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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】アシスト自転車
(51)【国際特許分類】
   B62K 15/00 20060101AFI20240208BHJP
   B62M 6/55 20100101ALI20240208BHJP
【FI】
B62K15/00
B62M6/55
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023200639
(22)【出願日】2023-11-28
(62)【分割の表示】P 2023133519の分割
【原出願日】2023-08-18
【審査請求日】2023-11-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398016669
【氏名又は名称】株式会社宝島社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】高杉 純一
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0187922(US,A1)
【文献】特開2016-164022(JP,A)
【文献】特開2016-097960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 15/00
B62M 6/40 - 6/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アシスト電動機及び蓄電池が内装された中央斜め支柱と、前軸管部と該前軸管部に内装されるハンドル軸部とからなる前支柱と、前記ハンドル軸部の下端に設けられ且つ小型前輪を軸支するフロントフォークと、前記前支柱を挟持する前支柱挟持部と前記中央斜め支柱の前端側と常時連結する枢支連結部と脱着する脱着連結部と該脱着連結部と前記中央斜め支柱との脱着を行う脱着操作レバーとを有する連結支持具と、前記ハンドル軸部に装着されるハンドルと、前記中央斜め支柱の下端に設けられ小型後輪を軸支するリアフォークと、前記中央斜め支柱に起立状態と倒れ状態の位置にてそれぞれ固定状態に設定される後軸部を有し且つサドルを有する後支柱とが備えられ、
走行のとき又は走行直前のときには、前記中央斜め支柱は前方側から後方側に向かって下がる緩傾斜状で且つ前記前支柱と前記後支柱は直立状の構成とし、
折畳み完了のときには、前記中央斜め支柱と前記後支柱とは略V字状で且つ前記中央斜め支柱と前記前支柱とは略逆V字状の構成としてなることを特徴とするアシスト自転車。
【請求項2】
請求項1に記載のアシスト自転車において、前記アシスト電動機は前記中央斜め支柱の前後方向後方側寄りに形成された上下に膨出状となる楕円形状の後方筐体部内に内装され、前記後支柱は前記後方筐体部に設けられてなることを特徴とするアシスト自転車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアシスト自転車において、前記後支柱の下端には回動軸部が設けられ該回動軸部には二つの嵌合凹部を有する位置決めカムが設けられ、前記回動軸部は前記中央斜め支柱に回動自在となるように軸支されると共に、前記中央斜め支柱には前記位置決めカムの前記嵌合凹部に嵌合する嵌合突起を有する位置決めレバーが設けられ、該位置決めレバーにより、前記後支柱が直立状又は倒れ状に固定されてなることを特徴とするアシスト自転車。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のアシスト自転車において、前記連結支持具と前記中央斜め支柱の前方側との脱着連結部箇所で且つ前記連結支持具と前記中央斜め支柱との間にシリンダとピストンロッドとを備え該ピストンロッドが前記シリンダに対して出没する緩衝具を備え、前記シリンダと前記ピストンロッドのそれぞれの軸方向外端が前記連結支持具と前記中央斜め支柱との間に亘って枢支連結されてなることを特徴とするアシスト自転車。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のアシスト自転車において、前記前支柱の前軸管部の上端側寄りの任意の位置には、折畳み完了のときに前記連結支持具が前記前軸管部に沿って上方への移動を停止する上ストッパ部が設けられてなることを特徴とするアシスト自転車。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のアシスト自転車において、前記脱着操作レバーの揺動自由端側の下面には、係止突起部が形成され、前記中央斜め支柱と前記前支柱の折畳み完了のときにおいて前記脱着操作レバーの係止突起部が前記中央斜め支柱の前端に係止し、折畳み完了のときを維持する構成としてなることを特徴とするアシスト自転車。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のアシスト自転車において、前記後軸部の後方側に握手部が設けられてなることを特徴とするアシスト自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳み完了のときが極めてコンパクトであり、且つ安定した状態で運転することができ、組立及び折畳み作業を簡単にすることができる電動によるアシスト自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折畳みができる自転車は種々存在する。その多くのものとして、前後方向の中間箇所に枢支部が存在し、該枢支部を介して水平方向に折り曲げするタイプが多い。その代表的なものとして特許文献1を上げた。また、前後方向の中間箇所に折り曲げ部が存在し、該折り曲げ部を介して垂直面上で折り曲げるタイプも存在する。その代表的なものとして特許文献2を上げた。特許文献1及び特許文献2を含めて、従来の折畳みタイプは、折畳み作業が面倒で、且つ折畳み完了のときも不安定なものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-123913号公報
【文献】特開2016-159720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
まず、特許文献1に示すような折畳み形式のものは、その構造を単純にすることができるものが多い。しかし、折畳み完了のときとしてもその体積は大きく、収納場所が大きくなる欠点があった。また、特許文献2に示すような折畳み形式のものは、その折畳み完了のときの体積を小さくすることができるが、折畳み構造が複雑となり、折畳み作業が面倒なものとなる。本発明の目的は、迅速な折畳みが可能で、折畳み完了のときをコンパクトな状態とし、収納場所を小さくして、省スペース化を実現できる電動によるアシスト自転車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、アシスト電動機及び蓄電池が内装された中央斜め支柱と、前軸管部と該前軸管部に内装されるハンドル軸部とからなる前支柱と、前記ハンドル軸部の下端に設けられ且つ小型前輪を軸支するフロントフォークと、前記前支柱を挟持する前支柱挟持部と前記中央斜め支柱の前端側と常時連結する枢支連結部と脱着する脱着連結部と該脱着連結部と前記中央斜め支柱との脱着を行う脱着操作レバーとを有する連結支持具と、前記ハンドル軸部に装着されるハンドルと、前記中央斜め支柱の下端に設けられ小型後輪を軸支するリアフォークと、前記中央斜め支柱に起立状態と倒れ状態の位置にてそれぞれ固定状態に設定される後軸部を有し且つサドルを有する後支柱とが備えられ、
走行のとき又は走行直前のときには、前記中央斜め支柱は前方側から後方側に向かって下がる緩傾斜状で且つ前記前支柱と前記後支柱は直立状の構成とし、
折畳み完了のときには、前記中央斜め支柱と前記後支柱とは略V字状で且つ前記中央斜め支柱と前記前支柱とは略逆V字状の構成としてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、上記課題を解決した。
