(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
G09F 9/33 20060101AFI20240208BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240208BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240208BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20240208BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/30 349C
G09F9/00 336B
G09F9/00 338
H01L33/58
E04F13/08 Z
(21)【出願番号】P 2019161438
(22)【出願日】2019-09-04
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 理
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特許第6370519(JP,B1)
【文献】中国実用新案第205881355(CN,U)
【文献】特開2012-118513(JP,A)
【文献】特開2018-144511(JP,A)
【文献】特開2001-341106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/33
G09F 9/30
G09F 9/00
H01L 33/58
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部、及び、前記基部に取付けられる表示装置を備え、
前記表示装置は、
アレイ基板上にマトリクス状に並ぶ複数の無機発光体と、
前記無機発光体に対し、前記無機発光体が発光する光の進行方向側に設けられ、光の進行方向側から見て前記無機発光体に重畳するようにマトリクス状に設けられて前記無機発光体からの光を透過する複数の透過部と、前記無機発光体からの光を遮断する遮断部と、を含む表面層と、を備え、
前記無機発光体は、アノード電極と、カソード電極と、前記アノード電極と前記カソード電極の間に配置された無機発光素子とを備え、
前記無機発光素子は、n型クラッド層と、p型クラッド層と、前記n型クラッド層と前記p型クラッド層との間に配置された発光層とを備え、
前記アノード電極は、前記アレイ基板上の対向アノード電極と接続し、前記カソード電極は、前記無機発光体上の対向カソード電極に接続し、
前記複数の無機発光体は、それぞれ前記表面層に設けられた前記複数の透過部のそれぞれと重畳して設けられ、
前記透過部の面積は、平面視で、
前記遮断部と前記透過部とを含んだ前記表面層の全体の面積に対し、10%以下である、
表示システム。
【請求項2】
前記表面層と、前記基部の表面を構成する基部表面層とは、一体の部材である、請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記表面層と、前記基部の表面を構成する基部表面層とは、別体の部材である、請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記無機発光体の消灯時に前記表面層の表面に光を照射し、前記無機発光体の点灯時に前記表面層の表面への光の照射を停止する照明部をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項5】
前記表示装置は、前記表面層に前記透過部を形成するための紫外線を発光する紫外線発光部を、さらに備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項6】
前記遮断部の表面と前記基部の表面とは、形状、模様、及び色彩の少なくとも1つが同じとなっている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置は大型化が進んでおり、そのような表示装置を家庭などに設置する際には、表示装置の設置により居住スペースが狭くなったり、表示装置が目立ってしまったりすることがある。例えば特許文献1には、壁に表示装置を配置する旨が記載されている。壁に表示装置を配置すれば、居住スペースが狭くなることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1においても、表示装置を目立たなくするという観点では、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、表示装置を目立たなくすることが可能な表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による表示システムは、基部、及び、前記基部に取付けられる表示装置を備え、前記表示装置は、マトリクス状に並ぶ複数の無機発光体と、前記無機発光体に対し、前記無機発光体が発光する光の進行方向側に設けられ、光の進行方向側から見て前記無機発光体に重畳するようにマトリクス状に設けられて前記無機発光体からの光を透過する複数の透過部と、前記無機発光体からの光を遮断する遮断部と、を含む表面層と、を備え、前記複数の無機発光体は、それぞれ前記表面層に設けられた前記複数の透過部のそれぞれと重畳して設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る表示システムの模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る表示装置の構成例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る画素及び信号線の配置の例を説明する模式図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る表示装置の他の構成例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る画素及び信号線の配置の他の例を説明する模式図である。
【
図8】
図8は、表示装置の画素回路の構成例を示す回路図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る無機発光体の構成例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る表示装置の他の構成例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る表示システムの組み立て方法を説明する図である。
【
図13】
図13は、無機発光体を消灯している場合の表示システムの外観を示した模式図である。
【
図14】
図14は、無機発光体を点灯している場合の表示システムの外観を示した模式図である。
【
図15】
図15は、第1変形例に係る表示システムの模式図である。
【
図16】
図16は、第2変形例に係る画素を示す模式図である。
【
図17】
図17は、第2変形例に係る表示装置の構成例を示す断面図である。
【
図18】
図18は、第2変形例に係る表示システムの組み立て方法を説明する図である。
【
図19】
図19は、第2変形例に係る画素の他の例を示す模式図である。
【
図20】
図20は、第2変形例に係る表示装置の他の構成例を示す断面図である。
【
図21】
図21は、第3変形例に係る表示装置の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(表示システムの全体構成)
図1は、本実施形態に係る表示システムの模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る表示システム1は、表示装置2と、基部4とを備える。基部4は、壁や柱などの構造物である。表示装置2は、基部4に取付けられて、画像を表示する。より詳しくは、表示装置2は、基部4の表面に形成される窪みである凹部4Bに埋め込まれる。なお、本実施形態における基部4は、壁や柱などの構造物であるが、任意の物体であってよく、例えば手帳のカバーなどの小型の物体であってもよい。表示装置2も、例えば対角線の長さが85インチ程度の大型の表示装置であるが、サイズはこれに限られず任意であり、小型のものであってもよい。
【0010】
表示装置2は、表面5Aが外部に露出して、表面5Aと基部4の表面4Aとが平行となるように、さらに言えば表面5Aと基部4の表面4Aとが後述の第3方向Dzにおいて同じ位置となるように、基部4に取付けられる。より詳しくは、表示システム1は、表示装置2の表面5Aと基部4の表面4Aとが連続するように、言い換えれば表面5Aと表面4Aとが連続した1つの表面1Aとなるように、基部4に取付けられる。
【0011】
