(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】地産地消型エネルギー供給システム
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
H02J1/00 304G
(21)【出願番号】P 2023177301
(22)【出願日】2023-10-13
【審査請求日】2023-10-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521031305
【氏名又は名称】株式会社町おこしエネルギー
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】沼田 昭二
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-129469(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107125205(CN,A)
【文献】特開2016-111871(JP,A)
【文献】特開2017-175786(JP,A)
【文献】特開2023-059572(JP,A)
【文献】特開2023-003439(JP,A)
【文献】特開2022-072385(JP,A)
【文献】特開2021-058051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
B60L 1/00
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕作放棄地又は遊休地に設置される太陽電池パネル部を有する発電部と、
前記太陽電池パネル部によって発電された電力を送電するための自営線と、
前記耕作放棄地又は遊休地の近傍に配置され、前記太陽電池パネル部と前記自営線で接続されて車両にエネルギーを供給するためのエネルギー供給ステーション部と、
前記太陽電池パネル部による電力で前記車両に供給するエネルギーが不足する場合にバックアップ電源からのエネルギーを供給するように切り替える制御部と、
を備えることを特徴とする地産地消型エネルギー供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の地産地消型エネルギー供給システムにおいて、
前記発電部は、
複数の羊を放牧させることが可能な耕作放棄地と、
前記耕作放棄地において、前記複数の羊の高さよりも高い位置に設置される複数の太陽電池パネル部と、
前記耕作放棄地に設置され、前記複数の羊を収容可能な厩舎を含み前記耕作放棄地よりも狭いパドック部と、
を備え、
前記複数の太陽電池パネル部は、面方向が地面に対して傾斜するように設置されていることを特徴とする地産地消型エネルギー供給システム。
【請求項3】
請求項1に記載の地産地消型エネルギー供給システムにおいて、
前記バックアップ電源は、大手電力会社から供給される電力であることを特徴とする地産地消型エネルギー供給システム。
【請求項4】
請求項1に記載の地産地消型エネルギー供給システムにおいて、
前記バックアップ電源は、電力の現物取引又は先渡取引を行う取引所から供給される電力であることを特徴とする地産地消型エネルギー供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地産地消型エネルギー供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーボンニュートラルへの取り組みとしてガソリン車から電気自動車への置き換えが計画されている。本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、蓄電池を搭載した電動車両を、充電ケーブルを介して需要家と電気的に接続する蓄電システムに用いられる電力制御装置であって、前記需要家の受電点に流れる電流および前記受電点に印加されている電圧に基づく電力を計測して得られた電力計測値および所定の受電電力目標値の情報を発信する電力計測部から前記情報を受信する受信部と、受信した前記電力計測値および前記受電電力目標値に基づいて、前記蓄電池の充電電力目標値を逐次更新する更新部と、を備える、電力制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
再生エネルギーは、変動エネルギー(太陽光発電・風力発電など)が大半であって、送配電容量が大きくなる可能性があり現状の送配電線を増強する必要があるが、これを実行するには30年~50年ほど長期間にわたる年数が必要となる。
【0005】
