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特許7432500止血機能の分析のための使い捨てシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-07
(45)【発行日】2024-02-16
(54)【発明の名称】止血機能の分析のための使い捨てシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20240208BHJP
   G01N 33/86 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G01N35/08 F
G01N33/86
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2020507503
(86)(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 US2018028630
(87)【国際公開番号】W WO2018195468
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】62/488,045
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519238462
【氏名又は名称】ヘモソニックス エル・エル・シー
【氏名又は名称原語表記】HemoSonics LLC
【住所又は居所原語表記】400 Preston Avenue, Charlottesville, VA 22903, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴィオラ フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンス ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ホミック アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】コーリー エフ. スコット
(72)【発明者】
【氏名】リーガン フランクリン エフ. 4世
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー ウィリアム エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ブライアント デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ギベンス トーマス
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-118530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0329082(US,A1)
【文献】特表2016-509202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0232803(US,A1)
【文献】特表2016-520824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48- 33/98
G01N 35/00- 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体と一体的に形成された入力ポートであって、当該入力ポートは前記筐体に連結された針アセンブリを備え、前記針アセンブリは、試料保持管の内容物を排出および受容するように構造的に構成されている、入力ポートと、
前記入力ポートと流体連通している第1のチャンバであって、前記試料保持管内に含まれる試料を受容するように、かつ前記受容された試料が前記第1のチャンバの下流の2つ以上の流体回路に位置する1つ以上の試薬と接触することが可能となる前に、前記受容された試料を所望の温度またはその近くに保持および調整するように構成されている、規定された容量を有する加熱チャンバである、第1のチャンバと、を備え、
前記2つ以上の流体回路は、第1の流体回路および第2の流体回路を含み、前記2つ以上の流体回路の各々が、i)前記第1のチャンバ内の前記試料をアリコートに計量する、前記第1のチャンバと流体連通している第2のチャンバであって、前記第2のチャンバは、前記第1のチャンバの容量より少ない容量を有し、前記計量された試料が、対応する流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせに導入されて、混合試料を形成する、第2のチャンバと、ii)前記第2のチャンバと流体連通している試験チャンバであって、前記混合試料の少なくとも1つの粘弾性特性を決定するように構成された測定システムによる調査のために構造的に構成されている、試験チャンバと、を備え、
前記2つ以上の流体回路のうちの少なくとも1つが、前記試薬または前記試薬の組み合わせを収容するための1つ以上の保持ポケットを備え、
前記第1の流体回路と前記第2の流体回路とにおける第2のチャンバは、コントローラを介して、並行して充填されるように構成される、装置。
【請求項2】
前記1つ以上の保持ポケットのうちの少なくとも1つが、凍結乾燥ビーズを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ以上の保持ポケットのうちの少なくとも1つが、液体保持ポケットを備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記入力ポートが、第1の圧力ポートに連通可能に連結され、前記第1の圧力ポートに加圧されたときの圧力が、前記入力ポートを通した前記第1のチャンバへの前記試料保持管の前記内容物の排出を引き起こす、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記針アセンブリが、前記入力ポートと第2のポートとを備え、前記第2のポートが、液体または気体を前記試料保持管内に放出して、その中の前記内容物の排出を促進するように構成されている、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記入力ポートが、前記試料保持管に接続するように構成されたルアーロックに連結するように構造的に構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のチャンバが、前記測定システムのサブシステム構成要素の対応する熱調節表面と嵌合して、前記受容された試料を前記所望の温度またはその近くに保持および調整するように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のチャンバが、前記試料の前記所望の温度またはその近くへの加熱および/または冷却を促進するように最適化された形状および/または材料を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記2つ以上の流体回路のチャネル部分が、前記測定システムの対応する熱調節システムと嵌合して、前記受容された試料を前記所望の温度またはその近くに保持および調整するように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のチャンバおよび/または前記2つ以上の流体回路の前記チャネル部分が、前記第1のチャンバ内に受容された前記試料の温度を測定するように構成された前記測定システムのセンサと物理的に近接している、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の圧力ポート内に位置付けられたフィルタを備え、前記フィルタは、空気が前記第1の圧力ポートを通って移動することを可能にするが、流体がそれを通って移動することを防止するように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項12】
前記2つ以上の流体回路の各々が、それぞれの第2のチャンバと試験チャンバとの間で流体連通している流体経路の第3のセットを備え、流体経路の第3のセットの一部分が、蛇行形状の導管として配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第2のチャンバの各々が、第2の圧力ポートに接続され、前記第2の圧力ポートに加圧されたときの圧力が、前記第2のチャンバの充填を引き起こす、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2のチャンバの各々が、放出ポートに接続され、前記放出ポートは、前記試料が前記第2のチャンバ内で前記アリコートに計量されている間に閉鎖されるように構成され、前記試料が前記第2のチャンバ内で前記アリコートに計量された後に大気圧に開放されるようにさらに構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記蛇行形状の導管が、前記試験チャンバと前記第2のチャンバとの間に蛇行リザーバを形成し、計量された試料が、前記蛇行形状の導管の部分を通して方向付けられて、前記計量された試料と前記試薬または前記試薬の組み合わせとの混合を促進する、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記計量された試料が、前記2つ以上の流体回路の各々について、流体回路の第1の位置と前記流体回路の第2の位置との間に選択的に、かつ乗法的に方向付けられ、第1の位置および第2の部分の長さが、前記蛇行形状の導管の少なくとも一部分を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記試験チャンバの各々が、第3の圧力ポートに接続され、前記第3の圧力ポートに加圧されたときの圧力が、それぞれの蛇行形状の導管を通って前記試料を前記試験チャンバに向かって流動させる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第3の圧力ポートに逆方向に加圧されたときの圧力が、前記それぞれの蛇行形状の導管を通って前記試料を前記試験チャンバから離れて流動させる、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記蛇行形状の導管が、光検出区域を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記2つ以上の流体回路の各々が、前記試験チャンバと前記第2のチャンバとの間に混合区域をさらに備え、前記混合区域が、1つ以上の強磁性ビーズまたは棒を内部に備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記2つ以上の流体回路のうちの少なくとも1つが、前記試料の機械的特性または粘弾性特性を測定するように構成された1つ以上のセンサによって、光学的または電気的に感知されるように構成されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つが、前記計量された試料の特徴に関してサンプリングされるように構成されている、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記試験チャンバが、前記測定システムによって生成された超音波パルスを前記試験チャンバ内に方向付けるように構成されたレンズを備える、請求項1~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記2つ以上の流体回路に位置する前記試薬または試薬の組み合わせのうちの少なくとも1つが、内因性経路活性化剤、外因性経路活性化剤、および凝固活性化剤からなる群から選択される、請求項1~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記2つ以上の流体回路に位置する前記試薬または試薬の組み合わせのうちの少なくとも1つが、血小板活性化剤、血小板阻害剤、および線維素溶解機能阻害剤からなる群から選択される、請求項1~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記2つ以上の流体回路に位置する前記試薬または試薬の組み合わせのうちの少なくとも1つが、FXIIIa阻害剤、トロンボモジュリン、ポリブレン、ヘパリン、コーントリプシン阻害剤、アデノシン、GPRP(Gly-Pro-Arg-Pro)、カルシウム、フィブロネクチン、コラーゲン、免疫検出試薬、およびヘパリナーゼI、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記測定システムが、ソノレオメトリベースのシステム、トロンボエラストグラフィベースのシステム、トロンボエラストメトリベースのシステム、光ベースのシステム、蛍光ベースのシステム、比色ベースのシステム、凝集測定ベースのシステム、共鳴ベースのシステム、および電気インピーダンスベースのシステムからなる群から選択される、請求項1~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
