(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 7/22 20060101AFI20240208BHJP
E06B 3/44 20060101ALI20240208BHJP
E06B 1/32 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
E06B7/22 A
E06B3/44
E06B1/32
(21)【出願番号】P 2020065118
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 尚史
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0038144(US,A1)
【文献】特開昭55-101685(JP,A)
【文献】特開2014-221986(JP,A)
【文献】特開2015-224444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00 - 7/36
E06B 1/00 - 1/70
E06B 3/04 - 3/46
E06B 3/50 - 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠側当て面が形成された縦枠及び下枠側当て面が形成された下枠を有する枠体と、
前記枠体内に配置され框体を有する障子と、
前記框体に設けられ、前記縦枠側当て面及び前記下枠側当て面に当接する気密材と、を備え、
前記縦枠側当て面と前記下枠側当て面とは、同一平面上に配置され
、
前記下枠は、前記下枠側当て面が形成され上下方向に延びる下枠壁部と、前記下枠壁部の屋内側に離れた位置に配置され断面がL字状のアングル部と、を有し、
前記下枠壁部の高さは、前記アングル部の上面の高さと同一の高さに形成され、
前記縦枠は、第1縦枠と、前記第1縦枠に組み合わされて接続される第2縦枠と、を有し、
前記第1縦枠は、金属材料により形成され、
前記第2縦枠は、樹脂材料により形成され、
前記第2縦枠には、前記縦枠側当て面が形成されており、
前記第2縦枠の下端は、水平方向に延びる一直線状に形成され、前記下枠壁部の上端と前記アングル部の上面とに跨って配置される、建具。
【請求項2】
前記縦枠は、第1縦枠と、前記第1縦枠に組み合わされて接続される第2縦枠と、を有し、
前記第1縦枠は、金属材料により形成され、
前記第2縦枠は、樹脂材料により形成され、
前記第2縦枠は、前記縦枠側当て面が形成された上下方向に延びる第2縦枠壁部を有し、
前記第1縦枠は、前記第2縦枠壁部における前記縦枠側当て面と反対側の面に沿って配置される第1縦枠壁部を有し、
前記第1縦枠壁部が前記第2縦枠壁部における前記縦枠側当て面と反対側の面との間に隙間を有して配置されることで、前記第2縦枠壁部と前記第1縦枠壁部との間に空間が形成される、請求項
1に記載の建具。
【請求項3】
前記縦枠は、第1縦枠と、前記第1縦枠に組み合わされて接続される第2縦枠と、を有し、
前記第2縦枠は、前記縦枠側当て面が形成された上下方向に延びる第2縦枠壁部を有し、
前記第1縦枠は、前記第2縦枠壁部における前記縦枠側当て面と反対側の面に配置される第1縦枠壁部を有し、
前記下枠は、前記下枠側当て面が形成され上下方向に延びる下枠壁部を有し、
前記第2縦枠壁部と前記下枠壁部とが上下に連続して並ぶことで、前記縦枠側当て面と前記下枠側当て面とが同一平面上に配置され、
前記第1縦枠壁部は、前記第2縦枠壁部における前記縦枠側当て面と反対側の面及び前記下枠壁部における前記下枠側当て面と反対側の面とに跨って上下方向に延びる、請求項1
又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記障子は、前記枠体内の下方に配置され上下方向に移動可能な下障子である、請求項1~
3のいずれかに記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、縦枠及び下枠を有する枠体を備える建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体と、枠体内を上下方向に移動可能な下障子と、を備える上げ下げ窓(建具)が知られている(例えば、特許文献1参照)。上げ下げ窓は、枠体と下障子との間に気密材が配置されることで気密性能が確保されている。気密材の当て面が同一平面上に配置される場合には、枠体と下障子との気密性能を確保しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
下枠と縦枠とを組み合わせて接続する場合に、気密性能を確保するために、気密材を配置する部分に段差が形成される場合には、別部材を取り付けることで、気密材の当て面を同一平面上に形成することがある。しかし、気密部材の当て面を同一平面上に形成するために、別部材を取り付けることは、別部材を準備する必要があるため。製造コストが余分にかかる。
【0005】
本開示は、縦枠及び下枠を有する枠体において、下枠と縦枠とを組み合わせる場合に、別部品を取り付けることなく、気密性能を確保できる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、縦枠側当て面が形成された縦枠及び下枠側当て面が形成された下枠を有する枠体と、前記枠体内に配置され框体を有する障子と、前記框体に設けられ、前記縦枠側当て面及び前記下枠側当て面に当接する気密材と、を備え、前記縦枠側当て面と前記下枠側当て面とは、同一平面上に配置される、建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る上げ下げ窓を屋内側から見た正面図である。
【
図2】本実施形態に係る上げ下げ窓を屋外側から見た正面図である。
【
図3】本実施形態に係る上げ下げ窓の縦断面図である。
【
図4】本実施形態に係る上げ下げ窓の上障子が配置される部分の横断面図である。
【
図5】本実施形態に係る上げ下げ窓の下障子が配置される部分の横断面図である。
【
図6】下枠と縦枠との接続状態を屋外側の斜め方向から見た斜視図である。
【
図7】
図6において下枠から縦枠を外した状態を示す図である。
【
図8】下枠と縦枠との接続状態を屋内側の斜め方向から見た斜視図である。
【
図9】
図8において下枠から縦枠を外した状態を示す図である。
【
図10】下枠と縦枠との接続状態を建具の左右方向の内側から見た図である。
【
図11】バランサー装置が配置された縦枠を屋外側の斜め方向から見た斜視図である。
【
図12】バランサー装置が配置された縦枠を屋内側の斜め方向から見た斜視図である。
【
図13】バランサー及びバランサーカバーを縦枠から取り外した斜視図である。
【