【0006】
請求項2の発明を、請求項1に記載のアシスト自転車において、前記アシスト電動機は前記中央斜め支柱の前後方向後方側寄りに形成された上下に膨出状となる楕円形状の後方筐体部内に内装され、前記後支柱は前記後方筐体部に設けられてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、上記課題を解決した。
【0007】
請求項3の発明を、請求項1又は2に記載のアシスト自転車において、前記後支柱の下端には回動軸部が設けられ該回動軸部には二つの嵌合凹部を有する位置決めカムが設けられ、前記回動軸部は前記中央斜め支柱に回動自在となるように軸支されると共に、前記中央斜め支柱には前記位置決めカムの前記嵌合凹部に嵌合する嵌合突起を有する位置決めレバーが設けられ、該位置決めレバーにより、前記後支柱が直立状又は倒れ状に固定されてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、上記課題を解決した。
【0008】
請求項4の発明を、請求項1又は2に記載のアシスト自転車において、前記連結支持具と前記中央斜め支柱の前方側との脱着連結部箇所で且つ前記連結支持具と前記中央斜め支柱との間にシリンダとピストンロッドとを備え該ピストンロッドが前記シリンダに対して出没する緩衝具を備え、前記シリンダと前記ピストンロッドのそれぞれの軸方向外端が前記連結支持具と前記中央斜め支柱との間に亘って枢支連結されてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、上記課題を解決した。
【0009】
請求項5の発明を、請求項1又は2に記載のアシスト自転車において、前記前支柱の前軸管部の上端側寄りの任意の位置には、折畳み完了のときに前記連結支持具が前記前軸管部に沿って上方への移動を停止する上ストッパ部が設けられてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、上記課題を解決した。
【0010】
請求項6の発明を、請求項1又は2に記載のアシスト自転車において、前記脱着操作レバーの揺動自由端側の下面には、係止突起部が形成され、前記中央斜め支柱と前記前支柱の折畳み完了のときにおいて前記脱着操作レバーの係止突起部が前記中央斜め支柱の前端に係止し、折畳み完了のときを維持する構成としてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、上記課題を解決した。請求項7の発明では、請求項1又は2に記載のアシスト自転車において、前記後軸部の後方側に握手部が設けられてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、前記 中央斜め支柱の中間箇所には、アシスト用のアシスト電動機が備えられたことにより、自転車を安定した走行ができ、コンパクトにまとめることができる。そして、折畳み完了のときには、前記中央斜め支柱と前記前支柱とで逆V字状にすることで、小型前輪と小型後輪とを中央斜め支柱の下方に位置させ、収納状態を安定させることができる。また、中央斜め支柱と後支柱とでV字状に折り曲げることで、より一層コンパクトな外形とし、収納に好適となる。
【0012】
また、前軸管部と該前軸管部を支持する連結支持具とを有すると共に前記中央斜め支柱と枢支連結部と脱着連結部とで連結された前支柱と、前記中央斜め支柱と前記連結支持具との前記脱着連結部の連結及び切り離しを行う脱着操作レバーとを備えた構成によって、脱着操作レバーの操作によって、脱着連結部の切り離しを行うことで、前支柱と中央斜め支柱は枢支連結部のみの連結となり、枢支連結部を折曲中心として、前支柱と中央斜め支柱とを極めて円滑に折り曲げることができる。このように脱着操作レバーの操作でアシスト自転車の折畳みを安全且つ簡単にすることができる。
【0013】
さらに、繰り返し述べることになるが、折畳み完了のときにおいては、中央斜め支柱と後支柱とでV字状に折り曲げ、前記中央斜め支柱と前記前支柱とで逆V字状とすることで、本発明の電動によるアシスト自転車の折畳み完了のときは、小型前輪と小型後輪とが前後方向において一列状に配列されることで、壁等に安定した状態で立て掛けることができ、収納場所の省スペースも実現できる。
【0014】
また、後支柱は、中央斜め支柱に対して中間箇所に起立状態と傾倒状態の何れの状態にも固定できる構造としている。そのために、折畳み動作時には、前記中央斜め支柱に対して前方側に倒れ状態に固定された前記後支柱を上方に持ち上げることにより、中央斜め支柱も後支柱の起立動作とともに急傾斜状とした直立状態となり、中央斜め支柱と前記前支柱とが逆V字状に折り曲げられて折畳み完了のときにする作業が簡単にできる。また、走行のとき又は走行直前のときでは前記中央斜め支柱は前方側から後方側に向かって下がる緩傾斜状で且つ前記前支柱と前記後支柱は急傾斜状の直立状態となり、運転し易く且つ乗り易い自転車にすることができる。
【0015】
請求項2の発明では、前記アシスト電動機は前記中央斜め支柱の前後方向後方側寄りに形成された上下に膨出状となる楕円形状の後方筐体部内に内装され、前記後支柱の下端は前記後方筐体部の頂部に設けられてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、アシスト電動機の略直上に後支柱及びサドルが位置することとなり、アシスト自転車の重量の最も係る位置がアシスト自転車の全長の略中間となり、安定した走行ができる。
【0016】
請求項3の発明では、前記後支柱の下端には回動軸部が設けられ該回動軸部には二つの嵌合凹部を有する位置決めカムが設けられ、前記回動軸部は前記中央斜め支柱に回動自在となるように軸支されると共に、前記中央斜め支柱には前記位置決めカムの前記嵌合凹部に嵌合する嵌合突起を有する位置決めレバーが設けられ、該位置決めレバーにより、前記後支柱が揺動且つ固定してなる構成により、極めて簡単な構成にて、後支柱の起立状態及び倒れ状態を設定することができる。
【0017】
請求項4の発明では、前記連結支持具と前記中央斜め支柱の前方側との脱着連結部箇所で且つ前記連結支持具と前記中央斜め支柱との間にシリンダとピストンロッドとを備え該ピストンロッドが前記シリンダに対して出入するときに負荷荷重を吸収する緩衝具を備え、前記シリンダと前記ピストンロッドのそれぞれの軸方向一端が前記と前記連結支持具と前記中央斜め支柱に枢支連結され、前記前支柱と前記中央斜め支柱との屈曲動作時に緩衝作用が生じる構成としたことにより、本発明のアシスト自転車の組立完了のとき(走行のとき又は走行直前のとき)から折畳み完了のとき又は折畳み完了のときから組立完了のときへの作業工程において、連結支持具と中央斜め支柱との脱着連結部箇所を切り離し(分離)するときに生じる衝撃を吸収でき、運転者の安全を保護することができる。
【0018】
特に、本発明のアシスト自転車の折畳み完了のときにおいて、連結支持具には中央斜め支柱の重量がかかり、この重量と連結支持具の自重によって該連結支持具が常時下方へ降下しようとする力が生じるものであるが、緩衝具の抵抗力によって連結支持具及び中央斜め支柱が下がることを防止し、折畳み完了のときを維持する役目を有することができる。
【0019】
請求項5の発明では、前記前支柱の前軸管部の上端側寄りの任意の位置には、折畳み完了のときに前記連結支持具が前記前軸管部に沿って上方への移動を停止する上ストッパ部が設けられてなる構成としたことにより、前軸管部に対する連結支持具の軸方向への摺動範囲を規制し、連結支持具が前軸管部に対して余分に摺動移動することを防止でき、且つ前軸管部から連結支持具が脱落することを防止できる。
【0020】
請求項6の発明では、前記脱着操作レバーの揺動自由端側の下面には、係止突起部が形成され、前記中央斜め支柱と前記前支柱の折畳み完了のときにおいて前記脱着操作レバーの係止突起部が前記中央斜め支柱の前端に係止し、折畳み完了のときを維持する構成としてなる構成により、極めて簡単な構成により、アシスト自転車の折畳み完了のときを固定させることができ、折畳み完了のときから不用意に折畳み完了のときが崩れてしまうことを防止できる。さらに、前記脱着操作レバーには、前記中央斜め支柱の前端と係止する係止突起部が設けられていることにより、該係止突起部が中央斜め支柱の前端箇所とに係止し易くなり、アシスト自転車の折畳み完了のときをより一層強固なものにできる。
