IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャパンディスプレイの特許一覧

<>
  • 特許-表示装置 図1
  • 特許-表示装置 図2
  • 特許-表示装置 図3
  • 特許-表示装置 図4
  • 特許-表示装置 図5
  • 特許-表示装置 図6
  • 特許-表示装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 59/122 20230101AFI20240208BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240208BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240208BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20240208BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20240208BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20240208BHJP
   H10K 50/19 20230101ALI20240208BHJP
   H10K 50/84 20230101ALI20240208BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20240208BHJP
【FI】
H10K59/122
G02B5/20 101
G09F9/30 349B
G09F9/30 349C
G09F9/30 365
H10K50/15
H10K50/16
H10K50/17
H10K50/19
H10K50/84
H10K59/38
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019229036
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021096999
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 亨
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-014323(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0019434(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107634147(CN,A)
【文献】特開2018-093196(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0151631(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108122943(CN,A)
【文献】特開2012-252822(JP,A)
【文献】特開2006-228705(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0380035(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/12
H10K 50/10
H05B 33/22
H05B 33/02
H10K 59/10
G02B 5/20
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素電極と、
発光層及び電荷発生層を含む積層された複数層からなるエレクトロルミネセンス層と、
対向電極と、
を有し、
前記複数層は、分離された複数のセクションから構成されて前記複数の画素電極に重なる第1層と、前記第1層に接触して前記複数の画素電極にわたって連続する第2層と、前記第1層及び前記第2層の間に介在して前記複数のセクションの隣り合う一対の間にわたって接触する第3層と、を含み、
少なくとも前記電荷発生層が、前記第1層であり、
前記第2層は、電子及び正孔のいずれか一方であるキャリアを注入又は輸送する特性を有し、
前記第3層は、前記第2層が注入又は輸送する前記キャリアをブロックする特性を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された表示装置において、
前記第3層は、前記複数のセクションの前記隣り合う一対における端部それぞれに載ることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された表示装置において、
前記第2層は、前記第1層の上及び下の少なくとも一方にあることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記発光層は、積層された複数の発光層を含み、