少なくとも4つの試験チャネルを備え、第1の試験チャネルが、内因性経路活性化剤を含み、第2の試験チャネルが、前記内因性経路活性化剤とヘパリン中和剤とを含み、第3の試験チャネルが、外因性経路活性化剤を含み、第4の試験チャネルが、前記外因性経路活性化剤と血小板阻害剤とを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
少なくとも4つの試験チャネルを備え、第1の試験チャネルが、内因性経路活性化剤を含み、第2の試験チャネルが、外因性経路活性化剤と線維素溶解機能阻害剤とを含み、第3の試験チャネルが、外因性経路活性化剤を含み、第4の試験チャネルが、前記外因性経路活性化剤と血小板阻害剤とを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記第3の試験チャネルおよび前記第4の試験チャネルが各々、臭化ヘキサジメトリン(ポリブレン)を含む、請求項28または29に記載の装置。
【請求項31】
前記第4の試験チャネルが、線維素溶解機能阻害剤をさらに含む、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
少なくとも2つの試験チャネルを備え、第1の試験チャネルが、内因性/外因性経路活性化剤を含み、第2の試験チャネルが、前記内因性/外因性経路活性化剤とヘパリンとを含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
政府ライセンス権
本発明は、National Heart Lung and Blood Instituteによって与えられた助成金R44HL103030の下、政府の支援によって行われた。政府は、本発明のある特定の権利を有する。
[技術分野]
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、「Disposable System for Analysis of Hemostatic Function」と題する2017年4月20日出願の米国仮出願第62/488,045号に対する優先権および利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本出願は、対象からの試験試料の調製および分析によって、対象における止血を評価するためのデバイス、システム、および方法に関する。
[背景技術]
【0004】
出血の生理学的制御である止血は、血管構造、血小板、凝固因子、線維素溶解タンパク質、ならびに様々な活性化剤および阻害剤を組み込んでいる複雑なプロセスである。止血の崩壊は、心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓症、深部静脈血栓症、および過度の出血の発症において中心的な役割を果たす。その結果として、インビトロ診断(IVD)は、止血機能/機能障害を定量化し、適切な治療を指示するために非常に必要とされている。
【0005】
凝固のプロセスは、とりわけ、それが起こる温度に非常に依存している。正常な条件下で、凝固は、体温で起こり、これは、カスケードにおける凝血因子の適切な酵素作用に最適である。
【0006】
試験される血液の調製もまた重要であり、これは、血液試料がその評価前に調製される方法が、例えば、血管構造の構成成分、血小板、および他の細胞構成成分、凝固因子、線維素溶解構成成分、ならびに止血の任意の阻害剤または活性化剤の作用に影響を及ぼす可能性があるためである。
[発明の概要]
【0007】
止血の評価のためのデバイス、システム、および方法が提供される。例えば、止血機能の分析のための使い捨てシステムが提供される。いくつかの実施形態では、使い捨てシステムは、対象からの試験試料のインビトロ評価による対象における止血の評価のための試験システムと動作するように構成された、マルチチャネルまたはマルチチャンバ試験カートリッジデバイスを含む。いくつかの実施形態では、使い捨てシステムは、試験試料を調査して、試験試料の血栓硬度、強度、または他の機械的特性を評価して、得られる血栓の凝固および/または溶解中の様々な生理学的プロセスの機能を評価するように構成されている。試料は、全体的または部分的に、全血、血漿、多血小板血漿、または乏血小板血漿を含むことができる。さらに、試料は、1つ以上の試薬(採取されたときに血液中に存在し得る抗凝固剤もしくは抗血小板剤など)、または1つ以上の薬理学的治療薬(ヘパリンもしくは低分子量ヘパリンの場合など)、またはカートリッジデバイスが使用される前に試験試料に添加される他の不活性構成成分(ポリスチレンビーズなど)を含むことができる。使い捨てシステムは、堅固で(例えば、非実験室環境において実施され得る)、迅速で(例えば、実施するのに数分しかかからない)、使いやすく、かつ明確な結果を提供する(例えば、止血の機能構成成分についてはっきりしている)試験試料の止血のポイントオブケア評価を促進し、正確な止血不良の識別を促進する。例示されたデバイスは、ユーザに必要とされる試料操作ステップを最小限に抑える1つ以上の測定前ステップを自動化し、それにより試験再現性および/または試験品質を改善する。いくつかの実施形態では、使い捨てシステムは、測定デバイスによる評価のために血液の試験試料を調製するように構成されたチャネルおよびチャンバによって画定された経路を各々が有する、複数の試験回路を含む。各試験回路において、その試験回路に固有の試薬または試薬の組み合わせに試験試料の一部分が導入される。
【0008】
いくつかの実施形態では、使い捨てシステムは、試薬(複数可)と混合する前、間、および/または後にそれぞれの試験試料を調整して、評価される適用可能な血液構成成分および化学物質(例えば、血管構造構成成分、血小板、または他の細胞構成成分、凝固因子、線維素溶解構成成分、および止血機能の任意の他の阻害剤または活性化剤など)の適切な作用を最適化するように構成されている。
【0009】
一態様では、止血の評価のための装置(例えば、カートリッジ)が開示される。装置は、筐体と、流体連通を確立し、かつ試料保持管の内容物を排出するように構造的に構成された、筐体と一体的に形成された入力ポートと、入力ポートと流体連通している第1のチャンバであって、試料保持管内に含まれる試料を受容するように、かつ受容された試料が第1のチャンバの下流の1つ以上の流体回路に位置する1つ以上の試薬と接触することが可能となる前に、受容された試料を所望の温度(例えば、予め定義された温度範囲)に調整するように構成されている、第1のチャンバと、を含み、1つ以上の流体回路の各々は、i)第1のチャンバ内の試料をアリコートに計量する、第1のチャンバと流体連通している第2のチャンバであって、計量された試料が、対応する流体回路(例えば、試薬ポケット)に位置する試薬または試薬の組み合わせ(例えば、凍結乾燥試薬ビーズの形態の)に導入されて、混合試料を形成する、第2のチャンバと、ii)第2のチャンバと流体連通している試験チャンバであって、混合試料の特性(例えば、機械的特性または粘弾性特性)を決定するように構成された測定システムによる調査のために構造的に構成されている、試験チャンバと、を備える。
【0010】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路のうちの少なくとも1つは、1つ以上のポケット(例えば、各々が、試薬または試薬の組み合わせを含む凍結乾燥試薬ビーズを収容するように構成されている)を備える。
【0011】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路のうちの少なくとも1つは、1つ以上の液体保持ポケット(例えば、各々が、試薬または試薬の組み合わせを含む液体形態の分析試料を収容するように構成されている)を備える。
【0012】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路のうちの少なくとも1つは、その1つ以上の表面上に位置する1つ以上の凍結乾燥試薬を含む(例えば、表面の各々の上に凍結乾燥された;表面のうちの1つ以上の上に配置された、または付着したフィルムとして凍結乾燥された)。
【0013】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路のうちの少なくとも1つは、その表面上に加工された1つ以上の試薬を含む(例えば、表面上で乾燥された、表面上で噴霧コーティングされた、表面上に焼成された)。
【0014】
いくつかの実施形態では、入力ポートは、圧力ポートに連通可能に連結され、圧力ポートに加圧された圧力は、入力ポートを通した第1のチャンバへの試料保持管の内容物の排出を引き起こす。
【0015】
いくつかの実施形態では、入力ポートは、針アセンブリを備える。
【0016】
いくつかの実施形態では、針アセンブリは、入力ポートと第2のポートとを備え、第2のポートは、液体または気体を試料保持管内に放出して、その中の内容物の排出を促進するように構成されている。いくつかの実施形態では、入力ポートは、液体または気体を試料保持管に放出して、試料保持管の内容物の排出を引き起こすように構成された第2のポート内に位置する(例えば、同心円状に位置する)。
【0017】
いくつかの実施形態では、入力ポートは、試料保持管に接続するように構成されたルアーロックを備え、試料保持管は、注射器である。
【0018】
いくつかの実施形態では、入力ポートは、第1の圧力ポートに連通可能に連結され、第1の圧力ポートに加圧されたときの圧力は、入力ポートを通した第1のチャンバへの試料保持管の内容物の排出を引き起こす。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1のチャンバは、測定システムの対応する熱調節システム(例えば、加熱/冷却システム)と嵌合して、受容された試料を所望の温度またはその近くに調整するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1のチャンバの形状および/または材料は、試料の所望の温度またはその近くへの熱調節(例えば、加熱および/または冷却)を促進するように最適化される。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1のチャンバは、測定システムのサブシステム構成要素の対応する熱調節表面と嵌合して、受容された試料を所望の温度またはその近くに調整するように構成されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路のチャネル部分は、測定システムの対応する加熱/冷却システムと嵌合して、受容された試料を所望の温度またはその近くに調整するように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路のチャネル部分は、測定システムの対応する熱調節システムと嵌合して、受容された試料を所望の温度に調整するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1のチャンバおよび/または1つ以上の流体回路のチャネル部分は、第1のチャンバ内に受容された試料の温度を測定するように構成されたセンサと物理的に近接(例えば、物理的に接触またはほぼ接触)している。
