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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】凍結防止装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/196 20220101AFI20240208BHJP
   F24H 15/215 20220101ALI20240208BHJP
   F24H 15/258 20220101ALI20240208BHJP
   F24H 15/37 20220101ALI20240208BHJP
【FI】
F24H15/196 301U
F24H15/215
F24H15/258
F24H15/37
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020027492
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021131201
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】301050924
【氏名又は名称】株式会社ハウステック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】原田 朋訓
(72)【発明者】
【氏名】高木 力亜
(72)【発明者】
【氏名】毛利 徹太郎
(72)【発明者】
【氏名】石沢 勲
(72)【発明者】
【氏名】川端 宏治
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-224615(JP,A)
【文献】特開2014-035152(JP,A)
【文献】特開平07-151381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/196
F24H 15/215
F24H 15/258
F24H 15/37
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼により通水を加熱する燃焼部を備えた給湯器及び風呂釜を備えた燃焼機器に用いられ、ヒータの通電により通水路内の水の凍結を防止する凍結防止装置において、
外気温度を検出する外気温検出手段と、前記給湯器の熱交換器への給水配管に設けられた給水温度検出手段と、前記風呂釜の熱交換器への配管に設けられた風呂湯水温度検出手段を備え、
前記外気温検出手段が検出した外気温が、凍結する可能性のある温度である5℃未満であって、かつ、前記給水温度検出手段により検出された水温と前記外気温検出手段により検出された外気温との差分の値が所定値より小さく、かつ、燃焼部が燃焼していないと、前記ヒータへの通電を所定時間行うステップを有し、
前記通電後、前記差分の値が所定値より小さく、前記検出された外気温が5℃よりも高い所定の温度になると、前記ヒータへの通電を所定時間停止するステップを有し、
前記通電後、前記差分の値が前記所定値以上になり、前記風呂湯水温度検出手段が計測した温度と前記検出された外気温との差分の値が所定の設定値より大きいと、前記ヒータへの通電を所定時間停止するステップを有した
ことを特徴とする凍結防止装置。
【請求項2】
前記給水温度検出手段により検出された水温と前記外気温検出手段により検出された外気温との差分の値が所定値より小さく、とする条件における所定値は14℃であり、
前記検出された外気温が5℃よりも高い所定の温度は8℃であり、
前記風呂湯水温度検出手段が計測した温度と前記検出された外気温との差分の値が所定の設定値より大きい、とする条件における設定値は10℃である
ことを特徴とする請求項1に記載の凍結防止装置。
【請求項3】
前記給水温度検出手段により検出された水温及び前記外気温検出手段により検出された外気温との加算を用い、加算値に応じてヒータへの通電を停止する時間を制御する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の凍結防止装置。
【請求項4】
前記給水温度検出手段の検出温度の方が前記外気温検出手段の検出温度よりも高く、
前記給水温度検出手段の検出温度と前記外気温検出手段の検出温度の差分が、14℃未満であり、前記外気温検出手段の検出温度が8℃未満であれば、前記ヒータへの通電を所定時間行って前記水を加熱する機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の凍結防止装置
【請求項5】
