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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ズームレンズ及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20240208BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020019867
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021124673
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】林 俊秀
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/063766(WO,A1)
【文献】特開2019-211513(JP,A)
【文献】特開平06-160715(JP,A)
【文献】特開平02-063007(JP,A)
【文献】米国特許第04955700(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群から構成され、隣り合うレンズ群間の間隔を変化させることにより変倍動作を行うズームレンズであって、
前記第3レンズ群の最も像側に配置されるレンズ成分は正の屈折力を有し、かつ
以下の式を満足する、ズームレンズ。
2.10<β3t<4.20・・・・・(1)
1.40<|f|/f<3.00・・・・・(2)
0.65<f /|f |<1.11・・・・・(3)
1.09<β 3w ≦1.81・・・・・(5)
但し、
β3t:前記第3レンズ群の望遠端での横倍率
:前記第3レンズ群の焦点距離
:前記第2レンズ群の焦点距離
:前記第1レンズ群の焦点距離
β 3w :前記第3レンズ群の広角端での横倍率
【請求項2】
以下の式を満足する、請求項1に記載のズームレンズ。
0.85<f/f<2.34・・・・・(4)
但し、
:前記第1レンズ群の焦点距離
【請求項3】
前記ズームレンズの光束径を規定する絞りをさらに有し、かつ
以下の式を満足する、請求項1または2に記載のズームレンズ。
1.07<OAL_G1S/|f|<2.54・・・・・(6)
但し、
OAL_G1S:広角端での前記第1レンズ群の最も物体側の面から前記絞りまでの光軸上の距離
:前記第1レンズ群の焦点距離
【請求項4】
以下の式を満足する、請求項1~のいずれか一項に記載のズームレンズ。
0.92<|f|/f<1.71・・・・・(7)
0.20<|f|/f<0.58・・・・・(8)
但し、
:前記第1レンズ群の焦点距離
:前記ズームレンズの無限遠合焦時における広角端での焦点距離
:前記ズームレンズの無限遠合焦時における望遠端での焦点距離
【請求項5】
以下の式を満足する、請求項1~のいずれか一項に記載のズームレンズ。
1.88<Ndmax・・・・・(9)
但し、
dmax:前記ズームレンズのレンズ成分の中で屈折率が最も高い硝材のd線における屈折率
【請求項6】
前記第1レンズ群は、負の屈折力を有するレンズ成分、正の屈折力を有するレンズ成分及び負の屈折力を有するレンズ成分をこの順で含む、請求項1~のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記第2レンズ群は、三つの正の屈折力を有するレンズ成分を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記第3レンズ群を光軸に沿って動かすことで、フォーカシングする、請求項1~のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載のズームレンズと、当該ズームレンズの像側に設けられた、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備える、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズ及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラの等の固体撮像素子を用いた撮影装置が普及している。それに伴い、光学系の高性能化、小型化が進み、小型の撮像装置システムが急速に普及してきている。このような撮像装置は、通常、ズームレンズを備えている。
【0003】
当該ズームレンズには、負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群及び負の屈折力を有する第3レンズ群からなる、ズームレンズが知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-59293号公報
【文献】特開2016-62053号公報
【文献】特開平6-82697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載のズームレンズでは、望遠端での第3レンズ群の横倍率が小さく、第3レンズ群のパワーが小さくなるため、第3レンズ群の径を小さくすることが困難になる。特許文献3に記載のズームレンズでは、第3レンズ群の最も像側に配置されるレンズが負の屈折力を有するレンズで構成されており、主光線入射角(CRA)を補正することが困難になる。
【0006】
本発明の一態様は、高性能であるとともに第3レンズ群の径を小さくすることが可能であり、CRAを抑えたズームレンズを実現することを課題とする。また、本発明の一態様は、小型で高性能な、CRAを抑えた撮像装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群から構成され、隣り合うレンズ群間の間隔を変化させることにより変倍動作を行うズームレンズであって、前記第3レンズ群の最も像側に配置されるレンズ成分は正の屈折力を有し、かつ以下の式を満足する。
2.10<β3t<4.20・・・・・(1)
1.40<|f|/f<3.00・・・・・(2)
但し、
β3t:前記第3レンズ群の望遠端での横倍率
:前記第3レンズ群の焦点距離
:前記第2レンズ群の焦点距離
