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特許7432282高屈折率を示す、トリアジン環を有する新規なジヒドロオキサフォスファフェナントレン誘導体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】高屈折率を示す、トリアジン環を有する新規なジヒドロオキサフォスファフェナントレン誘導体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6574 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
C07F9/6574 A CSP
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023561087
(86)(22)【出願日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 JP2023004734
(87)【国際公開番号】W WO2023153508
(87)【国際公開日】2023-08-17
【審査請求日】2023-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2022020786
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022199488
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391052574
【氏名又は名称】三光株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】大石 高路
【審査官】長谷川 莉慧霞
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112679545(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110156840(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110615882(CN,A)
【文献】特表2015-530999(JP,A)
【文献】特開昭53-005253(JP,A)
【文献】特開2016-060865(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114316115(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/6574
CAplus/REGISTRY/MARPAT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】

(式中、
、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基を示し、
は、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基を示し、
は、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基を示し、
は、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基を示し、
は、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基を示し、並びに
は、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1個以上の置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基を示すか;或いは、
とR、及び/又はRとRは、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に環基を形成する。)
で表される化合物。
【請求項2】
が、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、バニリル基、ニトロフェニル基、カルボキシフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、及び
が、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であるか、或いは、
とR、及び/又はRとRが、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に、ピロリル基、インドリニル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾリル基、カルバゾリル基、ピペリジル基、モルホリニル基、又はフェノチアジニル基を形成する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はシクロヘキシル基であり、
が、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ヒドロキシメチル基、又は2-ヒドロキシエチル基であり、
が、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であり、
が、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であり、
が、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であり、並びに
が、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であるか、或いは、
とR、及び/又はRとRが、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、カルバゾリル基、又はフェノチアジニル基を形成する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、アルデヒド類、及び第一級アミン類の三成分縮合反応により下記一般式(2)で表される化合物を製造し、続いて塩化シアヌルとアミン類とを反応させる工程を含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。
【化2】

(式中、R、Rは、前記と同義を示す。)
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の化合物を含有する高屈折率材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアジン環を分子内に有する新規な9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド(以下、「HCA」ともいう)誘導体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高い屈折率を有する樹脂又はそのモノマーの開発が盛んに行われており、従来は高屈折な光学材料としてガラスが使用されてきた分野において樹脂への置き換えが進んでいる。樹脂を使用することの長所としては、安価であること、軽量であること、成型が容易であること等が挙げられ、用途としては、光学レンズやディスプレイ関連、光学用接着剤等が挙げられる。
【0003】