前記風呂釜の燃焼部に設けた熱交換器への配管に風呂湯水温度検出手段を設け、
前記風呂湯水温度検出手段の検出温度と前記外気温検出手段の検出温度の差分が10℃以下であり、前記外気温検出手段の検出温度が8℃未満であれば、前記ヒータへの通電を所定時間行って前記水を加熱する機能を有することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の凍結防止装置。
【請求項6】
前記給湯器の燃焼部に設けた熱交換器への給水配管に給水温度検出手段を設け、前記風呂釜の燃焼部に設けた熱交換器への配管に風呂湯水温度検出手段を設け、前記給水温度検出手段の検出温度と前記外気温検出手段の検出温度の差分が14℃を超える場合は、前記風呂湯水温度検出手段の検出温度と前記外気温検出手段の検出温度差分が10℃を超える値であれば前記ヒータへの通電を所定時間停止する機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の凍結防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯装置の配管内の水が外気温の低下に伴い凍結すると、膨張による配管や熱交換器の破損や、配管閉塞による循環不能を生じる虞があるため、これらの問題を回避する必要がある。
これらの問題の解決方法として、給湯器の各箇所の温度に基づいて、給湯器内部に配置したヒータに通電し、給湯器内部の水温を凍結しない温度に維持する方法が広く一般的に用いられている。
【0003】
給湯装置は凍結させ破損させてしまうと修理費用が高額になるため、安全性を考慮して凍結防止の設定温度を高めに設定することがなされている。また、その上に、外気環境による給湯装置内の急激な温度低下等に対して常時対応できるよう、さらに設定温度を高めに設定する必要があり、確実な凍結防止を行うためにヒータの通電時間が長くなり、電気代が嵩むなどの問題点があった。
【0004】
そこで従来方法として、外気温度と給湯配管の水温度のいずれかが設定温度未満になった場合にヒータに通電し、外気温度が設定温度以上の場合にヒータへの通電を停止することで、通電と停止を繰り返す断続通電を行い、断続通電の停止状態でも水温度が所定温度未満になると強制的に通電を開始することで、消費電力を抑制しながら凍結を防止する方法が開示されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4050426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1でも触れられているように、給湯器内に冷たい風が吹き込む有風時に配管内は風による冷却により、より凍結が起こりやすい。しかし、この有風時には、排気口から流入した風によってヒータで温められた空気が外気温を検出するための外気温検知手段雰囲気へと伝わり、無風時よりも高い外気温度を検出してしまうという問題を抱えている。
【0007】
特に壁貫通型の燃焼機器において、機器の前面側は浴室内に面しているため、正しい外気温を検知するために外気温検知手段は、排気口側に設置されている。ところが、従来の壁貫通型の燃焼機器においては、排気口から流入した冷気による凍結を防ぐために排気口に近い本体背面側に凍結防止用ヒータを複数個取り付けるのが一般的である。このため、有風時には凍結防止用ヒータによって温められた空気が、外気温を検出するための外気温検出手段雰囲気へと伝わり、本来の外気温よりも高い温度を検出してしまうという問題を抱えている。
【0008】
特許文献1に記載の従来技術では、外気温か水温の低下でヒータに通電し、外気温の上昇によりヒータの通電と停止を相互に繰り返すという制御中において、停止状態でも水温の低下により、ヒータへの通電を強制することで、ヒータの消費電力を抑制しながら、水温の急激な低下に対応可能である。
しかし、前記特許文献1に記載の制御では、基本的には外気温検出手段により検出された外気温を用いてヒータへの通電の有無を決定している。このため、断続通電制御中において特に水温が下がった場合は強制的に通電させるという制御であるがゆえ、無風時に凍結の虞がないと判断して通電停止を行う手段に乏しかった。
また、特に、壁貫通型の燃焼機器においては、配管を壁の内側つまり屋内側に設置し、屋外に排気部や熱交換器を配置している構造上、水温を検知する部品(サーミスタ等)が本体前面側(浴室側)に近い位置に配置されている。このため、有風時に冷却されやすい熱交換器との温度差が生じやすく、水温検知のみでは前記温度差を考慮し、高い温度においてヒータへの通電を再開する必要があった。代案として凍結防止用に排気口付近にサーミスタを設けることが考えられるが、その分コスト高となる問題があった。
