(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】重量測定装置の較正ウエイトアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01G 23/01 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
G01G23/01 K
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019224427
(22)【出願日】2019-12-12
【審査請求日】2022-11-02
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599082218
【氏名又は名称】メトラー-トレド ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【氏名又は名称】星野 修
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ルドルフ・ブルクハルト
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィット・コラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・メッツガー
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルゲ・ファンクハウザー
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-47164(JP,A)
【文献】特開昭57-61919(JP,A)
【文献】実開昭62-193528(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0003948(US,A1)
【文献】特開平11-351954(JP,A)
【文献】実開平1-180725(JP,U)
【文献】特表2012-512407(JP,A)
【文献】特開2011-128155(JP,A)
【文献】独国実用新案第20008066(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-9/00,21/00-23/48
G01L 1/00-1/26,5/00-5/28,25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁力補償の原理に従い動作する力測定装置(110、210、310、410、510)を備えた重量測定装置のための、較正ウエイトアセンブリ(100、200、300、400、500)であって、
固定領域(111、211、311、411、511)と、
荷重受入れ領域(112、212、312、412、512)と、
検出要素(140、540)と
を備え、前記較正ウエイトアセンブリ(100、200、300、400、500)は、
前記荷重受入れ領域(112、212、312、412、512)に接続することがで
きる少なくとも1つの較正ウエイト(150、550、750)と、
前記少なくとも1つの較正ウエイト(150、550、750)を、静止位置(RP)から較正位置(KP)へ、そして前記較正位置(KP)から前記静止位置(RP)へ、移動段階の間にそれぞれ移行させるための移行機構と
を備え、
前記較正ウエイトアセンブリ(100、200、300、400、500)は、前記検出要素(140、540)を適切に制御することにより、前記移行機構の駆動装置としての前記検出要素(140、540)が前記較正ウエイト(150、550、750)を、前記静止位置(RP)から前記較正位置(KP)へ、そして前記較正位置(KP)から前記静止位置(RP)へ、それぞれ移行させ、
前記移行機構は少なくとも1つの多安定位置付け要素(561、571)を有し、前記多安定位置付け要素(561、571)の第1の安定状態は前記移行機構の前記較正位置(KP)を画定し、第2の安定状態は前記移行機構の前記静止位置(RP)を画定し、
前記較正位置(KP)は、加えられた力を判定するために前記検出要素(140、540)が制御された様態で戻される位置
、ゼロ位置(x
0)に相当することを特徴とする、較正ウエイトアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の較正ウエイトアセンブリにおいて、前記較正ウエイト(150、550、750)の質量中心は、前記検出要素(140、540)の合力上、または前記検出要素(140、540)の合力に対して平行に延びた軸(L)上に配置されていることを特徴とする、較正ウエイトアセンブリ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の較正ウエイトアセンブリにおいて、前記多安定位置付け要素(561、761)は、案内ダイ(563、663、763
)を備えた誘導片(762)
と誘導ピン(564、664、764)とをさらに有し、前記誘導片(762)が前記固定領域(111、211、311、411、511)に取り付けられ、かつ前記誘導ピン(564、664、764)が前記較正ウエイト(150、550、750)に取り付けられているか、または
前記誘導ピン(564、664、764)が前記固定領域(111、211、311、411、511)に取り付けられ、かつ前記誘導片(762)が前記較正ウエイト(150、550、750)に取り付けられているかのいずれかであることを特徴とする、較正ウエイトアセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載の較正ウエイトアセンブリにおいて、前記案内ダイ(563、663、763)の形状および位置は、前記較正ウエイト(150、550、750)の移動シーケンスに合わせられ、それにより前記誘導ピン(564、664、764)は、重力ベクトル(G)によって、常に時計回り方向または反時計回り方向に前記案内ダイ(563、663、763)を通過することを特徴と