【0008】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る撮像装置は、上記のズームレンズと、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、高性能であるとともに第3レンズ群の径を小さくすることが可能な、CRAを抑えたズームレンズ及び当該ズームレンズを備える撮像装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1のズームレンズの広角端、中間焦点距離状態及び望遠端での無限遠合焦時におけるレンズの断面を示す図である。
図2】実施例1のズームレンズの広角端での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。
図3】実施例1のズームレンズの中間焦点距離状態での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。
図4】実施例1のズームレンズの望遠端での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。
図5】実施例2のズームレンズの広角端、中間焦点距離状態及び望遠端での無限遠合焦時におけるレンズの断面を示す図である。
図6】実施例2のズームレンズの広角端での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。
図7】実施例2のズームレンズの中間焦点距離状態での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。
図8】実施例2のズームレンズの望遠端での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。
図9】実施例3のズームレンズの広角端、中間焦点距離状態及び望遠端での無限遠合焦時におけるレンズの断面を示す図である。
図10】実施例3のズームレンズの広角端での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。
図11】実施例3のズームレンズの中間焦点距離状態での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。
図12】実施例3のズームレンズの望遠端での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。
図13】本発明の一実施形態に係る撮像装置の構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るズームレンズ及び撮像装置の実施の形態を説明する。本実施形態は、より詳しくは、例えば、固体撮像素子等を用いたデジタルスチルカメラ及びデジタルビデオカメラ等のデジタル入出力機器の撮影光学系に好適なズームレンズ及び撮像装置に関する。但し、以下に説明する当該ズームレンズ及び撮像装置は、本発明に係るズームレンズ及び撮像装置の一態様であって、本発明に係るズームレンズ及び撮像装置は以下の態様に限定されるものではない。
【0012】
1.ズームレンズ
1.1 光学的構成
当該ズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群から構成される。第3レンズ群の最も像側に配置されるレンズ成分は正の屈折力を有する。当該ズームレンズは、隣り合うレンズ群間の間隔を変化させることにより変倍動作を行う。第3レンズ群が負の屈折力を有することで、第3レンズ群の径を小さくしやすくなるため、小型のズームレンズが実現可能となる。さらに第3レンズ群の倍率を強くすることで、第3レンズ群のパワーを強くすることが可能となり、第3レンズ群の径をより小さくすることが可能となる。一方で、第3レンズ群の最も像側に配置されるレンズ成分(以下、「最終レンズ成分」とも言う)を正の屈折力を有するレンズ成分にすることで、CRAを小さくすることが可能となる。また、イメージセンサー内のオンチップマイクロレンズとの瞳のミスマッチ等での周辺減光(シェーディング)を防ぐことが可能となる。光学系のレンズ配置及びパワー配置を適切にすることによって、小型で高性能なズームレンズを実現することができる。
【0013】
(1)第1レンズ群
第1レンズ群は、当該ズームレンズにおいて最も物体側に配置されるレンズ群であり、負の屈折力を有する。第1レンズ群におけるレンズ成分の構成は、全体で負の屈折力を有する限り、限定されない。第1レンズ群が少なくとも一つの正の屈折力を有するレンズ成分を有することは、色収差又は像面性を良好に補正する観点から好ましい。また、第1レンズ群は全体で負の屈折力を有するため、第1レンズ群は少なくとも一つの負の屈折力を有するレンズ成分を有すればよい。第1レンズ群が二つ以上の負の屈折力を有するレンズ成分を有することは、歪曲収差又は像面湾曲収差を良好に補正する観点から好ましい。
【0014】
例えば、第1レンズ群は、負の屈折力を有するレンズ成分、正の屈折力を有するレンズ成分及び負の屈折力を有するレンズ成分をこの順で含むことが好ましい。このような第1レンズ群は、諸収差を、特に歪曲収差、像面湾曲収差又は倍率色収差を良好に補正する観点から好ましい。
【0015】
なお、本明細書中において、「レンズ群」とは、変倍動作において連動するレンズ成分の集合を意味する。レンズ群は、単一のレンズ成分により構成されていてもよいし、複数のレンズ成分により構成されていてもよい。レンズ群におけるレンズ成分は、変倍動作において、相対的な位置関係を保ったまま移動する。変倍動作は、レンズ群間の間隔を変化させることによって行われ、同一のレンズ群に属するレンズ間の間隔は、変倍動作において変化しない。また、本明細書中において、レンズ成分とは、1枚の単レンズ、空気間隔を介することなく複数の単レンズを一体化した接合レンズ、又は、1枚の単レンズと樹脂とを、空気間隔を介することなく一体化した複合レンズなどをいう。
【0016】
さらに、第1レンズ群に含まれる負の屈折力を有するレンズ成分に非球面レンズ成分を用いることは、広角端での歪曲収差、非点収差又は像面湾曲収差を良好に補正する観点から好ましい。
【0017】
(2)第2レンズ群
第2レンズ群は、上記第1レンズ群の像側に配置され、正の屈折力を有する。第2レンズ群は全体で正の屈折力を有するため、第2レンズ群は少なくとも一つの正の屈折力を有するレンズ成分を有する。第2レンズ群が二つ以上の正の屈折力を有するレンズ成分を有することは、球面収差を良好に補正する観点から好ましい。
【0018】