【0009】
本発明は、前記の従来方法における問題点に鑑みてなされたものであって、有風時には確実に凍結を防止するとともに、無風時には積極的にヒータへの通電を停止することで、更なる省エネルギー運転を図る凍結防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(1)本発明の凍結防止装置は、燃焼により通水を加熱する燃焼部を備えた給湯器及び風呂釜を備えた燃焼機器に用いられ、ヒータの通電により通水路内の水の凍結を防止する凍結防止装置において、外気温度を検出する外気温検出手段と、前記給湯器の熱交換器への給水配管に設けられた給水温度検出手段と、前記風呂釜の熱交換器への配管に設けられた風呂湯水温度検出手段を備え、前記外気温検出手段が検出した外気温が、凍結する可能性のある温度である5℃未満であって、かつ、前記給水温度検出手段により検出された水温と前記外気温検出手段により検出された外気温との差分の値が所定値より小さく、かつ、燃焼部が燃焼していないと、前記ヒータへの通電を所定時間行うステップを有し、前記通電後、前記差分の値が所定値より小さく、前記検出された外気温が5℃よりも高い所定の温度になると、前記ヒータへの通電を所定時間停止するステップを有し、前記通電後、前記差分の値が前記所定値以上になり、前記風呂湯水温度検出手段が計測した温度と前記検出された外気温との差分の値が所定の設定値より大きいと、前記ヒータへの通電を所定時間停止するステップを有したことを特徴とする。
(2)本発明の凍結防止装置において、前記給水温度検出手段により検出された水温と前記外気温検出手段により検出された外気温との差分の値が所定値より小さく、とする条件における所定値は14℃であり、前記検出された外気温が5℃よりも高い所定の温度は8℃であり、前記風呂湯水温度検出手段が計測した温度と前記検出された外気温との差分の値が所定の設定値より大きい、とする条件における設定値は10℃であることが好ましい。
【0011】
(3)本発明の凍結防止装置において、前記給水温度検出手段により検出された水温及び前記外気温検出手段により検出された外気温との加算を用い、加算値に応じてヒータへの通電を停止する時間を制御する機能を有することが好ましい。
(4)本発明の凍結防止装置において、前記給水温度検出手段の検出温度の方が前記外気温検出手段の検出温度よりも高く、前記給水温度検出手段の検出温度と前記外気温検出手段の検出温度の差分が、14℃未満であり、前記外気温検出手段の検出温度が8℃未満であれば、前記ヒータへの通電を所定時間行って前記水を加熱する機能を有することが好ましい。
【0012】
(5)本発明の凍結防止装置において、前記風呂釜の燃焼部に設けた熱交換器への配管に風呂湯水温度検出手段を設け、前記風呂湯水温度検出手段の検出温度と前記外気温検出手段の検出温度の差分が10℃以下であり、前記外気温検出手段の検出温度が8℃未満であれば、前記ヒータへの通電を所定時間行って前記水を加熱する機能を有することが好ましい。
(6)本発明の凍結防止装置において、前記給湯器の燃焼部に設けた熱交換器への給水配管に給水温度検出手段を設け、前記風呂釜の燃焼部に設けた熱交換器への配管に風呂湯水温度検出手段を設け、前記給水温度検出手段の検出温度と前記外気温検出手段の検出温度の差分が14℃を超える場合は、前記風呂湯水温度検出手段の検出温度と前記外気温検出手段の検出温度差分が10℃を超える値であれば前記ヒータへの通電を所定時間停止する機能を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外気温と水温との関係を制御因子とすることにより、従来の燃焼機器に比べ、排気口付近への新たな温度検知部を設けることなく、無風・有風状態を判定し、無風状態でのヒータ通電を停止させることで省エネルギー運転を図ることができるとともに、有風状態での凍結防止を確実に図ることができる凍結防止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る燃焼機器の構成と動作原理を表す模式図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る燃焼機器の凍結防止制御の作動フローチャートである。
図3】本発明の第2の実施形態に係る燃焼機器の凍結防止制御の作動フローチャートである。
