(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】作業管理システム及び作業管理システムの設定方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240208BHJP
G06Q 10/08 20240101ALI20240208BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G06F3/01 570
G06Q10/08
B65G1/137 E
(21)【出願番号】P 2020045555
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000207816
【氏名又は名称】大豊精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【氏名又は名称】大川 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100120994
【氏名又は名称】山田 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100174713
【氏名又は名称】瀧川 彰人
(72)【発明者】
【氏名】堀野 真広
(72)【発明者】
【氏名】藤原 裕史
(72)【発明者】
【氏名】畠山 瑞央
(72)【発明者】
【氏名】芝井 彰吾
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-045669(JP,A)
【文献】特開2009-025918(JP,A)
【文献】国際公開第2015/030264(WO,A1)
【文献】特許第6656328(JP,B1)
【文献】特開2015-048171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06Q 10/08
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカメラと、
ユーザーの腕又は手に装着されるマーカーと、
複数の前記カメラから取得した前記マーカーの撮像データに基づいて、三角測量の原理により、3次元座標系における前記マーカーの位置情報を演算する演算装置と、
を備える作業管理システムであって、
前記演算装置は、
前記3次元座標系における座標情報として予め設定された検出エリアを記憶する記憶部と、
前記マーカーの位置情報に基づいて、前記検出エリアに前記マーカーが進入したことを検出する検出部と、
前記検出部により前記マーカーが前記検出エリアに進入したことが検出された場合、その進入情報を記録する、又は記録装置に送信する作業記録部と、
を備え
、
前記記憶部は、互いに異なる識別情報が設定された複数の前記検出エリアを記憶し、
前記進入情報には、前記マーカーが進入した前記検出エリアの前記識別情報が含まれ、
前記検出部は、前記検出エリアに前記マーカーが進入したことを検出することで、ユーザーが箱の中から対象物を取り出す作業を検出し、
前記検出エリアは、複数の前記箱のそれぞれの開口部に対応して設定され、
前記識別情報は、前記箱ごと又は予め設定された前記箱のグループごとに異なるように設定され、
各前記検出エリアは、立体的に且つ他の前記検出エリアから離間して設定されている、
作業管理システム。
【請求項2】
各前記検出エリアは、対応する前記箱の前記開口部を覆うように、前記開口部を含んで設定されている、
請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項3】
前記開口部は、前記箱の上部に形成されている、
請求項1又は2に記載の作業管理システム。
【請求項4】
前記マーカーは、反射部と、前記反射部を手首に取り付けるためのバンド部と、を備え、
前記反射部は、前記バンド部に、周方向に並んで複数配置され、
前記演算装置は、複数の前記反射部のうち少なくとも1つが前記検出エリアに進入したら当該進入を検出する、
請求項1~3の何れか一項に記載の作業管理システム。
【請求項5】
各前記箱には、複数の設定用マーカーが設置され、
前記演算装置は、前記設定用マーカーの位置情報を演算し、各前記箱に対して、前記設定用マーカーの位置情報から平面エリアを形成し、前記平面エリアに対して厚みを設定して立体エリアを設定し、前記検出エリアとして、複数の前記箱の前記開口部のそれぞれに対して前記立体エリアを設定する、
請求項1~4の何れか一項に記載の作業管理システム。
