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特許7432341アスファルト混合物の製造方法及びアスファルトプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】アスファルト混合物の製造方法及びアスファルトプラント
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/02 20060101AFI20240208BHJP
   E01C 19/10 20060101ALI20240208BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20240208BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240208BHJP
   B01D 53/81 20060101ALI20240208BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20240208BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20240208BHJP
【FI】
E01C19/02 ZAB
E01C19/10 A
B01D53/62
B01D53/78
B01D53/81
B01D53/82
C01B32/50
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019203408
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021075907
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000201515
【氏名又は名称】前田道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 晋仁
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-234285(JP,A)
【文献】特表2011-521879(JP,A)
【文献】特開2007-016495(JP,A)
【文献】特開2014-162716(JP,A)
【文献】特開2003-171909(JP,A)
【文献】国際公開第2010/011171(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02679724(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/02
E01C 19/10
B01D 53/62
B01D 53/78
B01D 53/81
B01D 53/82
C01B 32/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の骨材を第1の乾燥炉により乾燥する第1の乾燥工程と、
前記第1の乾燥工程で乾燥させた前記第1の骨材をアスファルトと混合する混合工程と、を備えたアスファルト混合物の製造方法であって、
前記第1の乾燥工程で発生した排ガスからCOを分離して回収する第1のCO回収工程と、
前記第1の骨材と前記第1のCO回収工程で回収したCOとを第1の固定化槽に収容する第1の収容工程と、
前記第1の固定化槽において、前記第1のCO回収工程で回収したCOを前記第1の骨材に固定する第1のCO固定工程と、
COが固定された前記第1の骨材を前記第1の乾燥炉に供給する第1の骨材供給工程と、を備えたアスファルト混合物の製造方法。
【請求項2】
前記第1の骨材とは種類が異なる第2の骨材を第2の乾燥炉により乾燥する第2の乾燥工程と、
前記第2の骨材と前記第1のCO回収工程で回収したCOとを第2の固定化槽に収容する第2の収容工程と、
前記第2の固定化槽において、前記COを前記第2の骨材に固定する第2のCO固定工程と、
COが固定された前記第2の骨材を前記第2の乾燥炉に供給する第2の骨材供給工程と、を備えており、
前記混合工程は、前記第2の乾燥工程で乾燥させた前記第2の骨材を、前記第1の骨材及び前記アスファルトと混合することを含む請求項1に記載のアスファルト混合物の製造方法。
【請求項3】
前記第2の乾燥工程で発生した排ガスからCOを分離して回収し、回収したCOを前記第2の固定化槽に供給する第2のCO回収工程を備えた請求項2に記載のアスファルト混合物の製造方法。
【請求項4】
前記第1のCO固定工程は、前記第1の乾燥工程の廃熱を利用して、COを前記第1の骨材に固定する請求項1~3のいずれか1項に記載のアスファルト混合物の製造方法。
【請求項5】
前記第1の乾燥工程と前記第1のCO回収工程との間に、排ガスを燃焼脱臭機により脱臭する脱臭工程を備えており、
前記第1のCO回収工程は、前記脱臭工程で燃焼した排ガスからCOを分離して回収する請求項1~4のいずれか1項に記載のアスファルト混合物の製造方法。
【請求項6】
前記第1の骨材又は前記第2の骨材の一方が新骨材であり、前記第2の骨材又は前記第1の骨材の他方が再生骨材である請求項2又は3に記載のアスファルト混合物の製造方法。
【請求項7】
アスファルト舗装廃材を含む建設廃材を破砕して前記再生骨材を製造する再生骨材製造工程を備えた請求項6に記載のアスファルト混合物の製造方法。
【請求項8】
第1の骨材を乾燥する第1の乾燥炉と、
前記第1の乾燥炉で乾燥させた前記第1の骨材をアスファルトと混合する混合装置と、を備えたアスファルトプラントであって、
前記第1の乾燥炉で発生した排ガスからCOを分離して回収するCO回収装置と、
前記第1の骨材と前記C回収装置で回収したCOとを収容する第1の固定化槽を備え、前記第1の固定化槽において、前記CO回収装置で回収したCOを前記第1の骨材に固定する第1のCO固定装置と、
