(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】収納台、訪問入浴車
(51)【国際特許分類】
B60P 3/00 20060101AFI20240208BHJP
A61H 33/00 20060101ALI20240208BHJP
A47K 3/022 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B60P3/00 V
A61H33/00 310E
A61H33/00 310K
A47K3/022
(21)【出願番号】P 2020127988
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2019170323
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000192073
【氏名又は名称】株式会社モリタホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】土谷 晃史
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-25902(JP,A)
【文献】特開2011-68257(JP,A)
【文献】特開平7-144571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/00
A61H 33/00
A47K 3/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
訪問入浴車に設置され浴槽と担架の収納に用いられる収納台であって、
前記浴槽を載せる浴槽載置具と、前記担架を載せる担架載置具とを隣接して備え、
前記浴槽載置具は、浴槽載置レール材と、上面に前記浴槽が載り前記浴槽載置レール材に沿って収納位置と取出し位置との間をスライドする浴槽載置スライド材とを有し、
前記担架載置具は、担架載置レール材と、上面に前記担架が載り前記担架載置レール材に沿って前記収納位置と前記取出し位置との間をスライドする担架載置スライド材とを有し、
前記浴槽載置スライド材は、前記収納位置にあるときも前記取出し位置にあるときも水平であり、
前記担架載置スライド材は、前記収納位置にあるときは水平であり、前記取出し位置にあるときは前記収納位置にあるときよりも下方へ傾斜した状態であることを特徴とする収納台。
【請求項2】
前記浴槽載置スライド材及び前記担架載置スライド材が前記収納位置にあるとき、前記浴槽載置スライド材の上面は、前記担架載置スライド材の上面に載置された前記担架の上面よりも下方に位置することを特徴とする請求項1に記載の収納台。
【請求項3】
前記担架載置レール材は、前記訪問入浴車に設置された状態において水平となる水平部と、前記水平部の前記取出し位置側の端部と連接し前記訪問入浴車に設置された状態において前記水平部よりも下方へ傾斜した状態となる取出位置側傾斜部と、前記水平部の前記収納位置側の端部と連接し前記訪問入浴車に設置された状態において前記水平部よりも下方へ傾斜した状態となる収納位置側傾斜部とを有し、
前記担架載置スライド材は、前記担架載置スライド材の上面から前記担架載置レール材と接する担架載置スライド材の下面までの高さが前記取出し位置側よりも前記収納位置側で大きく、前記収納位置にあるとき、前記担架載置スライド材の前記収納位置側の下面は前記収納位置側傾斜部の下端の高さに位置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の収納台。
【請求項4】
前記担架載置スライド材の下面に、前記収納位置側に位置する一方のローラと、前記取出し位置側に位置する他方のローラを有し、前記担架載置スライド材が前記収納位置にあるとき、前記一方のローラは、前記他方のローラよりも下方に位置することを特徴とする請求項3に記載の収納台。
【請求項5】
前記担架載置スライド材の前記一方のローラと前記他方のローラとの間隔が前記担架載置レール材の前記水平部の長さよりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の収納台。
【請求項6】
前記取出し位置側に前記担架載置スライド材の一部を支持する支持材を備え、
前記担架載置スライド材は、前記収納位置側の端部を回動中心として回動可能であり、前記収納位置にあるときは前記支持材によって前記取出し位置側が支持されることにより水平を維持し、前記取出し位置へのスライドに伴い前記支持材によって支持される箇所が前記収納位置側となり下方へ傾斜することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の収納台。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の収納台が設置されていることを特徴とする訪問入浴車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、訪問入浴車に設置され浴槽と担架の収納に用いられる収納台、及びその収納台を備えた訪問入浴車に関する。
【背景技術】
【0002】
自力で入浴することが困難な者の家等を訪問入浴車で訪問し、訪問入浴車に積載した装置や器具を利用して対象者の入浴を行うサービスが営まれている。
訪問入浴車に積載する装置や器具としては、ボイラ、浴槽、担架、及びホース等がある。また、訪問入浴車には、浴槽と担架を一緒に収納するための収納台が設置されることがある。
図18は従来の収納台100の概略図である。浴槽200は下部が担架300の一対のフレーム間に位置する状態で収納台100に収納される。収納台100は、収納位置と取出し位置との間において水平にスライドさせることができるため、浴槽200と担架300を出し入れし易い。しかし、収納台100は、浴槽200を載せる面が担架300を載せる面以下に設けられており、浴槽200の脚201よりも取出し側に担架300の桟301が位置するため、担架300が収納されている状態では担架300の桟301が邪魔となり浴槽200を引き出すことができない。このため、収納時には浴槽200を収納台100に載せた後に担架300を収納台100に載せる必要があり、取出し時には担架300を収納台100から取出した後に浴槽200を収納台100から取出す必要がある。