【請求項6】
前記開口部は、前記箱の上部に形成され、
前記検出エリアは、前記開口部の上方位置を含んで設定され、
複数の前記箱は、上下方向に並んで配置され、
上下方向に並んで配置された複数の前記箱に対応する複数の前記検出エリアは、下方に位置する前記検出エリアほど、前記検出エリアの後端が後方に位置するように設定されている請求項
1~5の何れか一項に記載の作業管理システム。
【請求項7】
すべての前記カメラは、最上端の前記検出エリアよりも上方の位置において、直線状に配置されている請求項1~
6の何れか一項に記載の作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理システム及び作業管理システムの設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザー(作業者)の作業を管理(記録)するシステムが開発されている。例えば、複数の箱(収容部)から対象物を取り出す作業を管理するシステムの一例としては、箱ごとにスイッチが設けられている。ユーザーは、対象物を取り出す度に、取り出した箱に対応するスイッチを押す。これにより、ユーザーがいつどの箱から対象物を取り出したかが記録される。
【0003】
また、他の例では、左右に並んだ複数の箱に対して、左右方向に延びる放電管が設置されている。ユーザーは、腕を伸ばして箱に手を入れる際に、腕が放電管の下を通って光を遮り、検出装置が当該変化を検出する。これにより、作業が行われたことが記録される。所定エリアへのユーザー(ユーザーの腕)の進入を検出するセンサとしては、例えば特開2017-221998号公報や特開2019-106142号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-221998号公報
【文献】特開2019-106142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザーが作業ごとにスイッチを押すシステムでは、ユーザーのスイッチの押し忘れや押し間違い等が発生する可能性がある。また、ユーザーはスイッチを押すという付加的な作業を実行しなければならず、作業時間及び作業負担の増大が課題である。
【0006】
また、放電管を用いたシステムでは、上記課題は解決できるものの、箱の配置変更があった場合、容易に放電管の配置を変更できない。このシステムでは、箱の配置変更の度に、放電管の大きさ(長さ)の変更や、放電管の配置位置の変更が発生し、システム設置時間及びコストの増大を招く。また、放電管を用いたシステムは大型化しやすく、小さいスペースで作業する場合には不向きである。放電管を用いたシステムでは、汎用性の面で課題がある。
【0007】
本発明の目的は、作業時間及び作業負担を増大させることなく、検出場所を容易に変更でき且つ省スペース化が可能な作業管理システム及びその設定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のカメラと、ユーザーの腕又は手に装着されるマーカーと、複数の前記カメラから取得した前記マーカーの撮像データに基づいて、三角測量の原理により、3次元座標系における前記マーカーの位置情報を演算する演算装置と、を備える作業管理システムであって、前記演算装置は、前記3次元座標系における座標情報として予め設定された検出エリアを記憶する記憶部と、前記マーカーの位置情報に基づいて、前記検出エリアに前記マーカーが進入したことを検出する検出部と、前記検出部により前記マーカーが前記検出エリアに進入したことが検出された場合、その進入情報を記録する、又は記録装置に送信する作業記録部と、を備え、前記記憶部は、互いに異なる識別情報が設定された複数の前記検出エリアを記憶し、前記進入情報には、前記マーカーが進入した前記検出エリアの前記識別情報が含まれ、前記検出部は、前記検出エリアに前記マーカーが進入したことを検出することで、ユーザーが箱の中から対象物を取り出す作業を検出し、前記検出エリアは、複数の前記箱のそれぞれの開口部に対応して設定され、前記識別情報は、前記箱ごと又は予め設定された前記箱のグループごとに異なるように設定され、各前記検出エリアは、立体的に且つ他の前記検出エリアから離間して設定されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザーの腕(例えば手首)に装着されたマーカーの位置情報により、演算装置はユーザーの腕の位置を把握する。そして、演算装置は、予め設定された検出エリア内にユーザーの腕が進入したことを、腕の位置情報と検出エリアの座標情報との比較により検出する。これにより、作業時間及び作業負担を増大させることなく、作業記録をデータに残すことができる。