例えば、第2レンズ群は、三つの正の屈折力を有するレンズ成分を含むことが好ましい。このような第2レンズ群は、諸収差を、特に、球面収差を良好に補正する観点から好ましい。
【0019】
(3)第3レンズ群
第3レンズ群は、上記第2レンズ群の像側に配置され、負の屈折力を有する。第3レンズ群におけるレンズ成分の構成は、最も像側に正の屈折力を有するレンズ成分が配置され、且つ全体で負の屈折力を有する限り、限定されない。第3レンズ群が少なくとも一つの正の屈折力を有するレンズ成分を有することは、色収差を良好に補正する観点から好ましい。また、第3レンズ群は全体で負の屈折力を有するため、少なくとも一つの負の屈折力を有するレンズ成分を有すればよい。第3レンズ群が二つ以上の負の屈折力を有するレンズ成分を有することは、像面湾曲収差又は歪曲収差を良好に補正する観点から好ましい。
【0020】
(4)フォーカス群
当該ズームレンズにおいて、フォーカス群の有無は限定されない。フォーカス群は、無限遠から近接物体への合焦を行う場合、ズームレンズの光軸方向に移動する少なくとも一つのレンズ成分によって構成される。フォーカス群は、合焦のためにレンズ群全体が光軸方向に移動してもよい。合焦では、少なくとも当該ズームレンズ中の少なくとも一つのレンズ成分を光軸方向に移動させればよく、合焦時に移動する上記のレンズ成分の位置及び屈折力は限定されない。フォーカス群は、第1レンズ群、第2レンズ群および第3レンズ群のいずれか、又は、その一部であることが好ましい。
【0021】
(5)絞り
当該ズームレンズにおいて、絞りの配置は限定されない。但し、ここでいう絞りは、当該ズームレンズの光束径を規定する絞り、すなわち当該ズームレンズのFナンバーを規定する絞りをいう。
【0022】
絞りは、第2レンズ群の物体側、第2レンズ群内又は第2レンズ群の像側に配置されることが、ズームレンズの小型化の観点から好ましい。このような構成であることにより、第3レンズ群内又は第3レンズ群の像側に絞りが配置される構成よりも、第1レンズ群の径の大きさを小さくすることができる。また、第1レンズ群の物体側又は第1レンズ群内に絞りが配置される構成よりも、第3レンズ群の径の大きさを小さくすることができる。
【0023】
(6)レンズ群構成
当該ズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、負の屈折力を有する第3レンズ群から構成される。具体的には、ズームレンズは、レンズ群としては、第1レンズ群と、第2レンズ群と、第3レンズ群のみを含んでいる。第3レンズ群の最も像側に配置されるレンズ成分は正の屈折力を有する。
【0024】
1-2.動作
(1)変倍時の動作
当該ズームレンズにおいて、広角端から望遠端への変倍に際して、少なくともレンズ群間の空気間隔を変化させる。また、広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群と第2レンズ群との間の空気間隔は減少するように変化させることが好ましい。このように変化させることにより、所望の変倍比を確保することができる。さらに、第3レンズ群と像面との間の空気間隔は増加するように変化させることが好ましい。このように変化させることにより、変倍時に発生する諸収差を良好に補正することができる。
【0025】
(2)合焦時の動作
当該ズームレンズにおいて、無限遠から近接物体への合焦の際に、移動するフォーカス群は限定されず、合焦時におけるフォーカス群の移動の方向は限定されない。例えば、第3レンズ群で行う場合、無限遠から近接物体に合焦する際に第3レンズ群を像側に移動することが好ましい。
【0026】
このように、当該ズームレンズは、第3レンズ群を光軸に沿って動かすことで、フォーカシングすることが好ましい。倍率の大きい第3レンズ群を光軸に沿って動かすことでフォーカシングすることは、小さいストローク量で所定の物体距離への合焦が可能になるため、ズームレンズの全長を短くすることができる観点から好ましい。
【0027】
1-3.ズームレンズの条件を表す式
本実施形態に係るズームレンズは、上述した構成を採用すると共に、次に説明する式を少なくとも一つ以上満足することが好ましい。
【0028】
2.10<β3t<4.20・・・・・(1)
但し、
β3t:第3レンズ群の望遠端での横倍率
【0029】
式(1)を満たすことは、望遠側の焦点距離を大きくした状態で、小型で高性能な光学系を実現する観点から好ましい。式(1)の下限を下回る場合、第3レンズ群の倍率が小さくなりすぎることがある。このため、小型でありながら、望遠側の焦点距離が大きな光学系の実現が困難になることがある。式(1)の上限を上回る場合、第3レンズ群のパワーが大きすぎて、像面湾曲収差及び歪曲収差を良好に補正することが困難になることがある。このため、高性能な光学系の実現が困難になることがある。より高性能で小型の光学系を実現する観点から、β3tは、2.21超であることがより好ましく、2.31超であることがさらに好ましい。また、より高性能で小型の光学系を実現する観点から、β3tは、4.12未満であることがより好ましく、4.03未満であることがさらに好ましい。
【0030】
本実施形態に係るズームレンズは、以下の式を満足することが好ましい。
1.40<|f|/f<3.00・・・・・(2)
但し、
:第3レンズ群の焦点距離
:第2レンズ群の焦点距離
【0031】
式(2)を満たすことは、第3レンズ群の径を小さくした状態で、高性能な光学系を実現する観点から好ましい。式(2)の下限を下回る場合、第2レンズ群に対する第3レンズ群のパワーが強すぎて、歪曲収差及び像面湾曲収差を良好に補正することが困難になることがある。このため、高性能な光学系の実現が困難になることがある。式(2)の上限を上回る場合、第2レンズ群に対する第3レンズ群のパワーが弱くなりすぎることがある。このため、第3レンズ群の径が大きくなりすぎることがある。より高性能で小型の光学系を実現する観点から、|f|/fは、1.41超であることがより好ましく、1.43超であることがさらに好ましい。また、より高性能で小型の光学系を実現する観点から、|f|/fは、2.94未満であることがより好ましく、2.85未満であることがさらに好ましい。
【0032】
本実施形態に係るズームレンズは、以下の式を満足することが好ましい。
0.57 <f/|f|<1.11・・・・・(3)
但し、
:第2レンズ群の焦点距離
:第1レンズ群の焦点距離
【0033】
