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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】制振ダンパ
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20240208BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20240208BHJP
   F16F 7/12 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
E04H9/02 301
E04H9/02 351
F16F15/02 K
F16F7/12
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020046462
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021147806
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田原 健一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-324516(JP,A)
【文献】特開2000-096867(JP,A)
【文献】特開平08-326156(JP,A)
【文献】特開2006-161338(JP,A)
【文献】特開2002-235454(JP,A)
【文献】特開2000-001999(JP,A)
【文献】米国特許第05630298(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/02
F16F 15/02
F16F 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1構造物と第2構造物との間に設けられる制振ダンパであって、
前記第1構造物と固定可能な第1取付孔を備える第1部材、及び前記第1部材に対して直交する第1突出部を備える第1取付部と、
前記第2構造物と固定可能な第2取付孔を備える第2部材、及び前記第2部材に対して直交する第2突出部を備える第2取付部と、
前記第1取付部と前記第2取付部との間に配置されるダンパ本体と、
前記第1突出部と前記ダンパ本体の一端部とを連結する第1連結部材と、
前記第2突出部と前記ダンパ本体の他端部とを連結する第2連結部材と、
を備え
前記ダンパ本体は、平板形状であり、前記第1取付部と前記第2取付部とのそれぞれと所定の隙間を空けて配置され、前記平板形状の面積が最も大きい面に直交する方向における位置が、前記第1取付部と前記第2取付部と同じである制振ダンパ。
【請求項2】
前記ダンパ本体を両側から挟む2つの前記第1連結部材と、
前記ダンパ本体を両側から挟む2つの前記第2連結部材と、
を備える請求項1に記載の制振ダンパ。
【請求項3】
前記第1突出部を両側から挟む2つの前記第1連結部材と、
前記第2突出部を両側から挟む2つの前記第2連結部材と、
を備える請求項1または2に記載の制振ダンパ。
【請求項4】
前記ダンパ本体の最も面積が大きい面に対して直交する方向の前記第1取付孔の長さ及び前記第2取付孔の長さは、当該方向に対して直交する方向の前記第1取付孔の長さ及び前記第2取付孔の長さよりも大きい
請求項1から3のいずれか1項に記載の制振ダンパ。
【請求項5】
鉛直方向の前記第1取付孔の長さ及び前記第2取付孔の長さは、水平方向の前記第1取付孔の長さ及び前記第2取付孔の長さよりも大きい
請求項1からのいずれか1項に記載の制振ダンパ。
【請求項6】
前記第1突出部は、前記第1連結部材と固定可能な第3取付孔を備え、
前記第2突出部は、前記第2連結部材と固定可能な第4取付孔を備え、
前記ダンパ本体は、前記第1連結部材と固定可能な第5取付孔、及び前記第2連結部材と固定可能な第6取付孔を備える
請求項1から5のいずれか1項に記載の制振ダンパ。
【請求項7】
鉛直方向の前記第3取付孔の長さ及び前記第4取付孔の長さは、水平方向の前記第3取付孔の長さ及び前記第4取付孔の長さよりも大きい
請求項に記載の制振ダンパ。
【請求項8】
鉛直方向の前記第5取付孔の長さ及び前記第6取付孔の長さは、水平方向の前記第5取付孔の長さ及び前記第6取付孔の長さよりも大きい
請求項に記載の制振ダンパ。
【請求項9】
鉛直方向の前記第3取付孔の長さ及び前記第4取付孔の長さは、水平方向の前記第3取付孔の長さ及び前記第4取付孔の長さよりも大きく、
水平方向の前記第5取付孔の長さ及び前記第6取付孔の長さは、鉛直方向の前記第5取付孔の長さ及び前記第6取付孔の長さよりも大きい
請求項に記載の制振ダンパ。
【請求項10】
水平方向の前記第3取付孔の長さ及び前記第4取付孔の長さは、鉛直方向の前記第3取付孔の長さ及び前記第4取付孔の長さよりも大きく、
鉛直方向の前記第5取付孔の長さ及び前記第6取付孔の長さは、水平方向の前記第5取付孔の長さ及び前記第6取付孔の長さよりも大きい
請求項に記載の制振ダンパ。
【請求項11】
前記第1連結部材及び前記第2連結部材は、離れて配置される
求項1から10のいずれか1項に記載の制振ダンパ。
【請求項12】
前記ダンパ本体は、前記第1構造と前記第2構造が並ぶ方向の中間に配置される中間部と、前記第5取付孔を備える第1締結部と、前記第6取付孔を備える第2締結部と、を備え、
当該方向に対して直交する平面で前記中間部を切った場合の断面積は、当該平面で前記第5取付孔を含む位置で前記第1締結部を切った場合の断面積、及び当該平面で前記第6取付孔を含む位置で前記第2締結部を切った場合の断面積よりも小さい
請求項に記載の制振ダンパ。
【請求項13】
前記ダンパ本体は、前記第1構造物と前記第2構造物が並ぶ方向における中間位置に切欠部を備える
求項1から12のいずれか1項に記載の制振ダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振ダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
地震の発生時、建築物に入力する振動エネルギーを吸収して減衰させるものとして、従来から制振ダンパが用いられる。例えば、左右に隣接する柱の間に制振ダンパを設けたり、上下に隣接する梁の間に制振ダンパを設けたりしている。このような技術として、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。特許文献1は、鋼板からなる板状のパネルダンパに開口を形成し、このパネルダンパの各取付端を隣接する柱に固定するものである。特許文献2は、接合用鋼板にリブを設けて面外方向への座屈を防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2531053号公報