そこで、特許文献1に開示されているように自宅で発電した電力を用いて電気自動車を充電することが最も効率が良いと考えられるが、電気自動車が昼間は勤務先の駐車場にあって自宅には車がないといった場合もあり、効率良く充電できないことがある。
【0006】
本発明の目的は、再生エネルギーを有効に活用しながら車両にエネルギーを供給することを可能とする地産地消型エネルギー供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る地産地消型エネルギー供給システムは、耕作放棄地又は遊休地に設置される太陽電池パネル部を有する発電部と、前記太陽電池パネル部によって発電された電力を送電するための自営線と、前記耕作放棄地又は遊休地の近傍に配置され、前記太陽電池パネル部と前記自営線で接続されて車両にエネルギーを供給するためのエネルギー供給ステーション部と、前記太陽電池パネル部による電力で前記車両に供給するエネルギーが不足する場合にバックアップ電源からのエネルギーを供給するように切り替える制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る地産地消型エネルギー供給システムにおいて、前記発電部は、複数の羊を放牧させることが可能な耕作放棄地と、前記耕作放棄地において、前記複数の羊の高さよりも高い位置に設置される複数の太陽電池パネル部と、前記耕作放棄地に設置され、前記複数の羊を収容可能な厩舎を含み前記耕作放棄地よりも狭いパドック部と、を備え、前記複数の太陽電池パネル部は、面方向が地面に対して傾斜するように設置されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る地産地消型エネルギー供給システムにおいて、前記バックアップ電源は、大手電力会社から供給される電力であることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る地産地消型エネルギー供給システムにおいて、前記バックアップ電源は、電力の現物取引又は先渡取引を行う取引所から供給される電力であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、再生エネルギーを有効に活用しながら車両にエネルギーを供給することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る実施形態の地産地消型エネルギー供給システムを示す図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の地産地消型エネルギー供給システムの発電部の一例を示す図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の地産地消型エネルギー供給システムの発電部の拡大図である。
【
図4】本発明に係る実施形態の地産地消型エネルギー供給システムの変形例である地産地消型エネルギー供給システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0014】
図1は、本発明に係る実施形態の地産地消型エネルギー供給システム10を示す図である。
図2は、本発明に係る実施形態の地産地消型エネルギー供給システム10の発電部20の一例を示す図である。
図3は、本発明に係る実施形態の地産地消型エネルギー供給システム10の発電部20の拡大図である。
【0015】
図4は、本発明に係る実施形態の地産地消型エネルギー供給システム10の変形例である地産地消型エネルギー供給システム11を示す図である。
【0016】
地産地消型エネルギー供給システム10は、発電部20と、自営線22と、エネルギー供給ステーション部24と、制御部26とを備えている。地産地消型エネルギー供給システム10は、耕作放棄地又は遊休地を有効活用して電力を発電しつつ効率良く伝送しながら電力を供給するシステムである。
【0017】
発電部20は、耕作放棄地又は遊休地に設置される太陽電池パネル部14を有する。具体的には、発電部20は、複数の羊2を放牧させることが可能な耕作放棄地12と、耕作放棄地12において、複数の羊2の高さよりも高い位置に設置される複数の太陽電池パネル部14と、耕作放棄地12に設置され、複数の羊を収容可能な厩舎を含み耕作放棄地12よりも狭いパドック部16を備える。
【0018】
なお、ここでは、太陽電池パネル部14が設置される場所は耕作放棄地12であるものとして説明するが、遊休地であってもよい。「遊休地」とは文字どおり利用されておらず遊びとなっている土地のことである。
【0019】
