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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】コンテナ収納移動型風力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/20 20160101AFI20240208BHJP
   F03D 13/40 20160101ALI20240208BHJP
   F03D 3/06 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
F03D13/20
F03D13/40
F03D3/06 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020162167
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054905
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 龍介
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0326846(US,A1)
【文献】特開2000-097145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00-80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナと、このコンテナに収納可能な風車と、この風車で駆動されて発電する発電機とを備えたコンテナ収納移動型風力発電装置であって、
前記コンテナの壁に上下動可能なスライダを有する直動案内装置が設置され、
前記風車は、支柱の上端に回転翼が設けられ前記支柱の下端に前記スライダに固定可能な支柱下端部材を有し、この支柱下端部材を前記スライダに固定した状態で前記スライダと共に上下動可能であり、
前記スライダにガイド部材が設けられ、前記支柱下端部材のボルト相通孔に相通されたボルトを前記ガイド部材に設けられたねじ孔にねじ込むことで前記風車を前記スライダに固定可能であり、
前記支柱下端部材が前記スライダに未固定の状態で、前記支柱下端部材の前記ボルト相通孔が前記ガイド部材の前記ねじ孔と整合する位置および姿勢に前記支柱下端部材を案内する取付ガイド部が設けられた、
コンテナ収納移動型風力発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテナ収納移動型風力発電装置において、前記取付ガイド部が、軸部およびこの軸部よりも大径の頭部を有する段付きボルトと、前記支柱下端部材に設けられて下部が前記段付きボルトの前記頭部が通過可能な大径部とされ上部が前記段付きボルトの前記軸部が通過可能で前記頭部が通過不能な幅の幅狭部となっただるま穴と、前記支柱下端部材の下面を受ける受け部およびこの受け部の反コンテナ側端から立ち上がって前記支柱下端部材の反コンテナ側面に係合するつば部を有するつば付き段差部とでなるコンテナ収納移動型風力発電装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンテナ収納移動型風力発電装置において、前記風車が上下方向軸心回りで回転自在に設置された中央回転部材およびこの中央回転部材の周囲で上下に延びる複数の翼を有する垂直型の風車であるコンテナ収納移動型風力発電装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコンテナ収納移動型風力発電装置において、前記コンテナの上部および前記風車の前記支柱の下部に上下の被係合部が設けられ、これら上下の被係合部に係合する上下のフック部を有しこれらフック部の間隔を変更する巻き上げ機を備えるコンテナ収納移動型風力発電装置。
【請求項5】
請求項4に記載のコンテナ収納移動型風力発電装置において、前記巻き上げ機が電動巻き上げ機であるコンテナ収納移動型風力発電装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンテナに風車を収納して移動できるコンテナ収納移動型風力発電装置に関し、未電化地域や災害等の被災地域での電力供給源として簡易に設置できるとともに、容易に固定できるコンテナ収納移動型風力発電装置に係る。
【背景技術】
【0002】