【文献】特開2000-096867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1は、パネルダンパの各取付端を柱に対して溶接により固定するものであり、取付作業性がよくないと共に、取付精度が低下する可能性がある。特許文献2は、接合用鋼板をボルトにより直接柱や梁に固定するものであり、接合用鋼板と柱や梁との間で接合用鋼板を高精度に位置決めする必要があり、取付作業性がよくない。また、特許文献2は、柱や梁に対して接合用鋼板を締結するための大きな作業空間が必要となり、接合用鋼板が大型化してしまう。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、取付作業性の向上を図ると共に小型化を可能とする制振ダンパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための制振ダンパは、第1構造物と第2構造物との間に設けられる制振ダンパであって、前記第1構造物と固定可能な第1取付孔を備える第1部材、及び前記第1部材に対して直交する第1突出部を備える第1取付部と、前記第2構造物と固定可能な第2取付孔を備える第2部材、及び前記第2部材に対して直交する第2突出部を備える第2取付部と、前記第1取付部と前記第2取付部との間に配置されるダンパ本体と、前記第1突出部と前記ダンパ本体の一端部とを連結する第1連結部材と、前記第2突出部と前記ダンパ本体の他端部とを連結する第2連結部材と、を備える。
【0007】
本発明の制振ダンパの望ましい態様として、前記第1突出部は、前記第1連結部材と固定可能な第3取付孔を備え、前記第2突出部は、前記第2連結部材と固定可能な第4取付孔を備え、前記ダンパ本体は、前記第1連結部材と固定可能な第5取付孔、及び前記第2連結部材と固定可能な第6取付孔を備える。
【0008】
本発明の制振ダンパの望ましい態様として、前記ダンパ本体を両側から挟む2つの前記第1連結部材と、前記ダンパ本体を両側から挟む2つの前記第2連結部材と、を備える。
【0009】
本発明の制振ダンパの望ましい態様として、前記第1突出部を両側から挟む2つの前記第1連結部材と、前記第2突出部を両側から挟む2つの前記第2連結部材と、を備える。
【0010】
本発明の制振ダンパの望ましい態様として、前記ダンパ本体の最も面積が大きい面に対して直交する方向の前記第1取付孔の長さ及び前記第2取付孔の長さは、当該方向に対して直交する方向の前記第1取付孔の長さ及び前記第2取付孔の長さよりも大きい。
【0011】
本発明の制振ダンパの望ましい態様として、鉛直方向の前記第1取付孔の長さ及び前記第2取付孔の長さは、水平方向の前記第1取付孔の長さ及び前記第2取付孔の長さよりも大きい。
【0012】
本発明の制振ダンパの望ましい態様として、鉛直方向の前記第3取付孔の長さ及び前記第4取付孔の長さは、水平方向の前記第3取付孔の長さ及び前記第4取付孔の長さよりも大きい。
【0013】
本発明の制振ダンパの望ましい態様として、鉛直方向の前記第5取付孔の長さ及び前記第6取付孔の長さは、水平方向の前記第5取付孔の長さ及び前記第6取付孔の長さよりも大きい。
【0014】
本発明の制振ダンパの望ましい態様として、鉛直方向の前記第3取付孔の長さ及び前記第4取付孔の長さは、水平方向の前記第3取付孔の長さ及び前記第4取付孔の長さよりも大きく、水平方向の前記第5取付孔の長さ及び前記第6取付孔の長さは、鉛直方向の前記第5取付孔の長さ及び前記第6取付孔の長さよりも大きい。
【0015】
本発明の制振ダンパの望ましい態様として水平方向の前記第3取付孔の長さ及び前記第4取付孔の長さは、鉛直方向の前記第3取付孔の長さ及び前記第4取付孔の長さよりも大きく、鉛直方向の前記第5取付孔の長さ及び前記第6取付孔の長さは、水平方向の前記第5取付孔の長さ及び前記第6取付孔の長さよりも大きい。
【0016】
本発明の制振ダンパの望ましい態様として、前記第1連結部材及び前記第2連結部材は、離れて配置される。
【0017】
本発明の制振ダンパの望ましい態様として、前記ダンパ本体は、前記第1構造体と前記第2構造体が並ぶ方向の中間に配置される中間部と、前記第5取付孔を備える第1締結部と、前記第6取付孔を備える第2締結部と、を備え、当該方向に対して直交する平面で前記中間部を切った場合の断面積は、当該平面で前記第5取付孔を含む位置で前記第1締結部を切った場合の断面積、及び当該平面で前記第6取付孔を含む位置で前記第2締結部を切った場合の断面積よりも小さい。
【0018】
本発明の制振ダンパの望ましい態様として、前記ダンパ本体は、前記第1構造物と前記第2構造物が並ぶ方向における中間位置に切欠部を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明の制振ダンパによれば、取付作業性の向上を図ることができると共に、小型化を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、第1実施形態のパネルダンパを表す正面図である。
図2図2は、第1実施形態のパネルダンパを表す側面図である。
図3図3は、第1実施形態のパネルダンパを表す斜視図である。
図4図4は、第1実施形態のパネルダンパを表す分解斜視図である。
図5図5は、第1実施形態のパネルダンパの構造の作用を表す正面図である。
図6図6は、第1実施形態のパネルダンパにおける第1変形例を表す斜視図である。
図7図7は、第1実施形態のパネルダンパにおける第2変形例を表す斜視図である。
図8図8は、第1実施形態のパネルダンパにおける第3変形例を表す斜視図である。
図9図9は、第1実施形態のパネルダンパにおける第4変形例を表す斜視図である。
図10図10は、第1実施形態のパネルダンパにおける第4変形例を表す分解斜視図である。
図11図11は、第1実施形態のパネルダンパの第1適用例を表す概略図である。
図12図12は、第1実施形態のパネルダンパの第2適用例を表す概略図である。
図13図13は、第1実施形態のパネルダンパの第3適用例を表す概略図である。
図14図14は、第2実施形態のパネルダンパを表す斜視図である。
図15図15は、第2実施形態のパネルダンパの第1適用例を表す概略図である。
図16図16は、第2実施形態のパネルダンパの第2適用例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる、均等の範囲のものが含まれる。さらに、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。なお、本発明はあらゆる建築物に適用できる。第1実施形態では第1構造物及び第2構造物が鉄骨造の場合を説明しており、第2実施形態では第1構造物及び第2構造物が鉄筋コンクリート造の場合を説明しているが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
第1実施形態の制振ダンパは、第1構造物と第2構造物との間に設けられる。第1実施形態の制振ダンパは、鋼板により制作されるパネルダンパであり、外力を受けて塑性変形または降伏することで、振動エネルギーを吸収して減衰させる。
【0023】
図11は、第1実施形態のパネルダンパの第1適用例を表す概略図、図12は、第1実施形態のパネルダンパの第2適用例を表す概略図、図13は、第1実施形態のパネルダンパの第3適用例を表す概略図である。なお、以下の説明では、XYZ直交座標軸を用いて説明する。X軸は、第1水平方向に平行な軸であり、Y軸は、第1水平方向に直交する第2水平方向に平行な軸であり、Z軸は、第1水平方向および第2水平方向に直交する鉛直方向に平行な軸である。X軸に平行な方向はX方向と記載し、Y軸に平行な方向はY方向と記載し、Z軸に平行な方向はZ方向と記載する。
【0024】