【0003】
また、特許文献1には、入浴車の荷台に一対のレールを収納・引き出し方向に取り付けるとともに、一対のレールに対して移動台をローラにより収納・引き出し方向に移動自在として取り付け、移動台にバスタブに対するストッパー及び担架に対するストッパーを上向きに設け、一対のレールをC字状の鋼材により構成し、鋼材を入浴車の後方で荷台より下方に傾斜させた入浴車用バスタブ・担架収納装置が開示されている。
しかし、特許文献1の入浴車用バスタブ・担架収納装置は、バスタブと担架が同じ移動台に載せられているため、引き出し方向に移動させる際、バスタブと担架が一緒に下方へ傾斜する。よって、段落0014に記載されているように、取出し時にはバスタブを降ろした後に担架を降ろす必要がある。また、収納時の順序は明記されていないが、取出し順序が規定されていることからすれば、収納時は取出し時とは逆の手順、すなわち担架を載せた後にバスタブを載せる必要があると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
浴槽と担架のどちらからでも収納及び取出しができれば、作業効率を向上させて、一日に何軒も巡回する訪問入浴サービスの従事者の負担を軽減することができる。
ここで、浴槽と担架の収納及び取出し順序を問わないようにするためには、
図19に示すように、収納台100において浴槽200を載せる面を担架300を載せる面よりも高い位置に設けて、浴槽200の脚201を担架300の桟301よりも上方に位置させた状態で収納することも考えられる。しかし、この場合、浴槽200の収納高さが大きくなるため、従事者の負担が増してしまう。なお、訪問入浴サービスで使用する分割型浴槽の重量は、約20kgである。訪問入浴サービスの従事者は女性も多いが、女性は一般的に男性に比べて身長や力が小さいため、作業性や安全性への配慮が重要である。
【0006】
そこで本発明は、浴槽と担架のどちらからでも収納及び取出しを行うことができ、また、浴槽の収納高さを従来以下とすることを可能とする収納台、及びその収納台を備えた訪問入浴車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明の収納台4は、訪問入浴車1に設置され浴槽2と担架3の収納に用いられる収納台4であって、浴槽2を載せる浴槽載置具10と、担架3を載せる担架載置具20とを隣接して備え、浴槽載置具10は、浴槽載置レール材11と、上面12Aに浴槽2が載り浴槽載置レール材11に沿って収納位置と取出し位置との間をスライドする浴槽載置スライド材12とを有し、担架載置具20は、担架載置レール材21と、上面22Dに担架3が載り担架載置レール材21に沿って収納位置と取出し位置との間をスライドする担架載置スライド材22とを有し、浴槽載置スライド材12は、収納位置にあるときも取出し位置にあるときも水平であり、担架載置スライド材22は、収納位置にあるときは水平であり、取出し位置にあるときは収納位置にあるときよりも下方へ傾斜した状態であることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の収納台4において、浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が収納位置にあるとき、浴槽載置スライド材12の上面12Aは、担架載置スライド材22の上面22Dに載置された担架3の上面よりも下方に位置することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の収納台4において、担架載置レール材21は、訪問入浴車1に設置された状態において水平となる水平部21Aと、水平部21Aの取出し位置側の端部と連接し訪問入浴車1に設置された状態において水平部21Aよりも下方へ傾斜した状態となる取出位置側傾斜部21Bと、水平部21Aの収納位置側の端部と連接し訪問入浴車1に設置された状態において水平部21Aよりも下方へ傾斜した状態となる収納位置側傾斜部21Cとを有し、担架載置スライド材22は、担架載置スライド材22の上面22Dから担架載置レール材21と接する担架載置スライド材22の下面22Eまでの高さが取出し位置側よりも収納位置側で大きく、収納位置にあるとき、担架載置スライド材22の収納位置側の下面22Eは収納位置側傾斜部21Cの下端の高さに位置することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の収納台4において、担架載置スライド材22の下面に、収納位置側に位置する一方のローラ30と、取出し位置側に位置する他方のローラ31を有し、担架載置スライド材22が収納位置にあるとき、一方のローラ30は、他方のローラ31よりも下方に位置することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の収納台4において、担架載置スライド材22の一方のローラ30と他方のローラ31との間隔が担架載置レール材21の水平部21Aの長さよりも大きいことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の収納台4において、取出し位置側に担架載置スライド材22の一部を支持する支持材70を備え、担架載置スライド材22は、収納位置側の端部を回動中心として回動可能であり、収納位置にあるときは支持材70によって取出し位置側が支持されることにより水平を維持し、取出し位置へのスライドに伴い支持材70によって支持される箇所が収納位置側となり下方へ傾斜することを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の訪問入浴車1は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の収納台4が設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、浴槽と担架のどちらからでも収納及び取出しを行うことができ、また、浴槽と担架の収納高さを従来以下とすることを可能とする収納台、及びその収納台を備えた訪問入浴車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例による収納台を備えた訪問入浴車の荷室を示す図
