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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20240208BHJP
   E04H 6/22 20060101ALI20240208BHJP
   G01V 8/22 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/22 B
G01V8/22
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019142133
(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公開番号】P2021025247
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237835
【氏名又は名称】富士変速機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須田 浩史
(72)【発明者】
【氏名】長沼 大記
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-089291(JP,A)
【文献】特開2018-119296(JP,A)
【文献】特開平09-228674(JP,A)
【文献】特開2010-112027(JP,A)
【文献】特開2012-233366(JP,A)
【文献】特開2019-044364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが電気自動車から乗り降りするための乗降領域と、前記乗降領域と外部領域とを区切る開閉可能な出入口扉と、前記乗降領域から前記電気自動車を他の階層に昇降させるように昇降方向に延びる昇降空間と、前記昇降空間から前記電気自動車を横行させて収容すべく前記昇降空間に対して横行方向に隣接配置された1又は複数の駐車室と、駐車装置の動作を制御する制御部と、ユーザからの入庫指示が入力される制御盤と、を有し、前記駐車室で前記電気自動車を充電可能に収容する駐車装置であって、
前記乗降領域上には、前記電気自動車が収容される車両収容空間が設定され、前記車両収容空間に収容された前記電気自動車の車長方向がX方向、車幅方向がY方向、車高方向がZ方向と定義され、
前記乗降領域には、前記車両収容空間に収容された前記電気自動車の前後の少なくとも一方に設置された投光部を備える光学センサが設けられ、前記投光部は、前記車両収容空間のXZ平面及び/又はYZ平面上において、予め設定された充電口又は充電口蓋の位置を通過する所定の光路に沿って照射光を放射するように構成され、
前記光学センサが前記光路の遮断を検出したときに、前記制御部が前記車両収容空間のXZ平面及び/又はYZ平面からの前記電気自動車のはみ出しを特定するように構成され、
前記制御部は、
前記制御盤を介してユーザーから入庫指示を受領する工程と、
前記入庫指示の受信後、前記出入口扉を開放し、ユーザーが前記電気自動車を前記車両収容空間に停車した後、前記電気自動車の停車を確認する工程と、
前記電気自動車の停車を確認後、前記電気自動車の充電口への充電コネクタの接続をユーザーに要求する工程と、
ユーザーが前記充電コネクタを前記充電口に接続した後、ユーザーに前記制御盤の操作を要求する工程と、
前記ユーザーからの前記制御盤の操作を受領した後、前記出入口扉を開放した状態で、ユーザーによって前記車両収容空間に停車された前記充電コネクタを含む前記電気自動車に対して、前記光学センサによって、前記充電コネクタを含む前記電気自動車の前記車両収容空間からのはみ出しの有無を判断する工程と、
前記出入口扉を閉鎖処理する工程と、
前記電気自動車を駐車先の駐車室に搬送処理する工程と、を実行するように構成され、
前記電気自動車の前記車両収容空間からのはみ出しの有無を判断する工程において、
前記充電コネクタを含む前記電気自動車の前記車両収容空間からのはみ出しが検出された場合、前記入庫指示を中止してユーザーに対して警告を発行し、
前記充電コネクタを含む前記電気自動車の前記車両収容空間からのはみ出しが検出されない場合、前記出入口扉を閉鎖処理する工程に進むことを特徴とする駐車装置。
【請求項2】
ユーザーが電気自動車から乗り降りするための乗降領域と、前記乗降領域と外部領域とを区切る開閉可能な出入口扉と、前記乗降領域から前記電気自動車を他の階層に昇降させるように昇降方向に延びる昇降空間と、前記昇降空間から前記電気自動車を横行させて収容すべく前記昇降空間に対して横行方向に隣接配置された1又は複数の駐車室と、駐車装置の動作を制御する制御部と、ユーザからの入庫指示が入力される制御盤と、を有し、前記駐車室で前記電気自動車を充電可能に収容する駐車装置であって、
前記乗降領域上には、前記電気自動車が収容される車両収容空間が設定され、前記車両収容空間に収容された前記電気自動車の車長方向がX方向、車幅方向がY方向、車高方向がZ方向と定義され、
前記乗降領域には、前記車両収容空間に収容された前記電気自動車の前後の少なくとも一方に設置された投光部を備える光学センサが設けられ、前記投光部は、前記車両収容空間のXZ平面及び/又はYZ平面上において、予め設定された充電口又は充電口蓋の位置を通過する所定の光路に沿って照射光を放射するように構成され、
前記光学センサが前記光路の遮断を検出したときに、前記制御部が前記車両収容空間のXZ平面及び/又はYZ平面からの前記電気自動車のはみ出しを特定するように構成され、
前記制御部は、
前記制御盤を介してユーザーから入庫指示を受領する工程と、
前記入庫指示の受信後、前記出入口扉を開放し、ユーザーが前記電気自動車を前記車両収容空間に停車した後、前記電気自動車の停車を確認する工程と、
前記電気自動車の停車を確認後、前記電気自動車の充電口への充電コネクタの接続をユーザーに要求する工程と、
ユーザーが前記充電コネクタを前記充電口に接続した後、ユーザーに前記制御盤の操作を要求する工程と、
前記ユーザーからの前記制御盤の操作を受領した後、前記出入口扉を閉鎖処理する工程と、
前記出入口扉の閉鎖処理後、ユーザーによって前記車両収容空間に停車された前記充電コネクタを含む前記電気自動車に対して、前記光学センサによって、前記充電コネクタを含む前記電気自動車の前記車両収容空間からのはみ出しの有無を判断する工程と、
前記電気自動車を駐車先の駐車室に搬送処理する工程と、を実行するように構成され、
前記充電コネクタを含む前記電気自動車のはみ出しの有無を判断する工程において、
前記充電コネクタを含む前記電気自動車の前記車両収容空間からのはみ出しが検出された場合、前記出入口扉を開放処理し、前記入庫指示を中止してユーザーに対して警告し、
前記充電コネクタを含む前記電気自動車の前記車両収容空間からのはみ出しが検出されない場合、前記電気自動車を駐車先の駐車室に搬送する工程に進むことを特徴とする駐車装置。
【請求項3】
前記投光部は、前記車両収容空間のXZ平面上において、前記車両収容空間に停車した前記電気自動車の前輪側よりも後輪側の方が高くなるように照射光を放射することを特徴とする請求項1または2に記載の駐車装置。
【請求項4】
前記光学センサは、前記投光部と一体的にまたは隣接して配置された受光部、及び、前記車両収容空間に収容された前記電気自動車の前後方向他方の前記出入口扉の内面に前記投光部に対応するように設置された反射体をさらに備え、前記反射体は、前記出入口扉が閉鎖された状態で前記投光部からの照射光を前記受光部に向けて反射するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の駐車装置。
【請求項5】
前記ユーザーに前記制御盤の操作を要求する工程は、ユーザーに対して安全確認を要求する工程を含み、前記充電コネクタを含む前記電気自動車の前記車両収容空間からのはみ出しの有無を判断する工程において、前記充電コネクタを含む前記電気自動車の前記車両収容空間からのはみ出しが検出された場合、ユーザーに対して警告を発行するとともに前記入庫指示を中止した後、前記ユーザーに対して安全確認を要求する工程に戻ることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項6】
前記駐車装置は、さらに、
前記電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、前記昇降空間を昇降する昇降リフトと、
前記昇降リフトの櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成され、前記電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、対応する駐車室に格納されるとともに、前記駐車室と前記昇降空間との間を略水平に横行する横行トレイと、
前記1又は複数の駐車室のうちの少なくとも一部に収容された前記電気自動車に電力を供給するための給電装置と、
自立可能な形状を有する自立体、前記自立体に保持されたケーブル、前記ケーブルの先端に取着され、前記電気自動車の前記充電口に接続される前記充電コネクタ、及び、前記ケーブルに電気的に接続されているとともに、外部に露出し、前記給電装置の給電端子に電気的に接続可能である接続端子を備える給電中継器と、
前記昇降リフトに設置され、前記給電中継器を自立させた状態で前記昇降リフト上に保持する昇降リフト側保持体と、