第1実施形態の第1適用例において、図11に示すように、第1柱111と第2柱112は、鉛直方向であるZ方向に沿うと共に、第1水平方向であるX方向に間隔を空けて配置される。第1梁113と第2梁114は、第1水平方向であるX方向に沿うと共に、鉛直方向であるZ方向に間隔を空けて配置される。第1柱111および第2柱112と、第1梁113および第2梁114は、直交するように配置される。第1梁113は、第1柱111の上部と第2柱112の上部を連結するように配置される。第2梁114は、第1柱111の下部と第2柱112の下部を連結するように配置される。第3梁115と第4梁116は、第2水平方向であるY方向に沿うと共に、鉛直方向であるZ方向に間隔を空けて配置される。第3梁115および第4梁116は、第1柱111および第2柱112と第1梁113および第2梁114と、直交するように配置される。すなわち、第3梁115および第4梁116は、図11の紙面に直交するY方向に沿う。第3梁115は、長手方向の端部が第1梁113の長手方向の中間部に連結され、第4梁116は、長手方向の端部が第2梁114の長手方向の中間部に連結される。
【0025】
第1取付部材117は、第1梁113の長手方向の中間部に連結される。第1取付部材117は、第1梁113における第3梁115の連結位置からZ方向の下方へ向けて延出される。第2取付部材118は、第2梁114の長手方向の中間部に連結される。第2取付部材118は、第2梁114における第4梁116の連結位置からZ方向の上方へ向けて延出される。ここでは、第1梁113および第1取付部材117が第1構造物であり、第2梁114および第2取付部材118が第2構造物である。第1実施形態のパネルダンパ(制振ダンパ)10は、第1取付部材117と第2取付部材118との間に設けられる。
【0026】
第1実施形態の第2適用例において、図12に示すように、第1柱111および第2柱112、第1梁113および第2梁114、第3梁115および第4梁116は、第1適用例と同様である。取付部材119は、第1柱111と第2梁114との連結部から斜め上方に向けて延出されると共に、第2柱112と第2梁114との連結部から斜め上方に向けて延出される。取付部材119は、逆V字形状をなし、取付部材本体119aと、2つの支持部材119b,119cを有する。取付部材本体119aは、2つの支持部材119b,119cにより第1柱111と第2柱112と第2梁114に支持される。取付部材本体119aと第1梁113は、Z方向に対向する。ここでは、第1梁113が第1構造物であり、第2梁114および取付部材120が第2構造物である。第1実施形態のパネルダンパ10は、第1梁113と取付部材119の取付部材本体119aとの間に設けられる。
【0027】
第1実施形態の第3適用例において、図13に示すように、第1柱121と第2柱122は、鉛直方向であるZ方向に沿うと共に、第1水平方向であるX方向に間隔を空けて配置される。第1梁123と第2梁124は、第1水平方向であるX方向に沿うと共に、鉛直方向であるZ方向に間隔を空けて配置される。第1柱121および第2柱122と、第1梁123および第2梁124は、直交するように配置される。第1梁123は、第1柱121の上部と第2柱122の上部を連結するように配置される。第2梁124は、第1柱121の下部と第2柱122の下部を連結するように配置される。第3梁125と第4梁126は、第2水平方向であるY方向に沿うと共に、鉛直方向であるZ方向に間隔を空けて配置される。第3梁125および第4梁126は、第1柱121および第2柱122と第1梁123および第2梁124と、直交するように配置される。すなわち、第3梁125および第4梁126は、図13の紙面に直交する方向(Y方向)に沿う。第3梁125は、端部が第1梁123の長手方向の中間部に連結され、第4梁126は、端部が第2梁124の長手方向の中間部に連結される。
【0028】
ここでは、第1柱121が第1構造物であり、第2柱122が第2構造物である。第1実施形態のパネルダンパ10は、第3梁125と第4梁126との間で、第1柱121と第2柱122との間に設けられる。
【0029】
上述した第1柱111、第2柱112、第1柱121、第2柱122、第1梁113、第2梁114、第3梁115、第4梁116、第1梁123、第2梁124、第3梁125、第4梁126、第1取付部材117、第2取付部材118、取付部材119は、H型鋼またはI形鋼である。
【0030】
以下、パネルダンパ10について詳細に説明する。図1は、第1実施形態のパネルダンパを表す正面図である。図2は、第1実施形態のパネルダンパを表す側面図である。図3は、第1実施形態のパネルダンパを表す斜視図である。図4は、第1実施形態のパネルダンパを表す分解斜視図である。図5は、第1実施形態のパネルダンパの構造の作用を表す正面図である。なお、以下の説明では、パネルダンパを第1実施形態の第1適用例に適用したものとして説明する。
【0031】
図1から図3に示すように、パネルダンパ10は、第1構造物としての第1梁113の第1取付部材117と、第2構造物としての第2梁114の第2取付部材118との間に設けられる。パネルダンパ10は、第1取付部131と、第2取付部132と、ダンパ本体11と、第1連結部材12と、第2連結部材13とを備える。パネルダンパ10を形成する材料としては、鋼材、アルミ、鉛、銅、合金などが挙げられる。
【0032】
パネルダンパ10は、第1梁113の第1取付部材117と第2梁114の第2取付部材118とを連結する減衰部材として機能する。パネルダンパ10は、降伏強度が第1取付部材117及び第2取付部材118の降伏強度より低く設定される。ここで、降伏強度とは、塑性変形を起こさずに材料に対して生じさせることができる最大応力のことである。降伏強度は、材料のせん断強度にせん断断面積を積算して求めることができる。
【0033】
図2に示すように、第1取付部131は、第1部材133と、第1突出部134と、を備える。第1部材133及び第1突出部134は、所定厚さの平板材料である。第1部材133の厚さ方向は、Z方向と平行である。第1部材133は、第1取付部材117に固定される。第1突出部134の厚さ方向は、Y方向と平行である。第1突出部134は、第2取付部材118に向かって延びている。第1突出部134は、例えば溶接によって第1部材133と接合されている。なお、第1部材133及び第1突出部134は、一体成型されていてもよい。例えば、第1取付部131は、CT形鋼であってもよい。
【0034】
図2に示すように、第2取付部132は、第2部材135と、第2突出部136と、を備える。第2部材135及び第2突出部136は、所定厚さの平板材料である。第2部材135の厚さ方向は、Z方向と平行である。第2部材135は、第2取付部材118に固定される。第2突出部136の厚さ方向は、Y方向と平行である。第2突出部136は、第1取付部材117に向かって延びている。第2突出部136は、例えば溶接によって第2部材135と接合されている。なお、第2部材135及び第2突出部136は、一体成型されていてもよい。例えば、第2取付部132は、CT形鋼であってもよい。
【0035】
図4に示すように、第1部材133は、Z方向に貫通する複数の第1取付孔H1を備える。第2部材135は、Z方向に貫通する複数の第2取付孔H2を備える。第1取付孔H1及び第2取付孔H2は、長孔である。第1取付孔H1及び第2取付孔H2の長手方向は、例えばY方向と平行である。
【0036】
第1取付孔H1を第1ボルト101が貫通する。第1取付孔H1のY方向の長さは、第1取付孔H1のX方向の長さよりも大きい。例えば、第1取付孔H1のY方向の長さは、第1取付孔H1のX方向の長さの1.1倍以上3倍以下である。第1取付孔H1のY方向の長さ及びX方向の長さは、第1ボルト101の外径よりも大きい。例えば、第1ボルト101の外径が20mmの場合、第1取付孔H1のY方向の長さが42mmであり、第1取付孔H1のX方向の長さが22mmである。ボルトの外径は、ボルトの貫通部分(ボルト33のうち取付孔の内壁に面する部分)の外径を意味し、以下において同様の意味で用いられる。
