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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】架構式構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/24 20060101AFI20240208BHJP
   E04B 1/30 20060101ALI20240208BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
E04B1/24 P
E04B1/30 C
E04B1/58 503H
E04B1/58 503M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018185815
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020056175
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-09-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 日本建築学会大会学術講演梗概集(東北)2018年9月 第831頁~第840頁、一般社団法人日本建築学会 発行日 平成30年7月20日 2018年度日本建築学会大会(東北) 東北大学 川内北キャンパス(宮城県仙台市青葉区川内41) 開催日 平成30年9月4日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永雄 健一
(72)【発明者】
【氏名】森 貴久
(72)【発明者】
【氏名】平松 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡
(72)【発明者】
【氏名】田原 健一
(72)【発明者】
【氏名】桐山 尚大
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-229508(JP,A)
【文献】特開2004-300902(JP,A)
【文献】国際公開第2010/103801(WO,A1)
【文献】特開平09-228473(JP,A)
【文献】特開2008-002136(JP,A)
【文献】特開2000-291152(JP,A)
【文献】特開2016-069839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/24
E04B 1/30
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1柱と、
前記第1柱の隣りに配置される第2柱と、
前記第1柱と前記第2柱とを連結する連結材と、
を備え、
前記第1柱を長手方向に対して直交する平面で切った断面形状は、閉断面であり、
前記第2柱を長手方向に対して直交する平面で切った断面形状は、閉断面であり、
前記第1柱は、長手方向に複数配置され、
前記第2柱は、長手方向に複数配置され、
前記連結材は、前記第1柱の一方の端部に固定された第1ダイヤフラムと、前記第1ダイヤフラムが連結した前記第1柱の鉛直方向下側に配置された別の前記第1柱の他方の端部に固定された第2ダイヤフラムと、前記第1ダイヤフラムと前記第2ダイヤフラムの間に配置された第1中間柱と、前記第2柱の一方の端部に固定された第3ダイヤフラムと、前記第3ダイヤフラムが連結した前記第2柱の鉛直方向下側に配置された別の前記第2柱の他方の端部に固定された第4ダイヤフラムと、前記第3ダイヤフラムと前記第4ダイヤフラムの間に配置された第2中間柱と、前記第1中間柱と前記第2中間柱とを連結する連結梁と、を有し、
前記第1柱と前記第2柱との間の距離が、前記連結の梁せいより小さい
架構式構造。
【請求項2】
前記第1柱及び前記第2柱は、角形鋼管である
請求項1に記載の架構式構造。
【請求項3】
前記第1柱は、H形鋼である第1本体と、前記第1本体の一方のフランジから他方のフランジに亘って配置される第1補強部材と、を備え、
前記第2柱は、H形鋼である第2本体と、前記第2本体の一方のフランジから他方のフランジに亘って配置される第2補強部材と、を備える
請求項1に記載の架構式構造。
【請求項4】
前記第1柱の内部に充填され且つコンクリートを含む第1充填材と、
前記第2柱の内部に充填され且つコンクリートを含む第2充填材と、
