(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】車載装置および危険車両検出方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240208BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240208BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240208BHJP
B60W 10/18 20120101ALI20240208BHJP
B60W 10/20 20060101ALI20240208BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/00 D
B60W50/14
B60W10/18
B60W10/20
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2020048216
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伏見 文孝
(72)【発明者】
【氏名】村角 周樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 順次
(72)【発明者】
【氏名】須佐美 博丈
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/044625(WO,A1)
【文献】特開2019-127200(JP,A)
【文献】特開2018-163482(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098238(WO,A1)
【文献】特開2009-134704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G07C 1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両
周辺の画像データに基づき、
周辺の他
車両のバックランプの
点滅回数または点灯
時間を検出し、
前記バックランプの点滅
回数または点灯時間
と、前記自車両が停止しているか否かに基づいて、前記他
車両
の危険度を判定する、
車載装置。
【請求項2】
複数段階の前記危険度によって前記他
車両の危険度を判定する、
請求項
1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記判定された前記危険度に応じて、前記自車両の搭乗者への通知を行う、
請求項
1または
2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記危険度に応じて通知内容および通知タイミングを変更する、
請求項
3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記判定された前記危険度に応じて、前記自車両の車両制御を行う、
請求項
1~
4のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項6】
前記危険度に応じて、前記自車両に搭載されたドライブレコーダに録画を行わせる、
請求項
5に記載の車載装置。
【請求項7】
車載装置が実行する危険車両検出方法であって、
自車両
周辺の画像データに基づき、
周辺の他
車両のバックランプの
点滅回数または点灯
時間を検出し、
前記バックランプの点滅
回数または点灯時間
と、前記自車両が停止しているか否かに基づいて、前記他
車両
の危険度を判定する、
危険車両検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、車載装置および危険車両検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、煽り運転を行っているといった危険車両を検出する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術は、潜在的な危険車両を検出可能とするうえで、さらなる改善の余地がある。
【0005】
具体的には、煽り運転車両等は、見た目にも明らかに危険な挙動をとる場合が多いため、ある意味検出しやすい危険車両だとも言える。これに対し、明らかに危険な挙動はとらないものの、潜在的な危険車両は存在する。
【0006】
一例として、バックランプは、車両が後退する際に点灯し、AT車の場合はシフトレバーを「P」から「N」に切り替える際には点滅するが、後退時はドライバの死角が増えるため、周辺車両に気づかない可能性が高くなり、危険運転を行う危険車両となりうる。また、バックランプの点滅が繰り返されれば、意図的な威嚇行為や誤操作を繰り返している可能性が高いため、やはり危険車両となりうる。