し、
前記案内ダイ(563、663、763)は、前記静止位置(RP)よりも上方かつそれぞれ側方にずれた第1の反転ポイント(665)および第3の反転ポイント(667)と、前記較正位置(KP)よりも下方の第2の反転ポイント(666)を有し、前記誘導ビン(564、664、764)が前記静止位置(RP)から出発して、前記案内ダイ(563、663、763)の前記形状に沿って誘導されて、前記第1の反転ポイント(665)および前記第2の反転ポイント(666)を通って前記較正位置(KP)に到達し、前記較正位置(KP)から第3の反転ポイント(667)を通って前記静止位置(RP)に戻る、較正ウエイトアセンブリ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の較正ウエイトアセンブリにおいて、前記較正ウエイト(550、750)は、前記検出要素(540)の合力の周りに同心円
状になるように設計され
、リング形状を有するか、または
前記較正ウエイト(140)は円筒形状または
バーベル形状に形成されていることを特徴とする、較正ウエイトアセンブリ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の較正ウエイトアセンブリにおいて、前記多安定位置付け要素(651、761)は、誘導片(762)および誘導ピン(564、664、764)から成る対を3対を有し、前記対は互いに等距離で同心円
上に配置されるか、または
前記多安定位置付け要素は、誘導片および誘導ピンから成る対を2対を有し、前記対は、それぞれ、円筒形状もしくは
バーベル形状の較正ウエイト(140)の
端部面に配置されていることを特徴とする、較正ウエイトアセンブリ。
【請求項7】
請求項3または請求項4に記載の、または、請求項3もしくは4に従属する請求項
5に記載の較正ウエイトアセンブリにおいて、
前記多安定位置付け要素(651、761)は、誘導片(762)および誘導ピン(564、664、764)から成る対を3対を有し、前記対は互いに等距離で同心円上に配置されるか、または
前記多安定位置付け要素は、誘導片および誘導ピンから成る対を2対を有し、前記対は、それぞれ、円筒形状もしくはバーベル形状の較正ウエイト(140)の端部面に配置されており、
前記案内ダイ(763)の深さ(T)は、重力ベクトル(G)方向に増加することを特徴とする、較正ウエイトアセンブリ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の較正ウエイトアセンブリにおいて、前記移行機構は、前記検出要素(140、540)の可動部分に接続された延長取付け部(170、470、570、870)をさらに有し、前記延長取付け部(170、470、570、870)が前記較正ウエイト(150、550)のための保持装置(171、571、671、871)を備えた、較正ウエイトアセンブリ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の較正ウエイトアセンブリ(500)を備えた力測定装置(510)であって、前記力測定装置(510)の固定領域(511)は荷重受入れ領域(512)を囲み、前記較正ウエイトアセンブリ(500)は前記検出要素(540)の上または下に配置されている、力測定装置。
【請求項10】
請求項8、または、請求項8に従属する場合の請求項9に記載の力測定装置において、延長取付け部(570、870)は前記荷重受入れ領域(511)に直接取り付けられていることを特徴とする、力測定装置。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか一項に記載の較正ウエイトアセンブリ(100、200、300、400)を備えた力測定装置(110、210、310、410)であって、
荷重受入れ領域(112、212、312、412)は、平行リンク(113、213、313、413)よって、可動に誘導される態様で固定領域(111、211、311、411)に接続され、
前記力測定装置(110、210、310、410)が、更に、第1のレバー(120、320、420)を備え、前記第1のレバー(120、320、420)が、
力を伝える様態で前記荷重受入れ領域(112、212、312、412)に接続された、入口側レバーアーム(122、322、422)と、
直接的に、または、少なくとも1つの第2のレバーを介して間接的に力を伝える様態で前記検出要素(140)に接続された、出口側レバーアーム(123、323、423)と、を備え、
前記固定領域(111、211、311、411)または前記荷重受入れ領域(112、212、312、412)は、静止位置(RP)において較正ウエイト(150)のための連結領域(115、215、315、415)が設けられたブラケット(114、214、314、414)を有する、力測定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の較正ウエイトアセンブリ(100、200、300、400)を備えた、力測定装置(110、210、310、410)であって、
