(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240208BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20240208BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20240208BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240208BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/123 A
G08G1/01 E
G06Q50/30
(21)【出願番号】P 2020123085
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 真一
(72)【発明者】
【氏名】塩津 真一
(72)【発明者】
【氏名】白石 春樹
(72)【発明者】
【氏名】前畑 実
(72)【発明者】
【氏名】一津屋 美岐
(72)【発明者】
【氏名】池田 知弘
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/079778(WO,A1)
【文献】特開2016-071510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/10、50/30
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベント施設の周辺を含む領域を分割して設定した分割領域毎の人の滞留状況を示す滞留情報を取得し、
前記取得した滞留情報に応じて、移動体の複数の乗り場を設定し、
前記設定した複数の乗り場にそれぞれ待機する前記移動体の数を示す待機数情報を取得し、
前記取得した待機数情報に応じて、前記設定した複数の乗り場にそれぞれ待機する前記移動体の数を平準化させるように前記乗り場へ配車する前記移動体の数を設定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記移動体の行先ごとに前記乗り場を設定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記移動体の種類ごとに前記乗り場を設定する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記イベント施設の周辺の道路に関する道路情報を取得し、
前記取得した道路情報に基づいて前記乗り場へ向かう前記移動体の経路を設定する、
請求項1~3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記移動体はタクシーである、
請求項1~4のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
表示装置が設置された場所を前記乗り場として設定した場合、当該乗り場に対応する前記移動体に関する情報を前記表示装置に表示させる、
請求項1~5のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
イベント施設の周辺を含む領域を分割して設定した分割領域毎の人の滞留状況を示す滞留情報を取得し、
前記取得した滞留情報に応じて、移動体の複数の乗り場を設定し、
前記設定した複数の乗り場にそれぞれ待機する前記移動体の数を示す待機数情報を取得し、
前記取得した待機数情報に応じて、前記設定した複数の乗り場にそれぞれ待機する前記移動体の数を平準化させるように前記乗り場へ配車する前記移動体の数を設定すること
をCPUが行う情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンサートなどのイベント時に、イベント施設周辺の混雑を緩和させる技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。従来技術にあっては、イベント時のバス運行事業者の運行管理システムにおいて、イベント施設にあるバス乗り場のモードが切り替えられ、臨時のバスが当該バス乗り場から出発できるようにし、バス待ちの人を減らすようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、イベント施設周辺の混雑を効率良く緩和させるという点で、さらなる改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、イベント施設周辺の混雑を効率良く緩和させることができる情報処理装置および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、情報処理装置において、取得部と、設定部とを備える。取得部は、イベント施設における人の滞留状況を示す滞留情報を取得する。設定部は、前記取得部によって取得された前記滞留情報に基づいて、移動体の乗り場を動的に複数設定する。また、前記取得部は、前記設定部によって設定された複数の前記乗り場にそれぞれ待機する前記移動体の数を示す待機数情報を取得する。また、前記設定部は、前記取得部によって取得された前記待機数情報に基づいて、複数の前記乗り場に待機する前記移動体の数を平準化させるように前記乗り場へ配車する前記移動体の数を設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、イベント施設周辺の混雑を効率良く緩和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、取得部、設定部の処理を説明する図である。
【
図10】
図10は、情報処理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、変形例に係る情報処理装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する情報処理装置および情報処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<情報処理方法の概要>
以下では先ず、実施形態に係る情報処理方法の概要について
図1を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理方法は、例えば情報処理システム1に含まれる情報処理装置10によって実行される。情報処理装置10は、イベント施設100に関する情報の処理やイベント施設100周辺に関する情報の処理など各種の処理を実行可能なサーバである。ここで、イベント施設100は、例えばスポーツの試合などのイベントが行われるスポーツ施設、コンサートや演劇などのイベントが開催される施設(会場)である。
【0012】