【0007】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、潜在的な危険車両を検出可能とすることができる車載装置および危険車両検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る車載装置は、自車両周辺の画像データに基づき、周辺の他車両のバックランプの点滅回数または点灯時間を検出し、前記バックランプの点滅回数または点灯時間と、前記自車両が停止しているか否かに基づいて、前記他車両の危険度を判定する。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様によれば、潜在的な危険車両を検出可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係る危険車両検出方法の概要説明図(その1)である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係る危険車両検出方法の概要説明図(その2)である。
【
図2A】
図2Aは、実施形態に係る危険車両検出システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2B】
図2Bは、実施形態に係る検出部の構成例を示すブロック図である。
【
図2C】
図2Cは、実施形態に係る判定部の構成例を示すブロック図である。
【
図3A】
図3Aは、実施形態に係る判定部の動作説明図(その1)である。
【
図3B】
図3Bは、実施形態に係る判定部の動作説明図(その2)である。
【
図3C】
図3Cは、実施形態に係る判定部の動作説明図(その3)である。
【
図3D】
図3Dは、実施形態に係る判定部の動作説明図(その4)である。
【
図3E】
図3Eは、実施形態に係る判定部の動作説明図(その5)である。
【
図3F】
図3Fは、実施形態に係る判定部の動作説明図(その6)である。
【
図3G】
図3Gは、実施形態に係る判定部の動作説明図(その7)である。
【
図3H】
図3Hは、実施形態に係る判定部の動作説明図(その8)である。
【
図3I】
図3Iは、実施形態に係る判定部の動作説明図(その9)である。
【
図3J】
図3Jは、実施形態に係る判定部の動作説明図(その10)である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る通知部が通知する通知内容の一例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、他車状態および自車状態の組み合わせごとの判定処理の一覧(その1)である。
【
図5B】
図5Bは、他車状態および自車状態の組み合わせごとの判定処理の一覧(その2)である。
【
図6A】
図6Aは、実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【
図6B】
図6Bは、実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車載装置および危険車両検出方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
まず、実施形態に係る危険車両検出方法の概要について、
図1Aおよび
図1Bを用いて説明する。
図1Aおよび
図1Bは、実施形態に係る危険車両検出方法の概要説明図(その1)および(その2)である。
【0013】
図1Aに示すように、たとえば自車両が信号待ちの状態である場合などに、前方に停車中の他車両V-oのバックランプBLが、点灯したり、点滅したりすることがある。通常、このような信号待ちの状態で他車両V-oが後退してくることは考えにくいので、自車両のドライバDとしては、他車両V-oが危険車両であることを懸念することになる。
【0014】
ただし、バックランプBLを点灯させたまま他車両V-oが後退して急接近してきたり、明らかに威嚇行為として繰り返し点滅させたりしているのであれば、ドライバDは他車両V-oを危険車両と判断して回避行動をとることはできるものの、単なる1度きりのシフトレバーの誤操作等である場合もあり、容易に危険車両と判断することはできない。
【0015】
しかし、言い換えれば、バックランプBLの点灯状態は、潜在的なものも含めた危険車両を検出するための判断材料になりうると言える。そこで、実施形態に係る危険車両検出方法では、かかるバックランプBLの点灯状態に着目し、これに基づいて危険車両を検出することとした。
【0016】
具体的には、
図1Bに示すように、実施形態に係る危険車両検出方法では、まず自車両V-sに搭載された車載装置10は、他車両V-oのバックランプBLの点灯状態、すなわち点灯、点滅または消灯を検出する(ステップS1)。
【0017】
また、車載装置10は、自車両V-sの状態および他車両V-oの状態を検出する(ステップS2)。なお、ここに言う状態は、たとえば自車両V-sまたは他車両V-oが停止していたり、いずれかの方向へ移動していたり、高速であったり、低速であったりといった、自車両V-sおよび他車両V-oの現在の挙動を指す。ここで、ステップS1およびステップS2は、たとえばパラレルに常時実行される。
【0018】