耕作放棄地12は、複数の羊2を放牧させることが可能な領域である。耕作放棄地12は、例えば、200m×250m=50000m2(5ha)の広さを有するものとして説明するが、もちろん、この広さは一例であり、適宜変更することが出来る。
【0020】
「耕作放棄地」とは、1年以上作物が作られておらず、耕作を再開する見込みのない農地を言う。農林水産省の世界農林業センサスは「以前耕地であったもので、過去1年以上作物を栽培せず、しかも、この数年の間に再び耕作するはっきりした考えのない土地」と定義しており、5年ごとに耕作放棄地の面積などを農家による自己申告方式で調査している。
【0021】
耕作放棄地12の外周には、羊2が外に逃げ出さないように放牧用のフェンスなどが設置されている。例えば、所定の間隔で杭を打ちつけて、この杭にフェンスが装着されて、耕作放棄地12を区画している。
【0022】
羊2は、偶蹄目ウシ科ヒツジ属などの哺乳類である。羊2は、中型で、毛は柔らかく、角は大きくて渦巻き状である。羊2は、主に地上の草をかみ切って食べ、群れで暮らす。地中海沿岸から中央アジア、北アメリカ西部の山岳地帯に分布し、ムフロン・アルガリ・ビッグホーンなどが含まれる。
【0023】
複数の太陽電池パネル部14は、複数の羊2の高さよりも高い位置に設置される。
【0024】
パドック部16は、耕作放棄地12内に設置され、複数の羊2を収容可能な厩舎18を含み耕作放棄地12よりも狭い領域を有する。
【0025】
複数の太陽電池パネル部14は、面方向が地面に対して傾斜するように設置されている。各太陽電池パネル部14は、複数の太陽電池が並んで構成されており、太陽光を用いた光起電力効果を利用して電力を発生させる機能を有している。
【0026】
太陽電池の構成は、様々なものが考えられており、例えば、シリコン系、化合物系、有機系、量子ドット系などを用いることができる。
【0027】
各太陽電池パネル部14は、
図2,3に示されるように、面方向が地面に対して傾斜するように設置されており、手前側の脚部の高さに比べて奥側の脚部が高くなるように設置されている。
【0028】
各太陽電池パネル部14の大きさは、適宜変更することができるが、例えば、縦100cm×横200cmで、高さを所定の高さ(手前側が80cmで、奥側120cm)に設定することができる。もちろん、そのサイズは一例であり、適宜変更が可能である。
【0029】
各太陽電池パネル部14は、
図2に示されるように、所定の間隔をおいて整列配置されていて、各太陽電池パネル部14の間には通路が形成されており、この通路は羊2が移動することが出来る。
【0030】
各太陽電池パネル部14には、自営線22によって蓄電池42に接続される。また、厩舎18は、複数の羊2を飼育するための小屋であり、複数の羊2の寝床や餌や水を与えるためのスペースを有する。
【0031】
パドック部16は、耕作放棄地12内に設置され、厩舎18から出た複数の羊2が運動するための運動場であり、耕作放棄地12よりも狭い領域を有する。パドック部16の大きさは、例えば、10m×10m=100m2の敷地を有する。
【0032】
自営線22は、太陽電池パネル部14によって発電された電力を送電する機能を有する。自営線22とは、一定の区域内(以下「自営線区域内」という。)で、系統電力網(バックアップ電源系統6)とは別個に自営の送配電網を整備し、自営線22の区域内で発電施設(発電部20)から需要施設(エネルギー供給ステーション部24)へ電力を直接供給する電力供給するための送配電網である。
【0033】
万一自営線22の区域内での事故等により電力供給が困難となった場合に、バックアップ電源系統6からのバックアップを受けるためにバックアップ電源と接続され、大手電力会社4と予め補完供給の契約を締結している。これにより、大手電力会社4からの電力をバックアップ電源とすることが出来る。
【0034】
なお、自営線22の設置は整備及び維持管理が必要となる一方、災害時等のバックアップ電源系統6の電力停止時にも自営線22の区域内では電力供給が可能であり、防災拠点としての機能も併せ持つことができる。
【0035】
エネルギー供給ステーション部24は、耕作放棄地12の近傍に配置され、太陽電池パネル部14と自営線22で接続されて車両にエネルギーを供給する機能を有する。エネルギー供給ステーション部24は、一定の領域を有し、耕作放棄地12の近傍で、かつ、自動車道に沿った場所に設置される。
【0036】
エネルギー供給ステーション部24は、キュービクル30と、EV充電ステーション部40と、水素ステーション部50とを備えている。
【0037】
キュービクル30は、太陽電池パネル部14及びバックアップ電源系統6から送られてくる高電圧の電気を降圧する受電設備を収めた金属製の箱である。一般的に、キュービクル30は、多くの電気を必要とする商業施設や店舗、工場、オフィスビルなど、さまざまな施設に設置されている小規模の変電所とも言われている。