式(3)を満たすことは、全長を小さくした状態で、高性能な光学系を実現する観点から好ましい。式(3)の下限を下回る場合、第1レンズ群に対する第2レンズ群のパワーが強すぎて、球面収差を良好に補正することが困難になることがある。このため、高性能な光学系の実現が困難になることがある。式(3)の上限を上回る場合、第1レンズ群に対する第2レンズ群のパワーが弱くなりすぎることがある。このため、光学全長を短縮することが困難になることがある。より高性能で小型の光学系を実現する観点から、f/|f|は、0.65超であることがより好ましく、0.73超であることがさらに好ましい。また、より高性能で小型の光学系を実現する観点から、f/|f|は、1.03未満であることがより好ましく、0.94未満であることがさらに好ましい。
【0034】
本実施形態に係るズームレンズは、以下の式を満足することが好ましい。
0.85<f/f<2.34・・・・・(4)
但し、
:第3レンズ群の焦点距離
:第1レンズ群の焦点距離
【0035】
式(4)を満たすことは、第3レンズ群の径を小さくした状態で、高性能な光学系を実現する観点から好ましい。式(4)の下限を下回る場合、第1レンズ群に対する第3レンズ群のパワーが強すぎて、歪曲収差及び像面湾曲収差を良好に補正することが困難になることがある。このため、高性能な光学系の実現が困難になることがある。式(4)の上限を上回る場合、第1レンズ群に対する第3レンズ群のパワーが弱くなりすぎることがある。このため、第3レンズ群の径が大きくなりすぎることがある。より高性能で小型の光学系を実現する観点から、f/fは、0.97超であることがより好ましく、1.09超であることがさらに好ましい。また、より高性能で小型の光学系を実現する観点から、f/fは、2.16未満であることがより好ましく、1.98未満であることがさらに好ましい。
【0036】
本実施形態に係るズームレンズは、以下の式を満足することが好ましい。
1.09<β3w<2.35・・・・・(5)
但し、
β3w:第3レンズ群の広角端での横倍率
【0037】
式(5)を満たすことは、広角側の焦点距離を小さくした状態で、小型で高性能な光学系を実現する観点から好ましい。式(5)の下限を下回る場合、第3レンズ群のパワーが小さくなりすぎることがある。このため、第3レンズ群の径を小さくすることが困難になることがある。式(5)の上限を上回る場合、第3レンズ群の倍率が大きくなりすぎることがある。このため、広角側の焦点距離が小さな光学系の実現が困難になることがある。より高性能で小型の光学系を実現する観点から、β3wは、1.24超であることがより好ましく、1.40超であることがさらに好ましい。また、より高性能で小型の光学系を実現する観点から、β3wは、2.17未満であることがより好ましく、1.99未満であることがさらに好ましい。
【0038】
本実施形態に係るズームレンズは、以下の式を満足することが好ましい。
1.07<OAL_G1S/|f|<2.54・・・・・(6)
但し、
OAL_G1S:広角端での第1レンズ群の最も物体側の面から絞りまでの光軸上の距離
:第1レンズ群の焦点距離
【0039】
式(6)を満たすことは、第1レンズ群の径を小さくした状態で、高性能な光学系を実現する観点から好ましい。式(6)の下限を下回る場合、第1レンズ群のパワーに対する、第1レンズ群の最も物体側に配置されるレンズ成分の物体側の面から絞りまでの距離が近くなりすぎることがある。このため、第3レンズ群の径が大きくなりすぎることがある。式(6)の上限を上回る場合、第1レンズ群のパワーに対する第1レンズ群の最も物体側に配置されるレンズ成分の物体側の面から絞りまでの距離が遠くなりすぎることがある。このため、第1レンズ群の径が大きくなりすぎることがある。より高性能で小型の光学系を実現する観点から、OAL_G1S/|f|は、1.22超であることがより好ましく、1.37超であることがさらに好ましい。また、より高性能で小型の光学系を実現する観点から、OAL_G1S/|f|は、2.34未満であることがより好ましく、2.15未満であることがさらに好ましい。
【0040】
本実施形態に係るズームレンズは、以下の式を満足することが好ましい。
0.92<|f|/f<1.71・・・・・(7)
但し、
:第1レンズ群の焦点距離
:ズームレンズの無限遠合焦時における広角端での焦点距離
【0041】
式(7)を満たすことは、第1レンズ群の径を小さくした状態で、高性能な光学系を実現する観点から好ましい。式(7)の下限を下回る場合、ズームレンズの広角端での無限遠合焦時におけるパワーに対する第1レンズ群のパワーが強すぎて、歪曲収差及び像面湾曲収差を良好に補正することが困難になることがある。このため、高性能な光学系の実現が困難になることがある。式(7)の上限を上回る場合、ズームレンズの広角端での無限遠合焦時におけるパワーに対する第1レンズ群のパワーが弱くなりすぎることがある。このため、第1レンズ群の径が大きくなりすぎることがある。より高性能で小型の光学系を実現する観点から、|f|/fは、1.05超であることがより好ましく、1.18超であることがさらに好ましい。また、より高性能で小型の光学系を実現する観点から、|f|/fは、1.58未満であることがより好ましく、1.45未満であることがさらに好ましい。
【0042】
本実施形態に係るズームレンズは、以下の式を満足することが好ましい。
0.20<|f|/f<0.58・・・・・(8)
但し、
:第1レンズ群の焦点距離
:ズームレンズの無限遠合焦時における望遠端での焦点距離
【0043】
式(8)を満たすことは、第1レンズ群の径を小さくした状態で、高性能な光学系を実現する観点から好ましい。式(8)の下限を下回る場合、ズームレンズの望遠端での無限遠合焦時におけるパワーに対する第1レンズ群のパワーが強すぎて、歪曲収差及び像面湾曲を良好に補正することが困難になることがある。このため、高性能な光学系の実現が困難になることがある。式(8)の上限を上回る場合、ズームレンズの望遠端での無限遠合焦時におけるパワーに対する第1レンズ群のパワーが弱くなりすぎることがある。このため、第1レンズ群の径が大きくなりすぎることがある。より高性能で小型の光学系を実現する観点から、|f|/fは、0.23超であることがより好ましく、0.26超であることがさらに好ましい。また、より高性能で小型の光学系を実現する観点から、|f|/fは、0.54未満であることがより好ましく、0.49未満であることがさらに好ましい。
【0044】