そして、他車両V-oのバックランプBLの点灯または点滅が検出されている場合に、車載装置10は、各車両V-s,V-oの状態に基づいて危険度を判定する(ステップS3)。なお、本実施形態では、かかる危険度を「0」~「3」の4つに区分することとする。危険度の詳細およびその判定条件の詳細等については、
図3A以降を用いた説明で後述する。
【0019】
そして、車載装置10は、判定した危険度に応じた通知ならびに車両制御を行う(ステップS4)。たとえば車載装置10は、危険度が高いほど警告度合いが増すように、自車両V-sの搭乗者に対する通知を行う。
【0020】
また、車載装置10は、判定した危険度が高ければ、必要に応じて危険を回避するための車両制御を行う。なお、あわせてドライブレコーダの録画機能をオンにしてもよい。通知の方法や車両制御の内容については、
図4~
図5Bを用いた説明で後述する。
【0021】
このように、実施形態に係る危険車両検出方法では、他車両V-oのバックランプBLの点灯状態、ならびに、自車両V-sおよび他車両V-oの状態を検出することとした。そして、バックランプBLの点灯または点滅が検出されている場合に、自車両V-sおよび他車両V-oの状態に基づいて危険度を判定し、判定した危険度に応じた通知ならびに車両制御を行うこととした。
【0022】
したがって、実施形態に係る危険車両検出方法によれば、潜在的な危険車両を検出可能とすることができる。以下、実施形態に係る危険車両検出方法を適用した、実施形態に係る危険車両検出システム1の構成例について、より具体的に説明する。
【0023】
図2Aは、実施形態に係る危険車両検出システム1の構成例を示すブロック図である。また、
図2Bは、実施形態に係る検出部12bの構成例を示すブロック図である。また、
図2Cは、実施形態に係る判定部12cの構成例を示すブロック図である。なお、
図2A~
図2Cでは、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0024】
換言すれば、
図2A~
図2Cに図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0025】
また、
図2A~
図2Cを用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0026】
図2Aに示すように、実施形態に係る危険車両検出システム1は、車載装置10と、各種センサ20と、通知デバイス30と、車両制御ECU40と、ドライブレコーダ50とを含む。車載装置10は、記憶部11と、制御部12とを備える。
【0027】
記憶部11は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図2Aの例では、判定情報11aを記憶する。判定情報11aは、危険度の判定に関する情報であり、後述する各種の判定条件を含む。
【0028】
制御部12は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、車載装置10内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部12は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0029】
制御部12は、取得部12aと、検出部12bと、判定部12cと、通知部12dと、車両制御部12eとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0030】
取得部12aは、各種センサ20から出力された出力データを取得する。各種センサ20は、自車両V-sに搭載された各種のセンサデバイスであって、自車両V-sの内外を撮影する車載カメラや、速度センサ、加速度センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、ステアリングセンサ、GPS(Global Positioning System)センサ等を含む。
【0031】
検出部12bは、取得部12aによって取得された各種のデータに基づいて、他車両V-oのバックランプBLの点灯状態や、自車両V-sおよび他車両V-oの状態を検出する。
【0032】
図2Bに示すように、検出部12bは、点灯状態検出部12baと、他車両状態検出部12bbと、自車両状態検出部12bcとを有する。点灯状態検出部12baは、たとえば車載カメラの撮影した自車両V-s周辺の画像データに基づいて、他車両V-oのバックランプBLの点灯状態を検出する。
【0033】
他車両状態検出部12bbは、取得部12aによって取得された各種のデータに基づいて、他車両V-oの状態を検出する。自車両状態検出部12bcは、取得部12aによって取得された各種のデータに基づいて、自車両V-sの状態を検出する。
【0034】
図2Aの説明に戻る。判定部12cは、検出部12bの検出結果および判定情報11aに基づいて、他車両V-oの危険度を判定する。
図2Cに示すように、判定部12cは、第1危険度判定部12caと、第2危険度判定部12cbとを有する。
【0035】
第1危険度判定部12caは、危険度判定の第1段階目である、「危険なし」か「危険可能性あり」かを区分する判定を行う。第2危険度判定部12cbは、危険度判定の第2段階目である、「危険可能性あり」を3種類の危険度に区分する判定を行う。