樹脂の屈折率を高める手段としては、原子屈折の高いハロゲン原子や硫黄原子を分子内に導入することや金属酸化物微粒子を樹脂に分散させることが試みられてきた。しかしながら、前者は、耐候性や環境負荷の問題があり、後者は、微粒子の分散安定性や加工性の問題があるため、さらなる改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-3875号公報
【文献】特開2016-60865号公報
【文献】中国特許出願公開第112679545号明細書
【非特許文献】
【0005】
【文献】日本化学会編,化学便覧基礎編II改訂5版,丸善,2004年,644頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高い屈折率を示す、トリアジン環を有するHCA誘導体、及びその製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
屈折率を高める手段としては、原子屈折の高い-C=N-結合を有する窒素原子を分子内に導入することが考えられる。この窒素原子の原子屈折は、4.10であり、-C=C-結合を有する炭素原子の原子屈折(1.58)よりも高く、フェニル基の代わりに含窒素芳香族複素環化合物を導入することにより屈折率を高めることができる(非特許文献1)。
【0008】
また、屈折率の高い構造としては、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド構造も知られており(特許文献1)、特許文献2では、高分子内のHCA含有量が多くなると屈折率が高くなることが報告されている。
【0009】
これまでに、同一分子内に9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド構造と、トリアジン環の双方を有する化合物として、例えば、特許文献3等が報告されているが、屈折率に着目した検討はなされていない。
【0010】
本発明者は、同一分子内にHCAと、-C=N-結合を有するトリアジン環の双方を有する化合物が高い屈折率を示す可能性に思い至り、鋭意検討を重ねた結果、適切な置換基を選択することにより、新規HCA誘導体である下記一般式(1)で表される化合物が高い屈折率を示すことを見出した。
【0011】
本発明は、以下の通りである。
[1]下記一般式(1)で表される化合物。
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子;置換されていてもよいアルキル基;又は置換されていてもよいアリール基を示し、RとR、及び/又はRとRは、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に環基を形成していてもよい。)
[1’]Rが、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
が、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
が、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
が、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
が、水素原子であり、及び
が、水素原子である、
上記[1]に記載の化合物。
[1’’]Rが、1-ナフチル基、2-ナフチル基、フェニル基、シクロヘキシル基、又はヒドロキシフェニル基であり、
が、フェニル基であり、
及びRが、各々独立して、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、ベンジル基、又はヒドロキシフェニル基であり、
及びRが、各々独立して、水素原子、フェニル基、又はベンジル基であるか、或いは、RとR、及び/又はRとRは、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に、ベンゾイミダゾリル基、又はベンゾトリアゾリル基を形成する、
上記[1]に記載の化合物。
[2]Rが、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
が、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
が、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
が、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
が、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、並びに
が、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であるか;或いは、
とR、及び/又はRとRが、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に環基を形成する、
上記[1]に記載の化合物。
[2’]Rが、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
が、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
が、ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
が、ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
が、水素原子であり、並びに
が、水素原子である、
上記[1’]に記載の化合物。
[3]Rが、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、バニリル基、ニトロフェニル基、カルボキシフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であるか、或いは、
とR、及び/又はRとRが、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に、ピロリル基、インドリニル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾリル基、カルバゾリル基、ピペリジル基、モルホリニル基、又はフェノチアジニル基を形成する、
上記[1]又は[2]に記載の化合物。
[3’]Rが、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、バニリル基、ニトロフェニル基、カルボキシフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、水素原子であり、及び
が、水素原子である、
上記[1’]又は[2’]に記載の化合物。
[4]Rが、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はシクロヘキシル基であり、
が、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ヒドロキシメチル基、又は2-ヒドロキシエチル基であり、
が、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であり、
が、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であり、
が、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であり、及び