前記横行トレイに設置され、前記給電中継器を自立させた状態で前記横行トレイ上に保持し、前記昇降リフト側保持体とすれ違う際に前記昇降リフト側保持体との間で相互に前記給電中継器を受け渡し可能に構成された横行トレイ側保持体と、を備え、
前記乗降領域には、前記給電中継器を自立させて設置するための設置領域が設けられ、前記給電中継器は、前記設置領域に設置された状態で前記光学センサに検出されないように位置することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項7】
ユーザーが電気自動車から乗り降りするための乗降領域と、前記乗降領域と外部領域とを区切る開閉可能な出入口扉と、前記乗降領域から前記電気自動車を他の階層に昇降させるように昇降方向に延びる昇降空間と、前記昇降空間から前記電気自動車を横行させて収容すべく前記昇降空間に対して横行方向に隣接配置された1又は複数の駐車室と、駐車装置の動作を制御する制御部とを有し、前記駐車室で前記電気自動車を充電可能に収容する駐車装置であって、
前記乗降領域上には、前記電気自動車が収容される車両収容空間が設定され、前記車両収容空間に収容された前記電気自動車の車長方向がX方向、車幅方向がY方向、車高方向がZ方向と定義され、
前記乗降領域には、前記車両収容空間に収容された前記電気自動車の前後の少なくとも一方に設置された投光部を備える光学センサが設けられ、前記投光部は、前記車両収容空間のXZ平面及び/又はYZ平面上において、予め設定された充電口又は充電口蓋の位置を通過する所定の光路に沿って照射光を放射するように構成され、
前記光学センサが前記光路の遮断を検出したときに、前記制御部が前記車両収容空間のXZ平面及び/又はYZ平面からの前記電気自動車のはみ出しを特定するように構成され、
前記駐車装置は、さらに、
前記電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、前記昇降空間を昇降する昇降リフトと、
前記昇降リフトの櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成され、前記電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、対応する駐車室に格納されるとともに、前記駐車室と前記昇降空間との間を略水平に横行する横行トレイと、
前記1又は複数の駐車室のうちの少なくとも一部に収容された前記電気自動車に電力を供給するための給電装置と、
自立可能な形状を有する自立体、前記自立体に保持されたケーブル、前記ケーブルの先端に取着され、前記電気自動車の充電口に接続される充電コネクタ、及び、前記ケーブルに電気的に接続されているとともに、外部に露出し、前記給電装置の給電端子に電気的に接続可能である接続端子を備える給電中継器と、
前記昇降リフトに設置され、前記給電中継器を自立させた状態で前記昇降リフト上に保持する昇降リフト側保持体と、
前記横行トレイに設置され、前記給電中継器を自立させた状態で前記横行トレイ上に保持し、前記昇降リフト側保持体とすれ違う際に前記昇降リフト側保持体との間で相互に前記給電中継器を受け渡し可能に構成された横行トレイ側保持体と、を備え、
前記乗降領域には、前記給電中継器を自立させて設置するための設置領域が設けられ、前記給電中継器は、前記設置領域に設置された状態で前記光学センサに検出されないように位置することを特徴とする駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車室に車両を充電可能に収容する駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車装置において、駐車室で電気自動車に充電用のプラグを配線して駐車中に電気自動車の充電をすることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1は、フォーク式の駐車装置を開示する。当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。特許文献1の駐車装置(1)は、昇降空間(E)を昇降する昇降リフト(2)と、昇降空間(E)に隣接して設けた駐車室(X)と、駐車室(X)に配置して昇降空間(E)を往復動する横行トレイ(3)と、入庫する電気自動車を充電するための充電装置と、を備え、昇降リフト(2)及び横行トレイ(3)のフォークが互いにすれ違うことで車両を受渡し可能にする。充電装置は、電気自動車の蓄電池にリード線(15)及びプラグ(16)を介して電気的に接続される受電器(17)と、受電器(17)に給電するための駐車室(X)に設置された給電器(21)と、を備える。乗込台(13)に停車した電気自動車に対して、ユーザーによって昇降リフト(2)上の電気自動車のタイヤ停止位置(14)でリード線(15)及びプラグ(16)を介して受電器(17)が取り付けられる。そして、電気自動車を駐車室(X)に収容するために、電気自動車とともに受電器(17)が昇降リフト(2)から横行トレイ(3)に移載される。次に、電気自動車を載せた横行トレイ(3)が横行して駐車室(X)に電気自動車が入庫するときに、受電器(17)が駐車室(X)に設置された給電器(21)に接近して、受電器(17)と給電器(21)とが接触することによって、充電装置が電気自動車を充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-69181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来の駐車装置では、ユーザーが電気自動車を停車させ、駐車室の給電器の位置に合わせて受電器を電気自動車に取り付けた上で、電気自動車の後輪付近の充電口にプラグを差し込むことによって、電気自動車を充電する。このとき、充電口を開放する充電口蓋や、充電口に接続されたプラグが電気自動車の側方に突出する。そして、電気自動車を駐車室に搬送する際、突出した充電口蓋やプラグが装置の一部に当たって、事故や故障を引き起こす虞があった。すなわち、従来の駐車装置において、プラグを装着した電気自動車を乗降領域から駐車室へと安全且つ確実に移載することが求められている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、より安全且つ確実に電気自動車を充電可能な状態で駐車室に格納することが可能である駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態の駐車装置は、ユーザーが電気自動車から乗り降りするための乗降領域と、前記乗降領域と外部領域とを区切る開閉可能な出入口扉と、前記乗降領域から電気自動車を他の階層に昇降させるように昇降方向に延びる昇降空間と、前記昇降空間から電気自動車を横行させて収容すべく前記昇降空間に対して横行方向に隣接配置された1又は複数の駐車室と、駐車装置の動作を制御する制御部とを有し、前記駐車室で電気自動車を充電可能に収容する駐車装置であって、
前記乗降領域上には、電気自動車が収容される車両収容空間が設定され、前記車両収容空間に収容された電気自動車の車長方向がX方向、車幅方向がY方向、車高方向がZ方向と定義され、
前記乗降領域には、前記車両収容空間に収容された電気自動車の前後の少なくとも一方に設置された投光部を備える光学センサが設けられ、前記投光部は、前記車両収容空間のXZ平面及び/又はYZ平面上において、予め設定された充電口又は充電口蓋の位置を通過する所定の光路に沿って照射光を放射するように構成され、
前記光学センサが前記光路の遮断を検出したときに、前記制御部が前記車両収容空間のXZ平面及び/又はYZ平面からの電気自動車のはみ出しを特定することを特徴とする。
【0008】
本発明の駐車装置は、車両収容空間のXZ平面及び/又はYZ平面上において、予め設定された充電口又は充電口蓋の位置を通過する所定の光路の遮断を光学センサが検出したときに、電気自動車のはみ出しを特定することにより、充電口蓋又は充電口に接続されたプラグが車両収容空間から突出していることを検知することができる。すなわち、電気自動車にプラグを接続した状態で、充電口蓋又はプラグの突出端が車両収容空間のXZ平面及び/又はYZ平面を越えているか否かを光学センサによって確実に特定することができる。そして、この情報を活用することにより、充電口における突出に起因する事故や故障を未然に防止し、プラグを装着した電気自動車を乗降領域から駐車室へと安全且つ確実に移載することが可能となる。
【0009】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、前記投光部は、前記車両収容空間のXZ平面上において、前記車両収容空間に停車した電気自動車の前輪側よりも後輪側の方が高くなるように照射光を放射することを特徴とする。一般的な車両は前輪側の充電口の位置よりも後輪側の方が高いことから、光路を傾斜させることにより、充電口が前輪側又は後輪側に配置された、いずれの車種にも対応することができる。
【0010】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、
前記制御部は、
ユーザーから入庫指示を受領する工程と、
前記入庫指示の受信後、前記出入口扉を開放した状態で、ユーザによって前記車両収容空間に停車された電気自動車に対して、前記光学センサによって前記車両収容空間からの電気自動車のはみ出しの有無を判断する工程と、
前記出入口扉を閉鎖処理する工程と、