前記第1のレバー(320、420)の前記入口側レバーアーム(322、422)は延長部(324、424)を有し、前記延長部(324、424)は、前記荷重受入れ領域(312、412)の側部に隣接した空間の中に延び、前記側部は固定領域(311、411)の反対側に面し、前記延長部(324、424)は延長取付け部(170、470)によって前記検出要素(140)に接続され、前記延長取付け部(170、470)は、前記較正ウエイト(150)のための保持装置(171)を有し
ていること、
および/または
前記検出要素(140)は前記荷重受入れ領域(312、412)の側部に隣接した空間に配置され、前記側部は前記固定領域(311、411)の反対側に面していること
、を特徴とする、力測定装置。
【請求項13】
請求項1から8のいずれか一項に記載の較正ウエイトアセンブリ(100、200、300、400、500)を操作する方法であって、力測定装置(110、210、310、410、510)は、加えられたウエイトに対応する測定信号を出力するための検出要素(140、540)を備え、該検出要素(140、540)は、
空隙を備えた永久磁石システム(141)と、
前記空隙内で動くことができるコイル(142、542)であって、前記力測定装置(110、210、310、410、510)の操作中に補償電流が流れ抜ける、コイル(142、542)と、を有し、
前記較正ウエイトアセンブリ(100、200、300、400、500)の移行機構は、前記検出要素(140、540)の可動部分に接続され、前記較正ウエイト(150、550、750)のための保持装置(171、571、671、871)を備えた延長取付け部(170、470、570、870)をさらに有し、
前記方法は、
- 前記較正ウエイト(150、550、750)を静止位置(RP)に設けるステップと、
- 前記保持装置(171、571、671、871)が、前記較正ウエイト(150、550、750)の前記静止位置(RP)の方向に移動され、次に前記較正ウエイト(150、550、750)に接触するよう、前記補償電流を変えるステップと、
- 前記較正ウエイト(150、550、750)が前記静止位置(RP)から較正位置(KP)へ、および前記較正位置(KP)から前記静止位置(RP)へそれぞれ移行されるように、前記保持装置(171、571、671、871)がさらに移動されるよう、前記補償電流を変えるステップと、
- 前記保持装置(171、571、671、871)が、前記較正ウエイト(150、550、750)の前記静止位置(RP)に到達した後に、前記較正ウエイトから離れるよう、前記補償電流を変えるステップと
を少なくとも含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記力測定装置(110、210、310、410、510)は、
位置センサ信号に基づいて重量測定装置の操作中に前記補償電流を制御し、それによって前記コイル(142、542)は、前記コイル(142、542)と永久磁石システム(141)との間の電磁力により、加えられた力を判定するために指定されたゼロ位置(x
0)に戻される、制御器を備え、
前記方法は、
- 制御された前記補償電流に依存する位置センサ信号を記録するステップと、
- 前記記録された依存性を記憶装置に記憶された基準依存性と比較し、前記記録された依存性と前記基準依存性との間の許容値を超過していること表わす伝達アラームを出力するステップと、
- 伝達アラームが出力されたときに、移動段階の
移動とは反対
方向に前記補償電流
の少なくとも1つの変化を含むアルゴリズムを使用するステップと
をさらに含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、重量測定装置、特にスケールの較正ウエイトアセンブリ、ならびに較正ウエイトアセンブリを操作する方法に関する。
[0002]電磁力補償の原理によって機能し、電磁力復元すなわちEMFR荷重計としても知られている荷重計などの力測定装置を用いて計量されるサンプルの重量は、直接的に、または軸受け上で支持された1つもしくは複数の力伝達レバーを介してのいずれかで、電気機械測定センサに伝達される。測定センサは、計量されるサンプルの重量に対応する補償力を生成し、その際に電気信号を提供する。この電気信号は、処理ユニットの計量エレクトロニクスでさらに処理され、表示される。
【0002】
[0003]EMFR荷重計は通常、固定領域を備えた平行四辺形または平行脚部、および1つの平行脚部を有する。この1つの平行脚部は、2つの平行誘導部によって可動に接続された荷重受入れ領域として役立つ。レバーシステムにおいて、重量はウエイトビームに伝達される。ウエイトビームは、連結要素を介して固定された平行脚部上で支持される。この連結要素は、長手方向に曲がらず、可撓性で、荷重受入れ領域に連結されている。このような荷重計の目的は、補償力を生成する測定センサが重量に相当する測定信号を出力できる範囲で、配設された荷重に対応した重量を実証することである。公知のように、高解像度の荷重計における個々の要素の接続点は、たわみ軸受けから設計されている。たわみ軸受けは、2つの連結された要素間の回転軸を画定し、一体式荷重計またはモノブロックとも呼ばれる単一部品の荷重計を伴う薄い物質点(material points)として設計され得る。
【0003】
[0004]レバーによって補償力を支えることなく、測定センサで生成された補償力によって重量が直接的に補償されるEMFR荷重計において、平行誘導部は通常、ばね要素および/もしくはばね連結、または膜として設計されている。直接測定システムとも呼ばれる、このような荷重計を用いて、荷重の重量に相当する同じサイズの補償力が、測定センサによって適合される。
【0004】