COが固定された前記第1の骨材を前記第1の乾燥炉に供給する第1の骨材供給装置と、を備えたアスファルトプラント。
【請求項9】
前記CO回収装置で回収したCOを前記第1のCO固定装置の前記第1の固定化槽に供給する第1のCO供給路を備えた請求項8に記載のアスファルトプラント。
【請求項10】
前記第1の骨材とは種類が異なる第2の骨材を乾燥する第2の乾燥炉と、
COを前記第2の骨材に固定する第2のCO固定装置と、
COが固定された前記第2の骨材を前記第2の乾燥炉に供給する第2の骨材供給装置と、を備えており、
前記第2のCO固定装置は、前記第2の骨材と前記C回収装置で回収したCOとを収容する第2の固定化槽を備え、
前記混合装置は、前記第2の乾燥炉で乾燥させた前記第2の骨材を、前記第1の骨材及び前記アスファルトと混合する請求項8又は9に記載のアスファルトプラント。
【請求項11】
前記第1の乾燥炉で発生した排ガスと、前記第2の乾燥炉で発生した排ガスとを集合して前記CO回収装置に供給する煙道と、
前記CO回収装置により排ガスから分離して回収したCOを、前記第2のCO固定装置の前記第2の固定化槽に供給する第2のCO供給路と、を備えた請求項10に記載のアスファルトプラント。
【請求項12】
前記第1の乾燥炉と前記第1のCO固定装置との間に配置され、前記第1の乾燥炉の廃熱を前記第1のCO固定装置に供給する廃熱供給路を備えており、
前記第1のCO固定装置は、前記廃熱供給路から供給された廃熱を利用してCOを前記第1の骨材に固定する請求項8~11のいずれか1項に記載のアスファルトプラント。
【請求項13】
前記第1の乾燥炉と前記CO回収装置との間に配置され、排ガスを脱臭する燃焼脱臭機を備えており、
前記CO回収装置は、前記燃焼脱臭機で燃焼した排ガスからCOを分離して回収する請求項8~12のいずれか1項に記載のアスファルトプラント。
【請求項14】
前記第1の骨材又は前記第2の骨材の一方が新骨材であり、前記第2の骨材又は前記第1の骨材の他方が再生骨材である請求項10又は11に記載のアスファルトプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト混合物の製造方法と、アスファルト混合物を製造するアスファルトプラントと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路の舗装材として知られるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントは、骨材を加熱して乾燥する乾燥炉と、加熱した骨材とアスファルトとを混合するミキサとを備えている。乾燥炉は、内部に骨材が供給される円筒状の回転ドラムと、回転ドラム内に熱風を供給するバーナとを備えている。乾燥炉は、回転ドラムを所定速度で回転させ、回転ドラムの内部に設けた多数の掻上げ羽根によって骨材を掻き上げながら熱風と接触させることにより、骨材を所定温度まで加熱して乾燥する。
【0003】
近年、地球温暖化を抑制するために、温室効果ガスであるCO(以下、二酸化炭素ともいう)の大気中への排出を抑制する取り組みがなされている。たとえば、特許文献1に記載されている発明では、廃コンクリートを破砕して生成した再生砂に排気ガス中のCOを固定することにより、COの排出量の削減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-90198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のアスファルトプラントでは、乾燥炉から排出される排気ガスにCOが含まれているため、低燃費バーナの使用や、掻き上げ羽根の形状変更による回転ドラム内の熱効率の向上等によって、COの排出量の削減を図っている。しかしながら、バーナの変更や、掻き上げ羽根の形状変更では、削減可能なCOの排出量にも限度がある。また、特許文献1に記載の発明は、廃コンクリートを破砕した再生砂にCOを固定するものであり、アスファルト混合物には適用できず、コンクリート製造プラントで発生するCOの排出量を削減することもできない。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、アスファルト混合物の製造時に発生したCOの排出量が削減可能な、アスファルト混合物の製造方法及びアスファルトプラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明に係るアスファルト混合物の製造方法は、第1の骨材を第1の乾燥炉により乾燥する第1の乾燥工程と、第1の乾燥工程で乾燥させた第1の骨材をアスファルトと混合する混合工程と、を備えたアスファルト混合物の製造方法であって、第1の乾燥工程で発生した排ガスからCOを分離して回収する第1のCO回収工程と、第1のCO回収工程で回収したCOを第1の骨材に固定する第1のCO固定工程と、COが固定された第1の骨材を第1の乾燥炉に供給する第1の骨材供給工程と、を備えたアスファルト混合物の製造方法である。
【0008】
[2]上記発明において、第1の骨材とは種類が異なる第2の骨材を第2の乾燥炉により乾燥する第2の乾燥工程と、COを第2の骨材に固定する第2のCO固定工程と、COが固定された第2の骨材を第2の乾燥炉に供給する第2の骨材供給工程と、を備えており、混合工程では、第2の乾燥工程で乾燥させた第2の骨材を、第1の骨材及びアスファルトと混合してもよい。
【0009】
[3]上記発明において、第2の乾燥工程で発生した排ガスからCOを分離して回収し、回収したCOを第2のCO固定工程に供給する第2のCO回収工程を備えてもよい。
【0010】
[4]上記発明において、第1のCO固定工程は、第1の乾燥工程の廃熱を利用して、COを第1の骨材に固定してもよい。
【0011】
[5]上記発明において、第1の乾燥工程と第1のCO回収工程との間に、排ガスを燃焼脱臭機により脱臭する脱臭工程を備えており、第1のCO回収工程では、脱臭工程で燃焼した排ガスからCOを分離して回収してもよい。