が、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であるか、或いは、
とR、及び/又はRとRが、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、カルバゾリル基、又はフェノチアジニル基を形成する、
上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の化合物。
[4’]Rが、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、1-ナフチル基、又は2-ナフチル基であり、
が、フェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ヒドロキシメチル基、又は2-ヒドロキシエチル基であり、
が、フェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であり、
が、フェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であり、
が、水素原子であり、及び
が、水素原子である、
上記[1’]乃至[3’]のいずれかに記載の化合物。
[5]9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、アルデヒド類、及び第一級アミン類の三成分縮合反応により下記一般式(2)で表される化合物を製造し、続いて塩化シアヌルとアミン類とを反応させる工程を含む、上記[1]乃至[4]、[1’]乃至[4’]、又は[1’’]のいずれかに記載の化合物の製造方法。
【0014】
【化2】
【0015】
(式中、R及びRは、前記と同義を示す。)
[6]上記[1]乃至[4]、[1’]乃至[4’]、又は[1’’]のいずれかに記載の化合物を含有する高屈折率材料。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、反応性の官能基を0~4つ有する、屈折率の高い新規HCA誘導体、及びその製造方法を提供することができる。
【0017】
また、本発明の新規HCA誘導体は、反応性の官能基を0~4つ有し、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ等の熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂の原料モノマー、硬化剤、又は改質剤として用いることができる。
【0018】
本発明のHCA誘導体は、例えば、公知の方法によりホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによりポリカーボネートが得られ、テレフタル酸等のジカルボン酸と反応させることによりポリエステルが得られる。また、本発明のHCA誘導体をマトリックス樹脂と混錬することにより、樹脂部材を製造することができる。これらを用いることにより、高屈折率を有する光学材料(レンズ、フィルム、シート等)を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1で合成した化合物(式(9)の化合物)のIRチャート
図2】実施例2で合成した化合物(式(10)の化合物)のIRチャート
図3】実施例3で合成した化合物(式(11)の化合物)のIRチャート
図4】実施例4で合成した化合物(式(12)の化合物)のIRチャート
図5】実施例5で合成した化合物(式(13)の化合物)のIRチャート
図6】実施例6で合成した化合物(式(14)の化合物)のIRチャート
図7】実施例7で合成した化合物(式(15)の化合物)のIRチャート
図8】実施例8で合成した化合物(式(16)の化合物)のIRチャート
図9】実施例9で合成した化合物(式(17)の化合物)のIRチャート
図10】実施例10で合成した化合物(式(18)の化合物)のIRチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、一般式(1)で表される化合物を、「式(1)の化合物」と称することがあり、また、一般式(2)乃至(19)で表される化合物を、それぞれ「式(2)の化合物」乃至「式(19)の化合物」と称することがある。
【0021】
本明細書中、「置換されていてもよい」とは、無置換であるか、又は置換可能な任意の位置において特定の置換基で置換される(任意の水素原子が置換基と置き換わる)ことを意味する。該「置換基」としては、特に限定されないが、特に置換基が特定されていない場合は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいことを意味する。置換基の数は、置換可能な数であれば特に限定されないが、通常1乃至5個であり、好ましくは1乃至3個である。複数の置換基が存在する場合、各置換基は、同一でも異なっていてもよい。
【0022】
本明細書中、「アルデヒド類」とは、ホルミル基(-CHO)を有する化合物であれば、特に限定されない。好適なアルデヒド類としては、下記式(3)の化合物が挙げられる。
【0023】
【化3】
【0024】
(式中、Rは、前記と同義である。)
【0025】
本明細書中、「第一級アミン類」とは、アミノ基(-NH)を有する化合物であれば、特に限定されない。好適な第一級アミン類としては、下記式(4)の化合物が挙げられる。
【0026】
【化4】
【0027】
(式中、Rは、前記と同義である。)
【0028】
本明細書中、「アミン類」とは、特に限定されないが、第一級アミン類、第二級アミン類、含窒素複素環(環状アミン類)等を意味する。好適なアミン類としては、以下に記載の式(6)の化合物、式(8)の化合物等が挙げられる。該含窒素複素環の具体例としては、後述する「含窒素複素環基」由来の環が挙げられる。
【0029】
本明細書中、「高屈折率材料」とは、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂由来の高屈折率を有する光学材料(レンズ、フィルム、シート等)を意味する。
【0030】
(本発明のHCA誘導体)
本発明に係る新規HCA誘導体は、下記式(1)の化合物である。
【0031】
【化5】
【0032】
各基の好適な態様は、以下の通りである。
は、置換されていてもよいアルキル基;又は置換されていてもよいアリール基を示す。
【0033】
は、好ましくは、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
より好ましくは、フェニル基、トリル基(例、2-トリル、3-トリル、4-トリル)、ビニルフェニル基(例、2-ビニルフェニル、3-ビニルフェニル、4-ビニルフェニル)、ヒドロキシフェニル基(例、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル)、バニリル基、ニトロフェニル基(例、2-ニトロフェニル、3-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル)、カルボキシフェニル基(例、2-カルボキシフェニル、3-カルボキシフェニル、4-カルボキシフェニル)、クロロフェニル基(例、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル)、ブロモフェニル基(例、2-ブロモフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル)、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