電気自動車を駐車先の駐車室に搬送処理する工程と、を実行するように構成され、
前記電気自動車のはみ出しの有無を判断する工程において、
前記車両収容空間からの電気自動車のはみ出しが検出された場合、前記入庫指示を中止してユーザに対して警告を発行し、
前記車両収容空間からの電気自動車のはみ出しが検出されない場合、前記出入口扉を閉鎖処理する工程に進むことを特徴とする。
本形態によれば、ユーザーが電気自動車を所定の車両収容空間に停車し、出入口扉を閉鎖する前の段階で、電気自動車のはみ出しの有無が判断される。そして、車両収容空間からの電気自動車のはみ出しが検出された場合、ユーザーに対して警告を発行するとともに入庫指示を中止する。すなわち、電気自動車の搬送処理する前にいち早く異常を検出し、ユーザーに対して警告を発行し、ユーザーに修正する機会を与えることができる。これにより、異常が検出された状態の修正を迅速化し、結果として、迅速な駐車処理につながる。さらに、搬送動作前に異常が検出されることから、ユーザーの立ち去りを防止し、車両の乗降領域への置き去りを予防することができる。
【0011】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、前記光学センサは、前記投光部と一体的にまたは隣接して配置された受光部、及び、前記車両収容空間に収容された電気自動車の前後方向他方の前記出入口扉の内面に前記投光部に対応するように設置された反射体をさらに備え、前記反射体は、前記出入口扉が閉鎖された状態で前記投光部からの照射光を前記受光部に向けて反射するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、
前記制御部は、
ユーザーから入庫指示を受領する工程と、
前記入庫指示の受信後、前記出入口扉を閉鎖処理する工程と、
前記出入口扉の閉鎖処理後、ユーザによって前記車両収容空間に停車された電気自動車に対して、前記光学センサによって前記車両収容空間からの電気自動車のはみ出しの有無を判断する工程と、
電気自動車を駐車先の駐車室に搬送処理する工程と、を実行するように構成され、
前記電気自動車のはみ出しの有無を判断する工程において、
前記車両収容空間からの電気自動車のはみ出しが検出された場合、前記出入口扉を開放処理し、前記入庫指示を中止してユーザに対して警告し、
前記車両収容空間からの電気自動車のはみ出しが検出されない場合、電気自動車を駐車先の駐車室に搬送する工程に進むことを特徴とする。
本形態によれば、ユーザーが電気自動車を所定の車両収容空間に停車し、出入口扉を閉鎖した直後、電気自動車のはみ出しの有無が判断される。そして、車両収容空間からの電気自動車のはみ出しが検出された場合、出入口扉の開放処理とともにユーザーに対して警告を発行して入庫指示を中止する。すなわち、電気自動車を搬送処理する前にいち早く異常を検出し、ユーザーに対して警告を発行し、ユーザーに修正する機会を与えることができる。そして、異常を検出したときに出入口扉の開放処理を行うことにより、ユーザーに分かり易い形で異常の修正(例えば、電気自動車の再駐車など)を促すことができる。これにより、異常が検出された状態の修正を迅速化し、結果として、迅速な駐車処理につながる。さらに、搬送動作前に異常が検出されることから、ユーザーの立ち去りを防止し、車両の乗降領域への置き去りを予防することができる。
【0013】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、
前記制御部は、前記ユーザーから操作盤を介して入庫指示を受信する工程の後であって、前記車両収容空間からの電気自動車のはみ出しの有無を判断する工程の前において、ユーザーに対して安全確認を要求する工程をさらに含み、前記電気自動車のはみ出しの有無を判断する工程において、前記車両収容空間からの電気自動車のはみ出しが検出された場合、ユーザーに対して警告を発行するとともに前記入庫指示を中止した後、前記ユーザーに対して安全確認を要求する工程に戻ることを特徴とする。
本形態によれば、制御部が異常の検出によって入庫指示を中止した後、ユーザーが異常を修正(例えば、電気自動車の再駐車など)した後に再び安全確認をすることが必須となるので、高い安全性を確保することができる。
【0014】
本発明のさらなる形態の駐車装置は、上記形態の駐車装置において、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、前記昇降空間を昇降する昇降リフトと、
前記昇降リフトの櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成され、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、対応する駐車室に格納されるとともに、前記駐車室と前記昇降空間との間を略水平に横行する横行トレイと、
前記1又は複数の駐車室のうちの少なくとも一部に収容された電気自動車に電力を供給するための給電装置と、
自立可能な形状を有する自立体、前記自立体に保持されたケーブル、前記ケーブルの先端に取着され、電気自動車の充電口に接続される充電用コネクタ、及び、前記ケーブルに電気的に接続されているとともに、外部に露出し、前記給電装置の給電端子に電気的に接続可能である接続端子を備える給電中継器と、
前記昇降リフトに設置され、前記給電中継器を自立させた状態で前記昇降リフト上に保持する昇降リフト側保持体と、
前記横行トレイに設置され、前記給電中継器を自立させた状態で前記横行トレイ上に保持し、前記昇降リフト側保持体とすれ違う際に前記昇降リフト側保持体との間で相互に前記給電中継器を受け渡し可能に構成された横行トレイ側保持体と、を備え、
前記乗降領域には、前記給電中継器を自立させて設置するための設置領域が設けられ、前記給電中継器は、前記設置領域に設置された状態で前記光学センサに検出されないように位置することを特徴とする。
本形態によれば、電気自動車と給電装置とを電気的に接続するために、自立可能な給電中継器を用いたことを特徴とする。ユーザーは、給電中継器を所定の設置領域に載置するだけで、結果的に電気自動車と給電装置とを電気的に接続することが可能であり、これにより、従来のように、ケーブルを接続するための駐車装置側のコンセントを探す手間をもなくすことができ、駐車装置のよりユーザーフレンドリーな設計が可能となる。さらに、給電中継器は、光学センサに検出されない位置に配置されるので、充電口における電気自動車のはみ出しの検出を妨げることはない。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、より安全且つ確実に電気自動車を充電状態で駐車室に格納することが可能である駐車装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の駐車装置(フォーク式立体駐車場)の機械的構造を示す斜視図。
図2図1の駐車装置を外部正面から見た模式図。
図3図1の駐車装置の内部構造を正面から見た模式図。
図4図1の駐車装置の乗降領域の平面図。
図5図4の乗降領域の光学センサの投光部の部分拡大図。
図6図4の乗降領域の前壁部の(a)正面図、及び、(b)部分拡大図。
図7図4の乗降領域から見た出入口扉を示す図。
図8図4の乗降領域の側面図。
図9】本発明の一実施形態の駐車装置の回転床を示す(a)全体模式図、及び(b)部分拡大図。
図10】本発明の一実施形態の駐車装置の昇降リフトを示す(a)全体模式図、及び(b)部分拡大図。
図11】本発明の一実施形態の駐車装置の横行トレイ及び駐車室を示す(a)全体模式図、及び(b)部分拡大図。
図12図11の駐車室の給電装置の部分拡大図であって、(a)横行トレイの受電端子と給電端子とが接触した状態を示し、(b)横行トレイの受電端子と給電端子とが切り離された状態を示す。
図13】本発明の一実施形態の駐車装置の給電ボックスの(a)正面図、(b)背面図及び(c)底面図。
図14図13の給電ボックスの内部構造を示す図。
図15図14の給電ボックスにおいて、ケーブルを引き出した状態の内部構造を示す(a)正面図、及び、(b)平面図。
図16】本実施形態の駐車装置において、電気自動車の入庫方法を示すフローチャート。
図17】本発明の一実施形態の駐車装置において、電気自動車を回転床に配置した状態を示す模式図。
図18図17の電気自動車の充電口付近の部分拡大図。
図19図17の電気自動車の充電口付近の部分拡大図であって、光学センサが充電口蓋のはみ出しを検出することを示す模式図。
図20図17の給電ボックス付近の部分拡大模式図。
図21】本発明の一実施形態の駐車装置において、給電ボックスを保持体間で受け渡す形態を示す模式図。
図22】本発明の別実施形態の駐車装置において、電気自動車の入庫方法を示すフローチャート。
図23】本発明の別実施形態の駐車装置の乗降領域の平面図。
図24】本発明の別実施形態の駐車装置において、充電口を前部に有する電気自動車を回転床に配置した状態の電気自動車の充電口付近の部分拡大図であって、(a)光学センサが充電口蓋のはみ出しを検出しない形態、及び、(b)光学センサが充電口蓋のはみ出しを検出する形態を示す。
図25】本発明の別実施形態の駐車装置において、充電口を後部に有する電気自動車を回転床に配置した状態の電気自動車の充電口付近の部分拡大図であって、(a)光学センサが充電口蓋のはみ出しを検出しない形態、及び、(b)光学センサが充電口蓋のはみ出しを検出する形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態の駐車装置100のフォーク式駐車場の概略を示す斜視図である。図2は該駐車装置100を外部正面から見た模式図である。図3は、該駐車装置100の内部構造を正面から見た模式図である。図4は、該駐車装置100の乗降領域の概略平面図である。
