(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20240208BHJP
H02P 3/26 20060101ALI20240208BHJP
H02P 29/024 20160101ALI20240208BHJP
F16D 66/00 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
E04H6/18 601C
E04H6/18 601D
E04H6/18 601F
H02P3/26 F
H02P29/024
F16D66/00 Z
(21)【出願番号】P 2020037176
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500521267
【氏名又は名称】株式会社ニッパツパーキングシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】栗山 茂幸
【審査官】廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-132044(JP,A)
【文献】特開平07-315716(JP,A)
【文献】国際公開第2005/092769(WO,A1)
【文献】特開昭59-153776(JP,A)
【文献】特開平01-038384(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0099025(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/18
H02P 3/26
H02P 29/024
F16D 66/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電流の周波数を変換する周波数変換回路を有し、電力が供給されるときに、前記周波数に応じた駆動電流を出力するインバータと、
前記駆動電流によって、対象物を上下方向又は横方向に移動させるモータと、
電力が遮断されているときに、前記対象物の移動を制限するブレーキと、
前記インバータの内部に設けられ、電力が供給されるときに、前記駆動電流の出力値に応じた第1信号を出力する第1検知部と、
第2信号を受信しているときに導通状態となり前記ブレーキへ電力を供給し、前記第2信号を受信していないときに非導通状態となり前記ブレーキへの電力の供給を停止するブレーキ解除リレーと、
前記第1検知部から出力された前記第1信号に基づいて、前記第2信号を出力するかしないかを制御する制御部と、
導通状態のときに前記周波数変換回路及び前記第1検知部へ電力を供給し、非導通状態のときに前記周波数変換回路及び前記第1検知部への電力の供給を遮断する電源遮断部と、を有し、
前記第2信号は、前記ブレーキ解除リレーを導通状態とする信号であり、
前記第1検知部は、前記駆動電流を測定する第1測定部と、前記駆動電流が所定の出力値かどうかを判定する第1判定部と、を有し、
前記第1判定部は、前記第1測定部によって測定された前記駆動電流の所定の出力値に基づいて、前記制御部に異常信号を出力し、
前記制御部は前記異常信号を受信すると、前記電源遮断部を非導通状態とし、
前記第1検知部への電力の供給が遮断されることにより、前記第1検知部が前記第1信号を出力しなくなると、前記制御部は前記第2信号の出力を停止する、駐車装置。
【請求項2】
前記第1測定部は、前記インバータから出力される電圧値又は温度を測定し、
前記第1判定部は、前記第1測定部によって測定された前記電圧値又は前記温度に基づいて、前記制御部に前記異常信号を出力する、請求項1に記載の駐車装置。
【請求項3】
前記第1測定部は、測定した前記駆動電流を前記制御部に送信し、
前記制御部は、前記第1検知部によって検知された前記駆動電流の出力値に基づいて、前記第2信号を出力する、請求項1に記載の駐車装置。
【請求項4】
前記第1測定部は、前記インバータから出力される電圧値又は温度を測定し、
前記制御部は、前記第1検知部によって検知された前記電圧値又は前記温度に基づいて、前記第2信号を出力する、請求項3に記載の駐車装置。
【請求項5】
前記インバータと前記モータとの間に流れる前記駆動電流の出力値を検知する第2検知部をさらに有し、
前記制御部は、前記第1検知部又は前記第2検知部によって検知された前記駆動電流の出力値に基づいて、前記第2信号を出力する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の駐車装置。
【請求項6】
前記第2検知部は、前記駆動電流を測定する第2測定部と、前記駆動電流が所定の出力値かどうかを判定する第2判定部と、を有し、
前記第2判定部は、前記第2測定部によって測定された前記駆動電流の所定の出力値に基づいて、前記制御部に異常信号を出力する、請求項5に記載の駐車装置。
【請求項7】
前記第2測定部は、前記インバータから出力される電圧値又は温度を測定し、
前記第2判定部は、前記第2測定部によって測定された前記電圧値又は前記温度に基づいて、前記制御部に前記異常信号を出力する、請求項6に記載の駐車装置。
【請求項8】
前記第2検知部は、前記駆動電流を測定する第2測定部を有し、
前記第2測定部は、測定した前記駆動電流を前記制御部に送信し、
前記制御部は、前記第2検知部によって検知された前記駆動電流の出力値に基づいて、前記第2信号を出力する、請求項5に記載の駐車装置。
【請求項9】
前記第2測定部は、前記インバータから出力される電圧値又は温度を測定し、
前記制御部は、前記第2検知部によって検知された前記電圧値又は前記温度に基づいて、前記第2信号を出力する、請求項8に記載の駐車装置。
【請求項10】
駆動電流の周波数を変換する周波数変換回路を有し、電力が供給されるときに、前記周波数に応じた駆動電流を出力するインバータと、
前記駆動電流によって、対象物を上下方向又は横方向に移動させるモータと、
電力が遮断されているときに、前記対象物の移動を制限するブレーキと、
電力が供給されるときに、前記インバータと前記モータとの間に流れる前記駆動電流の出力値に応じた第1信号を出力する検知部と、
第2信号を受信しているときに導通状態となり前記ブレーキへ電力を供給し、前記第2信号を受信していないときに非導通状態となり前記ブレーキへの電力の供給を停止するブレーキ解除リレーと、
前記検知部から出力された前記第1信号に基づいて、前記第2信号を出力するかしないかを制御する制御部と、
導通状態のときに前記周波数変換回路及び前記ブレーキへ電力を供給し、非導通状態のときに前記周波数変換回路及び前記ブレーキへの電力の供給を遮断する電源遮断部と、を有し、
前記第2信号は、前記ブレーキ解除リレーを導通状態とする信号であり、
前記検知部は、前記駆動電流を測定する測定部と、前記駆動電流が所定の出力値かどうかを判定する判定部と、を有し、
前記判定部は、前記測定部によって測定された前記駆動電流の所定の出力値に基づいて、前記制御部に異常信号を出力し、
前記制御部は前記異常信号を受信すると、前記電源遮断部を非導通状態とし、