イベント施設100(以下「施設100」と記載する場合がある)では、例えばイベントが終了すると、施設100を利用した利用者、すなわち観客が一斉に出てくるため、施設100の周辺は混雑する。施設100周辺が混雑すると、利用者は、帰りのタクシーやバスの乗り場、最寄りの駅までの移動に長い時間を要し、また、タクシーの乗り場等に到着しても、混雑によりタクシー等に乗るまでに長い時間を要することがあった。
【0013】
そこで、本実施形態に係る情報処理装置10にあっては、施設100周辺の混雑を効率良く緩和させることができるような構成とした。
【0014】
以下、情報処理装置10の処理について具体的に説明すると、情報処理装置10は先ず、施設100における人(利用者(観客))の滞留状況を示す滞留情報を取得する(ステップS1)。
【0015】
滞留情報としては、施設100の周辺に滞留している人数(留まっている人数)の情報を用いることができるが、これに限定されるものではない。例えば、滞留情報は、人の移動速度など施設100周辺の人の流れを示す人流情報や、施設100周辺の混雑度の情報などであってもよい。なお、混雑度は、施設100周辺での混雑状況の度合いを示す指標値であり、例えば施設100の周辺に滞留している人数等に応じた数段階のレベルで示される値である。
【0016】
なお、滞留情報は、例えば施設100および施設100周辺における所定の領域毎の情報である。具体的には、例えば滞留情報は、施設100および施設100周辺を含む領域Q1(
図8参照)を分割して設定された分割領域Q2(
図8参照)毎の情報であるが、これについては後述する。
【0017】
なお、情報処理装置10は、上記した滞留情報を、例えば施設100周辺の利用者が所持する端末装置40(
図2参照)の位置情報や、施設100周辺に設置された定点カメラ60(
図2参照)のカメラ画像などに基づいて取得するが、これについては後述する。
【0018】
次いで、情報処理装置10は、取得された滞留情報に基づいて、タクシーDの乗り場200を動的に複数設定する(ステップS2)。以下、タクシーDの乗り場200を「タクシー乗り場200」と記載する場合がある。
【0019】
ここで、上記したタクシー乗り場200が設定される場所は、例えば施設100でイベントが開催されていないとき、あるいはイベント終了前、施設100周辺においてタクシー乗り場ではない場所、言い換えるとタクシー乗り場として機能していない場所とされる。すなわち、タクシー乗り場200は、施設100周辺において仮想的に設定される乗り場であり、例えばイベント終了後に新たに設定される乗り場である。
【0020】
なお、タクシー乗り場200が設定される場所は、例えば施設100付近であってもよいし、施設100からある程度離れた場所であってもよい。また、
図1ではタクシー乗り場200が3カ所である例を示したが、これに限定されず、2カ所、または4カ所以上であってもよい。以下、3カ所のタクシー乗り場200を「第1タクシー乗り場200a」、「第2タクシー乗り場200b」、「第3タクシー乗り場200c」と記載する場合があるが、これらを特に区別せずに説明する場合には「タクシー乗り場200」と記載する。
【0021】
また、タクシー乗り場200は、例えばタクシーDの行先ごとに設定されてもよい。一例として、第1タクシー乗り場200aは行先が「A方面」、第2タクシー乗り場200bは行先が「B方面」、第3タクシー乗り場200cは行先が「C方面」に設定される。なお、上記したA,B,Cは具体的な地名や地域名などである。このようなタクシー乗り場200の設定の詳細については、後述する。
【0022】
なお、タクシーDは、移動体の一例である。かかる移動体は、タクシーDに限られず、バスなどその他の種類の交通機関であってもよい。従って、例えば移動体がバスである場合、情報処理装置10は、滞留情報に基づいてバスの乗り場を設定する。
【0023】
情報処理装置10は、上記したタクシー乗り場200が設定されると、例えばタクシー乗り場200の位置情報などを、タクシーDに搭載された車載装置50に通知してもよい。これにより、タクシーDは、タクシー乗り場200に到着して待機することができる。
【0024】
このように、仮想的なタクシー乗り場200が動的に複数設定されることで、施設100周辺に滞留している利用者(観客)は、白抜きの矢印で示すように、分散しながら第1~第3タクシー乗り場200a~200cへ移動することとなる。これにより、本実施形態にあっては、施設100周辺の混雑を緩和させることができる。
【0025】
次いで、情報処理装置10は、複数のタクシー乗り場200にそれぞれ待機するタクシーDの数を示す待機数情報を取得する(ステップS3)。なお、情報処理装置10は、上記した待機数情報を、例えばタクシーDの車載装置50から得られる車両位置情報に基づいて取得することができるが、これについては後述する。
【0026】
次いで、情報処理装置10は、待機数情報に基づいて、複数のタクシー乗り場200に待機するタクシーDの数を平準化させるようにタクシー乗り場200へ配車するタクシーDの数を設定する(ステップS4)。これにより、本実施形態にあっては、イベント施設100周辺の混雑を効率良く緩和させることができる。
【0027】
具体的には、例えば仮に、第1タクシー乗り場200aの待機数が比較的少なく、第2タクシー乗り場200bの待機数が比較的多くなるなどタクシーDの待機数に過度な偏りが生じると、第1タクシー乗り場200aに人が滞留してしまい、結果としてイベント施設100周辺の混雑が緩和されにくくなるおそれがある。
【0028】
そのため、情報処理装置10は、複数のタクシー乗り場200に待機するタクシーDの数を平準化させるように、タクシーDのタクシー乗り場200への配車数を設定する。別言すると、情報処理装置10は、例えば各タクシー乗り場200でタクシーDの待機数が同じような台数となるように、すなわち均等化されるように、各タクシー乗り場200への配車数を設定する。これにより、本実施形態にあっては、タクシー乗り場200における人の滞留の発生を抑制でき、よってイベント施設100周辺の混雑を効率良く緩和させることができる。
【0029】
なお、上記では、「待機するタクシーDの数を平準化」を、各タクシー乗り場200でタクシーDの待機数が同じような台数となるようにする意味で用いたが、これに限定されるものではない。例えば、タクシー乗り場200に到着した人がタクシーDの乗るまでの時間、すなわち待ち時間が、各タクシー乗り場200で同じになるように、「待機するタクシーDの数を平準化」させるという意味で用いてもよい。
【0030】
詳しくは、タクシー乗り場200に並ぶ人の数が多くなるにつれて、待機するタクシーDの数が増加するように、各タクシー乗り場200への配車数を設定することで、待ち時間が各タクシー乗り場200で同じになるようにしてもよい、言い換えると、各タクシー乗り場200で待機するタクシーDの数を平準化させてもよい。かかる構成であっても、イベント施設100周辺の混雑を効率良く緩和させることができる。