【0019】
本実施形態の駐車装置100は、複数の階層に車両を駐車可能であるフォーク(櫛歯)式の機械式立体駐車場である。当該駐車装置100の動作は、制御部(図示せず)によって制御される。制御部は、記憶部を有し、各種情報を記憶又は登録可能である。駐車装置100は、図1乃至図4に示すとおり、ユーザーが車両から乗り降りするための乗降領域101と、乗降領域101から電気自動車を他の階層に昇降させるように昇降方向に延びる昇降空間102と、昇降空間102から電気自動車を横行させて収容すべく昇降空間102に対して横行方向に隣接配置された複数の駐車室103と、乗降領域101の下方に凹設された昇降リフト120の収容部104とを有する。そして、本実施形態の駐車装置100は、電気自動車に対して駐車室103で充電すべく、複数の駐車室103のうちの少なくとも一部に収容された電気自動車に電力を供給するための給電装置140と、自立可能な形状を有し、給電装置140及び電気自動車を電気的に接続し、電気自動車に給電を行うことを可能とする給電ボックス150とを備える。すなわち、駐車装置100は、給電中継器としての給電ボックス150を介して電気自動車に給電を行うことを特徴とする。なお、駐車装置100は、車両一般を駐車するように動作するが、車両が電気自動車である場合に限って電気自動車を駐車時に充電するように作動する。よって、ここでいう「車両」は、電気自動車を含む車両一般を示す概念である。
【0020】
乗降領域101は、車両から乗り降りするように駐車装置100の屋内に配置されている。乗降領域101の外部には、車路に隣接した外部領域が配置されている。外部領域は、出入口扉106を介して乗降領域101に連通する領域である。乗降領域101は、車両が車路から乗り入れ又は車路に出庫可能であるように、車路と同じレベルの階層に配置されている。また、乗降領域101及び外部領域は、出入口扉106によって仕切られている。図2に示すように、駐車装置100の外壁には、出入口扉106の隣接して操作盤107が設けられている。ユーザーは、入庫のために車両を外部領域に一旦車両を停車させて、操作盤107に必要な情報を入力することにより、出入口扉106を開閉し、車両を入庫処理することができる。あるいは、ユーザーは、出庫のために操作盤107に必要な情報を入力することにより、出入口扉106を開閉し、車両を出庫処理し、乗降領域101から外部領域へと車両を出庫させることができる。
【0021】
ユーザーは、開放された出入口扉106から車両を前進させて乗降領域101に進入する。乗降領域101には、既定の駐車位置において、車両の前部に対面する前壁部108が設けられている。図6は、前壁部108を(出入口扉106側から見た)正面視を示している。図6に示すように、前壁部108の中央下側には、ミラー108aが配置されている。ユーザーは、入庫する際、ミラー108aを確認しつつ、車両を所定位置に駐車することができる。また、図4及び図5に示すように、車両収容空間の前後には、車両の車両収容空間からの前後のはみ出しを検知する前端検知用センサ117及び後端検知用センサ118が設けられている。
【0022】
さらに、図4に示すように、乗降領域101には、光学センサ109が配置されている。図5乃至図8を参照して、光学センサ109の構成を説明する。ここで、乗降領域101において、駐車車両の車長方向をX方向、車幅方向をY方向、車高方向をZ方向と定義する。そして、乗降領域101上には、電気自動車が安全に駐車室まで入庫動作されるように電気自動車が収容される車両収容空間が予め設定される。この車両収容空間(特にXZ平面)から車両の一部がはみ出すと、車両の搬送時に駐車装置100の構造の一部に干渉し、重大な事故や故障が発生する可能性がある。すなわち、車両収容空間は、電気自動車が安全に駐車室まで入庫動作されるように、その寸法が設定されたものである。
【0023】
そして、本実施形態の光学センサ109は、充電時の電気自動車の充電口蓋や充電プラグの(車両収容空間の境界面又は外側面を形成する)XZ平面からのはみ出しを検出するように構成されている。2つの光学センサ109が、車両収容空間の車幅方向(Y方向)の左右両側に配置されている。本実施形態では、光学センサ109は、投光部109a、受光部109b及び反射体109cによって構成される一般的な回帰反射型光電センサである。
【0024】
より具体的には、光学センサ109の投光部109aは、乗降領域101の前壁部108の前面側に設置されている。特には、前壁部108の両側のガイドレールに内側に向けて固定されている。投光部109aは、例えば赤外線光などのレーザー光を前部側から後部側に向けて直線的に放射するように構成されている。図6(a)に示すように、投光部109aは、前壁部109のミラー108aのY方向両側2箇所に第1の高さ(Z座標)で位置している。本実施形態では、図6(b)に示すように、投光部109は、Z方向に等間隔で併設された3つの放射ユニットからなる。換言すると、投光部109aは、Z方向に所定間隔で並ぶ3本の光線を放射する。これら3本の光線が、投光部109aからの照射光(又は光路L)を構成する。また、受光部109bは、投光部109aに対して一体的に又は隣接して配置されている。つまり、投光部109a及び受光部109bが協働的に投受光部を形成している。図示しないが、投光部109a及び受光部109bを保護する透明なカバー体が設けられてもよい。
【0025】
反射体109cは、前壁部108の投受光部(投光部109a及び受光部109b)に対向するように、車両収容空間の後部側の出入口扉106の内面に形成されている。反射体109cは、投光部109a、受光部109bに対してY方向において同じ位置に配置されている。また、反射体109cは、Z方向において、第1の高さよりも高い第2の高さ(Z座標)に位置するように、投受光部(投光部109a及び受光部109b)に対向配置されている。すなわち、反射体109cは、投光部109aから照射された照射光を入射し、受光部109bに向けて反射するように構成されている。反射体109cは、出入口扉106内面に形成されていることから、出入口扉106の閉鎖時のみに投受光部に対応する位置に配置される。なお、車両収容空間のY方向の幅は、出入口扉106の幅よりも小さいことから、構造の簡易化を図って、反射体109cが出入口扉106内面に形成された。
【0026】
光学センサ109は、車両収容空間のXZ平面上において、予め設定された充電口又は充電口蓋の位置を通過する所定の光路Lを形成し、投光部109aが当該光路Lに沿って照射光を放射する。つまり、光路Lは、車両収容空間のY方向(車幅方向)の境界面をXZ平面に沿って延伸し、充電口又は充電口蓋が位置するX-Z座標を通過するように定められる。また、光路Lは、Z方向に所定の幅を有する。そして、光路Lに物体が存在すると、投光部109aからの照射光が遮られ、受光部109bに反射光が入射しなくなる。当該受光部109bの信号の変化により、光学センサ109は、光路L上の物体の存在を検出することができる。後述するとおり、光学センサ109が光路Lの遮断を検出したときに、制御部によって、車両収容空間のXZ平面からの電気自動車のはみ出しが特定される。なお、本実施形態では、図8に示すように、投光部109aが、車両収容空間に停車した電気自動車の前輪側よりも後輪側の方が高くなるように照射光を放射する。一般的に、電気自動車において、前輪側の充電口よりも後輪側の充電口の方が高い位置にある電気自動車が多いことから、光路Lが後方斜め上側に傾斜するように構成されている。これにより、前輪側に充電口を有する電気自動車においても、光路LがXZ平面における充電口又は充電口蓋の位置を通過することが可能となる。なお、光学センサを可動制御可能とし、制御部が、ユーザーから受信した車種情報に基づいて光路の角度を調整し、車種ごとに充電口の位置を通過するように光学センサ(光路の高さ)を制御してもよい。
【0027】
昇降空間102は、昇降リフト120が昇降するための空間であり、全階層に亘って延びている。昇降空間102の高さは、所望の駐車室103の数、すなわち、駐車塔の階層数によって設定される。当該昇降空間102において、昇降リフト120の櫛歯と、横行トレイ130の櫛歯とがすれ違うことにより、昇降リフト120及び横行トレイ130間の車両の受け渡しが行われる。
【0028】
各駐車室103は、乗降領域101と異なる各階層で昇降空間102の横行方向の両側に対となるように配置されている。各駐車室103は、1台の車両を駐車可能であり、且つ、充電可能な空間である。各駐車室103には、車両が載置される横行トレイ130が配置される。後述するように、駐車室103には、車両が電気自動車である場合に、電気自動車を充電することが可能な給電装置140及び/又は給電端子141が設置されている。なお、図示の140は、電源中継ボックスであり、給電装置の一部を構成する。
【0029】
収容部104は、乗降領域101の回転床110の下方で昇降リフト120を収容するために設けられた空間である。すなわち、収容部104は、乗降領域101に凹設された空間である。駐車装置100の動作において、回転床110の回転に干渉しないように、昇降リフト120が待避位置として収容部104に収容される。センサ又はリミットスイッチなどにより、昇降リフト120が収容部104に収容されたことが検知され得る。