図4】本発明の一実施形態である燃焼機器の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態としての燃焼機器1を表すもので、この燃焼機器1は給湯機能を果たす給湯装置(給湯器)4と風呂水の追焚機能を果たす追焚装置(風呂釜)5を有している。
追焚装置5は、風呂熱交換器5aと風呂配管17とで循環回路を形成しており、風呂配管17には、浴槽内の湯温を検知する風呂サーミスタ(水温検出手段)14、浴槽水を循環させる循環ポンプ6が設けられている。
風呂熱交換器5aは、追焚燃焼部5bの上部に設けられ、これによって加熱される。風呂熱交換器5aを通過した燃焼ガスは追焚排気通路を通過して、給湯熱交換器4aを通過した燃焼ガスと合流し、排気口2から排気される。
【0016】
一方、給湯装置4に接続される給水配管28には、上流側から順に給水量を検知する水量センサ7、給水温を検知する給水サーミスタ(水温検出手段)11が組み込まれ、通水を加熱する潜熱回収熱交換器3、給湯熱交換器4aが接続されている。給湯熱交換器4aの下流には、熱交換後の湯温を検知する缶体サーミスタ(水温検出手段)12が設けられ、設定湯温を給湯できるように通水量を調整する水制御弁9が設けられている。
【0017】
給湯熱交換器4aは、給湯燃焼部4bの上部に設けられ、これによって加熱される。給湯熱交換器4aには、給水配管28の一部が引き込まれており、給湯熱交換器4aの上部に潜熱回収熱交換器3が設けられ、この潜熱回収熱交換器3にも給水配管28の一部が引き込まれている。給湯熱交換器4aを通過した給水配管28は接続配管30を介し追焚装置5における風呂熱交換器5aの下流側の風呂往き配管31に接続されている。
【0018】
更に、給湯装置4には、給湯熱交換器4aの上流と下流を繋ぐバイパス管19が設けられ、バイパス管19の途中部分にはバイパス管19を通る水量を制御する電磁式のバイパス制御弁8が設けられている。バイパス管19は、給水配管28が潜熱回収熱交換器3に至る位置となる上流側の部分と、給水配管28が給湯熱交換器4aを通過して接続配管30に至る位置となる下流側の部分を繋いでいる。
このバイパス管19の下流であって接続配管30の途中から分岐された分岐管20には、バイパス管19を通過した水と熱交換後の湯との混合湯の温度を検知する給湯サーミスタ(水温検出手段)13が設けられている。
【0019】
以下、給湯装置4と追焚装置5の各通水路に設けられた、給水サーミスタ(水温検出手段)11、缶体サーミスタ(水温検出手段)12、給湯サーミスタ(水温検出手段)13、風呂サーミスタ(水温検出手段)14を総称して通水路サーミスタ(通水路水温検出手段)と呼ぶ。
燃焼機器1の背面下部には各燃焼部から離れた位置に給気部27が形成され、この給気部27の近傍に外気の温度を検知する外気温サーミスタ(外気温度検出手段)16が設けられている。
また、通水路には凍結防止用のヒータ15が複数設けられている。具体的には、潜熱回収熱交換器3の通水路と、給湯熱交換器4aの通水路と、風呂熱交換器5aの通水路と、分岐管20において給湯サーミスタ13の下流の通水路に設けられている。
【0020】
(湯水の流れ)
まず、図1に示す燃焼機器1において、湯水の流れとともに各配管の接続構造について更に説明する。湯水が給水配管28に設けられている給水配管接続部23から給水され、水量センサ7によって、この湯水が所定の流量に達したか否かが検知される。
【0021】
水量センサ7を通った湯水は、給水配管28から潜熱回収熱交換器3に導かれ、この潜熱回収熱交換器3の通水路において燃焼ガスから潜熱を回収する。潜熱は、通水路の内部を流れる湯水に伝熱され、給湯熱交換器4aの通水路に導かれ、この給湯熱交換器4aで燃焼ガスからの顕熱を回収する。この顕熱を回収した湯水は、分岐管20を介し湯水を浴室内に供給する給湯配管を接続する給湯配管接続部24を通り、給湯栓から使用される。
【0022】
次に、図1に示す燃焼機器1において、追焚装置5における湯水の流れと配管接続構造について更に説明する。燃焼機器1に設けられている循環ポンプ6を運転することにより浴槽の湯水が図示略の風呂戻り配管を経由して風呂戻り配管接続部25へ給水される。風呂戻り配管接続部25を通った湯水は、風呂配管17を介し風呂熱交換器5aに導かれ、この風呂熱交換器5aで燃焼ガスからの顕熱を回収する。この顕熱を回収した湯水は、風呂往き配管31を介し風呂往き配管接続部26を通り、図示略の風呂往き配管延長部を経由して浴槽に供給される。なお、図1に示す燃焼機器1では、接続配管30において、バイパス管19の接続部と分岐管20の接続部との間に電磁式の水制御弁9が設けられ、接続配管30において、分岐管20の接続部と風呂往き配管31の接続部との間に電磁式の注湯電磁弁10が設けられている。