図14】バランサーカバーを縦枠から取り外した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。本明細書において、「見付方向」とは、建物の壁に形成された開口部に納められた上げ下げ窓1におけるガラスパネルの面方向を意味し、「見込方向」とは、上記ガラスパネルの厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。図面において、屋内側を「INSIDE」と記載し、屋外側を「OUTSIDE」と記載する。
【0009】
本実施形態の建具としての上げ下げ窓1は、図示しない建物の壁に形成された開口部に納められる。
図1~
図5に示すように、上げ下げ窓1は、建物の開口部に取り付けられる枠体2と、枠体2内の上方に配置された上障子3と、枠体2内の下方に配置され枠体2内を上下方向に移動可能に納められた下障子4と、を備える。
【0010】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の上げ下げ窓1は、上障子3が枠体2内の上部に固定されており、下障子4が枠体2内を上下方向に移動可能に構成される。上げ下げ窓1は、閉鎖時に下障子4が上障子3の下方に配置される。枠体2は、
図1~
図5に示すように、上枠21と、下枠22と、左右の縦枠23,24と、により矩形に枠組みされて形成される。
【0011】
上枠21は、
図3に示すように、屋外側に配置される金属屋外側上枠211と、ブリッジ材212と、金属屋外側上枠211の屋内側にブリッジ材212を挟んで配置される金属屋内側上枠213と、金属屋外側上枠211の屋内側の部分及び金属屋内側上枠213の下方においてこれらに跨って配置される樹脂上枠214と、を含んで構成される。金属屋外側上枠211及び金属屋内側上枠213は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成される。樹脂上枠214は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料により形成される。
【0012】
金属屋外側上枠211は、下方に開放する枠部分を有して形成される。金属屋外側上枠211は、上枠21の見込方向の中央寄りの部分から下方に延出する金属上枠下方延出部211a(枠体側当て部)を有する。金属上枠下方延出部211aは、上枠21の見込方向の中央寄りに配置される。本実施形態においては、上枠21の見込方向の中央寄りとは、上枠21の見込方向の中央を含んだ部分であり、上枠21の見込方向の中央と端部(屋内側の端部又は屋外側の他端部)とを比較して、上枠21の見込方向の端部よりも中央寄りを意味する。金属上枠下方延出部211aの屋外側の面211b(第2当て面、第2枠側当て面)は、屋外側を向く面であり、上障子3の上框31の樹脂上框312の屋内側の面に取り付けられた気密材312a(第2気密材)が当たる当て面を構成する。
【0013】
ブリッジ材212は、金属屋外側上枠211と金属屋内側上枠213との間に配置される。ブリッジ材212は、断熱性を有する材料により形成される。樹脂上枠214は、中空部214aを有して構成され、金属屋外側上枠211の屋内側の部分及び金属屋内側上枠213の下方において、金属屋外側上枠211及び金属屋内側上枠213に跨って取り付けられる。
【0014】
下枠22は、
図3、
図6~10に示すように、屋外側に配置される金属屋外側下枠221と、ブリッジ材222と、金属屋外側下枠221の屋内側にブリッジ材222を挟んで配置される金属屋内側下枠223と、金属屋内側下枠223の上方に配置される樹脂下枠224と、を含んで構成される。金属屋外側下枠221及び金属屋内側下枠223は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成される。樹脂下枠224は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料により形成される。
【0015】
金属屋外側下枠221は、
図3、
図6~10に示すように、中空部221aを有して形成される。金属屋外側下枠221は、下枠22の見込方向の中央寄りの部分から上方に延出して上下方向に延びる金属下枠上方延出部221b(枠体側当て部、下枠壁部)を有する。金属下枠上方延出部221bは、下枠22の見込方向の中央寄りに配置される。本実施形態においては、下枠22の見込方向の中央寄りとは、下枠22の見込方向の中央を含んだ部分であり、下枠22の見込方向の中央と端部(屋内側の端部又は屋外側の他端部)とを比較して、下枠22の見込方向の端部よりも中央寄りを意味する。金属下枠上方延出部221bの屋内側の面221c(第1当て面、下枠側当て面)は、屋内側を向く面であり、下障子4の下框42の金属下框421の屋外側の面に取り付けられた気密材421b(第1気密材)が当たる当て面を構成する。
【0016】
ブリッジ材222は、金属屋外側下枠221と金属屋内側下枠223との間に配置される。ブリッジ材222は、断熱性を有する材料により形成される。樹脂下枠224は、金属屋内側下枠223の上方に取り付けられる。樹脂下枠224は、樹脂下枠アングル部224a(アングル部)を有する。
【0017】
樹脂下枠アングル部224aは、
図6~
図10に示すように、下枠22の屋内側の端部に配置される。樹脂下枠アングル部224aは、縦方向に切断した場合の断面形状が、屋内側及び下側が開放するL字状に形成される。樹脂下枠アングル部224aは、下枠22の見込方向において、金属屋外側下枠221の金属下枠上方延出部221bが配置された位置から、屋内側に離れた位置に配置される。樹脂下枠アングル部224aの上面224bの高さは、金属屋外側下枠221の金属下枠上方延出部221bの上端221eの高さと同一の高さである。
【0018】
左右の縦枠23,24は、左右対称の形状に形成され、
図4~
図10に示すように、屋外側に配置される金属縦枠231,241(第1縦枠)と、金属縦枠231,241の屋内側の見込方向の左右方向の内側に配置される樹脂縦枠232,242(第2縦枠)と、を含んで構成される。金属縦枠231,241と樹脂縦枠232,242とは、組み合わされて接続される。金属縦枠231,241は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成される。樹脂縦枠232,242は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料により形成される。
【0019】
本実施形態において、
図7~
図10では、左右の縦枠23,24のうち、縦枠24のみの斜視図を図示しており、縦枠23の斜視図の図示を省略している。
図7~
図10に対応する縦枠23の斜視図については、
図7~
図10の縦枠24の斜視図を左右対称とした図において、縦枠24の符号に代えて縦枠23に対応した符号を用いた図を援用できる。
【0020】
金属縦枠231,241は、
図4~