前記電荷発生層は、前記複数の発光層の少なくとも1層と他の1層の間に介在することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項に記載された表示装置において、
前記複数の発光層は、相互に接触して重なる2又はそれ以上の発光層を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載された表示装置において、
カラーフィルタ層をさらに有することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記第3層を覆うブラックマトリクス層をさらに有することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記複数の画素電極のそれぞれの端部を覆う絶縁層をさらに有し、
前記第3層は、前記絶縁層に重なる領域内にのみ位置していることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記第2層は、前記第1層に上下でそれぞれ接する一対の第2層を含み、
前記第3層は、前記第1層に上下でそれぞれ接する一対の第3層を含み、
前記一対の第3層のそれぞれは、前記第1層と前記一対の第2層の対応する1つとの間に介在することを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載された表示装置において、
前記一対の第3層は、正孔ブロック層と電子ブロック層からなることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記第1層は、複数の第1層を含み、
前記第2層は、複数の第2層を含み、
前記第3層は、複数の第3層を含み、
前記複数の第3層のそれぞれは、前記複数の第1層の対応する1つ及び前記複数の第2層の対応する1つの間に介在することを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項11に記載された表示装置において、
前記複数の第1層のそれぞれは、前記複数の第3層の対応する1つがブロックする前記キャリアの輸送性に富む材料からなることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項11に記載された表示装置において、
前記複数の第2層は、前記複数の第1層の対応する1つに上下でそれぞれ接する一対の第2層を含み、
前記複数の第3層は、前記複数の第1層の前記対応する1つに上下でそれぞれ接する一対の第3層を含み、
前記一対の第3層のそれぞれは、前記複数の第1層の前記対応する1つと前記一対の第2層の対応する1つとの間に介在することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、画素数の増加によって隣同士の画素が接近するようになってきた。有機エレクトロルミネセンスディスプレイは、全画素に連続する層(例えば正孔輸送層)があると、連続する層を伝わる横方向漏れ電流によって、隣の発光層が発光してしまう(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-103395号公報
【文献】特開2016-85913号公報
【文献】特開2008-243559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光色が異なる複数の発光層を重ねて白色光を生成し、カラーフィルタとの組み合わせでカラー表示する構造で、上下の発光層の間には電荷発生層が配置されている。電荷発生層は電流が流れやすいので、上述した横方向漏れ電流が問題になる。
【0005】
特許文献3には、正孔輸送層を分離して形成することが開示されている。同様に、電荷発生層を分離して形成することが可能であるとしても、電荷発生層の上下の層が連続していると、これらの層を経由する横方向漏れ電流が問題になる。
【0006】
本発明は、横方向漏れ電流の低減を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、複数の画素電極と、発光層及び電荷発生層を含む積層された複数層からなるエレクトロルミネセンス層と、対向電極と、を有し、前記複数層は、分離された複数のセクションから構成されて前記複数の画素電極に重なる第1層と、前記第1層に接触して前記複数の画素電極にわたって連続する第2層と、前記第1層及び前記第2層の間に介在して前記複数のセクションの隣り合う一対の間にわたって接触する第3層と、を含み、少なくとも前記電荷発生層が、前記第1層であり、前記第2層は、電子及び正孔のいずれか一方であるキャリアを注入又は輸送する特性を有し、前記第3層は、前記第2層が注入又は輸送する前記キャリアをブロックする特性を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第2層が注入又は輸送するキャリアを、第3層がブロックするので、横方向漏れ電流を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る表示装置の平面図である。