以下、表面5Aに平行な一方向を第1方向Dxとし、表面5Aに平行な他の一方向を第2方向Dyとする。第1方向Dxは、第2方向Dyと直交するが、第2方向Dyと直交しないで交差していてもよい。また、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向、言い換えれば表面5Aに直交する方向を、第3方向Dzとする。第3方向Dzは、例えば、後述の基板10の法線方向に対応する。以下、平面視とは、第3方向Dzから見た場合の位置関係を示す。また、第3方向Dzに平行な方向のうちの一方向を、方向Dz1とし、第3方向Dzに平行な方向のうちの他方向、すなわち方向Dz1と反対方向を、方向Dz2とする。方向Dz1は、後述のアレイ基板9から表面5Aに向かう方向である。
【0012】
(表示装置の構成)
図2は、本実施形態に係る表示装置の模式的な平面図であり、
図3は、本実施形態に係る表示装置の模式的な一部断面図である。
図2及び
図3に示すように、表示装置2は、アレイ基板9と、複数の無機発光体100と、表面層5とを備える。アレイ基板9は、表示装置2の各画素Pixを駆動するための駆動回路基板であり、バックプレーン又はアクティブマトリクス基板とも呼ばれる。詳しくは後述するが、アレイ基板9は、複数のトランジスタ、複数の容量及び各種配線等を有する。
図2及び
図3に示すように、無機発光体100は、アレイ基板9の方向Dz1側に設けられて、マトリクス状に並んでいる。すなわち、無機発光体100は、アレイ基板9の方向Dz1側において、第1方向Dx及び第2方向Dyに並んでいる。無機発光体100は、無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)であり、方向Dz1側に光Lを照射する。なお、無機発光体100は、広がり角をもって光Lを照射するため、方向Dz1に沿ってのみ光Lを照射するわけではない。無機発光体100は、平面視で、数μm以上、300μm以下程度の大きさを有する無機発光ダイオードチップであり、一般的には、一つのチップサイズが100μm以上をミニLED(miniLED)、100μm未満~数μmのサイズをマイクロLED(micro LED)と呼ばれる。本発明ではいずれのサイズのLEDも用いることができ、表示装置の画面サイズ(一画素の大きさ)に応じて使い分ければよい。各画素にマイクロLED(micro LED)を備える表示装置は、マイクロLED表示装置とも呼ばれる。なお、マイクロLEDのマイクロは、無機発光体100の大きさを限定するものではない。
【0013】
表示装置2は、無機発光体100として、第1無機発光体100R、第2無機発光体100G、及び第3無機発光体100Bを備える。第1無機発光体100Rは、第1色としての原色の赤色の光を発光して、第1色を表示する画素49Rを構成する。第2無機発光体100Gは、第2色としての原色の緑色の光を発光して、第2色を表示する画素49Gを構成する。第3無機発光体100Bは、第3色としての原色の青色の光を発光して、第3色を表示する画素49Bを構成する。1つの第1無機発光体100R、1つの第2無機発光体100G、及び1つの第3無機発光体100Bが1組となり、言い換えれば画素49R、49G、49Bが1組となり、1つの画素Pixを構成する。表示装置2は、平面視において、この画素Pixが、マトリクス状に、すなわち第1方向Dx及び第2方向Dyに、並んでいる。1つの画素Pixにおいて、第1無機発光体100R(第1画素49R)と第3無機発光体100B(第3画素49B)とは、第1方向Dxで並び、第1無機発光体100R及び第3無機発光体100Bの第2方向Dy側に、第2無機発光体100G(第2画素49G)が位置している。本実施形態の例では、例えば、平面視で、正三角形の1つの頂点の位置に第1無機発光体100Rが配置され、他の1つの頂点の位置に第2無機発光体100Gが配置され、他の1つの頂点の位置に第3無機発光体100Bが配置されている。ただし、1つの画素Pixにおける第1無機発光体100R、第2無機発光体100G、及び第3無機発光体100Bの並び順は、これに限られず任意である。
【0014】
なお、第1色、第2色、第3色は、それぞれ赤色、緑色、青色に限られず、補色などの任意の色を選択することができる。また、画素Pixに含まれる画素は、3つに限られず、4つ以上の画素が含まれていてもよい。例えば、画素Pixには、第4色として白色を表示する画素49Wが含まれていてもよい。この場合、画素49Wは、第4色の光を発光する無機発光体100を備える。
【0015】
図3に示すように、表面層5は、無機発光体100の方向Dz1側(無機発光体100が発光する光Lの進行方向側)に設けられる。表面層5は、遮断部6と透過部8とを含む。遮断部6は、可視光である無機発光体100からの光Lを遮断する層であり、言い換えれば、光Lを透過しない層である。透過部8は、表面層5の方向Dz2の表面から方向Dz1側の表面までを貫通するように設けられている。透過部8は、光Lを遮断せず、光Lを透過する。本実施形態において、透過部8は、表面層5の方向Dz2の表面から方向Dz1側の表面までにわたって形成される開口(穴)である。ただし、透過部8は、開口、すなわち空間であることに限られず、例えば光Lを透過する固体部材であってもよい。透過部8は、複数設けられており、マトリクス状に、すなわち第1方向Dz及び第2方向Dyに並んでいる。表面層5は、平面視において、透過部8がマトリクス状に並んで複数設けられ、透過部8が設けられない位置に、遮断部6が設けられているといえる。
【0016】
透過部8は、平面視において、無機発光体100(第1無機発光体100R、第2無機発光体100G、及び第3無機発光体100B)と重なる位置に設けられており、遮断部6は、平面視において、無機発光体100(第1無機発光体100R、第2無機発光体100G、及び第3無機発光体100B)と重ならない位置に設けられている。本実施形態では、透過部8は、1つの画素Pix毎に設けられている。言い換えれば、複数の無機発光体100は、それぞれ表面層5に設けられた複数の透過部8のそれぞれと重畳して設けられる。従って、本実施形態では、透過部8は、1組の第1無機発光体100R、第2無機発光体100G、及び第3無機発光体100B毎に設けられ、1組の第1無機発光体100R、第2無機発光体100G、及び第3無機発光体100Bに重畳する。ただし、透過部8は、1組の第1無機発光体100R、第2無機発光体100G、及び第3無機発光体100B毎に設けられることに限られない。例えば、透過部8は、無機発光体100毎に設けられてよく、平面視で1つの無機発光体100に重畳してよい。
【0017】
ここで、平面視で見た場合の透過部8の面積は、平面視で見た場合の遮断部6の面積より小さい。平面視で見た場合の透過部8の面積は、平面視で見た場合の表面層5の面積、すなわち遮断部6と透過部8とを含んだ全体の面積に対し、例えば10%以下であれば遮光部6の表面の図柄の工夫等により透過部8が認識され難くなり、例えば1%以下であれば遮光部6の表面の図柄によらず透過部8が認識され難くなり、ここでは例えば、3%程度となっている。透過部8は、遮断部6の全体に対して、十分に小さいといえる。また、平面視で見た場合の透過部8の幅を、長さD1とする。長さD1は、
図2では方向Dyにおける透過部8の長さであるが、方向Dxにおける透過部8の長さであってもよい。そして、平面視で見た場合の、隣り合う透過部8同士のピッチを、長さD2とする。長さD2は、隣り合う透過部8の中心点同士を結んだ長さともいえる。
図2では、長さD2は、方向Dyに隣り合う透過部8の中心点同士を結んだ長さであるが、方向Dxに隣り合う透過部8の中心点同士を結んだ長さであってもよい。
図3では方向Dxにおける長さD1と方向Dyにおける長さD1とは概略等しく、方向Dxにおける長さD2と方向Dyにおける長さD2も概略等しいので、上記面積比を考えた場合、長さD1は、長さD2に対し、例えば31%以下であれば遮光部6の表面の図柄の工夫等により透過部8が認識され難くなり、例えば1%以下であれば遮光部6の表面の図柄によらず透過部8が認識され難くなる。
図3は概略的な図ではあるが、長さD1は、長さD2の17%程度となっており、透過部8同士のピッチは、透過部8の大きさに対して十分に大きいといえる。このように、透過部8の面積が小さく、透過部8同士のピッチが広いため、人が表面層5の表面を視認した場合には、透過部8が視認され難く、遮断部6の表面6Aが平面上に連続したものとして視認される。
【0018】
遮断部6は、表面6Aの外観が、基部4の表面4Aの外観と関連付くように形成されている。外観が関連付いているとは、外観が同一又は類似していることを指し、例えば、人が遮断部6の表面6Aと基部4の表面4Aとを視認した際に、互いの区別がつかない程度に、外観が類似していることを指してよい。また、ここでの外観とは、例えば、形状、模様及び色彩の少なくとも1つを指す。すなわち、遮断部6の表面6Aと基部4の表面4Aとは、形状、模様、及び色彩の少なくとも1つが互いに関連付いているといえる。さらに言えば、本実施形態では、遮断部6の表面6Aと基部4の表面4Aとは、形状、模様、及び色彩の少なくとも1つが、同一であることが好ましい。なお、基部4及び遮断部6は、表面6Aの可視光の反射率が、例えば10%以下であれば、周囲が明るい場合であっても高いコントラスト比が得られやすいので、写真画像等を表示する際などに特に好ましい。