【0031】
<情報処理システムの構成>
次に、実施形態に係る情報処理装置10を含む情報処理システム1の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、情報処理システム1の構成例を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように、情報処理システム1は、上記した情報処理装置10と、端末装置40と、車載装置50と、定点カメラ60と、表示装置70とを含み、これらはインターネット網などの通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。なお、
図2では、図示の簡略化のため、端末装置40、車載装置50、定点カメラ60および表示装置70をそれぞれ1つ示したが、複数であってもよい。
【0033】
端末装置40は、施設100の利用者(観客)に所持されて使用される装置である。なお、端末装置40を使用する人を、以下では「ユーザ」と記載する場合がある。端末装置40としては、例えばスマートフォンやタブレット端末などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0034】
端末装置40には、例えばGPS(Global Positioning System)衛星からの信号に基づいてユーザの位置(正確には端末装置40の位置)を示すユーザ位置情報を検出するGPS受信機などが含まれる。端末装置40は、検出したユーザ位置情報を情報処理装置10へ送信することができる。
【0035】
端末装置40は、タクシーを予約する処理を行うことができる。例えば、端末装置40は、ユーザの操作により、行先、乗車予定人数等が入力され、これらを予約情報として情報処理装置10へ送信する。なお、予約情報に含まれる行先は、「A方面」など方向を示す情報であってもよいし、具体的な降車予定位置の情報であってもよい。また、予約情報は、行先や乗車予定人数の情報を含まず、予約をする旨の情報のみであってもよい。情報処理装置10は、端末装置40から予約情報を受信すると、予約を受け付ける処理を実行するが、これについては後述する。
【0036】
上記した予約処理は、例えば端末装置40に登録されたアプリケーション(以下、アプリ)によって行われるが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば図示しない外部装置(外部サーバ)から端末装置40に配信されるタクシー予約サイトを介して予約処理が行われ、予約情報が外部装置から情報処理装置10へ送信されるなど、その他の手法で予約処理が行われてもよい。
【0037】
車載装置50は、上記したようにタクシーに搭載される装置である。車載装置50には、例えばGPS受信機が含まれ、GPS衛星からの信号に基づいてタクシーの位置を示す車両位置情報を検出する。車載装置50は、検出した車両位置情報を情報処理装置10へ送信することができる。
【0038】
車載装置50は、上記した車両位置情報の他に、タクシーの稼働状態を示す稼働状態情報を情報処理装置10へ送信することができる。タクシーの稼働状態とは、例えば「空車」や「実車」などのタクシーの状態(動態)を意味する。なお、車載装置50において「空車」および「実車」の切り替えは、運転手の操作によって行われる。
【0039】
車載装置50は、情報処理装置10から送信される配車指示(後述)を受信することができる。ここでは、配車指示は、タクシー乗り場200への配車指示である。車載装置50で配車指示が受信されると、タクシーは、タクシー乗り場200へ向かって移動し、タクシー乗り場200で乗客を乗せる。なお、配車指示には、例えばタクシー乗り場200への向かうタクシーの経路が含まれていてもよい。かかる場合、タクシーは、配車指示に含まれる経路を通ってタクシー乗り場200へ向かうこととなる。
【0040】
定点カメラ60は、施設100の周辺を撮像する。例えば、定点カメラ60は、施設100の出入口や施設100の周辺の歩道など、施設100の利用者(観客)が通行可能な場所に設置される。
【0041】
そして、定点カメラ60は、施設100の出入口など施設100の周辺を撮像し、撮像されたカメラ画像を情報処理装置10へ送信することができる。なお、定点カメラ60のカメラ画像は、動画データであるが、これに限られず、静止画データなどであってもよい。かかるカメラ画像は、情報処理装置10において滞留情報として取得されるが、これについては後述する。
【0042】
なお、定点カメラ60は、施設100周辺の人を検知する人体検知センサであってもよい。人体検知センサとしては、例えば赤外線信号を用いた焦電センサなどを採用することができる。
【0043】
なお、上記したように、情報処理装置10が、端末装置40の位置情報に基づいて滞留情報を取得する場合、言い換えると、定点カメラ60のカメラ画像が滞留情報として利用されない場合、定点カメラ60は除去されてもよい。
【0044】
表示装置70は、タクシー乗り場200に設置可能に構成され、例えば行先などタクシー乗り場200に関する情報が表示される。表示装置70としては、例えばデジタルサイネージを用いることができ、情報処理装置10などから通信ネットワークNを介して配信される各種の情報が表示される。なお、表示装置70については、
図9を参照して後述する。
【0045】
<情報処理装置の構成>
次いで、情報処理装置10の構成について
図3等を参照して具体的に説明する。
図3は、情報処理装置10の構成例を示すブロック図である。なお、
図3のブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0046】
換言すれば、
図3のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0047】
図3に示すように、情報処理装置10は、通信部11と、制御部20と、記憶部30とを備える。
【0048】
通信部11は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、端末装置40、車載装置50、定点カメラ60および表示装置70等との間で情報の送受信を行う。
【0049】
制御部20は、受付部21と、取得部22と、設定部23と、表示制御部24とを備え、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0050】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部20の受付部21、取得部22、設定部23および表示制御部24として機能する。
【0051】
また、制御部20の受付部21、取得部22、設定部23および表示制御部24の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0052】