【0023】
いくつかの実施形態では、センサは、サーミスタ、熱電対、および光センサ(例えば、IRセンサ)からなる群から選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、装置は、第1のチャンバと流体連通している第1の圧力ポートであって、負圧または差圧(例えば、第1のチャンバを充填するための)を受容するように構成されている、第1の圧力ポートと、流体回路のうちの少なくとも1つの中の第1の圧力ポート内に位置付けられたフィルタ(例えば、第1のチャンバが満杯であるときに、フィルタが第1のチャンバ内に受容された試料によって詰まらされるように)とを含む。いくつかの実施形態では、フィルタは、空気が第1の圧力ポートを通って移動することを可能にするが、流体がそれを通って移動することを防止するように構成されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、装置は、第1のチャンバを充填するための負圧または差圧を受容するように構成された第1の圧力ポートと、第1の圧力ポートから第1のチャンバに延在する第1の流体経路とを含み、フィルタは、第1の圧力ポート内に位置付けられている。
【0026】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路の各々について、第1のチャンバと第2のチャンバとの間の流体連通は、第1のチャンバの側面(例えば、側壁、底壁など)から始まる第2の流体経路を通る(例えば、受容された試料中に存在する泡が第2のチャンバから離れて捕捉されるように)。
【0027】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路の各々は、第2のチャンバと流体連通している第3の流体経路を備え、第3の流体経路は、第2のチャンバを充填するための負圧または差圧を受容するように構成された第2の圧力ポートを導く。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2の圧力ポートは、第2のフィルタを内部に有し、第2のフィルタは、第2のチャンバが充填されたときに詰まるように構成されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、装置は、1つ以上の流体回路の全てについて、第2の圧力ポートと流体連通している1つ以上の流体経路を含み、1つ以上の流体経路は、1つ以上の流体回路の全てについて、第2の圧力ポートに負圧を提供するように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路の各々について、第2のチャンバは、放出ポートと流体連通しており、放出ポートは、試料が第2のチャンバ内でアリコートに計量されている間に閉鎖されるように構成され、試料が第2のチャンバ内でアリコートに計量された後に大気圧に開放されるようにさらに構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路の各々は、それぞれの第2のチャンバ(例えば、計量チャンバ)と試験チャンバとの間で流体連通している流体経路の第3のセットを備え、流体経路の第3のセットの一部分は、蛇行形状の導管またはチャネルとして配置されている。
【0032】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路の各々は、試験チャンバと第2のチャンバとの間に蛇行リザーバをさらに備える。
【0033】
いくつかの実施形態では、計量された試料は、1つ以上の流体回路の部分を通して選択的に方向付けられて、計量された試料と試薬または試薬の組み合わせとの混合を促進する。
【0034】
いくつかの実施形態では、計量された試料は、1つ以上の流体回路の各々について、流体回路の第1の位置(例えば、第2のチャンバ)と流体回路の第2の位置(例えば、蛇行リザーバ内の位置)との間で選択的に、かつ乗法的に方向付けられる。
【0035】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路の各々は、第2のチャンバおよび試験チャンバと流体連通している第3の圧力ポートをさらに備え、第3の圧力ポートは、負圧または差圧(例えば、第2のチャンバからのアリコートを試験チャンバに引き出すための)を受容するように構成され、第3の圧力ポートは、例えば、蛇行リザーバに沿って第2のチャンバからのアリコートを交互に引き出し、かつ蛇行リザーバを通して第2のチャンバにアリコートを押すための交互圧力を交互に受容するようにさらに構成されている。
【0036】
いくつかの実施形態では、蛇行リザーバは、蛇行リザーバ内の計量された試料または蛇行リザーバ内の試料の位置の光検出を促進するための光検出区域を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路の各々は、試験チャンバと第2のチャンバとの間に混合経路をさらに備え、混合経路は、1つ以上の強磁性ビーズまたは棒を内部に備える。
【0038】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路のうちの少なくとも1つは、1つ以上の品質試験ポータルを備える。
【0039】
いくつかの実施形態では、1つ以上の品質試験ポータルは、光学的に感知されるように構成され、品質試験ポートは、透明である。
【0040】
いくつかの実施形態では、1つ以上の品質試験ポータルは、電気的に感知されるように構成され、品質試験ポートは、1つ以上の感知電極を備える。
【0041】
いくつかの実施形態では、1つ以上の品質試験ポートは、計量された試料の特徴に関して(例えば、圧力、流動の存在、流速、温度に関して)サンプリングされるように構成されている。
【0042】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路の各々について、試験チャンバは、超音波パルスを試験チャンバに方向付けるように構成されたレンズの場合などにおいて、試験チャンバにエネルギーを結合して、測定を実施する機構を備える。
【0043】
別の態様では、止血を評価するための装置が開示され、装置は、筐体と、試料保持管との流体連通を確立し、かつ試料保持管の内容物を排出することが構造的に可能である、筐体と一体的に形成された入力ポートと、真空管内に含まれた試料を受容し、それにより試料が1つ以上の試薬と接触する前に、試料温度が所望の温度に調節される、入力ポートと流体連通している第1のチャンバと、第1のチャンバと流体連通している1つ以上の第2のチャンバであって、第1のチャンバ内の試料を1つ以上のアリコートに計量するように構成されている、1つ以上の第2のチャンバと、各々が1つ以上の凍結乾燥試薬ビーズで充填された1つ以上の試薬ポケットであって、アリコートチャンバの各々と流体連通しており、かつ各アリコート中に存在する試料が前述の1つ以上の試薬ビーズと混合されることを可能にする、1つ以上の試薬ポケットと、アリコートチャンバと流体連通しており、かつ試料が1つ以上の試薬と混合された後に、そのような試料の粘弾性特性を決定するために調査されることが構造的に可能である1つ以上の試験チャンバとを備える。
【0044】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、内因性経路活性化剤(例えば、カオリン、セライト、ガラス、エラグ酸、微粉化シリカ、ハーゲマン因子など)、またはそれとの組み合わせを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、外因性経路活性化剤(例えば、組織因子、組み換え組織因子、トロンボプラスチンなど)、またはそれとの組み合わせを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、凝固活性化剤(例えば、トロンビン、因子Xa、レプチラーゼ、エカリン、ラッセルクサリヘビ毒、もしくは他のヘビ毒など)、またはそれとの組み合わせを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、血小板活性化剤もしくは血小板阻害剤(例えば、GPIIb/IIIa阻害剤(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、ロキシフィバン、オルボフィバン)、サイトカラシンD、ブレビスタチン、PAR1阻害剤、PAR4阻害剤、糖タンパク質IB阻害剤、TRAP、ADP、アラキドン酸、ADP阻害剤、非ステロイド抗炎症薬、血小板活性化因子、リストセチン、エピネフリンなど)、またはそれとの組み合わせを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、線維素溶解機能活性化剤もしくは阻害剤(例えば、tPA、uKA、ストレプトキナーゼ、TAFIa、プラスミン/プラスミノゲン、アプロチニン、イプシロン-アミノカプロン酸、トラネキサム酸、プラスミノゲン活性化剤阻害剤1(PAI1)、α2-抗プラスミン(α2-AP)、もしくはプラスミン-抗プラスミン複合体、カルボキシペプチダーゼ阻害剤)、またはそれとの組み合わせを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、FXIIIa阻害剤またはそれとの組み合わせを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、トロンボモジュリンまたはそれとの組み合わせを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、低分子量ヘパリンまたはそれとの組み合わせを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、臭化ヘキサジメトリン(ポリブレン)またはそれとの組み合わせを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、ヘパリンまたはそれとの組み合わせを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、コーントリプシン阻害剤またはそれとの組み合わせを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、アデノシンまたはそれとの組み合わせを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、GPRP(Gly-Pro-Arg-Pro)またはそれとの組み合わせを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、カルシウムまたはそれとの組み合わせを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、フィブロネクチンまたはそれとの組み合わせを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、コラーゲンまたはそれとの組み合わせを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、免疫検出試薬またはそれとの組み合わせを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、ヘパリナーゼIまたはそれとの組み合わせを含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、1つ以上の流体回路に位置する試薬または試薬の組み合わせは、内皮細胞または活性化内皮細胞を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、測定システムは、ソノレオメトリベースのシステム、トロンボエラストグラフィベースのシステム、トロンボエラストメトリベースのシステム、光ベースのシステム、蛍光ベースのシステム、比色ベースのシステム、凝集測定ベースのシステム、共鳴ベースのシステム、および電気インピーダンスベースのシステムからなる群から選択される。