【0021】
請求項7の発明では、前記後軸部の後方側に握手部が設けられる構成により、本発明のアシスト自転車の組立完了のとき(走行のとき又は走行直前のとき)から折畳み完了のとき又は折畳み完了のときから組立完了のときへの工程で、運転者は握手部を手に持つことで、作業を行い易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(A)は本発明におけるアシスト自転車の組立完了のとき及び走行のとき又は走行直前のときを示す側面図、(B)は本発明におけるアシスト自転車の折畳み完了のときを示す側面図、(C)は(A)の(α)部の一部断面とした拡大図である。
図2】(A)乃至(D)は走行のときの状態から折畳み完了のときの状態に亘る工程を示す側面図である。
図3】(A)は中央斜め支柱を中心に示し且つ一部省略した要部側面図、(B)は(A)の平面図、(C)は中央斜め支柱の斜視図、(D)は(C)の(β)部拡大斜視図、(E)はアシスト電動機の形状の一例を示す斜視図である。
図4】(A)は中央斜め支柱と前支柱との連結部分の要部側面図、(B)は連結支持具とカラー部の分離した斜視図、(C)は前支柱の前軸管部と連結支持具とが相互に摺動する状態を示す一部省略した側面図である。
図5】(A)は前支柱と中央斜め支柱との連結箇所で一部断面とした平面図、(B)は組立完了のときにおける前支柱と中央斜め支柱との連結箇所で一部断面とした側面図、(C)は連結支持具を前軸管部に沿って上方に移動する途中の要部側面図、(D)は脱着操作レバーを操作して脱着連結部を切り離そうとする一部断面とした要部側面図、(E)は脱着操作レバーの縦断側面図である。
図6】(A)乃至(C)は前支柱と中央斜め支柱との折畳み完了のときから組立完了のときにする工程を示す連結支持具と中央斜め支柱の状態の一部断面にした要部側面図である。
図7】(A)乃至(C)は中央斜め支柱に対して後支柱を起立状態から倒れ状態にする工程を示す一部省略した要部縦断側面図、(D)は(A)のY1-Y1矢視概略断面図である。
図8】(A)は後支柱に握手部を設けた実施形態の組立完了のときの側面図、(B)は後支柱に握手部を設けた実施形態の折畳み完了のときの側面図、(C)は(A)の(γ)部拡大図、(D)は(A)の(γ)部における別の実施形態とした拡大図、(E)は(B)の(ω)部で脱着操作レバーに係止突起部を設けて該係止突起部を中央斜め支柱の被係止軸に係止した状態の要部拡大断面図、(F)は(B)の(ω)で脱着操作レバーの係止突起部と中央斜め支柱の被係止軸とを切り離した状態の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。本発明の電動によるアシスト自転車は、折畳みができる電動によるアシスト自転車である。本発明のアシスト自転車は、主に、前支柱1、連結支持具2、中央斜め支柱3、後支柱5、アシスト電動機61、蓄電池62、小型前輪71と、小型後輪72等によって構成されている(図1図3等参照)。ここで、本発明におけるアシスト自転車において前方側と後方側が存在し、前方側とは前進する方向の側で小型前輪71が備わっている側であり、後方側とは前進する方向とは反対側で小型後輪72が備わっている側である。本発明のアシスト自転車の前方側及び後方側については、主要図に付記されている。
【0024】
本発明のアシスト自転車は、組立完了のとき,走行直前のとき及び走行のときにおいては、前記中央斜め支柱3は前方側から後方側に向かって下がる緩傾斜状で且つ前記前支柱1と前記後支柱4は上方が後方側に傾く急傾斜状の直立状態となる〔図1(A)参照〕。ここで、前支柱1,中央斜め支柱3及び後支柱5における直立状態とは、垂直に近い急傾斜であり、具体的には約60度以上の角度としているが、必ずしもこの数値に限定されものではなく、設計又は製造段階で適宜に設定されるものである。
【0025】
組立完了のときとはアシスト自転車の組立が完了した状態のときのことを言い、さらにこの「とき」は組立が完了した状態の直前及び直後のときも含まれる。走行直前のときとは、蓄電池62の充電が完了し、電動アシスト運転が可能となり、人が乗って運転を開始することができる状態のとき及びその直前のときを言う。走行のときとは人が乗ってそのまま運転しているときのことを言う。走行のときでは、蓄電池62の充電が完了又は未完了の両方が含まれる。また、折畳み完了のときとは、前記中央斜め支柱3と前記後支柱5とは共に急傾斜状の直立状態で略V字状の折畳みが完了した状態のとき及びその直前,直後のときとなり、前記中央斜め支柱3と前記前支柱1とは共に急傾斜状の直立状態で略逆V字状に折り曲げられる状態となる〔図1(B)参照〕。
【0026】
本発明のアシスト自転車に使用される小型前輪71及び後述する小型後輪72は、通常の自転車の車輪よりも小径のものである(図1参照)。具体的には、小型前輪71及び小型後輪72は共に10インチ又は8インチのものが使用されている。また、小型前輪71及び小型後輪72は、サイズに限定されるものではなく、10インチを超えるもの、又は8インチ未満のサイズの小型前輪71及び小型後輪72を使用することもある。
【0027】
図1(A)は、本発明の電動によるアシスト自転車の組立完了した状態つまり走行運転可能な状態とした側面図である。図1(B)は、本発明のアシスト自転車の折畳み完了のときとした側面図である。前支柱1は、前軸管部11とハンドル軸部12を有している(図1図4等参照)。前軸管部11は、鋼管製又は中空円管であり、その材質は金属であり、具体的には鋼材,鉄,ステンレス,アルミニウム等である。前軸管部11には、ハンドル軸部12が挿入されている〔図1(C)参照〕。
【0028】
該ハンドル軸部12は、その軸方向が前軸管部11の直径中心を通過する軸芯線上に位置するようにして挿入され、前軸管部11の上端にハンドル軸部12を軸周方向に回動自在となるようにハンドル軸支持部材11cにて支持固定されている。該ハンドル軸支持部材11cはハンドル軸部12の軸受の役目なすものである〔図1(C)参照〕。ハンドル軸支持部材11cには、挿入部位が形成され、該挿入部位が前軸管部11の上端内周側にネジ結合で挿入されたり、或いは圧入されることによって、前軸管部11に装着固定される。そして、ハンドル軸部12の軸方向上端に後述するハンドル8が装着され、該ハンドル8は、前支柱1によって運転操作し易いように支持される。
【0029】
前支柱1の前軸管部11は、組立完了のとき(走行のとき又は走行直前のとき)では、急傾斜状の直立状態に設定され〔図1(A)参照〕、折畳み完了のときで急傾斜状の直立状態に設定される〔図1(B)参照〕。ハンドル8のハンドル部83は、折畳みタイプ及び固定タイプの何れで使用してもかまわない。なお、ハンドル8の折畳み構造は、公知の技術が適用され、特に図示しないが、具体的には右腕部と左腕部が締付具を緩めることによって下方に折り畳む構成となっている。また、ハンドル8のハンドル部83にはブレーキレバー83aが備わっている(図1参照)。ブレーキレバー83aは、一般的な自転車の公知のブレーキ装置と同等であり、該ブレーキレバー83aに付随する関連部品の説明及び図示は省略する。
【0030】
ハンドル軸部12は、その軸方向下端にフロントフォーク13が装着されており、ハンドル軸部12とフロントフォーク13とが略一体化され、ハンドル軸部12が前軸管部11に適正に挿入装着された状態で、該前軸管部11の下端にフロントフォーク13が配置されるようになっている。なお、特に図示しないが前軸管部11の下端箇所でハンドル軸部12が位置ずれしないように、ベアリング等を介して適正に軸支されている。
【0031】
そして、ハンドル軸部12の上端に装着されたハンドル8にて回動操作することで、ハンドル軸部12を介してフロントフォーク13も回動する。前記フロントフォーク13に小型前輪71が軸支装着されている(図1参照)。フロントフォーク13は、略逆「U」字形状の二股状であり、幅方向に挟持脚片13a,13aを有するものである。両挟持脚片13a,13aに小型前輪71が回動自在に軸支されている。