【0010】
また、本発明によれば、複数のカメラの撮像データに基づいてマーカーの3次元位置を特定するため、カメラの撮像範囲内であれば、マーカーの位置を特定できる。そして、検出エリアは、カメラの撮像範囲内において、機器の大きさ変更や配置変更なしに、データ上で変更することができる。したがって、作業場所の変更による設置時間及びコストの増大は抑制される。また、本構成は、複数のカメラと演算装置(コンピュータ)があればよく、システムの省スペース化が可能である。このように、本発明によれば、作業時間及び作業負担を増大させることなく、検出場所を容易に変更でき且つ省スペース化が可能となる。本発明によれば、システムを様々な作業現場に容易に設置でき、システムの汎用性は向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の作業管理システムの構成図(側面図)である。
【
図2】本実施形態の作業管理システムの設定状況を示す概念図(正面図)である。
【
図3】本実施形態の変形例にかかる作業管理システムの構成図(側面図)である。
【
図4】本実施形態のマーカーの変形例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。説明に用いる各図は概念図である。本実施形態の作業管理システム1は、ユーザーが箱(「作業対象」に相当する)8の中から対象物を取り出す作業を管理(記録)するシステムである。作業管理システム1は、ピッキング作業を管理するピッキングトレサビリティシステムといえる。本実施形態の説明において、ユーザーから箱8に向かう方向(ユーザーが作業をする際に腕が伸びる方向)を前方とし、ユーザーが箱8を見た視点における左右方向を左右方向とする。箱8の正面方向が後方であるといえる。
【0013】
本実施形態の作業管理システム1は、
図1に示すように、複数のカメラ2と、ユーザーの腕又は手に装着されるマーカー3と、演算装置4と、を備えている。カメラ2は、例えばカメラセンサや光学式カメラであって、画像を撮像する撮像部及び赤外線を照射する照射部を備えている。各カメラ2は、演算装置4に通信可能に接続されている。各カメラ2は、枠状の組立体(固定台)9に固定されている。本実施形態では、すべてのカメラ2が、後述する最上端の検出エリア5よりも上方の位置において、左右方向に直線状に配置されている(
図1及び
図2参照)。
【0014】
マーカー3は、反射を利用した位置演算のための反射マーカーである。マーカー3は、基部に所定(図の例では円形状)の反射シール31aが貼られて形成された反射部31と、反射部31を手首に取り付けるためのバンド部32と、を備えている。例えば、ユーザーは、反射部31がカメラ2で撮像されやすいように、反射部31が手の甲側になるようにマーカー3を手首に取り付ける。
【0015】
演算装置4は、複数のカメラ2から取得したマーカー3の撮像データに基づいて、三角測量の原理により、3次元座標系(X、Y、Z)におけるマーカー3の位置情報を演算する。演算装置4は、CPU(プロセッサ)やメモリ等を有するコンピュータである。演算装置4には、コンピュータで作動する計測ソフトウェアがインストールされている。計測ソフトウェアは、例えば市販のソフトウェア(3次元位置計測やモーションキャプチャーに関するソフトウェア)を利用することができる。
【0016】
本実施形態の作業管理システム1は、マーカー3の位置(ユーザーの手首の位置)が演算できるように構成されている。演算装置4にマーカー3の位置及び姿勢を演算させる場合、例えば、演算装置4には反射部31に貼られた複数の反射シール31aの位置関係(マーカピッチ)が予め設定される。演算装置4は、反射部31を構成する3つ以上の反射シール31aの3次元座標を算出し、その算出結果に基づきマーカー3の位置や向き(姿勢)を把握する。なお、マーカー3の位置の演算等については、例えば特開2017-96738号公報を参照することができる。
【0017】
演算装置4は、記憶部41と、検出部42と、作業記録部43と、を備えている。記憶部41は、3次元座標系における座標情報として予め設定された検出エリア5を記憶する。検出エリア5の設定は、カメラ2が設置され、演算装置4がマーカー3の位置情報を演算可能となっている状態で行われる。
【0018】
検出エリア5の設定方法の一例として、
