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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】印刷ヘッド付きのインクカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
B41J2/175 119
B41J2/175 167
B41J2/175 165
B41J2/175 161
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022571263
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 CN2021091594
(87)【国際公開番号】W WO2022052488
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】202021995427.7
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512246042
【氏名又は名称】珠海納思達企業管理有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100207217
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 智夫
(72)【発明者】
【氏名】邱 涌群
(72)【発明者】
【氏名】▲廖▼ 沐佳
(72)【発明者】
【氏名】沈 ▲偉▼
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第8544988(US,B1)
【文献】特開2016-107525(JP,A)
【文献】特開2008-284884(JP,A)
【文献】特開平7-60953(JP,A)
【文献】特表2017-530884(JP,A)
【文献】特開2003-182070(JP,A)
【文献】特開平2-29346(JP,A)
【文献】特開2015-93452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッド付きのインクカートリッジであって、
インクパックと、印刷ヘッドケースと、第1チップとを含み、
前記インクパックは、インクを収容するためのインク収容キャビティを有し、前記印刷ヘッドケースは、取付キャビティを有し、前記インクパックは、前記取付キャビティ内に取り付けられ、前記印刷ヘッドケースに取り付けられた印刷ヘッドにインクを提供するために用いられ、前記第1チップは、前記インクパックの外面に設けられ、かつ少なくとも一部が前記インクカートリッジの外面に露出し、前記第1チップにおける前記インクカートリッジの外面に露出した部分は、情報接点を含
前記インクパックは、側面及び頂面を含み、前記第1チップは、さらに第1基板を含み、前記第1基板は、一端が前記側面に設けられ、他端が前記頂面まで延在し、前記情報接点は、前記第1基板における前記頂面まで延在する一端に設けられる、ことを特徴とする印刷ヘッド付きのインクカートリッジ。
【請求項2】
前記第1基板は、第1領域と、第2領域と、可撓性接続領域とを含み、前記第1領域は、前記側面に設けられ、前記第2領域は、前記頂面に設けられ、前記可撓性接続領域は、前記側面と前記頂面との接続部に巻設され、かつ前記可撓性接続領域は、一端が前記第1領域に接続され、他端が前記第2領域に接続され、前記情報接点は、前記第2領域に設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の印刷ヘッド付きのインクカートリッジ。
【請求項3】
前記インクカートリッジは、さらに保護カバーを含み、前記保護カバーは、前記印刷ヘッドケース及び前記インクパックを半包囲して係合される、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷ヘッド付きのインクカートリッジ。
【請求項4】
印刷ヘッド付きのインクカートリッジであって、
インクパックと、印刷ヘッドケースと、第1チップとを含み、
前記インクパックは、インクを収容するためのインク収容キャビティを有し、前記印刷ヘッドケースは、取付キャビティを有し、前記インクパックは、前記取付キャビティ内に取り付けられ、前記印刷ヘッドケースに取り付けられた印刷ヘッドにインクを提供するために用いられ、前記第1チップは、前記インクパックの外面に設けられ、かつ少なくとも一部が前記インクカートリッジの外面に露出し、前記第1チップにおける前記インクカートリッジの外面に露出した部分は、情報接点を含み、