図10に示すように、見付方向の左右方向の内側に開放する枠状に形成される。金属縦枠231,241は、縦枠23,24の見込方向の中央寄りの部分から見付方向の左右方向の内側に延出する金属縦枠内方延出部231a,241a(枠体側当て部、第1縦枠壁部)を有する。金属縦枠内方延出部231a,241aは、縦枠23,24の見込方向の中央寄りに配置される。本実施形態においては、縦枠23,24の見込方向の中央寄りとは、縦枠23,24の見込方向の中央を含んだ部分であり、縦枠23,24の見込方向の中央と端部(屋内側の端部又は屋外側の他端部)とを比較して、縦枠23,24の見込方向の端部よりも中央寄りを意味する。
【0021】
金属縦枠内方延出部231a,241aの屋外側の面231b,241b(第2当て面)は、屋外側を向く面であり、上障子3の左右の縦框33,34の屋内側の面に取り付けられた気密材331a,341a(第2気密材)が当たる当て面を構成する。
【0022】
金属縦枠内方延出部231a,241aは、樹脂縦枠232,242の樹脂縦枠内方延出部233a,243a(後述)の屋外側の面233c,243c(屋内側の面233b,243bと反対側の面)に沿って配置され、樹脂縦枠232,242の樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋外側の面233c,243cに対向する。金属縦枠内方延出部231a,241aは、
図6~
図10に示すように、樹脂縦枠232,242の樹脂縦枠内方延出部233a,243a(後述)の屋外側の面233c,243c(屋内側の面233b,243bと反対側の面)と下枠22の金属下枠上方延出部221bの屋外側の面221d(屋内側の面221cと反対側の面)とに跨って上下方向に延びる。
【0023】
樹脂縦枠232,242の下端243eは、
図6~
図10に示すように、水平方向に延びる一直線状に形成される。樹脂縦枠232,242は、
図4及び
図5に示すように、樹脂縦枠本体233,243と、樹脂縦枠補助部材234,244と、を有する。樹脂縦枠本体233,243は、金属縦枠231,241の屋内側に取り付けられる。樹脂縦枠補助部材234,244は、
図4及び
図5に示すように、見込方向に延びて形成され、樹脂縦枠本体233,243の枠の開放した部分の一部を塞ぐように取り付けられる。
【0024】
樹脂縦枠本体233,243は、
図4~
図10に示すように、樹脂縦枠内方延出部233a,243a(枠体側当て部、第2縦枠壁部)と、樹脂縦枠アングル部233d,243dと、を有する。
【0025】
樹脂縦枠内方延出部233a,243aは、樹脂縦枠本体233,243の屋外側の端部から見付方向の左右方向の内側に延出する。樹脂縦枠本体233,243の屋外側の端部は、縦枠23,24の見込方向の中央寄りに配置されている。樹脂縦枠内方延出部233a,243aは、上下方向に延びて形成され、金属縦枠231,241の金属縦枠内方延出部231a,241aの屋内側に沿って配置される。
【0026】
樹脂縦枠内方延出部233a,243aは、縦枠23,24全体の見込方向の中央寄りに配置される。本実施形態においては、縦枠23,24の見込方向の中央寄りとは、縦枠23,24の見込方向の中央を含んだ部分であり、縦枠23,24の見込方向の中央と端部(屋内側の端部又は屋外側の他端部)とを比較して、縦枠23,24の見込方向の端部よりも中央寄りを意味する。樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋内側の面233b,243b(第1当て面、枠側当て面、縦枠側当て面、第1縦枠側当て面)は、
図5に示すように、屋内側を向く面であり、下障子4の左右の縦框43,44の金属縦框431,441の屋外側の面に取り付けられた気密材431a,441a(第1気密材)が当たる当て面を構成する。
【0027】
図6~
図10に示すように、縦枠23,24が下枠22に接続された場合に、縦枠23,24の樹脂縦枠内方延出部233a,243aと下枠22の金属屋外側下枠221の上下方向に延びる金属下枠上方延出部221bとが、上下に連続して並ぶことで、縦枠23,24の樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋内側の面233b,243bと下枠22の金属下枠上方延出部221bの屋内側の面221cとは、同一平面上に配置されて面一に形成される。
【0028】
縦枠23,24が下枠22に接続された場合に、水平方向に一直線状に延びる樹脂縦枠232,242の下端243eは、下枠22の金属下枠上方延出部221bの上端221eと樹脂下枠アングル部224aの上面224bとに跨って配置されている。
【0029】
金属縦枠内方延出部231a,241aが、樹脂縦枠232,242の樹脂縦枠内方延出部233a,243a(後述)の屋外側の面233c,243c(屋内側の面233b,243bと反対側の面)との間に隙間を有して配置されることで、樹脂縦枠内方延出部233a,243aと金属縦枠内方延出部231a,241a(第1縦枠壁部)との間に断熱空間S(空間)が形成される。
【0030】
図4及び
図5に示すように、金属縦枠内方延出部231a,241aの屋内側の面には、左右方向に離間して配置される一対の金属側爪部231k,241kが形成される。樹脂縦枠内方延出部233a,243a(後述)の屋外側の面233c,243cには、左右方向に離間して配置される一対の樹脂側爪部233k,243kが形成される。一対の金属側爪部231k,241kと一対の樹脂側爪部233k,243kとが係合することで、樹脂縦枠内方延出部233a,243aと金属縦枠内方延出部231a,241a(第1縦枠壁部)との間には、周囲が囲まれた断熱空間Sが形成される。この断熱空間Sは、金属縦枠内方延出部231a,241aが屋外側の面231b,241bの内周側端部から樹脂縦枠内方延出部233a,243aの内周側端部に連続して形成されているが、これに限定されない。樹脂縦枠内方延出部233a,243aの内周側端部から屋外側の面231b,241bの内周側端部に連続して断熱空間Sが形成されてもよい。断熱空間Sは、縦枠23,24を横方向に切断した場合に、断面形状が、左右方向に延びる長方形状に形成される。
【0031】
左右の縦枠23、24の上部には、
図1に示すように、バランサー511及びバランサーカバー52を有するバランサー装置51が設けられている。バランサー装置51の詳細については後述する。
【0032】
図1~
図4に示すように、上障子3は、框体30と、框体30に嵌め込まれて固定されたガラスパネル35と、を備える。框体30は、上框31と、下框32と、左右の縦框33,34と、により矩形に框組みされる。
【0033】
上框31は、