図2図1に示す表示装置のII-II線断面図である。
図3図2に示す部分IIIの拡大図である。
図4】エレクトロルミネセンス層の複数層の平面図である。
図5】第2の実施形態に係る表示装置の断面図である。
図6】第3の実施形態に係る表示装置の断面図である。
図7】第4の実施形態に係る表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0011】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0012】
さらに、本発明の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る表示装置の平面図である。表示装置は、ディスプレイDSPを含む。ディスプレイDSPは、可撓性を有し、表示領域DAの外側で折り曲げられるようになっている。ディスプレイDSPには、画像を表示するための素子を駆動するための集積回路チップCPが搭載されている。ディスプレイDSPには、フレキシブルプリント基板FPが接続されている。
【0014】
表示装置は、例えば、有機エレクトロルミネセンス表示装置である。表示装置は、画像が表示される表示領域DAを有する。表示領域DAでは、例えば、赤、緑及び青からなる複数色の単位画素(サブピクセル)を組み合わせて、フルカラーの画素を形成し、フルカラーの画像が表示される。
【0015】
図2は、図1に示す表示装置のII-II線断面図である。図3は、図2に示す部分IIIの拡大図である。図3に示す樹脂基板10は、ポリイミドからなる。ただし、シートディスプレイ又はフレキシブルディスプレイを構成するために十分な可撓性を有する基材であれば他の樹脂材料を用いてもよい。樹脂基板10の裏面には、感圧接着剤12を介して、補強フィルム14が貼り付けられている。
【0016】
樹脂基板10上に、バリア無機膜16(アンダーコート層)が積層されている。バリア無機膜16は、第1無機膜(例えばシリコン酸化膜)16a、第2無機膜(例えばシリコン窒化膜)16b及び第3無機膜(シリコン酸化膜)16cの三層積層構造である。最下層の第1無機膜16aは、樹脂基板10との密着性向上のため、中層の第2無機膜16bは、外部からの水分及び不純物のブロック膜として、最上層の第3無機膜16cは、第2無機膜16b中に含有する水素原子が薄膜トランジスタTRの半導体層18側に拡散しないようにするブロック膜として、それぞれ設けられるが、特にこの構造に限定するものではなく、さらに積層があってもよいし、単層あるいは二層積層であってもよい。
【0017】
薄膜トランジスタTRを形成する箇所に合わせて付加膜20を形成してもよい。付加膜20は、チャネル裏面からの光の侵入等による薄膜トランジスタTRの特性の変化を抑制したり、導電材料で形成して所定の電位を与えることで、薄膜トランジスタTRにバックゲート効果を与えたりすることができる。ここでは、第1無機膜16aを形成した後、薄膜トランジスタTRが形成される箇所に合わせて付加膜20を島状に形成し、その後第2無機膜16b及び第3無機膜16cを積層することで、バリア無機膜16に付加膜20を封入するように形成しているが、この限りではなく、樹脂基板10上にまず付加膜20を形成し、その後にバリア無機膜16を形成してもよい。
【0018】
バリア無機膜16上に薄膜トランジスタTRが形成されている。ポリシリコン薄膜トランジスタを例に挙げて、ここではNchトランジスタのみを示しているが、Pchトランジスタを同時に形成してもよい。薄膜トランジスタTRの半導体層18は、チャネル領域とソース・ドレイン領域との間に、低濃度不純物領域又は真性半導体領域を設けた構造を採る。ゲート絶縁膜22としてはここではシリコン酸化膜を用いる。ゲート電極24は、MoWから形成された第1配線層W1の一部である。第1配線層W1は、ゲート電極24に加え、第1保持容量線CL1を有する。第1保持容量線CL1と半導体層18(ソース・ドレイン領域)との間で、ゲート絶縁膜22を介して、保持容量Csの一部が形成される。
【0019】
ゲート電極24の上に、層間絶縁膜26(シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜)が積層されている。層間絶縁膜26の上に、ソース/ドレイン電極28となる部分を含む第2配線層W2が形成されている。ここでは、Ti、Al及びTiの三層積層構造を採用する。層間絶縁膜26を介して、第1保持容量線CL1(第1配線層W1の一部)と第2保持容量線CL2(第2配線層W2の一部)とで、保持容量Csの他の一部が形成される。
【0020】
ソース/ドレイン電極28を覆うように平坦化有機膜30が設けられている。平坦化有機膜30は、CVD(Chemical Vapor Deposition)等により形成される無機絶縁材料に比べ、表面の平坦性に優れることから、感光性アクリル等の樹脂が用いられる。
【0021】