【0012】
[6]上記発明において、第1の骨材又は第2の骨材の一方が新骨材であり、第2の骨材又は第1の骨材の他方が再生骨材であってもよい。
【0013】
[7]上記発明において、アスファルト舗装廃材を含む建設廃材を破砕して再生骨材を製造する再生骨材製造工程を備えてもよい。
【0014】
[8]本発明に係るアスファルトプラントは、第1の骨材を乾燥する第1の乾燥炉と、第1の乾燥炉で乾燥させた第1の骨材をアスファルトと混合する混合装置と、を備えたアスファルトプラントであって、第1の乾燥炉で発生した排ガスからCOを分離して回収するCO回収装置と、CO回収装置で回収したCOを第1の骨材に固定する第1のCO固定装置と、COが固定された第1の骨材を第1の乾燥炉に供給する第1の骨材供給装置と、を備えたアスファルトプラントである。
【0015】
[9]上記発明において、CO回収装置で回収したCOを第1のCO固定装置に供給する第1のCO供給路を備えてもよい。
【0016】
[10]上記発明において、第1の骨材とは種類が異なる第2の骨材を乾燥する第2の乾燥炉と、COを第2の骨材に固定する第2のCO固定装置と、COが固定された第2の骨材を第2の乾燥炉に供給する第2の骨材供給装置と、を備えており、混合装置は、第2の乾燥炉で乾燥させた第2の骨材を、第1の骨材及びアスファルトと混合してもよい。
【0017】
[11]上記発明において、第1の乾燥炉で発生した排ガスと、第2の乾燥炉で発生した排ガスとを集合してCO回収装置に供給する煙道と、CO回収装置により排ガスから分離して回収したCOを、第2のCO固定装置に供給する第2のCO供給路と、を備えてもよい。
【0018】
[12]上記発明において、第1の乾燥炉と第1のCO固定装置との間に配置され、第1の乾燥炉の廃熱を第1のCO固定装置に供給する廃熱供給路を備えており、第1のCO固定装置は、廃熱供給路から供給された廃熱を利用してCOを第1の骨材に固定してもよい。
【0019】
[13]上記発明において、第1の乾燥炉とCO回収装置との間に配置され、排ガスを脱臭する燃焼脱臭機を備えており、CO回収装置は、燃焼脱臭機で燃焼した排ガスからCOを分離して回収してもよい。
【0020】
[14]上記発明において、第1の骨材又は第2の骨材の一方が新骨材であり、第2の骨材又は第1の骨材の他方が再生骨材であってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第1の骨材の乾燥時に発生した排ガスからCOを分離して回収し、回収したCOを第1の骨材にCOを固定し、COが固定された第1の骨材を利用してアスファルト混合物を製造するので、アスファルト混合物を製造することにより、大気中に排出されるCOを削減することができる。しかも、アスファルト混合物を製造する際に発生したCOを、アスファルト混合物の製造工程内で回収することができるので、従来よりもCOの排出量が少ないアスファルトプラントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係るアスファルト混合物製造システムにおいて、アスファルト混合物の製造時の工程を示す概略図である。
図2図1の破砕プラントの構成を示す概略図である。
図3図1のアスファルトプラントの骨材の乾燥に関する構成を示す概略図である。
図4図1のアスファルトプラントの骨材等の混合に関する構成を示す概略図である。
図5図1のアスファルトプラントにおけるアスファルト混合物の製造手順を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係るアスファルト混合物製造システムにおいて、アスファルト混合物の製造時に実行される工程を示す概略図である。
図7図6のアスファルトプラントの骨材の乾燥に関する構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
図1は、本発明のアスファルト混合物の製造方法及びアスファルトプラントを適用したアスファルト混合物製造システム1において、アスファルト混合物の製造時の工程を示す概略図である。本実施形態のアスファルト混合物製造システム1は、再生骨材を製造する破砕プラント2と、再生骨材と新骨材とを用いてアスファルト混合物を製造するアスファルトプラント3と、を備える。特に、アスファルトプラント3は、アスファルト混合物の製造時に発生した排ガスからCOを分離して回収し、回収したCOを骨材に固定し、COが固定された骨材を利用してアスファルト混合物を製造するものである。なお、本実施形態では、新骨材が本発明の第1の骨材の一例に相当し、再生骨材が第2の骨材の一例に相当する。
【0024】
破砕プラント2は、外部から受け入れた建設廃材を破砕し(破砕工程P1)、アスファルト混合物に用いる再生骨材を製造する工場である。建設廃材は、たとえば、道路工事等によって掘り起こされたアスファルト舗装廃材や、取り壊された建造物のコンクリート廃材等である。図2は、破砕プラント2の構成を示す概略図である。破砕プラント2は、廃材ホッパ21と、グリズリフィーダ22と、1次破砕機23と、スクリーン24と、2次破砕機25等を備えている。なお、図2における破線の矢印は、油圧ショベルやショベルローダー等の重機(建設機械)による廃材の移動を示し、実線の矢印は、ベルトコンベアによる廃材の移動を示している。
【0025】
廃材ホッパ21は、下部がすぼめられた四角錐形状の箱であり、重機によって上部から供給された建設廃材26を一時的に貯留し、貯留した建設廃材26を下部に設けられた供給口からグリズリフィーダ22に供給する。グリズリフィーダ22は、廃材ホッパ21から供給された建設廃材26を所定量ずつ1次破砕機23に供給する振動フィーダである。グリズリフィーダ22は、先端部に設けられた格子部により建設廃材26を選別し、破砕する必要のない大きさの建設廃材26を再生路盤材26aとして1次破砕機23の外にふるい落す。