前記インクパックは、側面を含み、前記第1チップは、さらに第1基板を含み、前記第1基板は、前記側面に設けられ、前記情報接点は、前記第1基板に設けられ、前記印刷ヘッドケースには、第1切り欠きが開設され、前記第1切り欠きの位置は、前記情報接点の位置に対応して設けられ、
前記第1基板は、第2領域を有し、前記第2領域は、前記第1基板における前記インクパックの頂面に近接する一端に位置し、前記情報接点は、前記第2領域に設けられる、ことを特徴とする印刷ヘッド付きのインクカートリッジ。
【請求項5】
前記第1切り欠きは、前記取付キャビティの開口を貫通する、ことを特徴とする請求項に記載の印刷ヘッド付きのインクカートリッジ。
【請求項6】
前記インクカートリッジは、さらに保護カバーを含み、前記保護カバーは、前記印刷ヘッドケース及び前記インクパックを半包囲して係合され、かつ前記保護カバーには、第2切り欠きが開設され、前記第2切り欠きは、前記第1切り欠きの位置に対応して設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の印刷ヘッド付きのインクカートリッジ。
【請求項7】
前記インクパックは、位置決め部材を含み、前記第1チップは、さらに第1基板を含み、前記第1基板には、位置決め孔が開設され、前記位置決め孔は、前記位置決め部材に対応して設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷ヘッド付きのインクカートリッジ。
【請求項8】
前記インクカートリッジは、さらにチップ部品を含み、前記チップ部品は、さらに第2チップ及び第3チップを含み、前記第3チップは、前記印刷ヘッドケースの外壁に設けられ、前記第2チップの一端は、前記印刷ヘッドケースの外壁に設けられ、前記第3チップに電気的に接続され、前記第2チップの他端は、前記取付キャビティの内壁まで延在し、前記第1チップに電気的に接続される、ことを特徴とする請求項1又は4に記載の印刷ヘッド付きのインクカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、画像形成の技術分野に関し、具体的には印刷ヘッド付きのインクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年9月11日に中国特許庁へ提出された、出願番号が202021995427.7であり、出願名称が「印刷ヘッド付きのインクカートリッジ」である中国特許出願の優先権を要求し、その内容を全て参照により本願に取り込むものとする。
【0003】
従来技術において、印刷ヘッド付きのインクカートリッジは、一般的に、インクパック、印刷ヘッドケース及びチップを含む。インクパックは、印刷ヘッドケース内に設けられ、印刷ヘッドケースに取り付けられた印刷ヘッドにインクを提供するために用いられる。チップは、インクパック及びヘッドケースに設けられ、かつインクパックに設けられたチップにインク量、型番などの情報が記憶されている。当該チップに対してアップグレードするか又は情報を書き換える必要がある場合には、チップを書き換え、アップグレードすることができるまでにインクパックを印刷ヘッドケースから取り出す必要があり、操作が複雑で不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に存在する上記問題を克服するために、本願の主な目的は、チップに対してアップグレード又は情報の書き換えを直接的に行うことができ、煩雑な取り外し操作を回避することができるインクカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本願は、具体的に以下の態様を採用する。
【0006】
本願は、印刷ヘッド付きのインクカートリッジが提供され、当該インクカートリッジは、インクパックと、印刷ヘッドケースと、第1チップとを含み、
前記インクパックは、インクを収容するためのインク収容キャビティを有し、
前記印刷ヘッドケースは、取付キャビティを有し、前記インクパックは、前記取付キャビティ内に取り付けられ、前記印刷ヘッドケースに取り付けられた印刷ヘッドにインクを提供するために用いられ、
前記第1チップは、前記インクパックの外面に設けられ、かつ少なくとも一部が前記インクカートリッジの外面に露出し、前記第1チップにおける前記インクカートリッジの外面に露出した部分は、情報接点を含む。