を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の架構式構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架構式構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物において、剛性を高めるために、大きい柱が用いられることがある。しかしこの場合、柱のうち壁面から張り出す部分が大きくなるので、室内空間の利用に制約が生じる可能性がある。例えば、柱の壁面からの張り出しを抑制するための技術として特許文献1が挙げられる。特許文献1には、連結された一対のH形鋼を備える連結柱が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-69839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、H形鋼の弱軸周りの細長比は大きくなりやすいため、連結された2つの柱の軸耐力(座屈耐力)を向上させることが難しい。また、H形鋼の弱軸周りの断面二次モーメントは小さくなりやすいため、連結された2つの柱の曲げ耐力と曲げ剛性を向上させることが難しい。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、連結された2つの柱の軸耐力、曲げ耐力、及び曲げ剛性を向上させることができる架構式構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様の架構式構造は、第1柱と、前記第1柱の隣りに配置される第2柱と、前記第1柱と前記第2柱とを連結する連結材と、を備え、前記第1柱を長手方向に対して直交する平面で切った断面形状は、閉断面であり、前記第2柱を長手方向に対して直交する平面で切った断面形状は、閉断面である。
【0007】
上記の架構式構造の望ましい態様として、前記第1柱及び前記第2柱は、角形鋼管である。
【0008】
上記の架構式構造の望ましい態様として、前記第1柱は、H形鋼である第1本体と、前記第1本体の一方のフランジから他方のフランジに亘って配置される第1補強部材と、を備え、前記第2柱は、H形鋼である第2本体と、前記第2本体の一方のフランジから他方のフランジに亘って配置される第2補強部材と、を備える。
【0009】
上記の架構式構造の望ましい態様として、前記第1柱の内部に充填され且つコンクリートを含む第1充填材と、前記第2柱の内部に充填され且つコンクリートを含む第2充填材と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の架構式構造によれば、連結された2つの柱の軸耐力、曲げ耐力、及び曲げ剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態の架構式構造の正面図である。
図2図2は、図1におけるA-A断面図である。
図3図3は、第1変形例の架構式構造の断面図である。
図4図4は、第2変形例の架構式構造の正面図である。
図5図5は、第3変形例の架構式構造の正面図である。
図6図6は、図5におけるB-B断面図である。
図7図7は、図5におけるC-C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0013】
(実施形態)
図1は、実施形態の架構式構造の正面図である。図2は、図1におけるA-A断面図である。本実施形態の架構式構造100は、建築物の構造として用いられる。架構式構造100は、柱及び梁によって床等を支持する構造である。
【0014】
図1及び図2に示すように、架構式構造100は、第1柱10と、第2柱20と、梁40と、連結材30と、中間連結材60と、を備える。第1柱10及び第2柱20の長手方向は、鉛直方向と平行である。第1柱10及び第2柱20は、水平方向に並んで配置される。梁40は、第1柱10及び第2柱20が並ぶ方向に沿って延びる。架構式構造100は、連結された第1柱10及び第2柱20を備える複数の柱と、柱同士を連結する複数の梁40と、を備える構造である。
【0015】
以下の説明においては、XYZ直交座標軸が用いられる。X軸は、第1柱10及び第2柱20が並ぶ方向と平行な軸である。Z軸は、第1柱10及び第2柱20の長手方向と平行な軸である。Y軸は、X軸及びZ軸に対して直交する軸である。X軸と平行な方向は、X方向と記載される。Y軸と平行な方向は、Y方向と記載される。Z軸と平行な方向は、Z方向と記載される。X方向のうち、第1柱10から第2柱20に向かう方向を+X方向とする。+X方向を向いた場合の右方向を+Y方向とする。Z方向のうち上方向を+Z方向とする。