前記周波数変換回路への電力の供給が遮断されることにより、前記検知部が前記第1信号を出力しなくなると、前記制御部は前記第2信号の出力を停止する、駐車装置。
【請求項11】
前記測定部は、前記インバータから出力される電圧値又は温度を測定し、
前記判定部は、前記測定部によって測定された電圧値又は温度に基づいて、前記制御部に前記異常信号を出力する、請求項10に記載の駐車装置。
【請求項12】
前記測定部は、測定した前記駆動電流を前記制御部に送信し、
前記制御部は、前記検知部によって検知された前記駆動電流の出力値に基づいて、前記第2信号を出力する、請求項11に記載の駐車装置。
【請求項13】
前記測定部は、前記インバータから出力される電圧値又は温度を測定し、
前記制御部は、前記検知部によって検知された前記電圧値又は前記温度に基づいて、前記第2信号を出力する、請求項12に記載の駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などの車両を駐車するための駐車装置に関する。
【0002】
駐車装置、特に、立体的に車両を駐車する多段式駐車装置には、自動車を載置するパレットと、パレットを昇降させる搬送装置を有している。搬送装置は、ローラ、ローラチェーン、ローラを駆動するためのモータ、モータが停止したときにパレットが自重で落下することを防止する保持用ブレーキを備えている。パレットを上昇させる場合には、インバータによってモータの回転速度を変化させている。
【0003】
インバータは、商用電源を用いて、モータを駆動する駆動電圧の周波数を変化させ、周波数に応じた出力電流をモータに出力する。その際、インバータは、始動電流を抑えるように低周波数から出力し始めるので、モータの発生トルクは一般的に小さい。そのため、パレットを上昇させるための定格トルクが発生するまでは、保持用ブレーキを締めている。特許文献1には、パレットを上昇させる昇降機電動機の上昇開始時に、インバータから出力される周波数が負荷トルク以上の回転トルクを発生させる設定値に上昇した際に、保持用ブレーキを開放する駐車装置が開示されている。インバータから出力される周波数が定格トルクを超える周波数に到達すると、保持用ブレーキが開放されるのでパレットが上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インバータの出力端子に異常が生じた場合、インバータの出力周波数に応じた電流を出力することができないことがある。この場合、インバータは、定格トルクを超える出力周波数に達しても、周波数に応じた電流を出力することができない。そのため、インバータの出力周波数が上昇して、ブレーキが開放されていても、定格トルクを超えていないという状態が生じ、パレットが自然落下してしまう虞がある。
【0006】
上記問題に鑑み、本発明の一実施形態では、パレットが予期しないタイミングで落下することを防止する駐車装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る駐車装置は、電力が供給されるときに、駆動電流を出力するインバータと、駆動電流によって、対象物を上下方向又は横方向に移動させるモータと、電力が遮断されているときに、対象物の移動を制限するブレーキと、インバータの内部に設けられた駆動電流の出力値を検知する第1検知部と、第1検知部によって検知された駆動電流の出力値に基づいて、インバータ及びブレーキへの電力の供給を遮断する信号を出力する制御部と、を有する。
【0008】
上記構成において、第1検知部は、駆動電流を測定する第1測定部と、駆動電流が所定の出力値かどうかを判定する第1判定部と、を有し、第1判定部は、第1測定部によって測定された駆動電流の所定の出力値に基づいて、制御部に異常信号を出力する。
【0009】
上記構成において、第1測定部は、インバータから出力される電圧値又は温度を測定し、第1判定部は、第1測定部によって測定された電圧値又は温度に基づいて、制御部に異常信号を出力する。
【0010】
上記構成において、第1検知部は、駆動電流を測定する第1測定部を有し、第1測定部は、測定した駆動電流を制御部に送信し、制御部は、第1検知部によって検知された駆動電流の出力値に基づいて、インバータ及びブレーキへの電力の供給を遮断する信号を出力する。
【0011】
上記構成において、第1測定部は、インバータから出力される電圧値又は温度を測定し、制御部は、第1検知部によって検知された電圧値又は温度に基づいて、インバータ及びブレーキへの電力の供給を遮断する信号を出力する。
【0012】
上記構成において、インバータとモータとの間に流れる駆動電流の出力値を検知する第2検知部をさらに有し、制御部は、第1検知部又は第2検知部によって検知された駆動電流の出力値に基づいて、インバータ及びブレーキへの電源の供給を遮断する信号を出力する。
【0013】
上記構成において、第2検知部は、駆動電流を測定する第2測定部と、駆動電流が所定の出力値かどうかを判定する第2判定部と、を有し、第2判定部は、第2測定部によって測定された駆動電流の所定の出力値に基づいて、制御部に異常信号を出力する。
【0014】
上記構成において、第2測定部は、インバータから出力される電圧値又は温度を測定し、第2判定部は、第2測定部によって測定された電圧値又は温度に基づいて、制御部に異常信号を出力する。
【0015】
上記構成において、第2検知部は、駆動電流を測定する第2測定部を有し、第2測定部は、測定した駆動電流を制御部に送信し、制御部は、第1検知部によって検知された駆動電流の出力値に基づいて、インバータ及びブレーキへの電力の供給を遮断する信号を出力する。
【0016】
上記構成において、第2測定部は、インバータから出力される電圧値又は温度を測定し、制御部は、第2検知部によって検知された電圧値又は温度に基づいて、インバータ及びブレーキへの電力の供給を遮断する信号を出力する。
【0017】
本発明の一実施形態に係る駐車装置は、電力が供給されるときに、駆動電流を出力するインバータと、駆動電流によって、対象物を上下方向又は横方向に移動させるモータと、電力が遮断されているときに、対象物の移動を制限するブレーキと、インバータとモータとの間に流れる駆動電流の出力値を検知する検知部と、検知部によって検知された駆動電流の出力値に基づいて、ブレーキへの電力の供給を遮断する信号を出力する制御部と、を有する。
【0018】
上記構成において、検知部は、駆動電流を測定する測定部と、駆動電流が所定の出力値かどうかを判定する判定部と、を有し、判定部は、測定部によって測定された駆動電流の所定の出力値に基づいて、制御部に異常信号を出力する。
【0019】
上記構成において、測定部は、インバータから出力される電圧値又は温度を測定し、判定部は、測定部によって測定された電圧値又は温度に基づいて、制御部に異常信号を出力する。
【0020】
上記構成において、検知部は、駆動電流を測定する測定部を有し、測定部は、測定した駆動電流を制御部に送信し、制御部は、検知部によって検知された駆動電流の出力値に基づいて、インバータ及びブレーキへの電力の供給を遮断する信号を出力する。