【0032】
また、ハンドル8の高さ位置は、調整することができる構造とすることもある。具体的には、特に図示しないが、ハンドル8に、接続用の軸部材が設けられ、該軸部材は前記ハンドル軸部12の中空部に挿入する構成とし、つまり略テレスコ構造としたものである。そして、ビス,ボルト等の固着具にてハンドル8を所望の高さ位置に固定することができるようにしたものである。前軸管部11の上端側に、ハンドル8のハンドル部83が配置され、前軸管部11に対してハンドル部83の回動操作によって前記前軸管部11に挿入されたハンドル軸部12が回動し、これによってフロントフォーク13及び小型前輪71が走行方向における回動を行い、方向変更を行う。
【0033】
次に、連結支持具2は、前支柱1と後述する中央斜め支柱3とを折畳み及び組立のために折り曲げ自在に接続する役目をなす部材である。連結支持具2は、脱着操作レバー25を備えており、該脱着操作レバー25によって後述する中央斜め支柱3の前端との連結箇所である脱着連結部24を解除し、該脱着連結部24箇所で連結支持具2と中央斜め支柱3とを切り離すことで、中央斜め支柱3と前支柱1とを共に左右対称且つ急傾斜状の直立状態として逆V字状に折り畳むことができるようになっている〔図1(B),図2(D)参照〕。この折畳みできる状態となったときにおいても、連結支持具2と中央斜め支柱3とは、後述する枢支連結部23の部分では、常時、連結状態となっている。この構成については、中央斜め支柱3と前支柱1とが相互に関連して構成される機構のため、中央斜め支柱3の説明の後に詳述する。
【0034】
次に、中央斜め支柱3について説明する。該中央斜め支柱3は、本発明のアシスト自転車の前後方向における略中央に位置し、前支柱1及び後支柱5を支持する役目をなしている〔図1(A)参照〕。そして、自転車組立完了のとき(走行のとき又は走行直前のとき)では、中央斜め支柱3は前方側つまり小型前輪71側が高くなるように、略斜め状の緩傾斜の状態となる〔図1(A)参照〕。該中央斜め支柱3は、前方筐体部31と、後方筐体部32とを有しており、外観,外形及び構造としては、略モノコック状に構成され、後方筐体部32は、前後方向の中央よりも後方側寄りに位置し、他の部分よりも上下幅方向に膨出形成されている。前方筐体部31と後方筐体部32とは、前後方向に連続して構成されている(図3参照)。
【0035】
ここで、中央斜め支柱3におけるモノコック状の構造とは、一体構造物、殻構造物であり、前方筐体部31及び後方筐体部32は、外被(外側)部材によってその内部に空隙が構成される構造体のことである。前方筐体部31は略直方体状の筐体であり、前述したように、内部に空間を有し、蓄電池(バッテリー)62を収納に好適な構成となっている〔図3(A)乃至(C)参照〕。中央斜め支柱3の前方筐体部31には蓄電池62等の装備品が内装されるスペースとなっている。また、後方筐体部32には後述するアシスト電動機61が配置装着されるスペースを備えこの部分が動力室となっている。前方筐体部31と後方筐体部32とは略一体化されて中央斜め支柱3が構成される。
【0036】
図3(C)は、中央斜め支柱3の斜視図であって、その構造が略モノコック状であることを示している。後方筐体部32は、前述したように、アシスト電動機61が内装される部分であり、中央斜め支柱3の他の部分よりも上下及び幅方向において内部が広くなるように膨出状に形成されている。つまり、後方筐体部32は前方筐体部31よりも膨らんだ形状である。具体的には、後方筐体部32は、アシスト電動機61の外形に対応する形状となることが好適である。
【0037】
なお、図3(E)は、本発明のアシスト自転車に適用されるアシスト電動機61の形状の一例を示すものである。このように、中央斜め支柱3の構造を略モノコック状とすることで、中央斜め支柱3自体をコンパクトな形状にすることができ、アシスト電動機61及び蓄電池62の装着及び収納を効率的に行うことができる。
【0038】
前方筐体部31は、連結支持具2を介して前記前支柱1と連結される〔図1図1(A),(B),図3参照〕。蓄電池62は、前方筐体部31の内部に収納設置され、収納設置されたままの状態で充電できるようにした構成である。また、蓄電池62を前方筐体部31から取り外し自在とし、取り外した蓄電池62のみを充電する構成とすることもある。この場合では、特に図示しないが、前方筐体部31は、蓄電池62が出し入れでき、前方筐体部31内に収納状態において、蓋となる上カバー部が備えられる。該上カバー部は、ボルト等の固着具にて前方筐体部31の上部開口に被せられるようにして固定される。
【0039】
後方筐体部32は、側面より見て略楕円形状の筐体をなしており、内部にアシスト電動機61が収納されている(図2参照)。換言すると、該アシスト電動機61は、前記中央斜め支柱3の後方筐体部32に内蔵されつつ、該後方筐体部32の外観としてはモノコック状の構造で、アシスト自転車の走行のとき又は走行直前のときでは、後方筐体部32は上下方向に膨出するように形成されたものとなる〔図3(A),(C)参照〕。アシスト電動機61には、アシスト駆動軸61aが備えられ、後方筐体部32から幅方向両側から外方に突出している。
【0040】
両前記アシスト駆動軸61aには、ペダル66が装着され、また、一方のアシスト駆動軸61aには、主スプロケット63が装着される。そこで、アシスト駆動軸61aには、外ネジ,内ネジ,スプライン,キー溝等の機械加工が施されており、アシスト駆動軸61aに、ペダル66,主スプロケット63が装着し易い構造となっている。後方筐体部32に収納されたアシスト電動機61は、その幅方向両側面の一部は後方筐体部32の幅方向両側面より露出している〔図3(A),(C)等参照〕。或いは、特に図示しないが、アシスト電動機61はその全部が後方筐体部32に収納され、両アシスト駆動軸61a,61aのみが後方筐体部32から突出又は露出する構成とすることもある。
【0041】
中央斜め支柱3の後方筐体部32の後方端且つ下端には、リアフォーク34が設けられている。該リアフォーク34は、具体的には2つのリア挟持脚片34a,34aにより構成されており、二股状とした両該リア挟持脚片34a,34aによって小型後輪72が軸支装着されている〔図1図3(A),(B)参照〕。
【0042】
前記後方筐体部32に収納されたアシスト電動機61のアシスト駆動軸61a,61aの一方には、前述したようにチェーン機構を構成する主スプロケット63が取り付けられる。そして、小型後輪72には、従スプロケット64が備えられ、一般の自転車と同様に主スプロケット63と従スプロケット64との間にチェーン65が掛け渡されている。
【0043】
さらに、後方筐体部32に収納されたアシスト電動機61の両アシスト駆動軸61a,61aにペダル66,66がそれぞれ装着されており、ペダル66,66を回転させる人力に対してアシスト電動機61がアシストする構成となっている。リアフォーク34の小型後輪72の軸支箇所にはスタンド73が備わっている。該スタンド73は、本発明のアシスト自転車の組立及び走行直前の状態で、自宅又は駐輪所等の自転車置き場に立てて置くことができる。
【0044】
また、スタンド73は、本発明のアシスト自転車の折畳み完了のときにおいても立てて置くことができる。さらにスタンド73の下端には、キャスタ等に使用される小輪を備えることもある。具体的にはスタンド73の幅方向両側つまりアシスト自転車の幅方向両側となる位置に前記小輪が設けられる。このスタンド73に装着した小輪によって、アシスト自転車の組立のときの状態で立てたとき或いは及び折畳みの状態のときに、アシスト自転車を前後方向に移動させ易くすることができ、自宅又は駐輪所での僅かな移動を容易に行うことができる。
【0045】
次に、中央斜め支柱3と前支柱1とが連結支持具2を介して連結される構造について説明する。中央斜め支柱3の前方且つ上端には、連結支持具2を介して前支柱1が連結されている。連結支持具2は、前支柱1の前軸管部11を包持状に挟持する前支柱挟持部21と、締付具22と、脱着連結部24と、枢支連結部23とを有する。