【0037】
第2取付孔H2を第2ボルト103が貫通する。第2取付孔H2のY方向の長さは、第2取付孔H2のX方向の長さよりも大きい。例えば、第2取付孔H2のY方向の長さは、第2取付孔H2のX方向の長さの1.1倍以上3倍以下である。第2取付孔H2のY方向の長さ及びX方向の長さは、第2ボルト103の外径よりも大きい。例えば、第2ボルト103の外径が20mmの場合、第2取付孔H2のY方向の長さが42mmであり、第2取付孔H2のX方向の長さが22mmである。
【0038】
図3および図4に示すように、第1取付部材117と第1部材133とは、複数の第1ボルト101および複数の第1ナット102により締結される。第2取付部材118と第2部材135とは、複数の第2ボルト103及び複数の第2ナット104により締結される。すなわち、複数の第1ボルト101は、第1取付部材117に設けられた取付孔、及び第1部材133の第1取付孔H1を貫通し、先端のねじ部に第1ナット102が螺合される。複数の第2ボルト103は、第2取付部材118に設けられた取付孔、及び第2部材135の第2取付孔H2を貫通し、先端のねじ部に第2ナット104が螺合される。
【0039】
図2に示すように、第1突出部134は、Y方向に貫通する複数の第3取付孔H3を備える。第2突出部136は、Y方向に貫通する複数の第4取付孔H4を備える。第3取付孔H3及び第4取付孔H4は、長孔である。第3取付孔H3及び第4取付孔H4の長手方向は、例えばZ方向と平行である。
【0040】
第3取付孔H3を第3ボルト31が貫通する。第3取付孔H3のZ方向の長さは、第3取付孔H3のX方向の長さよりも大きい。例えば、第3取付孔H3のZ方向の長さは、第3取付孔H3のX方向の長さの1.1倍以上3倍以下である。第3取付孔H3のZ方向の長さ及びX方向の長さは、第3ボルト31の外径よりも大きい。例えば、第3ボルト31の外径が20mmの場合、第3取付孔H3のZ方向の長さが42mmであり、第3取付孔H3のX方向の長さが22mmである。
【0041】
第4取付孔H4を第4ボルト33が貫通する。第4取付孔H4のZ方向の長さは、第4取付孔H4のX方向の長さよりも大きい。例えば、第4取付孔H4のZ方向の長さは、第4取付孔H4のX方向の長さの1.1倍以上3倍以下である。第4取付孔H4のZ方向の長さ及びX方向の長さは、第4ボルト33の外径よりも大きい。例えば、第4ボルト33の外径が20mmの場合、第4取付孔H4のZ方向の長さが42mmであり、第4取付孔H4のX方向の長さが22mmである。
【0042】
パネルダンパ10は、所定厚さの平板材料であるダンパ本体11を有する。ダンパ本体11は、第1梁113および第2梁114の長手方向であるX方向と、第1梁113と第2梁114の並設方向であるZ方向とで形成されるXZ平面と平行である。すなわち、ダンパ本体11の厚さ方向は、Y方向に平行である。ダンパ本体11の形成材料は、鋼材、金属、合金、樹脂のいずれかを含む。例えば、ダンパ本体11は、低降伏点鋼である。ダンパ本体11は、例えば、少なくともクロム(Cr)及びニッケル(Ni)のいずれか一方を含むFe-Mn-(Cr、Ni)-Si系の合金であってもよい。ダンパ本体11は、例えば、当該合金に加えアルミニウム(Al)を含む合金であってもよい。ダンパ本体11は、地震時にダンパとしての機能を発揮できるものであればよく、地震エネルギーを吸収できるものであればよい。
【0043】
ダンパ本体11は、矩形状をなし、Z方向における中間部にX方向に沿う切欠部(本体切欠部)21,22が設けられる。切欠部21は、ダンパ本体11におけるY方向の一端側に端面からY方向の他端側に向けて設けられる。切欠部22は、ダンパ本体11におけるY方向の他端側に端面からY方向の一端側に向けて設けられる。そのため、ダンパ本体11は、切欠部21,22によりZ方向の中間部におけるX方向の長さが短くなっている。
【0044】
ダンパ本体11は、第1取付部131の第1突出部134と第2取付部132の第2突出部136との間に所定隙間を空けて配置される。ダンパ本体11は、Y方向の位置が第1突出部134および第2突出部136と同じである。ダンパ本体11は、Z方向における一端部側が第1連結部材12により第1突出部134に連結され、Z方向における他端部側が第2連結部材13により第2突出部136に連結される。第1連結部材12および第2連結部材13は、矩形の平板形状をなす。第1連結部材12および第2連結部材13は、同形状をなす。
【0045】
図4に示すように、ダンパ本体11は、Y方向に貫通する複数の第5取付孔H5、及びY方向に貫通する複数の第6取付孔H6を備える。第5取付孔H5及び第6取付孔H6は、長孔である。第5取付孔H5及び第6取付孔H6の長手方向は、例えばX方向と平行である。
【0046】
第5取付孔H5を第5ボルト35が貫通する。第5取付孔H5のX方向の長さは、第5取付孔H5のZ方向の長さよりも大きい。例えば、第5取付孔H5のX方向の長さは、第5取付孔H5のZ方向の長さの1.1倍以上3倍以下である。第5取付孔H5のX方向の長さ及びZ方向の長さは、第5ボルト35の外径よりも大きい。例えば、第5ボルト35の外径が20mmの場合、第5取付孔H5のX方向の長さが42mmであり、第5取付孔H5のZ方向の長さが22mmである。
【0047】
第6取付孔H6を第6ボルト37が貫通する。第6取付孔H6のX方向の長さは、第6取付孔H6のZ方向の長さよりも大きい。例えば、第6取付孔H6のX方向の長さは、第6取付孔H6のZ方向の長さの1.1倍以上3倍以下である。第6取付孔H6のX方向の長さ及びZ方向の長さは、第6ボルト37の外径よりも大きい。例えば、第6ボルト37の外径が20mmの場合、第6取付孔H6のX方向の長さが42mmであり、第6取付孔H6のZ方向の長さが22mmである。
【0048】
ダンパ本体11は、中間部1100と、第1締結部1101と、第2締結部1102と、を備える。中間部1100は、ダンパ本体11におけるZ方向の中間に配置される。中間部1100は、切欠部21、22が設けられていることにより、ダンパ本体11のうち切欠部21、22で挟まれる部分である。第1締結部1101は、ダンパ本体11における+Z方向の端部に配置される。第1締結部1101は、複数の第5取付孔H5を含む。第2締結部1102は、ダンパ本体11における-Z方向の端部に配置される。第2締結部1102は、複数の第6取付孔H6を含む。中間部1100の断面積は、複数の第5取付孔H5を含む位置における第1締結部1101の断面積、及び複数の第6取付孔H6を含む位置における第2締結部1102の断面積よりも小さい。このため、中間部1100においては、第1締結部1101及び第2締結部1102よりも降伏せん断力が小さい。そのため、ダンパ本体11に外力が加わる時、中間部1100が変形することによってエネルギーが吸収される。ここで、中間部1100の断面積とは、中間部1100のX方向の長さにY方向の長さを乗じた値をいう。第5取付孔H5を含む位置における第1締結部1101の断面積とは、第1締結部1101のX方向の長さにY方向の長さを乗じた値から、複数の第5取付孔H5の断面積(第5取付孔H5のX方向の長さにY方向の長さを乗じた値に第5取付孔H5の個数を乗じた値)を引いた値をいう。第6取付孔H6を含む位置における第2締結部1102の断面積とは、第2締結部1102のX方向の長さにY方向の長さを乗じた値から、複数の第6取付孔H6の断面積(第6取付孔H6のX方向の長さにY方向の長さを乗じた値に第6取付孔H6の個数を乗じた値)を引いた値をいう。