【0021】
上記構成において、測定部は、インバータから出力される電圧値又は温度を測定し、制御部は、検知部によって検知された電圧値又は温度に基づいて、インバータ及びブレーキへの電力の供給を遮断する信号を出力する。
【0022】
上記構成において、制御部からインバータ及びブレーキへの電力の供給を遮断する信号を受信すると、インバータ及びブレーキへの電力の供給を遮断する電源遮断部をさらに有する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態によれば、パレットが予期しないタイミングで落下することを防止する駐車装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る駐車装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る駐車装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る駐車装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る駐車装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る駐車装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る駐車装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】(A)検知部及び制御部の構成を説明する図である。(B)二つの検知部及び制御部の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0026】
本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、Bなどを付しただけの符号)を付す。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。なお、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの序数は、説明を簡潔にするためだけに用いられており、限定的に解釈されるべきではない。
【0027】
(第1実施形態)
図1に、本発明の一実施形態に係る駐車装置100の構成を示す。
図1は、駐車装置100を側面(入出庫口109がある面を正面とする場合)から見た概略図である。
【0028】
駐車装置100は、支柱102によって構造体が構成され、構造体の中に車両を載置するパレット104が配置されている。パレット104は、搬送装置106により支柱102に沿って昇降することが可能である。パレット104は、構造体の中で複数の車両101を上下方向に積み重ねたとき、車両同士が干渉しない間隔をもって所定の位置に設けられている。これにより、支柱102によって形成される構造体は、上下方向に複数段に積み重なった駐車領域P1、P2、P3、P4を形成している。搬送装置106は、モータによって駆動される。当該モータは、インバータによって制御される。
【0029】
なお、図示していないが、駐車領域P1、P2、P3、P4は上下方向のみならず、横方向(
図1に示す奥行方向)に複数並んで形成されるものであってもよい。これにより、パレット104は、上下方向だけでなく、横方向にも移動させることができる。
【0030】
駐車装置100は、操作盤105によって操作される。操作盤105は、駐車装置100の外側に設けられている。例えば、駐車装置100の入出庫口109の近くの支柱102に操作盤105が配置されている。利用者は、駐車装置100の外側から操作盤105を操作して、目的のパレット104を入出庫口109まで移動させたり、ゲート108を開閉したりする。
【0031】
駐車装置100の入出庫口109に設けられるゲート108は、操作盤105により開閉を行うことができる。ゲート108は、車両101を入出庫するために開けた場合以外は閉じた状態となっている。したがって、パレット104が移動するときもゲート108は閉じた状態となっている。ゲート108が閉じていることにより、通常は駐車装置100内に人が入れないようになっている。制御盤110は、駐車装置100の側面に配置されているが、制御盤110は、車両101の入庫方向に設けられていてもよい。操作盤105から出力される信号は、制御盤110に送信され、制御盤110はパレット104の移動を行う搬送装置106や、ゲート108の開閉を行う駆動装置などに制御信号を出力する。
【0032】
上下方向に複数段に積み重なった駐車領域を形成し、立体的に車両101を収納して駐車させる駐車装置100では、パレット104が昇降することで、目的とするパレット104を入出庫口109へ移動させて車両101の出し入れを行う。目的とするパレット104の入出庫口109まで移動させる動作にはいくつかの方式がある。例えば、上段のパレット104に駐車された車両101を出庫するために下段のパレット104を地下ピットに沈みこませる方式、下段又は上段のパレット104を車体方向(
図1の紙面奥行方向)にスライドさせて上段のパレット104を下段のパレット104が存在しない領域に降下させる方式、あるいはこれらを組み合わせた方式等が採用されている。
【0033】
[駐車装置の構成]
図2は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100の構成を示すブロック図である。駐車装置100の制御盤110は、パレット104、操作盤105、モータなどの駆動部品を含む搬送装置106、インバータ107、及びゲート108等と接続されており、各装置の動作を制御する。
図2では、パレット104及びゲート108の図示を省略している。
【0034】
外部電源120は、電源供給部112に電力を供給する。電源供給部112は、操作盤105及び制御部111に電力を供給する。
【0035】
制御盤110は、少なくとも制御部111、電源供給部112、及び電源遮断部113(ブレーカともいう)を有する。
【0036】
制御部111は、例えば、プロセッサや信号出力部を有する。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)で例示される演算処理装置、ならびにROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)で例示されるメモリを有する。制御部111は、ROMに記憶されたプログラムをRAMによって展開してCPUによって実行する。また、信号出力部は、プロセッサから出力された信号を、電源遮断部113やブレーキ解除リレー151に出力する。制御部111は、例えば、操作盤105から送信された信号を受信して、パレット104の移動やゲート108の開閉などを制御する。なお、制御部111と操作盤105とを別構成で図示しているが、操作盤105が制御部111を備えていてもよい。
【0037】