特に好ましくは、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はシクロヘキシル基である。
【0034】
は、置換されていてもよいアルキル基;又は置換されていてもよいアリール基を示す。
【0035】
は、好ましくは、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、フェニル基、トリル基(例、2-トリル、3-トリル、4-トリル)、ビニルフェニル基(例、2-ビニルフェニル、3-ビニルフェニル、4-ビニルフェニル)、ヒドロキシフェニル基(例、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル)、カルボキシフェニル基(例、2-カルボキシフェニル、3-カルボキシフェニル、4-カルボキシフェニル)、ニトロフェニル基(例、2-ニトロフェニル、3-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル)、クロロフェニル基(例、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル)、ブロモフェニル基(例、2-ブロモフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル)、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
さらに好ましくは、フェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ヒドロキシメチル基、又は2-ヒドロキシエチル基であり、
特に好ましくは、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ヒドロキシメチル基、又は2-ヒドロキシエチル基である。
【0036】
は、水素原子;置換されていてもよいアルキル基;又は置換されていてもよいアリール基を示す。
【0037】
は、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基(例、2-トリル、3-トリル、4-トリル)、ベンジル基、ビニルフェニル基(例、2-ビニルフェニル、3-ビニルフェニル、4-ビニルフェニル)、ヒドロキシフェニル基(例、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル)、カルボキシフェニル基(例、2-カルボキシフェニル、3-カルボキシフェニル、4-カルボキシフェニル)、ニトロフェニル基(例、2-ニトロフェニル、3-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル)、クロロフェニル基(例、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル)、ブロモフェニル基(例、2-ブロモフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル)、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
特に好ましくは、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基である。
【0038】
は、水素原子;置換されていてもよいアルキル基;又は置換されていてもよいアリール基を示す。
【0039】
は、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基(例、2-トリル、3-トリル、4-トリル)、ベンジル基、ビニルフェニル基(例、2-ビニルフェニル、3-ビニルフェニル、4-ビニルフェニル)、ヒドロキシフェニル基(例、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル)、カルボキシフェニル基(例、2-カルボキシフェニル、3-カルボキシフェニル、4-カルボキシフェニル)、ニトロフェニル基(例、2-ニトロフェニル、3-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル)、クロロフェニル基(例、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル)、ブロモフェニル基(例、2-ブロモフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル)、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
特に好ましくは、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基である。
【0040】
は、水素原子;置換されていてもよいアルキル基;又は置換されていてもよいアリール基を示す。
【0041】
は、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基(例、2-トリル、3-トリル、4-トリル)、ベンジル基、ビニルフェニル基(例、2-ビニルフェニル、3-ビニルフェニル、4-ビニルフェニル)、ヒドロキシフェニル基(例、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル)、カルボキシフェニル基(例、2-カルボキシフェニル、3-カルボキシフェニル、4-カルボキシフェニル)、ニトロフェニル基(例、2-ニトロフェニル、3-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル)、クロロフェニル基(例、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル)、ブロモフェニル基(例、2-ブロモフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル)、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
特に好ましくは、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基である。
【0042】
は、水素原子;置換されていてもよいアルキル基;又は置換されていてもよいアリール基を示す。
【0043】
は、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基(例、2-トリル、3-トリル、4-トリル)、ベンジル基、ビニルフェニル基(例、2-ビニルフェニル、3-ビニルフェニル、4-ビニルフェニル)、ヒドロキシフェニル基(例、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル)、カルボキシフェニル基(例、2-カルボキシフェニル、3-カルボキシフェニル、4-カルボキシフェニル)、ニトロフェニル基(例、2-ニトロフェニル、3-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル)、クロロフェニル基(例、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル)、ブロモフェニル基(例、2-ブロモフェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル)、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