【0026】
1次破砕機23は、グリズリフィーダ22から供給された建設廃材26を破砕する。スクリーン24は、1次破砕機23で破砕された建設廃材26をその大きさに応じて再生骨材26bと、再生路盤材26cとに分級する。再生骨材26bの大きさと再生路盤材26cの大きさの関係は、再生骨材26b<再生路盤材26cである。なお、再生骨材26bは、大きさに応じてさらに分級してもよい。2次破砕機25は、スクリーン24で分級できなかった建設廃材26をさらに破砕して、スクリーン24に供給する。破砕プラント2で製造された再生骨材26bは、アスファルトプラント3に供給される(破砕材供給工程P2、図1参照)。
【0027】
図1に示すように、アスファルトプラント3は、新骨材4(図3参照)と、再生骨材26bとの少なくとも何れか一方を用いてアスファルト混合物を製造する。すなわち、アスファルトプラント3は、新骨材4のみを用いたアスファルト混合物と、再生骨材26bのみを用いたアスファルト混合物と、新骨材4及び再生骨材26bを用いたアスファルト混合物の3種類を製造することができる。なお、本実施形態では、新骨材4及び再生骨材26bを用いたアスファルト混合物の製造について説明する。
【0028】
アスファルトプラント3には、破砕プラント2から供給された再生骨材26bとともに、アスファルト混合物製造システム1の外部から、新骨材4(図3参照)と、石粉と、アスファルトとが供給される(骨材供給工程P3、アスファルト等供給工程P4)。新骨材4は、砕石や砂等の未使用の骨材である。石粉は、再生骨材26b及び新骨材4よりも粒度が低い骨材であり、再生骨材26b及び新骨材4の間の隙間に充填されるフィラーである。
【0029】
アスファルトプラント3は、新骨材4及び再生骨材26bを加熱して乾燥し(新骨材乾燥工程P5、再生骨材乾燥工程P6)、この加熱時に発生した排ガスEGからCOを分離して回収する(CO回収工程P7)。回収したCOは、次の工程に供給され(CO供給工程P8)、外部から供給された新骨材4と、破砕プラント2から供給された再生骨材26bとに固定される(新骨材固定工程P9、再生骨材固定工程P10)。そして、COが固定された新骨材4及び再生骨材26bは、新骨材乾燥工程P5及び再生骨材乾燥工程P6にそれぞれ供給される(新骨材供給工程P11、再生骨材供給工程P12)。乾燥された新骨材4及び再生骨材26bは、図示しない計量器により計量され、外部から供給された石粉及びアスファルトと混合されてアスファルト混合物が製造される(混合工程P13)。
【0030】
このように、アスファルトプラント3では、新骨材乾燥工程P5及び再生骨材乾燥工程P6と、CO回収工程P7と、新骨材固定工程P9及び再生骨材固定工程P10と、新骨材供給工程P11及び再生骨材供給工程P12とを繰り返すことにより、アスファルト混合物の製造時に排出されるCOを削減する。なお、新骨材乾燥工程P5及び再生骨材乾燥工程P6は、本発明の第1の乾燥工程及び第2の乾燥工程の一例に相当し、CO回収工程P7は、本発明の第1のCO回収工程及び第2のCO回収工程の一例に相当する。また、新骨材固定工程P9及び再生骨材固定工程P10は、本発明の第1のCO固定工程及び第2のCO固定工程の一例に相当し、新骨材供給工程P11及び再生骨材供給工程P12は、本発明の第1の骨材供給工程及び第2の骨材供給工程の一例に相当する。さらに、破砕工程P1及び混合工程P13は、本発明の再生骨材製造工程及び混合工程の一例に相当する。
【0031】
図3は、アスファルトプラント3において、新骨材4及び再生骨材26bを加熱するための構成を示す概略図である。アスファルトプラント3は、新骨材4を加熱する新骨材乾燥ライン31と、再生骨材26bを加熱する再生骨材乾燥ライン32と、を備える。なお、図3中の破線の矢印は、重機による新骨材4及び再生骨材26bの移動を示し、実線の矢印は、ベルトコンベアによる新骨材4及び再生骨材26bの移動を示している。また、一点鎖線の矢印は、排ガスEGの流れを示し、二点鎖線による矢印は、COの流れを示している。さらに、二重線の矢印は、新骨材4及び再生骨材26bの乾燥時に発生した廃熱の流れを示している。
【0032】
新骨材乾燥ライン31は、ホッパ311と、CO固定装置312と、乾燥炉313と、一次集塵機314と、二次集塵機315と、排風機316と、を備えている。ホッパ311は、下部がすぼめられた四角錐形状の箱であり、重機によって上部から供給された新骨材4を一時的に貯留し、貯留した新骨材4を下部に設けられた供給口からベルトコンベアBC1aに供給する。ベルトコンベアBC1aは、新骨材4をCO固定装置312に供給する。
【0033】
CO固定装置312は、上記の新骨材固定工程P9で使用され、本発明の第1のCO固定装置の一例に相当する。CO固定装置312は、新骨材4と、後述するCO回収装置33から供給されたCOとを収容する固定化槽(図示せず)と、この固定化槽内を加圧する加圧装置(図示せず)とを備えている。固定化槽は気密性を備えており、CO回収装置33からCOが供給されるCO供給路317と、乾燥炉313から廃熱が供給される廃熱供給路318とが接続されている。CO供給路317は、上記のCO供給工程P8で使用され、本発明の第1のCO供給路の一例に相当する。また、廃熱供給路318は、本発明の廃熱供給路の一例に相当し、たとえば、ヒートポンプ等の熱交換装置等を用いることができる。
【0034】
CO固定装置312は、たとえば、アイスランド大学等で研究されているCarbFixプロジェクトで用いられている二酸化炭素回収貯留法(Carbon dioxide Caputure and Storage、以下CCS法という)を利用してCOを新骨材4に固定する。具体的には、固定化槽内を乾燥炉313の廃熱と加圧装置とによって、加熱及び加圧を所定時間行い、CO回収装置33から供給されたCOを新骨材4に吸収・固定させる。固定化槽内の圧力、温度及び加圧・加熱時間は、たとえば、1~10MPa(G)、100~500°C、及び2~24時間であり、新骨材4の材質や大きさ等に応じて、新骨材4に対するCOの固定が最も効果的に行われる最適な値に設定されている。なお、乾燥炉313からの廃熱に代えて、あるいは廃熱に加えて、固定化槽内を加熱する加熱装置を設けてもよい。なお、CO固定装置312には、上記以外のCCS法を利用したCO固定装置を用いてもよい。