搬送装置106は、パレット104の上下方向及び横方向の移動を可能にするために、スライド機構、モータ、ローラ、ローラチェーン、軸受け等の部品、油圧関係の複数の駆動部品を含んでいる。パレット104の移動は、インバータ107とモータ141とによって制御される。
【0038】
モータ141は、三相モータと減速機が一体化されたギヤードモータを用いる。三相モータには電磁ブレーキが内蔵されている。電磁ブレーキは、モータの回転軸146に取り付けられたブレーキディスク145、ブレーキパッド144、ブレーキ用電磁石143、及び押圧バネ147によって構成される。ブレーキパッド144は、常時、押圧バネ147によってブレーキディスク145に押しつけられている。また、ブレーキ用電磁石143は、ブレーキパッド144の近傍に設けられている。ブレーキ用電磁石143は、ブレーキ解除リレー151を介して外部電源120と接続されている。ブレーキ解除リレー151は、導通状態とする信号を受信している間は導通状態であるが、導通状態とする信号を受信していないと、非導通状態である。ブレーキ解除リレー151が導通状態となることで、ブレーキ用電磁石143に、外部電源120から交流電流が供給される。これにより、ブレーキ用電磁石143は、ブレーキパッド144を引き付け、ブレーキディスク145からブレーキパッド144を引き離すことで、回転軸146が開放され、ブレーキが解除される。
【0039】
モータ141として三相モータを用いる場合、パレット104を移動させる速度に応じてモータ141に流す電流の周波数を変化させる必要がある。インバータ107には、交流から直流に変換して、任意の周波数に変更した交流を作り出す役割があり、パレット104の移動速度に応じて出力する交流の周波数を変化させる。インバータ107は、周波数を変換する周波数変換回路131と、インバータ107内部において、出力する駆動電流の出力値を検知する検知部132と、駆動電流が任意の周波数に到達したか否かを監視する監視部134と、を有する。
【0040】
周波数変換回路131は、外部電源120から供給された交流電流がそれぞれ入力端子R、入力端子S、入力端子Tに入力されると直流に変換して、任意の周波数に変更した交流を出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力する。周波数変換回路131は、モータに供給する電流の周波数を調整することによって、モータ141の回転数を変更することができる。監視部134では、周波数変換回路131から出力される周波数が負荷トルク以上の回転トルクを発生させる設定値に到達した場合には、ブレーキ解除リレー151を導通状態とする信号を、出力端子Y1から制御部111に出力する。また、インバータ107は、制御部111又は操作盤105から正方向に回転する信号、又は逆方向に回転する信号が入力されると、回転方向に応じて、パレット104を上下方向に移動させる。
【0041】
検知部132は、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力される駆動電流の出力値を検知している。検知部132では、出力端子U、出力端子V、出力端子Wのいずれかの駆動電流の出力値が検知できなかったり、検知した駆動電流の出力値が所定の関係を満たす出力値であったりする場合には、インバータ107の出力端子に異常があると判定し、異常信号を出力端子30Aから制御部111に出力する。ここで、出力端子U、出力端子V、出力端子Wについて所定の関係を満たす駆動電流の出力値とは、任意で設定できる値であり、パレット104が自然落下してしまう値である。また、駆動電流の出力値とするものは、実効値であってもよいし、平均値であってもよい。出力端子U、出力端子V、出力端子Wについて、それぞれ異なる駆動電流の出力値の閾値が設定されていても良いし、同じ閾値が設定されていてもよい。例えば、出力端子U、出力端子V、出力端子Wの少なくとも一つの駆動電流の出力値が、閾値未満である場合には、異常信号を出力端子30Aから制御部111に出力する。
【0042】
図2に示す駐車装置100では、インバータ107は電源遮断部113を介して外部電源120と接続されており、ブレーキ用電磁石143は、ブレーキ解除リレー151及び電源遮断部113を介して、外部電源120と接続されている。そのため、電源遮断部113が非導通状態になることで、インバータ107及びブレーキ用電磁石143への電力の供給が遮断される。
【0043】
[駐車装置の制御方法]
次に、本発明の一実施形態に係る駐車装置100の動作方法について、
図3を参照して説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100の動作方法を説明するフローチャートである。制御部111は、
図3に示す動作方法を実行するプログラムをROMから読み出し、RAMに展開することによりCPUによって実行する。
【0044】
まず、駐車装置100のパレット104が正常に移動する場合について説明する。ここでは、パレット104を上昇させる場合について説明する。制御部111は、電源遮断部113が導通状態となる信号を出力することで、電源遮断部113が導通状態となり、外部電源120から、電源遮断部113を介してインバータ107には、交流電流が供給される(START)。まず、制御部111は、操作盤105からパレット104を移動させる指示の信号を受信する(ステップS401)と、インバータ107は出力端子U、出力端子V、出力端子Wから交流の駆動電流を出力させる(ステップS402)。このとき、検知部132は、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力される駆動電流の出力値の検知を開始する。インバータ107は、出力される周波数が負荷トルク以上の回転トルクを発生させる設定値になるまで、徐々に周波数を増加させる。これに伴い、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力される駆動電流も増加する。監視部134は、出力される周波数がモータの負荷トルク以上の回転トルクを発生させる設定値に到達した場合に、ブレーキ解除リレー151を導通状態とする信号を、出力端子Y1から制御部111に出力する。
【0045】
制御部111は、ブレーキ解除リレー151を導通状態とする信号を受信する(ステップS403)と、制御部111は、ブレーキ解除リレー151を導通状態とする信号を出力する(ステップS404)。ブレーキ解除リレー151が導通状態になると、ブレーキ用電磁石143に、外部電源120から交流電流が供給される。ブレーキ用電磁石143は、ブレーキパッド144を引き付け、ブレーキディスク145からブレーキパッド144を引き離すことで回転軸146を開放して、ブレーキを解除する。ブレーキが解除されると、パレット104は上昇を開始する。パレット104の上昇中も、検知部132は、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力される駆動電流の出力値を常に測定し続ける。
【0046】