また、記憶部30は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部30には、滞留情報31、ユーザ情報32、乗り場情報33、車両情報34、道路情報35および各種プログラムなどが記憶される。
【0053】
滞留情報31は、施設100における人の滞留状況を示す情報である。ここで、
図4を用いて、滞留情報31について説明する。
図4は、滞留情報31の一例を示す図である。
【0054】
図4に示すように、滞留情報31には、「地点」および「滞留している人数」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。「地点」は、施設100および施設100周辺の地点を示す情報であり、具体的には後述する分割領域Q2(
図8参照)を識別する情報や、東口、西口など施設100の出入口の名称、施設100周辺の歩道の名称などを示す情報である。
【0055】
なお、
図4に示す例では、便宜上、「地点」を「地点E1」といったように抽象的な記載とするが、「地点E1」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0056】
「滞留している人数」は、上記した施設100周辺の地点において滞留している人の数を示す情報である。滞留情報31には、「滞留している人数」に加えて、あるいは代えて、上記した人の移動速度など施設100周辺の人の流れを示す人流情報や、施設100周辺の混雑度の情報などが含まれてもよい。
【0057】
図4に示す例では、施設100周辺の「地点E1」において、滞留している人数が「X01人」であることを示している。
【0058】
図3の説明に戻ると、ユーザ情報32は、ユーザに関する情報である。ここで、
図5を用いて、ユーザ情報32について説明する。
図5は、ユーザ情報32の一例を示す図である。
【0059】
図5に示すように、ユーザ情報32には、「ユーザID」、「ユーザ位置」、「予約」、「行先」および「乗車予定人数」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0060】
「ユーザID」は、端末装置40を使用するユーザを識別する識別情報である。「ユーザ位置」は、ユーザの位置を示すユーザ位置情報である。「予約」は、タクシーの予約の有無を示す情報である。
【0061】
「行先」は、ユーザの施設100からの行先を示す情報である。例えば「行先」は、施設100でのイベント終了後におけるユーザの行先を示す情報である。具体的に「行先」には、端末装置40から送信される予約情報に含まれる行先の情報が登録される。
【0062】
なお、行先の情報が予約情報に含まれていない場合、あるいは予約がなされていない場合、その他の情報から行先が推定され、推定された行先の情報が「行先」に登録されてもよい。すなわち、ユーザは、例えばイベントが終了すると、施設100へ行くときの経路とは逆の経路で帰ったり、施設100から自宅へ帰ったりすることが多い。そのため、例えば制御部20の取得部22(
図3参照)は、端末装置40からユーザの行動履歴情報(具体的には施設100へ行くときの経路の情報)や自宅情報などを取得し、かかる行動履歴情報や自宅情報などに基づいて、イベント終了後におけるユーザの行先を推定することができる。そして、取得部22は、推定された行先の情報を、ユーザ情報32の「行先」として登録することができる。
【0063】
「乗車予定人数」は、タクシーに乗車する予定の人数を示す情報である。具体的に「乗車予定人数」には、端末装置40から送信される予約情報に乗車予定人数が含まれている場合、かかる乗車予定人数の情報が登録される。
【0064】
図5に示す例において、ユーザID「F01」で識別されるユーザのデータは、ユーザ位置が「位置G1」、予約が「あり」、行先が「A方面」、乗車予定人数が「2人」であることを示している。
【0065】
図3の説明に戻ると、乗り場情報33は、タクシー乗り場200に関する情報である。ここで、
図6を用いて、乗り場情報33について説明する。
図6は、乗り場情報33の一例を示す図である。
【0066】
図6に示すように、乗り場情報33には、「乗り場ID」、「設定位置」、「行先」、「予約」、「車種」、「待機数」、「乗り場人数」および「待ち時間」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0067】
「乗り場ID」は、タクシー乗り場200を識別する識別情報である。「設定位置」は、設定されたタクシー乗り場200の位置(場所)を示す位置情報である。「行先」は、タクシー乗り場200におけるタクシーの行先を示す情報である。
【0068】
「予約」は、タクシー乗り場200のタクシーを利用する条件としての予約の有無を示す情報である。すなわち、乗り場情報33の「予約」が「あり」は、端末装置40等を介してタクシーの予約をした人が利用可能なタクシー乗り場200であることを示し、「なし」は、タクシーの予約をしていない人が利用可能なタクシー乗り場200であることを示している。なお、予約の有無が利用条件として設定されない場合、乗り場情報33の「予約」には情報が登録されない。
【0069】
「車種」は、タクシー乗り場200に配車されるタクシーの車種を示す情報である。なお、「車種」は、タクシー乗り場200で待機するタクシーの車種を示す情報であるともいえる。「車種」には、例えば小型車、中型車、大型車のように、車両の大きさに応じた分類を示す情報、言い換えると、乗員可能な人数に応じた分類を示す情報が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0070】
「待機数」は、現在、タクシー乗り場200で待機しているタクシーの数を示す情報である。なお、上記した「タクシー乗り場200で待機しているタクシー」は、タクシー乗り場200で実際に待機しているタクシーに限定されるものではなく、例えば配車指示により既にタクシー乗り場200へ向かっているタクシーを含んでもよい。一例として、「タクシー乗り場200で待機しているタクシー」は、タクシー乗り場200に5分以内に到着予定など、時間的な条件を満たすタクシーを含んでもよい。
【0071】
「乗り場人数」は、現在、タクシー乗り場200に並んでいる人の数を示す情報である。なお、上記した「タクシー乗り場200に並んでいる人」は、ユーザ位置情報などから推定される、タクシー乗り場200で実際に並んでいる人に限定されるものではなく、例えば予約情報などに基づいて推定された、タクシー乗り場200へ向かっている人、あるいはこれから向かう人を含んでもよい。
【0072】
「待ち時間」は、対応するタクシー乗り場200に到着した人がタクシーの乗るまでの時間を示す情報である。
【0073】