図2に示すように、作業対象となる箱8が複数設置された状態で、ユーザーが、1つの箱8に対して複数の設定用マーカー6を設置する。設定用マーカー6は、例えば棒状部材の先端に球状の反射マーカーが配置されて構成されている。本例では、直方体状の箱8の上方に直方体状の検出エリア5を設定するために、4つの設定用マーカー6が、箱8の開口部の四隅に対して設置される。演算装置4が、4つの設定用マーカー6の位置情報を演算し、4点の座標情報を記憶する。
【0019】
その後、ユーザーの操作により、演算装置4が、4点の座標情報から4点で区画された平面(四角形状)エリアを設定する。平面エリアは、平均平面や最小二乗法などで設定できる。そして、ユーザーの操作により、演算装置4が、平面に対する高さを設定して立体(ここでは直方体状)エリアを設定する。そして、ユーザーの操作により、演算装置4が立体エリアを検出エリア5に設定する。これにより、容易に検出エリア5を設定することができる。なお、設定用マーカー6を例えば8つ配置して、8点の座標情報から立体的な検出エリア5を設定してもよい。
【0020】
本例において、検出エリア5は、複数の箱8のそれぞれの開口部(上部)の上方に設定される。本例の検出エリア5は、箱8の開口部を覆うように、開口部を含んで設定されている。本例では、開口部は箱8の上部に形成され、検出エリア5は開口部の上方位置を含んで設定される。
【0021】
検出エリア5は、箱8ごとに設定される。検出エリア5には、箱8ごとに異なる識別情報(識別番号、ID)が付される。つまり、記憶部41は、互いに異なる識別情報が設定された複数の検出エリア5を記憶している。なお、識別情報は、予め設定された箱8のグループごとに異なるように設定されてもよい。
【0022】
箱8の配置例として、
図1及び
図2に示すように、複数の箱8は、上下方向及び左右方向に並んで配置されている。
図1に示すように、本実施形態において、上下方向に並んで配置された複数の箱8に対応する複数の検出エリア5は、下方に位置する検出エリア5ほど、検出エリア5の後端が後方となるように(すなわち後端位置がユーザーに近くなるように)設定されている。
【0023】
検出部42は、マーカー3の位置情報に基づいて、検出エリア5にマーカー3が進入したことを検出する。つまり、演算装置4は、検出エリア5内にマーカー3が入ると、その進入事実を検出するように設定されている。検出部42は、例えば、マーカー3の座標が、座標で規定された各検出エリア5の座標と一致すると、マーカー3が検出エリア5に進入したと判定する。検出部42は、マーカー3が進入した検出エリア5の識別情報も取得する。このように、本実施形態において、検出部42は、検出エリア5にマーカー3が進入したことを検出することで、ユーザーが箱8から対象物を取り出す作業を検出する。
【0024】
作業記録部43は、検出部42によりマーカー3が検出エリア5に進入したことが検出された場合、その進入情報を記録する、又は記録装置に送信する。進入情報には、マーカー3が進入した検出エリア5の識別情報が含まれている。進入情報には、例えば、進入時間、マーカー3のID情報、及び検出エリア5のID情報等が含まれている。本実施形態の作業記録部43は、進入情報を、ネットワークを介して管理サーバ(「記録装置」に相当する)7に送信する。管理サーバ7は、受信した進入情報を記録する。管理サーバ7は、例えば、作業現場から離れた外部サーバである。なお、作業記録部43は、進入情報を、管理サーバ7に送信するとともに又は送信せずに、演算装置4内の不揮発性メモリに記録してもよい。
【0025】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、ユーザーの腕(例えば手首)に装着されたマーカー3の位置情報により、演算装置4はユーザーの腕の位置を把握する。そして、演算装置4は、予め設定された検出エリア5内にユーザーの腕が進入したことを、腕の位置情報と検出エリア5の座標情報との比較により検出する。これにより、作業時間及び作業負担を増大させることなく、作業記録をデータに残すことができる。
【0026】
また、本実施形態によれば、複数のカメラ2の撮像データに基づいてマーカー3の3次元位置を特定するため、カメラ2の撮像範囲内であれば、マーカー3の位置を特定することができる。そして、検出エリア5は、カメラ2の撮像範囲内において、機器の大きさ変更や配置変更なしに、データ上で変更することができる。したがって、作業場所の変更による設置時間及びコストの増大は抑制される。また、本構成は、複数のカメラ2と演算装置(コンピュータ)4があればよく、システムの省スペース化が可能である。このように、本実施形態によれば、作業時間及び作業負担を増大させることなく、検出場所を容易に変更でき且つ省スペース化が可能となる。