【0016】
図1に示すように、第1柱10は、Z方向に沿って延びる。第1柱10の長手方向は、Z方向と平行である。第1柱10は、中空の部材である。図2に示すように、第1柱10は、角形鋼管である。第1柱10を長手方向に対して直交する平面で切った断面(第1柱10の水平断面)の形状は、閉断面である。閉断面とは、部材の断面において肉厚の中心を通る線が環状である(端を有さない)形状である。第1柱10の水平断面の形状は、環状であり且つ略矩形である。
【0017】
図1に示すように、第2柱20は、Z方向に沿って延びる。第2柱20の長手方向は、Z方向と平行である。第2柱20は、中空の部材である。図2に示すように、第2柱20は、角形鋼管である。第2柱20を長手方向に対して直交する平面で切った断面(第2柱20の水平断面)の形状は、閉断面である。第2柱20の水平断面の形状は、環状であり且つ略矩形である。第2柱20は、X方向において第1柱10の隣りに配置される。第2柱20の側面は、第1柱10の側面と平行である。
【0018】
図1に示すように、梁40は、X方向に沿って延びる。梁40の長手方向は、X方向と平行である。梁40は、H形鋼である。梁40の鉛直断面は、H字状である。梁40は、フランジ41と、フランジ42と、ウェブ43と、を備える。フランジ41の厚さ方向(板厚方向)は、Z方向と平行である。厚さ方向は、板状部材において最も面積の大きい面に対する直交方向を意味し、以下の説明においても同様の意味で用いられる。フランジ42の厚さ方向は、Z方向と平行である。フランジ42は、フランジ41と平行である。ウェブ43の厚さ方向は、Y方向と平行である。ウェブ43は、フランジ41及びフランジ42に対して直交する。梁40は、連結材30と接合される。
【0019】
架構式構造100が適用される建築物において、壁は、第1柱10、第2柱20及び梁40によって形成される平面に沿うように設けられる。すなわち、建築物の壁は、XZ平面と平行である。建築物の壁の厚さ方向は、Y方向と平行である。
【0020】
図1に示すように、連結材30は、第1柱10と第2柱20とを連結する。連結材30は、ダイヤフラム31と、ダイヤフラム32と、ダイヤフラム33と、ダイヤフラム34と、中間柱35と、中間柱36と、連結梁50と、を備える。
【0021】
図1及び図2に示すように、ダイヤフラム31からダイヤフラム34は、平板状の部材である。ダイヤフラム31からダイヤフラム34の厚さ方向は、Z方向と平行である。ダイヤフラム31及びダイヤフラム32は、XY平面視で第1柱10の全体と重なる。ダイヤフラム31は、例えば溶接によって、第1柱10の一方の端面(-Z方向の端面)と接合される。ダイヤフラム32は、例えば溶接によって、第1柱10の他方の端面(+Z方向の端面)と接合される。ダイヤフラム33及びダイヤフラム34は、XY平面視で第2柱20の全体と重なる。ダイヤフラム33は、例えば溶接によって、第2柱20の一方の端面(-Z方向の端面)と接合される。ダイヤフラム34は、例えば溶接によって、第2柱20の他方の端面(+Z方向の端面)と接合される。
【0022】
図1に示すように、中間柱35は、ダイヤフラム31とダイヤフラム32とを連結する。中間柱35の水平断面における形状は、第1柱10の水平断面における形状と同じである。中間柱35は、例えば溶接によって、ダイヤフラム31及びダイヤフラム32と接合される。
【0023】
図1に示すように、中間柱36は、ダイヤフラム33とダイヤフラム34とを連結する。中間柱36の水平断面における形状は、第2柱20の水平断面における形状と同じである。中間柱36は、例えば溶接によって、ダイヤフラム33及びダイヤフラム34と接合される。
【0024】
図1に示すように、中間柱35及び中間柱36のZ方向の位置は、梁40のZ方向の位置と同じである。中間柱35及び中間柱36は、YZ平面視で梁40と重なる。梁40のウェブ43は、ガセットプレート45を介してボルト等の固定部材によって中間柱35又は中間柱36に取り付けられる。梁40のフランジ41は、例えば溶接によってダイヤフラム31又はダイヤフラム33と接合される。梁40のフランジ42は、例えば溶接によってダイヤフラム32又はダイヤフラム34と接合される。
【0025】