【
図4】同浴槽及び担架が載置され浴槽載置スライド材及び担架載置スライド材が取出し位置にあるときの収納台を示す図
【
図5】同浴槽及び担架が載置され浴槽載置スライド材及び担架載置スライド材が収納位置にあるときの収納台を示す図
【
図6】同担架載置スライド材が収納位置にあるときの担架載置具を示す図
【
図7】同担架載置スライド材がスライド途中の担架載置具を示す図
【
図8】同担架載置スライド材が取出し位置にあるときの担架載置具を示す図
【
図9】同浴槽載置スライド材及び担架載置スライド材が収納位置にあるときの浴槽載置具と担架載置具を示す図
【
図10】同浴槽載置スライド材及び担架載置スライド材がスライド途中の浴槽載置具と担架載置具を示す図
【
図11】同浴槽載置スライド材及び担架載置スライド材が取出し位置にあるときの浴槽載置具と担架載置具を示す図
【
図12】同訪問入浴車において浴槽載置スライド材及び担架載置スライド材を取り出し位置へスライドさせた状態を示す図
【
図13】本発明の他の実施例による収納台を示す斜視図
【
図15】同浴槽及び担架が載置された収納台を示す図
【
図16】同訪問入浴車において浴槽載置スライド材及び担架載置スライド材が収納位置にある状態を示す図
【
図17】同訪問入浴車において浴槽載置スライド材及び担架載置スライド材を取り出し位置へスライドさせた状態を示す図
【
図19】浴槽の脚を担架の桟よりも上方に位置させた状態で収納する収納台を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施の形態による収納台は、訪問入浴車に設置され浴槽と担架の収納に用いられる収納台であって、浴槽を載せる浴槽載置具と、担架を載せる担架載置具とを隣接して備え、浴槽載置具は、浴槽載置レール材と、上面に浴槽が載り浴槽載置レール材に沿って収納位置と取出し位置との間をスライドする浴槽載置スライド材とを有し、担架載置具は、担架載置レール材と、上面に担架が載り担架載置レール材に沿って収納位置と取出し位置との間をスライドする担架載置スライド材とを有し、浴槽載置スライド材は、収納位置にあるときも取出し位置にあるときも水平であり、担架載置スライド材は、収納位置にあるときは水平であり、取出し位置にあるときは収納位置にあるときよりも下方へ傾斜した状態である。
本実施の形態によれば、浴槽と担架のどちらからでも収納及び取出しを行うことができる。
【0017】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による収納台において、浴槽載置スライド材及び担架載置スライド材が収納位置にあるとき、浴槽載置スライド材の上面は、担架載置スライド材の上面に載置された担架の上面よりも下方に位置するものである。
本実施の形態によれば、浴槽の収納高さを下げることができる。
【0018】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による収納台において、担架載置レール材は、訪問入浴車に設置された状態において水平となる水平部と、水平部の取出し位置側の端部と連接し訪問入浴車に設置された状態において水平部よりも下方へ傾斜した状態となる取出位置側傾斜部と、水平部の収納位置側の端部と連接し訪問入浴車に設置された状態において水平部よりも下方へ傾斜した状態となる収納位置側傾斜部とを有し、担架載置スライド材は、担架載置スライド材上面から担架載置レール材と接する担架載置スライド材の下面までの高さが取出し位置側よりも収納位置側で大きく、収納位置にあるとき、担架載置スライド材の収納位置側の下面は収納位置側傾斜部の下端の高さに位置するものである。
本実施の形態によれば、取出し位置における担架載置スライド材の傾斜角度を大きくすることができる。
【0019】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による収納台において、担架載置スライド材の下面に、収納位置側に位置する一方のローラと、取出し位置側に位置する他方のローラを有し、担架載置スライド材が収納位置にあるとき、一方のローラは、他方のローラよりも下方に位置するものである。
本実施の形態によれば、取出し位置における担架載置スライド材の傾斜角度をより大きくすることができる。
【0020】
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態による収納台において、担架載置スライド材の一方のローラと他方のローラとの間隔が担架載置レール材の水平部の長さよりも大きいものである。
本実施の形態によれば、一方のローラと他方のローラが同時に水平部に位置することが無いため、担架載置スライド材の下方へのスライド動作を緩やかなものとして安全性を高めることができる。
【0021】
本発明の第6の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による収納台において、取出し位置側に担架載置スライド材の一部を支持する支持材を備え、担架載置スライド材は、収納位置側の端部を回動中心として回動可能であり、収納位置にあるときは支持材によって取出し位置側が支持されることにより水平を維持し、取出し位置へのスライドに伴い支持材によって支持される箇所が収納位置側となり下方へ傾斜するものである。
本実施の形態によれば、担架載置スライド材を、取出し位置側にあるときは自重を利用して下方へ傾斜させることができる。
【0022】
本発明の第7の実施の形態による訪問入浴車は、第1から第6のいずれか一つの実施の形態による収納台が設置されているものである。