【0049】
第1連結部材12は、2枚設けられ、ダンパ本体11の一端部側を板厚方向の両側から挟持する。第2連結部材13は、2枚設けられ、ダンパ本体11の他端部側を板厚方向の両側から挟持する。2枚の第1連結部材12の厚さの和、及び2枚の第2連結部材13の厚さの和は、ダンパ本体11の厚さよりも大きい。第1取付部131の第1突出部134と、第2取付部132の第2突出部136と、ダンパ本体11とは、同じ厚さであり、Z方向に所定隙間を空けて配置され、Y方向の位置が同じである。
【0050】
図4に示すように、第1連結部材12は、Y方向に貫通する複数の第7取付孔H7、及びY方向に貫通する複数の第8取付孔H8を備える。第7取付孔H7及び第8取付孔H8は、丸穴である。第7取付孔H7を第3ボルト31が貫通する。第7取付孔H7の内径は、第3ボルト31の外径と略等しい。第8取付孔H8を第5ボルト35が貫通する。第8取付孔H8の内径は、第5ボルト35の外径と略等しい。
【0051】
図4に示すように、第2連結部材13は、Y方向に貫通する複数の第9取付孔H9、及びY方向に貫通する複数の第10取付孔H10を備える。第9取付孔H9及び第10取付孔H10は、丸穴である。第9取付孔H9を第4ボルト33が貫通する。第9取付孔H9の内径は、第4ボルト33の外径と略等しい。第10取付孔H10を第6ボルト37が貫通する。第10取付孔H10の内径は、第6ボルト37の外径と略等しい。
【0052】
図3および図4に示すように、第1連結部材12の一端部と第1取付部131の第1突出部134とは、複数の第3ボルト31および複数の第3ナット32により締結される。第2連結部材13の一端部と第2取付部132の第2突出部136とは、複数の第4ボルト33及び複数の第4ナット34により締結される。すなわち、複数の第3ボルト31は、一方の第1連結部材12の第7取付孔H7、第1突出部134の第3取付孔H3、他方の第1連結部材12の第7取付孔H7を貫通し、先端のねじ部に第3ナット32が螺合される。複数の第4ボルト33は、一方の第2連結部材13の第9取付孔H9、第2突出部136の第4取付孔H4、他方の第2連結部材13の第9取付孔H9を貫通し、先端のねじ部に第4ナット34が螺合される。
【0053】
また、第1連結部材12の他端部とダンパ本体11の一端部は、第5ボルト35及び第5ナット36により締結される。第2連結部材13の他端部とダンパ本体11の他端部は、第6ボルト37及び第6ナット38により締結される。すなわち、複数の第5ボルト35は、一方の第1連結部材12の第8取付孔H8、ダンパ本体11の第5取付孔H5、他方の第1連結部材12の第8取付孔H8を貫通し、先端のねじ部に第5ナット36が螺合される。複数の第6ボルト37は、一方の第2連結部材13の第10取付孔H10、ダンパ本体11の第6取付孔H6、他方の第2連結部材13の第10取付孔H10を貫通し、先端のねじ部に第6ナット38が螺合される。
【0054】
そのため、ダンパ本体11は、一端部が第1連結部材12を介して第1取付部131に連結され、他端部が第2連結部材13を介して第2取付部132に連結される。このとき、ダンパ本体11と、第1連結部材12と、第1取付部131の第1突出部134と、第2連結部材13と、第2取付部132の第2突出部136とは、平行をなす。また、第1連結部材12と第1取付部131の第1部材133との間に隙間が設けられ、第2連結部材13と第2取付部132の第2部材135との間に隙間が設けられる。さらに、第1連結部材12と第2連結部材13との間に所定隙間が設けられる。
【0055】
また、第1連結部材12および第2連結部材13は、ダンパ本体11の面外方向としてのY方向への変形を抑制する変形抑制部材として機能する。すなわち、2枚の第1連結部材12は、ダンパ本体11の一端部側を板厚方向から挟持し、2枚の第2連結部材13は、ダンパ本体11の他端部側を板厚方向から挟持する。このとき、第1連結部材12と第2連結部材13との間に所定隙間が設けられることから、ダンパ本体11が地震で変形した時に、第1連結部材12と第2連結部材13との接触しにくくなる。このため、第1連結部材12及び第2連結部材13が破損する可能性が低減される。さらに、ダンパ本体11の変形が阻害される可能性が低減される。また、ダンパ本体11が視認しやすくなることによって、地震後の点検が容易となる。
【0056】
なお、第1取付孔H1、第2取付孔H2、第3取付孔H3、第4取付孔H4、第5取付孔H5、及び第6取付孔H6(以下、区別する必要のない場合は調整取付孔という)の長手方向は、必ずしも上述した方向でなくてもよい。ただし、第1取付孔H1、第3取付孔H3、及び第5取付孔H5の長手方向は、互いに異なることが望ましい。ただし、第2取付孔H2、第4取付孔H4、及び第6取付孔H6の長手方向は、互いに異なることが望ましい。これにより、第1構造物(第1梁113の第1取付部材117)及び第2構造物(第2梁114の第2取付部材118)に施工誤差があっても、制振ダンパ(パネルダンパ10)を取り付けることができる。すなわち、第1取付部材117及び第2取付部材118に施工誤差があっても、パネルダンパ10の取付位置を微調整することができる。より具体的には、パネルダンパ10のX方向の取付位置は、第5取付孔H5及び第6取付孔H6を用いて調整できる。パネルダンパ10のY方向の取付位置は、第1取付孔H1及び第2取付孔H2を用いて調整できる。パネルダンパ10のZ方向の取付位置は、第3取付孔H3及び第4取付孔H4を用いて調整できる。また、第1取付孔H1及び第2取付孔H2の長手方向は、同じであることが望ましい。第3取付孔H3及び第4取付孔H4の長手方向は、同じであることが望ましい。第5取付孔H5及び第6取付孔H6の長手方向は、同じであることが望ましい。
【0057】
また、第3取付孔H3に代えて、第7取付孔H7が長孔であってもよい。第4取付孔H4に代えて、第9取付孔H9が長孔であってもよい。第5取付孔H5に代えて、第8取付孔H8が長孔であってもよい。第6取付孔H6に代えて、第10取付孔H10が長孔であってもよい。
【0058】
調整取付孔は、必ずしも長孔でなくてもよい。調整取付孔は、例えばボルトの外径よりも大きい内径を有する丸穴(ルーズホール)であってもよい。調整取付孔が丸穴である場合、調整取付孔の内径は、例えばボルトの外径の1.1倍以上2倍以下である。調整取付孔の内径は、例えばボルトの外径の1.1倍以上1.5倍以下であることが好ましい。例えば、ボルトの外径が22mmである場合、調整取付孔の内径は、26mmである。
【0059】
このように第1実施形態の制振ダンパ(パネルダンパ10)は、第1構造物(第1梁113の第1取付部材117)と第2構造物(第2梁114の第2取付部材118)との間に設けられる制振ダンパである。パネルダンパ10は、第1取付部131と、第2取付部132と、ダンパ本体11と、第1連結部材12と、第2連結部材13と、を備える。
第1取付部131は、第1構造物と固定可能な第1取付孔H1を備える第1部材133、及び第1部材133に対して直交する第1突出部134を備える。第2取付部132は、第2構造物と固定可能な第2取付孔H2を備える第2部材135、及び第2部材135に対して直交する第2突出部136を備える。ダンパ本体11は、第1取付部131と第2取付部132との間に配置される。第1連結部材12は、第1突出部134とダンパ本体11の一端部とを連結する。第2連結部材13は、第2突出部136とダンパ本体11の他端部とを連結する。