【0019】
本実施形態においては、表面層5は、表示装置2の最も方向Dz1側の層である。従って、表面層5の方向Dz1側の表面が、表示装置2の方向Dz1側の表面5Aであるといえる。表面5Aは、表面6Aと透過面8Aとを含む。表面6Aは、遮断部6が設けられる領域であり、遮断部6の表面といえる。透過面8Aは、透過部8が設けられる領域である。透過面8Aは、平面視において無機発光体100(画素Pix)と透過部8とに重畳している領域であるといえる。表面5Aは、平面視でマトリクス状に透過面8Aが設けられており、透過面8A以外の領域に、表面6Aが形成されているといえる。なお、表示装置2は、表面層5が最も方向Dz1側の層であることに限られず、表面層5よりも方向Dz1側に、層が設けられていてよい。この場合、表面層5よりも方向Dz1側の層は、可視光を透過する層となる。そのため、表面層5よりも方向Dz1側に層が設けられていても、平面視においては、表面層5の方向Dz1側の表面が、表示装置2の方向Dz1側の表面5Aとして視認される。従って、ここでは、表面層5よりも方向Dz1側に層が設けられていても、表面層5の方向Dz1側の表面を、表示装置2の方向Dz1側の表面5Aと呼んでよい。
【0020】
上述のように透過部8は小さいため、表示装置2を方向Dz1側から見ると、透過面8Aが視認されず、表面6Aが連続した面として表面5Aが視認される。一方、無機発光体100を点灯させた場合、無機発光体100からの光Lは、その無機発光体100の方向Dz1側に対向する透過部8を透過して、表示装置2の外部に出射する。すなわち、無機発光体100を点灯させた場合、透過面8Aから、無機発光体100の光Lが出射される。そのため、無機発光体100を点灯させた場合、表面5Aの方向Dz1側に、透過面8Aを透過した無機発光体100の光Lによる画像が、視認される。
【0021】
次に、表示装置2の全体構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る表示装置の構成例を示す平面図である。
図4に示すように、表示装置2は、アレイ基板9と、画素Pixと、駆動回路12と、駆動IC(Integrated Circuit)210と、カソード配線60と、を含む。
【0022】
図4に示すように、表示装置2は、表示領域AAと、周辺領域GAとを有する。表示領域AAは、複数の画素Pixが配置される領域であり、画像を表示する領域である。周辺領域GAは、複数の画素Pixと重ならない領域であり、表示領域AAの外側に配置される。複数の画素Pixは、基板10の表示領域AAにおいて、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。なお、表面層5は、平面視において、表示領域AA及び周辺領域GAを含む、表示装置2の全域にわたって設けられている。
【0023】
駆動回路12は、アレイ基板9が有する基板10の周辺領域GAに設けられる。駆動回路12は、駆動IC210からの各種制御信号に基づいて複数のゲート線(例えば、発光制御走査線BG、リセット制御走査線RG、初期化制御走査線IG及び書込制御走査線SG(
図8参照))を駆動する回路である。駆動回路12は、複数のゲート線を順次又は同時に選択し、選択されたゲート線にゲート駆動信号を供給する。これにより、駆動回路12は、ゲート線に接続された複数の画素Pixを選択する。
【0024】
駆動IC210は、表示装置2の表示を制御する回路である。駆動IC210は、基板10の周辺領域GAにCOG(Chip On Glass)として実装されてもよい。これに限定されず、駆動IC210は、基板10の周辺領域GAに接続された配線基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。なお、基板10に接続される配線基板は、例えば、フレキシブルプリント基板やリジット基板である。
【0025】
カソード配線60は、基板10の周辺領域GAに設けられる。カソード配線60は、表示領域AAの複数の画素Pix及び周辺領域GAの駆動回路12を囲んで設けられる。複数の無機発光体100のカソード(カソード電極114(
図9参照))は、共通のカソード配線60に接続され、固定電位(例えば、グランド電位)が供給される。より具体的には、無機発光体100のカソード電極114は、アレイ基板9上の対向カソード電極90eを介して、カソード配線60に接続される。なお、カソード配線14は、一部にスリットを有し、基板10上において、2つの異なる配線で形成されてもよい。
【0026】
図5は、本実施形態に係る画素及び信号線の配置の例を説明する模式図である。
図5に示すように、表示装置2は、アノード電源線(電源供給配線)L1と映像信号線(信号配線)L2とは、一対で第2方向Dyに延在する。アノード電源線L1と映像信号線L2との対は、複数設けられており、第1方向Dxに並んでいる。書込制御走査線(信号走査配線)SGは、第1方向Dxに延在する。書込制御走査線SGは、複数設けられており、第2方向Dyに並んでいる。第1方向Dxで隣り合うアノード電源線L1と映像信号線L2との対と、第2方向Dyで隣り合う書込制御走査線SGとに囲われた領域(格子)内には、コンタクトホールCHが設けられる。コンタクトホールCHは、複数設けられ、第1方向Dx及び第2方向Dyに並ぶ。第2画素49G(第2無機発光体100G)は、第1方向Dxに並ぶ一行のコンタクトホールCHの第2方向Dy側に位置している。第1画素49R(第1無機発光体100R)と第3画素49B(第3無機発光体100B)とは、第1方向Dxに並ぶ一行のコンタクトホールCHの第2方向Dyと反対側に位置している。
【0027】
なお、
図4及び
図5は、第1無機発光体100R(第1画素49Rに属する)、第2無機発光体100G(第2画素49Gに属する)、及び第3無機発光体100B(第3画素49Bに属する)が、1つの画素Pixにおいて三角形のそれぞれの頂点に位置するように並んだ場合の例である。
図6及び
図7において、他の並びの例について説明する。
図6は、本実施形態に係る表示装置の他の構成例を示す平面図である。
図7は、本実施形態に係る画素及び信号線の配置の他の例を説明する模式図である。
図6に示すように、例えば、第1無機発光体100R(第1画素49Rに属する)、第2無機発光体100G(第2画素49Gに属する)、及び第3無機発光体100B(第3画素49Bに属する)は、第1方向Dxにこの順で、すなわちストライプ状に、並んでいてもよい。第1無機発光体100R、第2無機発光体100G、及び第3無機発光体100Bは、それぞれが、1つの画素Pixを構成してよい。すなわち、1つの無機発光体100で、1つの画素Pixを構成してよい。この場合、透過部8は、無機発光体100毎に設けられ、平面視で1つの無機発光体100に重畳する。また、
図7に示すように、ストライプ状の配列の場合、第1無機発光体100R(第1画素49Rに属する)、第2無機発光体100G(第2画素49Gに属する)、及び第3無機発光体100B(第3画素49Bに属する)が、第1方向Dxに並ぶ一行のコンタクトホールCHの第2方向Dy側に位置している。なお、このようなストライプ状の配列でも、1組の第1無機発光体100R、第2無機発光体100G、及び第3無機発光体100Bが1つの画素Pixを構成してよく、透過部8は、1組の第1無機発光体100R、第2無機発光体100G、及び第3無機発光体100B毎に、設けられてもよい。また、無機発光体100の配列は、
図4及び
図6の例に限られず、任意の配列であってよい。
【0028】
図8は、表示装置の画素回路の構成例を示す回路図である。
図8に示す画素回路PICAは、第1画素49R、第2画素49G及び第3画素49Bのそれぞれに設けられる。画素回路PICAは、基板10に設けられ、駆動信号(電流)を無機発光体100に供給する回路である。なお、
図8において、画素回路PICAについての説明は、第1画素49R、第2画素49G及び第3画素49Bのそれぞれが有する画素回路PICAに適用できる。
【0029】
図8に示すように、画素回路PICAは、無機発光体100と、5つのトランジスタと、2つの容量と、を含む。具体的には、画素回路PICAは、発光制御トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、書込トランジスタSST、リセットトランジスタRST及び駆動トランジスタDRTを含む。一部のトランジスタは、隣接する複数の画素49で共有されていてもよい。例えば、発光制御トランジスタBCTは、共通配線を介して、3つの画素49で共有されていてもよい。また、リセットトランジスタRSTは、周辺領域GAに設けられ、例えば画素49の各行に1つ設けられていてもよい。この場合、リセットトランジスタRSTは、共通配線を介して複数の駆動トランジスタDRTのソースに接続される。