[0005]一般的に力測定装置は、力センサ、力の伝達部、力測定セル、および測定信号を処理するための装置を備えている。この場合、測定される力は、力センサによって吸収され、力の伝達部を介して力測定セルに伝達され、そこで、供給された力として力測定セルに作用する。例えば重量測定器具を用いて測定される力は、計量されたサンプルの重量からもたらされ、この重量は、スケール皿の形態の重量測定器具上に作用し、荷重計とも呼ばれるロッドの形態の力測定装置上に、力の伝達部を介して作用する。
【0005】
[0006]力測定装置は、機械-電気変換器であり、供給された力を電気測定信号に変換する。作用力に相当するこの測定信号は、処理ユニットに伝達され、そこで処理されて評価される。処理の結果は測定値として、表示ユニット、またはマスターコンピュータもしくはシステム制御器など、さらなる処理ユニットに伝達される。
【0006】
[0007]一貫した高い精度を保証するために、較正として知られる修正工程が随時必要となる。この工程において、特定の力が力測定装置に供給され、それによって、力測定装置が特定の力に相当する測定信号を生成し、処理ユニットに伝達される。対応する修正方法は、次に特定の力とそこから判定された測定値との間の比較から、例えば処理ユニットにおける計算パラメータの適応に、着手することができる。
【0007】
[0008]例えば電子スケールなどの重量測定器具は、内部の較正ウエイトによって頻繁に較正される。較正のため、規定の質量の較正ウエイトが、配置された重量測定器具の力測定装置に力接触(force-contact)して配設され、次に基準値として決定される。この基準値によって、スケールのさらなる計量パラメータを等化させることができる。良好に較正した後、較正ウエイトと力測定装置との間の接触は切り離され、較正ウエイトは静止位置に留められる。この場合の較正ウエイトは、移行機構によって静止位置から較正位置に動かされ、再び戻される。較正位置において、較正ウエイトは力測定装置と力接触しており、静止位置では力接触はない。
【0008】
[0009]特定の力を生成するため、およびこの力を力測定装置に供給するために、較正装置が使用されることが多い。そうすることによって、較正工程の間、較正装置は圧入によって力測定装置に連結され、較正装置によって生成された力は力測定装置に伝達される。この連結は、較正工程後に切り離され、そのため力測定装置は、通常の測定作業中には較正装置から離されている。
【背景技術】
【0009】
[0010]較正装置は従来技術から公知である。例えば、スイス国特許第676750(A5)号は、特定の較正ウエイトを備えた較正装置を開示しており、この特定の較正ウエイトは、昇降装置によって力測定装置に連結されたキャリア上に降ろすことができ、それによって力測定装置に連結させることができる。この場合、較正ウエイトは、電気モータおよび回転可能なスピンドルを用いて、較正工程の開始時に垂直方向に降ろされ、較正処理後に再び持ち上げられる。
【0010】
[0011]欧州特許第0955530(A1)号は、力測定装置のハウジング内における力測定セルの直近における較正装置の配置を開示しており、レバーアームは、較正ウエイトのための連結領域が設けられた延長部を有する。この較正ウエイトは、昇降機構によって静止位置から較正位置に搬送され、再び静止位置に戻される。
【0011】
[0012]欧州特許第0468159(B1)号は、較正ウエイトを備えた較正ウエイトアセンブリを開示しており、この較正ウエイトは、水平方向に互いに対にされた楔部を介して垂直方向に動き、それによって重量測定器具の力測定装置と力接触して配設される。この移行機構は、楔部に接続されたスピンドルと、モータ式駆動装置とによって駆動される。
【0012】
[0013]独国特許第20318788(U1)号は、ランプ状の昇降要素によって、いかにして単一部品の較正ウエイトが持ち上げられ、降ろされるかを説明しており、リニア駆動によって駆動される昇降要素は、傾斜した平行移動のタイプを実行する。
【0013】
[0014]前述の昇降要素は、一般的に小さいサーボモータによって駆動される。サーボモータを使用するときの欠点は、重量測定器具の力測定装置において、比較的大きい空間を必要とすることであり、そのため、力測定装置および重量測定器具の両方自体が、必要以上に大型となる。
【0014】
[0015]特に高感度の電子スケールを用いると、計量結果は、静電気放電および相互作用によって影響を受け、さらには変えられる。移行機構を駆動するために使用されるサーボモータは、動作中の摩擦によって静電界を生じさせる非導電性のギア部品を含む。生じた静電界、さらに電磁場は、特に高感度の重量測定器具の計量結果に影響を及ぼすのに十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】スイス国特許第676750(A5)号
【文献】欧州特許第0955530(A1)号
【文献】欧州特許第0468159(B1)号
【文献】独国特許第20318788(U1)号
【文献】欧州特許第2993449(A)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
[0016]本発明に基づく目的は、従来技術の欠点を克服する較正ウエイトアセンブリ、およびこの較正ウエイトアセンブリを操作する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
[0017]この目的は、独立請求項に示す特徴を有する較正装置を用いて実現される。本発明の有利な実施形態が、さらなる従属請求項に示される。