図1に示すように、連結梁50は、H形鋼である。連結梁50の鉛直断面は、H字状である。連結梁50は、フランジ51と、フランジ52と、ウェブ53と、を備える。フランジ51の厚さ方向は、Z方向と平行である。フランジ52の厚さ方向は、Z方向と平行である。フランジ52は、フランジ51と平行である。フランジ52は、XY平面視でフランジ51と重なる。ウェブ53の厚さ方向は、Y方向と平行である。ウェブ53は、フランジ51及びフランジ52に対して直交する。ウェブ53のY方向の位置は、梁40のウェブ43のY方向の位置と同じである。ウェブ53は、YZ平面視でウェブ43と重なる。
【0026】
連結梁50は、中間柱35と中間柱36との間に配置される。連結梁50のZ方向の位置は、梁40のZ方向の位置と同じである。連結梁50は、YZ平面視で梁40と重なる。連結梁50のX方向の長さは、梁40のX方向の長さよりも短い。フランジ51は、例えば溶接によって、ダイヤフラム31及びダイヤフラム33と接合される。フランジ52は、例えば溶接によって、ダイヤフラム32及びダイヤフラム34と接合される。ウェブ53は、例えば溶接によって、中間柱35及び中間柱36と接合される。
【0027】
図1に示すように、中間連結材60は、H形鋼である。中間連結材60の鉛直断面は、H字状である。中間連結材60は、フランジ61と、フランジ62と、ウェブ63と、を備える。フランジ61の厚さ方向は、Z方向と平行である。フランジ62の厚さ方向は、Z方向と平行である。フランジ62は、フランジ61と平行である。ウェブ63の厚さ方向は、Y方向と平行である。ウェブ63は、フランジ61及びフランジ62に対して直交する。
【0028】
図1に示すように、中間連結材60は、第1柱10と第2柱20との間に配置される。中間連結材60は、Z方向に並ぶ2つの連結材30の間に配置される。中間連結材60のZ方向の位置は、梁40のZ方向の位置とは異なる。中間連結材60は、梁40とは異なる高さで第1柱10と第2柱20とを連結する。中間連結材60は、例えば溶接によって、第1柱10及び第2柱20と接合される。
【0029】
上述したように、架構式構造100は、連結された第1柱10及び第2柱20を備える。架構式構造100は、大きな1本の柱を用いる場合と比較して、柱(第1柱10及び第2柱20)の壁面からの張り出しを抑制できる。このため、架構式構造100によれば、室内空間をより自由に利用することが可能である。
【0030】
架構式構造100においては、連結材30及び中間連結材60によって、第1柱10及び第2柱20のY軸周り(強軸周り)の曲げ剛性が向上する。架構式構造100は、地震によって建築物に水平力が作用した場合の第1柱10及び第2柱20の変形を抑制できる。架構式構造100は、層間変位(下階に対する上階の相対的な水平方向の変位)を低減できる。架構式構造100は、耐震性を向上させることができる。
【0031】
なお、第1柱10及び第2柱20を長手方向に対して直交する平面で切った断面(第1柱10及び第2柱20の水平断面)の形状は、閉断面であればよく、必ずしも環状且つ略矩形でなくてもよい。第1柱10及び第2柱20の水平断面の形状は、例えば円形等であってもよい。すなわち、第1柱10及び第2柱20は、丸鋼管等であってもよい。
【0032】
連結材30は、必ずしも上述した構造を有していなくてもよい。例えば、連結材30は、ダイヤフラム31からダイヤフラム34、中間柱35及び中間柱36を備えずに、第1柱10及び第2柱20と接合される連結梁50で構成されてもよい。この場合、第1柱10及び第2柱20は、連結材30で分断されない。すなわち、第1柱10及び第2柱20が、ダイヤフラムによって分断されずに、Z方向に連続する。
【0033】
以上で説明したように、本実施形態の架構式構造100は、第1柱10と、第2柱20と、連結材30と、を備える。第2柱20は、第1柱10の隣りに配置される。連結材30は、第1柱10と第2柱20とを連結する。第1柱10を長手方向に対して直交する平面で切った断面形状は、閉断面である。第2柱20を長手方向に対して直交する平面で切った断面形状は、閉断面である。
【0034】
これにより、第1柱10及び第2柱20が並ぶ方向と平行な軸周り(X軸周り)の第1柱10及び第2柱20の細長比が小さくなりやすい。このため、第1柱10及び第2柱20の軸耐力(座屈耐力)が向上する。また、第1柱10及び第2柱20が並ぶ方向と平行な軸周り(X軸周り)の第1柱10及び第2柱20の断面二次モーメントが大きくなりやすい。このため、第1柱10及び第2柱20の曲げ耐力と曲げ剛性が向上する。架構式構造100は、連結された2つの柱の軸耐力、曲げ耐力、及び曲げ剛性を向上させることができる。
【0035】