【0007】
好ましくは、前記インクパックは、側面及び頂面を含み、前記第1チップは、さらに第1基板を含み、前記第1基板は、一端が前記側面に設けられ、他端が前記頂面まで延在し、前記情報接点は、前記第1基板における前記頂面まで延在する一端に設けられる。
【0008】
好ましくは、前記第1基板は、第1領域と、第2領域と、可撓性接続領域とを含み、前記第1領域は、前記側面に設けられ、前記第2領域は、前記頂面に設けられ、前記可撓性接続領域は、前記側面と前記頂面との接続部に巻設され、かつ前記可撓性接続領域は、一端が前記第1領域に接続され、他端が前記第2領域に接続され、前記情報接点は、前記第2領域に設けられる。
【0009】
好ましくは、前記インクカートリッジは、さらに保護カバーを含み、前記保護カバーは、前記印刷ヘッドケース及び前記インクパックを半包囲して係合される。
【0010】
好ましくは、前記インクパックは、側面を含み、前記第1チップは、さらに第1基板を含み、前記第1基板は、前記側面に設けられ、前記情報接点は、前記第1基板に設けられ、前記印刷ヘッドケースには、第1切り欠きが開設され、前記第1切り欠きの位置は、前記情報接点の位置に対応して設けられる。
【0011】
好ましくは、前記第1基板は、第2領域を有し、前記第2領域は、前記第1基板における前記インクパックの頂面に近接する一端に位置し、前記情報接点は、前記第2領域に設けられる。
【0012】
好ましくは、前記第1切り欠きは、前記取付キャビティの開口を貫通する。
【0013】
好ましくは、前記インクカートリッジは、さらに保護カバーを含み、前記保護カバーは、前記印刷ヘッドケース及び前記インクパックを半包囲して係合され、かつ前記保護カバーには、第2切り欠きが開設され、前記第2切り欠きは、前記第1切り欠きの位置に対応して設けられる。
【0014】
好ましくは、前記インクパックは、位置決め部材を含み、前記第1チップは、さらに第1基板を含み、前記第1基板には、位置決め孔が開設され、前記位置決め孔は、前記位置決め部材に対応して設けられる。
【0015】
好ましくは、前記インクカートリッジは、さらにチップ部品を含み、前記チップ部品は、さらに第2チップ及び第3チップを含み、前記第3チップは、前記印刷ヘッドケースの外壁に設けられ、前記第2チップの一端は、前記印刷ヘッドケースの外壁に設けられ、前記第3チップに電気的に接続され、前記第2チップの他端は、前記取付キャビティの内壁まで延在し、前記第1チップに電気的に接続される。
【発明の効果】
【0016】
従来技術に比べて、本願のインクカートリッジは、インクパックに設けられた第1チップを少なくとも部分的にインクカートリッジの外面に露出させ、かつ第1チップにおけるインクカートリッジの外面に露出した部分が情報接点を含むように構成され、第1チップに対してアップグレード又は情報の書き換えを行う必要がある場合、印刷ヘッドケースからインクパックを取り出す必要がなく、当該第1チップに対してアップグレード又は情報の書き換えを直接的に行うことが可能となり、煩雑な取り外し操作が回避され、フローが簡略化され、インクカートリッジの使用をより便利にして、インクカートリッジの使用性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
ここでの図面は、明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成するものであり、本願に適合する実施例を示し、明細書と共に本願の原理を説明するためのものである。
図1】本願の実施例に係るインクカートリッジの斜視図である。
図2】本願の実施例に係るインクカートリッジの分解斜視図である。
図3図1におけるインクパックの斜視図である。
図4図1におけるインクパックの分解斜視図である。
図5図1におけるインクパックと印刷ヘッドケースとの斜視組立図である。
図6】本願の他の実施例に係るインクカートリッジの斜視組立図である。
図7図6におけるインクパックと印刷ヘッドケースの分解斜視図である。
図8図6におけるインクパックと印刷ヘッドケースとの斜視組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願の目的、技術手段及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施例は、本願を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものではないと理解されるべきである。
【0019】