特に好ましくは、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基である。
【0044】
とR、及び/又はRとRは、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に環基を形成していてもよい。
【0045】
とR、及び/又はRとRが、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に形成する環基は、含窒素複素環基であり、例えば、環構成原子として窒素原子と炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1乃至4個のヘテロ原子をそれぞれ含有してもよい、(i)芳香族複素環基、(ii)非芳香族複素環基、(iii)6乃至10員の架橋環式の非芳香族複素環基、及び(iv)6乃至12員のスピロ環式の非芳香族複素環基が挙げられる。
【0046】
「芳香族複素環基」としては、例えば、環構成原子として窒素原子、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1乃至4個のヘテロ原子を含有してもよい5乃至14員の芳香族複素環基が挙げられる。
【0047】
該「芳香族複素環基」の具体例としては、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル等の5又は6員の単環式芳香族複素環基;ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジル、ピロロピリジル、ピラゾロピリジル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリミジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾロトリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、プリニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル等の8乃至14員の縮合芳香族複素環基(縮合多環式(好ましくは2又は3環式)芳香族複素環基)が挙げられる。
【0048】
「非芳香族複素環基」としては、例えば、環構成原子として窒素原子、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1乃至4個のヘテロ原子を含有する3乃至14員の非芳香族複素環基が挙げられる。
【0049】
該「非芳香族複素環基」の具体例としては、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロイソチアゾリル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロイソオキサゾリル、ピペリジル、ピペラジニル、テトラヒドロピリジル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリダジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニル、アゼピニル、アゾカニル、ジアゾカニル等の3乃至10員単環式非芳香族複素環基(好ましくは5乃至8員単環式非芳香族複素環基);
テトラヒドロトリアゾロピリジル、テトラヒドロトリアゾロピラジニル、テトラヒドロピラゾロピラジニル、ジヒドロピラゾロピロリル、テトラヒドロピラゾロピリジル、テトラヒドロイミダゾロピリジル、ジヒドロイミダゾロピリジル、ジヒドロイミダゾロピロリル、テトラヒドロイミダゾロピラジニル、ジヒドロピリミドピロリル、ジヒドロピリドピロリル、テトラヒドロピリドピリジル、テトラヒドロオキサゾロピラジニル、テトラヒドロピリドピリジル、テトラヒドロトリアゾロジアゼピニル、オクタヒドロ-1,4-オキサジノピラジニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ジヒドロベンゾイソチアゾリル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、4H-キノリジニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロベンゾアゼピニル、テトラヒドロキノキサリニル、テトラヒドロフェナントリジニル、ヘキサヒドロフェノチアジニル、ヘキサヒドロフェノキサジニル、テトラヒドロフタラジニル、テトラヒドロナフチリジニル、テトラヒドロキナゾリニル、テトラヒドロシンノリニル、テトラヒドロカルバゾリル、テトラヒドロ-β-カルボリニル、テトラヒドロアクリジニル、テトラヒドロフェナジニル、オクタヒドロイソキノリル等の9乃至14員の縮合非芳香族複素環基(縮合多環式(好ましくは2環式)非芳香族複素環基)が挙げられる。
【0050】
「6乃至10員の架橋環式の非芳香族複素環基」の具体例としては、3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクチル、2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクチル、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、キヌクリジニル等が挙げられる。
【0051】
「6乃至12員のスピロ環式の非芳香族複素環基」の具体例としては、2,8-ジアザスピロ[4.5]デシル、2,7-ジアザスピロ[3.5]ノニル、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプチル等が挙げられる。
【0052】
とR、及び/又はRとRが、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に形成する環基としては、
好ましくは、ピロリル基、インドリニル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾリル基、カルバゾリル基、アジリジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジル基、アゼパニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、又はフェノチアジニル基であり、
より好ましくは、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、カルバゾリル基、又はフェノチアジニル基である。
【0053】
式(1)の化合物としては、以下の化合物が好適である。
【0054】
[化合物(1A)]
前記式(1)における、
が、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
が、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
が、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
が、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、
が、水素原子であり、及び
が、水素原子である、
式(1)の化合物。
【0055】
[化合物(1B)]
前記式(1)における、