【0030】
画素回路PICAが有する複数のトランジスタは、それぞれn型TFT(Thin Film Transistor)で構成される。ただし、これに限定されず、各トランジスタは、それぞれp型TFTで構成されてもよい。p型TFTを用いる場合は、適宜電源電位や保持容量Cs1及び容量Cs2の接続を適合させてもよい。
【0031】
発光制御走査線BGは、発光制御トランジスタBCTのゲートに接続される。初期化制御走査線IGは、初期化トランジスタISTのゲートに接続される。書込制御走査線SGは、書込トランジスタSSTのゲートに接続される。リセット制御走査線RGは、リセットトランジスタRSTのゲートに接続される。
【0032】
発光制御走査線BG、初期化制御走査線IG、書込制御走査線SG及びリセット制御走査線RGは、それぞれ、駆動回路12(
図4参照)に接続される。駆動回路12は、発光制御走査線BG、初期化制御走査線IG、書込制御走査線SG及びリセット制御走査線RGに、それぞれ、発光制御信号Vbg、初期化制御信号Vig、書込制御信号Vsg及びリセット制御信号Vrgを供給する。
【0033】
駆動IC210(
図4参照)は、第1画素49R、第2画素49G及び第3画素49Bのそれぞれの画素回路PICAに、時分割で映像信号Vsigを供給する。第1画素49R、第2画素49G及び第3画素49Bの各列と、駆動IC210との間には、マルチプレクサ等のスイッチ回路が設けられる。映像信号Vsigは、映像信号線L2を介して書込トランジスタSSTに供給される。また、駆動IC210は、リセット信号線L3を介して、リセット電源電位VrstをリセットトランジスタRSTに供給する。駆動IC210は、初期化信号線L4を介して、初期化電位Viniを初期化トランジスタISTに供給する。
【0034】
発光制御トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、書込トランジスタSST、及びリセットトランジスタRSTは、2ノード間の導通と非導通とを選択するスイッチング素子として機能する。駆動トランジスタDRTは、ゲートとドレインとの間の電圧に応じて、無機発光体100に流れる電流を制御する電流制御素子として機能する。
【0035】
無機発光体100のカソード(カソード電極114)は、カソード電源線L10に接続される。また、無機発光体100のアノード(アノード電極110)は、駆動トランジスタDRT及び発光制御トランジスタBCTを介してアノード電源線L1(第1電源線)に接続される。アノード電源線L1には、アノード電源電位PVDD(第1電位)が供給される。カソード電源線L10には、カソード電源電位PVSS(第2電位)が供給される。アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSよりも高い電位である。カソード電源線L10は、カソード配線60を含む。
【0036】
また、画素回路PICAは、容量Cs1及び容量Cs2を含む。容量Cs1は、駆動トランジスタDRTのゲートとソースとの間に形成される保持容量である。容量Cs2は、駆動トランジスタDRTのソース及び無機発光体100のアノードと、カソード電源線L10との間に形成される付加容量である。
【0037】
表示装置2は、1行目の画素49から最終行の画素49まで駆動を行い1フレーム分の画像を1フレーム期間に表示する。
【0038】
リセット期間では、駆動回路12から供給される各制御信号により、発光制御走査線BGの電位がL(ロウ)レベルとなり、リセット制御走査線RGの電位がH(ハイ)レベルとなる。これにより、発光制御トランジスタBCTがオフ(非導通状態)となり、リセットトランジスタRSTがオン(導通状態)となる。
【0039】
これにより、画素49内に残留していた電荷が、リセットトランジスタRSTを通じて外部に流れ、駆動トランジスタDRTのソースがリセット電源電位Vrstに固定される。リセット電源電位Vrstは、カソード電源電位PVSSに対して所定の電位差を有して設定される。この場合、リセット電源電位Vrstとカソード電源電位PVSSとの電位差は、無機発光体100が発光を開始する電位差よりも小さい。
【0040】
次に、駆動回路12から供給される各制御信号により、初期化制御走査線IGの電位がHレベルとなる。初期化トランジスタISTは、オンとなる。初期化トランジスタISTを介して駆動トランジスタDRTのゲートが初期化電位Viniに固定される。
【0041】
また、駆動回路12は、発光制御トランジスタBCTをオンとし、リセットトランジスタRSTをオフとする。駆動トランジスタDRTは、ソース電位が(Vini-Vth)になるとオフになる。これにより、画素49ごとに駆動トランジスタDRTのしきい値電圧Vthを取得することができ、画素49ごとのしきい値電圧Vthのばらつきがオフセットされる。
【0042】
次に、映像信号書込動作期間では、駆動回路12から供給される各制御信号により、発光制御トランジスタBCTがオフになり、初期化トランジスタISTがオフになり、書込トランジスタSSTがオンになる。1行に属する画素49において、映像信号Vsigが駆動トランジスタDRTのゲートに入力される。映像信号線L2は、第2方向Dyに延在し、同列に属する複数行の画素49に接続される。このため、映像信号書込動作期間は、1行ごとに実施される。
【0043】
次に、発光動作期間では、駆動回路12から供給される各制御信号により、発光制御トランジスタBCTがオンになり、書込トランジスタSSTがオフになる。アノード電源線L1から、発光制御トランジスタBCTを介して駆動トランジスタDRTにアノード電源電位PVDDが供給される。駆動トランジスタDRTは、ゲートソース間の電圧に応じた電流を、無機発光体100に供給する。無機発光体100は、この電流に応じた輝度で発光する。
【0044】
なお、駆動回路12は、1行ごとに画素49を駆動してもよいし、2行の画素49を同時に駆動してもよいし、3行分以上の画素49を同時に駆動してもよい。
【0045】
なお、上述した
図8に示す画素回路PICAの構成はあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば1つの画素49での配線の数及びトランジスタの数は異なっていてもよい。また、画素回路PICAはカレントミラー回路等の構成を採用することもできる。なお、駆動回路12と駆動IC210との少なくとも一方が、無機発光体100の点灯と消灯とを制御する駆動部であると言ってよい。駆動部は、無機発光体100の点灯と消灯とを制御することで、表示装置2の画像の表示と表示停止とを切り替える。
【0046】
次に、表示装置2の積層構造について説明する。
図9は、本実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
図9に示すように、表示装置2のアレイ基板9は、基板10と、複数のトランジスタと、を備える。基板10は、第1面10aと、第1面10aの反対側の第2面10bとを有する。基板10は、絶縁基板であり、例えば、ガラス基板、石英基板、又は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、若しくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製のフレキシブル基板である。
【0047】
なお、本明細書において、基板10の表面に垂直な方向において、基板10から無機発光体100に向かう方向(方向Dz1)を、「上側」又は単に「上」とする。また、無機発光体100から基板10に向かう方向(方向Dz2)を、「下側」又は単に「下」とする。また、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0048】
アンダーコート層20は、基板10の第1面10a上に設けられる。なお、基板10の第1面10a上には、遮光層が設けられてもよい。この場合、アンダーコート層20が、遮光層を覆う。遮光層は、光を遮断するものであれば任意の材料であってよいが、例えば、モリブデンタングステン合金膜であってよい。
【0049】
複数のトランジスタは、アンダーコート層20上に設けられる。例えば、基板10の表示領域AAには、複数のトランジスタとして、画素49に含まれる駆動トランジスタDRT及び書込トランジスタSSTがそれぞれ設けられている。基板10の周辺領域GAには、複数のトランジスタとして、駆動回路12に含まれるトランジスタTrCが設けられている。なお、複数のトランジスタのうち、駆動トランジスタDRT、書込トランジスタSST、及び、トランジスタTrCを示しているが、画素回路PICAに含まれる発光制御トランジスタBCT、初期化トランジスタIST及びリセットトランジスタRSTも、駆動トランジスタDRTと同様の積層構造を有する。なお、以下の説明において、複数のトランジスタを区別して説明する必要が無い場合は、単にトランジスタTrと表す。