図6に示す例において、乗り場ID「K01」で識別されるタクシー乗り場200のデータは、設定位置が「位置L1」、行先が「A方面」、予約が「あり」、車種が「車種M1」、待機数が「Y1台」、乗り場人数が「X11人」、待ち時間が「Z1分」であることを示している。
【0074】
図3の説明に戻ると、車両情報34は、タクシー(移動体)に関する情報である。ここで、
図7を用いて、車両情報34について説明する。
図7は、車両情報34の一例を示す図である。
【0075】
図7に示すように、車両情報34には、「車両ID」、「車両位置」、「車種」および「稼働状態」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0076】
「車両ID」は、タクシーを識別する識別情報である。「車両位置」は、タクシーの位置を示す車両位置情報である。「車種」は、タクシーの車種を示す情報である。「車種」には、上記したように、例えば小型車、中型車、大型車など車両の大きさに応じた分類を示す情報が含まれるが、これに限定されるものではない。「稼働状態」は、タクシーの稼働状態を示す稼働状態情報である。
【0077】
図7に示す例において、車両ID「N01」で識別されるタクシーのデータは、車両位置が「位置P1」、車種が「車種M1」、稼働状態が「空車」であることを示している。
【0078】
図3の説明に戻ると、道路情報35は、施設100周辺の道路に関する情報である。道路情報35には、例えば施設100周辺の道路を含む地図情報、施設100周辺の道路の渋滞情報、工事情報などが含まれるが、これらに限定されるものではない。なお、渋滞情報は、現在の渋滞情報に限られず、渋滞予測情報であってもよい。
【0079】
制御部20の受付部21は、通信部11を介して端末装置40からタクシーの予約情報を受信し、予約を受け付ける処理を実行する。例えば、受付部21は、予約情報に含まれる行先や乗車予定人数などの情報をユーザ情報32(
図5参照)に登録する。また、受付部21は、予約を受け付けたことを示す内容を端末装置40へ通知することができる。
【0080】
なお、端末装置40においてタクシーの予約処理が、タクシー予約サイトを介して行われた場合、受付部21は、タクシー予約サイトを配信する外部装置から予約情報を受信して予約を受け付ける処理を実行してもよい。
【0081】
取得部22は、施設100における人の滞留状況を示す滞留情報を取得する。ここで、取得部22が取得する滞留情報等について
図8を参照しつつ説明する。
図8は、取得部22、設定部23で行われる処理を説明する図である。
【0082】
図8に一点鎖線で示すように、ここでは、施設100および施設100の周辺を含む「領域Q1」が情報処理装置10により管理されるものとする。かかる領域(管理領域)Q1は、破線で示すように分割され、複数の分割領域Q2が設定される。なお、
図8に示す分割領域Q2の数や形状は、あくまでも例示であって限定されるものではなく、任意の数や形状に設定可能である。
【0083】
例えば、分割領域Q2は、施設100の出入口毎に設定されてもよい。具体的に説明すると、例えば取得部22は、混雑状況のパラメータとして施設100内の人の分布状況を示す情報を外部サーバから取得する。かかる分布状況を示す情報は、出入口に対応した施設100内の人の分布情報であり、例えば施設100内に設置されたカメラの画像やイベントのチケット指定席情報等に基づいて推定される情報である。そして、分割領域Q2は、例えば分布状況を示す情報に基づいて混雑が予測される施設100の出入口毎に設定されてもよい。
【0084】
上記した取得部22は、例えば分割領域Q2毎に、人の滞留状況を示す滞留情報を取得することができる。例えば、取得部22は、端末装置40の位置情報に基づいて、施設100周辺の各地点(例えば分割領域Q2、施設100の出入口や歩道等)に滞留している人の数を計測し、計測された人数を記憶部30の滞留情報31(
図4参照)に登録することができる。また、取得部22は、端末装置40の位置情報をユーザ情報32のユーザ位置情報として登録してもよい。
【0085】
図3の説明を続けると、取得部22は、定点カメラ60(
図2参照)のカメラ画像などに基づいて滞留情報を取得してもよい。例えば、取得部22は、定点カメラ60から送信されたカメラ画像を解析して施設100周辺の各地点に滞留している人の数を計測し、滞留情報31に登録してもよい。
【0086】
また、取得部22は、タクシー乗り場200の乗り場人数の情報を取得する。例えば、取得部22は、端末装置40の位置情報(すなわちユーザ位置情報)に基づいて、タクシー乗り場200に並んでいる人の数を計測し、計測された人数を記憶部30の乗り場情報33(
図6参照)に登録する。
【0087】
また、取得部22は、車載装置50から送信される車両位置情報や稼働状態情報等を取得し、取得された車両位置情報等を記憶部30の車両情報34(
図7参照)に登録する。
【0088】
また、取得部22は、複数のタクシー乗り場200にそれぞれ待機するタクシーの数を示す待機数情報を取得する。例えば、取得部22は、車載装置50から送信される車両位置情報に基づいて、複数のタクシー乗り場200にそれぞれ待機するタクシーの数を計測し、計測されたタクシーの数、すなわち待機数を記憶部30の乗り場情報33(
図6参照)に登録する。
【0089】
一例としては、取得部22は、車載装置50から送信される車両位置情報が第1タクシー乗り場200a(
図1参照)の位置を含む所定範囲内である場合、当該車載装置50が搭載されたタクシーは第1タクシー乗り場200aで待機していると推定し、待機と推定されたタクシーの台数を待機数情報として取得することができる。
【0090】
なお、上記した所定範囲は、タクシーDが対応するタクシー乗り場200で待機していると推定可能な範囲に設定されるが、これに限られず、任意の値に設定されてもよい。また、取得部22は、待機数情報を、タクシーを管理する管理サーバ(図示せず)などの外部装置から取得するなど、その他の手法で取得してもよい。
【0091】
また、取得部22は、施設100周辺の道路に関する道路情報を取得し、記憶部30に道路情報35として記憶させる。なお、道路情報は、例えば外部サーバから送信される。
【0092】
設定部23は、記憶部30の滞留情報31を読み出し、滞留情報31に基づいて、タクシー乗り場200を動的に複数設定する。言い換えると、設定部23は、滞留情報31に基づいて位置や数が変化する動的なタクシー乗り場200を複数設定する。ここで、タクシー乗り場200の設定等について
図8を参照しつつ説明する。
【0093】
図8に示すように、例えば設定部23は、分割領域Q2毎の滞留情報に応じて、タクシー乗り場200を動的に複数設定する。詳しくは、設定部23は、滞留情報に、施設(イベント施設)100周辺の地点Eにおいて人が多く滞留している情報が含まれる場合、地点Eの混雑を緩和させるため、複数のタクシー乗り場200(ここでは第1~第3タクシー乗り場200a~200c)を動的に設定する。