【0030】
図3に示すように、駐車装置100は、車両の搬送機構として、乗降領域101に設置された回転床110と、昇降空間102を昇降する昇降リフト120と、対応する駐車室103に格納されるとともに、駐車室103と昇降空間102との間を略水平に横行レールに沿って横行する横行トレイ130とを備える。回転床110は、車両を載置可能な櫛歯状フレームを有し、車両の方向を所定の角度に変更可能に構成されている。一例として、回転床110は、中央フレームから左右外方に櫛歯が延びる櫛歯形状を有している。本実施形態では、回転床110は、車両の前部又は後部のいずれかを出入口扉106に向けるように180度回転するように設定されている。昇降リフト120は、車両を載置可能な櫛歯状フレームを有し、該フレームは回転床110の未回転位置及び回転済位置の両方で回転床110の櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成されている。一例として、昇降リフト120は、左右一対に分割されたフレームからなり、外側フレームから内側へ櫛歯が延びている。本実施形態では、図4に示すように、昇降リフト120は、当初形態において、乗降領域101の回転床110と同じ高さに配置され、回転床110が回転駆動する場合に限り、回転床110との干渉を避けるべく収容部104に待避する。横行トレイ130は、電気自動車を載置可能な櫛歯状フレームを有し、該フレームは昇降リフト120の櫛歯状フレームに対して昇降方向にすれ違い可能に形成されている。一例として、横行トレイ130は、中央フレームから左右外方に櫛歯が延びる櫛歯形状を有する。横行トレイ130は、各駐車室103にそれぞれ格納されている。横行トレイ130は、駐車室103から昇降空間102に横行レールに沿って駆動されるが、該横行レールにリミットスイッチ(図示せず)を設けることにより、その位置をより正確に制御することができる。なお、搬送機構は、制御部の指令に基づいて、モータや滑車などの一般的な駆動機構によって駆動するが、ここでは駆動機構の説明を省略する。
【0031】
車両を所定の駐車室103に入庫する場合、車両で乗降領域101に乗り込み、回転床110上に車両が載置された状態で、回転の必要に応じて、昇降リフト120が収容部104に待避する(あるいは、昇降リフト120が予め収容部104に配置されてもよい)とともに回転床110が回転する。そして、昇降リフト120が上昇すると、回転床110及び昇降リフト120の櫛歯状フレーム同士が互いにすれ違い、車両が回転床110から昇降リフト120へと移載される。車両を搭載した積載状態の昇降リフト120が所定の駐車室103の床面よりも上方に引き上げられ、横行トレイ130が昇降空間102内に横行して昇降リフト120の下方に配置される。そして、昇降リフト120が下降し、昇降リフト120及び横行トレイ130の櫛歯状フレーム同士が互いにすれ違うことにより、昇降リフト120から横行トレイ130へと車両が移載される。移載後、車両を搭載した横行トレイ130が横行レールに沿って駐車室103に横行することにより、車両が駐車室103に収容される。
【0032】
他方、指定された車両を所定の駐車室103から出庫する場合、車両を搭載した横行トレイ130が駐車室103から昇降空間102に横行するとともに、空車状態の昇降リフト120が乗降領域101又は収容部104から上昇する。そして、昇降リフト120及び横行トレイ130の櫛歯状フレーム同士がすれ違うように昇降リフト120が上昇して横行トレイ130の上方で停止し、横行トレイ130から昇降リフト120に車両が移載される。次に、空の横行トレイ130が横行して元の駐車室103に収容される。続いて、積載状態の昇降リフト120が地上階まで下降して、車両が乗降領域101に配置され、昇降リフト120及び回転床110の櫛歯状フレーム同士が互いに重なって、車両が昇降リフト120から回転床110に載置される。必要に応じて、回転床110が回転して車両が出庫可能な状態となる。なお、回転床110の回転が必要である場合、昇降リフト120が収容部104まで下降して回転床110に移載された上で、回転床110が回転する。
【0033】
図9を参照して、本実施形態の駐車装置100の回転床110について説明する。図9に示すように、回転床110は、第1位置から第2位置へと相互に回転して、搭載した車両の向きを変更可能に乗降領域101に設置されている。また、回転床110は、車両のタイヤを櫛歯上に載置した状態で回転可能な櫛歯状フレームとして構成されている。回転床110の初期位置において、一対の櫛歯の列の長手方向が出入口扉106を向いている。回転床110は、駐車時の車両の向きに合わせて180度回転するように制御される。つまり、回転床110は、第1位置(未回転位置)から第2位置(回転済位置)へと相互に回転して車両の方向を所定の角度に変更するものである。本実施形態では、回転床110が、第1位置及び第2位置にあるときに回転床110の櫛歯の列と昇降リフト120の櫛歯の列の向きが一致し、昇降リフト120が回転床110を通過可能となる。他方、回転床110の櫛歯の列と昇降リフト120の櫛歯の列とが交差すると、昇降リフト120が回転床110を通過することができない。回転床110の回転は、センサ又はリミットスイッチなどによって検知される。
【0034】
また、回転床110の横行方向両側の側縁部の前後2箇所(前後左右4隅)には、給電ボックス150(図13等参照)を自立させた状態で回転床110上に保持するための回転床側保持体111が設置されている。図9(b)に示すように、回転床側保持体111は、給電ボックス150の底面を支持する回転床側支持片112と、給電ボックス150の一対のピン156,156の一方を内挿する回転床側受け孔113とを備える。回転床側支持片112は、横行方向の一端側の床材の端縁から他端側へと延在する長手片であり、給電ボックス150のピン156,156間の底壁を支持可能な長さで延在している。他方、回転床側受け孔113は横行方向の一端側の床部材に穿設されている。回転床側受け孔113から回転床側支持片112先端までの距離は、ピン156,156間の距離よりも短い。
【0035】
図10を参照して、本実施形態の駐車装置100の昇降リフト120について説明する。昇降リフト120は、車両のタイヤを櫛歯上に載置した状態で昇降可能な櫛歯状フレームとして構成されている。昇降リフト120の横行方向両側の側縁部の前後2箇所(前後左右4隅)には、給電ボックス150(図13等参照)を自立させた状態で昇降リフト120上に保持するための昇降リフト側保持体121が設置されている。図10(b)に示すように、昇降リフト側保持体121は、給電ボックス150の底面を支持する昇降リフト側支持片122と、給電ボックス150の一対のピン156,156の他方を内挿する昇降リフト側受け孔123とを備える。昇降リフト側支持片122は、横行方向の他端側の床材の端縁から一端側へと延在するコ字片であり、給電ボックス150のピン156,156間の底壁を支持可能な長さで延在している。また、昇降リフト側支持片122は、回転床側支持片112と昇降方向にすれ違い可能な相補的形状を有している。他方、回転床側受け孔123は横行方向の他端側の床部材に穿設されている。昇降リフト側受け孔123から昇降リフト側支持片122先端までの距離は、ピン156,156間の距離よりも短い。
【0036】
図11を参照して、本実施形態の駐車装置100の横行トレイ130及び駐車室103について説明する。図11に示すように、駐車装置100は、複数の駐車室103のうちの一部又は全部に対して給電するための給電装置140を備える。給電装置140の給電端子141は、各駐車室103の昇降空間102と反対側の側端部(側壁の壁面又は側壁近傍の床など)103aに設置されている。給電端子141は、収容する車両の前後位置に対応するように、側端部103aの前後2箇所に設置されている。
【0037】
横行トレイ130は、車両のタイヤを櫛歯上に載置した状態で横行可能な櫛歯状フレームとして構成されている。横行トレイ130は、駐車室103に格納され、電気自動車を給電端子141から充電可能な状態で駐車室103に載置する。横行トレイ130の側端部103a側の側縁部の前後2箇所には、給電ボックス150(図13等参照)を自立させた状態で横行トレイ130上に保持するための横行トレイ側保持体131が設置されている。図11(b)に示すように、横行トレイ側保持体131は、給電ボックス150の底面を支持する横行トレイ側支持片132と、給電ボックス150の一対のピン156,156の一方を内挿する横行トレイ側受け孔133とを備える。横行トレイ側支持片132は、横行方向の一端側の床材の端縁から他端側へと延在する長手片であり、給電ボックス150のピン156,156間の底壁を支持可能な長さで延在している。また、横行トレイ側支持片132は、昇降トレイ側支持片122と昇降方向にすれ違い可能な相補的形状を有している。さらに、横行トレイ側支持片132には、給電ボックス150の底面に形成された接続端子155に対して電気的に接続可能な給電部136が設けられている。他方、横行トレイ側受け孔133は横行方向の一端側の床部材に穿設されている。横行トレイ側受け孔133から横行トレイ側支持片132先端までの距離は、ピン156,156間の距離よりも短い。
【0038】
