が大きく振動し、対象部であるワイヤ30の振幅が基板11や半導体素子20の振幅に隠れて検出できなくなることを抑制でき、高精度に検査対象物の対象部の不良を検出することができる。
【0065】
また、試験を簡便にして、例えば、
図8に一点鎖線c3に示す様に、周波数fに対して階段状に電圧V3を変化させるような電圧波形をマップ56としてメモリ52に格納するようにしてもよい。この場合には、
図8の実線d3に示すように、超音波振動子42に供給される電流A3は略一定にはならないが、所定の範囲ΔAの中に入る。これにより、更に簡便な方法で高精度で短時間にワイヤ30の不良検出を行うことができる。
【0066】
また、制御部50のCPU51は、半導体装置10を超音波加振する際に、ワイヤ30の画像の差分Δdを算出する1つのフレームと前フレームとの間のフレーム数、或いは、動画のフレームレートを変化させてワイヤ30の画像の差分Δdを算出してもよい。これにより、ワイヤ30の振動数が変化する場合でもワイヤ30の画像の差分Δdを検出することができ、不良の検出精度を高めることができる。
【0067】
次に、
図9を参照して実施形態のワイヤ不良検出システム200について説明する。
図9に示すワイヤ不良検出システム200は、基板11と、基板11に取付けられた半導体チップ21~24と、半導体チップ21~24の電極25~28と基板11の電極12、又は、半導体チップ21~24の一の電極25~28と半導体チップ21~24の他の電極25~28とを接続するワイヤ31~34と、を備える半導体装置10のワイヤ30の不良を検出する。ワイヤ不良検出システム200は、先に説明した超音波加振式不良検出装置100の超音波加振器である超音波振動子42を超音波スピーカー43とし、制御部50にカメラ45で撮像した画像を表示するディスプレイ48を追加したものである。また、ワイヤ不良検出システム200は、超音波加振式不良検出装置100に取付けられていた電圧センサ53、電流センサ54を備えず、制御部50のメモリ52の中に
図7、8を参照して説明したマップ55又はマップ56を格納している。そして、制御部50のCPU51は、高周波電源40から超音波スピーカー43に供給される高周波電力の周波数fを変化させる際に、マップ55又はマップ56に基づいて高周波電源40から超音波スピーカー43に供給される高周波電力の電圧を調整する。上記以外の構成は、先に説明した超音波加振式不良検出装置100と同様である。
【0068】
超音波スピーカー43は、半導体装置10の周囲に配置され、半導体装置10を超音波加振する。
【0069】
図10、11を参照しながらワイヤ不良検出システム200の動作について説明する。先に、
図5、6を参照しながら説明した超音波加振式不良検出装置100の動作と同様の動作については、同様のステップ番号を付して説明は省略する。
【0070】
図10のステップS201,S102~S104に示すように、制御部50のCPU51は、電流センサ54で検出した電流A1が略一定となるように高周波電力の電圧V1を調整しつつ、高周波電力の周波数fを変化させながら半導体装置10を超音波加振する。そして、制御部50のCPU51は、振動している半導体装置10のワイヤ30の動画を撮像し、撮像した画像データをメモリ52に格納する。そして、制御部50は、高周波電力の周波数を所定の超音波の周波数の範囲で変化させて、半導体装置10の動画を撮像してメモリ52に格納したら、先に説明したと同様に、1つのフレームと前フレームとの画像を比較し、ワイヤ30の画像の差分Δdを算出する。
【0071】
制御部50のCPU51は、
図6のB部詳細に示すように、1つのフレームの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの画像と1つ前の前フレームの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの画像との差分Δdbが所定の閾値ΔSを越えた場合、
図10のステップS105でYESと判断して
図10のステップS202に進み、二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの画像のディスプレイ48上の表示画像を正常に接続されているワイヤ30aの一段目~四段目ワイヤ31a~34aの表示画像と異ならせる。
【0072】
異なる表示は、様々な表示があるが、例えば、不良ワイヤ30bの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの画像を赤く表示してもよい。また、輝度の高い白色で表示し、基板11と各半導体チップ21~24の画像、或いは、正常に接続されているワイヤ30aの一段目~四段目ワイヤ31a~34aの画像と区別できるように表示してもよい。
【0073】
検査員は、ディスプレイ48の画像を見ると、例えば、不良ワイヤ30bが赤色に表示されるので、一目で不良ワイヤ30bの有無、及び、その位置を検出することができる。
【0074】
制御部50のCPU51は、
図10のステップS105でNOと判断した場合には、画像を異ならせることなく処理を終了する。
【0075】
また、制御部50のCPU51は、
図11に示すように、1つのフレームの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの画像と1つ前の前フレームの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの画像との差分Δdbが所定の閾値ΔSを越えた場合、
図11中にハッチングで示す二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの振動領域の内の差分Δdbが所定の閾値ΔSを超えた超過領域35,36の画像表示を他の領域の画像表示と異ならせてディスプレイ48に表示することとしてもよい。例えば、超過領域35,36を赤色表示にする場合、不良ワイヤ30bの二段目ワイヤ32bと三段目ワイヤ33bの画像よりも広い領域を赤色表示にするので、検査員はより、容易に不良ワイヤ30bを検出することができる。
【0076】
以上説明したように、実施形態のワイヤ不良検出システム200は、先に説明した超音波加振式不良検出装置100と同様の効果に加え、ディスプレイ48の上に不良ワイヤ30bの表示画像を他の表示画像と区別して表示することができる。これにより、検査員がディスプレイ48の画像により不良ワイヤ30bの検出を行うことができる。不良ワイヤ30bの振幅と正常に接続されているワイヤ30aの振幅との差は顕著なので、高精度で不良ワイヤ30bの不良検出を行うことができる。また、カメラ45で半導体装置10に含まれる全てのワイヤ30の画像を取得し、同時に分析してディスプレイ48に表示するができるので、ワイヤ30の本数が多くなっても短時間に全てのワイヤ30の不良検査を行うことができる。
【符号の説明】
【0077】
10 半導体装置、11 基板、12,25~28 電極、20 半導体素子、21~24 半導体チップ、30,31~34 ワイヤ、35,36 超過領域、39a,39b 中心線、40 高周波電源、42 超音波振動子、43 超音波スピーカー、45 カメラ、48 ディスプレイ、50 制御部、51 CPU、52 メモリ、53 電圧センサ、54 電流センサ、55,56 マップ、100 超音波加振式不良検出装置、200 ワイヤ不良検出システム。