【0094】
タクシー乗り場200の設定の一例としては、設定部23は、予め設定された複数の乗り場候補場所の中から、滞留情報に基づいて地点Eの混雑を緩和可能な場所を選択し、選択された乗り場候補場所を、タクシー乗り場200として設定することができる。なお、設定部23は、タクシー乗り場200の設定位置などタクシー乗り場200に関する各種情報を記憶部30の乗り場情報33(
図6参照)に登録する。
【0095】
設定部23は、タクシー乗り場200を設定した後、タクシー乗り場200の位置情報などを、タクシーの車載装置50に通知する配車処理を実行してもよい。例えば、設定部23は、記憶部30の車両情報34を読み出し、稼働状態が空車のタクシーに対して、タクシー乗り場200へ向かうように配車指示を送信してもよい。
【0096】
このように、設定部23は、複数の仮想的なタクシー乗り場200を動的に設定することで、地点Eに滞留している人は、白抜きの矢印で示すように、分散しながら第1~第3タクシー乗り場200a~200cへ移動することとなる。これにより、施設100周辺である地点Eの混雑を緩和させることができる。
【0097】
なお、分割領域Q2毎の滞留情報は、時間の経過などに伴って変化する。従って、設定部23は、
図8に想像線で示すように、分割領域Q2毎の滞留情報の変化に応じてタクシー乗り場200を追加したり、削除したりしてタクシー乗り場200の数を増減させてもよし、タクシー乗り場200に設定される行先を変更してもよい。
図8の例では、タクシー乗り場200x1は、設定部23により一度設定された後に削除されたタクシー乗り場200を示し、タクシー乗り場200x2は、設定部23により新たに追加されたタクシー乗り場200を示している。これにより、施設100周辺の混雑を、分割領域Q2毎の滞留情報の変化に応じて効率良く緩和させることができる。
【0098】
また、設定部23は、記憶部30の乗り場情報33を読み出し、乗り場情報33に含まれる待機数情報などに基づいて、複数のタクシー乗り場200に待機するタクシーの数を平準化させるようにタクシー乗り場200へ配車するタクシーの数を設定する。
【0099】
例えば、設定部23は、待機数情報に、第1タクシー乗り場200aの待機数が、他のタクシー乗り場200(ここでは第2、第3タクシー乗り場200b,200c)の待機数より過度に少なくなるなど、各タクシー乗り場200間で過度な偏りが生じている情報が含まれる場合、第1タクシー乗り場200aへ配車するタクシーの数を増加させるように設定する。これにより、タクシー乗り場200に待機するタクシーの数が平準化されるため、第1タクシー乗り場200aに人が滞留しにくくなり、結果として施設100周辺である地点Eの混雑を効率良く緩和させることができる。
【0100】
また、設定部23は、待機数情報、乗り場人数情報、待ち時間情報などに基づいて、タクシー乗り場200へ配車するタクシーの数を設定してもよい。例えば、第1タクシー乗り場200aの乗り場人数が他のタクシー乗り場200の乗り場人数より多い場合や、第1タクシー乗り場200aの待ち時間が他のタクシー乗り場200の待ち時間待が長い場合で、かつ、第1タクシー乗り場200aの待機数が比較的少ないような場合、設定部23は、第1タクシー乗り場200aへ配車するタクシーの数を増加させるように設定してもよい。これにより、各タクシー乗り場200間の乗り場人数や待ち時間が同じになるように、タクシーの待機数を平準化させることが可能となるため、第1タクシー乗り場200aに人が滞留しにくくなり、結果として施設100周辺である地点Eの混雑を効率良く緩和させることができる。
【0101】
また、設定部23は、分割領域Q2毎の滞留情報に応じて、タクシー乗り場200へ配車するタクシーの数を設定してもよい。例えば、設定部23は、分割領域Q2毎の滞留情報に含まれる人の数に応じて、タクシー乗り場200へ配車するタクシーの数を設定してもよい。一例としては、設定部23は、分割領域Q2毎の滞留情報に、人が多く滞留している情報が含まれる場合、タクシー乗り場200へ配車するタクシーの数を増加させる設定を行ってもよい。これにより、施設100周辺の混雑を、分割領域Q2毎の滞留情報に応じて効率良く緩和させることができる。
【0102】
なお、上記では、設定部23は、分割領域Q2毎の滞留情報に応じて、タクシー乗り場200の設定およびタクシー乗り場200へ配車するタクシーの数の設定を実行するようにしたが、これに限られず、いずれか一方の設定を実行する構成であってもよい。すなわち、設定部23は、分割領域Q2毎の滞留情報に応じて、タクシー乗り場200の設定およびタクシー乗り場200へ配車するタクシーの数の設定の少なくともいずれかを実行する。
【0103】
また、設定部23は、タクシーの行先ごとにタクシー乗り場200を設定してもよい。
図8の例では、行先「A方面」、「B方面」および「C方面」など行先別にタクシー乗り場200が設定される。
【0104】
これにより、例えば地点Eに滞留している人は、自身の行先に応じて分散しながら第1~第3タクシー乗り場200a~200cへ移動することとなる。そして、タクシー乗り場200では、タクシーは乗車後、対応する行先に向けて出発すればよいため、タクシー乗り場200におけるスムーズな乗車が可能になる。以上から、タクシー乗り場200に人が滞留しにくくなり、よって施設100周辺である地点Eの混雑をより効率良く緩和させることができる。
【0105】
また、設定部23は、行先別のタクシー乗り場200を設定する場合、タクシー乗り場200の行先が道路の行先に対応するような場所に設定する。
図8の例では、例えば行先「A方面」および「B方面」が行先Raの道路に対応している場合、言い換えると、タクシーは行先Raの道路を通って「A方面」および「B方面」へ向かうような場合、行先「A方面」および「B方面」の第1、第2タクシー乗り場200a,200bは、行先Raの道路沿いに設定される。同様に、例えば行先「C方面」が行先Rbの道路に対応している場合、行先「C方面」の第3タクシー乗り場200cは、行先Rbの道路沿いに設定される。
【0106】
これにより、タクシー乗り場200では、タクシーは出発後、そのまま対応する行先に向けて移動できるため、タクシー乗り場200におけるスムーズな乗車が可能になる。従って、タクシー乗り場200に人が滞留しにくくなり、よって施設100周辺である地点Eの混雑をより効率良く緩和させることができる。
【0107】
また、設定部23は、各行先に対して乗車を所望する人数に応じてタクシー乗り場200の数を増減させてもよい。例えば、設定部23は、ユーザ情報32(
図5参照)の行先や乗車予定人数の情報などに基づいて、乗車を所望する人数が比較的多い行先のタクシー乗り場200の数が多くなる一方、乗車を所望する人数が比較的少ない行先のタクシー乗り場200の数が少なくなるように、タクシー乗り場200の数を設定してもよい。なお、