さらに、横行トレイ130には、当該横行トレイ130が対応する駐車室103に格納されたときに給電端子141に電気的に接触する受電端子134が設けられている。受電端子134は、側端部側の側縁部の前後2箇所に形成され、給電端子141の位置に対応している。受電端子134は、横行トレイ側保持体131に近接配置されることが好ましい。また、受電端子134は、横行トレイ130の内部において給電部136に電気的に接続されている。すなわち、横行トレイ側保持体131は、給電ボックス150を横行トレイ側支持片132上に保持したときに、受電端子134を給電ボックス150の接続端子155に電気的に接続するように構成されている。これにより、横行トレイ130が駐車室103に格納されたときに、給電端子141は、受電端子134及び給電部136を介して給電ボックス150に電力を供給することが可能である。
【0039】
図12は、横行トレイ130の受電端子134と給電装置140の給電端子141との関係をより詳細に示している。図12(a)に示すように、横行トレイ130が駐車室103の所定位置に格納された状態では、受電端子134が給電端子141に接触し、両者が電気的に接続されている。他方、図12(b)に示すように、横行トレイ130が駐車室103から昇降空間102に横行すると、受電端子134が給電端子141から離隔し、両者の電気的接続が切断される。
【0040】
続いて、図13乃至図15を参照して、本実施形態の給電中継器としての給電ボックス150について説明する。図13(a)~(c)は、給電ボックス150の正面図、背面図及び底面図である。図14は、給電ボックス150の内部構造を示す正面図である。図15(a),(b)は、給電ボックス150においてケーブル152を所定の長さで引き出した状態の内部構造を示す正面図及び平面図である。
【0041】
図13及び図14に示すとおり、給電ボックス150は、自立可能な形状を有する筐体151、先端が筐体外部に任意の長さで引き出されるように筐体内部に少なくとも部分的に収容されたケーブル152、該ケーブル152の先端に取着され、電気自動車の充電口に接続される充電用コネクタ153、及び、筐体内部でケーブル152に電気的に接続されているとともに、筐体外部に露出し、給電装置140の給電端子141に電気的に接続可能である接続端子155を備える。給電ボックス150は、ユーザーの電気自動車のトランクに携帯可能な大きさで構成されている。当該駐車装置100の駐車システムにおいて、給電ボックス150は、ユーザー間で共通で使用されるものでなく、各ユーザーによって個別に保管されることが好ましい。この場合、ケーブル152は、車両ごとに定められた専用ケーブルである。
【0042】
筐体151は、矩形状のボックスからなり、前面に開閉可能な扉151a、及び、該扉151aを開閉するためのハンドル151bを有する。ユーザーは、ハンドル151bを把持して扉151aを開くことにより筐体内部にアクセスすることが可能である。筐体151は、平面視(上面及び底面)において長手状に延在し、長さ方向及び幅方向を有する。筐体151の長さ方向は、設置時に横行方向に合致する。筐体151底面は、回転床110、昇降リフト120及び横行トレイ130上で自立可能であるように、各支持片112,122,132上に載置及び支持可能な寸法形状を有している。また、筐体151の底面には、一対のピン156,156が突出形成されている。一対のピン156,156は、長さ方向に互いに離隔して配列し、底面の長さ方向両端側に位置されている。各ピン156は、テーパー状の先端部を有し、先端が尖っている。ピン156は、各受け孔113,123,133に挿通可能な形状を有している。すなわち、給電ボックス150は、一方のピン156が受け孔113,123,133に挿通された状態で底面が支持片112,122,132上に配置されることによって、各保持体111,121,131に保持される。さらに、筐体151の底面には、長さ方向における一対のピン156,156の間で底面から突出し、該底面の幅方向に配列する一対の突片157,157が設けられている。一対の突片157,157は、給電ボックス150が各保持体111,121,131に保持された状態で、支持片112,122,132の側端面に当接可能に構成されている。つまり、一対の突片157,157は、給電ボックス150のピン156を中心とする幅方向への回動を規制するように機能する。さらに、筐体151底面の一対のピン156の間には、外部に露出する接続端子155が設けられている。
【0043】
ケーブル152は、筐体内部で巻かれることによって保持されている。ケーブル152は、筐体151の上壁近傍の側面に形成された挿通孔を介して外部に引き出されている。この挿通孔は、ケーブル152の通過を許容するが、充電コネクタ153の通過を許容しない大きさを有する。ケーブル152の先端には、充電コネクタ153が形成され、基端にはプラグ154aが形成されている。プラグ154aは、筐体151内部のコンセント154bに接続されている。コンセント154bは、筐体内部において接続端子155に電気的に接続されるように配線される。このケーブル152は、一般的に電気自動車の種類に応じてユーザーによって準備され得る。
【0044】
また、給電ボックス150は、選択された保持体111,121,131と電気自動車の充電口との距離に応じてケーブル152の引出可能な長さを規制するための規制部材158をさらに備える。規制部材158は、充電コネクタ153から所定距離で離隔した位置でケーブル152に固定される。規制部材158は、挿通孔を通過できない大きさを有し、ケーブル152が引き出されたときに筐体151の内面に係止される。図15(a),(b)に示すように、ユーザーは、選択された保持体111,121,131と電気自動車の充電口との距離に応じて規制部材158の位置を予め設定しておくことで、一定の長さでケーブル152を引き出すことが可能となる。選択される保持体111,121,131の位置は、電気自動車の充電口の位置によって決まるので、給電ボックス150と充電口とを弛みのない状態で接続することが容易となる。換言すれば、規制部材158によって、ケーブル152の引出長さが規制されるので、必要以上にケーブル152が引き出されることを防ぎ、ケーブル152が垂れ下がって他の部材に接触することを未然に防ぐことが可能である。なお、ケーブル152が所定の長さで引き出された場合であって、給電ボックス150を使用しないときには、ケーブル152を巻き戻すことをしなくても、筐体151上部に設けられたケーブルフック151cにケーブル152を巻き付けておくことができる。
【0045】
続いて、図16乃至図21を参照して、電気自動車Vを充電状態にて駐車させる工程について説明する。図16は、電気自動車の入庫工程を示すフローチャートである。
【0046】
まず、ユーザー(入庫利用者)は、操作盤107にて認証操作などを行う。制御部は、ユーザーから入力指示とともに操作盤107からユーザー入力情報を受領する(S101)。制御部は、ユーザーからのユーザー入力情報を照合し、出入口扉106を開放する(S102)。ユーザーは、開放した出入口扉106を介して乗降領域101の回転床110上に電気自動車Vを停車させる。制御部は、ユーザーによる電気自動車Vの乗降領域101への停車を確認する(S103)。この確認工程は、乗降領域101内のセンサ(図示せず)によって行われる。
【0047】
次に、ユーザー入力情報から電気自動車Vの充電が必要であると判定された場合、制御部は、回転床側保持体111への給電ボックス150の設置をユーザーに対して要求する(S104)。この要求には、充電口V1への充電コネクタ153の接続も含まれる。また、この要求は、操作盤107上の画面表示、乗降領域101の表示、音声指示など任意の手段によってなされる。
【0048】
次いで、ユーザーは、給電ボックス150を電気自動車Vのトランクから取り出して、充電口蓋V2を開放し、電気自動車Vの充電口V1に最も近い位置の回転床側保持体111に給電ボックス150を配置する。そして、給電ボックス150から所定長さで延び出た充電コネクタ153を充電口V1に接続する。このとき、開放した充電口蓋V2が最も車幅(Y)方向に向けて突出している。なお、ユーザーは、給電ボックス150を回転床側保持体111に載置するだけでよく、従来のように、ケーブル152を接続するための駐車装置側のコンセントを乗降領域101で探す必要がない。そして、制御部は、後述のリミットスイッチ115(図20参照)からの信号によって給電ボックス150の設置完了を確認する(S105)。
【0049】
続いて、ユーザーは、出入口扉106を介して乗降領域101から外部に移動し、操作盤107を操作して入庫処理を実行する。具体的には、制御部は、ユーザーに対して、乗降領域101に人や物が残っていないか等の安全確認をすることを要求する(S106)。ユーザーは、目視等により安全確認を完了したら、例えば安全確認ボタンを押すなどにより、操作盤107に安全確認を完了した旨を入力する。制御部は、ユーザーから安全確認情報を受領した後、ユーザーに運転開始の指示を入力することを要求する(S107)。制御部は、運転開始の指示を受領後、出入口扉106を閉鎖する(S108)。出入口扉106の閉鎖によって、反射体109cが投光部109a及び受光部109bに対して対向配置され、光学センサ109の光路Lが形成される(図17図18参照)。
【0050】
次に、制御部は、光学センサ109を用いた光路Lの遮断検出の有無に基づいて、車両収容空間のXZ平面から充電口V1における電気自動車Vのはみ出しがないかを判定する工程(S109)に進む。