図3に示すように、金属上框311と、金属上框311の屋内側に配置される樹脂上框312と、を含んで構成される。金属上框311及び金属下框321は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成される。樹脂上框312及び樹脂下框322は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料により形成される。
【0034】
金属上框311は、屋外側の端部から下方に延出した金属上框下方延出部311aを有する。樹脂上框312は、金属上框311の屋内側に係合される。上框31は、下方に開放して形成される溝31aを有し、グレイジングチャンネル31bを介してガラスパネル35の上端縁を挟持する。
【0035】
樹脂上框312の屋内側の面には、気密材312a(第2気密材)が取り付けられる。樹脂上框312に取り付けられた気密材312aは、上枠21の金属上枠下方延出部211aの屋外側の面211bに当接される。気密材312aとしては、例えば、パッキンや短手方向の途中に長手方向に連続するにゴムヒレが設けられたモヘアが用いられる。
【0036】
下框32は、
図3に示すように、金属下框321と、金属下框321の屋内側に配置される樹脂下框322と、を含んで構成される。金属下框321は、屋外側の端部から上方に延出した金属下框上方延出部321aを有する。樹脂下框322は、金属下框321の屋内側に係合される。下框32は、上方に開放して形成される溝32aを有し、グレイジングチャンネル32bを介してガラスパネル35の下端縁を挟持する。
【0037】
樹脂下框322の屋内側の面には、気密材322a(第3気密材)が取り付けられる。樹脂下框322に取り付けられた気密材322aは、下障子4が閉位置に位置する場合に、下障子4の上框41の金属上框411の金属上框下方延出部411aの屋外側の面に当接される。下障子4が閉位置に位置する場合に、気密材322aは、上障子3と下障子4との間に配置される。気密材322aとしては、例えば、パッキンが用いられる。下障子4の上下方向への移動の摺動性を確保するため、気密材322aとして、例えば短手方向の途中に長手方向に連続するにゴムヒレが設けられたモヘアを用いてもよい。
【0038】
図4に示すように、左右の縦框33,34は、金属縦框331,341と、金属縦框331,341の屋内側に配置される樹脂縦框332,342と、を含んで構成される。金属縦框331,341は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成される。樹脂縦框332,342は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料により形成される。
【0039】
縦框33,34は、見付方向の左右方向の内側に開放して形成される溝33a,34aを有し、グレイジングチャンネル33b,34bを介してガラスパネル35の側端縁を挟持する。金属縦框331,341の屋内側の面には、気密材331a,341a(第2気密材)が取り付けられる。金属縦框331,341の屋内側の面に取り付けられた気密材331a,341aは、左右の縦枠23,24の金属縦枠内方延出部231a,241aの屋外側の面231b,241bに当接される。気密材331a,341aとしては、例えば、パッキンが用いられる。
【0040】
図3及び
図4に示すように、ガラスパネル35は、屋内側の板ガラス351と、屋外側の板ガラス352と、これら2枚の板ガラス351,352の間に配置された中間板ガラス353と、これら3枚の板ガラス351,352,353で挟持されたスペーサ354と、を備える複層ガラスであり、優れた断熱性を有する。
【0041】
図1~
図3及び
図5に示すように、下障子4は、框体40と、框体40に嵌め込まれて固定されたガラスパネル45と、を備える。框体40は、上框41と、下框42と、左右の縦框43,44と、により矩形に框組みされる。
【0042】
上框41は、
図3に示すように、金属上框411と、金属上框411の屋内側に配置される樹脂上框412と、を含んで構成される。金属上框411及び金属下框421は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成される。樹脂上框412及び樹脂下框422は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料により形成される。
【0043】
金属上框411は、屋外側の端部から下方に延出した金属上框下方延出部411aを有する。金属上框411の屋外側の面には、気密材411b(第3気密材)が取り付けられる。金属上框411の屋外側の面に取り付けられた気密材411bは、下障子4が閉位置に位置する場合に、上障子3の下框32の屋内側の端部から上方に延出した金属下框上方延出部321aに当接される。気密材411bとしては、例えば、パッキンが用いられる。下障子4の上下方向への移動の摺動性を確保するため、気密材411bとして、例えば短手方向の途中に長手方向に連続するにゴムヒレが設けられたモヘアを用いてもよい。下障子4が閉位置に位置する場合に、気密材411bは、上障子3と下障子4との間に配置される。樹脂上框412は、金属上框411の上方側に係合される。上框41は、下方に開放して形成される溝41aを有し、グレイジングチャンネル41bを介してガラスパネル45の上端縁を挟持する。
【0044】
上框41には、
図3に示すように、下障子6を閉鎖状態に固定するためのスライドロック46が設けられる。
【0045】
下框42は、
図3に示すように、金属下框421と、金属下框421の屋内側に配置される樹脂下框422と、を含んで構成される。金属下框421は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成される。樹脂下框422は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料により形成される。
【0046】
金属下框421は、屋外側の端部から上方に延出した金属下框上方延出部421aを有する。金属下框421の屋外側の面には、気密材421b(第1気密材)が取り付けられる。金属下框421の屋外側の面に取り付けられた気密材421bは、下枠22の金属下枠上方延出部221bの屋内側の面221cに当接される。気密材421bとしては、例えば、パッキンが用いられる。下障子4の上下方向への移動の摺動性を確保するため、気密材421bとして、例えば短手方向の途中に長手方向に連続するにゴムヒレが設けられたモヘアを用いてもよい。
【0047】
樹脂下框422は、金属下框421の屋内側に係合される。樹脂下框422は、上端から屋内側に延出する屋内側延出部422aを有する。屋内側延出部422aは、下障子4を上げ下げする場合に人の手を引っ掛けることができる引っ掛け部を構成する。下框42は、下方に開放して形成される溝42aを有し、グレイジングチャンネル42bを介してガラスパネル45の下端縁を挟持する。
【0048】