【0050】
トランジスタTrは、例えば両面ゲート構造のTFTである。トランジスタTrは、それぞれ、第1ゲート電極21と、第2ゲート電極31と、半導体層25と、ソース電極41sと、ドレイン電極41dと、を有する。第1ゲート電極21は、アンダーコート層20上に設けられる。絶縁膜24は、アンダーコート層20上に設けられて第1ゲート電極21を覆う。半導体層25は、絶縁膜24上に設けられる。半導体層25は、例えば、ポリシリコンが用いられる。ただし、半導体層25は、これに限定されず、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、低温ポリシリコン等であってもよい。絶縁膜29は、半導体層25上に設けられる。第2ゲート電極31は、絶縁膜29上に設けられる。
【0051】
アンダーコート層20、絶縁膜24、29、45は、無機絶縁膜であり、例えば、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)などからなる。第3方向Dzにおいて、第1ゲート電極21と第2ゲート電極31は、絶縁膜24、半導体層25及び絶縁膜29を介して、対向している。絶縁膜24、29において、第1ゲート電極21と第2ゲート電極31とに挟まれた部分がゲート絶縁膜として機能する。また、半導体層25において、第1ゲート電極21と第2ゲート電極31とに挟まれた部分がトランジスタTrのチャネル領域27となる。半導体層25において、ソース電極41sと接続する部分がトランジスタTrのソース領域であり、ドレイン電極41dと接続する部分がトランジスタTrのドレイン領域である。チャネル領域27とソース領域との間及びチャネル領域27とドレイン領域との間には、それぞれ低濃度不純物領域が設けられる。なお、トランジスタTrとして、n型TFTのみ示しているが、p型TFTを同時に形成してもよい。
【0052】
ゲート線31aは、駆動トランジスタDRTの第2ゲート電極31に接続される。基板10とゲート線31aとの間に絶縁膜29が設けられ、ゲート線31aと基板10との間に容量CSが形成される。第1ゲート電極21、第2ゲート電極31及びゲート線31aは、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金膜やこれらを含む積層膜で構成されている。
【0053】
本実施形態において、トランジスタTrは両面ゲート構造に限定されるものではない。トランジスタTrは、ゲート電極が第1ゲート電極21のみで構成されるボトムゲート型であってもよい。また、トランジスタTrは、ゲート電極が第2ゲート電極31のみで構成されるトップゲート型であってもよい。また、アンダーコート層20は無くてもよい。
【0054】
表示装置2は、基板10の第1面10a上に設けられて複数のトランジスタTrを覆う絶縁膜35を有する。ソース電極41sは、絶縁膜35上に設けられ、絶縁膜35に設けられた貫通孔を介して複数のトランジスタTrの各ソースに接続される。ドレイン電極41dは、絶縁膜35上に設けられ、絶縁膜35に設けられた貫通孔を介して複数のトランジスタTrの各ドレインに接続される。周辺領域GAにおいてカソード配線60は、絶縁膜35上に設けられる。絶縁膜42は、ソース電極41s、ドレイン電極41d及びカソード配線60を覆う。絶縁膜35は無機絶縁膜、絶縁膜42は、有機絶縁膜である。ソース電極41s及びドレイン電極41dは、チタンとアルミニウムとの積層構造であるTiAlTi又はTiAlの積層膜で構成されている。また、絶縁膜42は、感光性アクリル等の有機材料が用いられる。
【0055】
ソース電極41sの一部は、ゲート線31aと重なる領域に形成される。絶縁膜35を介して対向するゲート線31aとソース電極41sとで、容量Cs1が形成される。また、ゲート線31aは、半導体層25の一部と重なる領域に形成される。容量Cs1は、絶縁膜24を介して対向する半導体層25とゲート線31aとで形成される容量も含む。
【0056】
表示装置2は、ソース接続配線43sと、ドレイン接続配線43dと、絶縁膜45と、対向アノード電極50eと、絶縁膜66と、接続層50fと、無機発光体100と、絶縁膜70と、平坦化膜80と、対向カソード電極90eと、オーバーコート層92と、偏光板94と、表面層5と、を有する。ソース接続配線43sは、絶縁膜42上に設けられ、絶縁膜42に設けられた貫通孔を介してソース電極41sに接続される。ドレイン接続配線43dは、絶縁膜42上に設けられ、絶縁膜42に設けられた貫通孔を介してドレイン電極41dに接続される。絶縁膜45は、絶縁膜42上に設けられてソース接続配線43sとドレイン接続配線43dとを覆う。対向アノード電極50eは、絶縁膜45上に設けられ、絶縁膜45に設けられた貫通孔を介して駆動トランジスタDRTのドレイン接続配線43dに接続される。ソース接続配線43sおよびドレイン接続配線43dは、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO、Indium Tin Oxide)等の透明性導電体で形成される。
【0057】
絶縁膜66は、絶縁膜45上に設けられて、対向アノード電極50eを覆う。接続層50fは、絶縁膜66上に設けられ、絶縁膜66に設けられた貫通孔を介して対向アノード電極50eに接続される。無機発光体100は、接続層50fの上に設けられる。ここで、接続層50fは、例えばハンダ層であってもよく、対向アノード電極50eと接続層50fとの接続については、
図9においては絶縁膜66に設けられた貫通孔を介しているが、絶縁膜66を設けず、対向アノード電極50eに直接重畳するように形成されてもよい。対向アノード電極50eは、接続層50fを介して、無機発光体100のアノード電極110と接続されている。絶縁膜45を介して対向する対向アノード電極50eとソース接続配線43sとの間に容量Cs2が形成される。
【0058】
絶縁膜70は、絶縁膜45上に設けられて、接続層50fと、無機発光体100のアノード電極110の側面とを覆う。絶縁膜70は、アノード電極110と重なる位置に、無機発光体100を実装するための開口を有する。絶縁膜70の開口の面積は、平面視において、無機発光体100の対向アノード電極50eとの接地面より大きい。また、対向アノード電極50eは、平面視において、無機発光体100の対向アノード電極50eとの接地面より大きい。平坦化膜80は、絶縁膜70上に設けられて無機発光体100の側面を覆う。対向カソード電極90eは、平坦化膜80上に設けられる。絶縁膜70は、無機絶縁膜であり、例えば、シリコン窒化膜(SiN)からなる。平坦化膜80は、有機絶縁膜あるいは無機有機ハイブリッド絶縁膜(Si-O主鎖に、たとえば有機基(メチル基あるいはフェニル基)が結合した材料)である。無機発光体100の上面(カソード電極114)は、平坦化膜80から露出している。対向カソード電極90eは、無機発光体100のカソード電極114に接続される。
【0059】
対向カソード電極90eは、表示領域AAの外側に設けられたコンタクトホールCH1を介して、アレイ基板9側に設けられたカソード配線60と接続される。具体的には、コンタクトホールCH1は、平坦化膜80及び絶縁膜42に設けられ、コンタクトホールCH1の底面にカソード配線14が設けられる。カソード配線60は、絶縁膜35の上に設けられる。つまり、カソード配線60は、ソース電極41s、ドレイン電極41dと同層に設けられ、同じ材料で形成される。対向カソード電極90eは、表示領域AAから周辺領域GAまで連続して設けられ、コンタクトホールCH1の底部でカソード配線60と接続される。
【0060】
オーバーコート層92は、対向カソード電極90e上に設けられる。オーバーコート層92は、絶縁膜である。オーバーコート層92は、例えば、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)などの無機絶縁膜と、有機絶縁膜との積層体であってよい。偏光板94は、オーバーコート層92上に設けられる。偏光板94は、入射された光のうち、予め定められた方向に振動する成分の光を透過し、その方向以外に振動する成分の光を遮断する。偏光板94は、本実施形態では円偏光板である。表面層5は、偏光板94上に設けられる。表面層5は、平面視において、透過部8が、無機発光体100に重畳し、透過部8でない部分である遮断部6が、無機発光体100に重畳しない。
【0061】
次に、無機発光体100の構成について説明する。
図10は、本実施形態に係る無機発光体の構成例を示す断面図である。
図10に示すように、無機発光体100は、無機発光素子102と、アノード電極110と、反射層112と、カソード電極114とを有しているが、対向アノード電極50e、接続層50f、及び対向カソード電極90eを無機発光体100に含めてもよい。