未電化地域や災害等の被災地域での電力供給を行うための電源システムの要件としては、輸送の容易性と、設置の容易性、発電能力が重要である。この要望に応じる風力発電装置として、規格寸法の輸送用のコンテナに垂直型の風車を収納して移動できるコンテナ収納移動型の風力発電装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-60113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコンテナ収納移動型風力発電装置は、輸送の容易性、設置の容易性、および発電能力のいずれにおいても優れている。
このような風力発電装置において、より一層の設置の容易性を図るため、未公開の提案例として図10に示すように、コンテナ101の壁に直動案内装置111を設け、この直動案内装置111の上下動可能なスライダに風車102の支柱106の下端を取り付けることを考えた。この提案例では、風車102を直動案内装置111に取り付ける際、図11に示すようにハンドリフト140などを使用して風車102を取付位置まで持っていく。
【0005】
図12に分解斜視図で示すように、風車102の支柱106の下端を直動案内装置111のスライダ112に取り付けるには、支柱106の下端に支柱下端部材110を設けておき、支柱下端部材110に設けたボルト相通孔118に相通したボルト(図示せず)を、スライダ112に設けられたねじ孔117にねじ込むことで固定する。
【0006】
しかし、直動案内装置111のスライダ112とボルト固定する場合、地面の凹凸などで風車102が傾き、ボルト相通孔118とねじ孔117の位置が合わずに取付に時間がかかることがある。
また、直動案内装置111にボルト固定し、前記ハンドリフト140などで風車102を上にあげた後、固定強度を上げるために風車102をコンテナ101とボルト固定する場合、風車102とコンテナ101の孔位置が合わずに取付に時間がかかることがある。
【0007】
この発明の目的は、輸送の容易性、および設置の容易性に優れ、特に風車の支柱の下端を直動案内装置のスライダにボルト固定するときに、ねじ孔の位置が合わずに取付に時間がかかることが解消できて、設置の容易性がより一層優れたコンテナ収納移動型風力発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のコンテナ収納移動型風力発電装置は、コンテナと、このコンテナに収納可能な風車と、この風車で駆動されて発電する発電機とを備え、
前記コンテナの壁に上下動可能なスライダを有する直動案内装置が設置される。
前記風車は、支柱の上端に回転翼が設けられ前記支柱の下端に前記スライダに固定可能な支柱下端部材を有し、この支柱下端部材を前記スライダに固定した状態で前記スライダと共に上下動可能である。
前記スライダにガイド部材が設けられ、前記支柱下端部材のボルト相通孔に相通されたボルトを前記ガイド部材に設けられたねじ孔にねじ込むことで前記風車を前記スライダに固定可能である。
前記支柱下端部材が前記スライダに未固定の状態で、前記支柱下端部材の前記ボルト相通孔が前記ガイド部材の前記ねじ孔と整合する位置および姿勢に前記支柱下端部材を案内する取付ガイド部が設けられる。
【0009】
この構成によると、コンテナに格納された風力発電機の風車をより容易に展開することができるようになり、災害等の被災地域でも直ちに電力需要に応えることができる。
コンテナの壁に上下動可能なスライダを有する直動案内装置が設置され、前記風車は、支柱の下端に前記スライダに固定可能な支柱下端部材を有し、この支柱下端部材を前記スライダに固定した状態で前記スライダと共に上下動可能であり、また支柱下端部材のボルト相通孔に相通されたボルトを前記ガイド部材に設けられたねじ孔にねじ込むことで前記風車を前記スライダに固定可能であるため、設置作業が容易である。
特に、前記支柱下端部材が前記スライダに未固定の状態で、前記支柱下端部材の前記ボルト相通孔が前記ガイド部材の前記ねじ孔と整合する位置および姿勢に前記支柱下端部材を案内する取付ガイド部が設けられているため、風車を直動案内装置のねじ孔にボルト固定するときに、風車の支柱下端部材が取付ガイド部で案内されて支柱下端部材のボルト相通孔がスライダのねじ孔と整合する。そのため、ねじ孔の位置が合わずに取付に時間がかかることが解消できて、設置がより一層容易となる。