図5に示すように、左右の縦框43,44は、金属縦框431,441と、金属縦框431,441の屋内側に配置される樹脂縦框432,442と、を含んで構成される。金属縦框431,341は、例えばアルミニウム等の金属材料により形成される。樹脂縦框432,442は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料により形成される。
【0049】
金属縦框431,441の屋外側の面には、気密材431a,441a(第1気密材)が取り付けられる。金属縦框431,441の屋外側の面に取り付けられた気密材431a,441aは、樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋内側の面233b,243bに当接される。気密材431a,441aとしては、例えば、パッキンが用いられる。下障子4の上下方向への移動の摺動性を確保するため、気密材431a,441aとして、例えば短手方向の途中に長手方向に連続するにゴムヒレが設けられたモヘアを用いてもよい。縦框43,44は、見付方向の左右方向の内側に開放して形成される溝43a,44aを有し、グレイジングチャンネル43b,44bを介してガラスパネル45の側端縁を挟持する。
【0050】
下障子4の下部には、
図3に示すように、ワイヤー係止部47が設けられている。ワイヤー係止部47は、バランサー装置51(
図1参照)から延びるワイヤー512の端部が係止されている。
【0051】
図5に示すように、ガラスパネル45は、屋内側の板ガラス451と、屋外側の板ガラス452と、これら2枚の板ガラス451,452の間に配置された中間板ガラス453と、これら3枚の板ガラス451,452,453で挟持されたスペーサ454と、を備える複層ガラスであり、優れた断熱性を有する。
【0052】
次に、バランサー装置51について説明する。本実施形態において、
図13及び
図14では、左右の縦枠23,24のうち、縦枠24にバランサー装置51を配置した図のみ図示しており、縦枠23にバランサー装置51を配置した図は図示を省略している。縦枠23にバランサー装置51を配置した図については、
図13及び
図14の縦枠24にバランサー装置51を配置した図を左右対称とした図において、縦枠24の符号に代えて縦枠23に対応した符号を用いた図を援用できる。
【0053】
図11~
図14に示すように、バランサー装置51は、外形が直方体形状に形成されるバランサー511と、ワイヤー512と、バランサーカバー52と、を備える。バランサー511は、ワイヤー512を巻き上げ方向に付勢する巻き上げばね(図示省略)と、ワイヤー512を巻き取るドラム(図示省略)と、を有するドラム式のバランサーである。
【0054】
バランサー511は、
図13に示すように、左右の縦枠23、24内の上部において、縦枠23、24の上方側に形成されるバランサー配置部56内に配置されている。バランサーカバー52は、バランサー511を覆うように配置される。
【0055】
ワイヤー512の一端部は、バランサー511の内部に取り付けられ、ワイヤー512の他端部は、下障子4の下框32の下部のワイヤー係止部47(
図3参照)に係止されている。バランサー511は、ワイヤー512を介して下障子4に接続される。バランサー511は、ワイヤー512を巻き上げ方向に付勢する巻き上げばねにより、下障子4の荷重とのバランスを取って、任意の高さ位置で下障子4を静止させて保持する。
【0056】
ここで、本実施形態のドラム式のバランサーとは異なるスパイラル式のバランサーがある。スパイラル式のバランサーは、ドラムを有さずにスパイラルバネを有しており、スパイラルバネにより障子を吊り下げるため、ドラム式のバランサーに比べて、耐荷重が小さく、外形も小さい。一方、ドラム式のバランサーは、重量が重い障子を吊り下げ可能なドラムを有しており、スパイラル式のバランサーに比べて、耐荷重が大きく、外形も大きい。本実施形態においては、バランサー511として、下障子4の荷重を考慮して、耐荷重が大きいドラム式のバランサーを採用している。
【0057】
本実施形態のバランサー511は、ドラム式のバランサーであるため、外形が大きい。そのため、縦枠23,24を加工しない状態では、縦枠23,24の金属縦枠231,241の上下方向に延びる金属縦枠内方延出部231a,241a及び樹脂縦枠232,242が邪魔となり、縦枠23,24の内部の上部に、バランサー511を配置するスペースを確保できない。
【0058】
これに対して、本実施形態においては、縦枠23,24において、金属縦枠231,241の上下方向に延びる金属縦枠内方延出部231a,241aの上端側の部分と、上下方向に延びる樹脂縦枠232,242の上端側の部分とを、バランサー511の上下方向の長さの分だけ切り欠くことで、縦枠23,24内の上部において、バランサー配置部56を形成した。
【0059】
バランサー配置部56には、バランサー511が配置される。バランサー配置部56に配置されバランサー511には、バランサーカバー52(当て面別部材)が取り付けられる。バランサーカバー52は、縦枠23,24とは別部材で構成されており、縦枠23,24に取り付けられている。
【0060】
バランサー511は、外形が直方体形状に形成される。バランサー511は、上げ下げ窓1の見付方向の左右方向において所定の厚さを有すると共に上げ下げ窓1の見込方向において所定の幅を有し、上下方向に所定長さ延びる。バランサー511の左右方向の厚さは、左右方向において縦枠23,24の幅よりも小さい。バランサー511の見込方向の幅は、縦枠23,24の見込方向の全体の長さよりも短く、縦枠23,24の見込方向の長さの半分の長さよりも長い。
【0061】
バランサーカバー52は、縦枠23、24とは別部材で構成される。
図13及び
図14に示すように、バランサーカバー52は、横方向に切断した場合の断面がL字状に形成される板状のカバー本体53と、当て面突出延在部54(当て部)と、を有する。バランサーカバー52は、例えば、樹脂材料により形成される。バランサーカバー52は、縦枠23,24内の上部において、金属縦枠231,241の金属縦枠内方延出部231a,241aの上端、及び、樹脂縦枠232,242の上端の上方に配置される。
【0062】
カバー本体53は、見込方向に幅を有して上下方向に延びる板状の内側平面カバー531と、内側平面カバー531の屋外側の端部から左右方向の外側に延びる板状の側面カバー532と、内側平面カバー531の上端に配置される板状の上端カバー533と、内側平面カバー531の下端に配置される板状の下端カバー534と、下端カバー534から側方に延出する固定板部535と、を有する。バランサーカバー52は、固定板部535において、縦枠23,24に固定される。
【0063】