[0018]この目的は、固定領域、荷重受入れ領域、および測定センサを有する力測定装置を備えた重量測定装置のための、較正ウエイトアセンブリによって実現される。較正ウエイトアセンブリは、荷重受入れ領域と連結させることができる少なくとも1つの較正ウエイトと、この少なくとも1つの較正ウエイトを静止位置から較正位置へ、または較正位置から静止位置へ、移動段階においてそれぞれ移行させるための移行機構と、を備えている。この移行機構は、少なくとも1つの多安定位置付け要素を有し、その第1の安定状態は較正位置を画定し、その第2の安定状態は移行機構の静止位置を画定する。
【0018】
[0019]本発明によると、較正ウエイトアセンブリは、移行機構の駆動として、較正ウエイトを静止位置から較正位置へ、または較正位置から静止位置へ、移動段階において測定センサの好適な操作によってそれぞれ移行させるよう設計されている。
【0019】
[0020]電磁力補償の原理に基づく1つの力測定装置において、測定センサは、重量を電気測定信号に変換するために使用される力変換器であり、通常、この力変換器は、固定領域に設けられた空隙を備えた永久磁石システムと、力測定装置の動作中に流れ抜ける補償電流を有し、かつ空隙内で移動するコイルと、を有する。コイルおよび永久磁石システムを、ここでは交換可能に使用することもできる。制御器は、コイルと永久磁石システムとの間の電磁力によって加えられた力を判定するために、コイルおよびコイルに接続された荷重センサが特定のゼロ位置に戻るよう、位置センサ信号に基づいて、力測定装置の操作中の補償電流を調節する。換言すると、制御器は、電磁補償力が、ゼロ位置にある場合に加えられた重量と平衡を保つのを保証する。目標位置を指定することにより、制御器によって調節された補償電流は、コイルを流れ、そうすることによって補償電流はコイルを偏向させる。
【0020】
[0021]特に有利なことに、測定センサの追加の機能によって、移行機構のための別個の駆動装置を省略することができる。
[0022]本発明の有利な設計において、較正ウエイトの質量中心は、測定センサの合力上、または測定センサの合力に対して平行に延びた軸上に配置されている。
【0021】
[0023]さらなる設計において、多安定位置付け要素は、案内ダイ(guide die)および誘導ボルトを備えた誘導片をさらに備えている。この誘導片は固定領域に、および誘導ボルトは較正ウエイトに設けられるか、または誘導ボルトは固定領域に、および誘導片は較正ウエイトに設けられている。この工程において、誘導片もしくは誘導ボルトのいずれが、固定領域に直接設けられるか、固定領域に接続された力測定装置の部品を伴って設けられるかは、重要ではない。
【0022】
[0024]さらなる有利な設計において、案内ダイの形状および位置は、誘導ボルトが、時計回り方向または反時計回り方向の重力ベクトルを通して常に案内ダイを通過するように、較正ウエイトの移動シーケンスに適合されている。
【0023】
[0025]好ましくは、較正ウエイトは、測定センサの合力の周りに同心円状に、または回転可能に形成され、特にリング形状を有するか、または較正ウエイトは円筒形状またはバーベル形状に形成されている。
【0024】
[0026]異なる設計において、多安定位置付け要素は、1つの誘導片および1つの誘導ボルトを各々が備えた3対を有し、これらの対は互いに等距離で同心円状に配置される。または、多安定位置付け要素は、1つの誘導片および1つの誘導ボルトを各々が備えた2対を有し、これらの対は、円筒形状もしくはバーベル形状の較正ウエイトの端部面に配置されている。さらに、案内ダイの深さは、重力の方向に増加するよう設計され得る。これは、較正ウエイトが置かれたときに、常に静止位置の中間、すなわち中心に保つのに役立つ。
【0025】
[0027]別の有利な設計において、移行機構は、較正ウエイトのための受入れ装置を備えた延長取付け部をさらに有し、この延長取付け部は、測定センサの可動部分に接続されている。
【0026】
[0028]上述の、力測定装置における較正ウエイトアセンブリの、第1の使用において、力測定装置の固定領域は荷重受入れ領域を囲み、この場合の較正ウエイトアセンブリは、測定センサの上または下に配置されている。さらに、延長取付け部を、荷重受入れ領域に直接設けることができる。
【0027】
[0029]上述の、力測定装置における較正ウエイトアセンブリの、第2の使用の第1の変更例において、荷重受入れ領域は固定領域に接続され、平行脚部を介して可動で誘導されている。力測定装置は、第1のレバーをさらに有する。この第1のレバーは、力を伝える様態で荷重受入れ領域に接続された、入力側レバーアームと、力を伝える様態で直接測定センサに接続された、出力側レバーアームとを備えている。加えて、固定領域または荷重受入れ領域は、較正ウエイトのための連結領域が装備された延長部を有する。
【0028】
[0030]上述の、力測定装置における較正ウエイトアセンブリの、第2の使用の第2の変更例において、出力側レバーアームは、力を伝える様態で、少なくとも1つの第2のレバーを介して測定センサに間接的に接続されている。この第2の変更例において、第1のレバーの入力側レバーアームは延長部を有する。この場合この延長部は、荷重受入れ領域の側に隣接した空間の中に延び、この側は固定領域の反対側に面し、較正ウエイトのための連結領域を装備する。測定センサは、荷重受入れ領域の側に隣接した空間に配置され、この側は固定領域の反対側に面している。
【0029】
[0031]較正ウエイトアセンブリを操作する1つの方法において、力測定装置は、空隙およびコイルを備えた永久磁石システムを含む測定センサを有する。このコイルは、測定信号を出力するために、力測定装置の操作中にコイルを流れ抜ける補償電流を有し、かつ空隙の中で動く。この方法は、少なくとも以下のステップを含む;較正ウエイトを静止位置に準備するステップ;補償電流を、コイルが較正ウエイトの静止位置の方向に偏向するように変え、その際に較正ウエイトとの接触が実現されるステップ;較正ウエイトが静止位置から較正位置へ、または較正位置から静止位置へ、それぞれ移動するようにコイルをさらに偏向させるように、補償電流を作動させるステップ;較正ウエイトが静止位置に達した後、受入れ装置が較正ウエイトから離れるよう、補償電流を変えるステップ。
