(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ディスプレイモニタ機能付きミラー
(51)【国際特許分類】
A47G 1/00 20060101AFI20240208BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240208BHJP
H04N 23/611 20230101ALI20240208BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20240208BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240208BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240208BHJP
A47K 1/02 20060101ALN20240208BHJP
A47B 67/02 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
A47G1/00 J
G03B15/00 Q
H04N23/611
H04N23/63 330
H04N7/18 U
G06T7/00 660A
A47K1/02 B
A47B67/02 502A
(21)【出願番号】P 2020058100
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】飛田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】戸屋 智和
(72)【発明者】
【氏名】町田 雅章
(72)【発明者】
【氏名】田中 健太
(72)【発明者】
【氏名】丸山 瑞穂
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210129919(CN,U)
【文献】特開2014-204289(JP,A)
【文献】特開2002-290964(JP,A)
【文献】特開2013-132029(JP,A)
【文献】特開2011-248714(JP,A)
【文献】特開2019-048601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 1/00~ 1/24
A47K 1/02
A45D 44/00
G03B 15/00
H04N 23/611
H04N 23/63
H04N 7/18
G06T 1/00
G06T 7/00
A47B 67/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー部と,
前記ミラー部の前の被写体人物が立つ位置の画像信号を出力するカメラと
,
前記ミラー部の少なくとも一部の領域に設けられ
前記カメラによる画像信号に基づく画像を,被写体人物から見える位置に表示する表示部と
,
前記表示部を制御する制御部とを有
し,
前記制御部は,
前記カメラによる画像信号から人の顔を常に検出する顔検出部を有するとともに,
前記画像信号の視野全体を前記表示部への表示画像とする全視野モードと,
前記画像信号のうち前記顔検出部で検出された人の顔を含む範囲である顔範囲
を拡大して前記表示部への表示画像とする顔抽出モードとの切り替えを行うものであるディスプレイモニタ機能付きミラー。
【請求項2】
請求項1に記載のディスプレイモニタ機能付きミラーであって,
前記カメラは,画像信号の出力を連続的に行うものであり,
前記表示部は,
前記顔抽出モードでは前記顔範囲の画像を前記顔範囲の移動に追従しつつ表示するものであるディスプレイモニタ機能付きミラー。
【請求項3】
請求項2に記載のディスプレイモニタ機能付きミラーであって,
前記制御部は,
前記表示部への表示画像を,あらかじめ定めた遅延幅にわたり遡った過去の前記画像信号に基づくものとする遅延部を有するディスプレイモニタ機能付きミラー。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載のディスプレイモニタ機能付きミラーであって,前記顔検出部は,
前記画像信号から人の顔に含まれる特徴パーツを検出するパーツ検出部と,
検出された特徴パーツの位置に基づいて顔の中心位置を決定する中心決定部とを有するディスプレイモニタ機能付きミラー。
【請求項5】
請求項4に記載のディスプレイモニタ機能付きミラーであって,前記顔検出部は,