【0035】
CO固定装置312によってCOが固定された新骨材4は、ベルトコンベアBC2aによって乾燥炉313に供給される。ベルトコンベアBC2aは、上記の新骨材供給工程P11で使用され、本発明の第1の骨材供給装置の一例に相当する。また、乾燥炉313は、上記の新骨材乾燥工程P5で使用され、本発明の第1の乾燥炉の一例に相当する。
【0036】
乾燥炉313は、コールドホッパ313aと、回転ドラム313bと、ホットホッパ313cと、バーナ313dとを備える。乾燥炉313は、ホットホッパ313c側がコールドホッパ313aよりも高さが低くなるように傾斜して配置されている。コールドホッパ313aは、図示しない投入口を介して新骨材4を受け入れて回転ドラム313bに供給する。回転ドラム313bは、新骨材4が収容可能な円筒形状をしており、その内面には多数の掻上げ羽根が設けられている。回転ドラム313bは、その軸心回りに回転することにより、新骨材4を掻き上げ羽根で攪拌し、新骨材4をコールドホッパ313a側からホットホッパ313c側へ移動させる。バーナ313dは、ホットホッパ313c側に設置されており、回転ドラム313b内に熱風を供給して新骨材4を加熱して乾燥させる。ホットホッパ313cは、回転ドラム313b内を移動してきた新骨材4を受け入れて、下部に設けた排出口から排出する。乾燥炉313から排出された新骨材4は、保温機能を備えたホットビン(図示せず)に貯留される。
【0037】
乾燥炉313のコールドホッパ313aには、バーナ313dにより新骨材4を加熱することにより発生した排ガスEGを乾燥炉313から排出する煙道319が接続されている。煙道319は、本発明の煙道の一例に相当する。煙道319は、排ガスEGを大気中に放出する煙突34に接続されており、その途中には、一次集塵機314、二次集塵機315及び排風機316が配置されている。
【0038】
一次集塵機314は、排ガスEGから比較的大きな粉塵を除去する集塵機であり、たとえば、装置内で排ガスの方向を転換させて、慣性力により排ガスEGから粉塵を分離する慣性集塵機が用いられている。二次集塵機315は、一次集塵機314で除去しきれなかった比較的細かな粉塵を排ガスEGから除去する集塵機であり、たとえば、布または不織布製の袋状のフィルタを多数設置し、このフィルタに粉塵を含む排ガスEGを通して濾過するバグフィルタ集塵機が用いられている。排風機316は、一次集塵機314及び二次集塵機315を通して乾燥炉313内の排ガスEGを吸引する。なお、一次集塵機314及び二次集塵機315に代えて、一次集塵機314及び二次集塵機315の機能が一体化されたハイブリッド型の集塵機を用いてもよい。
【0039】
再生骨材乾燥ライン32は、ホッパ321と、CO固定装置322と、乾燥炉323と、一次集塵機324と、二次集塵機325と、排風機326と、を備えている。ホッパ321は、ホッパ311と同様のものであり、重機によって上部から供給された再生骨材26bを一時的に貯留し、貯留した再生骨材26bを下部に設けられた供給口からベルトコンベアBC1bに供給する。ベルトコンベアBC1bは、再生骨材26bをCO固定装置322に供給する。
【0040】
CO固定装置322は、上記の再生骨材固定工程P10で使用され、本発明の第2のCO固定装置の一例に相当する。CO固定装置322は、新骨材乾燥ライン31のCO固定装置312と同様に、固定化槽と、この固定化槽内を加圧する加圧装置とを備えている。固定化槽は気密性を備えており、CO回収装置33からCOが供給されるCO供給路327と、乾燥炉323から廃熱が供給される廃熱供給路328とが接続されている。CO供給路327は、上記のCO供給工程P8で使用され、本発明の第2のCO供給路の一例に相当する。廃熱供給路328は、本発明の廃熱供給路の一例に相当し、たとえば、ヒートポンプ等の熱交換装置を用いることができる。
【0041】
CO固定装置322は、新骨材乾燥ライン31のCO固定装置322と同様なものであるため、詳しい説明は省略するが、固定化槽内を乾燥炉323の廃熱と加圧装置とによって、加熱及び加圧を所定時間行い、CO回収装置33から供給されたCOを再生骨材26bに吸収・固定させる。固定化槽内の圧力、温度及び加圧・加熱時間は、再生骨材26bの材質や大きさ等に応じて、再生骨材26bに対するCOの固定が最も効果的に行われる最適な値に設定されている。したがって、CO固定装置322の固定化槽内の圧力、温度及び加圧・加熱時間は、新骨材4のCO固定装置312と同じ場合、あるいは異なる場合がある。このCO固定装置322においても、乾燥炉323からの廃熱に代えて、あるいは廃熱に加えて、固定化槽内を加熱する加熱装置を設けてもよい。なお、CO固定装置322についても、上記以外のCCS法を利用したCO固定装置を用いてもよい。
【0042】
CO固定装置322によってCOが固定された再生骨材26bは、ベルトコンベアBC2bによって乾燥炉323に供給される。ベルトコンベアBC2bは、上記の再生骨材供給工程P12で使用され、本発明の第2の骨材供給装置の一例に相当する。また、乾燥炉323は、上記の再生骨材乾燥工程P6で使用され、本発明の第2の乾燥炉の一例に相当する。
【0043】