架構式構造100は、上述した構造を有することによって、地震によって建築物に荷重が作用した場合の第1柱10及び第2柱20の変形を抑制できる。架構式構造100は、層間変位(下階に対する上階の相対的な水平方向の変位)を低減できる。架構式構造100は、耐震性を向上させることができる。
【0036】
架構式構造100においては、第1柱10及び第2柱20は、角形鋼管である。
【0037】
これにより、架構式構造100は、連結された2つの柱の軸耐力、曲げ耐力、及び曲げ剛性をより向上させることができる。また、第1柱10及び第2柱20の外周面が平面状であることによって、第1柱10及び第2柱20を連結材30と接合する作業がより容易になる。すなわち、第1柱10及び第2柱20の外周面が平坦であるため、曲面状である場合と比較して、溶接等の作業が容易になる。
【0038】
(第1変形例)
図3は、第1変形例の架構式構造の断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0039】
図3に示すように、第1変形例の架構式構造100Aは、第1充填材18と、第2充填材19と、を備える。第1充填材18は、第1柱10の内部に充填される。第1充填材18は、コンクリートを含む。例えば、架構式構造100Aにおいては、第1充填材18は、コンクリートのみで構成される。第2充填材19は、第2柱20の内部に充填される。第2充填材19は、コンクリートを含む。例えば、架構式構造100Aにおいては、第2充填材19は、コンクリートのみで構成される。第1変形例における第1柱10及び第2柱20のように、鋼管の内部にコンクリートを充填した構造は、コンクリート充填鋼管構造(CFT(Concrete Filled Steel Tube))と呼ばれる。架構式構造100Aにおいては、ダイヤフラム31からダイヤフラム34のそれぞれが、コンクリートを通過させるための開口を備える。
【0040】
なお、第1充填材18及び第2充填材19は、必ずしもコンクリートのみで構成されなくてもよい。第1充填材18及び第2充填材19は、少なくともコンクリートを含んでいればよく、コンクリート以外の材料を含んでいてもよい。
【0041】
以上で説明したように、第1変形例の架構式構造100Aは、第1柱10の内部に充填され且つコンクリートを含む第1充填材18と、第2柱20の内部に充填され且つコンクリートを含む第2充填材19と、を備える。
【0042】
これにより、架構式構造100Aは、連結された2つの柱の軸耐力、曲げ耐力、及び曲げ剛性をより向上させることができる。
【0043】
(第2変形例)
図4は、第2変形例の架構式構造の正面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0044】
図4に示すように、第2変形例の架構式構造100Bは、中間連結材90を備える。中間連結材90は、第1柱10と第2柱20とを連結する。中間連結材90は、ダイヤフラム91と、ダイヤフラム92と、ダイヤフラム93と、ダイヤフラム94と、中間柱95と、中間柱96と、連結梁60Bと、を備える。
【0045】
図4に示すように、ダイヤフラム91からダイヤフラム94は、平板状の部材である。ダイヤフラム91からダイヤフラム94の厚さ方向は、Z方向と平行である。ダイヤフラム91及びダイヤフラム92は、XY平面視で第1柱10の全体と重なる。ダイヤフラム91は、例えば溶接によって、第1柱10の一方の端面(-Z方向の端面)と接合される。ダイヤフラム92は、例えば溶接によって、第1柱10の他方の端面(+Z方向の端面)と接合される。ダイヤフラム93及びダイヤフラム94は、XY平面視で第2柱20の全体と重なる。ダイヤフラム93は、例えば溶接によって、第2柱20の一方の端面(-Z方向の端面)と接合される。ダイヤフラム94は、例えば溶接によって、第2柱20の他方の端面(+Z方向の端面)と接合される。
【0046】
図4に示すように、中間柱95は、ダイヤフラム91とダイヤフラム92とを連結する。中間柱95の水平断面における形状は、第1柱10の水平断面における形状と同じである。中間柱95は、例えば溶接によって、ダイヤフラム91及びダイヤフラム92と接合される。
【0047】
図4に示すように、中間柱96は、ダイヤフラム93とダイヤフラム94とを連結する。中間柱96の水平断面における形状は、第2柱20の水平断面における形状と同じである。中間柱96は、例えば溶接によって、ダイヤフラム93及びダイヤフラム94と接合される。
【0048】