【0051】
図18に示すように、充電口蓋V2や充電口V1に接続された充電コネクタ153が、車幅(Y)方向において光路Lよりも内側の車両収容空間に収まっている場合、光学センサ109は、投光部109aからの照射光が反射体109cを介して受光部109bに入射されることから、光路Lの遮断を検出しない。制御部は、この光学センサ109からの信号を受領し、電気自動車Vが車両収容空間からはみ出していないと決定し、次の搬送工程(S111)に進む。
【0052】
他方、図19に示すように、充電口蓋V2が車両収容空間からはみ出した場合、充電口蓋V2が投光部109aからの照射光に当たって、受光部109bが反射光を受光できなくなるか、もしくは、受光強度が低下する。光学センサ109は、光路Lの遮断を検出し、信号を制御部に送信する。そして、制御部は、光学センサ109から光路Lの遮断を検出した信号を受信し、車両収容空間のXZ平面からの電気自動車Vのはみ出しを特定する。そして、制御部は、入庫指示を中止(キャンセル)し、ユーザーに対して警告を発行する(S110)。この警告は、ユーザーに対して、電気自動車を再出庫することを指示してもよい。この警告に基づいて、ユーザーが電気自動車を再入庫した後、制御部は、電気自動車の停車を確認し(S103)、回転床保持体への給電ボックスの設置をユーザーに要求する工程(S104)が続く。図19では、充電口蓋V2の車両収容空間からはみ出しを例示したが、充電コネクタ153やケーブル152のはみ出しも同様に検出され得る。
【0053】
すなわち、出入口扉106を閉鎖した直後であり、且つ、搬送機構(昇降リフト120)の動作開始前に、工程(S109)によって電気自動車のはみ出しを検出して入庫指示を中止し、ユーザーにアナウンスするため、再入庫に要する時間を減らすとともに、ユーザーの立ち去りを防止し、車両の乗降領域101への置き去りを予防することができる。
【0054】
続いて、本実施形態の駐車装置100の搬送工程(S111)について詳細に説明する。搬送工程(S111)において、電気自動車V及び給電ボックス150がともに指定先の駐車室(以下、指定駐車室)103へと搬送される。なお、指定駐車室103は、ユーザーに応じて予め割り当てられていてもよく、ユーザーによって操作盤107に入力されてもよく、あるいは、制御部によって空いている駐車室103から任意に決定されてもよい。
【0055】
図20は、給電ボックス150が回転床側保持体111に保持された形態を模式的に示している。図20に示すように、給電ボックス150の一方のピン156が、回転床側受け孔113に挿入され、筐体151の底面が回転床側支持片112によって支持される。他方のピン156は、回転床側支持片112先端側の空き空間に配置される。一方のピン156が、回転床側受け孔113に形成されたリミットスイッチ115に当接することで、回転床側保持体111による給電ボックス150の保持が検出される。制御部は、リミットスイッチ115からの信号に基づいて、4箇所に設置されたいずれの回転床側保持体111が給電ボックス150を保持しているかを決定することができる。なお、本実施形態では、図20に示すように、昇降リフト120の床面が、回転床110の床面と同じ高さに配置されているため、給電ボックス150は、回転床側保持体111とともに昇降リフト側保持体121に保持されている。具体的には、給電ボックス150の他方のピン156が、昇降リフト側受け孔123に挿入され、筐体151の底面が昇降リフト側支持片122によって支持される。しかしながら、昇降リフト120が収容部104に待避した場合には、給電ボックス150が回転床保持体111のみに保持される。
【0056】
また、乗降領域101には、光電センサである2対のセンサ116が設置され、乗降領域101に給電ボックス150が存在するか否かが検知される。センサ116は、受光器及び投光器からなり、その間の仮想線上に給電ボックス150が配置されたことにより、光量の変化を検知し、給電ボックス150の有無を検出する。しかしながら、センサの形態は本実施形態に限定されず、光学センサは、回転床保持体111の各位置を個別に検知範囲としてもよく、あるいは、乗降領域101全体を検知範囲としてもよい。また、光学センサとして、既知の赤外線センサなどが採用され得る。あるいは、光学センサは、乗降領域101内を撮影するカメラであって、所得した画像情報を画像処理することによって給電ボックス150の有無を検知する画像センサであってもよい。
【0057】
リミットスイッチ115の信号によって特定された保持位置及び指定駐車室103の位置に基づいて回転床110の回転が必要か否を判定し、必要に応じて、昇降リフト120を収容部104に待避させて回転床110を180度回転させる。
【0058】
次に、回転床110とすれ違うように昇降リフト120が上昇し、回転床110から昇降リフト120へと電気自動車及び給電ボックス150が完全に移載される。図21に示すように、当初、長手片状の回転床側支持片112及びコ字形状の昇降リフト側支持片122の両方に載置された給電ボックス150は、回転床側支持片112に対して相対的に上昇した昇降リフト側支持片122に受け渡される。昇降リフト120の上昇に伴い、他方のピン156が昇降リフト側受け孔123に挿入したまま、一方のピン156が回転床側受け孔113から離脱する。その結果、給電ボックス150は、底面がコ字状の昇降リフト側支持片122のみに支持されるとともに他方のピン156が昇降リフト側受け孔123に挿入された状態で、昇降リフト側保持体121のみに保持される。このとき、昇降リフト側受け孔123にリミットスイッチ(図示せず)が同様に配置されてもよい。制御部は、リミットスイッチからの信号によって給電ボックス150が正常に受け渡されたかを判定することができる。そして、昇降リフト120は、指定駐車室103がある階層まで上昇する。
【0059】
続いて、昇降リフト120が所定の高さで停止した後、指定駐車室103の横行トレイ130が昇降空間102に横行し、昇降リフト120の直下で停止する。次いで、昇降リフト120が下降し、横行トレイ130とすれ違うことによって、電気自動車及び給電ボックス150が昇降リフト120から横行トレイ130へと移載される。コ字状の昇降リフト側支持片122に載置された給電ボックス150は、横行トレイ側支持片132に対してすれ違うように下降した昇降リフト側支持片122から横行トレイ側支持片132に受け渡される。昇降リフト120及び横行トレイ130が同じ高さに相対移動したとき、給電ボックス150は昇降リフト側保持体120及び横行トレイ側保持体130の両方に保持される。そして、さらなる昇降リフト120の下降に伴い、一方のピン156が横行トレイ側受け孔133に挿入したまま、他方のピン156が昇降リフト側受け孔123から離脱する。その結果、給電ボックス150は、底面が長手片状の横行トレイ側支持片132のみに支持されるとともに一方のピン156が横行トレイ側受け孔133に挿入された状態で、横行トレイ側保持体131のみに保持される。このとき、横行トレイ側受け孔133にリミットスイッチ(図示せず)が同様に配置されてもよい。制御部は、リミットスイッチからの信号によって給電ボックス150が正常に受け渡されたかを判定することができる。そして、横行トレイ130は、指定駐車室103へと横行し、指定駐車室103に格納される。
【0060】
指定駐車室103に格納された横行トレイ130は、給電装置140の給電端子141から給電可能な状態(図12参照)となり、且つ、給電ボックス150を給電端子141に対して電気接続して保持する。すなわち、電気自動車は、給電端子141から給電ボックス150を介して充電可能な状態で駐車室103に収容される。そして、制御部は、給電装置140を制御し、電気自動車の充電を開始する。
【0061】
出庫工程は、入庫工程とは反対の工程を踏むようにして、横行トレイ130から昇降リフト120へと電気自動車及び給電ボックス150を受け渡し、昇降リフト120から回転床110へと電気自動車及び給電ボックス150を受け渡すことによって、電気自動車及び給電ボックス150を出庫可能な状態で乗降領域101へと搬送することができる。ユーザーは、乗降領域において、充電コネクタ153を充電口から取り外し、給電ボックス150を持ち上げて回転床側保持体111から回収することができる。好ましくは、給電ボックス150は、電気自動車のトランクに回収される。しかしながら、給電ボックス150が共用のものである場合は、駐車装置100の管理者に返却されてもよい。そして、ユーザーは、電気自動車を乗降領域101の外部へと出庫し、操作盤107を操作しつつ、出庫処理を完了する。
【0062】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の実施形態や変形例を取り得る。以下、本発明の別実施形態を説明する。
【0063】
[別実施形態、変形例]
(1)本発明の光学センサは、反射体を用いた回帰反射型センサに限定されず、直線状の光路を形成可能であれば、他の光電センサであってもよい。例えば、光学センサは、投光部からの照射光を受光部が直接受光する透過型光電センサであってもよい。この場合、投光部及び受光部は、車両収容空間を隔てて電気自動車の前後にそれぞれ配置される。具体的には、受光部は、上記実施形態の反射体の位置(つまり、出入口扉の内面)に配置される。
【0064】