本願の説明において、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「第1」、「第2」用語は、説明の目的のみに用いられ、相対的な重要性を指示するか又は暗示するものではないと理解されるべきである。特に規定や説明がない限り、用語「複数」は、2つ又は2つ以上を指すものであり、用語「接続」、「固定」などは、いずれも広義に解釈されるべきものであり、例えば、「接続」は、固定接続であってもよく、着脱可能な接続であってもよく、又は一体的に接続されることであってもよく、又は電気的に接続されることであってもよく、また、直接的に接続されることであってもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてることであってもよい。当業者にとっては、具体的な状況に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0020】
本明細書の説明において、理解すべきこととして、本願の実施例に記載された「上」、「下」などの方位語は、図面に示された角度で説明されるものであり、本願の実施例を限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。また、文脈において、一つの素子が他の素子の「上」又は「下」に接続されることを言及する場合、それが他の素子の「上」又は「下」に直接的に接続できるだけでなく、中間素子を介して他の素子の「上」又は「下」に間接的に接続することもできることを理解すべきである。
【0021】
図1及び図2に示すように、本願の実施例は、インクパック1と、印刷ヘッドケース2と、保護カバー3と、チップ部品4と、印刷ヘッド(図示せず)とを含む印刷ヘッド付きのインクカートリッジを開示している。印刷ヘッドは、印刷ヘッドケース2の底部に設けられ、印刷操作を行うためのものである。印刷ヘッドケース2は、取付キャビティ20を有し、インクパック1は、取付キャビティ20内に着脱可能に取り付けられ、かつインクパック1は、インク収容キャビティ10を有し、インク収容キャビティ10は、インクを収容するために用いられ、インクパック1によって印刷ヘッドにインクを提供する。インクパック1内のインクが消費されてなくなったときに、印刷ヘッドケース2から取り出して交換することができる。保護カバー3は、印刷ヘッドケース2及びインクパック1を半包囲して係合され、印刷ヘッドケース2及びインクパック1を保護するために用いられる。チップ部品4は、第1チップ41を含み、第1チップ41は、インクパック1の外面に設けられ、かつ第1チップ41は、少なくとも部分的にインクカートリッジの外面に露出し、第1チップ41におけるインクカートリッジの外面に露出する部分は、情報接点412を含み、情報接点412は、書き換え、アップグレード又は情報の入力を行うために用いられる。
【0022】
本願は、情報接点412をインクカートリッジの外面に部分的に露出させることによって、第1チップ41に対してアップグレード又は情報の書き換えを行う必要がある場合、保護カバー3を取り外す必要がなく、印刷ヘッドケース2からインクパック1を取り出す必要もなく、インクパック1に設けられた第1チップ41に対してアップグレード又は情報の書き換えを直接的に行うことができ、インクカートリッジの使用性能を向上させる。
【0023】
具体的には、チップ部品4は、さらに第2チップ42及び第3チップ43を含む。第3チップ43は、印刷ヘッドケース2の外壁に設けられ、印刷装置と接触し、電気的接続を図るために用いられる。第2チップ42の一端は、印刷ヘッドケース2の外壁に設けられ、第3チップ43に電気的に接続され、第2チップ42の他端は、取付キャビティ20の内壁まで延在し、第1チップ41に電気的に接続される。
【0024】
図3を参照し、インクパック1は、側面111と頂面120とを含み、第1チップ41は、さらに第1基板411を含み、第1基板411の一端は、側面111に設けられ、第1基板411の他端は、頂面120まで延在し、情報接点412は、第1基板411における頂面120まで延在する一端に設けられる。
【0025】
具体的には、第1基板411は、第1領域411aと、第2領域411bと、可撓性接続領域411cとを含む。第1領域411aは、側面111に設けられ、第2チップ42と電気的に接続するために用いられ、第2領域411bは、頂面120に設けられ、情報接点412は、第2領域411bに設けられる。可撓性接続領域411cは、側面111と頂面120との接続部に巻設され、かつ可撓性接続領域411cの一端は、第1領域411aに電気的に接続され、可撓性接続領域411cの他端は、第2領域411bに電気的に接続される。