本実施形態に係るズームレンズは、以下の式を満足することが好ましい。
1.88<Ndmax・・・・・(9)
但し、
dmax:ズームレンズのレンズ成分の中で屈折率が最も高い硝材のd線における屈折率
【0045】
式(9)を満たすことは、高性能な状態で、小型の光学系を実現する観点から好ましい。式(9)の下限を下回る場合、屈折率が小さすぎて、厚肉化したレンズが増えすぎることがある。このため、小型の光学系の実現が困難になることがある。より高性能で小型の光学系を実現する観点から、Ndmaxは、1.89超であることがより好ましく、1.90超であることがさらに好ましい。
【0046】
2.撮像装置
次に、本発明の一実施形態に係る撮像装置について説明する。当該撮像装置は、上記実施形態に係るズームレンズと、当該ズームレンズの像面側に設けられた、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備える。
【0047】
ここで、撮像素子に限定はなく、CCD(Charge Coupled Device)センサ及びCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子等も用いることができる。本実施形態に係る撮像装置は、デジタルカメラ及びビデオカメラ等の、上記の固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよいし、一眼レフカメラ及びミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよい。特に、本実施形態に係るズームレンズは交換レンズシステムに好適なバックフォーカスを確保することができる。そのため、光学式ファインダー、位相差センサ及びこれらに光を分岐するためのリフレックスミラー等を備えた一眼レフカメラ等の撮像装置に好適である。
【0048】
図13は、本実施形態に係る撮像装置の構成の一例を模式的に示す図である。図13に示されるように、ミラーレス一眼カメラ1は、本体2及び本体2に着脱可能な鏡筒3を有している。ミラーレス一眼カメラ1は、撮像装置の一態様である。
【0049】
鏡筒3は、ズームレンズ30を有している。ズームレンズ30は、第1から第3のレンズ群31~33を備えており、例えば前述した式(1)、(2)を満足するように構成されている。なお、第1レンズ群31と第2レンズ群32との間には、絞り34が配置されている。
【0050】
第1レンズ群31は負の屈折力を有しており、第2レンズ群32は正の屈折力を有しており、第3レンズ群33は負の屈折力を有している。なお、第3レンズ群33の最終レンズ成分は正の屈折力を有している。
【0051】
本体2は、撮像素子としてのCCDセンサ21及びカバーガラス22を有している、CCDセンサ21は、本体2中における、本体2に装着された鏡筒3内のズームレンズ30の光軸OAが中心軸となる位置に配置されている。
【0052】
本実施形態に係る撮像装置は、撮像素子により取得した撮像画像データを電気的に加工して、撮像画像の形状を変化させる画像処理部、ならびに、当該画像処理部において撮像画像データを加工するために用いる画像補正データ及び画像補正プログラム等を保持する画像補正データ保持部、等を有することがより好ましい。
【0053】
ズームレンズを小型化した場合、結像面において結像された撮像画像形状の歪み(歪曲)が生じやすくなる。その際、撮像画像形状の歪みを補正することが好ましい。当該補正は、例えば、画像補正データ保持部に予め撮像画像形状の歪みを補正するための歪み補正データを保持させておき、上記画像処理部において、画像補正データ保持部に保持された歪み補正データを用いることによって実施することができる。このような撮像装置によれば、ズームレンズの小型化をより一層図ることができ、秀麗な撮像画像を得ると共に、撮像装置全体の小型化を図ることができる。
【0054】
さらに、本実施形態に係る撮像装置において、上記画像補正データ保持部に予め倍率色収差補正データを保持させておくことが好ましい。また、上記画像処理部において、画像補正データ保持部に保持された倍率色収差補正データを用いて、当該撮像画像の倍率色収差補正を行わせることが好ましい。画像処理部により、倍率色収差、すなわち、色の歪曲収差を補正することで、光学系を構成するレンズ成分の数を削減することが可能になる。そのため、このような撮像装置によれば、ズームレンズの小型化をより一層図ることができ、秀麗な撮像画像を得ると共に、撮像装置全体の小型化を図ることができる。
【0055】
本発明は、上述した各実施形態に限定されず、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例
【0056】
本発明の一実施例について以下に説明する。なお、以下の各表において、長さの単位は全て「mm」であり、画角の単位は全て「°」である。
【0057】
[実施例1]
図1は、実施例1のズームレンズの広角端、中間焦点距離状態及び望遠端での無限遠合焦時におけるレンズの断面を示す図である。実施例1のズームレンズは、物体側から順に、三つのレンズ群G1~G3を有する。レンズ群G1とレンズ群G2との間には絞りSが配置されている。レンズ群G3よりも像側には、カバーガラスCGが配置されている。
【0058】
図1中の符号はレンズ群が有する屈折力の符号を表している。レンズ群G1は負の屈折力を有している。レンズ群G2は正の屈折力を有している。レンズ群G3は負の屈折力を有している。レンズ群G3の最終レンズ成分は正の屈折力を有している。レンズ群G1は第1レンズ群に相当し、レンズ群G2は第2レンズ群に相当し、レンズ群G3は第3レンズ群に相当する。
【0059】
実施例1のズームレンズは、各レンズ群間の空気間隔を変化させることにより変倍動作を行う。図中、広角端における各レンズ群の下に示される矢印は、広角端から中間焦点距離状態へ移動する際の各レンズ群の移動の軌跡を示している。また、中間焦点距離状態における各レンズ群の下に示される矢印は、中間焦点距離状態から望遠端へ移動する際の各レンズ群の移動の軌跡を示している。広角端から中間焦点距離状態への変倍時では、レンズ群G1は像側に移動し、レンズ群G2及びG3はそれぞれ物体側に移動する。中間焦点距離状態から望遠端への変倍時では、レンズ群G1~G3はそれぞれ物体側に移動する。
【0060】
次に、ズームレンズの具体的数値を適用した例について説明する。表1は、実施例1のズームレンズの面データの表である。