【0060】
そのため、図5に示すように、地震によって建築物に水平力が作用した場合、パネルダンパ10により建築物に作用した振動エネルギーを減衰することができる。すなわち、第1梁113と第2梁114が水平方向であるX方向に相対変位したとき、パネルダンパ10は、このX方向の相対変位を生じる。つまり、パネルダンパ10は、入力した外力としてのせん断力によりダンパ本体11が変形する。外力が降伏応力より大きければ、ダンパ本体11が塑性変形または降伏することで振動エネルギーを吸収して減衰させる。その結果、建築物の耐震性を向上させることができる。
【0061】
また、ダンパ本体11は、第1連結部材12および第2連結部材13により第1梁113および第2梁114に連結される。そのため、ダンパ本体11を第1梁113や第2梁114に容易に連接することができ、大きな作業空間を不要とすることでダンパ本体11の取付作業性の向上を図ることができると共に、小型化を可能とすることができる。
【0062】
また、第1取付部131の第1部材133が第1締結部材によって第1構造物に固定され、第2取付部132の第2部材135が第2締結部材によって第2構造物に固定されるので、パネルダンパ10を第1構造物及び第2構造物に固定する時に溶接接合が不要となる。したがって、溶接個所を減少させて取付作業性の向上を図ることができる。また、振動エネルギーを吸収してダンパ本体11が損傷しても、損傷したダンパ本体11を第1取付部131及び第2取付部132ごと取り外して新しいダンパ本体11を直ちに装着することができる。
【0063】
第1実施形態の制振ダンパでは、第1取付孔H1の内周長は、第1締結部材の外周長よりも大きい。第2取付孔H2の内周長は、第2締結部材の外周長よりも大きい。制振ダンパが固定される第1構造物及び第2構造物の位置は、設計された所定の位置に対してずれていることがある。第1取付孔H1及び第2取付孔H2の内周長が締結部材の外周長よりも大きいことによって、第1構造物及び第2構造物の位置に誤差が生じている場合でも制振ダンパの固定位置を容易に調整できる。すなわち、第1実施形態の制振ダンパによれば、取付精度を向上させることができる。
【0064】
第1実施形態の制振ダンパでは、第1突出部134は、第1連結部材12と固定可能な第3取付孔H3を備える。第2突出部136は、第2連結部材13と固定可能な第4取付孔H4を備える。ダンパ本体11は、第1連結部材12と固定可能な第5取付孔H5、及び第2連結部材13と固定可能な第6取付孔H6を備える。そのため、溶接個所を減少させて取付作業性の向上を図ることができる。また、振動エネルギーを吸収してダンパ本体11が損傷しても、損傷したダンパ本体11を取り外して新しいダンパ本体11を直ちに装着することができる。
【0065】
第1実施形態の制振ダンパは、ダンパ本体11を両側から挟む2つの第1連結部材12と、ダンパ本体11を両側から挟む2つの第2連結部材13と、を備える。そのため、第1連結部材12および第2連結部材13を第1梁113および第2梁114への連結部材として機能させるだけでなく、補強部材として機能させることができ、構造の簡素化を図ることができる。
【0066】
第1実施形態の制振ダンパは、第1突出部134を両側から挟む2つの第1連結部材12と、第2突出部136を両側から挟む2つの第2連結部材13と、を備える。これにより、第1実施形態の制振ダンパは、第1突出部134と第1連結部材12との連結、及び第2突出部136と第2連結部材13との連結を強固にすることができる。
【0067】
第1実施形態の制振ダンパでは、ダンパ本体11の最も面積が大きい面(XZ平面と平行な面)に対して直交する方向(Y方向)の第1取付孔H1の長さ及び第2取付孔H2の長さは、当該方向(Y方向)に対して直交する方向(X方向)の第1取付孔H1の長さ及び第2取付孔H2の長さよりも大きい。これにより、ダンパ本体11の取付位置をY方向に調整できる。そのため、ダンパ本体11を位置調整することで、ダンパ本体11の取付精度を向上させることができる。
【0068】
第1実施形態の第3適用例(図13参照)では、鉛直方向(Z方向)の第1取付孔H1の長さ及び第2取付孔H2の長さは、水平方向(Y方向)の第1取付孔H1の長さ及び第2取付孔H2の長さよりも大きい。これにより、ダンパ本体11の取付位置を鉛直方向に調整できる。そのため、ダンパ本体11を位置調整することで、ダンパ本体11の取付精度を向上させることができる。
【0069】
第1実施形態の第1適用例(図11参照)及び第2適用例(図12参照)では、鉛直方向(Z方向)の第3取付孔H3の長さ及び第4取付孔H4の長さは、水平方向(X方向)の第3取付孔H3の長さ及び第4取付孔H4の長さよりも大きい。これにより、ダンパ本体11の取付位置を鉛直方向に調整できる。そのため、ダンパ本体11を位置調整することで、ダンパ本体11の取付精度を向上させることができる。
【0070】
第1実施形態の制振ダンパでは、鉛直方向(Z方向)の第5取付孔H5の長さ及び第6取付孔H6の長さは、水平方向(X方向)の第5取付孔H5の長さ及び第6取付孔H6の長さよりも大きくてもよい。これにより、ダンパ本体11の取付位置を鉛直方向に調整できる。そのため、ダンパ本体11を位置調整することで、ダンパ本体11の取付精度を向上させることができる。
【0071】
第1実施形態の第1適用例(図11参照)及び第2適用例(図12参照)では、鉛直方向(Z方向)の第3取付孔H3の長さ及び第4取付孔H4の長さは、水平方向(X方向)の第3取付孔H3の長さ及び第4取付孔H4の長さよりも大きい。水平方向(X方向)の第5取付孔H5の長さ及び第6取付孔H6の長さは、鉛直方向(Z方向)の第5取付孔H5の長さ及び第6取付孔H6の長さよりも大きい。これにより、ダンパ本体11の取付位置を鉛直方向及び水平方向に調整できる。そのため、ダンパ本体11を位置調整することで、ダンパ本体11の取付精度を向上させることができる。
【0072】
第1実施形態の制振ダンパでは、水平方向(X方向)の第3取付孔H3の長さ及び第4取付孔H4の長さは、鉛直方向(Z方向)の第3取付孔H3の長さ及び第4取付孔H4の長さよりも大きくてもよい。鉛直方向(Z方向)の第5取付孔H5の長さ及び第6取付孔H6の長さは、水平方向(X方向)の第5取付孔H5の長さ及び第6取付孔H6の長さよりも大きくてもよい。これにより、ダンパ本体11の取付位置を鉛直方向及び水平方向に調整できる。そのため、ダンパ本体11を位置調整することで、ダンパ本体11の取付精度を向上させることができる。
【0073】
第1実施形態の制振ダンパでは、ダンパ本体11は、低降伏点鋼を含む。これにより、第1実施形態の制振ダンパは、エネルギー吸収能力を向上させることができる。
【0074】
第1実施形態の制振ダンパでは、第1連結部材12及び第2連結部材13は、離れて配置される。そのため、ダンパ本体11に強度が低い部分を確保することで、外力によりダンパ本体11を適正に塑性変形または降伏させることで、振動エネルギーを適正に吸収することができる。
【0075】
第1実施形態の制振ダンパでは、ダンパ本体11は、第1構造物(第1梁113)と第2構造物(第2梁114)が並ぶ方向における中間位置に切欠部21,22を備える。そのため、切欠部21,22によりダンパ本体11に強度が低い部分を確保することで、外部応力によりダンパ本体11を適正に変形させることで、この外部応力を適正に吸収することができる。