【0026】
図4に示すように、第3チップ43は、第3基板と、複数の電気接点及び導電接点(図示せず)とを含み、第3基板は、印刷ヘッドケース2の外壁に設けられ、複数の電気接点及び導電接点は、それぞれ第3基板の外側に設けられ、複数の電気接点は、プリンタ側の対応する接点に接続されることによって、第3チップとプリンタとの間に電気的接続を確立するために用いられる。第2チップ42は、第2基板を含み、第2基板は、第1領域及び第2領域を有し、第2基板の第1領域における第3チップ43に向かう側には、接触部が設けられ、第2チップ42の第1領域は、第3チップ43の外側に貼り付けられてもよく、それによって第2チップ42の接触部は、第3チップ43の導電接点と一対一に対応して、電気的に接続される。第2チップ42の第2領域は、取付キャビティ20の開口縁を迂回して取付キャビティ20の内壁まで延在し、第1チップ41の第1領域411aと接触して、電気的接続を図る。
【0027】
本実施例において、第1チップ41の第1領域411aは、硬質板で製造され、さらに第1チップ41の強度を強化して、それをインクパック1に固定することをより容易にすることができる。第1チップ41の第2領域411b及び可撓性接続領域411cは、いずれも可撓性板で製造され、折り曲げによってインクパック1に位置する係止ストリップを跨って、インクパック1の頂面に固定される。したがって、インクパック1が印刷ヘッドケース2内に取り付けられ、かつ保護カバー3が取り付けられた後に、第1チップ41の第2領域411bに位置する情報接点412は、依然としてインクカートリッジの外面に露出することができ、情報の書き換え及びアップグレードの操作を行いやすい。
【0028】
理解されるように、他の実施例において、可撓性接続領域411cのみが可撓性板で製造されるとともに、第1領域411a及び第2領域411bがそれぞれ硬質板で製造されるように構成されてもよい。
【0029】
図1及び図4を同時に参照し、インクパック1は、ケース11と、蓋体12と、押圧部14と、係止ストリップ15と、リブ16と、係合部17とを含む。インク収容キャビティ10は、ケース11に開設され、かつケース11は、側面111を有し、側面111は、収容部110を有し、当該収容部110は、第1基板411の第1領域411aの裏面に設けられたウェハ集積部分を収容するために用いられる。押圧部14と係合部17は、それぞれケース11の側壁に接続される。印刷ヘッドケース2には位置規制溝21が開設され、位置規制溝21が係合部17と合わせて設けられることによって、インクパック1は、係合部17及び位置規制溝21によって印刷ヘッドケース2と係合して固定することができる。係止ストリップ15は、蓋体12の上面に接続され、プリンタ本体と係合することによって、インクカートリッジをプリンタ本体内に取り付けて固定するために用いられる。リブ16は、ケース11の両側に設けられ、印刷ヘッドケース2の内壁と摩擦を増大させるか又は係合、係着又は嵌合などを発生させることに用いられ、このようにすることでインクパック1の印刷ヘッドケース2内における固定の安定性を向上させる。蓋体12は、溶接の方式によってケース11に接続され、蓋体12をインク収容キャビティ10に被せることができる。
【0030】
ここで、係止ストリップ15は、1つ設けられてもよく、又は複数設けられてもよい。本実施例において、係止ストリップ15は、3つ設けられ、そのうち2つの係止ストリップ15は、蓋体12の頂部の同じ端に設けられ、蓋体12の軸線に対して対称に設けられ、もう1つの係止ストリップ15は、蓋体12の頂部の他端に設けられ、その中心線が蓋体12の軸線と共線である。画像形成装置には、各係止ストリップ15にそれぞれ対応して設けられる係止溝が設けられ、当該インクカートリッジが画像形成装置本体に取り付けられるときに、各係止ストリップ15は、それぞれ画像形成装置本体における、対応する係止溝に入り込んで係合する。理解されるように、他の実施例において、係止ストリップ15は、1つ又は2つ又は3つ以上設けられてもよく、かつその具体的な設置位置は、実際の需要に応じて設定されてもよい。ここで、蓋体12の頂部の他端に単独で位置する係止ストリップは、さらに保護カバーを固定する作用を有するものとする。
【0031】