【0030】
[0032]さらなる方法において、力測定装置は、位置センサ信号に基づいた重量測定装置の操作中に補償電流を制御する制御器を有し、それによってコイルは、コイルと永久磁石システムとの間の電磁力により、加えられた力を判定するために指定されたゼロ位置に戻る。この方法は、さらに以下のステップを含む;作動された補償電流に依存した位置センサ信号を記録するステップ;記録された依存性を記憶装置に記憶された基準の依存性と比較して、記録された依存性と基準の依存性との間の許容値を超過していることを表わす伝達アラームを出力するステップ;および、伝達アラームが出力されたときに、移動段階の反対の補償電流における少なくとも1つの変化を含むアルゴリズムを使用するステップ。このアルゴリズムを使用して、多安定位置付け要素の故障を防止または緩和する。
【0031】
[0033]力測定装置およびその要素または構成要素を保護するために、偏向を制限する機械式制止部が設けられ得る。較正工程の場合、これによって、コイルの完全な偏向量を使用するために、上流ステップとして自動的に中断させることができる。較正工程を完了した後、機械式制止部は計量モードに再設定される。
【0032】
[0034]さらなる有利な方法において、較正位置は、測定センサの加えられた力、特にゼロ位置を判定するために制御可能に戻る位置に相当する。
[0035]本発明による力測定装置、本発明による力測定モジュール、および本発明による方法の個々の詳細は、図に示される例示的な実施形態の説明によってもたらされる。以下が示される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】レバーシステムを備えた力測定装置、および第1の較正ウエイトアセンブリの第1の変更例の概略図である。
【
図2】レバーシステムを備えた力測定装置、および第1の較正ウエイトアセンブリの第2の変更例の概略図である。
【
図3】レバーシステムを備えた力測定装置、および第2の較正ウエイトアセンブリの第1の変更例の概略図である。
【
図4】レバーシステムを備えた力測定装置、および第2の較正ウエイトアセンブリの第2の変更例の概略図である。
【
図5】静止位置における較正ウエイトアセンブリの概略図を伴う、直接測定システムの簡略図である。
【
図6】
図6a~6fは、
図5の較正ウエイトアセンブリの6つのステップからなる移動シーケンスの概略図である。
【
図7】
図7aは、較正ウエイトアセンブリの上面簡略図である。
図7bは、
図7aの較正ウエイトアセンブリの等角図である。
【
図8】較正ウエイトのための受入れ装置を備えた延長取付け部の図である。
【
図9】
図9aは、較正ウエイトが較正位置にある、
図7aの較正ウエイトアセンブリの断面図である。
図9bは、較正ウエイトが静止位置にある、
図9aの較正ウエイトアセンブリの図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[0036]以下の説明において、同じ機能を有する特徴、および類似の設計には、同じ参照記号が与えられている。
[0037]
図1は、較正ウエイトアセンブリ100を備えた力測定装置110の、長手方向の概略図である。力測定装置110は、固定領域111、荷重受入れ領域112、および上部ならびに下部の平行脚部113から構成されている。力伝達要素121によって、第1のレバー120は、第1のレバーの入力側レバーアーム122において荷重受入れ領域112に接続されている。第1のレバー120の出力側レバーアーム123は、測定センサ140に接続されている。位置センサ108は、ゼロ位置x
0からの測定センサ140の偏向を記録する。ゼロ位置x
0において、測定センサ140の測定信号は、荷重センサ112に配設されたウエイトに対応する。固定領域111は片持ち梁114を有する。片持ち梁114には、静止位置RPにおいて較正ウエイト150のための連結領域115が装備されている。受入れ装置171を備えた延長取付け部170は、測定センサ140の可動部分、この場合コイル142に接続されている。
【0035】
[0038]
図1で簡略化された形で示された測定センサ140は、一般に、ここでは固定領域111に接続された永久磁石システム141、および永久磁石システム141に囲まれたコイル142から構成されている。
図1において、上方にコイル142が十分強く偏向される場合、受入れ装置171は、較正ウエイト150に接触するよう配設される。
【0036】
[0039]
図2における力測定装置210の概略図は、大部分において
図1に相当するが、静止位置PRにおいて荷重センサ212が、較正ウエイト150のための連結領域215が設けられた片持ち梁214を有する、という相違点がある。較正ウエイト150も、ここではコイル144が十分強く偏向されると直ぐに、受入れ装置171と接触するよう配設される。
【0037】
[0040]較正ウエイトアセンブリ300を備えた力測定装置310の、さらなる概略図である
図3において、片持ち梁314は、荷重受入れ領域312の側部に隣接した空間の中に延びており、この側部が固定領域311の反対側に面している。片持ち梁314は、静止位置RPにおいて、較正ウエイト150を連結するための連結領域315を有する。延長部324を有する、第1のレバー320の入力側レバーアーム322は、同様にこの空間の中に延び、そこで延長取付け部170に接続され、較正ウエイト150のための受入れ装置171が設けられる。測定センサ140は同様に、固定領域311の反対側に面した荷重センサ312の側に置かれる。