【0061】
面データの表において、「No.」は物体側から数えたレンズ面の順番、「R」はレンズ面の曲率半径、「D」はレンズ面の光軸上の次のレンズ面までの間隔、「Nd」はd線(波長λ=587.56nm)に対する屈折率、「Vd」はd線に対するアッベ数を示している。また、「No.」中の「ASPH」はレンズ面が非球面であることを表し、「STOP」は絞りを表している。さらに、「D」の欄における「D(6)」等の表示は、レンズ面の光軸上の間隔が変倍時又は合焦時に変化する可変間隔であることを意味する。また、曲率半径の「∞」は平面を意味する。表1において、No.1~6はレンズ群G1のレンズの面番号であり、No.7は絞りを表す。No.8~14はレンズ群G2のレンズの面番号であり、No.15~20はレンズ群G3のレンズの面番号である。No.21、22はカバーガラスを表し、No.23は像面を表す。
【0062】
[表1]
No. R D Nd Vd
1ASPH 12.9606 0.5500 1.85135 40.10
2ASPH 3.8375 1.6620
3ASPH 10.0000 1.3091 1.82115 24.06
4ASPH -118.2343 0.8271
5 -5.7193 0.4000 1.59282 68.73
6 -23.1399 D(6)
7STOP ∞ 0.4000
8ASPH 4.8645 1.4834 1.49710 81.56
9ASPH -15.0000 0.2370
10ASPH 14.8000 1.2956 1.59201 67.02
11ASPH -9.3631 0.1000
12 -60.5224 0.4000 1.91082 35.25
13 3.6651 2.1832 1.51742 52.15
14 -5.6032 D(14)
15ASPH 11.2605 0.4500 1.49710 81.56
16ASPH 5.0000 1.6433
17 -3.2662 0.4500 1.51680 64.20
18 -6.1777 0.1000
19 19.0891 0.6670 1.74400 44.72
20 65.0000 D(20)
21 ∞ 0.3000 1.51680 64.20
22 ∞ 2.5000
23 ∞
【0063】
表2は、実施例1のズームレンズの諸元表を示す。当該諸元表では、左側から順に、広角端、中間焦点距離状態、望遠端におけるそれぞれの数値を示している。当該諸元表中、「F」は、無限遠合焦時におけるズームレンズの焦点距離、「Fno」はFナンバー、「W」は半画角をそれぞれ表す。また、諸元表中、「D(n)」(nは整数)は、変倍時におけるズームレンズの光軸上の可変間隔を表す。「D(0)」は物体までの距離を表す。
【0064】
[表2]
F 5.3338 9.1318 15.6862
Fno 2.8618 3.8101 5.5200
W 42.6232 27.5120 16.5012
D(0) ∞ ∞ ∞
D(6) 5.9444 2.4440 0.5000
D(14) 1.0297 1.1143 1.0405
D(20) 1.0684 4.2766 10.3924
【0065】
表3は、実施例1のズームレンズにおける各非球面の非球面係数を表す表である。当該表における非球面係数は、各非球面形状を下記式で定義したときの値である。また、以下の各実施例における表中の「K、A4、A6、A8、A10」は、各非球面形状を以下の式で定義したときの各係数である。
【0066】
【数1】
【0067】
上記式において、「Z」は光軸に垂直な基準面からの光軸方向における非球面の変位量、「h」は光軸に垂直な方向における光軸から非球面までの高さ(距離)である。「r」はレンズ面の曲率半径、「K」は円錐定数(コーニック係数)、「An」(nは整数)はn次の非球面係数である。当該表において、「E-a」は「×10-a」を示す。
【0068】
[表3]
No. K A4 A6 A8 A10
1 -1.00000E+00 -4.94677E-04 1.39031E-04 -7.77355E-06 1.36944E-07
2 -9.98611E-01 3.27421E-04 9.64871E-05 1.66406E-05 -1.54751E-06
3 0.00000E+00 -5.83380E-04 -1.14456E-04 -2.74326E-06 3.20604E-07
4 0.00000E+00 -7.38663E-04 -2.04980E-04 6.86572E-06 2.77956E-07
8 -9.92030E-01 -1.22276E-03 -2.22522E-04 -1.40546E-06 0.00000E+00
9 0.00000E+00 2.43892E-04 -1.71690E-04 7.28498E-06 6.56678E-07
10 -6.76359E-01 -2.28624E-04 1.41113E-04 -8.00000E-06 0.00000E+00
11 0.00000E+00 1.03091E-03 1.13996E-06 -2.45439E-05 4.61142E-07
15 1.00000E+00 4.52350E-03 -1.56436E-03 2.82656E-04 -2.67811E-05
16 -5.37034E-01 3.95356E-03 -1.31812E-03 2.28443E-04 -2.21109E-05
【0069】
また、図2は、実施例1のズームレンズの広角端での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。図3は実施例1のズームレンズの中間焦点距離状態での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。図4は、実施例1のズームレンズの望遠端での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。各図に示す縦収差図は、図面に向かって左側から順に、それぞれ球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)である。
【0070】
球面収差を表す図では、縦軸を開放F値との割合とし、横軸をデフォーカスとしている。球面収差を表す図では、実線がd線(波長λ=587.56nm)、一点鎖線がg線(波長λ=435.84nm)、点線がC線(波長λ=656.27nm)における縦収差を示している。