さらに、蓋体12には、インク注入孔121と、導気孔122と、導気溝123とが開設される。インク注入孔121はインク収容キャビティ10に連通し、インク注入孔121によってインク収容キャビティ10内にインクを注入することができ、操作が簡単で容易である。導気孔122はインク収容キャビティ10に連通し、さらにインク収容キャビティ10と外部環境との間の気圧を平衡化して、インクをスムーズに流出させることができる。それと同時に、インク収容キャビティ10内の空気を導出することによって、インク収容キャビティ10内のインクが空気によって蒸発して乾燥することを回避することができる。また、導気孔122は、円形であってもよく、方形であってもよく、連通可能なものであればよい。導気溝123の一端は、導気孔122と連通し、導気溝123の他端には、外部と連通する開口が設けられる。ここで、インク注入孔121及び導気孔122の数は、インクカートリッジのタイプに関連する。
【0032】
外気が導気孔122から入ることによって、インク収容キャビティ10の内部のインクが蒸発して乾燥することを回避するために、同時にインクが導気孔122及びインク注入孔121から流出することを阻止するために、インクパック1は、さらに被膜13を含み、被膜13は、導気溝123、導気孔122及びインク注入孔121に被覆される。具体的には、被膜13は、アルミニウム板であってもよく、プラスチックフィルムであってもよい。好ましくは、被膜13は、透明なPVC材料であり、さらに導気孔122からインク収容キャビティ10内のインクの状況を観察することができる。インク収容キャビティ10の内部に空気が存在する場合、空気の密度がインクの密度よりも小さいため、空気は、インク収容キャビティ10の上方に位置し、導気孔122に流入してさらに導気溝123の一端に入り、導気溝123に沿って流通し、導気溝123の他端に流れ、最終的に開口から流出し、外気に流入する。
【0033】
本実施例において、被膜13が導気孔122上に被覆されるため、導気孔122によってインク収容キャビティ10と外部環境との間の気圧を平衡化することができず、インク収容キャビティ10と外部との間に圧力差が存在し、インクを注入しにくい。したがって、導気溝123の他端に開口が設けられ、開口が外気と連通し、インク収容キャビティ10と外部環境との間の気圧を平衡化するために用いられ、インク注入を成功させる。ここで、導気溝123は、直線管部であってもよく、インク収容キャビティ10の内部の空気を導出するために用いられる。好ましくは、導気溝123は、蓋体12に湾曲して延在し、導気溝123は曲がりくねったカーブを形成し、インクが導気孔122及び導気溝123に沿って流出することを阻止することができる。
【0034】
本実施例において、第1チップ41の第2領域411bは、蓋体12の一端に固定されるため、一部の導気孔122、導気溝123及びインク注入孔121を覆うこともできる。好ましくは、密封性をより良好にするために、被膜13を用いて蓋体12全体における導気孔122、導気溝123及びインク注入孔121を覆い、その後に第1チップ41の第2領域411bを被膜13に溶接又は貼付する(ここで固定のプロセス手段を限定しない)。
【0035】
本実施例において、インク収容キャビティ10の内部は、仕切り板によって3つの領域に仕切られ、それぞれC、M、Yの3種類の色のインクを対応して貯蔵し、3つの貯蔵室内にはいずれもインクを吸着して貯蔵するためのスポンジ又は他の多孔質体材料を設けることができる。3つの貯蔵室の上方開口に、それぞれ導気孔122、導気溝123及びインク注入孔121が対応する。対応する導気溝123は、曲がりくねったラビリンス通路によって蓋体12の後端まで延在して集約して設けられる。インクパック1内にBK色のインクのみを貯蔵する場合、対応する蓋体12における導気孔122、導気溝123及びインク注入孔121の数及びレイアウトも対応して変更し、ここでは説明を省略する。
【0036】
インクパック1を交換するときに、常にインクパック1をテーブルに置き、このようにテーブル上の塵埃がインクパック1のインク吐出口(底部に位置し、図示せず)からインクパック1の内部に入りやすく、インクパック1内のインク汚れを引き起こす恐れがある。インクパック1内のインクが汚れることを防止するために、インクパック1は、さらに支持部19を含み、支持部19は、ケース11の底部の一方側に設けられ、かつ、支持部19のケース11の底部から突出する長さは、インク吐出口のケースの底部から突出する長さよりも長い。支持部19の設置によって、インクパック1のインク吐出口が外部と直接接触することを回避して、塵埃がインク吐出口に入ることを防止することができる。