乾燥炉323は、サージビン323aと、回転ドラム323bと、ホットホッパ323cと、バーナ323dとを備える。乾燥炉323は、サージビン323a側がホットホッパ323cよりも高さが低くなるように傾斜して配置されている。ホットホッパ323cは、図示しない投入口を介して再生骨材26bを受け入れて回転ドラム323bに供給する。回転ドラム323bは、再生骨材26bが収容可能な円筒形状をしており、その内面には多数の掻上げ羽根が設けられている。回転ドラム323bは、その軸心回りに回転することにより、再生骨材26bを掻き上げ羽根で攪拌し、再生骨材26bをホットホッパ323c側からサージビン323a側へ移動させる。バーナ323dは、ホットホッパ323c側に設置されており、回転ドラム323b内に熱風を供給して再生骨材26bを加熱して乾燥させる。サージビン323aは、回転ドラム323b内を移動してきた再生骨材26bを受け入れて、保温及び貯留する。
【0044】
乾燥炉323のサージビン323aには、バーナ313dにより再生骨材26bを加熱することにより発生した排ガスEGを排出する煙道329が接続されている。煙道329は、本発明の煙道の一例に相当する。煙道329は、煙突34に接続されており、その途中には、一次集塵機314、二次集塵機315及び排風機316が配置されている。なお、一次集塵機324、二次集塵機325及び排風機326は、新骨材乾燥ライン31のものと同様の構成であるため、詳しい説明は省略する。
【0045】
また、新骨材乾燥ライン31の煙道319と、再生骨材乾燥ライン32の煙道329は、排風機316及び排風機326の下流側で集合されてCO回収装置33及び煙突34に接続されている。CO回収装置33は、上記のCO回収工程P7で使用され、本発明のCO回収装置の一例に相当する。CO回収装置33は、乾燥炉313、323の排ガスEGからCOと、SOx及びNOxとを分離して回収し、CO供給路317、327を介してCO固定装置312、322に供給する装置である。煙突34は、CO、SOx及びNOxが回収された排ガスEGを大気中に放出する。
【0046】
CO回収装置33には、既存のCOの分離回収技術が用いられている。CO回収装置33で用いられる既存のCO分離回収技術としては、たとえば、化学吸収法、物理吸収法、固体吸収法、物理吸着法及び膜分離法等である。化学吸収法は、吸収液とCO含有ガスとを接触させ、化学反応を利用して吸収液にCOを選択的に吸収させた後、吸収液を加熱して高純度のCOを分離・回収する。物理吸収法は、CO分圧の高いCO含有ガスを吸収液に接触させて物理的に溶解させた後、吸収液の圧力を解除してCOを分離回収する。固体吸収法は、固体吸収材とCO含有ガスとを接触させ、化学反応を利用して固体吸収材にCOを選択的に吸収させた後、固体吸収材を加熱して高純度のCOを分離・回収する。また、物理吸着法は、多孔質固体とCO含有ガスとを接触させてCOを吸着させ、減圧あるいは加熱することによってCOを分離・回収する。膜分離法は、COが選択的に透過する膜を用いて、CO含有ガスからCOを分離する。なお、CO回収装置33には、既存のCO分離回収技術以外の新規なCO分離回収技術を用いてもよい。
【0047】
図4は、アスファルトプラント3において、新骨材4等を混合してアスファルト混合物を製造するための構成を示す概略図である。アスファルトプラント3は、新骨材乾燥ライン31で加熱された新骨材4と、再生骨材乾燥ライン32で加熱された再生骨材26bと、外部から供給されたアスファルト5と、石粉6とを計量して混合装置35に投入する。混合装置35は、新骨材4、再生骨材26b、アスファルト5及び石粉6を混合してアスファルト混合物7を製造する。製造されたアスファルト混合物7は、混合装置35から排出され、合材ストレージビン(図示せず)に貯留される。なお、混合装置35は、上記の混合工程P13で使用され、本発明の混合装置の一例に相当する。
【0048】
次に、図5に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態の作用について説明する。なお、以下では、アスファルトプラント3に対する新骨材4と再生骨材26bとの供給が完了し、新骨材4及び再生骨材26bの乾燥、排ガスEGからのCOの回収、新骨材4及び再生骨材26bに対するCOの固定、COが固定された新骨材4及び再生骨材26bの乾燥炉313、323への供給が既に開始されているものとして説明する。
【0049】
まず、新骨材乾燥ライン31の作用について説明する。CO回収装置33は、煙道319、329を介して供給された乾燥炉313、323の排ガスEGから、CO、SOx及びNOxを分離して回収する(ステップS1a、CO回収工程P7)。CO回収装置33は回収したCOを、CO供給路317を介してCO固定装置312に供給する(ステップS2a、CO供給工程P8)。また、ベルトコンベアBC1aは、ホッパ311から供給された新骨材4をCO固定装置312に供給する(ステップS2a)。
【0050】
CO固定装置312は、供給された新骨材4にCOを固定する(ステップS3a、新骨材固定工程P9)。具体的には、CO固定装置312は、供給された新骨材4を固定化槽に収容し、固定化槽内にCOを供給する。次いで、固定化槽内を廃熱供給路318により供給された廃熱と、加圧装置とによって所定時間、加熱・加圧することにより、新骨材4にCOを固定する。CO固定装置312は、新骨材4に対するCOの固定後、新骨材4をベルトコンベアBC2aに排出する。
【0051】
ベルトコンベアBC2aは、COが固定された新骨材4を乾燥炉313に供給する(ステップS4a、新骨材供給工程P11)。乾燥炉313は、供給された新骨材4を乾燥する(ステップS5a、新骨材乾燥工程P5)。具体的には、コールドホッパ313aにより、ベルトコンベアBC2aから供給された新骨材4を回転ドラム313b内に供給する。次いで、バーナ313dを点火して、回転ドラム313bを回転させ、回転ドラム313bの掻上げ羽根により新骨材4を攪拌しながら熱風を吹き付けて加熱し、乾燥させる。
【0052】