前記画像信号から人の顔の輪郭のサイズを決定する顔サイズ決定部と,
決定された輪郭のサイズに基づいて前記顔範囲のサイズを決定する範囲サイズ決定部とを有するディスプレイモニタ機能付きミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は,ディスプレイモニタ機能付きミラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,ミラーと,ミラー部の少なくとも一部の領域に設けられ画像を表示する表示部とを有するディスプレイモニタ機能付きミラーが知られている。特許文献1に記載されている「情報表示装置」を用いてそのように構成することができる。同文献の情報表示装置ではあらかじめ,人の動きを示すコンテンツ映像を用意している。ユーザーの各部位の鏡映像上の位置を検出して,検出された位置にコンテンツ映像の同じ部位を重ねて表示するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗面化粧台のミラーをこのようなディスプレイモニタ機能付きミラーで置き替えることが考えられる。しかし従来のものをそのまま洗面化粧台に適用しても,ユーザー自身をカメラで撮影した画像を表示部に表示できることにはならない。このためディスプレイモニタ機能を十分に活かしているとは言い難い。
【0005】
本明細書の開示技術は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,ユーザー自身の顔をカメラで撮影した画像を鏡映像とは別に表示部に表示することができるディスプレイモニタ機能付きミラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示技術の一態様におけるディスプレイモニタ機能付きミラーは,ミラー部と,ミラー部の前に立つ被写体人物が立つ位置の画像信号を出力するカメラと,カメラによる画像信号から人の顔を常に検出する顔検出部と,ミラー部の少なくとも一部の領域に設けられ画像信号のうち顔検出部で検出された人の顔を含む範囲である顔範囲の画像を,被写体人物から見える位置に表示する表示部とを有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係る洗面化粧台の正面斜視図である。
【
図2】洗面化粧台にディスプレイモニタ機能付きミラー扉を取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係るディスプレイモニタ機能付きミラー扉の後面板を外した状態での背面図である。
【
図4】実施の形態に係るディスプレイモニタ機能付きミラー扉の制御ブロック図である。
【
図5】ユーザーを含めて示す洗面化粧台の側面図である。
【
図6】顔抽出モードでのカメラの視野全体の画像と表示部の表示画像との関係を示す模式図である。
【
図7】顔抽出モードでの特徴パーツの検出およびサイズ決定を示す模式図である。
【
図8】遅延モードかつ顔抽出モードでのカメラの撮像画像と表示部の表示画像との関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示技術を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,
図1に示す洗面化粧台1にて本開示技術を具体化したものである。洗面化粧台1は,ミラーキャビネット2と,洗面カウンター11と,下部キャビネット12とを有している。洗面カウンター11には洗面ボウル111や水栓113が設けられている。ミラーキャビネット2は,洗面ボウル111より奥側で洗面カウンター11の上方に配置される鏡付きの収納部である。ミラーキャビネット2は,ミラー扉部3とキャビネット本体5とを有している。
【0009】
ミラー扉部3はミラーキャビネット2の前面に配置されており,第1ミラー扉31,第2ミラー扉32,第3ミラー扉4の三枚の長方形の鏡による三面鏡型のものである。第3ミラー扉4は,ディスプレイモニタ機能付きミラーであり,後述する表示部10を有している。第3ミラー扉4は,三枚の鏡のうちユーザーから見て右端に位置するものである。
【0010】