【0038】
キュービクル30は、自営線22及びバックアップ電源系統6と接続されてエネルギー供給ステーション部24内に設置される。
【0039】
EV充電ステーション部40は、蓄電池42と、充電器44とを備える。蓄電池42は、太陽電池パネル部14から供給される電力を充電する二次電池である。二次電池として、例えば、リチウムイオン二次電池を用いることができるが、もちろん、その他の二次電池であってもよく、例えば、ニッケル水素蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池などでもよい。充電器44は、市販されている急速充電器を使用することができ、車種により異なるが、約15分~30分で80%充電が可能である。
【0040】
水素ステーション部50は、水電解槽52と、水素圧縮タンク54とを備える。水電解槽52は、水を電気分解することで、高純度の水素ガスを供給する装置である。必要な時に必要な量だけ水を電気分解し、純度99.999%の水素ガスを製造することが可能である。
【0041】
水電解槽52の電解セルは、固体高分子膜によって分離されている2つの電極で構成されている。キュービクル30を介して供給される電力を用いて連続的に電圧を加えることで、水素と酸素を生成する。水素のみが固体高分子膜を通過するため、この原理を利用して水素と酸素を分離する。副生物の酸素は大気に排出することが出来る。
【0042】
水素圧縮タンク54は、最内層に水素ガスを封入する樹脂ライナーと、その外側に内圧に対する強度を受け持つCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)層、さらに外側に耐衝撃性を確保するGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic)層からなる。水素圧縮タンク54は、燃料電池車に水素を供給するために、水電解槽52から供給される水素を貯蔵する機能を有する。
【0043】
制御部26は、太陽電池パネル部14による電力で電気自動車又は燃料電池車に供給するエネルギーが不足する場合にバックアップ電源からのエネルギーを供給するように切り替える機能を有する。
【0044】
上記のように、制御部26は、太陽電池パネル部14によって発電された電力とバックアップ電源系統6から供給される電力に基づいて、エネルギー供給ステーション部24に電力を供給するための制御を行うことにより、電力を供給するための費用を動的に変動させることが出来る。例えば、1kwhの電気代が30円~50円で変動するような場合に、ガソリンスタンドのガソリン代の単価表示のように、電気代を表示させることで、ユーザは電気代が安い日(例えば、30円)に充電させるようなことが出来る。
【0045】
続いて、上記構成の地産地消型エネルギー供給システム10の作用について説明する。近年、再生可能エネルギーが注目されており、その中の1つとして太陽光発電がある。太陽光発電などのような再生エネルギーは変動エネルギーであるため、送配電容量を増強する必要があり、補強には長期間の時間を要する。
【0046】
太陽光発電は、広大な敷地があった場合に、その敷地に太陽電池パネルを設置して発電をすることができるが、長期間運用していると雑草が育ち、太陽電池パネルに覆いかぶさってしまうと発電効率が低下する。
【0047】
また、世界的には水不足、砂漠化、異常気象、病害虫の発生、生態系の破壊、戦乱などで耕作放棄地が増えているのに対し、日本ではもっぱら農業労働力の高齢化とこれに伴う後継者不足により耕作放棄が進んでおり、耕作放棄地が増えるいっぽうである。
【0048】
このような課題に対して、本発明に係る実施形態の地産地消型エネルギー供給システム10は顕著な効果を発揮する。
【0049】
地産地消型エネルギー供給システム10によれば耕作放棄地12に複数の太陽電池パネル部14を設置するとともに、厩舎18を有するパドック部16を設置し、羊2がパドック部16内だけでなく、耕作放棄地12内でも羊2が自由に遊べるようにする。
【0050】
また、太陽電池パネル部14で再生可能エネルギーを生成するとともに耕作放棄地12内に草が生えてきた場合であっても羊2が草を食べてくれるため、トラクターや人手による除草作業が不要となり、管理コストを抑えることができるという利点がある。
【0051】
太陽電池パネル部14による発電を行うことで、騒音や二酸化炭素の排出、土壌汚染といった面での環境負荷を低減することができる。
【0052】