制御部111は、異常信号を受信しない(ステップS405)の場合、パレット104が規定位置に到達したか否かを判定する(ステップS406)。パレット104が規定位置に到達したことを判定するには、例えば、位置確認センサを用いる。位置確認センサは、パレット104が配置される所定の位置に設けられる。パレット104が規定位置に到達すると、位置確認センサが検知して信号を制御部111に送信する。パレット104が規定位置に到達していない場合(ステップS406;No)、パレット104が規定位置に到達するまでは、ステップS405、S406の処理を繰り返す。位置確認センサが検知した信号を制御部111が受信して、パレット104が規定位置に到達したと判定する場合(ステップS406;Yes)、制御部111はインバータ107への動作指令を停止させる信号を出力することで、インバータ107の駆動電流の出力を停止させる(ステップS407)。このとき、インバータ107は周波数が低下するので、周波数が閾値以下になると、制御部111は、ブレーキ解除リレー151を導通状態とする信号を遮断する(ステップS408)。これにより、ブレーキ解除リレー151が非導通状態になるため、ブレーキ用電磁石143には、外部電源120からの交流電流の供給が停止される。また、ブレーキ用電磁石143からブレーキパッド144が開放され、ブレーキディスク145とブレーキパッド144とを密着させることで回転軸146が拘束されて、ブレーキが締まる。これにより、パレット104の移動が完了する(END)。
【0047】
以上、駐車装置100のパレット104が正常に移動する場合について説明した。しかしながら、インバータの出力端子に異常が生じた場合、インバータの出力周波数に応じた駆動電流を出力することができないことがある。この場合、インバータは、定格トルクを超える出力周波数に達しても、周波数に応じた駆動電流が出力することができない。そのため、インバータの出力周波数が上昇して、ブレーキが開放されていても、定格トルクを超えていないという状態が生じ、パレットが自然落下してしまう虞がある。また、定期点検や部品交換時に、メンテナンス作業者がパレットに乗った状態で作業する場合があるため、非常に危険な状態が発生する可能性がある。また、例えば、パレットに人が乗っていなくても、パレットが自然落下することで物の破損に繋がる可能性がある。
【0048】
そこで、本発明の一実施形態に係る駐車装置100の動作方法では、インバータ107において検知部132を設け、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力されるそれぞれの駆動電流の出力値の測定をする。検知部132において、出力端子U、出力端子V、出力端子Wにおける駆動電流の出力値が検知できない場合、又は検知した駆動電流の出力値が所定の関係を満たす場合には、インバータ107の出力端子U、出力端子V、出力端子Wに異常があると判定し、インバータ107の出力端子30Aから異常信号を制御部111に出力する。
【0049】
次に、駐車装置100において、インバータ107に異常が生じた場合について説明する。ここでは、パレット104を上昇させる場合について説明する。なお、ステップS401~S404までの処理については、先に説明した駐車装置100のパレット104が正常に移動する場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0050】
ステップS404では、制御部111がブレーキ解除リレー151を導通状態とする信号を出力することで、ブレーキ解除リレー151導通状態となり、ブレーキが解除されている状態である。このとき、検知部132では、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力される駆動電流の出力値を常に測定し続けている。検知部132において、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力されるそれぞれの駆動電流の出力値が検知できない場合、又は検知した駆動電流の出力値が所定の関係を満たす場合には、インバータ107は出力端子U、出力端子V、出力端子Wに異常があると判定し、インバータ107の出力端子30Aから異常信号を制御部111に出力する。
【0051】
制御部111は、インバータ107から異常信号を受信する(ステップS405;Yes)と、電力遮断処理を実行する(ステップS409)。本実施形態では、電力遮断処理として、制御部111は電源遮断部113が非導通状態となる信号を出力することで、電源遮断部113を非導通状態にする。これにより、外部電源120から、電源遮断部113を介してインバータ107及びブレーキ解除リレー151へ電力を供給することを遮断する。インバータ107への電力の供給が遮断されると、出力端子Y1から出力されるブレーキ解除リレー151を導通状態とする信号が遮断されるので、ブレーキ解除リレー151が非導通状態となる。これにより、ブレーキ解除リレー151は非導通状態となる。または、制御部111がインバータ107から異常信号を受信するのではなく、検知部132において、出力端子U、出力端子V、出力端子Wにおける駆動電流の出力値が検知できない場合、又は検知した駆動電流の出力値が所定の関係を満たす場合には、出力端子Y1からのブレーキ解除リレー151を導通状態とする信号を遮断してもよい。これにより、制御部111は、ブレーキ解除リレー151を導通状態とする信号を停止して、ブレーキ解除リレー151を非導通状態としてもよい。ブレーキ解除リレー151が非導通状態となると、ブレーキ用電磁石143への電力の供給が遮断されるので、ブレーキ用電磁石143はブレーキパッド144が開放され、回転軸146が拘束されることで、ブレーキが締まる。これにより、パレット104の移動が停止するため、落下しかけたパレット104を、途中の位置で停止させることができる。また、その後、操作盤105の表示パネル(
図4では図示せず)にエラーを表示する。
【0052】
本発明の一実施形態に係る駐車装置100では、ブレーキが解除されている状態で、インバータ107に異常が生じた場合、電源遮断部113によってインバータ107及びブレーキへの電力の供給を遮断する。インバータ107が電源遮断部113によって停止させられた場合、利用者が駐車装置100を操作することができなくなる。メンテナンス作業員でなければ駐車装置100の復帰動作を行うことができないため、利用者の操作によって駐車装置100に誤動作が生じ、二次被害が生じることを防止することができる。
【0053】
(第2実施形態)
本実施形態では、実施形態で説明した駐車装置100とは一部異なる構成を有する駐車装置100Aについて、
図4を参照して説明する。
【0054】
図4は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100Aの構成を示すブロック図である。駐車装置100Aの制御盤110は、操作盤105、駆動部品を含む搬送装置106、及びインバータ107Aに加えて検知部135と接続されており、各装置の動作を制御する。
【0055】