【0062】
無機発光素子102は、発光を行う発光層である。無機発光素子102は、n型クラッド層104と、p型クラッド層106と、p型クラッド層106とn型クラッド層104との間に設けられる発光層108と、を有する。本実施形態において、無機発光素子102は、上側に向かって、p型クラッド層106、発光層108、n型クラッド層104の順で積層されて構成される。また、p型クラッド層106の下側に、例えば炭化珪素、サファイアなどの基板(発光素子基板)を設けてもよい。この基板は、基板を用いてダイオード構造を形成した後、基板の裏面研磨によってその厚みを低減し、ダイシングして各チップに分断されるため、裏面研磨の際に大部分が除去されるが、一部がP型クラッドの下に残留する場合もある。無機発光素子102としては、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlInGaP)あるいはアルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)あるいはガリウムヒ素リン(GaAsP)等の化合物半導体が用いられる。さらに言えば、本実施形態において、p型クラッド層106及びn型クラッド層104は、窒化ガリウム(GaN)などが用いられる。また、発光層108としては、窒化インジウムガリウム(InGaN)などが用いられる。発光層108は、InGaN、GaNが積層された多量子井戸構造(MQW)でもよい。
【0063】
例えば、第1無機発光体100Rにおいて、無機発光素子102の発光層108は、例えばアルミニウムとガリウムとインジウムの組成比が0.225:0.275:0.5の燐化アルミニウムガリウムインジウムであってよく、p型クラッド層106とn型クラッド層104とは、燐化アルミニウムインジウムであってよく、発光素子基板が砒化ガリウムであってよい。また例えば、第2無機発光体100Gにおいて、無機発光素子102の発光層108は、例えばインジウムとガリウムの組成比が0.45:0.55の窒化インジウムガリウムであってよく、p型クラッド層106とn型クラッド層104とは、窒化ガリウムであってよく、発光素子基板が炭化珪素であってよい。また例えば、第3無機発光体100Bにおいて、無機発光素子102の発光層108は、例えばインジウムとガリウムの組成比が0.2:0.8の窒化インジウムガリウムであってよく、p型クラッド層106とn型クラッド層104とは、窒化ガリウムであってよく、発光素子基板が炭化珪素であってよい。
【0064】
無機発光体100は、上側に向かって、反射層112、アノード電極110、p型クラッド層106、発光層108、n型クラッド層104、カソード電極114の順で積層されている。無機発光体100の下には、接続層50fが設けられ、無機発光体100の上には、対向カソード電極90eが設けられる。
【0065】
対向アノード電極50eは、導電性の部材、ここでは金属材料を含む。本実施形態では、対向アノード電極50eは、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)とを含み、例えば、チタンの層とアルミニウムの層とが第3方向Dzに沿って積層されている。接続層50fは、導電性の部材、ここでは金属材料を含む。接続層50fは、例えば、銀ペースト、すなわち銀錫(AgSn)や、金ペースト、すなわち金錫(AuSn)などであり、対向アノード電極50eとアノード電極110とを接続する。
【0066】
反射層112は、接続層50fの上に設けられる。反射層112は、光を反射可能な導電性の部材であり、本実施形態では、銀(Ag)を含む合金である。アノード電極110は、反射層112の上に設けられる。アノード電極110は、透光性を有する導電性の部材であり、例えばITOである。アノード電極110は、反射層112及び接続層50fを介して、対向アノード電極50eに電気的に接続されている。アノード電極110の上には、p型クラッド層106が設けられている。アノード電極110は、p型クラッド層106と接続されている。
【0067】
カソード電極114は、n型クラッド層104の上に設けられる。カソード電極114は、n型クラッド層104に接続される。カソード電極114は、透光性を有する導電性の部材であり、例えばITOである。カソード電極114は、対向カソード電極90eに接続されている。対向カソード電極90eは、透光性を有する導電性の部材であり、例えばITOである。
【0068】
例えば、無機発光体100を製造する際には、無機発光素子102を構成する各層を発光素子基板上に成膜し、発光素子基板を薄膜化して、下面にアノード電極110及び反射層112を形成した後、方形に切断したものを接続層50f上に配置する。接続層50fに銀ペーストを用いれば、無機発光素子102は一時の圧力に応じて変形し、これに密着して導通する。あるいはまた接続層50fにアノード電極110及び反射層112などと同じ材料を用いても良く、この場合、無機発光素子102を配置した後に加熱すれば、接続層50fを無機発光素子102と一体化させることができ、導通がとれる。
【0069】
表示装置2は、以上のような積層構造となっている。以上の説明では、表示装置2は、無機発光体100が、下面(アノード電極110)で対向アノード電極50eに接続し、上面(カソード電極114)で対向カソード電極90eに接続するタイプである。しかし表示装置2は、このタイプに限定されず、無機発光体100が、上面及び下面のどちらか一方で、対向アノード電極50e及び対向カソード電極90eに接続されてもよい。
図11は、本実施形態に係る表示装置の他の構成例を示す断面図である。
図11においては、無機発光体100の上側に、対向アノード電極50e及び対向カソード電極90eが設けられる。無機発光体100には、接続部116が設けられ、接続部116において、無機発光体100の上側の対向カソード電極90eと、接続層50fとが電気的に接続される。接続部116は、導電性の部材であり、モリブデンタングステン合金、若しくはモリブデンタングステン合金とアルミニウムの積層膜などであてよい。また、
図11とは逆に、対向アノード電極50e及び対向カソード電極90eを無機発光体100の下側に設けてもよい。
【0070】
(表示システムの組み立て方法)
次に、表示システム1の組み立て方法について説明する。
図12は、本実施形態に係る表示システムの組み立て方法を説明する図である。
図12のステップS10に示すように、表示システム1を組み立てる際には、基部4に表示装置2を取り付ける。具体的には、基部4の凹部4B内に、表示装置2を収納する。ステップS10においては、表示装置2には表面層5が取り付けられておらず、基部4にも、表面4Aを構成する基部表面層4Sが取り付けられてない。
【0071】
基部4に表示装置2を取り付けたら、ステップS12に示すように、表示装置2と基部4とに、表面部Sを取り付ける。表面部Sは、表面層5が取り付けられていない表示装置2の表面と、基部表面層4Sが取り付けられてない基部4の表面と、を覆うシート状の部材である。表面部Sは、基部表面層4Sと表面層5とが一体として構成された部材である。言い換えれば、表面部Sは、基部表面層4Sを構成する部分と、表面層5を構成する部分とを含む。表面部Sの表面層5を構成する部分は、遮断部6と透過部8とを含む。表面部Sは、基部表面層4Sを構成する部分の表面4Aと、表面層5を構成する部分の表面5Aとが連続して、表面1Aを構成している。また、表面層5を構成する部分の表面5Aは、遮断部6の表面6Aと透過部8の透過面8Aとを含むため、表面部Sは、遮断部6を構成する部分の表面6Aと、基部表面層4Sを構成する部分の表面4Aとが連続しているといえる。なお、本実施形態においては、基部表面層4Sには、透過部8などの開口が設けられない。
【0072】
ステップS12においては、平面視において、表面層5が取り付けられていない表示装置2に、表面層5を構成する部分が重畳し、基部表面層4Sが取り付けられてない基部4に、基部表面層4Sが重畳するように、表示装置2と基部4とに、表面部Sを取り付ける。そして、表示装置2と基部4とに、表面部Sを固定(例えば接着)する。さらに言えば、ステップS12では、平面視において表示装置2の無機発光体100(画素Pix)に透過部8が重畳するように、表面部Sを取り付ける。
【0073】
表示装置2と基部4とに、表面部Sを取り付けることで、ステップS14に示すように、表示システム1の組み立てが完了する。表示システム1は、平面視において表示装置2と表面層5とか重畳して、平面視において表示装置2が設けられる部分の領域が、表面5Aとなる。そして、表面5Aのうち、平面視で透過部8と無機発光体100(画素Pix)とが重畳する領域が、透過面8Aとなり、透過面8A以外の領域が、表面6Aとなる。また、表示システム1は、平面視において基部4と基部表面層4Sとが重畳し、基部4が設けられる部分の領域が、表面4Aとなる。