本実施の形態によれば、浴槽と担架のどちらからでも収納及び取出しを行うことができる収納台を備えた訪問入浴車を提供することができる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の一実施例による収納台及び訪問入浴車について説明する。
図1は本実施例による収納台4を備えた訪問入浴車1の荷室1Aを示す図である。
訪問入浴車1は、運転席のすぐ後方に設けられた荷室1Aと、荷室1A用の扉を車両後面に有した、いわゆるバンやワンボックスカーなどと呼ばれるタイプの車両である。
荷室1Aには、浴槽2、担架3、ボイラ、水タンク5、及びホースリール6等の備品が載置される。このような様々な備品を限られたスペースに載せるためには、できるだけ無駄な空間が生じないように、各備品の載置場所を工夫する必要がある。そこで、荷室1Aのスペースを有効活用するための手段として、浴槽2と担架3を一緒に収納できる収納台4を設けている。収納台4は、水タンク5の上方に設置されている。水タンク5よりも車両後方側にはホースリール6が二つ載置されている。
収納台4には、担架3の一対のフレーム3A、3B間に浴槽2の脚2Aが位置する状態で収納され、担架3のフレーム3A、3B間に架け渡された桟3Cは、浴槽2の脚2Aよりも取出し側に位置する。浴槽2は、長手方向の略中央で一方の浴槽部2Bと他方の浴槽部2Cに分割し、一方の浴槽部2Bと他方の浴槽部2Cを重ねて収納台4に収納することができる。また、担架3は、二つに折り畳んで収納台4に収納することができる。このように収納することで、浴槽2と担架3の所要収納寸法を小さくすることができる。
【0024】
浴槽2と担架3は、入浴サービスを行う際に訪問入浴車1から降ろされる。入浴サービスの従事者は、一方の浴槽部2Bと他方の浴槽部2Cを一体化し、折り畳まれた担架3を展開して浴槽2の上部に設置し、担架3にシートを張る。そして、入浴者を乗せたシートを上下動させることで、入浴者の身体を浴槽2内のお湯に深く入れたり浅く入れたりすることができる。
【0025】
図2は収納位置にある収納台4を示す図であり、
図2(a)は正面図、
図2(b)は左側面図、
図2(c)は上面図、
図2(d)は斜視図である。
収納台4は、浴槽2を載せる浴槽載置具10と、担架3を載せる担架載置具20を備える。
浴槽載置具10は、一方の浴槽載置具10Aと、他方の浴槽載置具10Bとからなる。浴槽2は、一方の浴槽載置具10Aと他方の浴槽載置具10Bに跨って載置される。一方の浴槽載置具10Aと他方の浴槽載置具10Bとの間隔は、浴槽2の寸法を考慮して決定される。
担架載置具20は、一方の担架載置具20Aと、他方の担架載置具20Bとからなる。担架3は、一方の担架載置具20Aと他方の担架載置具20Bに跨って載置される。一方の担架載置具20Aと他方の担架載置具20Bとの間隔は、担架3の寸法を考慮して決定される。
一方の浴槽載置具10Aと他方の浴槽載置具10Bは、一方の担架載置具20Aと他方の担架載置具20Bとの間に配置されている。一方の担架載置具20Aの内側には一方の浴槽載置具10Aが隣接し、他方の担架載置具20Bの内側には他方の浴槽載置具10Bが隣接している。
【0026】
一方の浴槽載置具10Aと他方の浴槽載置具10Bは、それぞれ、浴槽載置レール材11と、浴槽載置レール材11に沿って収納位置と取出し位置との間をスライドする浴槽載置スライド材12を有する。訪問入浴車1に対する浴槽載置レール材11の位置は固定である。
一方の担架載置具20Aと他方の担架載置具20Bは、それぞれ、担架載置レール材21と、担架載置レール材21に沿って収納位置と取出し位置との間をスライドする担架載置スライド材22を有する。一方の担架載置具20Aには、スライド用の把手23が設けられている。
本実施例では、浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22のスライド方向が車両前後方向となるように収納台4を設置しているため、取出し位置は収納位置よりも車両後方側となる。なお、荷室1A用の扉を車両側面に有する車両の場合等は、浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22のスライド方向が車両左右方向となるように収納台4を設置し、取出し位置を収納位置よりも車両側方側とすることもできる。
【0027】
浴槽2は、浴槽載置スライド材12の上面12Aに載せられる。また、担架3は担架載置スライド材22の上面22Dに載せられる。
浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が収納位置にあるときは、浴槽載置スライド材12の上面12Aも担架載置スライド材22の上面22Dも略水平である。浴槽載置スライド材12の上面12Aは、担架載置スライド材22の上面22Dよりも下方に位置する。
【0028】
浴槽載置具10は、収納位置側に架け渡された収納位置側架橋材13と、取出し位置側に架け渡された取出位置側架橋材14を有する。
収納位置側架橋材13は、訪問入浴車1に設置された状態において略水平となる頂部の両側が傾斜した山型形状であり、一端が一方の浴槽載置具10Aの浴槽載置スライド材12に接続し、他端が他方の浴槽載置具10Bの浴槽載置スライド材12に接続している。収納位置側架橋材13の頂部は、浴槽載置スライド材12の上面12Aよりも高い位置にある。
収納位置側架橋材13の頂部には、支持板15が立設している。支持板15は、上方に延出した鉛直壁15Aと、鉛直壁15Aの上端から取出し位置側へ向けて略水平に延出した水平壁15Bとを有する。
取出位置側架橋材14は、浴槽2のU字型の脚2Aを載せる脚支持板14Aと、脚支持板14Aよりも取出し位置側に設けられた斜板14Bとを有する。
脚支持板14Aは、一端が一方の浴槽載置具10Aの浴槽載置スライド材12に接続し、他端が他方の浴槽載置具10Bの浴槽載置スライド材12に接続している。訪問入浴車1に設置された状態において脚支持板14Aの上面は略水平となる。
斜板14Bは、訪問入浴車1に設置された状態において上端よりも下端が取出し側に突出した傾斜状態となる。斜板14Bの上端は、脚支持板14Aの上面よりも上方に位置する。浴槽2を浴槽収納具に載せる際、U字型の脚2Aは斜板14Bを押し越えて脚支持板14Aの上面へ移動する。