【0023】
また、潜熱回収熱交換器3から排気口2に至る部分の底部にドレン受け皿35が設けられ、これらがドレン配管36を介して中和容器18に接続され、中和容器18にはドレン水排出管18aが接続されている。
【0024】
図4は一実施形態として、壁貫通型の潜熱回収型燃焼機器の設置図を表す。
壁貫通型の潜熱回収型燃焼機器1では、前記風呂配管17、給水配管28、分岐管20、接続配管30、風呂往き配管31および給水配管接続部23、給湯配管接続部24、風呂戻り配管接続部25、風呂往き配管接続部26が全て壁の内側つまり屋内側に配置される。更に、潜熱回収型燃焼機器1では、給湯装置4と追焚装置5の燃焼用空気の給気部27と、燃焼ガスを屋外へ排出する排気口2と、潜熱回収熱交換器3と中和容器18が屋外側に設けられている。燃焼機器1の内部に搭載された図示略のファンにより空気が給湯燃焼部4bと追焚燃焼部5bに同時に供給される。
【0025】
給湯装置4においては、給湯ガス電磁弁21を経由して給湯燃焼部4bに燃焼ガスが供給され、燃焼ガスが燃焼される。発生した燃焼ガスは給湯熱交換器4aを通過したのち、潜熱回収熱交換器3を通過して排気口2から器具外へ排気される。
追焚装置5においては、追焚ガス電磁弁22を経由して追焚燃焼部5bに燃焼ガスが供給され、燃焼ガスが燃焼され、発生した燃焼ガスは風呂熱交換器5a及び追焚通路を通過し、排気口2から器具外へ排気される。
【0026】
外気温を検出する外気温サーミスタ16は、屋外の外気温を検出するため、屋外側給気部27の付近に配置され、給水サーミスタ11、缶体サーミスタ12、給湯サーミスタ13、風呂サーミスタ14は壁貫通部浴室側へ配置されている。
なお、燃焼機器1には、給水サーミスタ11、缶体サーミスタ12、給湯サーミスタ13、風呂サーミスタ14が計測した通水炉内の水温、または、外気温サーミスタ16が計測した外気温に応じて以下の各ステップにおいて説明するようにヒータ15への通電制御を行う制御装置Sが設けられている。
【0027】
次に、本実施形態に係る凍結防止加熱制御の動作について、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
本実施形態の凍結防止加熱制御は、燃焼機器1の電源投入により制御装置Sが起動されて以下の各ステップに説明するようになされる。
まず、外気温サーミスタ16の検出温度且つ、通水路サーミスタ(給水サーミスタ11、缶体サーミスタ12、給湯サーミスタ13、風呂サーミスタ14)と外気温サーミスタ16の検出温度の差分が所定温度未満か否かを制御装置Sが判断する(ステップS1)。詳細には、外気温サーミスタ16の検出温度が5℃未満且つ、給水サーミスタ11と外気温サーミスタ16の検出温度の差分が14℃未満もしくは、風呂サーミスタ14と外気温サーミスタ16の差分が10℃未満であれば、制御装置Sがヒータ回路を閉じて(ヒータON)各ヒータ15を作動させ、各ヒータ15を設けた通水路内の水を加熱する(ステップS2)。
【0028】
以下、本実施形態の凍結防止加熱制御に通水路サーミスタ11~14と外気温サーミスタ16の検出温度の差分を用いる理由について説明する。
本実施形態では図4に示すように燃焼機器1が壁Wを貫通する形で設置され、燃焼機器1の器体背面部の排気口2側が特に外気の影響を受けやすい構造となっている。このため排気口2に近い熱交換器付近が特に凍結しやすく器体内の凍結挙動に偏りが存在する。
【0029】
このため、燃焼機器1の器体正面側に存在する給水サーミスタ11や給湯サーミスタ13の検出温度のみでは器体内の偏りを含んだ水温を検出しきれず、外気温サーミスタ16も用いることで器体内の凍結を防止することが必要不可欠である。
しかし、有風時には、排気口2から流入した風によって各ヒータ15で温められた雰囲気が流れ、外気温サーミスタ16はこの影響を少なからず受けてしまい、本来の外気温よりも高い温度を検出してしまう。さらに、有風時には冷気が流入してきているため、通水路内の水温は無風時よりも低下しており、凍結しやすい状態であるにも関わらず外気温サーミスタ16の検出温度は無風時よりも高いという状態になってしまう。
【0030】
本実施形態の凍結防止加熱制御では、通水路サーミスタ11~14と外気温サーミスタ16の差分をとり、前記特性を利用している。燃焼機器1の器体内に冷気が流入してきているような状況では、外気温サーミスタ16の検出温度は本来の外気温よりも高くなり、逆に通水路サーミスタ11~14の検出温度は低くなるので、これら二つの温度の差分を取ることで効果的に器体外が有風なのか、無風なのかを判定し、各ヒータ15への通電制御を効率よく行うことができる。