当て面突出延在部54は、見込方向に幅を有して形成され、上げ下げ窓1の見付方向の左右方向の内側の面から、上げ下げ窓1の見付方向の左右方向の内側に突出する。当て面突出延在部54は、上下方向に延びる。当て面突出延在部54は、横方向に切断した断面が長方形状に形成された中空部を有するホロー構造により形成される。
【0064】
当て面突出延在部54は、
図11及び
図12に示すように、縦枠23,24にバランサーカバー52が取り付けられた状態において、縦枠23,24の見込方向の中央寄りに配置される。当て面突出延在部54は、縦枠23,24の見込方向の中央寄りの部分から見付方向の左右方向の内側に延出する。本実施形態においては、縦枠23,24の見込方向の中央寄りとは、縦枠23,24の見込方向の中央を含んだ部分であり、縦枠23,24の見込方向の中央と端部(屋内側の端部又は屋外側の他端部)とを比較して、縦枠23,24の見込方向の端部よりも中央寄りを意味する。
【0065】
当て面突出延在部54は、
図11及び
図12に示すように、屋外側に形成される屋外側当て面541(別部材側当て面)と、屋内側に形成される屋内側当て面542(別部材側当て面)と、を有する。屋外側当て面541は、左右の縦枠23,24の金属縦枠231,241の金属縦枠内方延出部231a,241aの屋外側の面231b,241b(縦枠側当て面)と並んで連続して配置され、同一平面上に位置するように配置されて面一に形成される。屋外側当て面541には、上障子3の縦框33,34に設けられた気密材331a,341a(
図4参照)が当接される。
【0066】
屋内側当て面542は、左右の縦枠23,24の樹脂縦枠232,242の樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋内側の面233b,243b(縦枠側当て面)と並んで連続して配置され、同一平面上に位置するように配置されて面一に形成される。屋内側当て面542には、下障子4が上方側に移動される場合に、下障子4の縦框43,44に設けられた気密材431a,441a(
図5参照)が当接可能である。
【0067】
バランサー511及びバランサーカバー52の周囲には、
図13に示すように、気密材55が配置されている。気密材55は、見付方向におけるバランサーカバー52の当て面突出延在部54に対応する位置においてバランサー511の外周面を一周して配置される周回気密シート551と、バランサーカバー52の当て面突出延在部54の上端と上枠21の樹脂上枠214の下面との間に配置される上端気密シート552と、バランサーカバー52の当て面突出延在部54の下端と縦枠23,24の金属縦枠231,241の金属縦枠内方延出部231a,241aの上端面との間に配置される下端気密シート553と、を有する。これにより、見込方向において、当て面突出延在部54が配置される位置において、気密ラインを確保することで、気密性能を確保することができる。
【0068】
本実施形態の上げ下げ窓1は、第1当て面(金属下枠上方延出部の屋内側の面221c、樹脂縦枠内方延出部の屋内側の面233b,243b)を有する枠体2と、枠体2内の下方に配置され、枠体2内を上下方向に移動可能に構成され、上框41、下框42及び一対の縦框43,44を有する下障子4と、下障子4の下框42の屋外側及び下障子4の一対の縦框43,44の屋外側に設けられ、第1当て面(金属下枠上方延出部の屋内側の面221c、樹脂縦枠内方延出部の屋内側の面233b,243b)に当接される気密材421b、431a,441aと、を備える。
【0069】
これにより、枠体2の屋外側又は屋内側の長さを調整して枠体2に第1当て面(金属下枠上方延出部の屋内側の面221c、樹脂縦枠内方延出部の屋内側の面233b,243b)を形成できるため、下障子4の見込方向の大きさが異なる場合においても、枠体2の基本的な構造を共通化できる。よって、枠体2と下障子4との気密性能を確保しつつ、枠体2は、見込方向の大きさが異なる下障子4に対応できる。
【0070】
下障子4の見込方向の大きさが異なる場合においても、枠体2の基本的な構造を変更せずに、枠体2の屋外側又は屋内側の長さを調整することで、見込方向の大きさが異なる下障子4に対応できる枠体2とすることができる。これにより、枠体2の基本的な形状を変更することなく、見込方向において屋内側や屋外側の長さを調整するだけで、枠体2は、基本的な構造を変更せずに、下障子4の見込方向の大小に対応できる。
【0071】
枠体2の屋外側又は屋内側の長さを下障子4の見込方向の複数の大きさに対応できる最大の長さに形成しておくことで、下障子4の見込方向の大きさが異なる場合においても、現場で対応できる。例えば、ガラスパネルがペアガラスの場合とトリプルガラスの場合とにおいて、下障子4の見込方向の大きさが異なるが、現場において、例えば、ペアガラスのガラスパネルを用いた下障子4を、トリプルガラスのガラスパネルを用いた下障子4に入れ替えることができる。
【0072】
下障子4に気密材421b、431a,441aを設けることで、下障子4に設けた気密材421b、431a,441aを枠体2の第1当て面(金属下枠上方延出部の屋内側の面221c、樹脂縦枠内方延出部の屋内側の面233b,243b)に当てるだけで、安定した気密性能を得られることができ、断熱性能を向上させることができる。
【0073】
本実施形態においては、枠体2は、第2当て面(金属上枠下方延出部の屋外側の面211b、金属縦枠内方延出部の屋外側の面231b,241b)を有し、枠体2内の上方に配置され、上框31、下框32及び一対の縦框33,34を有する上障子3と、上障子3の上框31及び上障子3の一対の縦框33,34に設けられ、第2当て面(金属上枠下方延出部の屋外側の面211b、金属縦枠内方延出部の屋外側の面231b,241b)に当接される気密材312a、331a、341aと、を更に備える。
【0074】
これにより、枠体2の屋外側又は屋内側の長さを調整して枠体2に第2当て面(金属上枠下方延出部の屋外側の面211b、金属縦枠内方延出部の屋外側の面231b,241b)を形成し面一に形成されているため、上障子3の見込方向の大きさが異なる場合においても、枠体2の基本的な構造を共通化できる。よって、枠体2と上障子3との気密性能を確保しつつ、枠体2は、見込方向の大きさが異なる上障子3に対応できる。
【0075】
上障子3の見込方向の大きさが異なる場合においても、枠体2の基本的な構造を変更せずに、枠体2の屋外側又は屋内側の長さを調整することで、見込方向の大きさが異なる上障子3に対応できる枠体2とすることができる。これにより、枠体2の基本的な形状を変更することなく、見込方向において屋内側や屋外側の長さを調整するだけで、枠体2は、基本的な構造を変更せずに、上障子3の見込方向の大小に対応できる。
【0076】