また、取出位置側架橋材14の両端近傍の浴槽載置レール材11には、浴槽載置スライド材12の取出位置と収納位置を決め、取出位置側架橋材14の上方を覆う覆い板16が設けられている。
【0029】
一方の担架載置具20Aと他方の担架載置具20Bは、それぞれ、弾性力を有するコ型の担架保持具24を上面に有する。担架保持具24は、一対の保持片で担架3を両側から挟みこんで保持する。担架保持具24は、収納位置側と取付け位置側に一つずつ設けられている。
【0030】
図3はスライドさせた状態の収納台4を示す図であり、
図3(a)は正面図、
図3(b)は左側面図、
図3(c)は上面図、
図3(d)は斜視図である。
浴槽載置スライド材12は、収納位置と取出し位置との間を略水平にスライドする。一方、担架載置スライド材22は、取出し時は所定位置まで略水平にスライドした後に斜め下方へスライドし、収納時は所定位置まで斜め上方へスライドした後に略水平にスライドする。
従って、取出し位置において、浴槽載置スライド材12は略水平となり、担架載置スライド材22は下方へ傾斜した状態となる。
【0031】
図4は浴槽2及び担架3が載置され浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が取出し位置にあるときの収納台4を示す図であり、
図4(a)は正面図、
図4(b)は左側面図、
図4(c)は上面図、
図4(d)は斜視図である。
分割された一方の浴槽部2Bと他方の浴槽部2Cは重ねられ、分割側を収納位置側に向けて浴槽載置スライド材12に載せられる。この状態において、一方の浴槽部2Bの底は支持板15の水平壁15Bの下面に近接して位置する。また、他方の浴槽部2Cの両側に接続したU字型の脚2Aは、脚支持板14Aの上面と接している。
収納された浴槽2は、収納位置側は支持板15と、取出し位置側は斜板14Bと当接することで動きが規制される。これにより、収納された浴槽2の位置が車両の振動や浴槽載置スライド材12のスライド動作等によってずれることを防止できる。
【0032】
担架3は、二つに折り畳まれ、桟3Cを取出し側位置に向けて担架載置スライド材22に載せられる。この状態において、担架3の桟3Cは、浴槽2の脚2Aよりも取出し側にあるが、浴槽2の脚2Aよりも下方に位置する。よって、浴槽2を引き出しても浴槽2の脚2Aは担架3と干渉しない。このため、担架3が担架載置スライド材22に載せられた状態であっても、浴槽2を取り出したり収納したりすることが可能、すなわち、浴槽2と担架3のどちらからでも収納及び取出しが可能となる。
なお、担架3は、担架保持具24によって保持されているため、下方へ滑り落ちることは無く、車両の振動等によって収納位置からずれることも無い。
【0033】
図5は浴槽2及び担架3が載置され浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が収納位置にあるときの収納台4を示す図であり、
図5(a)は正面図、
図5(b)は左側面図、
図5(c)は上面図、
図5(d)は斜視図である。
上述のように、浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が収納位置にあるときは、浴槽載置スライド材12の上面12Aは、担架載置スライド材22の上面22Dよりも下方に位置し、担架載置スライド材22の上面22Dに横倒しに載置された担架3の上面よりも下方に位置することとなる。
これにより、浴槽2の収納高さを低くすることができ、この高さのまま取出し位置へスライドさせることができるので、重量物である浴槽2を収納又は取出す際の安全性及び作業性を向上させることができる。
なお、この状態では、担架3の桟3Cが浴槽2の脚2Aよりも取出し側の上方に位置する。このため、浴槽2を引き出そうとしても浴槽2の脚2Aが担架3の桟3Cと干渉し、引き出すことができない。
【0034】
図6は担架載置スライド材22が収納位置にあるときの担架載置具20を示す図であり、
図6(a)は上面図、
図6(b)は左側面図、
図6(c)は斜視図である。
図7は担架載置スライド材22がスライド途中の担架載置具20を示す図であり、
図7(a)は上面図、
図7(b)は左側面図、
図7(c)は斜視図である。
図8は担架載置スライド材22が取出し位置にあるときの担架載置具20を示す図であり、
図8(a)は上面図、
図8(b)は左側面図、
図8(c)は斜視図である。なお、
図6から
図8では一方の担架載置具20Aを示しているが、他方の担架載置具20Bの構成も基本的に同様である。
【0035】
担架載置レール材21は、水平部21Aと、水平部21Aの取出し位置側の端部と連接した取出位置側傾斜部21Bと、水平部21Aの収納位置側の端部と連接した収納位置側傾斜部21Cを有する。
訪問入浴車1に設置された状態において、水平部21Aは略水平であり、取出位置側傾斜部21B及び収納位置側傾斜部21Cは水平部21Aよりも下方へ傾斜した状態である。また、担架載置レール材21は、収納位置側傾斜部21Cの下端から収納位置にかけて略水平な収納位置水平部21Dを有する。収納位置水平部21Dの水平長さは、水平部21Aの水平長さよりも短い。
担架載置スライド材22は、収納位置にあるときは上面22Dが略水平となる。
担架載置スライド材22は、下面22Eが、担架載置レール材21の収納位置水平部21D、収納位置側傾斜部21C、水平部21A、及び取出位置側傾斜部21Bに接した状態でスライドする。
担架載置スライド材22は、取出し位置側の上面22Dから下面22Eまでの高さH1が、収納位置側の上面22Dから下面22Eまでの高さH2よりも大きくなっており、収納位置にあるとき、担架載置スライド材22の収納位置側の下面22Eは、収納位置側傾斜部21Cの下端の高さに位置する。このように高さH1を高さH2よりも大きくすることで、取出し位置側にスライドさせたときの担架載置スライド材22の傾斜角度を大きくすることができる。
【0036】