【0071】
非点収差を表す図では、縦軸を像高(mm)とし、横軸をデフォーカスとしている。非点収差を表す図では、実線がd線に対するサジタル像面(S)、点線がd線に対するメリジオナル像面(T)を示す。
【0072】
歪曲収差を表す図では、縦軸を像高(mm)とし、横軸を%としている。なお、収差図における「IMG HT」は像高を表す。
【0073】
[実施例2]
図5は、実施例2のズームレンズの広角端、中間焦点距離状態及び望遠端での無限遠合焦時におけるレンズの断面を示す図である。実施例2のズームレンズは、物体側から順に、三つのレンズ群G1~G3を有する。レンズ群G1とレンズ群G2との間には絞りSが配置されている。レンズ群G3よりも像側には、カバーガラスCGが配置されている。レンズ群G1は負の屈折力を有している。レンズ群G2は正の屈折力を有している。レンズ群G3は負の屈折力を有している。レンズ群G3の最終レンズ成分は正の屈折力を有している。レンズ群G1は第1レンズ群に相当し、レンズ群G2は第2レンズ群に相当し、レンズ群G3は第3レンズ群に相当する。
【0074】
実施例2のズームレンズは、各レンズ群間の空気間隔を変化させることにより変倍動作を行う。広角端から中間焦点距離状態への変倍時では、レンズ群G1は像側に移動し、レンズ群G2及びG3はそれぞれ物体側に移動する。中間焦点距離状態から望遠端への変倍時では、レンズ群G1~G3はそれぞれ物体側に移動する。
【0075】
表4は、実施例2のズームレンズの面データの表である。表4において、No.1~6はレンズ群G1のレンズの面番号であり、No.7は絞りを表す。No.8~14はレンズ群G2のレンズの面番号であり、No.15~20はレンズ群G3のレンズの面番号である。No.21、22は、カバーガラスを表し、No.23は像面を表す。
【0076】
[表4]
No. R D Nd Vd
1ASPH 26.4479 0.5500 1.85135 40.10
2ASPH 4.4246 1.7587
3ASPH 7.3689 2.1605 1.82115 24.06
4ASPH 46.5522 1.0763
5 -6.7379 0.4000 1.59282 68.73
6 -60.9198 D(6)
7STOP ∞ 0.4000
8ASPH 5.0382 1.7643 1.49710 81.56
9ASPH -15.0000 0.1000
10ASPH 14.8000 1.5460 1.59201 67.02
11ASPH -7.8029 0.1000
12 -50.7123 0.4000 1.91082 35.25
13 3.4749 2.5641 1.51742 52.15
14 -5.4213 D(14)
15ASPH 19.1313 0.4500 1.59201 67.02
16ASPH 5.0000 1.3791
17 -3.2834 0.4500 1.59282 68.73
18 -6.1777 0.5890
19 33.9715 0.7966 1.68893 31.16
20 -33.6778 D(20)
21 ∞ 0.3000 1.51680 64.20
22 ∞ 2.5000
23 ∞
【0077】
表5は、実施例2のズームレンズの諸元表を示す。表6は、実施例2のズームレンズにおける各非球面の非球面係数を表す表である。
【0078】
[表5]
F 5.3280 9.1452 24.0008
Fno 2.8204 3.7926 7.6661
W 42.6283 27.7091 11.0101
D(0) ∞ ∞ ∞
D(6) 7.6483 3.8454 0.6381
D(14) 1.0126 1.0415 1.0096
D(20) 1.0473 4.7161 19.5676
【0079】
[表6]
No. K A4 A6 A8 A10
1 -1.00000E+00 -6.09666E-05 8.34477E-05 -3.19778E-06 3.92353E-08
2 -8.98773E-01 -5.90122E-04 1.02856E-04 5.37780E-06 -3.91709E-08
3 0.00000E+00 -8.24584E-04 -7.10607E-05 7.21377E-06 2.48581E-08
4 0.00000E+00 -3.16477E-04 -1.15973E-04 1.09201E-05 -1.58943E-07
8 -9.03005E-01 -1.21044E-03 -1.20071E-04 -2.80716E-06 0.00000E+00
9 0.00000E+00 2.23872E-04 -8.46025E-05 -4.39565E-06 1.33277E-06
10 4.50603E-01 -2.65785E-04 -1.15226E-05 -8.00000E-06 0.00000E+00
11 0.00000E+00 1.39448E-03 -1.41374E-04 -2.03472E-05 8.96189E-07
15 -5.09505E-01 1.30044E-03 -1.26659E-03 2.45604E-04 -1.85026E-05
16 -3.53636E-01 4.15314E-05 -1.16412E-03 2.23186E-04 -1.63986E-05
【0080】
図6は、実施例2のズームレンズの広角端での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。図7は実施例2のズームレンズの中間焦点距離状態での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。図8は、実施例2のズームレンズの望遠端での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。各図に示す縦収差図は、図面に向かって左側から順に、それぞれ球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)である。
【0081】
[実施例3]