枠体2の屋外側又は屋内側の長さを上障子3の見込方向の複数の大きさに対応できる最大の長さに形成しておくことで、上障子3の見込方向の大きさが異なる場合においても、現場で対応できる。例えば、ガラスパネルがペアガラスの場合とトリプルガラスの場合とにおいて、上障子3の見込方向の大きさが異なるが、現場において、例えば、ペアガラスのガラスパネルを用いた上障子3を、トリプルガラスのガラスパネルを用いた上障子3に入れ替えることができる。
【0077】
上障子3に気密材312a、331a、341aを設けることで、上障子3に設けた気密材312a、331a、341aを枠体2の第2当て面(金属上枠下方延出部の屋外側の面211b、金属縦枠内方延出部の屋外側の面231b,241b)に当てるだけで、安定した気密性能を得られることができ、断熱性能を向上させることができる。
【0078】
本実施形態においては、上障子3の下框32の屋内側及び下障子4の上框41の屋外側の少なくともいずれかに設けられ、下障子4が閉位置に位置する場合に、上障子3と下障子4との間に配置される気密材322a、411bと、を更に備える。これにより、上障子3の下框32との間において気密性を確保できる。
【0079】
本実施形態においては、枠体2は、枠体2の見込方向の中央寄りに配置される枠体側当て部(金属下枠上方延出部221b、樹脂縦枠内方延出部233a,243a、金属上枠下方延出部211a、金属縦枠内方延出部231a,241a)を有し、第1当て面(金属下枠上方延出部の屋内側の面221c、樹脂縦枠内方延出部の屋内側の面233b,243b)は、枠体側当て部(金属下枠上方延出部221b、樹脂縦枠内方延出部233a,243a)における屋内側の面であり、第2当て面(金属上枠下方延出部の屋外側の面211b、金属縦枠内方延出部の屋外側の面231b,241b)は、枠体側当て部(金属上枠下方延出部211a、金属縦枠内方延出部231a,241a)における屋外側の面である。
【0080】
そのため、枠体2の見込方向の中央寄りに配置される枠体側当て部(金属下枠上方延出部221b、樹脂縦枠内方延出部233a,243a、金属上枠下方延出部211a、金属縦枠内方延出部231a,241a)を挟んで、第1当て面及び第2当て面を形成することができる。これにより、枠体2の見込方向の中央寄りに配置される枠体側当て部(金属下枠上方延出部221b、樹脂縦枠内方延出部233a,243a、金属上枠下方延出部211a、金属縦枠内方延出部231a,241a)を挟んで、屋内側に下障子4すると共に、屋外側に上障子3を配置できる。よって、下障子4又は上障子3の見込方向の大きさが異なる場合においても、枠体2の基本的な構造を変更せずに、枠体2の屋外側又は屋内側の長さを調整することで、見込方向の大きさが異なる下障子4又は上障子3に対応できる枠体2とすることができる。従って、枠体2の屋内側及び屋外側の長さの調整を行い易く、下障子4又は上障子3の見込方向の大小に容易に対応できる。
【0081】
本実施形態の上げ下げ窓1は、金属縦枠内方延出部231a,241aの屋外側の面231b,241bが形成された縦枠23,24を有する枠体2と、枠体2内に配置され、縦框33、34を有する上障子3と、縦枠23,24とは別部材で構成され、縦枠23,24内に配置され、金属縦枠内方延出部231a,241aの屋外側の面231b,241bに並んで連続して配置される屋外側当て面541を有するバランサーカバー52と、縦框33,34に設けられ、金属縦枠内方延出部231a,241aの屋外側の面231b,241b及び屋外側当て面541に当接可能な気密材331a,341aと、を備え、金属縦枠内方延出部231a,241aの屋外側の面231b,241bと屋外側当て面541とが同一平面上に位置するように配置される。これにより、縦枠23,24の一部が切り欠かれた構成において、気密材331a,341aが当たる当て面を同一平面上に位置させて面一に形成することができるため、枠体2と上障子3の気密性能及び断熱性能を向上させることができる。
【0082】
本実施形態においては、バランサーカバー52は、縦枠23,24の見込方向の中央寄りに配置される当て面突出延在部54を有し、屋外側当て面541は、当て面突出延在部54における屋外側の面である。これにより、縦枠23,24の見込方向の中央寄りにおいて、バランサーカバー52の屋外側の屋外側当て面541に上障子3を当てることで、上障子3の気密性能及び断熱性能を向上させることができる。
【0083】
本実施形態においては、枠体2は、金属縦枠内方延出部の屋外側の面231b,241bが形成された縦枠24と、金属上枠下方延出部の屋外側の面211bが形成された上枠21と、を有し、バランサーカバー52の屋外側当て面541と金属縦枠内方延出部の屋外側の面231b,241bと金属上枠下方延出部の屋外側の面211bとは、同一平面上に位置するように配置されて面一に形成される。これにより、縦枠23,24の一部が切り欠かれた構成において、バランサーカバー52の屋外側当て面541と金属縦枠内方延出部の屋外側の面231b,241bと金属上枠下方延出部の屋外側の面211bとを同一平面上に位置させて面一に形成して、縦框33,34に設けられた気密材331a,341aと同一平面上で気密をとることができため、枠体2と上障子3の気密性能及び断熱性能を一層向上させることができる。
【0084】
本実施形態においては、枠体2内の上方に配置される上障子3と、枠体2内の下方に配置され上下方向に移動可能な下障子4と、を有し、縦枠23,24の上方側に配置され下障子4にワイヤー512を介して接続されるバランサー511と、バランサー511を覆う当て面別部材としてのバランサーカバー52と、を備える。これにより、バランサー511を覆うバランサーカバー52に、屋外側当て面541を形成できる。よって、バランサー511を覆う機能を有しつつ、気密材331a,341aを当てる屋外側当て面541を形成するため気密性能を高めることができる。
【0085】
本実施形態においては、バランサー511は、ドラムを有するドラム式のバランサーである。ドラム式のバランサー511は外形が大きいため、ドラム式のバランサー511を縦枠23,24に配置する場合には、縦枠23,24の一部が切り欠かれた部分に、バランサー511を配置する。縦枠23,24に配置されたバランサー511は、本開示のバランサーカバー52により覆われる。本開示のバランサーカバー52には、気密材331a,341aを当てる屋外側当て面541が形成されているため、縦枠23,24の一部が切り欠かれた構成においても、気密性能を高めることができる。
【0086】