担架載置スライド材22の下面22Eには、一方のローラ30と他方のローラ31が設けられている。一方のローラ30は高さH1を有する収納位置側に位置し、他方のローラ31は高さH2を有する取出し位置側に位置する。一方のローラ30の位置及び他方のローラ31の位置は、担架載置スライド材22に対して固定である。また、一方のローラ30と他方のローラ31の大きさは同じである。
担架載置レール材21には、収納位置側から取出し位置側に亘って、ローラ案内孔21Eが設けられている。ローラ案内孔21Eは、水平部21A及び収納位置水平部21Dでは略水平であり、取出位置側傾斜部21B及び収納位置側傾斜部21Cではそれらと同様に傾斜している。ローラ案内孔21Eは、担架載置レール材21の左右を貫通した孔であり、担架載置スライド材22の一方のローラ30と他方のローラ31を受け入れる。担架載置レール材21と担架載置スライド材22を組み合わせた状態において、ローラ軸がローラ案内孔21Eに通されたローラ30、31は、担架載置レール材21に従って転動する。なお、担架載置スライド材22のローラ30、31をローラ案内孔21Eに嵌合し、ローラ案内孔21Eに沿って転動させることもできる。
【0037】
担架載置スライド材22が収納位置にあるとき、一方のローラ30は収納位置水平部21Dに位置し、他方のローラ31は水平部21Aに位置する。担架載置レール材21が収納位置側傾斜部21Cを有していることにより、担架載置スライド材22は、収納位置にあるとき、一方のローラ30の位置が他方のローラ31の位置よりも収納位置側傾斜部21Cの高低差分だけ低くなり、上面22Dが略水平となる。このとき、一方のローラ30も他方のローラ31も担架載置レール材21の略水平な箇所に位置しているため、担架3の収納状態が安定する。
また、他方のローラ31は、担架載置スライド材22が収納位置にあるときに、水平部21Aのうち出来るだけ収納位置側の端部寄りに位置するように設けることが好ましい。これにより、担架載置スライド材22のストロークを長くすることができる。
【0038】
また、一方のローラ30と他方のローラ31との間隔は、担架載置レール材21の水平部21Aの長さよりも大きいことが好ましい。これにより、
図7に示すように、担架載置スライド材22を取出し位置へスライドさせる際において、他方のローラ31が取出位置側傾斜部21Bに差し掛かったときに一方のローラ30は収納位置側傾斜部21Cに位置し、一方のローラ30と他方のローラ31が同時に水平部21Aに位置することが無いため、担架載置スライド材22の下方へのスライド動作を緩やかなものとして安全性を高めることができる。
【0039】
また、一方のローラ30は、
図8に示すように、担架載置スライド材22が取出し位置にあるとき、水平部21Aに位置するように設けることが好ましい。これにより、取出し位置における担架載置スライド材22の傾斜角度をより大きくして作業性を高めることができる。
【0040】
また、担架載置レール材21は、取出位置側傾斜部21Bの傾斜角度を、収納位置側傾斜部21Cの傾斜角度よりも小さくすることが好ましい。これにより、担架載置スライド材22の下方への傾斜を緩やかなものとして安全性を高めることができる。
また、担架載置レール材21において、担架載置スライド材22の取出し位置側の上面22Dから下面22Eまでの高さH1を大きくすると、取出し位置における担架載置スライド材22の傾斜角度をより大きくできる。
【0041】
図9は浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が収納位置にあるときの浴槽載置具10と担架載置具20を示す図であり、
図9(a)は上面図、
図9(b)は左側面図、
図9(c)は斜視図である。
図10は浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22がスライド途中の浴槽載置具10と担架載置具20を示す図であり、
図10(a)は上面図、
図10(b)は左側面図、
図10(c)は斜視図である。
図11は浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が取出し位置にあるときの浴槽載置具10と担架載置具20を示す図であり、
図11(a)は上面図、
図11(b)は左側面図、
図11(c)は斜視図である。なお、
図9から
図11では一方の浴槽載置具10Aと一方の担架載置具20Aを示しているが、他方の浴槽載置具10Bと他方の担架載置具20Bの構成も基本的に同様である。
【0042】
浴槽載置レール材11は、訪問入浴車1に設置された状態において上面が略水平となる。浴槽載置レール材11には、ローラ50が複数設けられている。ローラ50の位置は、取出し位置側と、取出し位置と収納位置との中間よりもやや取出し位置側寄りの二箇所であり、それぞれ二つずつ設けられている。各ローラ50の位置は、浴槽載置レール材11に対して固定である。また、複数のローラ50同士の大きさは同じである。
浴槽載置スライド材12は、ローラ50と接した状態でスライドする。これにより、浴槽載置スライド材12を円滑にスライドさせることができる。
【0043】
収納台4は、浴槽載置スライド材12と担架載置スライド材22とを繋げる繋ぎ具40を有する。浴槽載置スライド材12と担架載置スライド材22が繋ぎ具40によって繋がれていることで、浴槽載置スライド材12と担架載置スライド材22を一体的にスライドさせることができる。
また、繋ぎ具40として、収納位置側に第一の繋ぎ具41を設け、取出し位置側に第二の繋ぎ具42を設けている。このように収納位置側と取出し位置側の両方に繋ぎ具40を設けることで、浴槽載置スライド材12と担架載置スライド材22をより安定的にスライドさせることができると共に、担架載置スライド材22が取出し位置において傾斜した状態をしっかりと保つことができる。
【0044】
繋ぎ具40は、リンクとジョイントからなるリンク機構であることが好ましい。リンクの一端は浴槽載置スライド材12に設けられたジョイントと接続し、リンクの他端は担架載置スライド材22に設けられたジョイントと接続している。スライドの際、浴槽載置スライド材12が略水平を保つのに対して、担架載置スライド材22は角度が変わるため両者の位置関係が変化するが、繋ぎ具40をリンク機構とすることで位置関係の変化にスムーズに追随させることができる。