【0037】
引き続き図5を参照し、インクパック1は、さらに位置決め部材18を含み、位置決め部材18は、ケース11の側面111に接続される。第1基板411には、位置決め孔411dが開設され、位置決め孔411dの位置は、位置決め部材18の位置に対応して設けられる。第1チップ41がインクパック1に接続されるときに、位置決め孔411d及び位置決め部材18でガイドすることによって、第1チップ41をインクパック1へよりスムーズに接続することができる。さらに、第1チップ41の第1領域411aは、溶接又は貼付などのプロセスによってインクパック1の表面に固定されることができ、熱を印加することによって位置決め部材18の端部を軟化して、位置決め部材18の端部を曲げることによって第1基板411の少なくとも一部を被覆し、位置決め部材18が冷却して凝固することによって、位置決め部材18がフランジのように第1基板411の表面に被覆されて、第1基板411の第1領域411aを固定することもできる。
【0038】
上記実施例に基づいて、本願は、さらに別の具体的な実施形態を開示し、図6図8を同時に参照し、本実施例と上記実施例との相違点は、以下のとおりである。即ち、本実施例において、第1基板411は、インクパック1の側面111のみに設けられ、インクパック1の頂面120まで延在せず、情報接点412は、第1基板411に設けられ、即ち、情報接点412は、インクパック1の側面111のみに位置する。印刷ヘッドケース2には第1切り欠き22が開設され、第1切り欠き22の位置が情報接点412の位置に対応して設けられ、保護カバー3には第2切り欠き31が開設され、第2切り欠き31の位置が第1切り欠き22の位置に対応して設けられることによって、情報接点412がインクカートリッジの外面に露出する。第1チップ41に対してアップグレード又は情報の書き換えを行う必要がある場合、第2切り欠き31及び第1切り欠き22によって第1チップ41に対してアップグレード又は情報の書き換えを直接的に行うことができる。
【0039】
具体的には、第1基板411は、第1領域411aと、第1領域411aに電気的に接続された第2領域411bとを有し、第1領域411aは、第2チップ42に接触することによって、電気的な接続を図るために用いられ、第2領域411bは、インクカートリッジの外面に露出し、情報接点412は、情報の書き換え又はアップグレードなどの操作を行いやすいように、第2領域411bに設けられる。
【0040】
さらに、第2領域411bは、第1基板411のインクカートリッジの頂面120に近接する一端に位置する。第1切り欠き22は、取付キャビティ20の開口を貫通し、第2チップ42の一端は、ケース11の外壁に設けられ、第2チップ42の他端は、第1切り欠き22を迂回して取付キャビティ20の内壁まで延在しつつ、第1領域411aと接触して、電気的接続が図られている。
【0041】
本実施例において、第1チップの構造を簡略化し、第1チップに頂面まで巻設された領域を追加して設置する必要がなく、プロセスを簡略化し、第1チップのコストも低減され、第1チップの基板に一列の接点を増加させ、印刷ヘッドケースと保護カバーにおいて対応する切り欠きを開設するだけで、チップの書き換え又はアップグレードの操作フローを簡略化することができる。
【0042】
前記したのは、本願の好ましい具体的な実施形態に過ぎず、本願の保護範囲は、これに限定されるものではなく、任意の本技術分野に精通する当業者が本願に開示された技術範囲内において容易に想到し得る変更又は置換は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本願の保護範囲は、請求項の保護範囲に基づいてされるべきである。
【符号の説明】
【0043】
1、インクパック;10、インク収容キャビティ;11、ケース;110、収容部;111、側面;12、蓋体;120、頂面;121、インク注入孔;122、導気孔;123、導気溝;13、被膜;14、押圧部;15、係止ストリップ;16、リブ;17、係合部;18、位置決め部材;19、支持部;2、印刷ヘッドケース;20、取付キャビティ;21、位置規制溝;22、第1切り欠き;3、保護カバー;31、第2切り欠き;4、チップ部品;41、第1チップ;411、第1基板;411a、第1領域;411b、第2領域;411c、可撓性接続領域;411d、位置決め孔;412、情報接点;42、第2チップ;43、第3チップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8