【0036】
ここで、
図3A~
図3Jを用いて、判定部12cによる判定処理の詳細について説明する。
図3A~
図3Jは、実施形態に係る判定部12cの動作説明図(その1)~(その10)である。
【0037】
図3Aに示すように、判定部12cは、第1危険度判定部12caが実行する第1危険度判定処理によって危険度を「0」と、それ以外とに区分する。危険度「0」は危険なしを意味し、それ以外は危険可能性ありを意味する。
【0038】
また、判定部12cは、第1危険度判定処理によって「0」以外と判定された判定結果を、第2危険度判定部12cbが実行する第2危険度判定処理によって危険度「1」~「3」のいずれかに区分する。危険度「1」は注意不要を意味し、危険度「2」は要注意を意味し、危険度「3」は要回避行動を意味する。
【0039】
図3Bには、第1危険度判定処理の判定条件を示す。
図3Bに示すように、第1危険度判定処理では、他車両V-oの状態(以下、「他車状態」という)としてバックランプBLが点灯または点滅しており、かつ、停止している(ブレーキランプ点灯を含む)場合に、自車両V-sの状態(以下、「自車状態」という)も停止しているならば、危険度を「0」とする。
【0040】
また、同図に示すように、第1危険度判定処理では、他車状態としてバックランプBLが点灯または点滅しており、かつ、停止していない場合に、自車状態も停止していないならば、危険度を「0」以外(すなわち、危険度「1」~「3」のいずれかであるが不定)とする。
【0041】
図3C~
図3Jには、第2危険度判定処理の判定条件#1~#8を示す。
図3Cに示すように、第2危険度判定処理では、判定条件#1として、他車状態がバックランプBLの点灯であり、かつ、自車状態が停止以外であるならば、バックランプBLの点灯時間の長さに応じて危険度を「1」~「3」のいずれかに区分する。たとえば点灯時間が2秒未満であれば危険度「1」とし、10秒未満であれば危険度「2」とし、10秒以上であれば危険度「3」とする。なお、例示した秒数はあくまで一例である。
【0042】
また、
図3Dに示すように、第2危険度判定処理では、判定条件#2として、他車状態がバックランプBLの点灯であり、かつ、自車状態が停止以外であるならば、他車状態のハザード点滅の有無に応じて危険度を「1」,「2」のいずれかに区分する。たとえばハザード点滅があれば危険度「1」とし、ハザード点滅がなければ危険度「2」とする。
【0043】
また、
図3Eに示すように、第2危険度判定処理では、判定条件#3として、他車状態がバックランプBLの点灯であり、かつ、自車状態が停止以外であるならば、他車両V-oと自車両V-sとの相対関係に応じて、危険度を「1」~「3」のいずれかに区分する。相対関係は、ここでは車間距離である。たとえば車間距離が10m以上であれば危険度「1」とし、10m未満であれば危険度「2」とし、2m未満であれば危険度「3」とする。なお、例示した距離はあくまで一例である。
【0044】
また、
図3Fに示すように、第2危険度判定処理では、判定条件#4として、他車状態がバックランプBLの点灯であり、かつ、自車状態が停止以外であるならば、他車両V-oと自車両V-sとの相対関係に応じて、危険度を「1」~「3」のいずれかに区分する。相対関係は、ここでは相対速度である。たとえば相対速度が10km/h未満であれば危険度「1」とし、30km/h未満であれば危険度「2」とし、30km/h以上であれば危険度「3」とする。なお、例示した速度はあくまで一例である。
【0045】
また、
図3Gに示すように、第2危険度判定処理では、判定条件#5として、他車状態がバックランプBLの点灯であり、かつ、自車状態が停止以外であるならば、バックランプBLの点灯繰り返し回数に応じて危険度を「1」~「3」のいずれかに区分する。たとえば点灯繰り返し回数が2回以下であれば危険度「1」とし、5回以下であれば危険度「2」とし、6回以上であれば危険度「3」とする。なお、例示した回数はあくまで一例である。
【0046】
また、
図3Hに示すように、第2危険度判定処理では、判定条件#6として、他車状態がバックランプBLの点滅であり、かつ、自車状態が停止以外であるならば、バックランプBLの点滅回数に応じて危険度を「1」~「3」のいずれかに区分する。たとえば点滅回数が1回であれば危険度「1」とし、2回以上であれば危険度「2」とし、5回以上であれば危険度「3」とする。なお、例示した回数はあくまで一例である。
【0047】
また、
図3Iに示すように、第2危険度判定処理では、判定条件#7として、他車状態がバックランプBLの点滅であり、かつ、自車状態が停止以外であるならば、他車状態のブレーキランプの点灯時間の長さに応じて危険度を「1」~「3」のいずれかに区分する。たとえばブレーキランプの点灯時間が10秒以上であれば危険度「1」とし、10秒未満であれば危険度「2」とし、2秒未満であれば危険度「3」とする。なお、例示した秒数はあくまで一例である。
【0048】
また、