【0045】
図12は訪問入浴車1において浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22を取り出し位置へスライドさせた状態を示す図である。
図12に示すように、ホースリール6よりも取出し側において担架載置スライド材22を下方へ傾斜させ、浴槽2と担架3のどちらからでも収納及び取出しを行えるため、従事者の安全性及び作業性を向上させることができる。
【0046】
次に、本発明の他の実施例による収納台及び訪問入浴車について説明する。なお、上記した実施例と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
図13は収納台4を示す斜視図であり、
図13(a)は浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が収納位置にある状態を示し、
図13(b)は浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が取出し位置にある状態を示している。
浴槽載置具10は、一方の浴槽載置具10Aと、他方の浴槽載置具10Bとからなる。担架載置具20は、一方の担架載置具20Aと、他方の担架載置具20Bとからなる。
一方の浴槽載置具10Aと他方の浴槽載置具10Bは、一方の担架載置具20Aと他方の担架載置具20Bとの間に配置されている。一方の担架載置具20Aの内側には一方の浴槽載置具10Aが隣接し、他方の担架載置具20Bの内側には他方の浴槽載置具10Bが隣接している。
【0047】
一方の浴槽載置具10Aと他方の浴槽載置具10Bは、それぞれ、浴槽載置レール材11と、浴槽載置レール材11に沿って収納位置と取出し位置との間をスライドする浴槽載置スライド材12を有する。訪問入浴車1に対する浴槽載置レール材11の位置は固定である。
一方の担架載置具20Aと他方の担架載置具20Bは、それぞれ、担架載置レール材21と、担架載置レール材21に沿って収納位置と取出し位置との間をスライドする担架載置スライド材22を有する。なお、本実施例では、浴槽載置レール材11が担架載置レール材21を兼ねている。
浴槽載置レール材11(担架載置レール材21)は、訪問入浴車1に対する位置が固定された基部11Aと、収納位置側と取出し位置側との間を直線的に往復動する直動部11Bを有し、基部11Aに対する直動部11Bの出し入れにより伸縮させることができる。すなわち、浴槽載置レール材11(担架載置レール材21)は、直動部11Bを基部11Aから突出させることで長さを伸ばし、直動部11Bを基部11Aに納めることで長さを縮めることができる。なお、一方の浴槽載置具10A側の基部11Aと他方の浴槽載置具10B側の基部11Aは、取出し位置側に配置された下方架橋材11Cを介して接続されている。
また、直動部11Bは浴槽載置スライド材12とビス等により接続されており、浴槽載置スライド材12は、浴槽載置レール材11(担架載置レール材21)を伸ばすことで取出し位置側にスライドし、浴槽載置レール材11(担架載置レール材21)を縮めることで収納位置側にスライドする。
また、一方の担架載置具20Aと他方の担架載置具20Bの取出し位置側には、棒状把手25が架け渡されている。棒状把手25は、一端が一方の担架載置具20Aの担架載置スライド材22の下部に接続し、他端が他方の担架載置具20Bの担架載置スライド材22の下部に接続している。浴槽載置スライド材12の取出し位置側の下面には半円状の切欠き17が形成されており、担架載置スライド材22が収納位置にあるときは、切欠き17に棒状把手25が嵌るようになっている。
【0048】
浴槽2は、浴槽載置スライド材12の上面12Aに載せられる。また、担架3は担架載置スライド材22の上面22Dに載せられる。
浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が収納位置にあるときは、浴槽載置スライド材12の上面12Aも担架載置スライド材22の上面22Dも略水平であり、浴槽載置スライド材12の上面12Aの高さは、担架載置スライド材22の上面22Dの高さと略等しい。
【0049】
浴槽載置具10は、収納位置側に架け渡された収納位置側架橋材13と、取出し位置側に架け渡された取出位置側架橋材14を有する。
収納位置側架橋材13は、訪問入浴車1に設置された状態において略水平となり、一端が一方の浴槽載置具10Aの浴槽載置スライド材12に接続し、他端が他方の浴槽載置具10Bの浴槽載置スライド材12に接続している。
収納位置側架橋材13には、支持板15が立設している。支持板15は、上方に延出した鉛直壁15Aと、鉛直壁15Aの上端から取出し位置側へ向けて略水平に延出した水平壁15Bとを有する。
取出位置側架橋材14は、浴槽2のU字型の脚2Aを載せる脚支持板14Aと、脚支持板14Aよりも取出し位置側に設けられた斜板14Bとを有する。
【0050】
一方の担架載置具20Aの担架載置スライド材22と他方の担架載置具20Bの担架載置スライド材22は、それぞれ、上面22Dよりも上方に突出した突片26を有する。突片26は、収納位置側の外側と取出し位置側の内側に設けられ、担架3を両側から挟みこんで保持する。
【0051】
本実施例における収納台4は、担架載置スライド材22の収納位置側の端部と収納位置側架橋材13の側端を接続している。また、上述のように収納位置側架橋材13は浴槽載置スライド材12と接続している。これにより、浴槽載置スライド材12と担架載置スライド材22を一体的にスライドさせることができる。
担架載置スライド材22と収納位置側架橋材13との接続には、継手60を介している。継手60は、浴槽載置スライド材12の側端から側方へ突出した断面が円形の軸61と、上部に軸61が貫入される孔62が形成され下部が浴槽載置スライド材12の側面に接続された接続体63を有する。