乾燥炉313は、新骨材4の乾燥後、ホットホッパ313cから新骨材4を排出する(ステップS6a)。排出された新骨材4は、保温機能を備えたホットビンに貯留される。次のステップS7aでは、ホットビン内の新骨材4の貯留量がセンサ等によって計測される。新骨材4の貯留量が、予め設定された所定量未満である場合には(ステップS7aでNo)、ステップS1a~S6aの工程が繰り返される。
【0053】
次に、再生骨材乾燥ライン32の作用について説明する。再生骨材乾燥ライン32は、新骨材乾燥ライン31と並行して稼働する。CO回収装置33は、煙道319、329を介して供給された乾燥炉313、323の排ガスEGから、CO、SOx及びNOxを分離して回収する(ステップS1b、CO回収工程P7)。CO回収装置33は回収したCOを、CO供給路327を介してCO固定装置322に供給する(ステップS2b、CO供給工程P8)。また、ベルトコンベアBC1bは、ホッパ321から供給された再生骨材26bをCO固定装置322に供給する(ステップS2b)。
【0054】
CO固定装置322は、供給された再生骨材26bにCOを固定する(ステップS3b、再生骨材固定工程P10)。具体的には、CO固定装置322は、供給された再生骨材26bを固定化槽に収容し、固定化槽内にCOを供給する。次いで、固定化槽内を廃熱供給路328により供給された廃熱と、加圧装置とによって所定時間、加熱・加圧することにより、再生骨材26bにCOを固定する。CO固定装置322は、再生骨材26bに対するCOの固定後、再生骨材26bをベルトコンベアBC2bに排出する。
【0055】
ベルトコンベアBC2bは、COが固定された再生骨材26bを乾燥炉323に供給する(ステップS4b、再生骨材供給工程P12)。乾燥炉323は、供給された再生骨材26bを乾燥する(ステップS5b、再生骨材乾燥工程P6)。具体的には、ホットホッパ323cにより、ベルトコンベアBC2bから供給された再生骨材26bを回転ドラム323b内に供給する。次いで、バーナ323dを点火して、回転ドラム323bを回転させ、回転ドラム323bの掻上げ羽根により再生骨材26bを攪拌しながら熱風を吹き付けて加熱し、乾燥させる。
【0056】
乾燥炉323は、再生骨材26bの乾燥後、回転ドラム323bからサージビン323aへ再生骨材26bを排出する(ステップS6b)。排出された再生骨材26bは、保温機能を備えたサージビン323aに貯留される。次のステップS7bでは、サージビン323a内の再生骨材26bの貯留量がセンサ等によって計測される。再生骨材26bの貯留量が、予め設定された所定量未満である場合には(ステップS7bでNo)、ステップS1b~S6bの工程が繰り返される。
【0057】
ステップS8において、新骨材4及び再生骨材26bの貯留量が両方とも所定量以上となった場合(ステップS8でYes)、アスファルトプラント3は、ホットビンから排出される新骨材4と、サージビン323aから排出される再生骨材26bと、外部から供給されたアスファルト5と、石粉6とを計量して混合装置35に投入する。混合装置35は、新骨材4、再生骨材26b、アスファルト5及び石粉6を混合してアスファルト混合物7を製造する(ステップS9、混合工程P13)。製造されたアスファルト混合物7は、混合装置35から排出され、合材ストレージビンに貯留される(ステップS10)。
【0058】
以上で説明したように、本実施形態のアスファルト混合物製造システム1によれば、新骨材4の乾燥時に発生した排ガスEGからCOを分離して回収し、回収したCOを新骨材4に固定し、COが固定された新骨材4を利用してアスファルト混合物7を製造するので、アスファルト混合物7を製造することにより、大気中に排出されるCOを削減することができる。しかも、アスファルト混合物7製造する際に発生したCOを、アスファルト混合物7の製造工程内で回収することができるので、従来よりもアスファルトプラント3のCOの排出量を少なくすることができる。
【0059】
さらに、再生骨材26bにCOを固定し、COが固定された再生骨材26bと、上記新骨材4とを利用してアスファルト混合物7を製造するので、アスファルト混合物7を製造することにより、大気中に排出されるCOを削減することができる。
【0060】
また、再生骨材26bの乾燥時に発生した排ガスEGからCOを分離して回収し、回収したCOを再生骨材26bに固定するので、従来よりもアスファルトプラント3のCOの排出量を少なくすることができる。さらに、乾燥炉313及び乾燥炉323の排ガスEGを煙道319、329で集合し、1台のCO回収装置33でCOを分離・回収するので、乾燥炉毎にCOを回収する場合よりも高い効率性が得られる。
【0061】
また、新骨材4にCOを固定する際に、新骨材4の乾燥時に発生した廃熱を利用するので、通常であれば無駄に放熱される廃熱を有効利用することができ、アスファルトプラント3における燃料消費量又は電気使用量を削減することができる。
【0062】
さらに、新骨材4のみを用いたアスファルト混合物と、再生骨材26bのみを用いたアスファルト混合物と、新骨材4及び再生骨材26bを用いたアスファルト混合物の3種類を製造することができ、いずれのアスファルト混合物であっても、排ガスEGからCOを分離・回収し、回収したCOを骨材に固定するので、COの排出量を削減することができる。
【0063】
また、本発明の再生骨材製造工程の一例に相当する破砕プラント2を備えているので、一連の工程内で発生したCOを同じ一連の工程内で製造した再生骨材26bに固定し、COの排出量を削減することができる。
【0064】
上記の第1実施形態では、新骨材乾燥ライン31と再生骨材乾燥ライン32とに、二次集塵機を1台ずつ配置したが、1台の二次集塵機を新骨材乾燥ライン31と再生骨材乾燥ライン32とで兼用してもよい。具体的には、新骨材乾燥ライン31の一次集塵機314の下流側と、再生骨材乾燥ライン32の一次集塵機324の下流側とで煙道319及び329を集合させ、集合させた煙道を1台の二次集塵機に接続する。
【0065】