【0031】
尚、通水路へのヒータ作動判断を通水路サーミスタ11~14だけでなく外気温サーミスタ16も用いているのは、通水路サーミスタ11~14が設けられていない箇所における水温低下も外気温によって判断するためであり、通水温と外気温の差分をとることでこういった箇所の水温低下判断をより高精度に行うことを可能としている。なお、本実施形態の説明では、基本的に給水サーミスタ11、風呂サーミスタ14の検出した水温に基づき制御を行っているが、これらの代わりに他のサーミスタの検出温度を用いても良い。
【0032】
次に、ステップS3において燃焼機器1が給湯燃焼を行っているかどうかを制御装置Sが判断し、給湯燃焼を行っていればステップS7、ステップS8に進み各ヒータ15への通電を停止する。
ステップS3において燃焼機器1が給湯燃焼を行っていないことを制御装置Sが判断した場合は、ステップS4に進み、外気温サーミスタ16の検出温度が0℃未満の場合は60分、外気温サーミスタ16の検出温度が0℃以上5℃未満である場合は30分、各ヒータ15への通電時間を制御装置Sが定め、各ヒータ15に通電する。
ステップS4において制御装置Sが所定の時間ヒータ15への通電を行った後、ステップS5へと進み、給水サーミスタ11と外気温サーミスタ16の検出温度の差分が14℃未満であるか否かを制御装置Sが判断する。
【0033】
ステップS5において、給水サーミスタ11と外気温サーミスタ16の検出温度の差分が14℃未満であると制御装置Sが判断した場合はステップS6へと進み、外気温サーミスタ16の検出温度が8℃以上であると制御装置Sが判断すれば各ヒータ15への通電を停止する。また、14℃以上であると制御装置Sが判断した場合はステップS9へと進み、風呂サーミスタ14と外気温サーミスタ16の検出温度の差分が10℃を超えるか否かを制御装置Sが判断する。10℃以下であればステップS6へと進み、10℃を超えればステップS11へと進みヒータ15への通電を制御装置Sが停止する。
【0034】
なお、ステップS5、ステップS9は強い風が吹いているか否かの判断のためのステップであり、強い風が吹いているような条件であればステップS6へと進み外気温サーミスタ16の検出温度でヒータ15への通電を続けるか否かを判断し、ステップS5、ステップS9の両方で強い風が吹いていないような条件であると判断すれば外気温サーミスタ16の検出温度によらず、各ヒータ15への通電を制御装置Sが停止するようになっている。
この制御装置Sによる制御によってステップS6での外気温検出による各ヒータ15への通電停止温度を8℃未満と高く設定し、有風時の凍結を確実に防止するとともに、無風時には外気温の検出温度のみの判断によらず各ヒータ15への通電を停止することができる。
【0035】
ステップS7にて各ヒータ15への通電が停止されるとステップS8で制御装置Sが最低通電停止時間を決定する。通電停止時間は給水サーミスタ11の検出温度及び外気温サーミスタ16の検出温度の和、または、風呂サーミスタ14の検出温度と外気温サーミスタ16の和を用いて制御装置Sが決定する。
一例として、この和が27℃未満なら10分、27℃以上なら30分の通電停止時間が設定され、通電停止時間の短い方が優先される。
【0036】
ステップS10にて各ヒータ15への通電が停止されるとステップS11で制御装置Sが最低通電停止時間を決定する。通電停止時間は給水サーミスタ11の検出温度及び外気温サーミスタ16の検出温度の和、または、風呂サーミスタ14の検出温度と外気温サーミスタ16の検出温度の和を用いて決定される。
【0037】
一例として、給水サーミスタ11の検出温度及び外気温サーミスタ16の検出温度の和が37℃未満の時は30分、37℃以上46℃未満の時は60分、46℃以上の時は90分の通電停止時間を制御装置Sが設定する。風呂サーミスタ14の検出温度及び外気温サーミスタ16の検出温度の和が32℃未満なら30分、32℃以上41℃未満なら60分、41℃以上なら90分のヒータ通電停止時間を制御装置Sが設定する。これらの中で、停止時間の短い方が優先される。
【0038】
このとき、各ヒータ15への通電を停止する時間を通水路サーミスタ11~14の検出温度と外気温サーミスタ16の検出温度の和によって決定するのは、ヒータ15をOFFとした時点での外気温サーミスタ16の検出温度および通水路サーミスタ11~14の検出温度が低いほど実際の外気温が低く、屋外側の風速が高い等ヒータが停止可能な時間が短い状況であるからである。また、外気温サーミスタ16の検出温度および通水路サーミスタ11~14の検出温度が高いほど実際の外気温が高く、屋外側の風速が低い等、停止時間が長く設定できる状況となるからであり、停止可能な時間を傾向的につかむことが可能であるからである。