【0046】
前支柱挟持部21は、円周状の内周壁を有し、前方側に直線状の離間部分が設けられこの部位をとした離間部21bが形成され、該離間部21bの両端に挟持締付片21a,21aが設けられている〔図4(B),図5(A),(B)参照〕。そして、両該挟持締付片21a,21aには、それぞれに貫通孔21hが形成されており、両該貫通孔21h,21hを介して両該挟持締付片21a,21aに亘って締付具22が設けられている。そして、該締付具22の操作によって、両挟持締付片21a,21a同士の間隔の変化と共に、離間部21bの間隔が変化し、前支柱挟持部21の内径が大小に変化する。
【0047】
前支柱挟持部21は、その内部が円筒状空隙であり、該前支柱挟持部21にカラー部材26が装着され〔図4(B)参照〕、該カラー部材26に前支柱1の前軸管部11が挿入され、組立完了のとき(走行のとき又は走行直前のとき)で、連結支持具2は前軸管部11を挟持状態で締付具22を介して支持固定する〔図5(A),(B)参照〕。
【0048】
そして、連結支持具2の前支柱挟持部21は、前軸管部11を包持状に挟持した状態で、且つ締付具22の締付を解除した状態で、挟持する力が弱まって緩くなり、連結支持具2は前軸管部11に対してその軸長方向に沿って上下方向に摺動することができるようになる〔図1(A),(B),図2図4(C)参照〕。前支柱1の前軸管部11に対して連結支持具2が上下方向に摺動することにより、本発明のアシスト自転車の折畳み及び組立(走行可能な状態)ができる。
【0049】
前記カラー部材26は合成樹脂製で軸方向に沿って直線状の分離したスリット部26aを有するものであり〔図4(B)参照〕、前述したように、前支柱挟持部21の内周側にはカラー部材26が装着され、該カラー部材26に前記前支柱1の前軸管部11が挿入される〔図5(A)乃至(C)参照〕。カラー部材26は、前記スリット部26aにより内径及び外径が変化し、この変化は、連結支持具2の前支柱挟持部21の締付及び締付解除と共に内径を変化させることができる。
【0050】
カラー部材26の上下両端には環状の鍔26bが形成されており、両鍔26b,26bが前記前支柱挟持部21の上下両端に形成された段状部に配置され、カラー部材26が前支柱挟持部21に装着される。カラー部材26は、前支柱1の前軸管部11と、連結支持具2の前支柱挟持部21とが直接に金属接触することなく、間に合成樹脂が介在することで、前軸管部11に対する連結支持具2の摺動を円滑にすることができる。
【0051】
前記締付具22は、具体的には偏芯カムクランプレバーが使用される。偏芯カムクランプレバーは、一般的なものであり、具体的には、カム部22a,レバー部22b及び締付軸22cとからなる〔図5(A)参照〕。カム部22aと締付軸22cの一端とは回動自在に連結しており締付軸22cの他端は大径頭部となっている。締付軸22cは両挟持締付片21a,21aの両貫通孔21h,21hに亘って貫通し、大径頭部とカム部22aとによって両挟持締付片21a,21aを挟むようにして連結している。
【0052】
そして、偏芯カムクランプレバーのレバー部22bの回動操作することによって、カム部22aが回動し、該カム部22aの凹凸面の変化によって両前記挟持締付片21a,21aの間隔を狭めたり、拡げたりすることができ、これにより、前支柱挟持部21の内径を大小に変化させ、前支柱挟持部21内で包持状に挟持された前軸管部11の締付及び締付解除ができる。偏芯カムクランプレバーは、種々のものが存在するが公知のものが使用される。
【0053】
また、締付具22は、特に図示しないがボルト・ナットを使用する場合も存在し、この場合では、ボルトが両挟持締付片21a,21aの両貫通孔21h,21hに挿入され、ナットによって両挟持締付片21a,21aの締付(ロック)及び締付解除(ロック解除)が行われる。一般的に、使用者(運転者)に扱いやすく操作し易いものとして締付具22は偏芯カムクランプレバーの使用が好適であり且つ有効である。
【0054】
そして、締付具22(偏芯カムクランプレバー)の操作によって連結支持具2の前軸管部11に対するロック及びロック解除が行われ、そのロック解除によって連結支持具2が前軸管部11をその軸方向に沿って往復摺動できるようになり、本発明のアシスト自転車の組立(走行可能な状態)としたり、折畳み完了のときにする作業が行われるものである。また、支柱支持具2は、締付具22によって前軸管部11に対して固定状態とされることにより、本発明のアシスト自転車の走行及び組立を安定したものにできる。
【0055】
前支柱1の連結支持具2と、中央斜め支柱3との連結部分には、枢支連結部23と脱着連結部24とが設けられている。枢支連結部23及び脱着連結部24は、連結支持具2と中央斜め支柱3との連結を構成する部位の名称であり、つまり、連結支持具2と中央斜め支柱3の一部同士によって構成されている。
【0056】
枢支連結部23は、組立完了とした走行のとき又は走行直前のときにおいて連結支持具2と中央斜め支柱3の連結箇所の下方の位置に設けられたものであり、前支柱1と中央斜め支柱3とが折畳み自在となるように常時連結状態とした構造である〔図1(A),(B),図2図4(A),(C),図5(B),(C)等参照〕。
【0057】
また、脱着連結部24は、前支柱1の連結支持具2と中央斜め支柱3との連結及び切り離しをすることができる連結構造のことである。つまり、脱着連結部24において文言として使用される脱着における「脱」とは連結支持具2と中央斜め支柱3との連結状態を切り離し離間させることを言い〔図1(B),図5(C),図6(A),(B)等参照〕、「着」とは連結支持具2と中央斜め支柱3との切り離し(離間)状態から相互を連結させることを言う〔図1(A),図4(A),図5(B),図6(C)参照〕。
【0058】
そして、脱着連結部24は、組立完了とした走行のとき又は走行直前のときにおいて連結支持具2と中央斜め支柱3の連結箇所の上方側の位置に設けられたものであり、前支柱1と中央斜め支柱3とを組立完了の走行のとき又は走行直前のときでは連結状態とし、折畳み完了のときでは切り離し状態となる。そして、脱着連結部24は、組立完了とした走行のとき又は走行直前のときにおいて連結支持具2と中央斜め支柱3の連結箇所の上方の位置に設けられたものであり、したがって、脱着連結部24は前記枢支連結部23よりも上方に位置するように設定される。(図1,図2図5図6参照)。
【0059】
脱着連結部24が枢支連結部23よりも上方に位置することにより、脱着連結部24を脱状態つまり切り離し状態にすることで、前支柱1の前軸管部11と、中央斜め支柱3とは、連結部分は枢支連結部23のみであり、該枢支連結部23を回動中心として、前支柱1と中央斜め支柱3とは、共に左右対称の急傾斜状の直立状態とした略逆V字状又は略Δ字状に折り曲げて折畳みすることができる〔図1(B),図2(D),図5(C),図6(A),(B)参照〕。
【0060】
枢支連結部23における、前支柱1の連結支持具2と、中央斜め支柱3との連結構造について説明する。中央斜め支柱3の前方筐体部31の前端側の幅方向両側より前方に僅かに突出延在するフランジ片31a,31aが形成されている〔図3(A),(B),図5(A)乃至(C)参照〕。そして、両フランジ片31a,31a間に前記連結支持具2の後方部分が配置されるようになっている。
【0061】
枢支連結部23による連結支持具2と両フランジ片31a,31aとの枢支連結は、枢支連結軸23aが使用される。そして、連結支持具2の後方側下端部分に軸孔23bが設けられ、両フランジ片31a,31aには軸孔31b,31bが設けられ、軸孔31b,31bと軸孔23bに枢支連結軸23aが挿入される。連結支持具2と中央斜め支柱3とが枢支連結される。枢支連結軸23aとしてボルト・ナットが使用されたり、ピン部材と止め輪が使用され締付軸22cが両軸孔31b,31bから外れないようにされる。
【0062】