図6では、行先がA方面およびB方面のタクシー乗り場200の数が2つ、行先がC方面のタクシー乗り場200の数が1つに設定された例を示している。
【0108】
このように、乗車を所望する人数に応じてタクシー乗り場200の数が設定されることで、地点Eに滞留している人を適切に分散させることができ、施設100周辺である地点Eの混雑をより効率良く緩和させることができる。
【0109】
また、設定部23は、各行先に対して乗車を所望する人数に応じてタクシー乗り場200を統合したり、分散させたりしてもよい。一例としては、行先「A方面」および「B方面」に対して乗車を所望する人数が少なくなった場合、設定部23は、行先「A方面」の第1タクシー乗り場200aと「B方面」の第2タクシー乗り場200bとを統合して、1つの「A、B方面」のタクシー乗り場200を設定してもよい。このとき、設定部23は、同じ行先Raの道路に設定されているタクシー乗り場200(ここでは第1、第2タクシー乗り場200a,200b)同士を統合するようにしてもよい。
【0110】
同様に、行先「C方面」に対して乗車を所望する人数が多くなった場合、設定部23は、行先「C方面」の第3タクシー乗り場200cを分散させて、2つの第3タクシー乗り場200cを設定してもよい。なお、設定部23は、各行先に対して乗車を所望する人数が極端に少なくなった場合、対応するタクシー乗り場200を廃止してもよい。
【0111】
これにより、タクシー乗り場200の数を、乗車を所望する人数に応じた適切な数にすることが可能となり、よって施設100周辺である地点Eの混雑をより効率良く緩和させることができる。
【0112】
また、設定部23は、タクシーの種類ごとに、言い換えるとタクシーの車種ごとにタクシー乗り場200を設定してもよい。例えば、設定部23は、小型車のタクシー乗り場200と、大型車のタクシー乗り場200とを設定してもよい。具体的には、設定部23は、ユーザ情報32(
図5参照)に、乗車予定人数が比較的大人数であることを示す情報(すなわち大人数のグループであることを示す情報)が多く含まれる場合、当該ユーザが利用するタクシーは大型車が適しているため、大型車のタクシー乗り場200を設定する。なお、
図6では、行先「B方面」のタクシー乗り場200について、車種M1のタクシー乗り場200と車種M2のタクシー乗り場200とが設定された例を示している。
【0113】
これにより、タクシー乗り場200の数を、乗車を所望する人数(言い換えるとグループの人数)に応じた適切な数にすることが可能となり、よって施設100周辺である地点Eの混雑をより効率良く緩和させることができる。
【0114】
また、設定部23は、タクシーの予約の有無の応じたタクシー乗り場200を設定してもよい。例えば、設定部23は、ユーザ情報32(
図5参照)に基づき、タクシーの予約をした人(ユーザ)のみが利用可能なタクシー乗り場200と、タクシーの予約をしていない人(ユーザ)が利用可能なタクシー乗り場200を設定してもよい。また、このとき、設定部23は、予約をした人のみが利用可能なタクシー乗り場200に対して、優先的に配車するようにしてもよい。なお、
図6では、行先「A方面」のタクシー乗り場200について、予約の有無に応じたタクシー乗り場200が設定された例を示している。
【0115】
このように、タクシー乗り場200のタクシーを利用する条件として予約の有無が設定され、また、予約をした人が利用するタクシー乗り場200に優先的に配車されることで、例えばアプリを用いた予約をユーザに対して促すことが可能になる。
【0116】
また、設定部23は、記憶部30の道路情報35を読み出し、道路情報35に基づいてタクシー乗り場200へ向かうタクシーの経路を設定してもよい。
図8の例では、道路情報35に、経路Rcの道路は渋滞しておらず、経路Rd1,Rd2の道路が渋滞している情報が含まれる場合、設定部23は、経路Rcをタクシー乗り場200へ向かう経路として設定する。そして、設定部23は、経路Rcの情報を含む配車指示をタクシーに対して送信する。これにより、タクシーは、経路Rcを通ってタクシー乗り場200へ向かうこととなる。なお、上記では、タクシーの経路の設定に、道路情報35の渋滞情報を用いるようにしたが、これに限られず、例えば渋滞予測情報や工事情報などその他の情報を用いてもよい。
【0117】
このように、道路情報35に基づいてタクシー乗り場200へ向かうタクシーの経路が設定されることで、タクシーのタクシー乗り場200への移動をスムーズにすることが可能となる。従って、タクシーが早期にタクシー乗り場200に到着するため、タクシー乗り場200に人が滞留しにくくなり、よって施設100周辺である地点Eの混雑をより効率良く緩和させることができる。
【0118】
図3の説明を続けると、表示制御部24は、表示装置70(
図2参照)の表示を制御することができる。例えば、表示制御部24は、表示装置70が設置された場所が設定部23によってタクシー乗り場200として設定された場合、かかるタクシー乗り場200に対応するタクシーに関する情報を表示装置70に表示させる。
【0119】
ここで、表示装置70について
図9を用いて説明する。
図9は、表示装置70を示す模式図である。
図9に示すように、表示装置70は、各種の情報を表示可能な表示画面71を備える。表示装置70は、例えば施設100の周辺であって、予め設定された乗り場候補場所に設置される。
【0120】
そして、表示制御部24は、表示装置70が設置された乗り場候補場所がタクシー乗り場200として設定された場合、タクシー乗り場200に対応するタクシーに関する情報を通信ネットワークN(
図2参照)を介して表示装置70に配信する。これにより、表示装置70の表示画面71には、タクシー乗り場200のタクシーに関する情報が表示される。
【0121】
なお、
図9では、タクシーに関する情報が、タクシーの行先、タクシーの車種、待ち時間などである例を示したが、これらはあくまでも例示であって限定されるものではない。すなわち、例えばタクシーに関する情報は、タクシーを利用する条件としての予約の有無や、タクシーの待機数などその他の情報であってもよい。
【0122】
このように、タクシー乗り場200には、表示制御部24によって表示制御される表示装置70が設置されることで、施設100周辺で滞留している人は、タクシー乗り場200として設定された場所を容易に確認することができ、かかるタクシー乗り場200へスムーズに移動することが可能になる。これにより、施設100周辺の混雑をより一層効果的に緩和させることができる。
【0123】
なお、表示制御部24は、表示装置70が設置された場所(すなわち乗り場候補場所)がタクシー乗り場200として設定されない場合、タクシーに関する情報を表示させないようにしてもよい。
【0124】