【0064】
別の態様では、装置(例えば、カートリッジ)内で試料を1つ以上の試薬と混合し、止血の評価のために混合試料を試験する方法が開示される。方法は、試料保持管から試験流体を受容した複数の計量チャンバからの複数の計量された試料を受容することと(例えば、装置を試料保持管に接続する機械的連結を介して、または試料保持管からの試料が配置される開口部を介して)、アリコートの各々を、アリコートが試薬または試薬の組み合わせと混合されるまで交互に、かつ乗法的に流動させて、混合アリコートを形成することであって、少なくとも1つのアリコートが、i)計量チャンバから第1の方向に、1つ以上の試薬(例えば凍結乾燥試薬ビーズ)を内部に有する1つ以上の試薬ポケットを通って、かつ計量チャンバと連通している蛇行経路に沿って、アリコートの少なくとも一部分が蛇行経路内またはその後に位置する検出区域に到達するまで、およびii)検出区域から第1の方向とは逆の第2の方向に、蛇行経路の少なくとも一部分を通って計量チャンバに向かって、トリガー事象まで、交互かつ周期的に流動する、形成することと、計量チャンバと流体連通している試験チャンバ内に混合アリコートを駆動することであって、試験チャンバが、混合アリコートの特性(例えば、機械的特性または粘弾性特性)を決定するように構成された測定システムによる調査のために構造的に構成され、試験チャンバの調査が、混合アリコートが内部に位置する状態で実施される、駆動することと、を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、方法は、試験試料の温度を体温または他の所望の温度に向かって実質的に調節するように構成された第1のチャンバ内に流体を受容することを含み、計量チャンバ内に受容された計量された試料は、第1のチャンバから受容される。
【0066】
いくつかの実施形態では、試験流体は、測定システムによって加圧されたか、またはそれから生成された加圧された圧力に応答して第1のチャンバに移動する。
【0067】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のチャンバ内の試験流体を、所望の温度または実質的にその近くに調整することを含み、試験流体は、第1のチャンバから出た後に1つ以上の試薬と混合される。
【0068】
いくつかの実施形態では、方法は、計量チャンバ内の試験流体を分離(例えば、弁を介して遮断)して、計量チャンバの充填中に試験流体が1つ以上の試薬と接触することを防止することを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、第2の加圧された正圧または負圧は、蛇行経路と連通している第2のポートにおいて、測定システムによって加圧されるか、またはそれから生成されて(例えば、それと連通している第2の圧力ポートにおいて加圧されて)、少なくとも1つのアリコートを第2の方向に移動させる。
【0070】
いくつかの実施形態では、第1の加圧された正圧または負圧は、逆に測定システムによって加圧されるか、またはそれから生成されて、少なくとも1つのアリコートを第2の方向に移動させる。
【0071】
いくつかの実施形態では、試験チャンバ内に混合アリコートを受容する動作は、第3の圧力ポートを介して負圧を受容することをさらに含み、第3の圧力ポートはさらに、試験チャンバと流体連通している。
【0072】
いくつかの実施形態では、試験チャンバは、蛇行経路の下流にあり、第3の圧力ポートは、試験チャンバの下流にある。
【0073】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、本発明の好ましい実施形態および代替の実施形態の両方を記載する以下の詳細な説明および添付の図面を考慮して、当業者により容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0074】
本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成する添付の図面は、実施形態を例示し、本記載と共に、方法およびシステムの原理を説明するのに役立つ。
図1】例示的な実施形態による、使い捨てシステムで使用するためのカートリッジの例示的な生体試料入力装置の斜視図を示す。
図2】例示的な実施形態による、ケーシングを有する図1の例示的な生体試料入力装置の側面断面図を示す。
図3】例示的な実施形態による、試料保持管が上に取り付けられた図2の例示的な生体試料入力装置の側面断面図を示す。
図4】例示的な実施形態による、図3の例示的な生体試料入力装置の詳細図を示す。
図5A】例示的な実施形態による、試料調製面上に位置する4つの試験回路(例えば、止血試験回路)の生体液経路を示す。
図5B】例示的な実施形態による、試料調製面上に位置する4つの試験回路(例えば、止血試験回路)の生体液経路を示し、例示的な実施形態による、試料保持管にさらに連結された図5Aのカートリッジ本体をさらに示す。
図6A】加熱チャンバ充填に対応するラベルを備える、図5A、5B、および8の正面斜視図を示す。
図6B】加熱チャンバ充填に対応するラベルを備える、図5A、5B、および8の背面斜視図を示す。
図6C】試料チャンバ充填に対応するラベルを備える、図5A、5B、および8の正面斜視図を示す。
図6D】試料チャンバ充填に対応するラベルを備える、図5A、5B、および8の背面斜視図を示す。
図6EC】試料混合および試験チャンバ充填に対応するラベルを備える、図5A、5B、および8の正面斜視図を示す。
図6F】試料混合および試験チャンバ充填に対応するラベルを備える、図5A、5B、および8の背面斜視図を示す。
図7】例示的な実施形態による、図5Aのカートリッジの裏側を示し、試験回路のための生体液経路を集合的に形成する、試料調製面に接する相互接続面を含む。
図8】例示的な実施形態による、図7の相互接続面上にある生体液経路の部分を示す。
図9】例示的な実施形態による、例示的なカートリッジと使用するための例示的な試験チャンバセクションを示す。
図10】例示的な実施形態による、例示的な試験チャンバセクション内の例示的な試験チャンバの断面図を示す。
図11】例示的な実施形態による、図10の例示的な試験チャンバの詳細断面図を示す。
図12】例示的な実施形態による、測定システムに動作可能に連結された使い捨てシステムの断面図を示す。
図13】例示的な実施形態による、例示的なせん断弾性率対時間曲線を示す。
図14】凝固の活性化剤あり、かつ線維素溶解阻害剤ありおよびなしで得られたせん断弾性率曲線の一例を示す。これらの曲線の差分比較は、試料の線維素溶解活性に関する情報を提供することができる。
図15】凝固の活性化剤あり、かつ線維素溶解阻害剤ありおよびなしで得られたせん断弾性率曲線から測定され得る差分基準の潜在的な実施形態を示す。
図16】例示的な実施形態による、使い捨てシステムで使用するための図1、2、3、4、5A、5B、7、8、および9の例示的なカートリッジの写真を示す。
図17】例示的な実施形態による、図1、2、3、4、5A、5B、7、8、および9の例示的なカートリッジの正面図を示す。
図18】例示的な実施形態による、図1、2、3、4、5A、5B、7、8、および9の例示的なカートリッジの正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
ここで、本発明は、本発明の特定の実施形態を参照して以下により詳細に記載される。実際には、本発明は、多くの異なる形態で具体化され得、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。
【0076】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈が明確にそうでないと指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0077】
本明細書で使用される場合、「備える」という用語およびその変化形は、「含む」という用語およびその変化形と同義的に使用され、オープンで非限定的な用語である。
【0078】
全体を通して使用される場合、「対象」とは、個体を意味する。対象は、脊椎動物、より具体的には哺乳動物(例えば、ヒト、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、非ヒト霊長類、ウシ、ネコ、モルモット、もしくはげっ歯類)、魚、鳥、または爬虫類、または両生類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示していない。
【0079】
本明細書に記載の装置は、1つ以上の止血機能のインビトロ評価を促進するように構成された単回使用カートリッジ装置を含む。止血機能は、凝固因子、フィブリノゲン、血小板、線維素溶解因子、および血管構造の構成成分などの様々な血液構成成分の機能的な役割を指す。いくつかの実施形態では、カートリッジ装置および関連する測定システムは、試験される試料が1つ以上の試薬に曝露されたときの、そのような試料の少なくとも1つの機械的特性の変化を測定することによって、止血機能を評価するように構成されている。いくつかの実施形態では、カートリッジ装置およびその試験チャンバは、例えば、超音波パルスまたは超音波エネルギーを使用した調査に基づき、粘弾性特性の測定を促進するように構成されている。しかしながら、他の調査システムが、本明細書に記載の特徴を有するカートリッジ装置と使用されてもよい。他の調査システムの例としては、例えば、とりわけ、カップ/ピン技術を用いるシステム(トロンボエラストグラフィおよびトロンボエラストメトリの場合など)、機械インピーダンスの変化を測定するための振動ピストン、光感知、蛍光感知、比色感知、凝集測定、共鳴感知、または電気インピーダンス感知が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
広範囲の試薬がカートリッジ装置で利用され得、内因性経路活性化剤(限定されることなく、カオリン、ハーゲマン因子、セライト、ガラス、エラグ酸、微粒子化シリカなど)、外因性経路活性化剤(限定されることなく、組織因子、組み換え組織因子、トロンボプラスチンなど)、他の凝固活性化剤(限定されることなく、トロンビン、因子Xa、レプチラーゼ、エカリン、ラッセルクサリヘビ毒、または他のヘビ毒など)、血小板活性化剤または血小板阻害剤(限定されることなく、GPIIb/IIIa阻害剤(アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、ロキシフィバン、オルボフィバンなど)、サイトカラシンD、ブレビスタチン、PAR1阻害剤、PAR4阻害剤、糖タンパク質IB阻害剤、TRAP、ADP、アラキドン酸、ADP阻害剤、非ステロイド抗炎症薬など)、線維素溶解機能活性化剤または線維素溶解機能阻害剤(限定されることなく、tPA、uKA、ストレプトキナーゼ、TAFIa、プラスミン/プラスミノゲン、アプロチニン、イプシロン-アミノカプロン酸、トラネキサム酸、プラスミノゲン活性化剤阻害剤1(PAI1)、α2-抗プラスミン(α2-AP)、またはプラスミン-抗プラスミン複合体、カルボキシペプチダーゼ阻害剤など)、ならびにその他(FXIIIa阻害剤、臭化ヘキサジメトリン(ポリブレン)、ヘパリナーゼ(例えば、ヘパリナーゼI)、リストセチン、ヘパリン、低分子量ヘパリン、コーントリプシン阻害剤、アデノシン、GPRP、カルシウム、フィブロネクチン、コラーゲン、エピネフリン、免疫検出試薬、直接トロンビン阻害剤、因子Xa阻害剤、新しい経口抗凝固剤の効果を逆転または排除することを目的とする試薬(直接トロンビン阻害剤および因子Xa阻害剤など)、トロンボモジュリンなど)を含む。追加の非機能性試薬もまた、他の試薬(凍結乾燥または乾燥のための緩衝剤および安定剤、染料など)の機能性を保存するために使用され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、試薬は、カートリッジ装置のチャンバ(例えば、流体回路内に位置するポケット)内に配置および貯蔵されるが、代替の実施形態では、試薬は、カートリッジ装置の流体回路内の様々なチャンバまたは流体チャネル内に配置および貯蔵され得る。流体回路は概して、試料調製品と、試料が最終的に測定される1つ以上の試験チャンバとの間に構築された1つ以上の流体経路を指す。