【0027】
本実施形態によれば、システムを様々な作業現場に容易に設置でき、システムの汎用性は向上する。また、進入情報にマーカー3が進入した検出エリア5の識別情報が含まれているため、管理者は、ユーザーがどの箱から対象物を取り出したかを判別することができる。
【0028】
また、検出エリア5が下方ほど後方に設定されているため、上下に配置された検出エリア5が前後にずれて配置される。つまり、上下の検出エリア5の異なる座標情報として、上下方向(Z座標)だけでなく、前後方向(X座標)も加わる。これにより、複数のカメラ2によるマーカー3の進入エリア(検出エリア5)の特定(識別)がより容易且つ確実となる。特に本実施形態のように、すべてのカメラ2が直線状に配置された作業管理システム1では、複数のカメラ2が立体的に配置された場合と比べて撮像角度が限定されるが、上記構成により進入先特定精度は向上する。なお、
図1の例では箱8自体も下方ほど後方に位置しているが、箱8の位置が上下で変わらない場合でも、実際の箱8の位置に対して、検出エリア5を後方にずらして設定してもよい。
【0029】
また、本実施形態では、すべてのカメラ2が、最上端の検出エリア5よりも上方の位置において、直線状に配置されている。これにより、カメラ2の設置スペースを小さくでき、さらなる省スペース化が可能となる。本実施形態では、左右方向に直線状に設置されるため、横並びの箱8に対して位置特定が容易であり、且つ箱8の設置に並列してカメラ2を配置できるため、さらなる省スペース化が可能となる。
【0030】
(その他)
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、上下方向に配置された複数の検出エリア5及び箱8は、前後方向にずれていなくてもよい。例えば検出エリア5の座標の違いが上下方向の位置だけであっても、複数のカメラ2によるマーカー3の進入エリア(検出エリア5)の特定は可能である。進入エリアの特定は、すべてのカメラ2が直線状に配置されていても可能である。また、作業管理システムの管理対象は、箱8からのピッキング作業に限らず、他の作業であってもよい。
【0031】
また、複数のカメラ2の配置は、直線状に限らず、例えば
図3に示すように、立体枠状の組立体91に前後左右上下に分かれて配置されてもよい。これにより、省スペース化の効果は小さくなるが、マーカー3の位置検出精度は向上する。また、例えば、箱8の開口部が箱8の後端部にある場合、検出エリア5は箱8の後方に設定される。検出エリア5は、箱8の開口部に対応する位置に設定される。
【0032】
また、反射部31は、反射シール31aを含む構成に限らず、例えば
図4に示すようなマークであってもよい。これによれば、演算装置4が反射部31の位置と姿勢を演算できる。また、マーカー3は、設定用マーカー6のように球状の反射マーカーを備えてもよい。同様に、設定用マーカー6も他の形式のマーカーでもよい。また、反射部31(又は反射シール31a)は、バンド部32に、周方向に並んで複数配置されていてもよい。この場合、演算装置4は、例えば反射部31の少なくとも1つが検出エリア5に進入したら当該進入を検出するように設定されてもよい。
【0033】
また、本実施形態の作業管理システム1の設定方法(検出エリア5の設定方法)は下記のように記載できる。すなわち、作業管理システム1の設定方法は、演算装置が、複数のカメラ2から送信される撮像データに基づいて、1つの作業対象(箱8)の設置場所に対して設置された複数の設定用マーカー6の位置情報を演算する演算工程と、演算装置4が複数の設定用マーカー6の位置情報から3次元座標系において平面エリアを形成する平面形成工程と、演算装置4が平面エリアに対して厚み(高さ)を設定して3次元座標系において立体エリアを形成する立体形成工程と、演算装置4が立体エリアを検出エリア5に設定する設定工程と、を含んでいる。平面形成工程は、演算装置4が3次元座標上に平面を規定する座標情報を取得する工程ともいえる。立体形成工程は、演算装置4が3次元座標上に立体を規定する座標情報を取得する工程ともいえる。
【符号の説明】
【0034】
1…作業管理システム、2…カメラ、3…マーカー、4…演算装置、41…記憶部、42…検出部、43…作業記録部、5…検出エリア、6…設定用マーカー、7…管理サーバ(記録装置)、8…箱(作業対象)。