平坦化有機膜30は、画素コンタクト部32では除去されて、その上に酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)膜34が形成されている。酸化インジウムスズ膜34は、相互に分離された第1透明導電膜34a及び第2透明導電膜34bを含む。
【0022】
平坦化有機膜30の除去により表面が露出した第2配線層W2は、第1透明導電膜34aにて被覆される。第1透明導電膜34aを被覆するように、平坦化有機膜30の上に無機絶縁膜(シリコン窒化膜)36が設けられている。無機絶縁膜(例えばシリコン窒化膜)36は、画素コンタクト部32に開口し、この開口を介してソース/ドレイン電極28に導通するように画素電極38が積層されている。画素電極38は、反射電極として形成され、酸化インジウム亜鉛膜、Ag膜、酸化インジウム亜鉛膜の三層積層構造になっている。ここで、酸化インジウム亜鉛膜に代わって酸化インジウムスズ膜を用いてもよい。画素電極38は、画素コンタクト部32から側方に拡がり、薄膜トランジスタTRの上方に至る。
【0023】
第2透明導電膜34bは、画素コンタクト部32に隣接して、画素電極38の下方(さらに無機絶縁膜36の下方)に設けられている。第2透明導電膜34b、無機絶縁膜36及び画素電極38は重なっており、これらによって付加容量Cadが形成される。
【0024】
表示装置は、複数の画素電極38のそれぞれの端部を覆う絶縁層40を有する。絶縁層40は、バンク(リブ)とも呼ばれる。絶縁層40は、平坦化有機膜30の上であって、例えば画素コンタクト部32の上方で、隣同士の画素領域の隔壁となる。絶縁層40としては平坦化有機膜30と同じく感光性アクリル等が用いられる。絶縁層40は、画素電極38の表面を発光領域として露出するように開口40aを有する。開口40aの端部はなだらかなテーパー形状となるのが好ましい。開口40aの端部が急峻な形状になっていると、その上に形成されるエレクトロルミネセンス層42のカバレッジ不良を生ずる。
【0025】
平坦化有機膜30と絶縁層40は、両者間にある無機絶縁膜36に設けた開口を通じて接触している。これにより、絶縁層40の形成後の熱処理等を通じて、平坦化有機膜30から脱離する水分や脱ガスを、絶縁層40を通じて引き抜くことができる。
【0026】
図2に示すように、複数の画素電極38の上に、エレクトロルミネセンス層42が積層されている。エレクトロルミネセンス層42は、複数層を含む。複数層は、発光層EMLを含む。発光層EMLは、積層された複数の発光層EML(例えば、発光色が青の発光層EML-B、発光色が赤の発光層EML-R、発光層EMLが緑の発光層EML-G)を含む。複数の発光層EMLは重なっており、混色によって白色光が生成される。
【0027】
なお、2又はそれ以上の発光層EML(赤の発光層EML-R及び緑の発光層EML-G)は、エネルギー障壁が低いため、相互に接触して重なっている。これに対して、赤及び緑の発光層EML-R,EML-Gと、青の発光層EML-Bとの間には、電荷発生層CGLが介在する。
【0028】
画素電極38には、正孔注入層HILが接触して載るようになっている。正孔注入層HILには、正孔輸送層HTLが接触して載る。正孔輸送層HTLは、取り出す光の色(後述するカラー層R,G,Bの色)に応じて、厚みが異なるようにしてもよい。図2の例では、正孔輸送層HTLに、最下層の発光層EML(青の発光層EML-B)が接触して載る。
【0029】
最下層の発光層EML(青の発光層EML-B)には、電子輸送層ETLが接触して載る。なお、電子輸送層ETLに、正孔の流入を防止するための正孔ブロック層(図示せず)を積層してもよい。電子輸送層ETL(あるいはその上の図示しない正孔ブロック層)に、電荷発生層CGLが接触して載る。電荷発生層CGLに、第2正孔輸送層HTL2が接触して載る。第2正孔輸送層HTL2に、上述した緑の発光層EML-Gが接触して載る。緑の発光層EML-Gに、赤の発光層EML-Rが接触して載る。
【0030】
最上層の発光層EML(赤の発光層EML-R)に、第2電子輸送層ETL2が接触して載る。第2電子輸送層ETL2に、対向電極44が接触して載る。第2電子輸送層ETL2と対向電極44との間に、対向電極44からの電子注入を促進するための電子注入層(図示せず)が介在しても良い。図2の例はトップエミッション構造になっているため、対向電極44は透明である。例えば、Mg層及びAg層を、エレクトロルミネセンス層42からの出射光が透過する程度の薄膜として形成する。本実施形態では、画素電極38が陽極であり、対向電極44が陰極である。複数の画素電極38と、対向電極44と、複数の画素電極38のそれぞれの中央部と対向電極44の間に介在するエレクトロルミネセンス層42とで発光素子が構成される。
【0031】
表示装置は、カラーフィルタ層46を有する。カラーフィルタ層46は、複数色(例えば赤、緑及び青)のカラー層R,G,Bに分離されている。それぞれのカラー層R,G,Bは、白色光のうち特定の波長の光を通して、カラー画素を形成するようになっている。隣同士の異なる色のカラー層R,G,Bの間には、ブラックマトリクス層48が配置されている。