図3Jに示すように、第2危険度判定処理では、判定条件#8として、他車状態がバックランプBLの点滅であり、かつ、自車状態が停止以外であるならば、バックランプBLの点滅回数に応じて危険度を「2」および「3」のいずれかに区分する。たとえば点滅回数が1回以上であれば危険度「2」とし、5回以上であれば危険度「3」とする。なお、例示した回数はあくまで一例である。
【0049】
これら
図3A~
図3Jを用いて説明した各種の判定条件およびこれを用いた判定処理は、他車状態および自車状態の組み合わせに応じて適宜組み合わされ、実行される。かかる組み合わせについては、後ほど
図5Aおよび
図5Bに示す。
【0050】
図2Aの説明に戻る。通知部12dは、判定部12cによって判定された危険度に応じた通知を通知デバイス30へ行わせる。通知デバイス30は、音響を出力するスピーカやブザー装置、危険度を示すインジケータ、少なくとも文字情報をカラーで表示可能なディスプレイ、触感デバイスといった、周知や注意喚起、警告の通知に適した出力デバイスである。
【0051】
ここで、通知部12dが通知する通知内容の一例を
図4に示す。
図4は、実施形態に係る通知部12dが通知する通知内容の一例を示す図である。
図4に示すように、通知部12dは、危険度が大きくなるに連れて警告度合いが増すように通知を行う。
【0052】
言い換えれば、通知部12dは、危険度が大きくなるに連れて、ドライバDが通知デバイス30から受ける刺激が強くなるように通知内容を変化させる。通知内容の詳細については説明を省略する。
【0053】
図2Aの説明に戻る。車両制御部12eは、判定部12cによって判定された危険度に応じた車両制御を車両制御ECU40に行わせる。また、車両制御部12eは、判定部12cによって判定された危険度に応じ、ドライブレコーダ50のたとえばイベント録画機能をオンする。
【0054】
次に、これまで説明した他車状態および自車状態の組み合わせ、ならびに、かかる組み合わせごとに行われる判定処理の一覧を、
図5Aおよび
図5Bに示す。
図5Aおよび
図5Bは、他車状態および自車状態の組み合わせごとの判定処理の一覧(その1)および(その2)である。
【0055】
図5Aには、他車状態が「バックランプ点灯時」の場合を示している。一方、
図5Bには、他車状態が「バックランプ点滅時」の場合を示している。
【0056】
なお、双方の図において、「検知領域」は、たとえば他車両V-oが衝突する可能性がある方向に対応している。また、「通知タイミング」は、「通知手法」に応じた通知を行うタイミングである。また、「車両制御」は、本実施形態では危険度が「3」と判定された場合に、行われる車両制御の内容である。
【0057】
たとえば、双方の図において、No.「1」とNo.「21」以外のすべての場合において危険度「3」と判定された場合、自車両V-sは減速制御される。あるいは自車両V-sは停止制御される。また、イベント録画機能がオンされる。
【0058】
また、双方の図において、たとえば自車状態が「高速」の直進、右旋回または左旋回であるNo.「5」~「7」、「15」~「17」、「25」~「27」、「35」~「37」の場合において危険度「3」と判定された場合、衝突の危険性が高いため、自車両V-sは舵角修正される。その他の組み合わせの詳細については、説明を省略する。
【0059】
次に、実施形態に係る車載装置10が実行する処理手順について、
図6Aおよび
図6Bを用いて説明する。
図6Aおよび
図6Bは、実施形態に係る車載装置10が実行する処理手順を示すフローチャート(その1)および(その2)である。
【0060】
図6Aに示すように、まず、取得部12aが、自車両V-sの内外の状況を取得する(ステップS101)なお、ここに言う内外の状況は、他車両V-oのバックランプBLの点灯状態、ならびに、自車両V-sの状態および他車両V-oの状態等、自車両V-sにより認識可能なすべての状況を指す。そして、取得された状況に基づいてトリップ終了か否かが判定される(ステップS102)。
【0061】
ここで、トリップ終了でない場合(ステップS102,No)、危険車両検出処理が実行され(ステップS103)、その後ステップS101からの処理を繰り返す。トリップ終了である場合(ステップS102,Yes)、処理を終了する。危険車両検出処理の処理手順については
図6Bを用いて説明する。
【0062】
図6Bに示すように、危険車両検出処理では、まず他車両V-oのバックランプBLがオンか、すなわちバックランプBLの点灯か点滅が検出されているか否かが判定される(ステップS201)。ここで、検出されている場合(ステップS201,Yes)、判定部12cが、検出部12bによって検出された各状態、すなわちバックランプBLの点灯状態、ならびに、自車両V-sの状態および他車両V-oの状態に基づいて危険度を判定する(ステップS202)。危険度が判定された結果、通知が必要か否かが判定される(ステップS203)。
【0063】
ここで、通知が必要であると判定された場合(ステップS203,Yes)、通知部12dは、危険度に応じた通知を行う(ステップS204)。
【0064】
また、判定部12cによって危険度が判定された結果、車両制御が必要か否かが判定される(ステップS205)。