【0038】
[0041]
図4は、較正ウエイトアセンブリ400を備えたさらなる力測定装置410の図である。較正ウエイト150は、必ずしも測定センサ180の上に直接配置させる必要はない。
図3のように、測定センサ140は、固定領域411の反対側に面した荷重センサ412の側に置かれている。静止位置RPにおいて較正ウエイト150を連結するために、固定領域411は連結領域415を有する。
図1~
図3に示されるように、片持ち梁は固定領域411の一部であり、および/または、
図4において片持ち梁414は、固定領域411に一体化されている。この力測定装置410において、第1のレバー420は延長部424を有する。延長部424は、測定センサ140および位置センサ180に接続されている。反対方向において、第2のレバーアーム423は、較正ウエイト150のための受入れ装置171を備えた延長取付け部470に接続されている。
【0039】
[0042]
図1~
図4は、単一レバーシステムとして力測定装置を示している。当然ながら、力測定装置110、210、310、410は複数レバーシステムとしても設計され得る。一般的に、例えばコイル144、位置センサ180の隔壁、受入れ装置171に置かれた較正ウエイト150、または第1のレバー120、320、420の回転ポイントを介して延びる、同じ水平面上のそれぞれのレバーアーム122、322、422、123、323、423などの、構成要素の質量中心を、第1のレバー120、320、420上に配置することは有利である。この質量中心の配置は、力測定装置のレベルの感度を下げる。ウエイトの中心を外れた配置によるエラーに対して、力測定装置の感度を下げるため、これらの質量中心を、長手方向に対して対称に力測定装置を通過して延びる同じ垂直面、または同じ垂直面の近くに配置しなければならない。受入れ装置171と第1のレバー120、320、420の回転ポイントとの間の距離を、誘導ボルトも案内ダイを介して誘導され得るよう、十分小さく選択することができる。最大距離の方向において、考慮されるべき関連要因は、較正ウエイトの質量、およびトランスデューサによって供給され得る電磁力である。
【0040】
[0043]較正ウエイトアセンブリ500を備えた力測定装置510が
図5に示され、ここでは、力測定装置510は、直接測定システムとして設計されている。力測定装置510は同様に、固定領域511、荷重受入れ領域512、および上部ならびに下部の平行脚部513から構成されている。測定センサ540は荷重センサ512に直接接続され、位置センサ(図示せず)は測定センサ540の偏向を記録し、測定センサ540の測定信号は、荷重センサ512に配設されたウエイトに対応する。受入れ装置571を備えた延長取付け部570は、この場合はコイル542である、測定センサ540の可動部分に接続されている。
図5において、上方にコイル542が十分強く偏向する場合、受入れ装置571は、較正ウエイト550に接触するよう配設される。
【0041】
[0044]
図5の下部領域は、較正ウエイト550が静止位置RPにあり、力測定装置510がゼロ位置x
0にある状況を示している。
図6a~
図6fは、移行機構の移動シーケンスを示すよう意図されている。この移行機構は、較正ウエイト550を、静止位置RPから較正位置KPへ、および再び戻すよう移行させる、移行機構は、案内ダイ563および誘導ボルト564を備えた誘導片561を備える、多安定位置付け要素を有する。ハッチングされた背景で示された誘導片561は、固定領域511に設けられ、誘導ボルト564は、この場合較正ウエイト550上に設けられている。
【0042】
[0045]移動シーケンスを以下の
図6a~
図6fで説明する。細い線は、前の図から移動した経路を示す。
図5を見ると、コイル542が十分強く上方に偏向される場合、受入れ装置671は、較正ウエイト650上に設けられた誘導ボルト564と接触するよう配設される。コイルのさらなる偏向により、誘導ボルト564が持ち上げられ、それによって較正ウエイト650を静止位置RPから持ち上げる。案内ダイ663によって誘導され、誘導ボルト664は、
図6bに示されるように案内ダイ663の右上角にある第1の反転ポイント665の中に移る。
図6cに示される、その後の受入れ装置671の下降の際に、誘導ボルト664は、案内ダイ663を通して、案内ダイ663の下で概ね中間にある第2の反転ポイント666に誘導される。この後、受入れ装置671は、較正位置KPに到達するために上方に偏向される。
【0043】
[0046]
図6dに示されるように、較正位置KPは、
図5で力測定装置510によってすでに想定されているように、ゼロ位置x
0に相当する。ゼロ位置x
0における較正は、較正が重量測定と同じ位置で行われるという点で利点を有する。または換言すると、たわみ軸受けのリセットした力は、ウエイト決定の間にリセットした力に相当する。
【0044】
[0047]較正が完了した後、移動シーケンスは、較正ウエイト650を静止位置RPに戻すために継続される。誘導ボルト664を第3の反転ポイント667に誘導するために、受入れ装置671は、較正ウエイト650を上方に持ち上げる。
図6eを参照すると、その途中で、案内ダイ663によって誘導された第3の反転ポイント667に続けて到達するために、誘導ボルト664は、案内ダイ663の中間に置かれた独立要素668によって左に偏向される。
図6fに示された、受入れ装置がその後に下降する間、誘導ボルト664は、案内ダイ663を通して静止位置に戻るよう誘導される。その後、受入れ装置671は、ウエイト判定を実行するために、力測定装置510をゼロ位置x