【0032】
対向電極44の上に封止層50が形成されている。封止層50は、エレクトロルミネセンス層42への外部からの水分侵入を防止することを機能の一としており、高いガスバリア性が要求される。封止層50は、有機膜52及びこれを上下で挟む一対の無機膜54(例えばシリコン窒化膜)の積層構造になっている。一対の無機膜54は、有機膜52の周囲で、接触して重なる。封止層50には、図示しない保護層及び偏光板(例えば円偏光板)を積層してもよい。
【0033】
図4は、エレクトロルミネセンス層42の複数層の平面図である。
【0034】
[第1層]
複数層は、第1層L1を含む。第1層L1は、それぞれ異なる色の光を発する隣り合う2画素の間では分離されている。隣り合う2画素が同じ色の光を発する場合は、第1層L1は連続していても良い。第1層L1は、分離された複数のセクション56から構成されている。複数のセクション56は、複数の画素電極38に重なる。図4の例では、それぞれのセクション56は、一列に並ぶ画素電極38に重なる。あるいは、それぞれのセクション56が、対応する1つの画素電極38に重なっていてもよい。
【0035】
図2に示すように、複数の第1層L1が重なっている。例えば、少なくとも電荷発生層CGLが第1層L1である。また、正孔注入層HILも第1層L1である。それぞれの第1層L1は、電子及び正孔のいずれか一方であるキャリアの輸送性に富む材料からなる。正孔注入層HILである第1層L1は、正孔の輸送性に富む材料からなる。電荷発生層CGLである第1層L1は、電子及び正孔のいずれの輸送性に富む材料から形成されていてもよい。
【0036】
[第2層]
図4に示すように、複数層は、第2層L2を含む。第2層L2は、第1層L1に接触して複数の画素電極38にわたって連続する。第2層L2は、第1層L1の上及び下の少なくとも一方にある。図2に示すように、複数の第2層L2が積層されている。例えば、正孔輸送層HTL及び電子輸送層ETLがそれぞれ第2層である。第2層L2は、電子及び正孔のいずれか一方であるキャリアを注入又は輸送する特性を有する。
【0037】
例えば、正孔注入層HIL(第1層L1)の上に、正孔輸送層HTL(第2層L2)が重なる。両者は接触しているので、正孔注入層HILから正孔輸送層HTLに正孔が移動するようになっている。
【0038】
一対の第2層L2(第2正孔輸送層HTL2、電子輸送層ETL)が、第1層L1(電荷発生層CGL)に上下でそれぞれ接する。詳しくは、電荷発生層CGL(第1層L1)の上には、第2正孔輸送層HTL2(第2層L2)が重なる。両者は接触しているので、電荷発生層CGLから第2正孔輸送層HTL2に正孔が移動するようになっている。また、電荷発生層CGL(第1層L1)の下には、電子輸送層ETL(あるいはその上の図示しない正孔ブロック層)である第2層L2が重なる。両者は接触しているので、電荷発生層CGLから電子が移動するようになっている。
【0039】
[第3層]
上述したように、第1層L1は、それぞれ異なる色の光を発する隣り合う2画素の間で分離されているので、隣同士のセクション56には、直接的にはキャリアは流れない。しかし、その上又は下に接触する連続層(第2層L2)を通してキャリアが流れる。そこで、本実施形態では、エレクトロルミネセンス層42の複数層は、第3層L3を含む。
【0040】
複数の第3層L3のそれぞれは、複数の第1層L1の対応する1つ及び複数の第2層L2の対応する1つの間に介在する。第3層L3は、第1層L1の隣り合う一対のセクション56の間にわたって接触する。第3層L3は、複数のセクション56の隣り合う一対における端部それぞれに載る。第3層L3は、絶縁層40に重なる領域内にのみ位置している。第3層L3は、ブラックマトリクス層48と重畳する領域に設けられている。
【0041】
第3層L3は、第2層L2が注入又は輸送するキャリアをブロックする特性を有する。また、第3層L3は、対応する第1層L1が輸送性に富むキャリアをブロックする材料から形成してもよい。
【0042】
例えば、正孔注入層HIL(第1層L1)と、正孔輸送層HTL(第2層L2)との間に、第3層L3が介在する。この第3層L3は、正孔輸送層HTLが輸送性に富む正孔(第2層L2が輸送する正孔)をブロックする材料からなり、正孔ブロック層である。
【0043】
第1層L1(電荷発生層CGL)に上下でそれぞれ一対の第3層L3が接する。詳しくは、電荷発生層CGL(第1層L1)と、第2正孔輸送層HTL2(第2層L2)との間に第3層L3が介在する。この第3層L3は、第2正孔輸送層HTL2が輸送性に富む正孔をブロックする材料からなり、正孔ブロック層である。
【0044】
電荷発生層CGL(第1層L1)と、電子輸送層ETL(第2層L2)との間に、他の第3層L3が介在する。この第3層L3は、電子輸送層ETLが輸送性に富む電子をブロックする材料からなり、電子ブロック層である。
【0045】