【0076】
第1実施形態の制振ダンパでは、ダンパ本体11は、第1構造体(第1梁113)と第2構造体(第2梁114)が並ぶ方向(Z方向)の中間に配置される中間部1100と、第5取付孔H5を備える第1締結部1101と、第6取付孔H6を備える第2締結部1102と、を備える。当該方向に対して直交する平面で中間部1100を切った場合の断面積は、当該平面で第5取付孔H5を含む位置で第1締結部1101を切った場合の断面積、及び当該平面で第6取付孔H6を含む位置で第2締結部1102を切った場合の断面積よりも小さい。
【0077】
これにより、中間部1100においては、第1締結部1101及び第2締結部1102よりも降伏せん断力が小さい。そのため、ダンパ本体11に外力が加わる時、中間部1100が変形することによってエネルギーが吸収される。
【0078】
なお、第1連結部材12および第2連結部材13は、上述した構成に限定されるものではない。図6は、第1実施形態のパネルダンパにおける第1変形例を表す斜視図、図7は、第1実施形態のパネルダンパにおける第2変形例を表す斜視図、図8は、第1実施形態のパネルダンパにおける第2変形例を表す斜視図である。
【0079】
第1実施形態の第1変形例において、図6に示すように、パネルダンパ10Aのダンパ本体11は、矩形状をなし、Z方向における中間部にX方向に沿う切欠部21,22が設けられる。切欠部21は、ダンパ本体11におけるY方向の一端側に端面からY方向の他端側に向けて設けられる。切欠部22は、ダンパ本体11におけるY方向の他端側に端面からY方向の一端側に向けて設けられる。そのため、ダンパ本体11は、切欠部21,22によりZ方向の中間部におけるX方向の長さが短くなっている。
【0080】
第1連結部材12は、ダンパ本体11の切欠部21,22に対向する位置に第1切欠部41,42が設けられる。第2連結部材13は、切欠部21,22に対向する位置に第2切欠部43,44が設けられる。2枚の第1連結部材12は、ダンパ本体11を板厚方向に挟持することで変形を抑制しているが、切欠部21,22に対向する部分が不要となる。2枚の第2連結部材13は、ダンパ本体11を板厚方向に挟持することで変形を抑制しているが、切欠部21,22に対向する部分が不要となる。
【0081】
第1実施形態の制振ダンパでは、第1連結部材12における切欠部21,22に対向する位置に第1切欠部41,42を設け、第2連結部材13における切欠部21,22に対向する位置に第2切欠部43,44を設ける。そのため、第1連結部材12および第2連結部材13の軽量化を可能とすることができる。
【0082】
第1実施形態の第2変形例において、図7に示すように、パネルダンパ10Bのダンパ本体11は、一端部が第1連結部材12により第1取付部131に連結され、他端部が第2連結部材13により第2取付部132に連結される。第1連結部材12は、ダンパ本体11に接触しない外面に第1変形抑制部材としての複数のリブ51が設けられる。第2連結部材13は、ダンパ本体11に接触しない外面に第2変形抑制部材としての複数のリブ52が設けられる。複数のリブ51,52は、Z方向に平行に設けられているが、X方向であってもよいし、Z方向に平行なリブとX方向に平行なリブを設けてもよい。複数のリブ51,52は、面外方向としてのY方向への変形を抑制する補強部材として機能する。
【0083】
第1実施形態の制振ダンパでは、第1連結部材12におけるダンパ本体11に接触しない面に第1変形抑制部材としてのリブ51を設け、第2連結部材13におけるダンパ本体11に接触しない面に第2変形抑制部材としてのリブ52を設ける。そのため、第1連結部材12及び第2連結部材13は、リブ51,52により面外方向、つまり、Y方向への変形が抑制される。ダンパ本体11における第1連結部材12及び第2連結部材13が設けられていない部分をXZ面内で変形させることで、X方向の振動エネルギーを効率的に吸収して減衰させることができる。
【0084】
第1実施形態の第3変形例において、図8に示すように、パネルダンパ60は、第1取付部131と、第2取付部132との間に設けられる。パネルダンパ60は、ダンパ本体61と、第1連結部材62と、第2連結部材63とを備える。
【0085】
パネルダンパ60は、所定厚さの平板材料である2枚のダンパ本体61を有する。なおダンパ本体61は、3枚以上であってもよい。ダンパ本体61は、矩形状をなし、Z方向における中間部にX方向に沿う切欠部(本体切欠部)71,72が設けられる。そのため、ダンパ本体61は、切欠部71,72によりZ方向の中間部におけるX方向の長さが短くなっている。
【0086】
2枚のダンパ本体61は、第1突出部134と第2突出部136におけるY方向の両側に配置される。ダンパ本体61は、Z方向における一端部側が第1連結部材62により第1突出部134に連結され、Z方向における他端部側が第2連結部材63により第2突出部136に連結される。第1連結部材62および第2連結部材63は、矩形の平板形状をなす。第1連結部材62および第2連結部材63は、同形状をなす。
【0087】
第1連結部材62および第2連結部材63は、ダンパ本体61に平行であり、厚さがダンパ本体61の厚さより厚く設けられる。第1連結部材62は、2枚設けられ、2枚のダンパ本体61の一端部側を板厚方向の両側から挟持する。第2連結部材63は、2枚設けられ、2枚のダンパ本体61の他端部側を板厚方向の両側から挟持する。
【0088】
第1連結部材62の一端部と第1突出部134とダンパ本体61の一端部とは、複数の第3ボルト81および複数の第3ナット82により締結される。第2連結部材63の一端部と第2突出部136とダンパ本体61の他端部とは、複数の第4ボルト83及び複数の第4ナット84により締結される。
【0089】
そのため、ダンパ本体61は、一端部が第1連結部材62を介して第1取付部131に連結され、他端部が第2連結部材63を介して第2取付部132に連結される。このとき、ダンパ本体61と、第1連結部材62と、第1突出部134と、第2連結部材63と、第2突出部136とは、平行をなす。また、第1連結部材62と第1部材133との間に隙間が設けられ、第2連結部材63と第2部材135との間に隙間が設けられる。さらに、第1連結部材62と第2連結部材63との間に所定隙間が設けられる。
【0090】
また、第1連結部材62および第2連結部材63は、ダンパ本体61の面外方向としてのY方向への変形を抑制する変形抑制部材として機能する。すなわち、2枚の第1連結部材62は、ダンパ本体61の一端部側を板厚方向から挟持し、2枚の第2連結部材63は、ダンパ本体61の他端部側を板厚方向から挟持する。このとき、第1連結部材62と第2連結部材63との間に所定隙間が設けられることから、ダンパ本体61が地震で変形した時に、第1連結部材62と第2連結部材63との接触しにくくなる。このため、第1連結部材62及び第2連結部材63が破損する可能性が低減される。さらに、ダンパ本体61の変形が阻害される可能性が低減される。また、ダンパ本体61が視認しやすくなることによって、地震後の点検が容易となる。
【0091】
なお、上述した実施形態では、第1連結部材12および第2連結部材13を矩形状としたが、この形状に限定されるものではなく、制振ダンパの取付位置に応じて適宜形状を変更すればよい。
【0092】