次に、脱着連結部24は、前支柱1の連結支持具2に設けた脱着操作レバー25と、中央斜め支柱3の前端上方側に設けられた被連結部35とによって構成される〔図3(B)乃至(D),図4(A),図5等参照〕。脱着操作レバー25は、連結支持具2の(走行のとき又は走行直前のときにおけるアシスト自転車の前後方向を基準として)後方側端部で且つ上方に設けられている〔図4(B)参照〕。
【0063】
脱着操作レバー25は、レバー本体25aと出没軸25bと摘み部25cとを備えている〔図4(A),(B),図5参照〕。脱着操作レバー25は、連結支持具2の(アシスト自転車の前後方向を基準として)後方で且つ上方に設けられる。レバー本体25aの前方側端部が連結支持具2に形成された二つの突起状の軸受部25f,25fに回動支持軸25gが軸支され、該回動支持軸25gを回動中心として、レバー本体25aが上下方向で且つ垂直面上を回動自在となるように装着されている〔図5(B),(C)参照〕。
【0064】
レバー本体25aには、前記出没軸25bを軸方向に出没自在となるように軸受部25dが形成されており、該軸受部25dに出没軸25bが軸方向に摺動自在に軸支されている〔図5(E)参照〕。そして、出没軸25bは、常時突出する状態となるように、コイルバネ等の弾発部材25eを介して装着されている〔図5(E)参照〕。また、レバー本体25aには弾発部材ストッパ25hが設けられている。
【0065】
コイルバネとした弾発部材25eは、その軸方向に沿ってその内部に出没軸25bが挿入される。出没軸25bには、出没規制板片25jが設けられている。該出没規制板片25jは、具体的には止め輪である。そして、コイルバネとした弾発部材25eは、出没規制板片25jと弾発部材ストッパ25hとの間に配置され、出没軸25bは常時、出没規制板片25jにより、軸受部25dから規制された量だけ突出する状態である。この出没軸25bが軸受部25dから突出する量は、後述する中央斜め支柱3側の被連結部35の被係止軸35aに係止することができる量である〔図5(E)参照〕。
【0066】
出没軸25bには、摘み部25cが形成されており、該摘み部25cはレバー本体25aから外部に突出するように設けられている。人がレバー本体25aを握りながら、指で前記摘み部25cを操作できるようになっている〔図5(A)参照〕。そして、本発明のアシスト自転車が走行のとき又は走行直前のときであるときには、脱着操作レバー25の出没軸25bが、中央斜め支柱3の前方筐体部31に設けられた被連結部35の被係止軸35aに係止されるようになっている〔図5(A),(B),(E)参照〕。
【0067】
被連結部35は、中央斜め支柱3の前後方向前端で且つ上面に設けられ、被係止軸35aと二つの軸受部35b,35bにて構成され、両軸35b,35bに被係止軸35aが固着されている〔図3(C),(D)参照〕。該被係止軸35aと中央斜め支柱3の前端上面との間に空隙が存在し、被係止軸35aと中央斜め支柱3の前端上面との間に脱着操作レバー25の出没軸25b先端が挿入できるようになっている〔図5(A),(B),(E)参照〕。
【0068】
具体的には、中央斜め支柱3の上端面と被係止軸35aとの間に脱着操作レバー25の出没軸25bの先端が挿入することで前支柱1と中央斜め支柱3との脱着連結部24が連結された状態が構成される。この状態によって、前支柱1と中央斜め支柱3とは、枢支連結部23を介して折畳みができない状態つまり折畳みが不可能な状態となる〔図5(B),(E)参照〕。このように、折畳みができない状態つまり折畳み不可能状態とすることで、本発明のアシスト自転車は組み立てが略完了し走行のとき又は走行直前のときとなる。
【0069】
そして、脱着操作レバー25の出没軸25bを、中央斜め支柱3の被連結部35から摘み部25cにて中央斜め支柱3の被係止軸35aから外すことにより、脱着連結部24の連結が解除され、脱着連結部24では、前支柱1と中央斜め支柱3とが切り離される状態となり、前支柱1(の連結支持具2)と、中央斜め支柱3とは、枢支連結部23のみにおいて連結状態となる〔図5(C),(D),図6(A)参照〕。
【0070】
そして、前支柱1の連結支持具2と中央斜め支柱3との脱着連結部24は、切り離しができる状態となり、中央斜め支柱3と前支柱1とは、枢支連結部23が回動中心となり、前支柱1と中央斜め支柱3とが枢支連結部23を中心として、相互に回動自在となり、略逆V字形状或いは略Δ字形状に折り畳むことができる〔図1(B),図2(B)乃至(D),図5(B)参照〕。
【0071】
脱着操作レバー25の役目として、前述したように、前支柱1と中央斜め支柱3との脱着連結部24における連結及び連結解除を行なう他に、本発明のアシスト自転車の折畳み完了のときを維持する役目をなすことができるようにした実施形態が存在する。この場合では、脱着操作レバー25のレバー本体25aの下面で且つ自由端側には、係止突起部25kが設けられている。そして、アシスト自転車の折畳みが完了したときに、脱着操作レバー25の自由端側を下げることにより、レバー本体25aの下面に形成された係止突起部25kが被連結部35の被連結軸35aに係止することになる。
【0072】
これによって、折り畳まれた状態のアシスト自転車に上方から何らかの荷重がかかっても、レバー本体25aが前支柱1と中央斜め支柱3との間のつっかえとしても役目をなして、折畳み完了のときの崩れを防止することができる。なお、脱着操作レバー25には前記係止突起部25kは、必ずしも設ける必要はなく、係止突起部25kが設けられなくても構わない。
【0073】
連結支持具2と中央斜め支柱3の前方側との脱着連結部箇所で且つ連結支持具2と中央斜め支柱3との間に緩衝具4が装着されている(図6参照)。該緩衝具4は、シリンダ41とピストンロッド42とからなる。そして、シリンダ41にピストンロッド42が収まり、相互に圧力がかかるように設定され、シリンダ41に対してピストンロッド42が衝撃を吸収したり或いは衝撃による外力に抵抗しながら伸縮するものである。
【0074】
シリンダ41とピストンロッド42との間に生じる圧力は、油圧,空(ガス)圧等である。つまり、緩衝具4として一般的なオイルダンパ又はエアダンパが使用される。そして、ピストンロッド42がシリンダ41に対して出没するときに負荷荷重を吸収する。シリンダ41の軸方向外端及びピストンロッド42の軸方向外端には枢着部41a及び枢着部42aが形成されている。
【0075】
そして、シリンダ41の枢着部41aは、中央斜め支柱3の前端箇所の内部に枢支連結され、ピストンロッド42の枢着部42aは連結支持具2に枢支連結されている。具体的には前記シリンダ41は、軸方向端部が中央斜め支柱3の前方筐体部31の前端寄りの位置に設けられた枢支ピン41pに枢支連結され、この枢支連結位置を中心にしてシリンダ41が上下に回動するものである。また、前記ピストンロッド42は、軸方向端部が連結支持具2の後方側に設けられた凹み内の枢支ピン42pに枢支連結され、この枢支連結位置を中心にしてピストンロッド42が上下に回動するものである。
【0076】
シリンダ41は、中央斜め支柱3の前方筐体部31の前端側に略全体が収容され、前方筐体部31の正面壁板に貫通口31cが形成され、該貫通口31cからシリンダ41から伸び出たピストンロッド42が連結支持具2に向かって突出する。そして、本発明のアシスト自転車が、折畳み完了のときに、ピストンロッド42はシリンダ41から最も突出した状態で、緩衝具4全体としては長手方向に長くなり〔図6(A)参照〕、組立完了のとき(走行のとき又は走行直前のとき)においてピストンロッド42はシリンダ41内に最大限収容され緩衝具4全体としては長手方向に短くなる〔図6(C)参照〕。
【0077】
そして、緩衝具4によって、アシスト自転車の折畳み及び組立の工程における前支柱1と中央斜め支柱3との折り曲げ工程の衝撃を緩和することができるものである。特に、アシスト自転車が折畳みの状態から走行可能な組立完了のときにする工程で、前支柱1から連結支持具2を下方に降ろすときに、連結支持具2には中央斜め支柱3の重量がかかり、連結支持具2の降下速度が速まろうとするときに、この連結支持具2の降下速度を遅くし、連結支持具2を前支柱1の軸方向に沿ってゆっくりと降下させるようにすることができ、安全且つ組立を容易にできるようにすることができる〔図6(A),(B)参照〕。