一方、担架載置スライド材22の取出し位置側の端部は、浴槽載置スライド材12に接続していない。これにより、担架載置スライド材22は、収納位置側の端部を回動中心(回転軸)として回動可能となっている。
【0052】
また、収納台4は、担架載置スライド材22の一部を下方から支持する支持材70を、一方の担架載置具20A側と他方の担架載置具20B側にそれぞれ備える。ここで
図14は収納台4のうち支持材70周辺の拡大図である。支持材70が点で担架載置スライド材22を支持するように、支持材70の長さは担架載置スライド材22の長さよりも十分に短くしている。
訪問入浴車1に対する支持材70の位置は固定である。支持材70は、担架載置スライド材22が収納位置にあるときに担架載置スライド材22の取出し位置側の端部を支持し、担架載置スライド材22が取出し位置にあるときに担架載置スライド材22の収納位置側の端部を支持するように、取出し位置側に配置されている。
担架載置スライド材22は、収納位置にあるときは支持材70によって取出し位置側が支持されることにより水平を維持するが、取出し位置へのスライドに伴い支持材70によって支持される箇所が徐々に収納位置側になると、自重によって下方へ傾斜する。担架載置スライド材22の傾斜角度は、支持材70との当たり度合で決定される。
また、支持材70は担架載置スライド材22の下面と接するガイドローラ71を有する。ガイドローラ71は、担架載置スライド材22がスライドする際に下面との接触によってその場で回転する。これにより、担架載置スライド材22をスムーズにスライドさせることができる。
【0053】
図15は浴槽2及び担架3が載置された収納台4を示す図であり、
図15(a)、(b)は浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が収納位置にあるときの左側面図と斜視図、
図15(c)は浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が取出し位置にあるときの左側面図である。
分割された一方の浴槽部2Bと他方の浴槽部2Cは重ねられ、分割側を収納位置側に向けて浴槽載置スライド材12に載せられる。この状態において、他方の浴槽部2Cの両側に接続したU字型の脚2Aは、脚支持板14Aの上面と接している。
【0054】
浴槽2は、浴槽載置スライド材12の上面12Aに載せられる。また、担架3は、二つに折り畳まれ、桟3Cを取出し側位置に向けて担架載置スライド材22の上面22Dに載せられる。この状態において、担架3の桟3Cは、浴槽2の脚2Aよりも取出し側にある。
浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が収納位置にあるときは、浴槽載置スライド材12の上面12Aも担架載置スライド材22の上面22Dも略水平である。このとき浴槽載置スライド材12の上面12Aは、担架載置スライド材22の上面22Dとほぼ同じ高さに位置するため、担架載置スライド材22の上面22Dに横倒しに載置された担架3の上面よりも下方に位置することとなる。
これにより、浴槽2の収納高さを低くすることができ、この高さのまま取出し位置へスライドさせることができるので、重量物である浴槽2を収納又は取出す際の安全性及び作業性を向上させることができる。
また、浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が収納位置にある状態では、担架3の桟3Cが浴槽2の脚2Aよりも取出し側の上方に位置する。このため、浴槽2を引き出そうとしても浴槽2の脚2Aが担架3の桟3Cと干渉し、引き出すことができない。
【0055】
一方、浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が取出し位置にあるときは、担架3の桟3Cは、浴槽2の脚2Aよりも取出し側にあるが、浴槽2の脚2Aよりも下方に位置する。よって、浴槽2を引き出しても浴槽2の脚2Aは担架3と干渉しない。このため、担架3が担架載置スライド材22に載せられた状態であっても、浴槽2を取り出したり収納したりすることが可能、すなわち、浴槽2と担架3のどちらからでも収納及び取出しが可能となる。
なお、担架3は、突片26によって保持されているため、下方へ滑り落ちることは無く、車両の振動等によって収納位置からずれることも無い。
【0056】
図16は訪問入浴車1において浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22が収納位置にある状態を示す図であり、
図16(a)は右側面図、
図16(b)は斜視図である。また、
図17は訪問入浴車1において浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22を取り出し位置へスライドさせた状態を示す図であり、
図17(a)は右側面図、
図17(b)は斜視図である。
図16及び
図17においては訪問入浴車1の図示を省略しているが、上記した実施例と同様に、浴槽載置スライド材12及び担架載置スライド材22のスライド方向が車両前後方向となるように収納台4を設置することで、取出し位置は収納位置よりも車両後方側となる。なお、取出し位置を収納位置よりも車両側方側とすることもできる。
図16に示すように、収納時には浴槽2及び担架3を略水平に保持することができる。また、
図17に示すように、取出し時には、ホースリール6よりも取出し側において担架載置スライド材22を下方へ傾斜させ、浴槽2と担架3のどちらからでも収納及び取出しを行えるため、従事者の安全性及び作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 訪問入浴車
2 浴槽
3 担架
4 収納台
10 浴槽載置具
11 浴槽載置レール材
12 浴槽載置スライド材
12A 浴槽載置スライド材の上面
20 担架載置具
21 担架載置レール材
21A 水平部
21B 取出位置側傾斜部
21C 収納位置側傾斜部
22 担架載置スライド材
22D 担架載置スライド材の上面
22E 担架載置スライド材の下面
30 一方のローラ
31 他方のローラ
40 繋ぎ具
70 支持材