図9は、第1実施形態のパネルダンパにおける第4変形例を表す斜視図である。図10は、第1実施形態のパネルダンパにおける第4変形例を表す分解斜視図である。第4変形例のパネルダンパ70は、ダンパ本体71を備える。
【0093】
図10に示すように、ダンパ本体71は、厚肉部711と、厚肉部713と、薄肉部715と、を備える。ダンパ本体71の厚さ方向は、Y方向と平行である。厚肉部711は、第1突出部134に隙間を空けて面する。厚肉部711の厚さは、第1突出部134の厚さと同じである。厚肉部711には第5取付孔H5が設けられる。厚肉部713は、第2突出部136に隙間を空けて面する。厚肉部713の厚さは、第2突出部136の厚さと同じである。厚肉部713には第6取付孔H6が設けられる。薄肉部715は、厚肉部711と厚肉部713との間に配置される。薄肉部715の厚さは、厚肉部711及び厚肉部713の厚さよりも小さい。薄肉部715の厚さは、ダンパ本体71のZ方向の中間位置に向かって小さくなっている。薄肉部715によってダンパ本体71に強度が低い部分を確保することで、外部応力によりダンパ本体11を適正に変形させることで、この外部応力を適正に吸収することができる。
【0094】
図14は、第2実施形態のパネルダンパを表す斜視図である。図15は、第2実施形態のパネルダンパの第1適用例を表す概略図である。図16は、第2実施形態のパネルダンパの第2適用例を表す概略図である。
【0095】
第2実施形態の第1適用例において、図15に示すように、第1柱211と第2柱212は、鉛直方向であるZ方向に沿うと共に、第1水平方向であるX方向に間隔を空けて配置される。第1梁213と第2梁214は、第1水平方向であるX方向に沿うと共に、鉛直方向であるZ方向に間隔を空けて配置される。第1柱211および第2柱212と、第1梁213および第2梁214は、直交するように配置される。第1梁213は、第1柱211の上部と第2柱212の上部を連結するように配置される。第2梁214は、第1柱211の下部と第2柱212の下部を連結するように配置される。第3梁215と第4梁216は、第2水平方向であるY方向に沿うと共に、鉛直方向であるZ方向に間隔を空けて配置される。第3梁215および第4梁216は、第1柱211および第2柱212と第1梁213および第2梁214と、直交するように配置される。すなわち、第3梁215および第4梁216は、図15の紙面に直交するY方向に沿う。第3梁215は、長手方向の端部が第1梁213の長手方向の中間部に連結され、第4梁216は、長手方向の端部が第2梁214の長手方向の中間部に連結される。
【0096】
第1取付部材217は、第1梁213の長手方向の中間部に連結される。第1取付部材217は、第1梁213における第3梁215の連結位置からZ方向の下方へ向けて延出される。第2取付部材218は、第2梁214の長手方向の中間部に連結される。第2取付部材218は、第2梁214における第4梁216の連結位置からZ方向の上方へ向けて延出される。ここでは、第1梁213および第1取付部材217が第1構造物であり、第2梁214および第2取付部材218が第2構造物である。第2実施形態のパネルダンパ(制振ダンパ)10は、第1取付部材217と第2取付部材218との間に設けられる。
【0097】
第2実施形態の第2適用例において、図16に示すように、第1柱221と第2柱222は、鉛直方向であるZ方向に沿うと共に、第1水平方向であるX方向に間隔を空けて配置される。第1梁223と第2梁224は、第1水平方向であるX方向に沿うと共に、鉛直方向であるZ方向に間隔を空けて配置される。第1柱221および第2柱222と、第1梁223および第2梁224は、直交するように配置される。第1梁223は、第1柱221の上部と第2柱222の上部を連結するように配置される。第2梁224は、第1柱221の下部と第2柱222の下部を連結するように配置される。第3梁225と第4梁226は、第2水平方向であるY方向に沿うと共に、鉛直方向であるZ方向に間隔を空けて配置される。第3梁225および第4梁226は、第1柱221および第2柱222と第1梁223および第2梁224と、直交するように配置される。すなわち、第3梁225および第4梁226は、図16の紙面に直交する方向(Y方向)に沿う。第3梁225は、端部が第1梁223の長手方向の中間部に連結され、第4梁226は、端部が第2梁224の長手方向の中間部に連結される。
【0098】
ここでは、第1柱221が第1構造物であり、第2柱222が第2構造物である。第2実施形態のパネルダンパ10は、第3梁225と第4梁226との間で、第1柱221と第2柱222との間に設けられる。
【0099】
上述した第1柱211、第2柱212、第1柱221、第2柱222、第1梁213、第2梁214、第3梁215、第4梁216、第1梁223、第2梁224、第3梁225、第4梁226、第1取付部材217、第2取付部材218は、鉄筋コンクリートである。
【0100】
以下の説明では、パネルダンパを第2実施形態の第1適用例に適用したものとして説明する。図14に示すように、第1取付部材217は、複数のインサート217aを備える。インサート217aは、第1取付部材217のコンクリートに埋め込まれる雌ねじである。第1締結部材である第1ボルト101が、第1部材133の第1取付孔H1を貫通する。第1ボルト101の先端のねじ部がインサート217aに螺合される。
【0101】
第2取付部材218は、複数のインサート218aを備える。インサート218aは、第2取付部材218のコンクリートに埋め込まれる雌ねじである。第2締結部材である第2ボルト103が、第2部材135の第2取付孔H2を貫通する。第2ボルト103の先端のねじ部がインサート218aに螺合される。
【0102】
このように、パネルダンパ10は、第1締結部材(第1ボルト101)及び第2締結部材(第2ボルト103)によって、鉄筋コンクリートである第1構造物及び第2構造物に取り付けられる。調整取付孔によって、パネルダンパ10の取付精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0103】
10,10A,10B,60 パネルダンパ(制振ダンパ)
11,61 ダンパ本体
12,62 第1連結部材
13,63 第2連結部材
21,22,71,72 切欠部(本体切欠部)
31,81 第3ボルト
32,82 第3ナット
33,83 第4ボルト
34,84 第4ナット
35 第5ボルト
36 第5ナット
37 第6ボルト
38 第6ナット
41,42 第1切欠部
43,44 第2切欠部
51 リブ(第1変形抑制部材)
52 リブ(第2変形抑制部材)
101 第1ボルト
102 第1ナット
103 第2ボルト
104 第2ナット
111,121 第1柱
112,122 第2柱
113,123 第1梁
114,124 第2梁
115,125 第3梁
116,126 第4梁
117 第1取付部材
118 第2取付部材
119 取付部材
131 第1取付部
132 第2取付部
133 第1部材
134 第1突出部
135 第2部材
136 第2突出部
211,221 第1柱
212,222 第2柱
213,223 第1梁
214,224 第2梁
215,225 第3梁
216,226 第4梁
H1 第1取付孔
H2 第2取付孔
H3 第3取付孔
H4 第4取付孔
H5 第5取付孔
H6 第6取付孔
H7 第7取付孔
H8 第8取付孔
H9 第9取付孔
H10 第10取付孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16