が、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
が、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、アルキル基、ビニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
が、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
が、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、
が、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であり、並びに
が、水素原子;ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは脂環状のアルキル基;又は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される置換基により置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基であるか、或いは、
とR、及び/又はRとRが、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に環基を形成する、
式(1)の化合物。
【0056】
[化合物(1C)]
前記式(1)における、
が、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、バニリル基、ニトロフェニル基、カルボキシフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、水素原子であり、並びに
が、水素原子である、
式(1)の化合物。
【0057】
[化合物(1D)]
前記式(1)における、
が、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、バニリル基、ニトロフェニル基、カルボキシフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、フェニル基、トリル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、
が、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であり、及び
が、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ビニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はビフェニル基であるか、或いは、
とR、及び/又はRとRが、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に、ピロリル基、インドリニル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾリル基、カルバゾリル基、ピペリジル基、モルホリニル基、又はフェノチアジニル基を形成する、
式(1)の化合物。
【0058】
[化合物(1E)]
前記式(1)における、
が、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、1-ナフチル基、又は2-ナフチル基であり、
が、フェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ヒドロキシメチル基、又は2-ヒドロキシエチル基であり、
が、フェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であり、及び
が、フェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であり、
が、水素原子であり、及び
が、水素原子である、
式(1)の化合物。
【0059】
[化合物(1F)]
前記式(1)における、
が、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、又はシクロヘキシル基であり、
が、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ヒドロキシメチル基、又は2-ヒドロキシエチル基であり、
が、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であり、
が、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であり、
が、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であり、並びに
が、水素原子、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシフェニル基、2-ヒドロキシエチル基、又は3-ヒドロキシプロピル基であるか、或いは、
とR、及び/又はRとRが、各々独立して、互いに結合して、それらが結合している窒素原子と共に、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、カルバゾリル基、又はフェノチアジニル基を形成する、
式(1)の化合物。
【0060】
(本発明のHCA誘導体の製造方法)
本発明のHCA誘導体(式(1)の化合物)は、HCAとアルデヒド類と第一級アミン類の三成分縮合反応により一般式(2)で表される化合物を合成し、続いて塩化シアヌルとアミン類とを反応させることによって合成することができる。
【0061】
式(1)の化合物の製造方法の例として、代表的な製造方法を以下に述べるが、製造方法はこれらに限定されない。原料化合物は、具体的製法を述べない場合、市販されているものを容易に入手して用いることができるか、又は自体公知の方法、或いはそれに準ずる方法に従って製造することができる。
【0062】
まず、HCA、一般式(3)で表されるアルデヒド類、及び一般式(4)で表される第一級アミン類の三成分縮合反応により、一般式(2)で表される化合物を得る(工程1)。本工程の反応温度は、60~180℃であり、反応時間は、1~24時間である。
【0063】
【化6】
【0064】
(式中の記号は、前記と同義である。)
【0065】
次に、塩基の存在下、一般式(2)で表される化合物と塩化シアヌルとの反応を行うことにより一般式(5)で表される化合物を得る(工程2)。
工程2の反応は、有機塩基又は無機塩基の存在下で行われる。
有機塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.5.0]ウンデカン-7-エン、化合物(2)等が挙げられる。
無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド等が挙げられる。
本工程の反応温度は、0~120℃であり、反応時間は、1~24時間である。
【0066】
【化7】
【0067】
(式中の記号は、前記と同義である。)
【0068】
次に、塩基の存在下、一般式(5)で表される化合物と一般式(6)で表されるアミン類との反応を行うことにより一般式(7)で表される化合物を得る(工程3)。
工程3の反応は、有機塩基又は無機塩基の存在下で行われる。
有機塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.5.0]ウンデカン-7-エン、化合物(6)等が挙げられる。