本実施形態では、検知部135を、インバータ107Aの内部ではなく、インバータ107Aの出力端子U、出力端子V、出力端子Wと、搬送装置106との間に設けている。インバータ107Aの出力端子は、モータ141と接続されている。検知部135は、インバータ107Aの外部にて、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力されたそれぞれの駆動電流を検知している。検知した駆動電流の出力値のそれぞれは、制御部111に送信される。なお、駐車装置100Aのパレット104が正常に移動する場合、又はインバータ107Aに異常が生じた場合の動作は、
図3に示すフローチャートと同様であるため詳細な説明は省略する。
【0056】
インバータの内部で異常が生じた場合、出力端子30Aから異常信号を制御部に出力することができないことがある。例えば、インバータ内部で、定格トルクを発生させる出力周波数に達しても、周波数に応じた駆動電流が出力していない場合がある。このような場合であっても、監視部によって、ブレーキ解除リレーを導通状態とする信号を、出力端子Y1から制御部に出力してしまうおそれがある。これにより、ブレーキが開放されていても、周波数に応じた駆動電流が出力されておらず、定格トルクを超えていないという状態が生じ、パレットが自然落下してしまう虞がある。
【0057】
本実施形態にて説明したように、検知部135をインバータ107Aの出力端子U、出力端子V、出力端子Wと、搬送装置106との間に設けることにより、監視部134において、インバータ107Aの内部で駆動電流の異常を検知できない場合であっても、インバータ107Aの外部で駆動電流の異常を検知することができる。検知部135において、異常な駆動電流の出力値が検知されると、インバータ107の出力端子U、出力端子V、出力端子Wに異常があると判定し、検知部135は制御部111に異常信号を出力する。制御部111は、異常信号を受信すると、電力遮断処理を実行する。電力遮断処理として、制御部111は電源遮断部113が非導通状態となる信号を出力することで、電源遮断部113を非導通状態にする。これにより、外部電源120から、電源遮断部113を介してインバータ107及びブレーキ解除リレー151へ電力を供給することを遮断する。これにより、直ちに、電源遮断部113によってインバータ107A及びブレーキへの交流電流を遮断することができる。また、インバータ107Aへの電力の供給が遮断されると、出力端子Y1から出力されるブレーキ解除リレー151を導通状態とする信号が遮断されるので、ブレーキ解除リレー151が非導通状態となる。インバータ107Aが電源遮断部113によって停止させられた場合、利用者が駐車装置100を操作することができなくなる。メンテナンス作業員でなければ駐車装置100の復帰動作を行うことができないため、利用者の操作によって駐車装置100に誤動作が生じ、二次被害が生じることを防止することができる。
【0058】
(第3実施形態)
本実施形態では、先の実施形態で説明した駐車装置100、100Aとは一部異なる構成を有する駐車装置100Bについて、
図5を参照して説明する。
【0059】
図5は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100Bの構成を示すブロック図である。駐車装置100Bの制御盤110は、パレット104、操作盤105、駆動部品を含む搬送装置106、インバータ107、及びゲート108に加えて検知部135と接続されており、各装置の動作を制御する。
【0060】
本実施形態では、インバータ107の内部に設けられた検知部132だけでなく、インバータ107の出力端子側にも検知部135を設けている。インバータ107の出力端子は、モータ141と接続されている。検知部132は、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力されるそれぞれの駆動電流の出力値を測定している。検知部135は、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力されたそれぞれの駆動電流の出力値を測定している。
【0061】
検知部132において、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから駆動電流の出力値が検知できない場合、又は検知した駆動電流の出力値が所定の関係を満たす場合には、インバータ107の出力端子U、出力端子V、出力端子Wに異常があると判定し、インバータ107の出力端子30Aから異常信号を制御部111に送信する。また、検知部132において異常が検知できない場合であっても、検知部135において、異常な駆動電流の出力値が検知されると、インバータ107の出力端子U、出力端子V、出力端子Wに異常があると判定し、検知部135は制御部111に異常信号を出力する。制御部111は、検知部132又は検知部135から異常信号を受信すると、電力遮断処理を実行する。電力遮断処理として、制御部111は電源遮断部113が非導通状態となる信号を出力することで、電源遮断部113を非導通状態にする。これにより、外部電源120から、電源遮断部113を介してインバータ107及びブレーキ解除リレー151へ電力を供給することを遮断する。これにより、直ちに、電源遮断部113によってインバータ107及びブレーキへの交流電流を遮断することができる。または、制御部111は、電力遮断処理として、ブレーキ解除リレー151を導通状態する信号を遮断してもよい。
【0062】
これにより、インバータ107の故障により、インバータの内部に設けられた検知部132において異常な駆動電流の出力値を検知できない場合であっても、インバータの外部の検知部135によって異常な駆動電流の出力値を検知することができる。検知部135において、出力端子U、出力端子V、出力端子Wにおいて異常な駆動電流の出力値が検知されると、制御部111は、直ちに、電源遮断部113によってインバータ107及びブレーキへの交流電流を遮断することができる。インバータ107が電源遮断部113によって停止させられた場合、利用者が駐車装置100を操作することができなくなる。メンテナンス作業員でなければ駐車装置100の復帰動作を行うことができないため、利用者の操作によって駐車装置100に誤動作が生じ、二次被害が生じることを防止することができる。
【0063】
(変形例)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上述した各実施形態は、互いに組み合わせたり、置換したりして適用することができる。また、上述した各実施形態では、以下の通り少なくとも一部を変形して実施することができる。
【0064】
(1)本発明の一実施形態では、インバータ107は電源遮断部113を介して外部電源120と接続されており、ブレーキ用電磁石143は、ブレーキ解除リレー151及び電源遮断部113を介して、外部電源120と接続されている構成を説明したが、これに限定されない。外部電源120とインバータ107とを接続する配線と、外部電源120とブレーキ用電磁石143とを接続する配線とを、別々に接続してもよい。