図2に示すように第3ミラー扉4は,蝶番44によりキャビネット本体5に対して開閉可能かつ脱着可能に取り付けられている。キャビネット本体5には第3ミラー扉4の取り付けのための蝶番用台座部531が設けられている。キャビネット本体5における第3ミラー扉4により閉鎖される背後には,収納棚53が設けられている。図示での説明は省略するが第1ミラー扉31,第2ミラー扉32も,キャビネット本体5に対して開閉可能でありそれらの背後には収納スペースが設けられている。
【0011】
図2に示されるように第3ミラー扉4は,ミラー部41と,後面板42と,支持体43とが重ね合わせられたものである。ミラー部41は,
図1の状態で正面から見える部分である。ミラー部41はハーフミラーである。ミラー部41を正面から普通に見ると第1ミラー扉31,第2ミラー扉32と同様に鏡面状である。後面板42からコードが出ておりその先に電源アダプタ45が取り付けられている。電源アダプタ45は電源プラグ46を有している。キャビネット本体5の内部には差し込みプラグ穴7が設けられている。差し込みプラグ穴7に電源プラグ46を挿し込むことで電源アダプタ45に商用電力が供給されるようになっている。
【0012】
第3ミラー扉4について
図3により説明する。
図3では第3ミラー扉4を,後面板42および電源アダプタ45を取り外した状態で背面側から見て示している。
図3に見るように,第3ミラー扉4におけるミラー部41の裏面には,液晶ケース13,制御部14,カメラ15,スピーカ16,中継基板17,操作部18が配置されている。
【0013】
液晶ケース13は,その液晶画面をミラー部41の方へ向けている。
図3中に見えているのは液晶ケース13の裏面である。液晶ケース13は,第3ミラー扉4における正面から見た一部の領域を
図1中の表示部10として機能させる部品である。カメラ15は,洗面化粧台1の前にいるユーザーの姿を撮像するものである。本形態でのカメラ15は,ハーフミラーであるミラー部41を透してユーザーの姿を撮像する。スピーカ16は,音声を発するものである。ただし本開示技術では音声機能は使用しない。制御部14は,液晶ケース13やカメラ15を制御する基板である。スピーカ16を使用する場合にはその制御も行う。操作部18は,中継基板17に対する指示をユーザーが入力するためのものである。中継基板17は,制御部14と操作部18,および前述の電源アダプタ45を接続するものである。
【0014】
第3ミラー扉4の制御系は
図4のブロック図に示されるように構成されている。
図4中の外部接続部19は,制御部14を外部のメディアと接続するためのものである。ただし本開示技術ではこの機能は使用しない。スピーカ16は
図4中では省略している。本形態における制御部14には,顔検出部20と遅延部21とが設けられている。顔検出部20にはさらに,パーツ検出部24,中心決定部25,顔サイズ決定部26,範囲サイズ決定部27が設けられている。これらの機能については後述する。
【0015】
本形態に係る洗面化粧台1は,液晶ケース13の表示機能を使用しない状態では,普通の三面鏡型の洗面化粧台である。その状態では,
図5に示すユーザー22から見て,第1ミラー扉31,第2ミラー扉32,第3ミラー扉4のいずれもが鏡である。その状態では表示部10の部分も他の部分と変わりない。ユーザーには,表示部10の部分にも鏡映反射像が見えることになる。
【0016】
液晶ケース13の表示機能をオンすると,第3ミラー扉4がディスプレイモニタ機能付きミラーとして機能する状態となる。この状態ではユーザーから見て第3ミラー扉4のうち表示部10の部分には,鏡映反射像はほとんど見えず,液晶ケース13の表示画面の画像が見えることになる。液晶ケース13の表示画面には発光性があるため,ハーフミラーであるミラー部41による鏡映反射像よりも明度のコントラストが強いからである。
【0017】
液晶ケース13により表示部10に表示される画像は,カメラ15による撮影画像である。カメラ15が出力する画像信号に基づき制御部14が液晶ケース13を駆動することで,表示部10に画像が表示される。液晶ケース13の表示機能をオンにしても表示部10以外の部分には鏡映反射像が見え続ける。その鏡映反射像とは別に表示部10にカメラ15に基づく画像が表示されるのである。カメラ15は画像信号を連続的に出力することができる。その場合,洗面化粧台1の前でユーザー22が動くと,表示部10の表示画像中のユーザー22の姿もそれに伴って動くことになる。ユーザーは操作部18により,液晶ケース13の表示機能のオンオフを切り替えることができる。
【0018】