無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド等が挙げられる。 本工程の反応温度は、0~120℃であり、反応時間は、1~24時間である。
【0069】
【化8】
【0070】
(式中の記号は、前記と同義である。)
【0071】
最後に、塩基の存在下、一般式(7)で表される化合物と一般式(8)で表されるアミン類との反応を行うことにより一般式(1)で表されるHCA誘導体を得る(工程4)。
工程4の反応は、有機塩基又は無機塩基の存在下で行われる。
有機塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.5.0]ウンデカン-7-エン、化合物(8)等が挙げられる。
無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド等が挙げられる。
【0072】
【化9】
【0073】
(式中の記号は、前記と同義である。)
【0074】
各工程において、生成する中間体化合物は、カラムクロマトグラフィー、再結晶、蒸留等の方法で単離精製してもよく、或いは単離せずに次の工程に用いても良い。
【実施例
【0075】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0076】
(屈折率nD)
試料を1-ブロモナフタレンに溶解させ、屈折率計(ATAGO社製DR-M2アッベ屈折計)を用いて温度25℃、波長589nmで溶液の屈折率を測定した。この溶液屈折率を用いて、化合物の屈折率を概算した。
【0077】
実施例1:式(9)の化合物の合成:
【0078】
【化10】
【0079】
四ツ口フラスコにベンズアルデヒド10.6g、2-アミノエタノール6.1g、及びトルエン109.6gを仕込み、120℃に昇温して1時間加熱還流させた後に90℃まで冷却し、HCA21.6gを添加して2時間撹拌を続けて反応を完結させた。室温まで冷却後、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより白色粉末23.9gを得た。得られた白色粉末18.7g、塩化シアヌル4.6g、及びトルエン77.0gを仕込み、1時間かけて80℃に昇温した。そのまま1時間撹拌を続けて反応を完結させた後に、温度を保持したまま析出物を濾別した。濾液を四ツ口フラスコに仕込み、80℃に保持したまま1時間かけてアニリン9.5gを滴下し、4時間撹拌後室温まで冷却した。反応液を濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより淡黄色粉末17.1gを得た。得られた淡黄色粉末を2-プロパノ―ル溶媒を用いて晶析し、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、標題化合物を白色粉末として得た。屈折率は1.69であった。IRチャートを図1に示す。
【0080】
実施例2:式(10)の化合物の合成
【0081】
【化11】
【0082】
四ツ口フラスコにベンズアルデヒド10.6g、ベンジルアミン10.7g、及びトルエン167.8gを仕込み、120℃に昇温して1時間加熱還流させた後に90℃に冷却し、HCA24.8gを添加して2時間撹拌を続けた。60℃まで冷却後、N,N-ジエチルアニリン17.9gを添加し、続いて塩化シアヌル18.4gを2時間かけて分割投入し、6時間撹拌を続けて反応を完結させた。室温まで冷却後、析出物を濾別した。濾液にN,N-ジエチルアニリン32.8gを添加した。続いて60℃まで昇温してアニリン10.3gを滴下し、さらに80℃まで昇温してアニリン10.3gを滴下した。80℃で4時間撹拌を続けた後にヘキサン200.0gを加えて室温まで冷却し、析出物を濾別した。この析出物を精製水で洗浄した後に乾燥を行うことにより白色粉末60.3gを得た。得られた白色粉末を、トルエンを用いて晶析し、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、標題化合物を白色粉末として得た。屈折率は1.68であった。IRチャートを図2に示す。
【0083】
実施例3:式(11)の化合物の合成
【0084】
【化12】
【0085】
四ツ口フラスコにベンズアルデヒド11.1g、ベンジルアミン10.7g、及びトルエン167.8gを仕込み、120℃に昇温して1時間加熱還流させた後に90℃まで冷却し、HCA24.8gを添加して2時間撹拌を続けた。反応液を室温まで冷却後、反応液に塩化シアヌル9.2gを添加した。60℃まで昇温して同温度で6時間撹拌を続けて反応を完結させた。反応液を室温まで冷却後、析出物を濾別した。濾液を濃縮後、残渣にヘキサン170.0gを加えて混合し、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより白色粉末17.8gを得た。得られた白色粉末をメタノール35.1gに分散させ、1時間撹拌した後に、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより白色粉末9.3gを得、得られた白色粉末0.28g、及びトルエン1.5gを仕込み、60℃まで昇温後、2-アミノエタノール0.14gを添加し、80℃まで昇温して反応を完結させた。続いてヘキサン2.0gを加えてよく混合後、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、標題化合物0.18gを白色粉末として得た。屈折率は1.66であった。IRチャートを図3に示す。
【0086】
実施例4:式(12)の化合物の合成
【0087】
【化13】
【0088】
四ツ口フラスコに1-ナフトアルデヒド8.2g、ベンジルアミン5.4g、トルエン182.8gを仕込み、120℃に昇温して1時間加熱還流させた後に90℃まで冷却し、HCA12.4gを添加して2時間撹拌を続けた。室温まで冷却後、塩化シアヌル4.6gを添加した。反応液を60℃まで昇温し、同温度で6時間撹拌を続けて反応を完結させた。室温まで冷却後、析出物を濾別した。濾液を濃縮後、残渣にメタノール165.0gを加えて30分間撹拌し、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより白色粉末8.3gを得た。得られた白色粉末0.24g、及びトルエン1.5gを仕込み、60℃まで昇温後、アニリン0.16gを添加し、80℃まで昇温して反応を完結させた。室温まで冷却後、濾過及び洗浄を行うことにより、白色粉末0.32gを得た。得られた白色粉末をメタノール2.4g中に分散させ、1時間撹拌後、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、標題化合物を白色粉末として得た。屈折率は1.70であった。IRチャートを図4に示す。
【0089】
実施例5:式(13)の化合物の合成
【0090】
【化14】
【0091】
実施例4で用いたアニリンを2-アミノエタノールに代えた以外、実施例4と同様の操作を行い、メタノールを用いて晶析した後に、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより標題化合物を白色粉末として得た。屈折率は1.68であった。IRチャートを図5に示す。
【0092】
実施例6:式(14)の化合物の合成
【0093】
【化15】
【0094】