【0074】
このように、本実施形態においては、基部表面層4Sと表面層5とが一体となった表面部Sを、表示装置2と基部4とに取付ける。ただし、基部表面層4Sと表面層5とを、別体にしてもよい。この場合、平面視において、表示装置2の無機発光体100(画素Pix)に透過部8が重畳するように、表示装置2に表面層5を取り付ける。そして、基部表面層4Sを取り付けた基部4に、表面層5を取り付けた表示装置2を、取り付ける。ただし、基部4に表示装置2を取り付けてから、表示装置2に表面層5を取り付けてもよい。また、表示装置2に表面層5を取り付ける際には、例えば、透明基板に、表面層5を張り付け、表面層5の透過部8と表示装置2の無機発光体100(画素Pix)とが重畳するように、透明基板を張り付けた表面層5を、表示装置2に貼り付けてもよい。ここでの透明基板は、光Lなどの可視光を透過する部材であれば任意の部材であってよく、ガラス製であってもよいし、樹脂製であってもよい。また、基板に、透過部8が形成されていない表面層5(すなわち遮断部6のみの表面層5)を張り付け、金型などで基板と表面層5との両方を一度に打ち抜いて、透過部8を形成しても良い。この場合、光Lなどの可視光を透過しない樹脂などの部材を、基板として適用可能である。
【0075】
(表示システムの見え方)
次に、表示システム1を視認した場合の見え方について説明する。
図13は、無機発光体を消灯している場合の表示システムの外観を示した模式図であり、
図14は、無機発光体を点灯している場合の表示システムの外観を示した模式図である。
図13に示すように、表示装置2の無機発光体100を消灯している際、より詳しくは表示装置2の全ての無機発光体100を消灯している際には、無機発光体100は、光Lを発光しない。従って、無機発光体100を消灯している際に表示システム1を平面視した場合、表示システム1は、表示装置2の表面層5の表面5Aが視認され、表示装置2の表面5Aと基部4の表面4Aとの外観が、表面1Aとして、連続するように視認される。さらに言えば、表面層5の透過部8は十分に小さく視認され難いため、無機発光体100を消灯している際には、表示システム1は、表示装置2の遮断部6の表面6Aの外観と、基部4の表面4Aの外観とが、連続するように視認される。このように、無機発光体100を消灯している際には、表面5Aと表面4Aとの間の境界が視認されず、表面4Aと表面5Aとの区別がつかず、表面4Aと表面5Aとが同一の1つの表面1Aとして視認される。このように、表示システム1は、表示装置2を消灯中には、表示装置2の表面5Aと基部4の表面4Aとの区別がつきにくくなり、表示装置2が基部4であると視認されて、表示装置2が目立たなくなる。なお、例えば表示装置2に近づくと、透過部8を介して、無機発光体100やその周囲の配線が視認される可能性があるが、無機発光体100やその周囲の配線からの可視光の反射は、偏光板94によって抑えることができ、視認され難くできる。
【0076】
一方、
図14に示すように、表示装置2の無機発光体100を点灯させた場合、無機発光体100からの光Lが、無機発光体100の方向Dz1側に対向する透過部8を透過して、表示装置2の外部に向けて照射される。すなわち、無機発光体100を点灯させた場合、透過面8Aから、無機発光体100の光Lが出射される。そのため、無機発光体100を点灯させている際に表示システム1を平面視した場合、表示システム1は、表面層5の方向Dz1側に、透過面8Aを透過した無機発光体100の光Lによる画像PIが、視認されて、表面5Aは画像PIにより隠れる。さらに、画像PIの周りの基部4の表面4Aも、視認される。すなわち、無機発光体100を点灯させている際に表示システム1を平面視した場合、表示システム1は、無機発光体100の光Lによって表示される画像PIと、基部4の表面4Aとが、視認される。無機発光体100は、サイズが小さく、光Lの広がり角度も大きいため、無機発光体100の消灯時に透過部8が視認されない程度に透過部8を小さくしても、無機発光体100から発光されて透過部8を通った光Lにより、画像PIを適切に表示させることができる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る表示システム1は、基部4と、基部4に取付けられる表示装置2とを備える。表示装置2は、マトリクス状に並ぶ複数の無機発光体100と、透過部8及び遮断部6を含む表面層5と、を備える。表面層5は、無機発光体100に対し、無機発光体100が発光する光Lの進行方向側、すなわち方向Dz1側に設けられる。透過部8は、方向Dz1側から見て無機発光体100に重畳するようにマトリクス状に設けられて、無機発光体100からの光Lを透過する。遮断部6は、無機発光体100からの光Lを遮断する。複数の無機発光体100は、それぞれ表面層5に設けられた複数の透過部8のそれぞれと重畳して設けられる。
【0078】
本実施形態に係る表示システム1は、無機発光体100の方向Dz1側に、透過部8と遮断部6とが設けられて、それぞれの無機発光体100は、それぞれの透過部8と重畳している。従って、表示システム1は、無機発光体100の点灯時には、無機発光体100からの光Lを、透過部8を通して外部に出射できるため、画像PIを適切に表示できる。また、無機発光体100の消灯時には、無機発光体100からの光Lが出射されなくなるため、遮断部6の表面6Aが視認可能となる。そのため、無機発光体100の消灯時には、表面層5の表面5A(遮断部6の表面6A)と基部4の表面4Aとの区別がつきにくくなり、表示装置2が基部4と一体化して視認されて、表示装置2を目立たなくすることができる。特に、表示装置2が大きい場合は、部屋の中などでの表示装置2の威圧感を抑えることができる。
【0079】
また、表示システム1は、無機発光体100の点灯時に、透過部8を透過した無機発光体100からの光Lによって表示される画像PIと、基部4の表面4Aとが視認される。そして、表示システム1は、無機発光体100の消灯時に、表面層5の表面5Aと基部4の表面4Aとが、連続するように視認される。本実施形態に係る表示システム1によると、表示装置2の点灯時には、画像PIが適切に表示され、表示装置2の消灯時には、表面層5の表面5Aの外観と基部4の表面4Aの外観とが連続するように視認されるため、表示装置2を目立たなくすることができる。
【0080】
また、表面層5と、基部4の表面4Aを構成する基部表面層4Sとは、一体の部材であることが好ましい。表面層5と基部表面層4Sを一体の部材(表面部S)とすることで、表面層5の表面5Aと基部4の表面4Aとの区別をつき難くして、表示装置2を目立たなくすることができる。
【0081】
また、表面層5と、基部4の表面4Aを構成する基部表面層4Sとは、別体の部材であってもよい。表面層5と基部表面層4Sを別体の部材としても、無機発光体100の消灯時には遮断部6の表面6Aが視認可能であるため、表示装置2が基部4と一体化して視認されて、表示装置2を目立たなくすることができる。
【0082】
また、遮断部6の表面6Aと基部4の表面4Aとは、形状、模様、及び色彩の少なくとも1つが、同じとなっている。表面6Aと表面4Aとの形状、模様、及び色彩の少なくとも1つが同じとなることで、表面6Aと表面4Aとの区別をつき難くして、表示装置2を目立たなくすることができる。なお、遮断部6の表面6Aと基部4の表面4Aとは、形状、模様、及び色彩の全てが、同じとなっていてよい。
【0083】
(変形例)
次に、上述の実施形態の変形例について説明する。
図15は、第1変形例に係る表示システムの模式図である。
図15の第1変形例に示すように、表示システム1は、表示装置2の表面層5の表面5Aに光LIを照射する照明部96を備えていてよい。この場合、照明部96は、図示しない照明制御部に、可視光の光LIの照射が制御される。
図15の(a)に示すように、照明部96は、表示装置2の無機発光体100が消灯する場合、すなわち表示装置2が画像PIを表示しない場合に、表面層5の表面5Aに光LIを照射する。なお、照明部96は、表面層5の表面5Aと、表面5Aの周辺の基部4の表面4Aとに、光LIを照射してよい。一方、
図15の(b)に示すように、照明部96は、表示装置2の無機発光体100が点灯する場合、すなわち表示装置2が画像PIを表示する場合に、照明部96は、光LIの照射を停止する。このように、照明部96は、無機発光体100の消灯時に表面5Aに光を照射し、無機発光体100の点灯時に表面5Aへの光の照射を停止する。これにより、画像PIを表示しない際には基部4を明るくしつつ、画像PIを表示する際には、表面4A、5Aへの光の照射を停止するため、表面4A、5Aからの可視光の反射が抑えられ、画像PIのコントラスト低減を抑制できる。
【0084】
また、上述の実施形態では、透過部8が形成された表面層5を表示装置2に取付けるため、表面層5の透過部8と、表示装置2の無機発光体100(画素Pix)との位置合わせが必要であった。しかし、以下の第2変形例で説明するように、透過部8が形成されない表面層5を表示装置2に取付けた後で、無機発光体100に重畳するように、透過部8を形成してもよい。以下、具体的に説明する。