【0065】
ここで、車両制御が必要であると判定された場合(ステップS205,Yes)、車両制御部12eは、危険度に応じた車両制御を行い(ステップS206)、処理を終了する。
【0066】
また、ステップS201の判定条件を満たさない場合(ステップS201,No)、ステップS203の判定条件を満たさない場合(ステップS203,No)、ステップS205の判定条件を満たさない場合(ステップS205,No)、処理を終了する。
【0067】
上述してきたように、実施形態に係る車載装置10は、検出部12bと、判定部12cとを備える。検出部12bは、自車両V-sの周辺の画像データに基づき、自車両V-s以外の他車両V-o(「他の車両」の一例に相当)のバックランプBLの点灯状態を検出する。判定部12cは、検出部12bによって検出された点灯状態に基づいて、他車両V-oが危険車両であるか否かを判定する。
【0068】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、他車両V-oのバックランプBLの点灯状態に基づいて、潜在的な危険車両を検出可能とすることができる。
【0069】
また、検出部12bは、他車両V-oの状態および自車両V-sの状態をさらに検出し、判定部12cは、バックランプBLの点灯状態として点灯または点滅を検出している場合に、バックランプBLの点灯状態、他車両V-oの状態および自車両V-sの状態に基づいて、他車両V-oの危険度を判定する。
【0070】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、バックランプBLの点灯状態、他車両V-oの状態および自車両V-sの状態の組み合わせに基づいて詳細に危険度の判定を行うことが可能となる。
【0071】
また、判定部12cは、複数段階の危険度によって他車両V-oの危険度を判定する。
【0072】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、他車両V-oの危険度を仔細に切り分けることが可能となり、潜在的な危険車両を検出可能とすることができる。
【0073】
また、実施形態に係る車載装置10は、通知部12dをさらに備える。通知部12dは、判定部12cによって判定された危険度に応じて、自車両V-sの搭乗者への通知を行う。
【0074】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、危険車両に関し、自車両V-sの搭乗者に対して周知、注意喚起、警告等を行うことができる。
【0075】
また、通知部12dは、上記危険度に応じて通知内容および通知タイミングを変更する。
【0076】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、たとえば危険度が大きくなるに連れて警告度合いが増すように通知を行うことが可能となる。
【0077】
また、実施形態に係る車載装置10は、車両制御部12eをさらに備える。車両制御部12eは、判定部12cによって判定された危険度に応じて、自車両V-sの車両制御を行う。
【0078】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、自車両V-sの回避行動を要するような場合に、車両制御により自車両V-sを速やかに危険車両から回避させることが可能となる。
【0079】
また、車両制御部12eは、上記危険度に応じて、自車両V-sに搭載されたドライブレコーダ50に録画を行わせる。
【0080】
したがって、実施形態に係る車載装置10によれば、危険車両に関する映像記録を自動的に残すことが可能となる。
【0081】
なお、上述した実施形態では、他車両V-oのバックランプBLの点灯状態の検出処理、ならびに、自車両V-sおよび他車両V-oの各状態の検出処理がパラレルに常時実行されていることとしたが、各検出処理の実行形態を限定するものではない。たとえば、他車両V-oのバックランプBLの点灯か点滅を検出した場合に、各車両V-s,V-oの状態を検出するようにしてもよい。これにより、処理負荷の低減を図ることができる。
【0082】
なお、かかる場合、バックランプBLの点灯か点滅かは検出できるタイミングが異なるので、たとえばバックランプBLが1度点灯して所定時間待ち、点灯か点滅かが確定してから各車両V-s,V-oの状態を検出するようにしてもよい。また、バックランプBLが点灯した瞬間に各車両V-s,V-oの状態の検出を開始し、所定時間後に点灯か点滅かが確定してから、必要であれば各車両V-s,V-oの状態の検出を更新するようにしてもよい。また、点灯のみを検出できればよいのであれば、点灯した瞬間に各車両V-s,V-oの状態を検出してもよい。
【0083】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 危険車両検出システム
10 車載装置
12 制御部
12a 取得部
12b 検出部
12c 判定部
12d 通知部
12e 車両制御部
50 ドライブレコーダ
BL バックランプ
V-o 他車両
V-s 自車両