図4に示すように、連結梁60Bは、H形鋼である。連結梁60Bの鉛直断面は、H字状である。連結梁60Bは、フランジ61Bと、フランジ62Bと、ウェブ63Bと、を備える。フランジ61Bの厚さ方向は、Z方向と平行である。フランジ62Bの厚さ方向は、Z方向と平行である。フランジ62Bは、フランジ61Bと平行である。フランジ62Bは、XY平面視でフランジ61Bと重なる。ウェブ63Bの厚さ方向は、Y方向と平行である。ウェブ63Bは、フランジ61B及びフランジ62Bに対して直交する。
【0049】
連結梁60Bは、中間柱35と中間柱36との間に配置される。フランジ61Bは、例えば溶接によって、ダイヤフラム91及びダイヤフラム93と接合される。フランジ62Bは、例えば溶接によって、ダイヤフラム92及びダイヤフラム94と接合される。ウェブ63Bは、例えば溶接によって、中間柱95及び中間柱96と接合される。
【0050】
(第3変形例)
図5は、第3変形例の架構式構造の正面図である。図6は、図5におけるB-B断面図である。図7は、図5におけるC-C断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0051】
図5に示すように、第2変形例の架構式構造100Cは、第1柱70と、第2柱80と、リブ75と、リブ85と、を備える。
【0052】
図5に示すように、第1柱70は、Z方向に沿って延びる。第1柱70の長手方向は、Z方向と平行である。図6に示すように、第1柱70は、第1本体71と、第1補強部材72と、第1補強部材73と、を備える。第1本体71は、H形鋼である。第1本体71の水平断面は、H字状である。第1本体71は、フランジ711と、フランジ712と、ウェブ713と、を備える。フランジ711の厚さ方向は、X方向と平行である。フランジ712の厚さ方向は、X方向と平行である。フランジ712は、フランジ711と平行である。ウェブ713の厚さ方向は、Y方向と平行である。ウェブ713は、フランジ711及びフランジ712に対して直交する。
【0053】
第1補強部材72及び第1補強部材73は、平板状の部材である。第1補強部材72及び第1補強部材73の長手方向は、Z方向と平行である。第1補強部材72及び第1補強部材73の厚さ方向は、Y方向と平行である。第1補強部材72及び第1補強部材73は、ウェブ713と平行である。第1補強部材72及び第1補強部材73は、フランジ711とフランジ712とで形成される開口をY方向から塞ぐように、フランジ711からフランジ712に亘って配置される。第1補強部材72は、フランジ711の一端(+Y方向の端部)及びフランジ712の一端(+Y方向の端部)と接合される。第1補強部材73は、フランジ711の他端(-Y方向の端部)及びフランジ712の他端(-Y方向の端部)と接合される。第1補強部材72及び第1補強部材73は、例えば溶接によって、フランジ711及びフランジ712と接合される。
【0054】
図6に示すように、第1柱70は、中空の部材である。第1柱70を長手方向に対して直交する平面で切った断面(第1柱70の水平断面)の形状は、閉断面である。フランジ711、フランジ712、第1補強部材72及び第1補強部材73によって、環状であり且つ略矩形である形状が描かれる。
【0055】
図5に示すように、第2柱80は、Z方向に沿って延びる。第2柱80の長手方向は、Z方向と平行である。図6に示すように、第2柱80は、第2本体81と、第2補強部材82と、第2補強部材83と、を備える。第2本体81は、H形鋼である。第2本体81の水平断面は、H字状である。第2本体81は、X方向において第1本体71の隣りに配置される。第2柱80は、フランジ811と、フランジ812と、ウェブ813と、を備える。フランジ811の厚さ方向は、X方向と平行である。フランジ811は、第1本体71のフランジ712に面する。フランジ812の厚さ方向は、X方向と平行である。フランジ812は、フランジ811と平行である。ウェブ813の厚さ方向は、Y方向と平行である。ウェブ813は、フランジ811及びフランジ812に対して直交する。
【0056】
第2補強部材82及び第2補強部材83は、平板状の部材である。第2補強部材82及び第2補強部材83の長手方向は、Z方向と平行である。第2補強部材82及び第2補強部材83の厚さ方向は、Y方向と平行である。第2補強部材82及び第2補強部材83は、ウェブ813と平行である。第2補強部材82及び第2補強部材83は、フランジ811とフランジ812とで形成される開口をY方向から塞ぐように、フランジ811からフランジ812に亘って配置される。第2補強部材82は、フランジ811の一端(+Y方向の端部)及びフランジ812の一端(+Y方向の端部)と接合される。第2補強部材83は、フランジ811の他端(-Y方向の端部)及びフランジ812の他端(-Y方向の端部)と接合される。第2補強部材82及び第2補強部材83は、例えば溶接によって、フランジ811及びフランジ812と接合される。