【0082】
いくつかの実施形態では、試薬は、液体形態でカートリッジ装置内に配置および貯蔵されるか、または球で凍結乾燥(BioLyph LLC製のLyopheres(商標)の場合など)、フィルムで凍結乾燥、プラスチック表面上に凍結乾燥、プラスチック表面上に乾燥、または噴霧コーティングされて、貯蔵寿命安定性を改善することができる。当業者は、これらの試薬が完全に包括的ではなく、1つ以上の止血機能の阻害剤または活性化剤である他の試薬または試薬の組み合わせが、このカートリッジで使用され得ることを認識するはずである。
【0083】
本明細書に開示されるカートリッジ装置は、測定システム(例えば、止血測定システム)の一構成要素である。測定システム(器具とも称される)は、カートリッジ装置と、カートリッジ装置内で処理される試料の粘弾性特性または機械的特性を測定するように構成された測定要素とを連結する、少なくともインターフェース要素を含む。測定された粘弾性特性または機械的特性は、ユーザインターフェースに結果として出力される。例示的なユーザインターフェースは、本出願と同一譲受人に譲渡された米国公開第2011/0252352号(Violaら)に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
いくつかの実施形態では、インターフェース要素は、1つ以上の加熱および/または冷却要素を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、インターフェース要素は、1つ以上のポンプ要素および1つ以上の弁への接続を促進する流体マニフォールドを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、インターフェース要素は、例えば、止血測定を実施するように構成された1つ以上のセンサを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサは、超音波センサを含む。他の実施形態では、1つ以上のセンサは、トロンボエラストグラフィ、トロンボエラストメトリ(例えば、トロンボエラストグラフィベースのシステムまたはトロンボエラストメトリベースのシステム)に基づくか、あるいは光ベースのシステム(例えば、光センサを有する)、蛍光、比色ベースのシステム、凝集測定ベースのシステム(例えば、試験試料を用いて凝集を測定する光センサ、音響センサ、もしくは電極を有する)、共鳴ベースのシステム(例えば、試料が共鳴中または近共鳴であるときに試料を測定する光、音響、もしくは機械位置センサを有する)、電気インピーダンスベースのシステム(例えば、電気インピーダンスを測定するように構成された電極を有する)、またはこれらの組み合わせを介して観察されるような機械インピーダンスの変化、摂動の変化を測定する、他の調査デバイスを含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、インターフェース要素は、測定システムの構成要素(1つ以上のセンサ、流体マニフォールド、加熱および/または冷却要素など)に対して所望の配向で、カートリッジ装置を位置付けるように構成された機械クランプを含む。インターフェース要素が測定システムの構成要素と接しているとき、カートリッジ装置は、いくつかの実施形態では、測定システムによって組織化される制御された一連の動作を介して駆動されて、測定のために試験試料を調製する。いくつかの実施形態では、調製操作は、試料容器(試料保持管とも称される)からの試料の吸引、試料加熱および/または冷却、試料計量、試薬との試料混合、ならびに試料測定を含む。様々な実施形態に関する各ステップが以下に記載される。測定が完了した後、結果は、器具ユーザインターフェースで出力される。
【0088】
いくつかの実施形態では、カートリッジ装置およびその内部構成要素は、分析される試料と直接接触している唯一の構成要素である。
【0089】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、光学的または通信可能に調査され得るコンピュータ可読情報(例えば、RFIDタグ、コンピュータ可読媒体、例えば、フラッシュIC、QRコード、バーコードなど)、および/または人間可読情報(例えば、ラベル)を含む。
【0090】
以下に記載の様々な実施形態は、カートリッジ設計においていかなる可変弁要素も利用しないが、代わりに、器具内に配置された流体マニフォールドおよび1つ以上の弁に依存する。流体は、圧力差、および/または重力、および/または材料特性(疎水性もしくは親水性の場合など)、および/または毛管力を介して、様々なカートリッジ構成要素を通って移動する。
【0091】
これらの実施形態では、カートリッジは、整合スロットを介して整合された1つ以上の接続ポートを介して、器具と連結されるように構成されている。接続ポートは、1つ以上の圧力ポートと1つ以上の放出ポートとを含む。しかしながら、代替の実施形態では、作動弁(エラストマー弁の場合など)が、流体の流動を制御するためにカートリッジ設計内に含まれ得る。これらの弁は、いくつかの実施形態では、測定システムの対応するハードウェアおよびソフトウェア構成要素によって作動される。
【0092】
試料と直接接触しているカートリッジ表面の表面特性および質感は、試料付着および/または試料流動を促進するように最適化され得る。いくつかの実施形態では、試験チャンバの内表面および/またはカートリッジ装置内の流体回路の他の内表面は、特定の血漿タンパク質の付着のための表面エネルギーおよび質感を最適化するようにプラズマ処理される。他の実施形態では、試験チャンバの内表面および/または流体回路の他の内表面は、表面粗さテクスチャリング、材料コーティング(金めっきの場合など)、生体材料コーティング(例えば、フィブロネクチンまたはコラーゲンコーティングの場合など)、原材料選択(例えば、特定のプラスチックまたは追加の処理を必要としないめっきのための他の材料の使用)などで処理される。そのような処理は、独立して、またはプラズマ処理と併せて実施されてもよい。同様に、カートリッジ材料は、所望の疎水性または親水性を達成するように選択または操作され得る。これらの特性は、プラズマ処理によって、または表面コーティングによって変更され得る。
【0093】
以下により詳細に記載されるように、カートリッジおよび関連する測定システムは、カートリッジの自動化操作の一部として、1つ以上のタイプ(例えば、光、圧力、超音波など)の1つ以上のセンサを利用することができる。加えて、そのような1つ以上のセンサ(複数可)の出力は、品質管理チェックを実施するためにさらに利用され得る。これらのチェックは、サブシステム(例えば、超音波もしくは他の調査システム、流体工学、流体レベル、締め付け、カートリッジ位置決め/配向システム、または温度制御)のうちの1つ以上の機能を確実にし、カートリッジが機能的であることを確実にし、測定前に正確な試料調製が実施されるか、または測定のために既に実施されていることを確実にするために、カートリッジ試験の前、間、または後に実施されてもよく、また試験結果の合否のために、または測定開始前に試験の中断のためにさえ使用されてもよい。
【0094】
以下の考察において、流体回路が、1つ以上のチャンバを一緒に接続する流体構成要素を有するチャネルを含むことに留意されたい。流体回路はまた、単一のカートリッジ装置内で個々に、かつ制御可能に処理され得る多数のチャネルの中の試験チャネルとも称される。
【0095】
カートリッジ入力セクション
図1、2、3、および4は、止血を評価するためのカートリッジ100の例示的な生体試料入力セクションの概略図である。具体的に、図1は、例示的な実施形態による、使い捨てシステムで使用するためのカートリッジの例示的な生体試料入力装置の斜視図を示す。図2は、例示的な実施形態による、ケーシングを有する図1の例示的な生体試料入力装置の側面図を示す。図3は、例示的な実施形態による、試料保持管が上に取り付けられた図2の例示的な生体試料入力装置の側面断面図を示す。図4は、例示的な実施形態による、図3の例示的な生体試料入力装置の詳細図を示す。代替の実施形態では、カートリッジの入力セクションは、例えば、ピペットまたは管によって流体試料が配置され得るウェルを備える。
【0096】
いくつかの実施形態では、かつ図1に示されるように、カートリッジ100は、カートリッジ100を試料容器ガイド1(図2に示される)に連結するための二重結合タブ28a、28bを有する。図2に示されるように、試料容器ガイド1は、カートリッジ100と嵌合されたとき、試料容器2をカートリッジ100の試料入力ポート3に整合する。カートリッジ100はまた、試料容器ガイド1の整合溝30へと摺動して、試料容器ガイド1のカートリッジ100への連結をさらに安定させるように構成された整合タブ29を含む。試料容器ガイド1は、試料容器2を適切な高さで保持して、カートリッジ100との流体連通を確立するためのハードストップ5(図3に示される)をさらに提供することができる。
【0097】
様々な実施形態では、試料容器2は、BD Vacutainer(商標)管などの真空管(本明細書において、試料保持管2とも称される)であり、試料入力ポート3は、試料移動3aおよび放出4(図1を参照)のために必要とされる1つ以上の針を備える。図面中に同心として示されるが、針は、同心、並列、または一体化であるように構成され得る。いくつかの実施形態では、かつ図1に示されるように、試料移動針3aは、入口(3bおよび3d)と、カートリッジ100の試料入口チャンバ26で終端する出口3cとを含む。試料入口チャンバ26は、保持/加熱チャンバ6(図5Aを参照)に至る入口経路8と流体連通している。いくつかの実施形態では、かつ図1に示されるように、放出針4は、取り付けられ、かつ入口3dから離間しているときに試料容器2内で終端して、泡が入口3bおよび3dに引き込まれることを最小限に抑えるように構成された、出口4aを含む。放出針4はまた、カートリッジの放出入口チャンバ27で終端する入口4bを有する。放出入口チャンバ27は、いくつかの実施形態では、フィルタを収容するフィルタチャンバ9a(図5Aに示される)で終端する放出経路9と流体連通している。カートリッジ100上でルアーロック接続を必要とする注射器などの代替の試料容器2が利用され得る。また、上述のように、他の実施形態では、カートリッジの入力セクションは、例えば、ピペットまたは管によって流体試料が配置され得るウェルを備える。
【0098】
放出経路
図5A、5B、7、および8は、一実施形態による、例示的なカートリッジ100の生体液経路の概略図である。具体的に、図5Aおよび5Bは各々、例示的な実施形態による、試料調製面上に位置する、本明細書で止血試験回路とも称される4つの試験回路(図5Aに示される試験チャンバ16a、16b、16c、および16dに対応する)の生体液経路を示す。4つの試験回路を有して示されるが、追加の回路またはより少ない回路が含まれてもよく、例えば、2つ、3つ、5つ、6つ、7つ、8つなどを含む。図5Bは、例示的な実施形態による、試料保持管2にさらに連結された図5Aのカートリッジ本体をさらに示す。図7は、例示的な実施形態による、図5Aのカートリッジの裏側を示し、試験回路のための生体液経路を集合的に形成する、試料調製面に接する相互接続面を含む。図8は、例示的な実施形態による、図7の相互接続面上にある生体液経路の部分を示す。
【0099】
上述のように、生体液経路は、カートリッジ100内に画定された複数の平面上に、かつそれらにわたって形成される。カートリッジ100の流体経路の第1の平面は、図5Aおよび5Bに示される。カートリッジ100の流体経路の第1の平面は、代わりに、カートリッジ100の前面と称されてもよい。図7および8は各々、カートリッジ100の流体経路の第2の平面を示し、図8は、理解を容易にするために、カートリッジ100の構造の残りの部分から分離された第2の平面の流体経路を示す。カートリッジ100の流体経路の第2の平面は、代わりに、カートリッジ100の後面と称されてもよい。第1の平面と第2の平面との間の流体経路は、カートリッジ100の様々な平面を横断する流体ビアによって接続される。