0に配設するために、さらに下方に偏向される。
【0045】
[0048]案内ダイ663の形状および位置は、較正ウエイト650の移動シーケンスに適合され、それによって誘導ボルト664は、常に重力ベクトルG(
図6a~
図6eのために、代表して
図6fにのみ示される)を通して時計回りに案内ダイ663を通過する。
【0046】
[0049]
図7aは、較正ウエイトアセンブリ700の上面の第1の図である。同心円状に設計された較正ウエイト750は、リング形状である。このリングは、リングの中心における軸Lの周りを回転することができる。力測定装置に取り付けられた状態(
図1~
図4)において、この軸Lは、測定センサ140、240、340、440の合力に平行であるか、または
図5に示されるように、測定センサ540の合力と一致している。3つの誘導片762は、力測定装置の固定領域に接続されており、その中心に較正ウエイト750のための空間を形成している。
【0047】
[0050]
図7bは、較正ウエイトアセンブリの一部を等角図で示している。誘導片762のうちの2つは隠されている。多安定位置付け要素761は、各々の場合において、案内ダイ763と誘導ボルト764とからなる対から、3つの誘導片762の各々に形成される。これらの対は、互いに同心円状に離隔して配置されている。誘導ボルト764が誘導される、案内ダイ763は、誘導片762の表面に配置され、中央に形成された空間に向いている。前述の移動シーケンスを伴い、較正ウエイト750は、誘導ボルト764が案内ダイ763に追随する間、わずかに時計回り方向および反時計回り方向に軸Lの周りを回転する。
【0048】
[0051]
図8は、較正ウエイト(図示せず)のための受入れ装置871を備えた延長取付け部870を示し、リング状に形成された較正ウエイトの中心に配置される。受入れ装置871は、各々が互いに等距離で設けられ、延長取付け部870のシャフトの周りに配分された、3つの突起部872から構成される。各突起部872は、中心軸に対して垂直に整合された接触面873と、中心軸から接触面873へ、ある角度で延びた心出し面874と、を有する。したがって較正ウエイトは、受入れ装置871上に置かれ、そのため恒久的には延長取付け部870に接続されないので、較正ウエイトは延長取付け部870に対して移動することができる。この場合、心出し面874は、較正ウエイトを常に受入れ装置871の中心に保つのに役立つ。
【0049】
[0052]
図9aおよび
図9bは、
図7aのA-A断面における較正ウエイトアセンブリを示す。
図9aにおいて、較正ウエイト750は延長取付け部870の受入れ装置871の中心にある。したがって、較正ウエイト750は較正位置KPにある。
図9aに示された状況は、
図6aに示された状況に相当する。較正ウエイト750の右側では、3つの誘導ボルト764のうちの1つが図示されており、較正ウエイト750に接続されている。誘導ボルト764は、誘導片762の案内ダイ763の中に突出している。
【0050】
[0053]
図9bにおいて、誘導ボルト764によって保持された較正ウエイト750は、案内ダイ763の中にある。したがって、較正ウエイト750は静止位置RPにある。延長取付け部870の受入れ装置871は、較正ウエイト750から、いくらかの距離だけ離されており、すなわちこの較正ウエイトと接触していない。
図9bに示された状況は、
図6fに示された状況に相当する。さらに、
図9aとは対照的に、
図9bは、重力ベクトルGの方向に増加する案内ダイの深さTを示している。これは、較正ウエイト750を設定するときに、常に静止位置RPの中央に保持するのに役立つ。これだけで、較正ウエイト750の心出しをするのに十分となり得る。受入れ装置871上の心出し面874(
図8)も可能である。心出し作業は、較正ウエイトアセンブリ上、または2つのうちの1つのみ、の両方で実現することができる。
【0051】
[0054]本明細書で説明した本発明は、1つのみの測定センサを備えた力測定装置に限定されない。例えば欧州特許第2993449(A)号に示されるような、複数コイルシステムも同様に範囲に含まれる。本発明の概念を、それらのシステムに容易に移行することもできる。なぜなら、当業者は、延長取付け部を、全ての測定センサに接続するよう、かつ測定センサの合力に平行に偏向させるよう適応させなければならないことを知っているからである。
【符号の説明】
【0052】
100、200、300、400、500 較正ウエイトアセンブリ
110、210、310、410、510 力測定装置
111、211、311、411、511 固定領域
112、212、312、412、512 荷重受入れ領域
113、213、313、413、513 平行脚部
114、214、314、414 片持ち梁
115、215、315、415 連結領域
120、320、420 第1のレバー
121、321、421 力伝達要素
122、322、422 入力側レバーアーム
123、323、423 出力側レバーアーム
324、424 延長部
140、540 測定センサ
141 永久磁石システム
142、542 コイル
150、550、750 較正ウエイト
561、761 多安定位置付け要素
762 誘導片
563、663、763 案内ダイ
564、664、764 誘導ボルト
665 第1の反転ポイント
666 第2の反転ポイント
667 第3の反転ポイント
668 独立要素
170、470、570、870 延長取付け部
171、571、671、871 受入れ装置
872 突起部
873 接触面
874 心出し面
180 位置センサ
RP 静止位置
KP 較正位置
L 測定センサの合力に対する平行軸
G 重力ベクトル
T 案内ダイの深さ
x0 ゼロ位置