液晶ケース13の表示機能による表示部10への画像表示については,モードの切り替えが可能である。本形態におけるモードの切り替えには,表示画像の内容についての全視野モードと顔抽出モードとの切り替えと,表示画像のタイミングについての非遅延モードと遅延モードとの切り替えとの2通りがある。これらのモード切り替えも,ユーザーが操作部18を操作することでできるようになっている。
【0019】
全視野モードと顔抽出モードとの切り替えについて説明する。このモード切替は,カメラ15の視野のうち表示部10に表示する範囲の広狭についての切り替えである。全視野モードは,カメラ15の視野全体の画像をそのまま表示部10に表示するモードである。顔抽出モードは
図6に示すように,カメラ15の視野全体のうち人の顔の部分を抽出してその部分を拡大して表示部10に表示するモードである。顔抽出モードは,
図4に示した顔検出部20による機能である。
【0020】
顔抽出モードでは,カメラ15の視野全体の画像中における人の顔の存在を検出し,存在する場合にはその位置を決定する。具体的には
図7に示すように,人の顔に含まれる特徴的なパーツを検出することで人の顔を検出する。このためパーツ検出部24には,目,口,等の特徴パーツのパターンデータが格納されている。画像中にパターンデータとマッチングする位置があると,その位置に当該特徴パーツがあると認識する。
図7の例では,目33を検出している。
【0021】
特徴パーツが検出されると,その位置に基づいて顔の中心位置を決定する。このため中心決定部25には,特徴パーツの位置と中心位置との関係が格納されている。検出された特徴パーツ33の位置に当該関係を当てはめることで,顔の中心位置34が決定される。
図7の例では顔の中心位置34が鼻の位置と一致しているがこれは偶然である。
【0022】
顔抽出モードでは顔のサイズの決定も行う。このため顔サイズ決定部26には人の顔の一般的な輪郭の図形が格納されている。検出された特徴パーツ33の位置の周囲に輪郭の図形を当てはめてマッチングさせることで,顔の輪郭36の上下サイズH1および左右サイズW1を決定する。
【0023】
さらに,顔を含み表示部10に表示する範囲である顔範囲のサイズを決定する。このため範囲サイズ決定部27には,顔の輪郭のサイズと顔範囲のサイズとの関係が格納されている。この関係は,顔範囲のサイズを顔の輪郭のサイズで割った比率である。この比率は,1.2~1.8倍の範囲内の固定値である。この比率についてユーザーの操作による調節を許容してもよい。決定されている顔の輪郭の上下サイズH1および左右サイズW1に当該比率を掛けることで,顔範囲の上下サイズH2および左右サイズW2が決定される。顔範囲の中心位置は前述の顔の中心位置34と同じ位置である。
【0024】
上記のような顔の輪郭のサイズに対する比例的な拡大の替わりに,上下左右の拡大幅を長さ単位または画素数単位で固定的に定めておいてもよい。上下サイズと左右サイズとの一方のみを検出し,もう一方については固定比により算出する方法でもよい。
【0025】
顔抽出モードで表示部10に表示されるのは,顔の中心位置34を中心とする上下サイズH2および左右サイズW2の顔範囲の画像を,表示部10のサイズに拡大した画像である。これが顔抽出モードである。上記において,特徴パーツは目33に限らない。口35や輪郭36を特徴パーツとして用いることもできる。後述する横顔や後ろから見た頭部の画像を認識できる特徴パーツがあってもよい。複数種類の特徴パーツを併用してもよい。本形態における人の顔の検出は,その存在,位置,サイズを検出するものであり,個人の識別を目的とするものではない。
【0026】
全視野モードでは,ユーザー22が洗面化粧台1の前に立ったとき,表示部10の表示内容のうち顔の位置,特に上下方向における位置は,ユーザー22の身長により異なる。顔抽出モードでは,ユーザー22が洗面化粧台1の前に立つと,ユーザー22の身長に関わらずその顔範囲の画像が表示部10に表示される。
【0027】
カメラ15が画像信号を連続的に出力する場合,上記の人の顔の検出を常に行うことができる。ユーザー22が洗面化粧台1の前で頭の位置を動かすと,カメラ15の視野全体の中での顔の位置も移動する(
図6の左側)。この移動に伴い,顔検出により特定される顔の中心位置34も移動する。つまり,顔検出により特定される顔範囲の位置は,ユーザー22の頭の移動に追従して移動する。このため表示部10にはユーザー22の顔が抽出されて表示されている状態が維持される。
【0028】