図9は、実施例3のズームレンズの広角端、中間焦点距離状態及び望遠端での無限遠合焦時におけるレンズの断面を示す図である。実施例3のズームレンズは、物体側から順に、三つのレンズ群G1~G3を有する。レンズ群G1とレンズ群G2との間には絞りSが配置されている。レンズ群G3よりも像側には、カバーガラスCGが配置されている。レンズ群G1は負の屈折力を有している。レンズ群G2は正の屈折力を有している。レンズ群G3は負の屈折力を有している。レンズ群G3の最終レンズ成分は正の屈折力を有している。レンズ群G1は第1レンズ群に相当し、レンズ群G2は第2レンズ群に相当し、レンズ群G3は第3レンズ群に相当する。
【0082】
実施例3のズームレンズは、各レンズ群間の空気間隔を変化させることにより変倍動作を行う。広角端から中間焦点距離状態への変倍時では、レンズ群G1は像側に移動し、レンズ群G2及びG3はそれぞれ物体側に移動する。中間焦点距離状態から望遠端への変倍時では、レンズ群G1~G3はそれぞれ物体側に移動する。
【0083】
表7は、実施例3のズームレンズの面データの表である。表7において、No.1~6はレンズ群G1のレンズの面番号であり、No.7は絞りを表す。No.8~14はレンズ群G2のレンズの面番号であり、No.15~20はレンズ群G3のレンズの面番号である。No.21、22は、カバーガラスを表し、No.23は像面を表す。
【0084】
[表7]
No. R D Nd Vd
1ASPH 15.8140 0.5500 1.85135 40.10
2ASPH 4.0295 1.7427
3ASPH 8.1152 2.1110 1.82115 24.06
4ASPH 83.0371 0.9365
5 -6.6899 0.4000 1.59282 68.73
6 -58.0977 D(6)
7STOP ∞ 0.4000
8ASPH 5.2671 1.9684 1.49710 81.56
9ASPH -14.2874 0.1000
10ASPH 14.8000 1.3976 1.59201 67.02
11ASPH -8.2334 0.1051
12 -44.7733 0.4000 1.91082 35.25
13 3.6936 2.2417 1.51742 52.15
14 -6.0660 D(14)
15ASPH 14.3125 0.4500 1.50217 77.15
16ASPH 5.0000 1.8070
17 -3.6840 0.4500 1.51760 77.43
18 -6.1777 0.5272
19 16.8253 0.7407 1.77697 38.43
20 65.0000 D(20)
21 ∞ 0.3000 1.51680 64.20
22 ∞ 2.5000
23 ∞
【0085】
表8は、実施例3のズームレンズの諸元表を示す。表9は、実施例3のズームレンズにおける各非球面の非球面係数を表す表である。
【0086】
[表8]
F 5.3321 9.1320 15.6884
Fno 2.8609 3.7590 5.4294
W 42.6054 27.6620 16.6261
D(0) ∞ ∞ ∞
D(6) 6.5718 2.6927 0.6415
D(14) 1.0083 1.1935 1.0099
D(20) 1.0722 4.4069 11.3120
【0087】
[表9]
No. K A4 A6 A8 A10
1 4.60732E-02 -5.33621E-04 1.33345E-04 -5.81769E-06 7.80370E-08
2 -1.00000E+00 -2.07355E-04 1.15285E-04 1.20425E-05 -4.99382E-07
3 0.00000E+00 -5.76136E-04 -7.30747E-05 6.40162E-06 1.30761E-07
4 0.00000E+00 -4.13603E-04 -1.30204E-04 1.14533E-05 -9.00603E-08
8 -9.26358E-01 -1.15976E-03 -1.64087E-04 1.12073E-06 0.00000E+00
9 0.00000E+00 2.25292E-04 -1.01857E-04 -6.96441E-07 1.16841E-06
10 -7.44296E-01 -2.28408E-04 7.90298E-05 -7.68912E-06 0.00000E+00
11 0.00000E+00 1.19883E-03 -4.07305E-05 -1.88837E-05 4.00899E-07
15 -1.00000E+00 2.84984E-03 -1.08033E-03 1.61095E-04 -1.35527E-05
16 -1.00000E+00 2.21931E-03 -9.55982E-04 1.33736E-04 -1.11175E-05
【0088】
図10は、実施例3のズームレンズの広角端での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。図11は実施例3のズームレンズの中間焦点距離状態での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。図12は、実施例3のズームレンズの望遠端での無限遠合焦時における縦収差を示す図である。各図に示す縦収差図は、図面に向かって左側から順に、それぞれ球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)である。
【0089】
上記実施例1~3における前述の各式による算出値および当該式に用いた数値を表10に示す。
【0090】
[表10]
実施例1 実施例2 実施例3
β3t 2.45 4.00 2.37
|f3|/f2 1.80 1.45 2.10
f2/|f1| 0.81 0.84 0.86
f3/f1 1.47 1.21 1.80
β3w 1.56 1.81 1.56
OAL_G1S/|f1| 1.52 1.95 1.76
|f1|/fw 1.32 1.31 1.31
|f1|/ft 0.45 0.29 0.44
Ndmax 1.91 1.91 1.91
f1 -7.02 -6.97 -6.98
f2 5.72 5.82 5.98
f3 -10.29 -8.44 -12.56
【符号の説明】
【0091】
1 ミラーレス一眼カメラ(撮像装置)
2 本体
3 鏡筒
21 CCDセンサ(撮像素子)
22 カバーガラス
30 ズームレンズ
31 第1レンズ群
32 第2レンズ群
33 第3レンズ群
34 絞り
G1~G3 レンズ群
CG カバーガラス
OA 光軸
S 絞り
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13