四ツ口フラスコに1-ナフトアルデヒド32.8g、ベンジルアミン21.4g、及びトルエン182.8gを仕込み、120℃まで昇温して1時間加熱還流させた後に90℃まで冷却し、HCA49.7gを添加して2時間撹拌を続けた。室温まで冷却後、反応液にN,N-ジエチルアニリン32.8g、塩化シアヌル36.9gを添加し、60℃まで昇温して6時間撹拌を続けた。室温まで冷却後、析出物を濾別し、この析出物をメタノール232gに分散させ、1時間撹拌後に濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、白色粉末75.6gを得た。得られた白色粉末30.5g及びトルエン81.1gを、四ツ口フラスコに仕込み、60℃まで昇温した。反応液に1時間かけて2-アニリノエタノール34.3gを添加し、70℃まで昇温して12時間撹拌を続けた。室温まで冷却後、水洗により未反応の2-アニリノエタノールを除去し、ヘキサンと混合した後に濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、白色粉末29.4gを得た。得られた白色粉末を、酢酸イソプロピル溶媒を用いて晶析し、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、標題化合物を白色粉末として得た。屈折率は1.67であった。IRチャートを図6に示す。
【0095】
実施例7:式(15)の化合物の合成
【0096】
【化16】
【0097】
四ツ口フラスコに1-ナフトアルデヒド32.8g、ベンジルアミン21.4g、及びトルエン182.8gを仕込み、120℃まで昇温して1時間加熱還流させた後に90℃まで冷却し、HCA49.7gを添加して2時間撹拌を続けた。室温まで冷却後、反応液に、N,N-ジエチルアニリン32.8g、及び塩化シアヌル36.9gを添加し、60℃まで昇温して6時間撹拌を続けた。反応液を室温まで冷却後、析出物を濾別し、この析出物をメタノール232gに分散させ、1時間撹拌を行った後に濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、白色粉末75.6gを得た。得られた白色粉末0.30g、ジベンジルアミン0.49g、及びメタノール1.4gを試験管に仕込み、65℃まで昇温して14時間撹拌を続けた。室温まで冷却後に析出物を濾別し、さらに水洗、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、標題化合物0.33gを白色粉末として得た。屈折率は1.67であった。IRチャートを図7に示す。
【0098】
実施例8:式(16)の化合物の合成
【0099】
【化17】
【0100】
四ツ口フラスコに1-ナフトアルデヒド32.8g、ベンジルアミン21.4g、及びトルエン182.8gを仕込み、120℃まで昇温して1時間加熱還流させた後に90℃まで冷却し、HCA49.7gを添加して2時間撹拌を続けた。室温まで冷却後、反応液にN,N-ジエチルアニリン32.8g、塩化シアヌル36.9gを添加し、60℃まで昇温して6時間撹拌を続けた。反応液を室温まで冷却後、析出物を濾別し、この析出物をメタノール232gに分散させ、1時間撹拌を行った後に濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、白色粉末75.6gを得た。得られた白色粉末0.30g、ベンゾイミダゾール0.30g、及びトルエン1.3gを試験管に仕込み、昇温して60℃で1時間撹拌した後に80℃で9時間撹拌を続けた。反応液を室温まで冷却後に析出物を濾別し、さらに水洗、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、標題化合物0.25gを白色粉末として得た。IRチャートを図8に示す。
【0101】
実施例9:式(17)の化合物の合成
【0102】
【化18】
【0103】
実施例7で用いたジベンジルアミンを3-アミノフェノールに代えた以外、実施例7と同様の操作を行うことにより、標題化合物を白色粉末として得た。IRチャートを図9に示す。
【0104】
実施例10:式(18)の化合物の合成
【0105】
【化19】
【0106】
実施例6で用いた1-ナフトアルデヒドをシクロヘキサンカルボキシアルデヒドに代えた以外、実施例6と同様の操作を行い、HCA及びベンジルアミンとの反応を行うことにより、白色粉末を得た。得られた白色粉末0.57g、2-アミノエタノール0.31g、メタノール1.8gを試験管に仕込み、昇温して60℃で1時間撹拌した後に80℃で2時間撹拌を続けた。室温まで冷却後に反応液を精製水27.0gと混合し、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、標題化合物0.51gを白色粉末として得た。屈折率は1.64であった。IRチャートを図10に示す。
【0107】
実施例11:式(19)の化合物の合成
【0108】
【化20】
【0109】
四ツ口フラスコに4-ヒドロキシベンズアルデヒド25.7g、ベンジルアミン23.6g、及びトルエン230.2gを仕込み、120℃まで昇温して1時間加熱還流させた後に90℃まで冷却し、HCA49.7gを添加して2時間撹拌を続けた。室温まで冷却後、濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、白色粉末71.2gを得た。得られた白色粉末34.2g、N,N-ジエチルアニリン23.9g、塩化シアヌル14.8g、及びテトラヒドロフラン115.1gを四ツ口フラスコに仕込み、30℃まで昇温して4時間撹拌を続けた。続いて3-アミノフェノール52.4gを添加し、60℃まで昇温して6時間撹拌を続けた。室温まで冷却後、酢酸エチル1000gと混合し、析出物を濾別した。得られた濾液を水洗することにより未反応の3-アミノフェノールを除去し、エバポレーターで濃縮した後にトルエン190gと混合して1時間撹拌を行った。反応液を濾過、洗浄及び乾燥を行うことにより、標題化合物9.2gを薄黄土色粉末として得た。
【産業上の利用可能性】
【0110】
分子内にトリアジン環を有するジヒドロオキサフォスファフェナントレン誘導体である本発明の化合物は、屈折率の高い物質として産業上有用である。
【0111】
また、本発明の新規HCA誘導体は、反応性の官能基を0~4つ有し、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ等の熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂の原料モノマー、硬化剤、又は改質剤として用いることができる。
【0112】
さらに、本発明のHCA誘導体は、例えば、公知の方法によりホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによりポリカーボネートが得られ、テレフタル酸等のジカルボン酸と反応させることによりポリエステルが得られる。また、本発明のHCA誘導体をマトリックス樹脂と混錬することにより、樹脂部材を製造することができる。これらを用いることにより、高屈折率を有する光学材料(レンズ、フィルム、シート等)を得ることができる。
【0113】
本出願は、日本国で2022年2月14日に出願された特願2022-020786、及び2022年12月14日に出願された特願2022-199488を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。
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