【0065】
図6は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100Cの構成を示すブロック図である。
図6に示すように、インバータ107は、電源遮断部113を介して外部電源120と接続されており、ブレーキ用電磁石143は、ブレーキ解除リレー151を介して外部電源120と接続されている。
【0066】
図2に示す駐車装置100の場合は、制御部111が異常信号を受信すると、電源遮断部113によって電源の供給を遮断して、インバータ107及びブレーキ用電磁石143への電源の供給を遮断させる。これに対し、
図6に示す駐車装置100Cの場合には、制御部111が異常信号を受信すると、制御部111からブレーキ解除リレー151を非導通状態にする信号を出力する。これにより、ブレーキ解除リレー151が非導通状態となり、ブレーキ用電磁石143への電力の供給が遮断されるため、ブレーキを締めることができる。このように、
図6に示す駐車装置100Cの場合では、インバータ107とブレーキ用電磁石143とに別々に、電力の供給を遮断する信号を出力する。つまり、制御部111は、インバータ107への電力の供給を遮断せずに、ブレーキ解除リレー151のみを非導通状態にすることができる。よって、駐車装置100Cでは、インバータ107への電力の供給を停止させることなく、ブレーキを締めることができる。なお、
図4に示す駐車装置100A及び
図5に示す駐車装置100Bについても、同様に、インバータ107とブレーキ用電磁石143とを別々に電力に供給する構成としてもよい。
【0067】
(2)本発明の一実施形態では、インバータ107が有する検知部132は出力端子から出力される駆動電流の出力値を測定する場合について説明したが、これに限定されない。検知部132は、インバータ107から出力される電圧値を測定してもよい。検知部132では、出力端子U、出力端子V、出力端子Wのいずれかの電圧値の出力値が検知できなかったり、検知した電圧値の出力値が所定の関係を満たす出力値であったりする場合には、インバータ107の出力端子に異常があると判定し、異常信号を出力してもよい。ここで、出力端子U、出力端子V、出力端子Wについて所定の関係を満たす電圧値の出力値とは、任意で設定できる値であり、パレット104が自然落下してしまう値である。また、電圧値の出力値とするものは、実効値であってもよいし、平均値であってもよい。出力端子U、出力端子V、出力端子Wについて、それぞれ異なる電圧値の出力値の閾値が設定されていても良いし、同じ閾値が設定されていてもよい。例えば、出力端子U、出力端子V、出力端子Wの少なくとも一つの電圧値の出力値が、閾値未満である場合には、異常信号を出力する。
【0068】
また、検知部132は、インバータ107の内部における温度や、インバータ107の周囲の温度を測定してもよい。例えば、インバータ107の内部は、駆動電流が上がりすぎると、温度が上昇してしまう。また、インバータ107の周囲も、インバータ107の内部の温度が上がりすぎると、温度が上昇してしまう。また、インバータ107の外部の温度が-10℃未満になると、インバータ107は正常に出力できなくなってしまう。よって、インバータ107の内部や周囲において、温度センサを設けることにより、温度を測定することが好ましい。よって、検知部132は、温度センサによって測定されたインバータ107の内部や周囲における温度が、インバータ107の使用温度の範囲外、つまり所定の温度範囲を満たさなくなった場合に、出力端子A30から異常信号を出力してもよい。
【0069】
また、検知部135は、インバータ107Aの外部にて、出力端子U、出力端子V、出力端子Wのそれぞれから駆動電流が流れたときの磁界を検知してもよい。
【0070】
また、本発明の一実施形態では、検知部132では駆動電流を検知し、監視部134において、出力される周波数がモータの負荷トルク以上の回転トルクを発生させる設定値かどうかを判定する場合について説明したが、これに限定されない。検知部132が、監視部134の機能を有していてもよい。例えば、検知部132において、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力される周波数を測定し、周波数がモータの負荷トルク以上の回転トルクを発生させる閾値以上かどうかを判定してもよい。
【0071】
(3)ここで、インバータ107の内部に設けられた検知部132、インバータ107の外部に設けられた検知部135の構成について説明する。例えば、検知部132及び検知部135のそれぞれは、測定部と、判定部とを有している。この場合、測定部は、駆動電流を測定し、判定部は、測定部で測定された駆動電流が所定の出力値かどうかを判定する。また、判定部は、測定部で測定された駆動電流の出力値が閾値以下となった場合、又は駆動電流の出力値が所定の関係を満たす場合には、制御部111に異常信号を出力してもよい。なお、検知部132及び135において、電圧値及び温度の少なくとも一つの異常を検知する場合についても同様である。つまり、測定部において、電圧値及び温度を測定し、判定部において、測定部で測定された電圧値及び温度が所定の出力値かどうかを判定すればよい。測定部で電圧値を測定する際には、判定部は、電圧値の出力値が閾値以下となった場合、又は電圧値が所定の電圧値の範囲を満たさなくなった場合に、異常信号を出力してもよい。また、測定部で温度を測定する際には、判定部は、温度が所定の温度範囲を満たさなくなった場合に、異常信号を出力してもよい。
【0072】
または、インバータ107の内部に設けられた検知部132、及びインバータ107の外部に設けられた検知部135は、測定部を有し、判定部は有していなくてもよい。この場合、測定部は、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力された駆動電流の出力値を測定し、測定部で測定された駆動電流の出力値を、制御部111に送信してもよい。この場合、制御部111は、出力端子U、出力端子V、出力端子Wから出力された駆動電流の出力値が所定の関係を満たすかどうかを判定し、所定の関係を満たす場合には、インバータ107の出力端子U、出力端子V、出力端子Wに異常があると判定する。次いで、制御部111は、電源遮断部113を非導通状態とする信号、又はブレーキ解除リレー151を導通状態とする信号を遮断する。なお、検知部132及び135において、電圧値及び温度の少なくとも一つの異常を検知する場合についても同様である。つまり、測定部において、電圧値及び温度を測定し、制御部111に出力値を送信すればよい。また、制御部111において、測定部で測定された電圧値及び温度が所定の出力値かどうかを判定すればよい。制御部で電圧値を受信した場合には、電圧値の出力値が閾値以下となった場合、又は電圧値が所定の電圧値の範囲を満たさなくなった場合に、異常信号を出力してもよい。また、制御部で温度を受信した場合には、温度が所定の温度範囲を満たさなくなった場合に、異常信号を出力してもよい。