本実施形態によれば、第2層L2が注入又は輸送するキャリアを、第3層L3がブロックする。詳しくは、第3層L3がセクション56の端部に載るため、隣同士のセクション56の最短距離でのキャリアの移動が阻止される。これにより、キャリアが移動するとしてもその移動距離が長くなるので、横方向漏れ電流を低減することができる。
【0046】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る表示装置の断面図である。本実施形態では、第1の実施形態で電荷発生層CGL(第1層L1)の下にある第3層L3が省略されている。なお、電荷発生層CGLは、正孔の輸送性に富む材料からなる。
【0047】
エレクトロルミネセンス層242は、複数の第1層L1(正孔注入層HIL、電荷発生層CGL)と、複数の第2層L2(正孔輸送層HTL、第2正孔輸送層HTL2)を含む。正孔注入層HIL(第1層L1)と、正孔輸送層HTL(第2層L2)との間に、第3層L3が介在する。この第3層L3は、正孔輸送層HTLが輸送性に富む正孔をブロックする材料からなり、電子の輸送性に富む材料であってもよい。
【0048】
また、電荷発生層CGL(第1層L1)と、第2正孔輸送層HTL2(第2層L2)との間に、他の第3層L3が介在する。この第3層L3は、第2正孔輸送層HTL2が輸送性に富む正孔をブロックする材料からなり、電子の輸送性に富む材料であってもよい。その他の内容は、第1の実施形態で説明した内容が該当する。
【0049】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態に係る表示装置の断面図である。本実施形態では、第1の実施形態で正孔注入層HIL(第1層L1)の上にある第3層L3が省略されている。
【0050】
エレクトロルミネセンス層342は、第1層L1(電荷発生層CGL)に上下でそれぞれ接する一対の第2層L2(第2正孔輸送層HTL2、電子輸送層ETL)を含む。エレクトロルミネセンス層342は、第1層L1(電荷発生層CGL)に上下でそれぞれ接する一対の第3層L3を含む。一対の第3層L3のそれぞれは、第1層L1(電荷発生層CGL)と一対の第2層L2(第2正孔輸送層HTL2、電子輸送層ETL)の対応する1つとの間に介在する。一対の第3層L3は、それぞれ、正孔ブロック層と電子ブロック層からなる。その他の内容は、第1の実施形態で説明した内容が該当する。
【0051】
[第4の実施形態]
図7は、第4の実施形態に係る表示装置の断面図である。本実施形態では、第1の実施形態で電荷発生層CGL(第1層L1)の上にある第3層L3が省略されている。なお、電荷発生層CGLは、電子の輸送性に富む材料からなる。
【0052】
エレクトロルミネセンス層442は、複数の第1層L1(正孔注入層HIL、電荷発生層CGL)と、複数の第2層L2(正孔輸送層HTL、電子輸送層ETL)を含む。
【0053】
正孔注入層HIL(第1層L1)と正孔輸送層HTL(第2層L2)の間に、第3層L3が介在する。この第3層L3は、正孔注入層HIL(第1層L1)が輸送性に富む正孔をブロックする材料からなり、電子の輸送性に富む材料であってもよい。
【0054】
電荷発生層CGL(第1層L1)と電子輸送層ETL(第2層L2)の間に、他の第3層L3が介在する。この第3層L3は、電子輸送層ETL(第2層L2)が輸送性に富む電子をブロックする材料からなり、正孔の輸送性に富む材料であってもよい。その他の内容は、第1の実施形態で説明した内容が該当する。
【0055】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0056】
10 樹脂基板、12 感圧接着剤、14 補強フィルム、16 バリア無機膜、16a 第1無機膜、16b 第2無機膜、16c 第3無機膜、18 半導体層、20 付加膜、22 ゲート絶縁膜、24 ゲート電極、26 層間絶縁膜、28 ソース/ドレイン電極、30 平坦化有機膜、32 画素コンタクト部、34 酸化インジウムスズ膜、34a 第1透明導電膜、34b 第2透明導電膜、36 無機絶縁膜、38 画素電極、40 絶縁層、40a 開口、42 エレクトロルミネセンス層、44 対向電極、46 カラーフィルタ層、48 ブラックマトリクス層、50 封止層、52 有機膜、54 無機膜、56 セクション、242 エレクトロルミネセンス層、342 エレクトロルミネセンス層、442 エレクトロルミネセンス層、Cad 付加容量、CGL 電荷発生層、CL1 第1保持容量線、CL2 第2保持容量線、CP 集積回路チップ、Cs 保持容量、DA 表示領域、DSP ディスプレイ、EML 発光層、EML-B 青の発光層、EML-G 緑の発光層、EML-R 赤の発光層、ETL 電子輸送層、ETL2 第2電子輸送層、FP フレキシブルプリント基板、HIL 正孔注入層、HTL 正孔輸送層、HTL2 第2正孔輸送層、L1 第1層、L2 第2層、L3 第3層、R,G,B カラー層、TR 薄膜トランジスタ、W1 第1配線層、W2 第2配線層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7