なお、風車を直動案内装置の案内でコンテナの上部に位置させ、この位置が維持されるようにコンテナをボルト固定する構成を採用する場合も、風車の姿勢が前記取付ガイド部で垂直姿勢が出ているため、この位置でもねじ孔の位置が合い易く、ボルト固定が非常に簡単になる。
【0010】
この発明において、前記取付ガイド部が、軸部およびこの軸部よりも大径の頭部を有する段付きボルトと、前記支柱下端部材に設けられて下部が前記段付きボルトの前記頭部が通過可能な大径部とされ上部が前記段付きボルトの前記軸部が通過可能で前記頭部が通過不能な幅の幅狭部となっただるま穴と、前記支柱下端部材の下面を受ける受け部およびこの受け部の反コンテナ側端から立ち上がって前記支柱下端部材の反コンテナ側面に係合するつば部を有するつば付き段差部とでなる構成であってもよい。
前記取付ガイド部は、支柱下端部材がスライダに未固定の状態で、支柱下端部材のボルト相通孔がガイド部材のねじ孔と整合する位置および姿勢に支柱下端部材を案内できる構成であればよく、種々の構成が採用できるが、前記のように、段付きボルトと、だるま穴と、つば付き段差部とで構成されていると、構成が簡素でかつ作業性にも優れる。
すなわち、地面の凸凹にかかわらず、コンテナに対して風車の柱部の垂直を出すためには、ガイドピンなどで位置を決める方法もあるが、重量物で垂直が出ていない風車をガイドピンに合わせて入れることが困難であり、また入れたまま保持することも困難である。しかし前記取付ガイド部が前記段付きボルトおよびだるま穴と、つば付き段差部とで構成されていると、段付きボルトと風車を受けるつば付段差で構成されることで、段付きボルトに入れさえすれば自重で引っかかり安定して仮置きすることができ、安全に作業が可能となる。
なお、この明細書で言う「段付きボルト」は、頭部に続いてねじ無しの軸部があり、さらに雄ねじが続く構成であっても、単に全体が雄ねじ部となった軸部とこれよりも大径の頭部とで構成されるものであってもよい。
【0011】
この発明において、前記風車が上下方向軸心回りで回転自在に設置された中央回転部材およびこの中央回転部材の周囲で上下に延びる複数の翼を有する垂直型の風車であってもよい。
風車が垂直型の風車であると、風向きに影響されずに回転し、また微風でも回転し、静音性にも優れる。
【0012】
この発明において、前記コンテナの上部および前記風車の前記支柱の下部に上下の被係合部が設けられ、これら上下の被係合部に係合する上下のフック部を有しこれらフック部の間隔を変更する巻き上げ機を備えていてもよい。
直動案内装置と併用して巻き上げ機が設けられていると、風車をコンテナの上部に持ち上げてコンテナの設置や、風車を収納の為にコンテナの上部から降ろすときに、風車を上げ降ろしする作業が容易に行える。また、コンテナの上部と風車の支柱の下部とに被係合部を設け、これら上下の被係合部に巻き上げ機の上下のフック部を係合させる構成であると、巻き上げ機をコンテナ等に固定しておく必要がなく、巻き上げ機の設置が容易である。
【0013】
前記巻き上げ機は電動巻き上げ機であってもよい。
前記巻き上げ機は手動式と電動式のいずれであっても適用できるが、上下のフック部を係合させる構成の場合、手動式の巻き上げ機は巻き上げ操作が今一つ行い難く、電動巻き上げ機を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明のコンテナ収納移動型風力発電装置は、コンテナと、このコンテナに収納可能な風車と、この風車で駆動されて発電する発電機とを備えたコンテナ収納移動型風力発電装置であって、前記コンテナの壁に上下動可能なスライダを有する直動案内装置が設置され、前記風車は、支柱の上端に回転翼が設けられ前記支柱の下端に前記スライダに固定可能な支柱下端部材を有し、この支柱下端部材を前記スライダに固定した状態で前記スライダと共に上下動可能であり、前記スライダにガイド部材が設けられ、前記支柱下端部材のボルト相通孔に相通されたボルトを前記ガイド部材に設けられたねじ孔にねじ込むことで前記風車を前記スライダに固定可能であり、前記支柱下端部材が前記スライダに未固定の状態で、前記支柱下端部材の前記ボルト相通孔が前記ガイド部材の前記ねじ孔と整合する位置および姿勢に前記支柱下端部材を案内する取付ガイド部が設けられているため、輸送の容易性、および設置の容易性に優れ、特に風車の支柱の下端を直動案内装置のスライダにボルト固定するときに、ねじ孔の位置が合わずに取付に時間がかかることが解消できて、設置の容易性がより一層優れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の一実施形態に係るコンテナ収納移動型風力発電装置の使用状態を示す斜視図である。