【0073】
(4)本発明の一実施形態では、制御部111が有するCPUが搭載されたプロセッサによって、検知部132又は検知部135から出力された異常信号を受信して、インバータ107又はブレーキ解除リレー151等への信号を出力する例について説明したが、これに限定されない。検知部132又は検知部135からの異常信号を信号出力部で受信して、信号出力部で信号を切り替えて、インバータ107又はブレーキ解除リレー151等に信号を出力してもよい。
【0074】
図7(A)は、
図2に示す駐車装置100が有する検知部132及び制御部111の構成を示す図である。検知部132は、測定部161及び判定部162を有する。また、制御部111は、プロセッサ171及び信号出力部172を有する。信号出力部172は、例えば、リレー制御回路であり、リレー制御回路は、例えば、検知部132から受信した信号に応じた信号を、ブレーキ解除リレー151等に出力する。
【0075】
測定部161は、駆動電流の出力値を測定し、判定部162は、測定部161で測定された駆動電流が所定の出力値かどうかを判定する。また、判定部162は、測定部161で測定された駆動電流の出力値が所定の関係を満たす場合には、インバータ107の出力端子30Aから制御部111に異常信号を出力する。このとき、制御部111では、プロセッサ171において異常信号を受信するのではなく、信号出力部172において異常信号を受信してもよい。この場合、信号出力部172が有するリレーによって、異常信号を、ブレーキ解除リレー151を非導通状態とする信号に切り替えて、ブレーキ解除リレー151に出力してもよい。
【0076】
図7(B)は、
図5に示す駐車装置100Bが有する検知部132、検知部135、及び制御部111の構成を示す図である。検知部135は、測定部163及び判定部164を有する。測定部163は、駆動電流の出力値を測定し、判定部164は、測定部163で測定された駆動電流が所定の出力値かどうかを判定する。また、判定部164は、測定部163で測定された駆動電流の出力値が所定の関係を満たす場合には、制御部111に異常信号を出力する。このとき、制御部111では、プロセッサ171において異常信号を受信するのではなく、信号出力部172において異常信号を受信してもよい。この場合、信号出力部172が有するリレーによって、異常信号を、ブレーキ解除リレー151を非導通状態とする信号に切り替えて、ブレーキ解除リレー151に出力してもよい。
図7(B)では、検知部132及び検知部135の少なくとも一方から異常信号が出力されれば、信号出力部172では、異常信号を、ブレーキ解除リレー151を非導通状態とする信号に切り替えて、ブレーキ解除リレー151に出力することができる。なお、
図4に示す駐車装置100Aが有する検知部135及び制御部111の構成については、
図7(B)に示す検知部132の構成を省略した構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0077】
また、図示しないが、検知部132又は検知部135は、異常信号を監視部134に送信してもよい。監視部134は異常信号を受信すると、出力端子Y1からブレーキ解除リレー151を導通状態とする信号を遮断する。これにより、ブレーキ解除リレー151は、非導通状態になるので、ブレーキ用電磁石143への電力の供給が遮断される。この方法によれば、検知部132又は検知部135から出力された異常信号を、制御部111に送信することなく、ブレーキ解除リレー151を非導通状態とすることができるため、より短時間でパレット104の落下を停止することができる。
【0078】
(5)本発明の一実施形態では、パレット104を上下方向に移動させる場合のインバータ107から出力された駆動電流を測定する方法について説明したが、これに限定されない。パレット104を横方向に移動させる場合のインバータ107から出力された駆動電流を測定してもよい。パレット104を横方向に移動させる場合についても、第1実施形態乃至第3実施形態で説明した駐車装置100、100A、100Bの構成を適用することができる。なお、パレット104を横方向に移動させるためのモータは、パレット104を上下方向に移動させるためのモータとは異なるモータを使用している。パレット104を横方向に移動させている間、パレット104は上下方向には移動しない。つまり、上下方向に移動させるためのモータは停止している。そのため、検知部132及び検知部135の少なくとも一つは、パレット104を横方向に移動させるためのモータに出力された駆動電流を測定し続ければよい。
【0079】
また、パレット104を横方向に移動させるためのモータの定格トルクは、パレット104を上下方向に移動させるためのモータの定格トルクよりも小さい。しかしながら、パレット104が横方向に動作する場合には、モータが複数同時に動作可能となっているため、駐車装置100の大きさによっては、横方向への移動が多くなる場合がある。この場合には、横方向に移動させるためのモータの定格トルクは、上下方向に移動させるためのモータの定格トルクよりも大きくなることもある。したがって、駐車装置100の大きさに応じて、パレット104を上下方向に移動させる場合の駆動電流の閾値と、横方向に移動させる場合の駆動電流の閾値とは、それぞれ異なっていてもよい。
【0080】
(6)本発明の一実施形態では、インバータ107及び搬送装置106によって、パレット104を上下方向に移動させる方法について説明したが、これに限定されない。例えば、インバータ107及び搬送装置106によって上下方向に移動させるものであればよく、例えば、ゲート108に適用してもよい。この場合、ゲート108を上下移動させるためのモータに出力される駆動電流を測定する。ゲート108に適用することで、ゲート108を上下方向に移動させる際に、予期しないタイミングでゲート108が落下することを防止することができる。
【0081】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の駐車装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0082】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0083】
100、100A、100B:駐車装置、101:車両、102:支柱、104:パレット、105:操作盤、106:搬送装置、107:インバータ、107A:インバータ、108:ゲート、109:入出庫口、110:制御盤、111:制御部、112:電源供給部、113:電源遮断部、120:外部電源、131:周波数変換回路、132:検知部、134:監視部、135:検知部、141:モータ、142:ブレーキ、143:ブレーキ用電磁石、144:ブレーキパッド、145:ブレーキディスク、146:回転軸、147:押圧バネ、151:ブレーキ解除リレー、161:測定部、162:判定部、163:測定部、164:判定部、171:プロセッサ、172:信号出力部