(2)本発明の光学センサは、反射体を用いた回帰反射型センサに限定されず、直線状の光路を形成可能であれば、他の光電センサであってもよい。例えば、光学センサは、距離設定型光電センサであってもよい。距離設定型光電センサは、車両収容空間の前後方向のいずれか一方に配置され、投光部及び受光部が一体となった投受光部を有する。当該距離設定型光電センサにおいて、投光部からの照射光が光路上の対象に反射し、その反射光を受光部が読み取ることによって光路の遮断を検出することができる。すなわち、光学センサは、投光部の反対側の出入口扉の内面に反射体や受光部の設置を必要としない。光学センサの構造の違いにより、図16に示した制御フローに加えて、別形態として図22に示す入庫工程を可能とする。
【0065】
まず、ユーザー(入庫利用者)は、操作盤にて認証操作などを行う。制御部は、ユーザーから入力指示とともに操作盤からユーザー入力情報を受領する(S201)。制御部は、ユーザーからのユーザー入力情報を照合し、出入口扉を開放する(S202)。ユーザーは、開放した出入口扉を介して乗降領域上に電気自動車を停車させる。制御部は、ユーザーによる電気自動車Vの乗降領域への停車を確認する。次に、ユーザー入力情報から電気自動車の充電が必要であると判定された場合、制御部は保持体への給電中継器の設置をユーザーに対して要求する(S204)。次いで、ユーザーは、給電中継器を保持体に配置する。そして、給電中継器の充電コネクタを充電口に接続する。制御部は、給電中継器の設置完了を確認する(S205)。続いて、ユーザーは、出入口扉を介して乗降領域から外部に移動し、操作盤を操作して入庫処理を実行する。具体的には、制御部は、ユーザーに対して、乗降領域101に人や物が残っていないか等の安全確認をすることを要求する(S206)。制御部は、ユーザーから安全確認情報を受領した後、光学センサを用いた光路の遮断検出の有無に基づいて、車両収容空間のXZ平面から充電口における電気自動車のはみ出しがないかを判定する工程(S207)に進む。当該工程(S207)は、出入口扉が開放された状態で実行される。
【0066】
充電口蓋や充電口に接続された充電コネクタが、車幅(Y)方向において光路よりも内側の車両収容空間に収まっている場合、光学センサは、投光部からの照射光が遮蔽物に反射されないことから、光路の遮断を検出しない。制御部は、この光学センサからの信号を受領し、電気自動車が車両収容空間からはみ出していないと決定し、次のユーザーに運転開始の指示を入力することを要求する工程(S209)に進む。制御部は、運転開始の指示を受領後、出入口扉106を閉鎖し(S210)、次の搬送工程(S211)に進む。
【0067】
他方、充電口蓋又は充電コネクタが車両収容空間からはみ出した場合、充電口蓋が投光部からの照射光に当たって、受光部が反射光を読み取る。これにより、光学センサは、光路の遮断を検出し、信号を制御部に送信する。そして、制御部は、光学センサから光路の遮断を検出した信号を受信し、車両収容空間のXZ平面からの電気自動車Vのはみ出しを特定する。そして、制御部は、入庫指示を中止(キャンセル)し、ユーザーに対して警告を発行する(S208)。この警告は、ユーザーに対して、電気自動車を再出庫することを指示してもよい。この警告に基づいて、ユーザーが電気自動車を再入庫した後、制御部は、電気自動車の停車を確認し(S203)、保持体への給電中継器の設置をユーザーに要求する工程(S204)が続く。
【0068】
すなわち、図22のフローチャートでは、出入口扉が閉鎖される前の工程(S207)によって電気自動車のはみ出しの検出が実行されることから、電気自動車のはみ出しを早期に発見し、再入庫に要する時間を効果的に減らすことができる。また、出入口扉を閉鎖する前に、入庫指示を中止し、ユーザーにアナウンスするため、ユーザーの立ち去りを防止し、車両の乗降領域への置き去りを予防することができる。なお、本実施形態は、出入口扉を閉鎖する前であり、且つ、搬送機構(昇降リフト)の動作開始前に工程(S207)が実行されるため、上記第1の実施形態と比べて、工程の効率化の点で有利であるが、一般的に、距離設定型光電センサは、回帰反射型光電センサや透過型光電センサと比べて高価であることから、コスト面で不利となる。
【0069】
(3)上記実施形態では、光学センサの投光部が前壁部に配置されたが、投光部が車両収容空間の後方の出入口扉の内面に設置されてもよい。
【0070】
(4)本発明の光学センサは、上記実施形態のような車用収容空間のXZ平面上に光路を形成するものに代えて、又は、これに加えて、車両の前後面に充電口を有する電気自動車に対応するようにYZ平面上に光路を形成するものであってもよい。図23は、別実施形態の駐車装置200の乗降領域201を示す模式図である。図23に示すように、乗降領域201には、車両収容空間に収容された電気自動車の前後に設置された投光部209a、受光部209b、反射体209cを備える光学センサ209が設けられている。光学センサ209は、既存の前端検知用センサ217及び後端検知用センサ218のZ方向に検知領域を広げたものである。そして、投光部209は、車両収容空間のYZ平面上において、予め設定された充電口又は充電口蓋の位置を通過する所定の光路Lに沿って照射光を放射するように構成されている。光路Lは、車両収容空間のYZ平面上の充電口又充電口蓋に対応する所定の高さ(Z座標)を通過するように設定されている。図24(a),(b)に示すように、充電口V1が電気自動車Vの前部側にある場合において、光学センサ209が充電口蓋V2、充電コネクタ253又はケーブル252のはみ出しによる光路Lの遮断を検出することによって、制御部が車両収容空間のYZ平面からの電気自動車Vの前方へのはみ出しを特定することができる。他方、図25(a),(b)に示すように、充電口V1が電気自動車Vの後部側にある場合において、光学センサ209が充電口蓋V2、充電コネクタ253又はケーブル252のはみ出しによる光路Lの遮断を検出することによって、制御部が車両収容空間のYZ平面からの電気自動車Vの後方へのはみ出しを特定することができる。
【0071】
(5)上記実施形態では、給電中継器は、給電ボックス、すなわち筐体状の給電中継器でなくてもよい。例えば、給電中継器は、スタンド状であってもよい。あるいは、駐車装置から給電中継器及び保持体が省略されてもよい。
【0072】
(6)上記実施形態の駐車装置は、複数の階層を有し、同階層に2以上の駐車室が設置された駐車塔であるが、本発明は、例えば、家庭用の駐車場のような、回転床が省略されて駐車室が1つしかない最小限の構成の駐車場においても同様に適用され得る。
【0073】
(7)上記実施形態の駐車装置では、収容部に昇降リフトが待避して回転床が回転可能となるが、本発明は当該構成に限定されない。すなわち、本発明の駐車装置では、収容部が省略されてもよい。この場合、昇降リフトが乗降領域の床面に初期配置され、(昇降リフトが収容部に待避する代わりに)回転床が昇降リフトの上方に持ち上げられ、回転床が昇降リフトに干渉しないように回転可能となる。この変形例では、収容部を設けることを省略でき、櫛歯のすぐ下に床面が位置するので、車椅子利用者にも対応している。
【0074】
(8)本発明は、横行トレイ側保持体に給電ボックスが保持された状態で横行トレイが対応する駐車室に格納されたときに、給電ボックスの接続端子が給電端子に電気的に接触するように構成されてもよい。この場合、給電ボックスの接続端子が、横行トレイを介することなく、駐車室において横行トレイ側保持体に保持された状態で駐車室の給電端子に電気的に接触(接触式、非接触式を含む)するように、その配置関係が設計される。例えば、一例として、接続端子は、給電ボックスの底面でなく、駐車室の側端部側を向く筐体側面に露出して配置され、尚且つ、横行トレイ側保持体に保持された状態で駐車室の給電端子に対向配置される。
【0075】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。すなわち、本発明の技術的範囲の下で、本実施形態の一部の構成が省略又は修正されてもよく、あるいは、他の構成が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100 駐車装置
101 乗降領域
102 昇降空間
103 駐車室
104 収容部
106 出入口扉
107 操作盤
108 前壁部
108a ミラー
109 光学センサ(XZ平面)
109a 投光部
109b 受光部
109c 反射体
110 回転床
111 回転床側保持体
112 回転床側支持片
113 回転床側受け孔
115 リミットスイッチ
116 センサ
117 前端検知用センサ
118 後端検知用センサ
120 昇降リフト
121 昇降リフト側保持体
122 昇降リフト側支持片
123 昇降リフト側受け孔
130 横行トレイ
131 横行トレイ側保持体
132 横行トレイ側支持片
133 横行トレイ側受け孔
134 受電端子
136 給電部
140 給電装置
141 給電端子
150 給電ボックス(給電中継器)
151 筐体
151a 扉
151b ハンドル
151c ケーブルフック
152 ケーブル
153 充電コネクタ
154a プラグ
154b コンセント
155 接続端子
156 ピン
157 突片
158 規制部材
209 光学センサ(YZ平面)
V 電気自動車
V1 充電口
V2 充電口蓋
L 光路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25