図2】同コンテナ収納移動型風力発電装置の風車降ろし状態を示す斜視図である。
図3】同コンテナ収納移動型風力発電装置の使用状態を示す正面図である。
図4】同コンテナ収納移動型風力発電装置の巻き上げ機およびその周辺を示す拡大正面図である。
図5】同コンテナ収納移動型風力発電装置のコンテナ正面部における風車降ろし状態を示す拡大斜視図である。
図6図5のVI部を示す拡大斜視図である。
図7】同コンテナ収納移動型風力発電装置における図5と同じ箇所の分解斜視図である。
図8】同コンテナ収納移動型風力発電装置における図6と同じ箇所の分解斜視図である。
図9】同コンテナ収納移動型風力発電装置における支柱下端部材およびその周辺を示す鳥観斜視図である。
図10】提案例に係るコンテナ収納移動型風力発電装置のコンテナ正面部における風車降ろし状態を示す正面図である。
図11】同提案例に係るコンテナ収納移動型風力発電装置のハンドリフトの側面図である。
図12】同提案例に係るコンテナ収納移動型風力発電装置の風車支柱下部の固定構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の一実施形態に係るコンテナ収納移動型風力発電装置を、図1ないし図9と共に説明する。図1において、このコンテナ収納移動型風力発電装置は、コンテナ1と、このコンテナ1に収納可能な風車2と、この風車2で駆動されて発電する発電機3とを備える。
【0017】
コンテナ1は、例えば、一般的な4トントラックでも運べるように、規格寸法よりも幅狭のコンテナ1を用いている。但し、コンテナ1は、貨物輸送用の規格寸法のコンテナであってもよい。
【0018】
風車2は、支柱6の上部に垂直軸心回りで回転自在に設置された中央回転部材5に、この中央回転部材5の周囲で垂直方向に延びる複数の翼7がアーム8を介して中央回転部材5に連結された垂直軸型の風車である。前記複数の翼7とアーム8とで回転翼9を構成する。中央回転部材5は主軸等であってもよい。
支柱6は丸形鋼管等からなり、上端に軸受(図示せず)を介して風車2の中央回転部材5が回転自在に設置されている。中央回転部材5の内部に前記発電機3と前記軸受とが設置され、中央回転部材5の回転が発電機3の回転子に伝達可能に結合されている。
【0019】
コンテナ1の一端の壁1aに上下方向に沿って直動案内装置11が設置され、直動案内装置11のスライダ12(図8参照)に風車2が、支柱6の下端に設けられた支柱下端部材10で取付けられる。直動案内装置11は、一部を図8に拡大して示すように、レール13と、このレール13に沿って上下にスライド可能な前記スライダ12とでなる。直動案内装置11は、この実施形態では直動転がり軸受からなり、スライダ12の内部に、レール13に転がり接触する複数の転動体を循環可能に移動させる循環経路(いずれも図示せず)が設けられている。循環経路は、レール13の両側面の軌道溝に前記転動体が転走するように、複数設けられている。
【0020】
風車1の直動案内装置11に沿う上下移動は、図4に示す巻き上げ機31によって可能とされている。巻き上げ機31は、この実施形態では電動巻き上げ機が用いられている。巻き上げ機31は、巻き上げ機ケース32内に設けられた回転ドラムにワイヤローブ等の索材(いずれも図示せず)が上下に延びて巻き付けられていて、上下の索材の端部にフック33,34が設けられている。巻き上げ機ケース32に設置されたモータ(図示せず)により前記回転ドラムを正逆に回転させることで、巻き取りおよび巻き戻し、つまり上下のフック33,34の間隔を縮めたり延ばしたりすることが可能である。前記上下の索材は、互いに別体のものであっても、1本に繋がったものあってもよい。また、上下のいずれか片方のフック33,34が巻き上げ機ケース32に取付けられていてもよい。
巻き上げ機31の上下のフック33,34は、コンテナ1の上部および風車2の支柱下端部材10にそれぞれ設けられた上下の被係合部35,36に掛装されている。上下の被係合部35,36は、例えばアイボルトで構成される。
【0021】
図5図8に示すように、直動案内装置11のスライダ12への風車2の取付けは、次のように行われる。
図8に分解斜視図を示すように、スライダ12の前面にガイド部材15が設けられている。ガイド部材15は、この例では直動案内装置11の直動方向に延びる細板状の2枚の平行なガイドプレート15aからなる。ガイド部材15のスライダ12への取付けは、ボルトなどの留め具16で行われている。