非遅延モードと遅延モードとの切り替えについて説明する。このモード切替は,カメラ15の撮像画像と表示部10の表示画像とのタイミング上の関係に関する切り替えである。このモード切替機能は,
図4に示した制御部14の遅延部21による機能である。遅延部21にはこのための遅延素子が内蔵されている。遅延素子は例えば,特開2000-182032号公報に「遅延回路」として記載されているようなものである。
【0029】
非遅延モードは,カメラ15から出力される画像信号を,遅延素子を通さずそのままリアルタイムに液晶ケース13の表示画面に反映させるモードである。このモードを用いることでユーザー22は表示部10に,鏡で見るのとほぼ同様の自身の顔画像を見ることができる。
【0030】
遅延モードは,カメラ15から出力される画像信号を,遅延素子を通して遅延させて液晶ケース13の表示画面に反映させるモードである。このモードでは表示部10に,カメラ15の所定の遅延幅にわたり遡った過去の撮像画像が表示される。遅延モードにおいても前述の全視野モードと顔抽出モードとのいずれをも用いることができる。
【0031】
顔抽出モードかつ遅延モードの場合について
図8により説明する。ユーザー22が洗面化粧台1の前で頭の向きを変えると,
図8の上段に示されるように,カメラ15の撮像画像には直ちにその変化が反映される。しかし表示部10の表示画像は,これに直ちに追従するのではなく,
図8の下段に示されるように少し遅れて追従する。この遅延モードを用いることでユーザー22は表示部10に,自身の横顔の画像や後ろから見た頭部の画像を見ることができる。洗面化粧台1の前で横向きあるいは後ろ向きになって横顔の画像または後ろから見た頭部の画像を表示部10に表示させておき,その後に正面向きになって表示部10を見ればよい。このときしばらくの間は表示部10に横顔の画像または後ろから見た頭部の画像が表示され続けるからである。全視野モードかつ遅延モードの場合でも同様である。
【0032】
遅延モードでの遅延幅は固定値とすることができる。例えば3~5秒程度の範囲内の適切な遅延幅とすることができる。固定値とせず,ユーザーによる設定を許容することとしてもよい。また,ユーザーの指令により表示部10のその時点での表示画像をそのままホールドできる機能を設けてもよい。遅延モードの機能は,上記のような遅延回路により実現する替わりに,遅延部21に画像メモリを設けてその画像メモリにカメラ15の画像信号をため込むようにすることでも実現可能である。
【0033】
以上詳細に説明したように本実施の形態の第3ミラー扉4では,ミラー部41にカメラ15と液晶ケース13とを設けている。これによりミラー部41の一部の領域を表示部10として機能させそこに,ユーザー22の顔の部分を抽出して表示できるようにしている。さらにカメラ15の画像を遅延させて表示部10に反映させることもできる。これにより,ユーザー22をカメラ15で撮像した画像を,鏡映像とは別に表示部10に適切に反映させることができるディスプレイモニタ機能付きミラーが実現されている。
【0034】
前記形態ではミラーキャビネット2の前面のミラー扉部3を三面鏡型とし,そのうちの1枚である第3ミラー扉4としてディスプレイモニタ機能付きミラーを用いた。これに限らず,第1ミラー扉31や第2ミラー扉32としてディスプレイモニタ機能付きミラーを用いてもよい。三面鏡の中に複数枚のディスプレイモニタ機能付きミラーがあってもよい。ミラー扉部3が三面鏡型でなく1枚の鏡であってもその鏡としてディスプレイモニタ機能付きミラーを用いることができる。
【0035】
ディスプレイモニタ機能付きミラーである鏡,そうでない鏡ともに,扉としての開閉動作ができるものであることは必須ではない。開閉動作をする場合でも,右ヒンジあるいは左ヒンジに限られるものではなく,上ヒンジでもスライド移動式でもよい。カメラ15の水平方向における位置は,ディスプレイモニタ機能付きミラーの幅方向の中央でなくてもかまわない。液晶ケース13に替えてエレクトロルミネセンス素子やプラズマディスプレイ,電界放出ディスプレイによるディスプレイ装置を用いてもよい。
【符号の説明】
【0036】
3 ミラー扉部 18 操作部 27 範囲サイズ決定部
4 第3ミラー扉 20 顔検出部 33 目
10 表示部 21 遅延部 34 顔の中心位置
13 液晶ケース 24 パーツ検出部 35 口
14 制御部 25 中心決定部 36 輪郭
15 カメラ 26 顔サイズ決定部 41 ミラー部