本実施形態の上げ下げ窓1は、樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋内側の面233b,243bが形成された縦枠23,24及び金属下枠上方延出部221bの屋内側の面221cが形成された下枠22を有する枠体2と、枠体2内に配置され框体40を有する下障子4と、框体40に設けられ、樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋内側の面233b,243b及び金属下枠上方延出部221bの屋内側の面221cに当接する気密材431a,441aと、を備え、樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋内側の面233b,243bと金属下枠上方延出部221bの屋内側の面221cとは、同一平面上に配置される。これにより、同一平面上に配置されて面一に形成された樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋内側の面233b,243bと金属下枠上方延出部221bの屋内側の面221cとに、気密材431a,441aを当接させることができるため、安定した気密性能を得ることができ、断熱性能を向上させることができる。
【0087】
本実施形態においては、下枠22は、屋内側の面221cが形成され上下方向に延びる金属下枠上方延出部221bと、金属下枠上方延出部221bの屋外側に離れた位置に配置され断面がL字状の樹脂下枠アングル部224aと、を有し、金属下枠上方延出部221bの高さは、樹脂下枠アングル部224aの上面224bの高さと同一の高さに形成される。これにより、下枠22において、高さを調整する部品を設けることなく、同じ高さで気密性能を確保できる。よって、安定した気密性能を得ることができ、断熱性能を向上させることができる。
【0088】
本実施形態においては、縦枠23,24は、金属縦枠231,241と、金属縦枠231,241に組み合わされて接続される樹脂縦枠232,242と、を有し、金属縦枠231,241は、金属材料により形成され、樹脂縦枠232,242は、樹脂材料により形成され、樹脂縦枠232,242には、金属縦枠内方延出部の屋外側の面231b,241bが形成されており、樹脂縦枠232,242の下端232e,242eは、水平方向に延びる一直線状に形成され、金属下枠上方延出部221bの上端221eと樹脂下枠アングル部224aの上面224bとに跨って配置される。これにより、樹脂縦枠232,242の下端232e,242eが、水平方向に延びる一直線状に形成されるため、追加加工を必要とせずに、樹脂縦枠232,242を簡素化することができる。よって、製造コストを低減できる。
【0089】
本実施形態においては、縦枠23,24は、金属縦枠231,241と、金属縦枠231,241に組み合わされて接続される樹脂縦枠232,242と、を有し、金属縦枠231,241は、金属材料により形成され、樹脂縦枠232,242は、樹脂材料により形成され、樹脂縦枠232,242は、屋内側の面233b,243bが形成された上下方向に延びる樹脂縦枠内方延出部233a,243aを有し、金属縦枠231,241は、樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋外側の面233c,243cに沿って配置される金属縦枠内方延出部231a,241aを有し、金属縦枠内方延出部231a,241aが樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋外側の面233c,243cとの間に隙間を有して配置されることで、樹脂縦枠内方延出部233a,243aと金属縦枠内方延出部231a,241aとの間に断熱空間Sが形成される。これにより、金属縦枠231,241及び樹脂縦枠232,242により構成される縦枠23,24において、断熱空間Sを有することで、金属縦枠231、241を伝わる屋外からの冷気をこの空間で対流させて断熱性能を向上させることができる。
【0090】
本実施形態においては、縦枠23,24は、金属縦枠231,241と、金属縦枠231,241に組み合わされて接続される樹脂縦枠232,242と、を有し、樹脂縦枠232,242は、屋内側の面233b,243bが形成された上下方向に延びる樹脂縦枠内方延出部233a,243aを有し、金属縦枠231,241は、樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋外側の面233c,243cに沿って配置される金属縦枠内方延出部231a,241aを有し、下枠22は、屋内側の面221cが形成され上下方向に延びる金属下枠上方延出部221bを有し、樹脂縦枠内方延出部233a,243aと金属下枠上方延出部221bとが上下に連続して並ぶことで、樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋内側の面233b,243bと金属下枠上方延出部221bの屋内側の面221cとが同一平面上に配置され、金属縦枠内方延出部231a,241aは、樹脂縦枠内方延出部233a,243aの屋外側の面233c,243cと金属下枠上方延出部221bの屋外側の面221dとに跨って上下方向に延びる。これにより、樹脂縦枠内方延出部233a,243aと金属下枠上方延出部221bとのつなぎ目に跨って、金属縦枠内方延出部231a,241aで覆うことにより、断熱性能を向上させることができる。
【0091】
本実施形態においては、障子は、枠体2内の下方に配置され上下方向に移動可能な下障子4である。これにより、上下方向に移行可能な下障子4において、気密性能を向上させることができる。
【0092】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0093】
前記実施形態では、気密材322aを上障子3の下框32に設けると共に、気密材411bを下障子4の上框41に設けた。しかし、これに限定されない。気密材を、上障子3の下框32及び下障子4の上框41のいずれか一方に設けてもよい。
【0094】
例えば、前記実施形態においては、当て面別部材を、上障子3及び下障子4を備えた引違い窓に適用する例について説明したが、これに限定されない。当て面別部材を、例えば、横方向にスライド可能な引き戸や、辷り出し窓や、開き戸などに適用してもよい。
【0095】
前記実施形態においては、当て面別部材を、バランサーカバー52で構成した。しかし、これに限定されない。当て面別部材を、例えば、枠体の一部が切り欠かれた部分に、バランサーではない別部品を配置した場合に、別部品のカバーで構成してもよい。当て面部材は、例えば、部品のカバーでなくてもよい。
【符号の説明】
【0096】
2 枠体、4 下障子(障子)、22 下枠、23,24 縦枠、40 框体、221b 金属下枠上方延出部(枠体側当て部、下枠壁部)、221c 金属下枠上方延出部の屋内側の面(下枠側当て面)、224a 樹脂下枠アングル部(アングル部)、233b,243b 樹脂縦枠内方延出部の屋内側の面(縦枠側当て面)、231,241 金属縦枠(第1縦枠)、231a,241a 金属縦枠内方延出部(枠体側当て部、第1縦枠壁部)、232,242 樹脂縦枠(第2縦枠)、233a,243a 樹脂縦枠内方延出部(枠体側当て部、第2縦枠壁部)、431a,441a 気密材、S 断熱空間(空間)