このガイド部材15の複数個所に、ねじ孔17が設けられている。ねじ孔17はガイド部材15に直接にねじ加工されていても、ナット等が溶接された構成であってもよい。これらねじ孔17に対して、支柱下端部材10にボルト相通孔18が設けられ、これらボルト相通孔18に相通した各ボルト19(図6図9)を前記ねじ孔17に締め込み状態にねじ込むことで、風車2の支柱下端部材10がスライダ12に固定される。
【0022】
支柱下端部材10は、例えば図9に示すように基板部10aとこの基板部10aから支柱6側へ突出する支柱接合板部10bと、これら基板部10aと支柱接合板部10bとに隣合う2片が接合された補強板部10cとで構成されている。なお、図6図8では図9の支柱接合板部10bが省略してある。また、図示の都合上、図6および図8図9とでは、寸法関係を異ならせて図示している。支柱下端部材10の下部には下方の被係合部36を取り付ける突出部10dに設けられているが、図9では突出部10dの図示を省略している。
【0023】
前記ボルト19のねじ込み作業を容易にする手段として、取付ガイド部20が設けられている。取付ガイド部20は、支柱下端部材10がスライダ12に未固定の状態で、支柱下端部材10の前記ボルト相通孔18がガイド部材20の前記ねじ孔17と整合する位置および姿勢に、支柱下端部材10を案内する手段である。
【0024】
取付ガイド部20は、複数の段付きボルト21およびだるま穴22と、一つのつば付き段差部23とでなる。
段付きボルト21は、軸部21aおよびこの軸部21aよりも大径の頭部21bを有する。
だるま穴22は、支柱下端部材10に設けられており、下部が段付きボルト21の頭部21bが通過可能な大径部22bとされ、上部が段付きボルト21の軸部21aが通過可能で頭部21bが通過不能な幅の幅狭部となっている。だるま穴22は、いわば、鍵孔の形状である。
つば付き段差部23は、支柱下端部材10の下面を受ける受け部23aおよびこの受け部23aの反コンテナ側端から立ち上がって支柱下端部材10の反コンテナ側面に係合するつば部23bを有する。
【0025】
この実施形態の構成によると、コンテナ1に格納された風車2をより容易に展開することができるようになり、災害等の被災地域でも直ちに電力需要に応えることができる。
コンテナ1の壁に上下動可能なスライダ12を有する直動案内装置11が設置され、風車2は、支柱6の下端の支柱下端部材10をスライダ12に固定した状態でスライダ12と共に上下動可能であり、また支柱下端部材10のボルト相通孔18(図8)に相通されたボルト19(図6)を前記ガイド部材15に設けられたねじ孔17(図8)にねじ込むことで前記風車2を前記スライダ12に固定可能であるため、設置作業が容易である。
【0026】
特に、風車2の直動案内装置11への取付を容易にする為、直動案内装置11に取付ガイド部20を設けている。この取付ガイド部20には段付きボルト21と風車2を受けるためのつば付段差部23を設けている。また、風車2側には、段付きボルト21に引っ掛けるための鍵孔の形のだるま穴22を設けている。これにより、風車2を直動案内装置11へ取り付ける際には、風車2を段付きボルト21に引っ掛けて取付ガイド部20のつば付段差部23に仮置きすることで、風車2が垂直になり、ボルト孔17の位置が合い、ボルト固定が非常に簡単になる。
更に、巻き上げ装置31(図4)で図9のように上端に上げて風車2とコンテナ1とをボルト固定する際も、取付ガイド部20により風車2の垂直が出ていることから、ボルト孔の位置が合い、ボルト固定が非常に簡単になる。
【0027】
以上、実施形態に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0028】
1…コンテナ
2…風車
3…発電機
6…支柱
9…回転翼
10…支柱下端部材
11…直動案内装置
12…スライダ
13…レール
15…ガイド部材
15a、15a…ガイドプレート
17…ねじ孔
18…ボルト相通孔
19…ボルト
20…取付ガイド部
21…段付きボルト
21a…軸部
21b…頭部
22…だるま穴
23…つば付き段差部
23a…受け部
23b…つば部
31…巻き上げ機
33,34…フック
35,36…被係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12