同様に、新骨材乾燥ライン31と再生骨材乾燥ライン32とに、一次集塵機及び二次集塵機を1組ずつ配置したが、1組の一次集塵機及び二次集塵機を新骨材乾燥ライン31と再生骨材乾燥ライン32とで兼用してもよい。具体的には、新骨材乾燥ライン31の乾燥炉313の煙道319と、再生骨材乾燥ライン32の乾燥炉323の煙道329とを1台の一次集塵機に接続し、この一次集塵機の排気側に接続された煙道を1台の二次集塵機に接続する。このように、一次集塵機、又は一次集塵機及び二次集塵機を新骨材乾燥ライン31と再生骨材乾燥ライン32とで兼用することにより、アスファルトプラント3の設備を削減することができるので、設備の故障に伴うプラントの停止を抑制することができ、コスト削減も図ることができる。
【0066】
《第2実施形態》
次に、本発明のアスファルト混合物の製造方法及びアスファルトプラントを適用したアスファルト混合物製造システムの第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同じ工程及び構成については、同じ符号を用いて詳しい説明は省略する。図6に示すように、本実施形態のアスファルト混合物製造システム1Aは、アスファルトプラント3Aに排ガスEGを燃焼して脱臭する工程(脱臭工程P14)を備えている。この脱臭工程14は、本発明の脱臭工程の一例に相当する。
【0067】
図7に示すように、アスファルトプラント3Aの再生骨材乾燥ライン32Aには、二次集塵機の代わりに、脱臭工程P14を実行する燃焼脱臭機325Aが配置されている。再生骨材26bにはアスファルトが付着しており、これを加熱すると炭化水素系の臭気成分が発生するため、再生骨材乾燥ライン32に燃焼脱臭機325Aを配置している。燃焼脱臭機325Aは、臭気成分を含んだガスを、臭気成分の発火点以上の温度で燃焼して酸化分解する。燃焼脱臭機325Aには、バーナによって炉内温度を上昇させる直接燃焼式と、熱交換器であるセラミック蓄熱体をバーナで加熱する蓄熱式とのいずれかが用いられる。
【0068】
燃焼脱臭機325Aでは、排ガスEGの臭気成分を高温で燃焼して脱臭する際にCOを発生し、このCOは乾燥炉313、323からの排ガスEGと混合される。すなわち、燃焼脱臭機325Aを通過した排ガスEGは、COの含有量が増加する。CO回収装置33は、このようなCOの含有量が増加した排ガスEGからもCOを分離して回収し、CO固定装置312、322は、回収されたCOを新骨材4及び再生骨材26bに固定する。したがって、本実施形態においても、アスファルトプラント3内で発生したCOを、同じアスファルトプラント3内で骨材に固定して排出量を削減することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、再生骨材乾燥ライン32Aに燃焼脱臭機325Aを配置したが、1台の燃焼脱臭機を新骨材乾燥ライン31と再生骨材乾燥ライン32Aとで兼用してもよい。具体的には、新骨材乾燥ライン31の二次集塵機315の下流側と、再生骨材乾燥ライン32の一次集塵機324の下流側で煙道319と煙道329とを集合させ、集合した煙道を1台の燃焼脱臭機に接続する。これによれば、新骨材乾燥ライン31で発生する臭気成分も脱臭し、脱臭時に発生したCOを回収、固定して排出量を削減することができる。
【0070】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、新骨材4及び再生骨材26bを用いたアスファルト混合物を製造するアスファルトプラント3、3Aを例に説明したが、本発明は、新骨材4を用いたアスファルト混合物のみを製造する製造方法及びプラントと、再生骨材26bを用いたアスファルト混合物のみを製造する製造方法及びプラントに適用することもできる。また、アスファルトプラント3、3A内で発生したCOを、同じアスファルトプラント3、3A内で新骨材4及び再生骨材26bに固定する一例について説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、新骨材4又は再生骨材26bの一方についてはアスファルトプラント内でCOを固定し、再生骨材26b又は新骨材4の他方については別のプラント、たとえば再生骨材26bの破砕プラントや、新骨材4の製造プラント、あるいはCO固定専用のプラントなどでCOを固定し、COが固定された再生骨材26b又は新骨材4をアスファルトプラントに供給してもよい。これによれば、アスファルトプラントから排出されるCOを削減するだけでなく、破砕プラント等の他のプラントから排出されるCOを削減することができる。
【符号の説明】
【0071】
1、1A…アスファルト混合物製造システム
2…破砕プラント
3、3A…アスファルトプラント
31…新骨材乾燥ライン
312…CO固定装置(第1のCO固定装置)
313…乾燥炉(第1の乾燥炉)
317…CO供給路(第1のCO供給路)
318…廃熱供給路
319…煙道
BC2a…ベルトコンベア(第1の骨材供給装置)
32、32A…再生骨材乾燥ライン
322…CO固定装置(第2のCO固定装置)
323…乾燥炉(第2の乾燥炉)
325A…燃焼脱臭機
327…CO供給路(第2のCO供給路)
328…廃熱供給路
329…煙道
BC2b…ベルトコンベア(第2の骨材供給装置)
33…CO回収装置
35…混合装置
EG…排ガス
P1…破砕工程(再生骨材製造工程)
P2…破砕材供給工程
P3…骨材供給工程
P4…アスファルト等供給工程
P5…新骨材乾燥工程(第1の乾燥工程)
P6…再生骨材乾燥工程(第2の乾燥工程)
P7…CO回収工程(第1のCO回収工程及び第2のCO回収工程)
P8…CO供給工程
P9…新骨材固定工程(第1のCO固定工程)
P10…再生骨材固定工程(第2のCO固定工程)
P11…新骨材供給工程(第1の骨材供給工程)
P12…再生骨材供給工程(第2の骨材供給工程)
P13…混合工程
P14…脱臭工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7