【0100】
図1に関連する上述のように、いくつかの実施形態では、放出入口チャンバ27は、放出経路9と流体連通している。放出経路9は、フィルタを内部に収容し得るフィルタチャンバ9a(図5Aに示される)で終端してもよい。カートリッジ100の流体経路の第1の平面のフィルタチャンバ9aは、カートリッジ100の流体経路の第2の平面の放出ポート22i(図8に示される)と流体連通している。以下でより詳細に考察されるように、カートリッジ100は、放出ポート22iを介して測定システム(本明細書において、器具とも称される)と連結して、放出経路9に気圧を提供する。
【0101】
加熱チャンバ経路
図1に関連する上述のように、いくつかの実施形態では、試料移動針出口3cは、カートリッジ100の試料入口チャンバ26で終端する。試料入口チャンバ26は、入口経路8と流体連通している。試料入口経路8は、試料入口チャンバ26と保持/加熱チャンバ6(本明細書において、加熱チャンバ6または「第1のチャンバ」とも称される)(図5Aに示す)との間に、流体連通経路を提供する。本明細書で使用される場合、「第1の」、「第2の」、および「第3の」というラベルは、単にラベルとして提供され、順序を暗示するよう意図されていない。加熱チャンバ6は、測定システムの対応する熱調節(例えば、加熱/冷却)システムと嵌合して、試料を予め定義された温度またはその近くに向かって加熱または冷却するように構成されている。
【0102】
本明細書に提供される加熱チャンバ6は、流体がそのそれぞれの試験に計量または等分される前に、試験流体の均一な調整を促進し、したがって後続の測定および分析に影響を及ぼす可能性がある試験試料の変動性を低減する。加熱チャンバ6の形状は、本明細書において、薄壁を有する薄い断面が使用される場合にあるように、加熱/冷却移動のために最適化され得る。カートリッジ100の材料もまた、加熱/冷却を促進するように最適化され得る。いくつかの実施形態では、試料加熱/冷却調整段階はまた、カートリッジ設計の1つ以上のチャンバ/チャネル内で実施され得、加熱チャンバ6内のみで生じることに限定されない。いくつかの実施形態では、均一な温度加熱または冷却を促進するために測定システムによって制御され得る、撹拌、回転、または振動要素(図示せず)が、加熱チャンバ6に配置され得る。他の実施形態では、加熱チャンバ6の試験流体は、試験流体の均一な温度調整を促進するためのカートリッジ100を振動させる測定システムによって振動し得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、カートリッジ100の試験試料の温度測定が実施される。温度を測定するために、センサが測定システムまたはカートリッジ100に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、サーミスタまたは熱電対が、カートリッジ100または生体試料(血液など)と物理的に接触して配置され得る。他の実施形態では、IR温度計が、カートリッジ100または生体試料に向けられる。いずれの場合も、カートリッジ100は、血液と直接接触するのではなく、入ってくる血液が通過する小さいウェルを組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、試験試料の温度は、加熱チャンバ6またはその付近で評価され得る。他の実施形態では、試験試料の温度は、チャネルが試験チャンバ16に方向付けられているため、試験試料がチャネルを通って流動している間に評価されてもよい。
【0104】
ここで図5A、5B、および8を参照すると、試料入口経路8は、図5Aおよび5Bの加熱チャンバ6の左上角部に示されるように、加熱チャンバ6の第1の角部6aで終端する。いくつかの実施形態では、流体経路に沿ったチャンバは概して、頂部から充填されて、血液が入口に逆流することを防止する。充填出口チャネル10aは、第1の角部6aと反対側の加熱チャンバ6の第2の角部6bから延在する。
【0105】
充填出口チャネル10aは、フィルタを内部に有するフィルタチャンバ10に延在する。カートリッジ100の流体経路の第1の平面のフィルタチャンバ10(例えば、図5Aおよび5Bに示されるような)は、カートリッジ100の流体経路の第2の平面に示される加熱チャンバ充填チャネル10b(図8を参照)と流体連通している。充填導管10bは、加熱チャンバ6の充填を促進する圧力ポート22a(同様に図8を参照)と流体連通している。導管10bは、カートリッジ100の圧力ポート(例えば、考察されたような22a、同様に後に考察される22b~22i)を、測定システムがその圧力制御インターフェースと連結され得る1つ以上の範囲に統合するために使用される導管のネットワークの一部である。そのような構成は、測定システムの複雑さを低減して、カートリッジ100内の流体の移動を制御する。実際には、カートリッジ100の第1の平面における流体試料の移動の制御を取り扱う導管は、主に、カートリッジ100の第2の平面に配置される。図6Aおよび6Bは、このセクションの説明に対応する追加のラベルを備える、図5A、5B、および8の正面斜視図および背面斜視図を示す。
【0106】
加熱チャンバ充填
操作中、器具の流体ポンプは、カートリッジ100の入力ポート3(図1~2を参照)を通して、接続ポート22(図7を参照)(本明細書において、圧力ポートとも称される)を介して、加熱チャンバ6(図5Aまたは5Bを参照)に試料を吸引する。例えば、器具の流体ポンプは、圧力ポート22a(図8を参照)と連通し、それに差圧力例えば、正圧または負圧)を加圧し得る。これは、充填導管10bに沿って、加熱チャンバ6内に、かつ入口経路8に沿って加圧された圧力を作り出して、試料を加熱チャンバ6に吸引する。同時に、内側放出針4が、器具から放出ポート22i(図8を参照)を介して気圧を受容する分離経路9に接続されて、試料がカートリッジ100の加熱チャンバ6に吸引されたときに、試料容器2内の圧力を中和させる。加熱チャンバ6の充填中、全ての他のポート(例えば、22b~22i)は、例えば、測定システムによって閉鎖されている。
【0107】
加熱チャンバ6が充填されたとき、フィルタチャンバ10内のフィルタは詰まらされ、器具によって検出される圧力スパイクを作り出し、器具に流体ポンプをオフにさせる。器具はまた、圧力スパイクを検出すると、放出ポート22iを閉鎖し得るか、ないしは別の方法で放出ポート22iを介した気圧の供給を中断し得る。代替の充填検出技術、すなわち、所望の充填レベルに配置される光センサ、所望の充填レベルに配置される体積制御、一定時間の圧力変化(負圧および/または正圧)、超音波検出器などもまた使用され得る。例えば、正常かつ典型的な対象の体温またはその近く(例えば、健康なヒトについては約37℃)であってもよい所望の温度に達するまで、試料は、加熱チャンバ内に留まる。他の場合、他の所望の温度が認められ得る。加熱チャンバ6、および試料計量チャンバ11(以下に記載)に至るチャネルの形状は、流体試料中に存在し得る泡が流体回路の残りから離れて捕捉されるように構成されている。入口経路8の形状は、吸い上げ防止特徴8a(図5Aおよび5Bを参照)を含み、加熱チャンバ6内に形成される泡の発生を低減し、試料容器2への、および試料容器2からの吸い上げを防止するように構成されている。この目的で、追加の未処理の試験試料(例えば、未加熱の血液)は、第1の抽出された試験試料が加熱および/または冷却された後、例えば、処理された試験試料が計量チャンバ11(本明細書において、試料チャンバ11および「第2の」チャンバとも称される)に引き入れられたときに、加熱チャンバへと吸い上げられることができない。図6Aおよび6Bもまた、このセクションの説明に対応するラベルを示す。
【0108】
試料アリコート(計量)チャンバ経路
図5A、5B、および8を参照すると、加熱チャンバ6の第1の側面6c(図5Aを参照)は、第1の角部6aと第2の角部6bとの間に延在する。
【0109】
出口ポート6e~6h(図5Aを参照)のうちの1つ以上は、加熱チャンバの第2の側面6dの長さに沿って配置されている。1つ以上の出口ポート6e~6hの各々は、加熱チャンバの第2の側面6dに沿った谷部分の異なる1つに配置されてもよく、谷部分は、各それぞれの試験チャネルに至る導管に試料を方向付ける。いくつかの実施形態では、試験チャネルは、所与のアリコート試料の測定を実施するために使用される関連する流体経路構造および試験チャンバを集合的に指す。いくつかの実施形態では、かつ図5Bに示されるように、カートリッジ100の流体経路の第1の平面の1つ以上の出口ポート6e~6hの各々は、チャネル20(図5Bを参照)と集合的に称される、カートリッジ100の流体経路の第2の平面の対応する1つ以上のチャネル20a~20d(図8を参照)の第1の端部と流体連通している。カートリッジ100の流体経路の第2の平面の1つ以上のチャネル20a~20d(図8を参照)の各々の第2の端部は、同様に、カートリッジ100の流体経路の第1の平面の対応する1つ以上のチャネル11a~11d(図5Bを参照)の第1の端部と流体連通している。1つ以上のチャネル11a~11dの各々第2の端部は、対応する1つ以上の試料チャンバ11(「o」記号が中にあり、図5Bに重複(「×4」)で示される)で終端する。図5A、5B、7、および8に示される実施例では、4つの試料チャンバ11が存在する。より多い、またはより少ない試料チャンバ11、および加熱チャンバ6との対応する流体連通経路が、いくつかの構成でカートリッジ100上に存在してもよい。
【0110】
試料チャンバ11は、加熱チャンバ6の底部から始まる1つ以上のチャネル20によって供給される。この幾何学的構成は、泡が加熱チャンバ6の上部部分に達したときに、泡が試料チャンバ11に引き込まれることを回避する。
【0111】
試料チャンバ11の各々は、内部にフィルタを有する対応するフィルタチャンバ12(「+」記号を有し、図5Bに重複(「×4」)で示される)と流体連通している、対応する充填チャネル11eを有する。カートリッジ100の流体経路の第1の平面のフィルタチャンバ12は、カートリッジ100の流体経路の第2の平面のチャネル12a(図8を参照)と流体連通している。チャネル12aは、圧力ポート22g(図8を参照)と流体連通している。
【0112】
いくつかの構成では、2つ以上の試料チャンバ11がカートリッジ100上に実装されている場合、チャネル12a(図8を参照)は、対応する充填チャネル11eおよびフィルタチャンバ12を介して、試料チャンバ11(図5Bを参照)の全てと流体連通している。したがって、チャネル12aは、単一の圧力ポート22gを介して試料チャンバ11の全てに負圧を加圧するためのマニフォールドとして作用する。したがって、別個の圧力ポートは、有益に、試料チャンバ11の各々を充填するために必要ではない。図6Cおよび6Dは、このセクションの説明に対応する追加のラベルを備える、図5A、5B、および8の正面斜視図および背面斜視図を示す。
【0113】
加熱チャンバ放出経路
図5A、5B、および8を参照すると、加熱チャンバ6は、試料チャンバ11が充填されたときに加熱チャンバ6を放出するための、加熱チャンバの第1の側面6cに沿った放出経路31a、31b、31cを備える。放出経路31(図示せず)は、導管要素31a~31dを通る流体経路を含む。チャネル31a~31bは、第1の側面6cに沿って加熱チャンバ6で一端が終端し、フィルタを内部に有するフィルタチャンバ31cでもう一端が終端する。したがって、チャネル31a~bは、加熱チャンバ6とフィルタチャンバ31cとの間に流体経路を提供する。カートリッジ100の流体経路の第1の平面のフィルタチャンバ31c(図5Aを参照)は、カートリッジ100の流体経路の第2の平面のチャネル31d(図8を参照)と流体連通し、チャネル31dは、放出ポート22c(図8を参照)と流体連通している。以下でより詳細に考察されるように、カートリッジ100は、器具が加熱チャンバ6を放出するための気圧を提供するための放出ポート22cを介して、器具と連結する。図6Cおよび6Dもまた、このセクションの説明に対応するラベルを示す。