【0039】
また、ステップS8での各ヒータ15への通電停止時間の方がステップS11での各ヒータ15への通電停止時間よりも短いのは、ステップS5もしくはステップS9からステップS6へと進むのは強風によって燃焼機器1内に冷気が入り込んできていると判断された場合であり、この時には風が吹いていないときよりも燃焼機器1内が冷え込むスピードが速いためである。
【0040】
このようにして風が吹いていると判断した場合はステップS5からステップS6へと進み、外気温サーミスタ16が8℃以上と比較的高い温度を検知しない限りは各ヒータ15への通電を継続するように制御する。逆に、ステップS6、ステップS10で風が吹いておらず、水温が高いと判断した場合には外気温サーミスタ16の検出温度が低くても各ヒータ15への通電を停止する制御を制御装置Sが行う。これによって、有風時に確実に凍結を防止するとともに無風時には各ヒータ15への通電を停止して省エネルギー運転を図ることができる。
また、前記制御では通水路内の水温を検出する水温検出手段として、従来から既に燃焼機器の器体内に取り付けられている給水サーミスタ11及び風呂サーミスタ14をそのまま有効に利用するので、本実施形態の燃焼機器1の場合に新たに温度検知手段を備える必要がなく、従来の一般的な燃焼機器に比べてコストアップに繋がらない。
【0041】
以下、本発明に係る第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は基本的には第1の実施形態と同一のステップを有する構成であり、図3に示すステップS12の有無だけが異なる。
第2の実施形態において追加されたステップS12は、外気温サーミスタ16が0℃未満のときにはステップS5に進まず、外気温サーミスタ16が0℃以上となるまでヒータ15への通電を継続する制御を制御装置Sが行う。この制御によって特に外気温が氷点下(0℃未満)となる環境下で、急激な温度低下や、強風による凍結から機器を守るため、ヒータ通電を継続させることが可能となる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
例えば、本実施形態では壁貫通型給湯器付風呂装置を用いたが、壁貫通型でない屋内設置用の給湯器付風呂装置に用いてもよいし、屋外設置用の給湯器付風呂装置に用いてもよい。さらに風呂釜(追焚装置5)を持たない給湯器(給湯装置4)に本発明を用いてもよいし、また給湯器を持たない風呂釜に本発明を用いてもよい。
【0043】
また、ステップS1における各ヒータ15の作動判断を外気温のみで行ってもよいし、逆に通水路サーミスタ11~14と外気温サーミスタ16の差分のみで行ってもよい。
また、ステップS4において定めるヒータ15作動時間を異なるように設定してもよいし、外気温サーミスタ16の検出温度のみならず通水路サーミスタ11~14の検出温度を用いて時間設定を行ってもよい。
また、ステップS9を省略してステップS5からステップS10へと直接移行してもよいし、ステップS5とステップS9を入れ替えてステップS9からステップS5、S6へと進んでもよい。
【0044】
また、ステップS1、S5、S9で用いている通水路サーミスタ11~14と外気温サーミスタ16の差分は、和や積など通水路サーミスタと外気温サーミスタ16の関係をもとにした他の計算式であってもよい。
また、ステップS8、S11で定めるヒータOFF時間の決定は和でなく他の四則演算で行ってもよい。
【0045】
以上、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0046】
1…燃焼機器、2…排気口、3…潜熱回収熱交換器、4…給湯装置(給湯器)、
4a…給湯熱交換器、4b…給湯燃焼部(燃焼部)、5…追焚装置(風呂釜)、5a…風呂熱交換器、5b…追焚燃焼部(燃焼部)、6…循環ポンプ、7…水量センサ、8…バイパス制御弁、9…水制御弁、10…注湯電磁弁、11…給水サーミスタ(水温検出手段)、
12…缶体サーミスタ(水温検出手段)、13…給湯サーミスタ(水温検出手段)、
14…風呂サーミスタ(水温検出手段)、15…ヒータ、16…外気温サーミスタ(外気温度検出手段)、17…風呂配管、18…中和容器、19…バイパス管、20…分岐管、
21…給湯ガス電磁弁、22…追焚ガス電磁弁、23…給水配管接続部、24…給湯配管接続部、25…風呂戻り接続部、26…風呂往き配管接続部、27…給気部。
図1
図2
図3
図4