【0085】
図16は、第2変形例に係る画素を示す模式図である。
図16に示すように、第2変形例に係る表示装置2aは、1つの画素Pixに、第1無機発光体100R、第2無機発光体100G、第3無機発光体100Bに加えて、紫外線発光部100UVを設けてよい。紫外線発光部100UVは、紫外線L
UVを照射する無機発光素体である。1つの画素Pixにおいて、紫外線発光部100UVは、平面視において画素Pixの中心に位置するように配置されることが好ましい。すなわち、紫外線発光部100UVは、平面視において、画素Pixの他の無機発光体100(第1無機発光体100R、第2無機発光体100G、第3無機発光体100B)を頂点とした多角形における中心点の位置に配置されることが好ましい。
【0086】
図17は、第2変形例に係る表示装置の構成例を示す断面図である。
図17に示すように、第2変形例に係る表示装置2aは、対向アノード電極50eaと、接続層50faと、紫外線発光部100UVとを備える。対向アノード電極50eaは、絶縁膜45上に設けられ、絶縁膜45に設けられた貫通孔を介して駆動トランジスタDRTのドレイン接続配線43dに接続される。対向アノード電極50eaは、例えば対向アノード電極50eaと同じ部材で形成される。接続層50faは、絶縁膜66上に設けられ、絶縁膜66に設けられた貫通孔を介して対向アノード電極50eaに接続される。接続層50faは、例えば接続層50fと同じ部材で形成される。紫外線発光部100UVは、接続層50fa上に設けられる。紫外線発光部100UVの構成は、紫外線L
UVを発光するための組成以外は、無機発光体100と同じである。紫外線発光部100UVのアノード電極110UVは、反射層112UV及び接続層50faを介して、対向アノード電極50efに電気的に接続される。紫外線発光部100UVのカソード電極114UVは、対向カソード電極90eに接続される。第2変形例においては、表面層5は、紫外線L
UVの照射により分解する部材(例えば有機膜)で構成されている。表面層5には、乾式のポジ型フォトレジストを用いることができる。
【0087】
図18は、第2変形例に係る表示システムの組み立て方法を説明する図である。
図18に示すように、第2変形例においては、ステップS12aに示すように、表面層5が取り付けられていない表示装置2の表面と、基部表面層4Sが取り付けられてない基部4の表面とに、表面部Saを取り付ける。ここでの表面部Saは、表面層5に透過部8が形成されていない以外の点は、上述の実施形態の表面部Sと同じ構成である。ステップS14aに示すように、表面部Saが表示装置2に取付けられた状態では、表示装置2の無機発光体100(画素Pix)は、表面部Saの表面層5(遮断部6)に覆われている。その後、表示装置2は、制御部により、紫外線発光部100UVに紫外線L
UVを照射させる。表面層5は、紫外線L
UVが照射された部分が光分解して、紫外線L
UVによって光分解された部分が透過部8となり、紫外線L
UVによって光分解されていない部分が、遮断部6のまま残る。なお、紫外線L
UVを照射した後の表面層5を、溶剤などで洗浄して、紫外線L
UVによって光分解された部分を取り除いて、透過部8としてもよい。紫外線発光部100UVは、画素Pix内に設けられるため、紫外線発光部100UVからの紫外線L
UVで形成された透過部8は、平面視において、無機発光体100(画素Pix)と重畳する。このように、表示装置2aは、表面層5に透過部8を形成するための紫外線L
UVを発光する紫外線発光部100UVを設けることで、透過部8と無機発光体100(画素Pix)との位置合わせが不要となる。なお、紫外線発光部100UVは、透過部8を形成した後は、点灯されなくてよい。また、第2変形例においても、基部表面層4Sと表面層5とを、別体にしてもよい。
【0088】
また、
図16の例では、紫外線発光部100UVは、平面視において、画素Pixの中心に位置しているが、紫外線発光部100UVの位置は中心に限られず、任意である。
図19は、第2変形例に係る画素の他の例を示す模式図である。例えば
図19に示すように、紫外線発光部100UVは、第1無機発光体100R、第2無機発光体100G、第3無機発光体100Bと共に、それぞれが矩形の4つの頂点の位置に配置されるように、設けられてもよい。この場合、紫外線発光部100UVは、紫外線L
UVが画素Pixの中心線に向かうように、傾斜して表示装置2に取付けられてよい。
【0089】
また、第2変形例では、透過部8が開口であったが、光Lを透過する固体の部材であってもよい。
図20は、第2変形例に係る表示装置の他の構成例を示す断面図である。
図20に示すように、この場合の表示装置2aは、表面層5の上に、紫外線遮断膜UVAFが設けられる。
図20の構成において、表面層5は、有機膜(樹脂膜)に光反応性色素が含まれた構成となっている。有機膜は、可視光を透過する透明な膜である。光反応性色素は、可視光を吸収するように着色された色素であり、紫外線L
UVが照射されると、反応を起こして分解する。光反応性色素には、例えばアゾ系色素を用いることができる。表面層5は、紫外線L
UVが照射されていない状態において、全域において、母材である透明の有機膜が添加剤である光反応性色素で着色されており、可視光を吸収して遮断する。一方、表面層5は、紫外線発光部100UVからの紫外線L
UVが照射されると、紫外線L
UVが照射された部分の光反応性色素が分解して、光反応性色素が分解した部分が、透明な透過部8となり、紫外線L
UVが照射されていない部分が、光反応性色素が残る遮断部6となる。なお、透過部8は、開口ではなく、透明な有機膜を含んだ固体状の部材となる。
【0090】
紫外線遮断膜UVAFは、紫外線を吸収する膜である。紫外線遮断膜UVAFは、外部からの紫外線を吸収して、表面層5に到達することを遮断する。紫外線遮断膜UVAFは、表面層5への外部からの紫外線を遮断することで、表面層5の遮断部6の光反応性色素が、外部の紫外線(例えば太陽光に含まれる紫外線成分)によって分解されることを抑制できる。なお、紫外線遮断膜UVAFは、表示装置2の外部からの紫外線の表面層5への到達を抑えるものであれば、紫外線を吸収する部材に限られず、例えば、紫外線を反射する部材であってよい。
【0091】
また、第2変形例では、紫外線発光部100UVを表示装置2内に設けたが、以下の第3変形例で説明するように、紫外線発光部100UVbを表示装置2外に設けてもよい。
図21は、第3変形例に係る表示装置の構成例を示す断面図である。
図21に示すように、第3変形例に係る表示装置2bは、第2変形例と異なり、内部に、対向アノード電極50ea、接続層50fa、及び紫外線発光部100UVを設けない。表示装置2bは、紫外線LUVを照射する領域ARには、トランジスタTr、無機発光体100、各種電極、各種配線、及び紫外線の透過率が低い有機絶縁膜などを配置しない。
図21の例では、領域ARには、基板10、アンダーコート層20、絶縁膜24、29、35が設けられている。また、表示装置2bは、基板10の第1面10a上に、光を遮断する遮光層22を設ける。遮光層22は、領域AR以外の領域に配置される。遮光層22は、紫外線L
uvを遮断するものであり、例えばモリブデンタングステン合金膜などであってよい。
【0092】
このような構成において、基板10の第2面10b側に、紫外線発光部100UVbを配置する。紫外線発光部100UVbは、紫外線L
UVを照射可能な装置であれば、任意の構成であってよい。紫外線発光部100UVbは、基板10の第2面10b側から、平面視での表示装置2bの全域に、紫外線L
UVを照射する。紫外線発光部100UVbからの紫外線は、領域AR以外においては、遮光層22で紫外線L
UVが遮光される。一方、紫外線発光部100UVbからの紫外線L
UVは、領域ARにおいては、基板10、アンダーコート層20、絶縁膜24、29、35を透過して、表面層5に照射される。表面層5は、紫外線L
UVが照射された部分が分解されて、透過部8となり、紫外線L
UVが照射されていない部分が、遮断部6となる。なお、
図21では、図のレイアウト上、無機発光体100の上側の表面層5には紫外線L
UVが照射されていないように見えるが、実際には、無機発光体100の上側の表面層5に紫外線L
UVが照射されるように領域ARの位置を調整して、無機発光体100の上側を透過部8とする。なお、第3変形例においても、第2変形例の
図20と同様に、紫外線遮断膜UVAFを設け、透過部8を透明な部材としてもよい。
【0093】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0094】
1 表示システム
2 表示装置
4 基部
4A 表面
5 表面層
5A 表面
6 遮断部
8 透過部
100 無機発光体