【0114】
試料チャンバ放出経路
図5A、5B、および8を参照すると、試料チャンバ11の各々は、対応する試料チャンバ11の第1の端部で終端する放出経路18を含む。カートリッジ100の流体経路の第1の平面の放出経路18の第2の端部は、カートリッジ100の流体経路の第2のプラン(plan)の放出マニフォールド18と流体連通している。2つ以上の試料チャンバ11が存在する場合、試料チャンバの放出経路18(図5Bを参照)の全てが、放出マニフォールド18a(図8を参照)と流体連通している。カートリッジ100の流体経路の第2の平面の放出マニフォールド18a(図8を参照)は、流体経路の第1の平面のチャネル18b(図5Bを参照)の第1の端部とさらに流体連通している。チャネル18b(図5Bを参照)の第2の端部は、フィルタを内部に有するフィルタチャンバ18c(図5Bを参照)と流体連通している。カートリッジ100の流体経路の第1の平面のフィルタチャンバ18c(図5Bを参照)は、放出ポート22e(図8を参照)と流体連通している。図6Cおよび6Dもまた、このセクションの説明に対応するラベルを示す。
【0115】
試料アリコート(計量)チャンバ充填
操作中、いったん試料が所望の温度またはその近くになると、試料は、1つ以上の独立した試料チャンバ11(図5Bを参照)に等分(または計量)される。別途記載のない限り、図5Bを参照すると、様々な実施形態では、試料チャンバは、器具のポンプを介して圧力ポート22g(図8を参照)に負圧を加圧することによって充填されると同時に、放出ポート22c(図8を参照)によって加熱チャンバ6を放出する。各フィルタチャンバ12は、対応する試料チャンバ11が充填されたときに詰まり、器具の圧力センサが加熱チャンバ6の充填と同様にポンプをオフにするように作動させる、フィルタを内部に有する。上述のように、代替の充填検出技術が使用され得る。様々な実施形態では、全ての試料チャンバ11が、圧力ポート22g(図8を参照)を介して器具の単一の弁および流体経路によって制御される。カットオフ圧力は、全ての試料チャンバのフィルタが対応するフィルタチャンバ12内で詰まるまで作動しない。試料チャンバ11は、独立した機能チャネルに試料を分離し、既知の体積の試料に等分し、試薬との混合のために試料を分類するために使用される。試料チャンバ11が充填されている間、圧力ポート22b、22d、22f、および22h(図8を参照)、ならびに放出ポート22e(図8を参照)は、流体が試料チャンバ11の下に配置された位置19を過ぎて漏れることを防止するために、器具によって閉鎖される。いったん試料チャンバ11が充填されると、放出ポート22e(図8を参照)は、気圧に開放され、これにより1つ以上の試料チャンバ11は、互いおよび加熱チャンバ6から流体分離され得る。放出ポート22e(図8を参照)は、以下で考察されるように、試料混合中に気圧に開放されたままである。図6Cおよび6Dもまた、このセクションの説明に対応するラベルを示す。
【0116】
混合および試験経路
別途記載のない限り、図5Bを参照すると、試料チャンバ11の各々は、試薬を含む少なくとも1つの凍結乾燥ビーズを収容するように構成された対応する1つ以上の試薬ポケット14(図5Aを参照)と流体連通している。図5Aおよび5Bに示されるように、2つの試薬ポケット14(試験チャネルのうちの1つについて図5Aに14aおよび14bとして示される)が提供される。他の実施形態では、単一の試薬ポケットが各試験チャネルに使用される。さらに他の実施形態では、3つ以上の試薬ポケット14が各試験チャネルに使用される。試薬ポケット14は、蛇行チャネル13(図5Aを参照、かつ重複記号(「×4」)を有して示される)と流体連通している。蛇行チャネル13の各々は、試薬ポケットと流体連通している第1の端部と、光検出区域15で終端する第2の端部とを有する。以下で考察されるように、器具(すなわち、測定システム)は、カートリッジ100の光検出区域15を光学的に調査して、個々のアリコートと対応する試薬(複数可)との混合を促進するポンプの制御を促進し得る。蛇行チャネル13(図5Aを参照)の各々は、試験チャンバ16(図5Bを参照、重複記号(「×4」を有する)と流体連通し、試験チャンバ16は、フィルタを内部に有するフィルタチャンバ17と流体連通している。カートリッジ100の流体経路の第1の平面のフィルタチャンバ17は、カートリッジ100の流体経路の第2の平面の流体チャネル17a~17d(図8を参照)の対応する1つの第1の端部と流体連通している。流体チャネル17a~17d(図8を参照)の各々の第2の端部は、対応する圧力ポート22b、22d、22f、および22h(図8を参照)と流体連通している。カートリッジ100は、圧力ポート22b、22d、22f、および22h(図8を参照)を介して器具と連結して、正圧および負圧を供給して、以下で説明される試料の混合および試験を促進する。図6Eおよび6Fもまた、追加のラベルがこのセクションの説明に対応する、図5A、5B、および8の正面斜視図および背面斜視図を示す。
【0117】
試料混合
別途記載のない限り、図5Bを参照すると、試料チャンバ11内の各個々のアリコートは、別個のリザーバまたはチャネル(様々な実施形態における蛇行チャネル経路13(図5Aを参照))に引き入れられ、2つの試薬ポケット14(図5Aを参照)のうちの一方(または両方)に位置する、チャネルに固有の試薬と接触させられる。具体的には、器具のポンプは、圧力ポート22b、22d、22f、および22h(図8を参照)に負圧を加圧して、試薬ポケット14(図5Aを参照)および蛇行チャネル経路13(図5Aを参照)を通して試料を引く。試薬および試料は、試料チャンバ11の充填中に互いから離れて保持されて、試薬が血液上に浮遊し、フィルタチャンバ12のフィルタに捕捉されることを回避し、かつ加熱チャンバ6からの1つ以上の試料チャンバ11の流体分離を確実にする。この目的で、試験試料が試薬と接触している精密な時間が測定され得、それにより正確かつ精密な凝血時間測定(例えば、混合開始時からの)を促進する。加えて、試薬および試験試料は、いくつかの実施形態では、全てのチャネルが他のチャネルからの試験試料の望ましくない吸い上げを防止するように計量されるまで互いから、または流体経路内の未処理の試料から離れて保持される。試料が、ポンプからチャネルを遮断する器具の光センサ(検出区域は、光検出区域15(図5Aを参照)付近の蛇行チャネルの頂部である)を作動させるまで、試料は、蛇行チャネル13(図5Aを参照)を通して吸引される。蛇行チャネルまたはその中の区域もしくは領域における混合は、個々のチャネル制御を可能にする1つ以上の独立した弁および経路によって制御され得る。圧力、パススルー光センサ、超音波検出、時間、体積制御などの代替のセンサ技術が利用され得る。いったん全てのチャネルの光センサが作動すると、ポンプは逆になり、圧力ポート22b、22d、22f、および22h(図8を参照)に正圧を加圧する。正圧は、指定の時間にわたって、または器具の光センサの第2のセットが捕捉されるまで(代替の実施形態において)、血液などの生体試料を蛇行路13(図5Aを参照)に押し下げる。試料が器具の光センサによって検出され、所与の時間にわたって押し戻される光検出区域まで、試料を蛇行路13(図5Aを参照)に引き上げるこのプロセスは、完全な試料混合が達成されるまで繰り返される。図6Eおよび6Fもまた、このセクションの説明に対応するラベルを示す。
【0118】
他のセンサ(例えば、インピーダンスセンサ)、圧力センサなどが使用され得る。あるいは、追加のセンサが光検出区域の両端を検出するために使用され得る。交互の経路形状、乱流を作り出すための障害、サイクル回数、およびサイクル速度は全て、最適な結果を達成するために異なる試験タイプと共に使用され得る設計代替手段である。代替の実施形態では、混合は、カートリッジ内に配置され、器具によって制御される1つ以上の強磁性ビーズまたは棒で達成され得る。
【0119】
試験チャンバ充填
図5A、5B、および8を参照すると、1つ以上の試験チャンバ16は、混合が完了した後に充填される。1つ以上の独立した弁および経路を使用して、各試験チャンバ16に、圧力ポート22b、22d、22f、および22hにおける圧力摂動(負圧および/または正圧)の加圧を介して、試料が充填される。具体的には、器具ポンプは、フィルタの全てが1つ以上のフィルタチャンバ内で詰まらされ、圧力スパイクを引き起こして、器具に加熱チャンバ6の充填と同様にポンプをオフにさせるまで、圧力ポート22b、22d、22f、および22hに負圧を加圧する。上述のように、代替の充填検出技術が使用され得る。試験チャンバ16は、充填中の試験チャンバ16内の泡の形成を防止する隆起部24aなどの設計特徴を有する。いったん充填されると、器具は、試料の粘弾性試験を開始する。図6Eおよび6Fもまた、このセクションの説明に対応するラベルを示す。
【0120】
いくつかの実施形態では、カートリッジ装置は、測定(および/または試料調製)が並行して実施されるための試薬の異なるセットを有して構成された、少なくとも4つの独立した流体回路を含む。測定は、カートリッジの少なくとも4つのチャネルのチャネル毎に実施される。いくつかの実施形態では、測定は、試料せん断弾性率などの粘弾性特性を含む。別の実施形態では、測定は、試料の粘性、弾性率、もしくは任意の他の機械特性、またはこれらの組み合わせなどの他の特性を含む。
【0121】
表1は、例示的なカートリッジ装置(例えば、とりわけ、装置100)で使用するための試薬および測定パラメータの例示的なセットを提供する。表1に示されるように、例示的なカートリッジ装置のチャネル番号1は、凝固の内因性経路の活性化剤であるカオリンの存在下で、試験試料の凝血時間を測定するために調査される。表1に示されるように、チャネル番号2は、カオリンの存在下で、かつ抗凝固剤ヘパリンの中和剤であるヘパリナーゼIのさらなる存在下で、試験試料の凝血時間を測定するために調査される。表1に示されるように、チャネル番号3は、i)凝固の外因性経路の活性化剤であるトロンボプラスチン、およびii)抗凝固剤ヘパリンの中和剤であるポリブレンの存在下で、試験試料の全体的な血栓硬度を測定するために調査される。表1に示されるように、チャネル番号4は、チャネル番号3と同じ試薬を有するか、血小板凝集/収縮の阻害剤であるアブシキシマブ(例えば、Clotinab(商標登録)および/またはReoPro(商標登録))を添加した、試験試料の血栓硬度を測定するために調査される。表1に示されるように、アッセイがクエン酸全血試料で動作するように構成されている場合、カルシウムが全ての試薬製剤に添加される。
【表1】
【0122】
表2は、例示的なカートリッジ装置(例えば、とりわけ、装置100)で使用するための試薬および測定の追加の例示的なセットを提供する。表2に示されるように、チャネル番号2は、トラネキサム酸(TXA)による線維素溶解の阻害を伴う、外因性経路活性化剤を含む。表1にすでに示された測定に加えて、チャネル番号2、チャネル番号3、およびチャネル番号4は、例えば、線維素溶解プロセスに関連し得る血栓硬度の変化も測定するために調査される。いくつかの実施形態では、他のチャネルは、線維素溶解を阻害する試薬を含むことができ、また血栓硬度の変化を測定するために調査され得る。例えば、チャネル番号4はまた、線維素溶解の非存在下で血栓硬度を測定するために、TXAまたは他の線維素溶解阻害剤を含み得る。
【表2】
【0123】