【0078】
また、アシスト自転車の折畳み完了のときにおいては、緩衝具4は、シリンダ41からピストンロッド42が伸びた状態であり、緩衝具4はこの状態を維持しようとするので、連結支持具2に中央斜め支柱3の重量がかかったとしても、この重量に抵抗して連結支持具2が前支柱1に対して下方に下がることを防止し、前支柱1と中央斜め支柱3との逆V字状の折畳み完了のときを維持し、折畳み完了のときを安定化させることができる。
【0079】
次に、中央斜め支柱3と後支柱5との構成について説明する。まず、後支柱5の構成について説明する。後支柱5は、後軸部51と、回動操作部52とを備える〔図1(A),(B),図3(A)乃至(C),図7参照〕。後軸部51は、上端にサドル54が装着されるものであり、後軸部51はサドル54の脚部としての役目をなす(図1参照)。
【0080】
後軸部51は、後主軸51aと回動軸部51b,位置決めカム51dとからなる。後主軸51aは中空管又は中実管のいずれでも構わない。そして、後主軸51aの下端に回動軸部51bと、位置決めカム51dとが設けられている(図7参照)。回動軸部51bは、後主軸51aの下端に軸方向に対して直交して設けられ、後主軸51aと回動軸部51bとは略逆T字形状をなすものである〔図7(D)参照〕。
【0081】
回動操作部52のケーシング52a内に回動自在に軸支されている。該ケーシング51はアシスト自転車を側面より見て略三角おむすび形状に形成された筐体であり、中央斜め支柱3の後方筐体部32で上下に膨出状となる楕円形状のアシスト電動機61が内装された動力室の頂部に設けられたものである。ケーシング51は、後方筐体部32と略一体的に形成されうる構成である。これによって、アシスト電動機61の略直上に後支柱5及びサドル54が位置することとなり、アシスト自転車の重量の最も係る位置がアシスト自転車の全長の略中間となり、安定した走行ができる。
【0082】
回動軸部51bの軸方向の両側箇所には、位置決めカム51d,51dが設けられている〔図7(D)参照〕。両位置決めカム51d,51dは、同一形状である。位置決めカム51dは、略扇形状をなし、二つの嵌合凹部51e及び嵌合凹部51fが形成されている。位置決めカム51dは回動軸部51bと共に回動する(図7参照)。
【0083】
具体的には、回動軸部51bの軸方向両端箇所に回動突起51cが形成されており、ケーシング52aには、前記回動突起51cを軸支する軸支孔52bが形成され、回動軸部51bの回動突起51cがケーシング52aの軸支孔52bに軸支され〔図7(A)乃至(C)参照〕、後軸部51が起立状態と倒れ状態ができるように回動する構成となっている〔図7(D)参照〕。
【0084】
また、ケーシング52aの後方側面には、後支柱5の後軸部51及び位置決めレバー53の回動自由端側がそれぞれ突出する開口52cが形成されている。ここで、後軸部51の起立状態とは、後軸部51の後主軸51aの軸方向が略垂直に近く且つ上方が後方側に傾く急傾斜状の直立状態である。また、後軸部51は垂直でもよい。また、後軸部51の倒れ状態とは、後主軸51aが走行のとき又は走行直前のときにあるアシスト自転車の中央斜め支柱3に倒れて近づいた状態のことを言う〔図1(A),図2(B)参照〕。後軸部51の倒れ状態は、中央斜め支柱3が緩傾斜状で設置されている場合には、同様に緩傾斜状である〔図2(B)参照〕。
【0085】
回動操作部52は、ケーシング52a内に位置決めレバー53が備わっている。位置決めレバー53は、レバー板53aの幅方向両側より、嵌合突起53b,53bが突出形成されている(図7参照)。レバー板53aは、前記ケーシング52a内に上下方向に回動自在に納められ、その回動中心となる端部箇所には回動中心軸53cが設けられている。回動中心軸53cは、中央斜め支柱3の後方筐体部32の内部且つ上方側に軸支され、ケーシング52a内から外方に、レバー板53aの自由端側が一部突出し、ケーシング52aの外方側から位置決めレバー53を操作できるように構成されている。前記レバー板53aにおいて前記ケーシング52aの外方に突出する部位を操作端部53dと称する。
【0086】
また、位置決めレバー53には、コイルバネ等の位置決め弾発部材53eが具備されており、該位置決め弾発部材53eにより、位置決めレバー53の操作端部53dは常時上方に弾性付勢され、嵌合突起53b,53bが位置決めカム51dの嵌合凹部51e又は嵌合凹部51fに嵌合した状態を維持固定できる構成となっている。位置決め弾発部材53eは、位置決めレバー53と中央斜め支柱3の後方筐体部32の上面に形成された受凹部32bに支持される構成となっている(図7参照)。ここで、嵌合凹部51eは、起立位置凹部で後軸部51の起立時に嵌合突起53bが嵌合する部位であり、嵌合凹部51fは、倒れ位置凹部で後軸部51の倒れ時に嵌合突起53bが嵌合する部位でとなる。
【0087】
嵌合突起53bは、位置決めカム51dの起立位置凹部である嵌合凹部51e又は倒れ位置凹部である嵌合凹部51fに挿入することで嵌合する状態となる。この嵌合突起53bが嵌合凹部51e又は嵌合凹部51fの何れかに嵌合することによって、位置決めカム51dが固定される。位置決めカム51dの二つの嵌合凹部51e,51fは、後軸部51の中央斜め支柱3に対する起立と、倒れの二つの固定状態を設定することができる。
【0088】
つまり、中央斜め支柱3が緩傾斜状に設定されているときに、位置決めレバー53の嵌合突起53bが起立位置凹部である嵌合凹部51eと嵌合しているときには、後支柱5の後軸部51は急傾斜状の直立状態に起立して固定される〔図7(A)参照〕。また、位置決めレバー53の嵌合突起53bが倒れ位置凹部である嵌合凹部51fと嵌合しているときには、後支柱5の後軸部51は緩傾斜状の倒れ状態に固定される〔図7(C)参照〕。
【0089】
位置決めカム51dの嵌合凹部51e又は嵌合凹部51fと、位置決めレバー53の嵌合突起53bとの嵌合状態から嵌合解除を行うときには、ケーシング52aの外部に突出した前記操作端部53dを押し下げることで嵌合凹部51e又は嵌合凹部51fと嵌合突起53bの嵌合が解除され、後軸部51(後主軸51a)の起立及び倒れの回動動作を行うことができる〔図7(B)参照〕。位置決めレバー53の操作端部53dは、手で回動操作できるが、足で踏みつけて回動操作することもでき、換言すれば位置決めレバー53をフットレバーとして使用できるものである。
【0090】
そして、後軸部51が中央斜め支柱3に対して倒れ状態として嵌合凹部51eと嵌合突起53bとを嵌合状態とすることで、後軸部51は中央斜め支柱3に対して倒れ状態で且つ緩傾斜状に固定化され〔図2(B)参照〕、運転者は、後軸部51を手に持って、該後軸部51をそのまま緩傾斜状態から垂直方向に向かって起こすことで、後軸部51と共に緩傾斜状態の中央斜め支柱3を起こすことができ該中央斜め支柱3を急傾斜状の直立状態となるようすることができる。そして、中央斜め支柱3と後軸部51とを左右対称で且つ急傾斜状の直立状態の略V字形状の折畳み完了のときを構成しながら、起立した状態にすることができる〔図2(C),(D)参照〕。本発明のアシスト自転車の組立完了のとき(走行のとき又は走行直前のとき)において、前支柱1の前軸管部11と、後支柱5の後軸部51とは、略平衡状態となることが好ましい〔図1(A)参照〕。
【0091】
前記後軸部51には握手部55が設けられる実施形態が存在する(図8参照)。該握手部55は後軸部51の後方側に設けられたもので、具体的には、後軸部51が起立した状態のときに後方となる側面に握手部55が設けられる〔図8(A)参照〕。該握手部55は、運転者が走行可能な組立完了のときから、折畳み完了のときにするときに、この作業を行い易くするための部位である。握手部55は、中央斜め支柱3に対して起立状態にある後軸部51を、位置決めレバー53を介して倒れ状態にするとき、及び後軸部51を中央斜め支柱3と共に起立状態にするときに、これらの作業を運転者が握手部55を手に持つことで容易且つ効率的にできるものである〔図8(B)参照〕。
【0092】