また、表示装置70は、上記した乗り場候補場所に予め固定される固定式であってもよいし、乗り場候補場所あるいは設定されたタクシー乗り場200に適宜なタイミングで移動させて設置される移動式であってもよい。また、
図9では、一例として自立式の表示装置70を示したが、これに限られず、壁掛け式、吊り下げ式などであってもよい。
【0125】
<情報処理装置の制御処理>
次に、情報処理装置10における具体的な処理手順の一例について
図10を用いて説明する。
図10は、情報処理装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0126】
図10に示すように、情報処理装置10の制御部20は、施設100における滞留情報を取得する(ステップS10)。次いで、ユーザが所望する行先などの情報を含むユーザ情報を取得する(ステップS11)。
【0127】
次いで、制御部20は、滞留情報、ユーザ情報などに基づいて、タクシー乗り場200を動的に複数設定する(ステップS12)。続いて、制御部20は、設定されたタクシー乗り場200の位置情報などを、タクシーの車載装置50に通知する配車処理を実行する(ステップS13)。
【0128】
次いで、制御部20は、設定された複数のタクシー乗り場200にそれぞれ待機するタクシーの数を示す待機数情報を取得する(ステップS14)。次いで、制御部20は、待機数情報に基づいて、複数のタクシー乗り場200に待機するタクシーの数を平準化させるようにタクシー乗り場200へ配車するタクシーの数を設定する(ステップS15)。次いで、制御部20は、設定された数のタクシーがタクシー乗り場200へ向かうように配車処理を実行する(ステップS16)。
【0129】
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置10は、取得部22と、設定部23とを備える。取得部22は、イベント施設100における人の滞留状況を示す滞留情報を取得する。設定部23は、取得部22によって取得された滞留情報に基づいて、タクシー(移動体の一例)の乗り場(タクシー乗り場200)を動的に複数設定する。
【0130】
また、取得部22は、設定部23によって設定された複数のタクシー乗り場200にそれぞれ待機するタクシーの数を示す待機数情報を取得する。また、設定部23は、取得部22によって取得された待機数情報に基づいて、複数のタクシー乗り場200に待機するタクシーの数を平準化させるようにタクシー乗り場200へ配車する移動体の数を設定する。これにより、イベント施設100周辺の混雑を効率良く緩和させることができる。
【0131】
また、移動体はタクシーである。これにより、施設100周辺に滞留する人をスムーズにタクシー乗り場200へ分散させることが可能となり、よって施設100周辺の混雑を効率良く緩和させることができる。
【0132】
(変形例)
次に、変形例に係る情報処理装置10について説明する。
図11は、変形例に係る情報処理装置10を説明するための図である。
【0133】
図11に示すように、変形例にあっては、表示装置70a~70c(70)が、複数の分割領域Q2のうち、タクシー乗り場200へ誘導可能な位置の分割領域Q2に設置される。かかる表示装置70には、施設100周辺に滞留する人をタクシー乗り場200へ誘導する情報(例えばタクシー乗り場200へ向かう方向やタクシー乗り場200までの距離などを示す情報)が表示される。
【0134】
例えば、表示制御部24(
図3参照)は、表示装置70に対し、分割領域Q2毎に適切なタクシー乗り場200へ誘導(案内)する情報を表示させることができる。これにより、変形例にあっては、施設100周辺の混雑を効率良く緩和させることができる。
【0135】
具体的に説明すると、複数の表示装置70にはそれぞれ、誘導可能なタクシー乗り場200が異なるように設定される。ここで、誘導可能なタクシー乗り場200の設定は、例えばタクシー乗り場200の混雑状況に加え、あるいは代えて、タクシー乗り場200への移動のし易さなどに基づいて行われてもよい。上記したタクシー乗り場200への移動のし易さは、例えばタクシー乗り場200への移動距離が短い、スムーズな移動が可能(例えば移動経路が広く混雑しにくい、移動経路が他のタクシー乗り場200へ向かう移動経路と交差しない)など各種の要因を含む。
【0136】
図11の例では、表示制御部24は、上記した移動のし易さなどに基づいて、表示装置70aに対し、第1、第2タクシー乗り場200a,200bへ誘導する情報を表示させることができる。言い換えると、表示制御部24は、表示装置70aに対し、第3タクシー乗り場200cへ誘導する情報を表示させない。これにより、表示装置70aが設置された分割領域Q2の地点E1に滞留している人は、白抜きの矢印で示すように、第1、第2タクシー乗り場200a,200bへ誘導されて移動することとなる一方、第3タクシー乗り場200cへ移動する人数を抑制することができる。
【0137】
同様に、表示制御部24は、表示装置70cに対し、第3タクシー乗り場200cへ誘導する情報を表示させ、第1、第2タクシー乗り場200a,200bへ誘導する情報を表示させないようにする。これにより、表示装置70cが設置された分割領域Q2の地点E2に滞留している人は、白抜きの矢印で示すように、第3タクシー乗り場200cへ移動することとなる一方、第1、第2タクシー乗り場200a,200bへ移動する人数を抑制することができる。
【0138】
これにより、地点E1,E2に滞留している人は、タクシー乗り場200へ移動する際に、互いに交差しにくくなるなどにより、タクシー乗り場200へスムーズに移動でき、よって施設100周辺の混雑を効率良く緩和させることができる。
【0139】
なお、上記した変形例では、タクシー乗り場200への誘導を、分割領域Q2に設置される表示装置70を介して行うようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、制御部110は、端末装置40から得られるユーザ位置情報に基づいて各分割領域Q2に存在するユーザの位置を検出し、検出されたユーザの位置に応じて、タクシー乗り場200へ誘導する情報を端末装置40へ送信してもよい。
【0140】
なお、上記した実施形態および変形例に係る情報処理システム1は、表示装置70を備えない構成であってもよい。すなわち、例えば情報処理装置10が、設定されたタクシー乗り場200の位置情報などをユーザに対して通知すれば(正確にはユーザ所有の端末装置40に送信する等すれば)、ユーザはタクシー乗り場200へ向かうことが可能になるため、情報処理システム1は表示装置70を備えない構成であってもよい。
【0141】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0142】
10 情報処理装置
20 制御部
21 受付部
22 取得部
23 設定部
24 表示制御部
100 イベント施設
200 タクシー乗り場