いくつかの実施形態では、凝血時間および血栓硬度は、カートリッジの各測定チャネル内で生成されるせん断弾性率(shear modulus)(血栓硬度)対時間曲線を分析することによって測定される。図13は、例示的な実施形態による、例示的なせん断モジュール(shear module)対時間曲線を示す。凝血時間は、血栓硬度が閾値を満たすか、もしくは超えたとき、または測定されているそのような特性の一次もしくは高次導関数が閾値を満たすか、もしくは超えたとき、または血栓硬度の速度の最大加速の時点を識別すること、または上記の方法の何らかの組み合わせによって決定され得る。血栓硬度は、凝血時間後の一定時間の血栓硬度、またはある時間制限内に測定される最大の全体的な血栓硬度、または血栓硬度の変化の最大速度の時点の血栓硬度、または上記の方法の何らかの組み合わせによって推定され得る。同様の方法が、線維素溶解の効果(すなわち、血栓溶解)および対応する血栓硬度の低減を測定するためにも適用され得る。いくつかの実施形態では、血栓硬度の変化は、一定の時間窓にわたる血栓硬度の低下の百分率として、経時的な血栓硬度の変化率として、所定の時間窓内の血栓硬度対時間曲線より下もしくは上の面積として、血栓硬度の所定の低下を達成するために必要とされる時間として、またはこれらの組み合わせとして計算され得る。記載されたばかりのものと同様の曲線および同様の測定が、測定されている試料のヤング率、粘度、または他の粘弾性特性をプロットすることによって形成され得る。
【表3】
【0124】
当業者は、凝血時間および血栓硬度が多くの方法および基準を使用して推定され得ることを認識するはずである。少なくとも4つのチャネル/測定から得られる凝血時間および血栓硬度の値は組み合わされて、患者の止血系の機能状態を示し得る少なくとも6つのパラメータを提供することができる。指数は、表3に要約される。異なるチャネルからの結果(凝血時間、血栓硬度、血栓硬度の変化など)間の関連性は、器具、カートリッジ、および試料関数を検証するための追加の品質管理チェックとして、予測された範囲内であることを検証され得る。
【0125】
他の実施形態では、他の試薬が使用され得、線維素溶解指数、抗血小板治療の機能性に対応する指数、抗凝固治療の機能性に対応する指数などの場合など、他の止血指数または出力パラメータが得られ得る。
【0126】
例えば、1つ以上の線維素溶解指数は、表2に示されるチャネルのうちのいずれかで測定された血栓硬度の変化を使用して形成され得るが、好ましくはチャネル番号3および番号4である。あるいは、線維素溶解指数は、表2に示されるチャネル番号2およびチャネル番号3で測定された血栓硬度の変化の差分の組み合わせによって形成され得る。そのような組み合わせは、比、差、またはこれらの組み合わせの形態であってもよい。抗線維素溶解試薬ありおよびなしで測定された血栓硬度の変化の組み合わせを使用する利点のうちの1つは、非線維素溶解による血栓硬度の値の減少の干渉効果を軽減する能力である。いくつかの実施形態では、TXAまたは他の線維素溶解阻害剤試薬は、表2の例示的なカートリッジのチャネル番号2およびチャネル番号4の両方に含まれ得る。そのような修正を用いて、血栓硬度、血小板寄与、およびフィブリノゲン寄与のパラメータは、チャネル番号2およびチャネル番号4で得られた血栓硬度の測定値の組み合わせによる線維素溶解の影響なしで導かれ得る。
【0127】
上述のように、例示的なユーザインターフェースは、本出願と同一譲受人に譲渡された米国公開第2011/0252352号(Violaら)に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例示的なユーザインターフェースは、数あるパラメータの中でも表4に関連して考察される測定された止血指数を表示するために使用され得る。
【表4】
【0128】
上述のように、様々な実施形態では、試験チャンバ16は、試料の粘弾性特性の超音波試験を促進するように形状決定されるが、代替の形状も他の試験タイプを測定するために実装され得る。そのような超音波試験システムは、本出願と同一譲受人に譲渡された米国特許第.9,726,647号および米国公開第2016/0139159号に記載され、その両方の全体が参照により本明細書に組み込まれる。測定システムの超音波トランスデューサは、カートリッジ100上の試験ブロック21dに固定された柔軟かつ変形可能なエラストマー21を介して、カートリッジ100の試験チャンバ16と接続する。
【0129】
例示的なエラストマー材料としては任意に、とりわけ、Dynaflex D3202、Versaflex OM9-802CL、Maxelast54740、RTP6035、Versaflex CL2003Xが挙げられる。ここで、別途記載のない限り、図9を参照すると、試験ブロック21dは、カートリッジ100の整合スロット23および24を介して、試験チャンバ16(図5Bを参照)と整合される。さらに図9を参照すると、エラストマー21は、エラストマー21上のフランジ21aを介して試験ブロック21dに固定されてもよい。フランジ21aは、試験ブロック21dから対応する整合ペグ(図示せず)を受容し得る複数の整合穴21bを有してもよい。軟質エラストマー21はまた各々、試験チャンバ16における試料内に超音波エネルギーを集束させるレンズ21cを含んでもよい。
【0130】
図16は、例示的な実施形態による、使い捨てシステムで使用するための図1、2、3、4、5A、5B、7、8、および9の例示的なカートリッジの写真を示す。図17は、例示的な実施形態による、図1、2、3、4、5A、5B、7、8、および9の例示的なカートリッジの正面図を示す。図18は、例示的な実施形態による、図1、2、3、4、5A、5B、7、8、および9の例示的なカートリッジの正面図を示す。
【0131】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第.9,272,280号に記載されるように、様々な実施形態では、消費可能なカートリッジは、流動および混合を生成するために使用され得る、試料内に超音波エネルギーを集束させるレンズアセンブリを含む。レンズアセンブリまたは音集束アセンブリは、図10、11、および12に示されるポリスチレンなどの剛性基板132(例えば、試験ブロック21dから形成)と併せて、熱可塑性エラストマー134(前に21と称される)などの軟質材料を使用して設計される。この組み合わせは、いかなる流体またはゲルカプラントの使用も必要としない乾式超音波カップリングを提供する。止血測定に使用される同じレンズおよび超音波ドライバが混合を提供するためにこの方法で使用され得ることに留意されたい。混合のための音響エネルギーの増加は、例えば、パルス長、パルス振幅、またはパルス繰返し周波数の増加によって送達され得る。
【0132】
ここで図10を参照すると、試験チャンバ116(前に試験チャンバ16と称される)の頂部断面図が示される。各試験チャンバ、例えば、試験チャンバ116を密封するために、レンズアセンブリ131は、各試験チャンバの後端に位置付けられ得る剛性基板132とカプラント134とを含む。
【0133】
さらに図10を参照すると、各カプラント134は、エラストマー材料を含む。任意に、エラストマー材料は、熱可塑性エラストマー(TPE)である。例示的なエラストマー材料としては任意に、とりわけ、Dynaflex D3202、Versaflex OM9-802CL、Maxelast54740、RTP6035、Versaflex CL2003Xが挙げられる。任意に、カプラントは、剛性基板にオーバーモールドされる。任意に、カプラントは、剛性基板に機械的に固定される。
【0134】
さらに図10を参照すると、各カプラント134と各試験チャンバの開放空間との間に剛性基板132がある。剛性基板およびカプラントは、チャンバの開放空間内に、かつチャンバ内の任意の生体液および/または試薬上に、超音波トランスデューサによって伝達される超音波を集束させるインターフェース(例えば、レンズアセンブリ)を形成する。レンズの剛性基板は、音が通過することを可能にし、かつ空間内にあるレベルの超音波を集束させるように作用することが可能である、材料を含むことができる。任意に、剛性基板は、スチレンを含む。
【0135】
ここで図11を参照すると、レンズアセンブリは、試験ブロック21d(図11に要素132として示される)の表面101に接着または溶接されて、音の所望の集束を可能にする配向で、レンズを定位置に固定し得る。あるいは、レンズアセンブリは任意に、試験ブロック21dの表面101と一緒に製造される。この点で、剛性基板132は、試験ブロック21dの表面101と成形され得、カプラント134は、剛性基板にオーバーモールドまたは機械的に固定され得る。幅広い材料がデバイスを構築するために使用され得る。例えば、プラスチックは、単回使用の使い捨てカートリッジに使用され得る。
【0136】
さらに図11を参照すると、試験チャンバ116の各々は、各チャンバの開放空間の大きい開口部にわたって位置付けられたレンズアセンブリを有することができる。このようにして、各チャンバは、集束した超音波によって別々に調査され得る。
【0137】
さらに図11を参照すると、器具内に配置されたとき、カプラント134は、レンズアセンブリを通して、かつ試験チャンバ116へと超音波を供給するためのトランスデューサと音響通信して配置され得る。任意に、音響的に透過性の材料の中間層が、超音波トランスデューサとカプラントとの間に位置付けられる。例えば、Rexolite(登録商標)またはTPX(登録商標)の中間層またはブロックが使用され得る。中間層は、カプラントに押し付けられ得、トランスデューサと音響的に接触していてもよい。
【0138】
さらに図11を参照すると、トランスデューサによって生成された音は、中間層、カプラント、剛性基板を通過し、血液などの生体試料および試験チャンバ内の試薬内に集束する。チャンバに方向付けられた音の一部は、表面126によって画定される試験チャンバの遠位内表面111に接触する。任意に、表面は、ポリスチレンである。遠位内表面は、既知の形状を有し、超音波源から既知の距離に位置付けられる。遠位内表面111は、ベースラインにおいて、かつ血栓形成および血栓溶解のプロセス中、試験チャンバの音の速度および音の減衰を推定するために使用される目盛り付き反射体として使用される。これらの測定は、例えば、止血の指数と共に対象のヘマトクリット値を推定するために使用され得る。トランスデューサによって生成される音は、エラストマーと称して生体試料に連結される放物面鏡を使用して、試験チャンバ内の生体試料内に集束し得る。
【0139】
他の例示的なカートリッジ装置および測定システム、ならびにその方法は、米国特許第9,031,701号、米国仮出願第61/443,084号、米国特許第9,272,280号、米国特許第9,410,971号、米国仮出願第61/443,088号、米国公開第2011/0252352号、公開されたPCT公開第WO2011/127436号、米国公開第2012/0294767号、米国特許第7,892,188号、米国特許第8,740,818号、および米国公開第2016/0274067号に記載され、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0140】
述べたように、本明細書に記載のカートリッジおよび特徴は、とりわけ、トロンボエラストグラフィベースのシステム、トロンボエラストメトリベースのシステム、光ベースのシステム、蛍光ベースのシステム、比色ベースのシステム、凝集測定ベースのシステム、共鳴ベースのシステム、および電気インピーダンスベースのシステムなどの他のタイプの測定システムと使用するために修正され得る。
【0141】
本明細書に記載の本発明の多くの修正および他の実施形態が、上記の記載に示される教示の利益を有する、本発明が関連する技術分野の当業者に思い浮かぶであろう。したがって、本発明が、開示される特定の実施形態に制限されないものであること、ならびに修正および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲内に含まれるよう意図されることが理解されるものとする。
【0142】
特定の用語が本明細書で用いられるが、それらは、制限の目的ではなく、総称的かつ説明的な意味で使用される。
【0143】
請求項で使用される場合、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、単にラベルとして提供され、順序を暗示するよう意図されていない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18