握手部55は、略「コ」字形状としたものや〔図8(C)参照〕、略逆「L」字形状としたもの〔図8(D)参照〕が存在する。該握手部55は、中央斜め支柱3に対して後軸部51の後主軸51aを倒れ状態及び起立状態にする作業を行い易くするものである。特に、本発明のアシスト自転車を走行のとき又は走行直前のときから折畳み完了のときにする工程において、中央斜め支柱3に対して後軸部51を倒れ状態でロックし、そのまま後軸部51と共に中央斜め支柱3を起立させるときに握手部55は極めて有効となる。
【0093】
また、サドル54には、サドル軸部54aが備わっており、該サドル軸部54aが中空状とした後軸部51に軸方向に沿って挿入される。後軸部51の上端箇所にサドル軸部54aを包持状に締付け固定ができるサドル軸部固定部54bが設けられている(図1参照)。そして、サドル軸部54aは後軸部51に対して軸方向に摺動且つ所定の位置で固定できるような構造としている。サドル軸部固定部54bは、偏芯カムクランプレバーが使用されることが好適である。
【0094】
そして、偏芯カムクランプレバーとしたサドル軸部固定部54bによって、後軸部51の上端の内径が大小に変化し、サドル軸部固定部54bを締付及び締付解除することができ、サドル54の高さ位置を調整することができる。サドル軸部固定部54bとしての偏芯カムクランプレバーについては、連結支持具2の締付軸22の偏芯カムクランプレバーと同一であり、締付具22の説明を参照されたい。
【0095】
次に、前軸部1の前軸管部11の上端付近には上ストッパ部11aが設けられる〔図1(C)参照〕。該上ストッパ部11aは、アシスト自転車の組み立て及び折畳み動作にて連結支持具2が前軸管部11に対して上下動する範囲において上方の移動範囲を規制し、上限位置で停止させる役目をなすものである〔図6(A)参照〕。
【0096】
つまり、上ストッパ部11aは、アシスト自転車の折畳み作業の工程において、連結支持具2の前支柱挟持部21の上方への移動を停止させ、連結支持具2を前軸管部11に対して上方での脱落する(抜け落ちる)ことを防止するものである。上ストッパ部11aによって、連結支持具2は、前軸管部11の下方で位置を固定されアシスト自転車の組立及び走行のときの安定を確保することができる。上ストッパ部11aは、環状材であり、前軸管部11の上端位置に固着される。上ストッパ部11aは、金属或いは合成樹脂により形成されたものである。
【0097】
前支柱1の前軸管部11は、下方付近に連結支持具2の前支柱挟持部21の下方への移動を停止させる、下ストッパ部11bが設けられる〔図5(B),(C)参照〕。該下ストッパ部11bは、連結支持具2が前軸管部11の下方に下がり過ぎないように規制し、連結支持具2を前軸管部11に対して停止させる役目をなす部位である。下ストッパ部11bによって、連結支持具2は、前軸管部11の下方で位置を固定されアシスト自転車の組立及び走行のときの安定を確保することができる。下ストッパ部11bは、前軸管部11の下方に軸直径が大きくなる段差部を設けることによって形成されたり、或いは下ストッパ部11bは前軸管部11と別部材として装着されることもある。
【0098】
次に本発明のアシスト自転車を組立完了のときから折畳み完了のときに亘る工程を主に、図2に基づいて説明する。図2は、本発明のアシスト自転車において、走行のときの状態から折畳み完了のときの状態に亘る工程を示す側面図である。まず、図2(A)は組立完了のときつまり走行できる状態(走行直前のときの状態)である。このとき、中央斜め支柱3は緩傾斜状に設置され、前支柱1及び後支柱5は急傾斜状の直立状態とした起立状態にある。
【0099】
この状態から、連結支持具2の脱着操作レバー25を操作して、脱着連結部24の連結状態を解除して連結支持具2と中央斜め支柱3の脱着連結部24箇所を切り離し分離させる。これによって、連結支持具2と中央斜め支柱3との連結は枢支連結部23のみとなり、前支柱1と中央斜め支柱3とは枢支連結部23を介して逆V字状(或いはΔ字状)に折り曲げ可能な状態となる。
【0100】
次に、後支柱5の後軸部51を回動操作部52の位置決めレバー53を操作して、後軸部51を急傾斜状の直立状態とした起立状態から緩傾斜状の中央斜め支柱3に対して前方側に押し倒し、緩傾斜状の倒れ状態に設定する〔図2(B),図7(C)参照〕。ここで、後軸部51は、緩傾斜状の倒れ状態で且つ位置決めレバー53の嵌合突起53bが倒れ位置凹部である嵌合凹部51fに嵌合しており、後支柱5の後軸部51は、中央斜め支柱3に対して倒れ状態で略一体化されるように固定されることになる〔図2(B),図7(C)参照〕。次に、運転者は、後支柱5の後軸部51を手に持って該後軸部51を起こし、後支柱5と中央斜め支柱3とを緩傾斜状から急傾斜状の直立状態の起立状態にする〔図2(C),図7(A)参照〕。
【0101】
この中央斜め支柱3が緩傾斜状から急傾斜状の直立状態に起立する工程で、中央斜め支柱3と枢支連結している連結支持具2が前支柱1の前軸管部11の軸方向に沿って上方に移動する〔図2(B),(C)参照〕。このとき、前軸管部11と中央斜め支柱3とは、連結支持具2の枢支連結部23を介して、左右対称で且つ急傾斜の直立状態で逆V字状(或いはΔ字状)に折り畳まれる。また、連結支持具2は、前軸管部11に対して、上ストッパ部11aによって上昇位置が規制され、連結支持具2は、前軸管部11の軸方向の上方の適正位置に停止し、これによって本発明におけるアシスト自転車の折畳みが完了する〔図1(B),図2(D)参照〕。
【0102】
また、アシスト自転車を折畳み完了のときから走行可能な組立完了のときにする工程では、連結支持具2を前支柱1の前軸管部11に沿ってそのまま降下させる。このとき中央斜め支柱3の前方側も連結支持具2と共に降下し、中央斜め支柱3は急傾斜状の直立状態から緩傾斜状に移動する。そして、中央斜め支柱3が走行可能な位置まで前方側が降下する。このとき、連結支持具2は、前支柱1の下ストッパ部11bに当接して連結支持具2の下方への移動は停止する。
【0103】
後支柱5は、中央斜め支柱3とともに移動し、倒れ状態にある緩傾斜状態の中央斜め支柱3と共に緩傾斜状態となる。そこで、位置決めレバー53を操作して、急傾斜状の直立状態に後支柱4を起立させる。そして、後軸部51は、位置決めレバー53の嵌合突起53bが起立位置凹部である嵌合凹部51eに嵌合し、後支柱5の後軸部51は、中央斜め支柱3に対して起立状態で固定される。後軸部5に装着したサドル54が使用状態となる〔図1(A),図2(A)参照〕。これによって、アシスト自転車は組立完了し走行可能な状態となる。
【符号の説明】
【0104】
1…前支柱、11…前軸管部、11a…上ストッパ部、
12…ハンドル軸部、13…フロントフォーク、2…連結支持具、
21…前支柱挟持部、23…枢支連結部、24…脱着連結部、
25…脱着操作レバー、25k…係止突起部、26…カラー部材、
3…中央斜め支柱、32…後方筐体部、34…リアフォーク、4…緩衝具、
41…シリンダ、42…ピストンロッド、5…後支柱、51…後軸部、
51b…回動軸部、51d…位置決めカム、51e…嵌合凹部、
53…位置決めレバー、53b…嵌合突起、54…サドル、55…握手部、
62…蓄電池、71…小型前輪、72…小型後輪、8…ハンドル。
【要約】
【目的】折り畳み状態が極めてコンパクトで折り畳み作業を簡単にできるアシスト自転車とすること。
【構成】中央斜め支柱3と、前軸管部11とハンドル軸部12とからなる前支柱1と、フロントフォーク13と、前支柱挟持部21と中央斜め支柱3と常時連結する枢支連結部23と脱着する脱着連結部24とを有する連結支持具2と、ハンドル8と、リアフォーク34と、中央斜め支柱3に起立状態と倒れ状態の固定状態とされる後支柱5とが備えられ、折り畳み完了のときには、中央斜め支柱3に対して前方側に倒れ状態で固定された後支柱5の後軸部51が垂直状となるように上方に持ち上げられることにより、後軸部51と共に中央斜め支柱3が垂直状となった中央斜め支柱3と後支柱5とはV字状の折り畳み状態となり、中央斜め支柱3と前支柱1とは逆V字状に折り曲げられる折り畳み状態となること。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8