そして、地産地消型エネルギー供給システム10によれば、複数の羊2は、パドック部16だけでなく、より広い範囲の耕作放棄地12を移動することができるため、ストレスフリーの放牧となる。
【0053】
太陽電池パネル部14は複数の羊2のシェルターともなり得る。例えば、日差しの強い夏場や、雨、風除けに太陽電池パネル部14を活用することができる。これにより、複数の羊2の健康状態を保つことができるため、病気などのリスクも低減できる。
【0054】
さらに、地産地消型エネルギー供給システム10によれば、耕作放棄地12で発電された電力を耕作放棄地12の近傍に設置されたエネルギー供給ステーション部24において電気自動車に充電したり、燃料電池車に水素を供給したりすることができる。これにより、耕作放棄地12を有効利用することが出来るとともに、長距離の電力伝送のインフラを長期間かけて改良することなく、電力の地産地消を実現できるという利点がある。
【0055】
また、地産地消型エネルギー供給システム10によれば、昼間の余剰電力を用いて安価な電力供給をすることができる。また、太陽光発電の発電部20により発電された電力を、自営線22を用いて伝送しているため、ブラックアウトや計画停電など災害非常時でも蓄電池42から電力供給することができるため、電気自動車や燃料電池車にエネルギーを供給することが出来る。
【0056】
そして、地産地消型エネルギー供給システム10によれば、現状の送電配線を長期間かけて改良する必要がないため、変動の再生エネルギーの早期普及に寄与することが出来る利点がある。
【0057】
次に、地産地消型エネルギー供給システム10の変形例である地産地消型エネルギー供給システム11について説明する。地産地消型エネルギー供給システム11は、地産地消型エネルギー供給システム10との相違点は、バックアップ電源であるため、相違点を中心に説明する。
【0058】
地産地消型エネルギー供給システム10ではバックアップ電源は、大電力会社から供給される電力であったが、地産地消型エネルギー供給システム11は、電力の現物取引又は先渡取引を行う取引所から供給される電力であり、例えば、一般社団法人日本卸電力取引所(JPEX8)がある。これにより、例えば、JPEX8の電力市場において余剰電力がある場合に、エネルギー供給ステーション部24に供給可能な状態とすることで電力の安定化に寄与する。
【0059】
なお、地産地消型エネルギー供給システム10,11では、1つの耕作放棄地12の太陽電池パネル部14から自営線22によって接続されているものとして説明したが、もちろん、複数の耕作放棄地12の太陽電池パネル部14と接続されていてもよい。
【0060】
また、地産地消型エネルギー供給システム10,11では、キュービクル30から直流電力が供給されるものとして説明したが、例えば、発電部20の領域内でパワーコンディショナーを用いて交流電力に変換して供給してもよい。
【0061】
さらに、地産地消型エネルギー供給システム10,11では、太陽電池パネル部14が設置された耕作放棄地12に羊2を遊牧させたソーラーグレージングによるものであるが、羊2を遊牧せずに太陽電池パネル部12だけを設置してもよい。
【0062】
また、地産地消型エネルギー供給システム10,11では、水素タンクとして圧縮型を例に説明したが、吸蔵合金を用いてもよい。地産地消型エネルギー供給システム10,11では、災害非常時などにおいて電力・水素を供給することが出来るとして述べたが、その他の役割、例えば、避難所としても活用できる。
【符号の説明】
【0063】
4 大手電力会社、6 バックアップ電源系統、8 JPEX、10,11 地産地消型エネルギー供給システム、12 耕作放棄地、14 太陽電池パネル部、14 自営線、16 パドック部、18 厩舎、20 発電部、22 自営線、24 エネルギー供給ステーション部、26 制御部、30 キュービクル、40 EV充電ステーション部、42 蓄電池、44 充電器、50 水素ステーション部、52 水電解槽、54 水素圧縮タンク。
【要約】
【課題】再生エネルギーを有効に活用しながら車両にエネルギーを供給することを可能とする地産地消型エネルギー供給システムを提供することである。
【解決手段】地産地消型エネルギー供給システム10は、耕作放棄地12に設置される太陽電池パネル部を有する発電部20と、太陽電池パネル部14によって発電された電力を送電するための自営線22と、耕作放棄地12の近傍に配置され、太陽電池パネル部14と自営線22で接続されて車両にエネルギーを供給するためのエネルギー供給ステーション部24と、太陽電池パネル部14による電力で車両に供給するエネルギーが不足する場合にバックアップ電源からのエネルギーを供給するように切り替える制御部26と、を備える。
【選択図】
図1