【0057】
図6に示すように、第2柱80は、中空の部材である。第2柱80を長手方向に対して直交する平面で切った断面(第2柱80の水平断面)の形状は、閉断面である。フランジ811、フランジ812、第2補強部材82及び第2補強部材83によって、環状であり且つ略矩形である形状が描かれる。
【0058】
図5に示すように、リブ75は、平板状の部材である。リブ75の厚さ方向は、Z方向と平行である。リブ75は、フランジ711、フランジ712及びウェブ713のそれぞれに対して直交する。リブ75は、例えば溶接によって、フランジ711、フランジ712及びウェブ713と接合される。
【0059】
図5に示すように、複数のリブ75のうちの1つのZ方向の位置は、梁40のフランジ41のZ方向の位置と同じである。複数のリブ75のうちの1つのZ方向の位置は、梁40のフランジ42のZ方向の位置と同じである。複数のリブ75のうちの1つのZ方向の位置は、中間連結材60のフランジ61のZ方向の位置と同じである。複数のリブ75のうちの1つのZ方向の位置は、中間連結材60のフランジ62のZ方向の位置と同じである。すなわち、複数のリブ75のうちの1つは、YZ平面視で、フランジ41、フランジ42、フランジ61、及びフランジ62のいずれか1つと重なる。
【0060】
図5に示すように、リブ85は、平板状の部材である。リブ85の厚さ方向は、Z方向と平行である。リブ85は、フランジ811、フランジ812及びウェブ813のそれぞれに対して直交する。リブ85は、例えば溶接によって、フランジ811、フランジ812及びウェブ813と接合される。
【0061】
図5に示すように、複数のリブ85のうちの1つのZ方向の位置は、梁40のフランジ41のZ方向の位置と同じである。複数のリブ85のうちの1つのZ方向の位置は、梁40のフランジ42のZ方向の位置と同じである。複数のリブ85のうちの1つのZ方向の位置は、中間連結材60のフランジ61のZ方向の位置と同じである。複数のリブ85のうちの1つのZ方向の位置は、中間連結材60のフランジ62のZ方向の位置と同じである。すなわち、複数のリブ85のうちの1つは、YZ平面視で、フランジ41、フランジ42、フランジ61、及びフランジ62のいずれか1つと重なる。
【0062】
以上で説明したように、第3変形例の架構式構造100Cにおいて、第1柱70は、H形鋼である第1本体71と、第1本体71の一方のフランジ711から他方のフランジ712に亘って配置される第1補強部材72(第1補強部材73)と、を備える。第2柱80は、H形鋼である第2本体81と、第2本体81の一方のフランジ811から他方のフランジ812に亘って配置される第2補強部材82(第2補強部材83)と、を備える。
【0063】
これにより、第1柱70及び第2柱80が並ぶ方向と平行な軸周り(X軸周り)の第1柱70及び第2柱80の細長比が小さくなりやすい。このため、第1柱70及び第2柱80の軸耐力(座屈耐力)が向上する。また、第1柱70及び第2柱80が並ぶ方向と平行な軸周り(X軸周り)の第1柱70及び第2柱80の断面二次モーメントが大きくなりやすい。このため、第1柱70及び第2柱80の曲げ耐力と曲げ剛性が向上する。架構式構造100Cは、連結された2つの柱の軸耐力、曲げ耐力、及び曲げ剛性を向上させることができる。さらに、架構式構造100Cにおいては、第1柱70及び第2柱80は、Z方向で分断されずに連続する。
【符号の説明】
【0064】
10 第1柱
18 第1充填材
19 第2充填材
20 第2柱
30 連結材
31、32、33、34 ダイヤフラム
35、36 中間柱
40 梁
41、42 フランジ
43 ウェブ
45 ガセットプレート
50 連結梁
51、52 フランジ
53 ウェブ
60 中間連結材
61、62 フランジ
63 ウェブ
60B 連結梁
61B、62B フランジ
63B ウェブ
70 第1柱
75 リブ
80 第2柱
85 リブ
90 中間連結材
91、92、93、94 ダイヤフラム
95、96 中間柱
100、100A、100B、100C 架構式構造
711、712 フランジ
713 ウェブ
811、812 フランジ
813 ウェブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7